宝物の鉛筆削り
Part219:pc:10/11/6 13:03 ID:to5MX79lO.
そろそろ離そうかな……
でも柔らかいしな……
こんな葛藤が心に生まれるか生まれないか、
そんな刹那のフラッシュバック。
見えたのは引っ越してくる前の自分。
割愛するはずだったんだけどな……
20:pc:10/11/6 13:04 ID:to5MX79lO.
~~~~~~~~~~~
「学校来てんじゃねーよ」
ねぇ、どうして?
「ウザいんだよ」 「キショイんだよ」
私、なにもしてないよ?
「死ね」「死んでくれない?」「ばいきん」「近寄らないで。汚いから」
なんで?
なんでそんなこと言うの?
なんで?
~~~~~~~~~~~
21:pc:10/11/6 13:10 ID:to5MX79lO.
「……ぇ!ねぇってば!」
男の子の声で我に返る。
「……泣いてるの?」
自分の頬を手でぬぐう。確かにぬれていた。
泣いてるつもりはなかったんだけどな…
まぁ、仕方ないと言えば仕方が無い。
あの頃はトラウマ真っ盛りだ。
栽培地だ。温床だ。
本当に死んでやろうかと思った数は果てしなく、
まさにマリアナ海溝の溝ほどに深い傷を可憐な私の心に……
「大丈夫?頭とか、痛くない?」
物思いを途中で遮られる。
まぁいいさ、可愛いものは正義だ。
ちょっと変なくらいの方が可愛さも増すってもんだ。
「いや、別に……」
痛くないよって続けたかったけど、無理だった。
突然の激しい頭痛。
ズキズキってよりかはグヮァァアンって感じの。
無理して例えるなら頭の中で銅鑼をかき鳴らしてるような、
そんな感じ。
当然、私はうずくまった。
22:名無しさん:10/11/6 13:12 ID:to5MX79lO.
「大丈夫!?」
男の子があわてて駆け寄ってくる。
心配はありがたいけどその声が頭に響いて余計辛いからちょっと黙って……
ふわり
おでこに何かが当てられる。
感触からして男の子の手だ。
「……ЁГБДAЖ…」
そして頭の上から何か聞こえてくる。
何を言ってるかはわからないけれど、
たぶん、呪文ってやつだ。
テレビで見たことがある。
そして30秒ほどたったころ、頭の痛みがスッと引いた。
まるで、魔法でも使ったかのように。
……魔法か。多分。
23:pc:10/11/7 16:32 ID:to5MX79lO.
「ありがとう」
「ううん……ごめんね」
「・・なにが?」
「ごめんなさい」
そういうと男の子は走って、
元来た道の方へと逃げて行った。
……え、なんで?
「ちょ、おまっ」
あわてて私も後を追う。
しかし、ここまで歩いて来る時もついていくのに精一杯だった私が、
走って逃げていく男の子に追いつけるはずがない。
歩いている時でさえけつまずいたり、
髪を引っ掛けたりしていたのだ。
当然、それらは帰り道にも作用してくるわけで、
来たときは歩いていたからつまずいたわけで、
全力で走りながらつまずいたら当然……
「うのわっ!?」
思いっきりこけるわけで。
「っつぅ……」
膝、思いっきり擦り剥いたな……
しかも下が湿気てたから服もドロドロだ……
男の子ももう見えなくなってるし……
……しょうがない、今日は帰るか。
また明日聞けばいい。
24:pc:10/11/7 16:32 ID:to5MX79lO.
しかし次の日、
その次の日、
またその次の日、
さらにその次の日、
そして土日を挟んだ休み明けの月曜日も、彼は来なかった。
先生曰く風邪をひいた、とのことだがどうせ嘘だろう。
そこで、お見舞いに行きたいが住所がわからない、
と担任に相談したところ、
周囲にうまく溶け込めていなかった(溶け込むつもりもなかったが)私にそんな友達ができていたのか
と自分の事のように喜び、
個人情報保護法の云々は無視して、男の子の……
いや、逃げ出したバカの住所を教えてくれた。
ここでバカの住所を紹介しておこう。
1、私の家を出る
2、左を向く(学校に行くときも左に行く)
3、10歩歩く
4、左を向く
以上。お隣さんだった。気付かなかった私も私だが。
つまり、私は毎日毎日あいつの家の前を通って登校していたわけだ。
うん、私、すごくバカっぽい。
25:pc:10/11/12 17:17 ID:to5MX79lO.
……ま、しょうがないな。
うん。しょうがない。
この鬱憤は……
アイツで晴らす!
26:pc:10/11/12 17:17 ID:to5MX79lO.
そんなこんなで帰り道。
私はアイツの家によってから帰ることにした。
一旦帰って身軽になってからでもよかったのだが、
なんせこっちには大量のプリントがある。
一週間近く休んでたわけだからそれはもう大量に。
私以外に家が近い人がいなかった
↓
でも転校してきたばっかりだし頼みにくい
↓
とりあえず一週間分溜まったら自分で届けに行こう
あの担任はこんな思考プロセスをたどったらしいが、
正直遠慮とかしないで欲しかった。
あの教師は平気で法律を無視する割には変なとこで遠慮する。
ありがた迷惑ってのはこういうときに使う言葉なんだろう。
もっと早くに教えてくれていれば
あの少年の被るダメージも多少は少なくなったろうに。
5パーセントくらい(当社比)
悪いな少年。怨むなら担任を怨んでくれ。
27:pc:10/11/12 17:35 ID:to5MX79lO.
すみません、ぜんぜん終わらないです。
結構長くなってます。
期間内には終わらせますので!
28:pc:10/11/16 16:27 ID:to5MX79lO.
そうこう考えているうちに少年の家に着いた。
……なんで私今までこの家に気づかなかったんだろう。
庭だけで体育館と同じくらいの広さ……は無いけども、
それでも綺麗な庭と立派な門のある一戸建てだった。
ここで思い悩んでいても仕方が無い。
今まで気づかなかったのも魔法のせいに違いない。
とりあえずはとチャイムに手を伸ばす。
ピンポーン
お金持ちの家でもチャイムの音は共通なようだ。
メーカーとかによる多少の違いはあるだろうけど。
そんな下らない事を考えながら応答を待つ。
「はい、どちらさま?」
綺麗な女の人の声だ。
あいつのお母さんだろうか。
「あ、私は……」
スピーカーから流れてくる声に言葉をさえぎられる。
「あー、答えなくて良いよ。ただの形式だからさ。
バカ孫の友達さんだろ?入ってきてくれて良いよ。
ゆっくり話したいこともあるしね」ブツッ
音が切れると同時に門が勝手に開いていく。
これがオートロックってやつか。金持ちは違うな。
こんなとこに金なんてかけなくても良いだろうに……
しかしさっきの人、話したいことがあるっていってたけどなんだろうな……
29:pc:10/11/16 17:09 ID:to5MX79lO.
~そんなこんなで家の中~
「おじゃまします」
「あぁ、いらっしゃい。バカ孫がすまなかったね」
そういって私を出迎えてくれたのは、50代半ばほどの綺麗な人だった。
私もこんな年のとり方をしたいものだ。
「いえ、ところでさっき言ってたお話って何でしょう?」
しかし、慣れない話し方は疲れる。
敬語ってこれであってるのかな……
「あっはっは、慣れない話し方はしなくて良いよ。
子供が礼儀とかそんなもんを気にするんじゃないさ。
後から勝手に身につくよ」
「え、いや、その……」
心でも読んでるのかな…
「まぁいいさ。お茶でも出そうか。いつまでも玄関で話してるのもなんだしね」
「あ、はい」
「こっちだよ。ついといで」
そういうとおばあさん(?)は私をリビングへと案内してくれた。
しかしやはり金持ちは違う。廊下に高級そうな絵や壺が飾ってある。
漫画の中でだけかと思ってたけど案外そうでも無かったみたいだ。
実際、この家はお隣さんだったし。
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