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堕女神「私を、『淫魔』にしてください」

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Part2
18 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/18(火) 02:46:59.78 ID:w6oP1aHdo
その後、一時の休みを経て、書庫へ入った勇者は圧倒された。
何という事のない扉をくぐれば、そこは、冗談のように大きな書架の迷宮だった。
いや、大きいという程度のものではない。
間取りから考えても、到底不可能な程に広く、複雑怪奇そのものだった。
天井は冗談のように高く、壁面に並んだ書物の数々は、瑞々しく芳醇な知識の香りを漂わせていた。
重力を無視して騙し絵のように張り巡らされた階段とフロア、天地をまるで気にもしてないような配置の書架は、
ことさらに異様な光景を演出していた。
床から伸びた階段は数階上の壁面に続き、さらに壁面に、まるで生えているかのように書棚が規則的に立ち並んでいる。
その間に据え付けられた机は、当然かのように、「壁」に据わる。
空中に浮かんでいる大小無数の「球形」の書棚までもが、星々のように漂っていた。
勇者「……すごいな、これは」
扉をくぐると、言葉をほとんど全て失ってしまった。
ひどく単純な感嘆の言葉しか出て来ず、その視線は、書庫の中を泳ぎまわる。
冒険の旅で散々に非現実的な光景を見てきたとはいえ、ここまでのものは見た事が無い。
いかなる魔力を用いて作り出されたものだろう。
少なくとも、人間界では到底拝めないのは間違いない。
勇者「…すごい、が……」

19 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/18(火) 02:47:32.12 ID:w6oP1aHdo
すぐに、勇者は踵を返して、口元を押さえながら廊下へ出た。
勇者「……うっ……!」
胸中が激しく痙攣し、ぎゅっと窄まった胃袋が、食べたばかりの夕食を押し戻してくるような感覚を覚えた。
深く、ゆっくりと呼吸を繰り返して落ち着きを取り戻そうと試みる。
口中に溢れた塩気の多い唾液を飲み下し、再び胃袋を膨らませようと。
勇者「………む、ぅ…」
身を折って胸元に強く指を立て、気を紛らわしていた時。
下を向いた視界に、誰かの脚が見えた。
サキュバスA「…お具合でも悪いのですか?」
顔を上げれば、気遣いの言葉をかけてくれる、彼にとって見慣れたサキュバスがいた。
勇者「…少し、な」
サキュバスA「どうなさったのですか?」
勇者「……書庫を見回していたら、気分が悪くなっただけだ」
サキュバスA「……人類には『刺激』が強過ぎましたか」
勇者「……?」
サキュバスA「…お気を悪くされたなら、申し訳ありません。慣れないものをご覧になれば、当然の事です」

20 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/18(火) 02:47:58.21 ID:w6oP1aHdo
そこで、真っ直ぐに彼女の目を見る。
秘められた魅了の魔力は抑えられ、彼女もまた、真っ直ぐに勇者を見ていた。
まるで――変哲のない『人類』を見るような目で。
勇者「…そうか、そうなんだな」
サキュバスA「?」
勇者「……何でも。……ところで、サキュバスBは?」
サキュバスA「彼女は他の仕事を。何か御用でしたか?」
勇者「いや、別に」
サキュバスA「……お気分の方は、どうですか?」
勇者「だいぶいい。心配をかけたな」
サキュバスA「………」
勇者「俺は、少し早いが寝室へ行くよ。堕女神に会ったらそう伝えてくれ」
サキュバスA「はい、仰せの通りに」

21 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/18(火) 02:48:24.31 ID:w6oP1aHdo
寝室へ入ると、ひと心地ついたような気持ちだった。
―――考えてみれば、今日は、何もかもが。
『勇者』は『魔王』を打ち倒した。
三人の仲間たちとともに協力し、それでようやく倒せた世界最大の『強敵』を。
その前は魔王城を探索して悪辣な罠を乗り越え、屈強な魔物たちと、魔王の副官との戦いまでもあった。
そして魔王の前に対峙し、そこで―――『三年目の七日間』を体験した。
堕女神は、片時も離れずにいてくれた。
サキュバスAは、初日の夜を終えると、途端に妖艶で挑発的、それでいて憎めない性格を見せた。
サキュバスBは、天真爛漫でありながら、どこか少女のような恥じらいを見せるようになった。
しかし、『今』は。
堕女神は、ろくに顔を合わせようともしない。
サキュバスAは、どこか彼に対してよそよそしく、棘さえも見受けられる。
サキュバスBは……そう変わらない。裏表のない性格は、恐らく生来なのだろう。
勇者「……『人類』か」
勇者はサキュバスAの言ったことを反芻し、心の中で重く噛み締める。
彼は『人類』で、彼女らは『魔族』。
隔たりがある事は、疑う余地がない。
だが、それでも―――
勇者「言葉にする事は、ないだろうに」

22 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/18(火) 02:49:15.62 ID:w6oP1aHdo
ぽつり、と呟くと、その言葉は、思った以上に重かった。
彼自身もまた、ここまでの疲れた重みが言葉に宿ると思わなかった。
勇者「……でも、俺は……『人類』、なんだな」
投げ出すようにベッドに横になり、天蓋を見つめて一人ごちる。
ふかふかとした感覚が背中を優しく包み込み、彼の身体を受け止めた。
瞼を閉じれば、いくつもの事が思い出された。
およそ人の身には受け切れられない程の膨大な事象を孕んだ一日が、今終わろうとしていたのだ。
魔王城での戦い、凝縮された七日の記憶、魔王との決着に、そして現在へ至った選択。
思い出せば思い出すほどに、疲労が重くなり―――勇者の身体を、ベッドへと押し付ける。
もはや、指先一つ動かす事さえできない。
肉体は最後の最後、魔王に癒されたとはいえ。
「精神」の疲弊はたとえ魔王とて癒せない。
勇者「……とりあえず……眠り……たい、な」
彼は、そこで思考を一度やめる。
そして―――『勇者』は、段々と呼吸を長く静かに移していきながら。
眠りの世界へと、落ちて行った。


23 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/18(火) 02:50:34.22 ID:w6oP1aHdo
今日の分、投下終了です
間が空いてしまい、申し訳ありません
宣言した以上、この就任直後のエピソードだけは投下しようと書き溜めました
それでは、また明日

24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 03:06:55.71 ID:zMHRRo/So
待ってました!再開むっちゃ嬉しいです

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 03:22:30.68 ID:aGeu64KEo
あれの後日談か
待ってる

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 03:48:53.63 ID:fQhpLAHpo
きたか…!!
  ( ゚д゚) ガタッ
  /   ヾ
__L| / ̄ ̄ ̄/_
  \/    /

37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/18(火) 23:47:12.44 ID:8OAykntAo
魔王を倒した後に行った淫魔の国は勇者が3年間過ごした後の淫魔の国?
それとも人間として王に就任した直後の淫魔の国?
読むのが久々で色々忘れてる…

39 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:34:10.80 ID:p0mf0x9Go
>>37
後者です
それでは投下します

40 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:38:57.52 ID:p0mf0x9Go
二日目

いつまでも続く聞き慣れないノックの音が、ようやく勇者を起こした。
雲の上のようなベッドのおかげで、体力は万全に回復し、すっきりとした目覚めを提供してくれた。
眠る時に感じた、鉛を全身に詰められたような疲労は既に無い。
窓から刺す暖かな朝日が、室内の落ち着いた金色の装飾に映えて、眩しく目に突き刺さる。
窓の外へ視線を向けても、尚も、ノックの音は途切れない。
こつこつ、こつこつ、と。
一定のリズムを保ったまま、ときおり、扉の向こうへ呼びかける声が聞こえた。
勇者「……堕女神?……じゃない、な」
メイド「…陛下、お目覚めですか?陛下?」
勇者「ああ、入ってくれ」
メイド「失礼いたします。朝食の準備が整いました。それと、お召し換えのお手伝いをいたします」
勇者「…頼むよ」
またしても、堕女神は姿を見せなかった。
あの七日間を知る彼にとっては、それだけがずっと引っかかる。
メイドに着替えを手伝わせながら、その事だけを考えていた。
勇者「……何故、だろうな?」
メイド「?」
勇者「……いや、何でもない。気にしないでくれ」

41 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:40:11.05 ID:p0mf0x9Go
大食堂
勇者「……ご馳走様。美味しかったよ」
堕女神「恐れ入ります。本日の予定をお伝えしても?」
勇者「ああ、頼むよ」
堕女神「それでは。……少し休みましたら、書庫へ」
勇者「……その事、なんだが」
堕女神「何か?」
勇者「書庫の、あの捻じ曲がった変な空間はどうにかならない?……妙な気分になる」
堕女神「はい。それでは只今、直して参ります。御希望などございますか?」
勇者「ああ、きちんと天地をはっきりと……って、今?」
堕女神「はい、今すぐ配置を変えて参ります。五分ほどお待ちいただきますが」
勇者「五分!?」
堕女神「……申し訳ありません、どうしても五分ほどかかってしまいます」
勇者「……いや、うん……分かった。頼む」
堕女神「それでは、失礼いたします。後ほど迎えをやりますので、こちらでごゆるりとなさっていてください」
勇者「…分かった」

42 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:41:32.66 ID:p0mf0x9Go
書庫
勇者「……本当に五分でやっちまった」
堕女神「はい。人間界の物理法則に準じて模様替え致しました」
勇者「…………」
堕女神「……さて、始めましょう」
勇者「分かった」
堕女神「……まず、この国の成り立ち、体制から」
勇者「頼む」
堕女神「建国の時期は……少なくとも、20万年以上前」
勇者「……なんか、最近の事に感じるな」
堕女神「この国は女性型の淫魔のみで構成されております。……ただ、その種族は多岐に渡ります」
勇者「…具体的には?」

43 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:42:23.26 ID:p0mf0x9Go
堕女神「まず、一般に『サキュバス』と呼称されている種族。蝙蝠のような翼と様々な形状の角を持つ者達です」
勇者「ああ、人間界の絵画にもよく描かれていたな」
堕女神「正式には彼女らの種族名は『リリム』ですが、『サキュバス』と呼んだ方が通りが良いので、半ば定着しております」
勇者「……肌の色は?」
堕女神「はい。一般には青みを帯びておりますが、ごく稀に白や浅黒。一説では、人間界で宿した子種の『主』の肌が反映されているとか」
勇者「……ふむ」
堕女神「平均寿命は5万年ほど。『成長』はしますが、『老化』はしません。成熟した外見のまま、死すまで固定されます」
勇者「………(いちいち数字が凄すぎて、もう驚けない)」
堕女神「幾分駆け足の説明でしたが、ここまでで、ご質問は?」
勇者「いや、今は無い。……他にはどんな種族が」
堕女神「全てを挙げる事は難しいです。あまりに多くて」
勇者「へぇ」
堕女神「加えるなら、……私のように、神位を失った『女神』や『精霊』、堕天した『天使』も多数。淫魔へと転化した『魔女』も」
勇者「…………」

44 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:43:07.16 ID:p0mf0x9Go
堕女神「この国を構成する者達は、そのようなところです。……続けても?」
勇者「ああ」
堕女神「昨日も触れましたが、基本的に、この国は『女王』が治めております」
勇者「……そうだ、先代の女王はどうしたんだ?」
堕女神「崩御なさったのは、ちょうど100年前です」
勇者「継承者はいなかったのか」
堕女神「女王陛下は生涯、子を生しませんでした。……100年間、私が代行としてこの国を保ちました」
勇者「何故、他の者を代理にしなかった?」
堕女神「私も考えておりましたが、女王陛下が『予言』を残したのです。息を引き取る直前に」
勇者「予言だって?」
堕女神「……『この国に、新たな王がやってくる。100年後の今、玉座の間に扉を開いて』と」
勇者「…………それが俺か?」
堕女神「ええ、そうなりますね」
勇者「……お前たちは、その予言を信じたのか?」

45 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:45:02.25 ID:p0mf0x9Go
堕女神「女王陛下が、死の間際に残した言葉です。私達には、疑う事などできません」
勇者「……すまない、そういうつもりじゃなかったんだ」
堕女神「淫魔の国の女王が、最後の力で残した予言。それはもはや予言ではなく、『未来予知』と言って差し支え無いのです」
勇者「…………女王は、なぜ死を?」
堕女神「……病に倒れたのです」
勇者「淫魔をも、死に至らしめる病か?」
堕女神「例え『淫魔』であろうと、『魔王』であろうと。生命力が尽きれば死ぬでしょう」
勇者「……そう、だな」
堕女神「……ともかく、女王の遺言のままに、陛下は現れました。淫魔の国の、新たな王として」
勇者「…………ああ」
堕女神「何か御不明な点はございますか?」
勇者「……いや、今はない。……というか、ありすぎて、とても質問しきれないよ」
堕女神「そうですか。いつでも、お答え致します」
勇者「ありがとう。……俺がこの国に迎え入れられた理由は、とりあえず分かった」
堕女神「予言の言葉自体はもっと長く詩的なものでした。後ほど、全文をお届け致します」
勇者「頼む」

46 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:46:06.53 ID:p0mf0x9Go
堕女神「それでは、引き続き……この国を取り巻く地理について。こちらの本をご覧になってください」
勇者「……どれ」
堕女神「我が国は、極めて恵まれた気候が特色です。四季がハッキリとしており、冬には、ほぼ全土が白く覆われます」
勇者「雪が降るのか」
堕女神「西方には広大な牧草地、その向こうには海が存在し、農業、漁業ともに盛んです。東方には隣国との国境が」
勇者「幼形成熟の淫魔の、か」
堕女神「そうですが、何故ご存じなのですか?」
勇者「……昨日、少しだけ本を読んだのさ」
堕女神「それでは、隣国の説明は省かせていただきます。……南方には砦を隔て、オークの群生地がございます」
勇者「ああ、それも知っているよ」
堕女神「そして我が国はるか北方の森には、コボルトの群生地が」
勇者「魔物が多いな」
堕女神「『魔族』にとっては、野鼠のようなものです。彼らもそれを知っていますから、我が国に侵入する事はありません」
勇者「そこまで言うのか」

47 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:47:42.11 ID:p0mf0x9Go
二時間後
堕女神「……陛下。そろそろご昼食の準備をいたしますので、私は少し外します」
勇者「うん、ありがとう。……準備ができたら呼びにきてくれ。ここにいるから」
彼女が出て行った後、再び、机の上に広げられた無数の書物と資料に目を落とす。
机の上には、地図が大判の羊皮紙に記されていた。
若干色あせてはいるが、読み取るのに不自由する事は無い。
地図を見る限りでも、この国はずいぶんと恵まれた場所にあるようだ。
北方と南方には森林地帯があり、西には広い牧草地、その先には山脈を挟み、さらに先を辿ると海に面した港町がいくつか。
東に隣接している別種の淫魔の国は、かつての堕女神の言葉を裏付けるように、小さくまとまっていた。
勇者「……本当に、小さい国なんだな」
思い出されるのは、女王の幼い姿。
しかし、幼い、と言うには語弊がある。
それが、彼女らの、成熟した姿なのであり、最終形なのだから。
勇者「……よく今までもってたもんだな」
地図に目を落とす。
領土は、この国の半分ほどしかない。
オークの群生地とも近すぎるし、色分けされた地図の、かの国を取り巻く茶色と肌色の多さ。
それはすなわち、緑地の少なさだ。
勇者「……だから、か?」
勇者の脳裏に、ひとつの仮説が思い浮かぶ。
隣国の淫魔が幼い姿で固定されるのは、食料事情の不遇さからなのだろうか。
食料があまり取れず――――行き届かないゆえに、その肉体は摂るべき栄養の少ない幼い姿のままで成熟する。
性欲の強さも、少しでも多く子を為そうとする、動物の本能故か。

48 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:49:06.37 ID:p0mf0x9Go
その後、昼食を摂った後も、書庫での講義は続いた。
淫魔の国の人口、特産、祝祭日、社会体制等。
特に社会体制は王、もしくは女王を頂点として、一般的な王国とそう違いはなかった。
差違があるとすれば、軍を除いては厳格な階級制度のようなものは、存在しない。
貴族と平民のような、ありがちな構図はない。
まして奴隷などというものはこの王国の、最も古い文献にすら姿を現さない。
「王」以外は、全国民が平等と言っても良い。
人間の真似をして貴族のように振る舞う享楽を好む者もいるが、それすらも半ば冗談の「趣味」に過ぎないという。
何万年も生きる彼女らには、当たり前の常識となっているのだ。
たとえ農業に従事する者も、酒場を営む者も、国を守る兵士も、城へ勤める侍従も。
全ての者が同じ国に属する「仲間」であり、上下の関係ではないと。
最低限度として、執政の職もあるにはある。
だが、彼女らは決して、その権威を振りかざす事は無い。
この国に、指導者たる「王」を除き、「身分」の差など無い。
それは、勇者が――――否、すべての人間が思い浮かべた、遥か遠き理想郷の姿だった。
淫魔たちは、すでにそれを、完成させていたのだ。


49 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/19(水) 01:49:52.88 ID:p0mf0x9Go
夕食前、城内廊下
勇者「…………」
サキュバスB「陛下?」
勇者「お前か」
サキュバスB「どうしたんですか?」
勇者「……考え事」
サキュバスB「そうなんですか。……昨日は、ありがとうございました」
勇者「気にするなよ」
サキュバスB「気にしますよ。庇っていただいたんですから」
勇者「…………なぁ」
サキュバスB「はい、何でしょうか?」
勇者「……何で俺にそう接してくれる?」
サキュバスB「えっと……?」
勇者「いきなり『王』として現れた、人間に対してだ。警戒してないのか?」
サキュバスB「……本当は、ちょっとだけ、怖いです」

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彡(゚)(゚)「お、居酒屋やんけ。入ったろ」