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女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」

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Part15
225 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 19:48:44.35 ID:7F6Mco7AO
翌朝
青く晴れたヤマナミの空に白い信号弾が上がる
…………
魔王「皆の者、出陣っ!!」
竜の兵「オオオオオ!!」
魔王の兵「オオオオオ!!」
魔王「我が兵はヤマナミ救援に備え南進!」
魔王「竜の兵は東進! 山を越え、森に討ち入り、敵対者を見れば蹴散らせ!」
魔物「オオオオオ!!」
…………
タイガンーー
タイガン王子「始まったな」
タイガン王子「さあ、どう来る?」
…………
ゾンビ「オオオオオ……」
タイガン王子「……ずいぶん敏感じゃねーか死体ども……」
タイガン王子「これだけ時間をかけたんだ、スパイがいるのも当たり前、ってか」
タイガン王子「騎士全隊! 行動開始!」
…………
オリファンーー
僧侶「西門第一門から西砦まで全開っ!」
僧侶「難民のみんなを助けるよっ!」
タイガン精兵「そうりょっちゃああ〜んっ!」
僧侶「いっくよ〜っ!」
タイガン精兵「うおおおお〜っ!」
まず、麓の街の人々は事前の知らせの通り、各自避難を始めた
賢者「始まりましたね」
賢者「では、行きましょう」
賢者「散開!」
大工衆「オオオオオ!」
まず、戦端は東の森で開かれた

226 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 19:50:46.60 ID:7F6Mco7AO
女剣士「森の中から何か来るな」
女剣士「この気配……巨人か」
冒険者A「女剣士さん、尊敬してます!」
冒険者B「お気をつけて!」
冒険者C「援護します!」
重騎士A「女剣士様、ヤマナミより参りました!」
重騎士B「なんなりと御命令を!」
女剣士「私が討ちもらした敵を討ってくれ!」
女剣士「行くぞォっ!」
「オオオオオ!!」
女剣士「私もデスクワークだけしていたわけじゃない!」
女剣士は剣に魔力を集め始めた
女剣士「周囲の魔力を吸収し必要魔力は三分の一、攻撃力は数倍!」
ゆっくりと森の木がかき分けられ、女剣士が予測した通り巨人が現れーー
女剣士「雷・神・剣!」
閃光が迸り、森が切り開かれる!
盗賊「すごい……!!」
盗賊「いやすごすぎっ!!」
巨人数体は、その姿を現す前に森ごと溶けたバターのように崩れた
冒険者A「……俺ら出番有るかな……?」
重騎士A「……さあ……?」
盗賊「」ポカーン
女剣士「まだまだくるぞっ!」
切り開かれた森から、再び数体の巨人が踊り出てくる
その後から、後からと巨人はわき出してくる
女剣士「足を狙え!」

227 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 19:52:37.07 ID:7F6Mco7AO
女剣士「うおおおっ!」
…………
伝令A「西砦に麓の街難民が到着!」
伝令B「東では女剣士殿が開戦! 初撃で敵数体を打ち破った模様!」
賢者「女剣士さんは予想を上回ってきましたね」
賢者「大工頭さん」
大工頭「はい! ひさびさの登場です!」
賢者「新兵器『爆裂』、『雷撃』、『火球』、『氷撃』、『閃光』の準備を!」
大工頭「へいっ!」
…………
南砦見張り台ーー
大工頭「兵器展開! チャージ開始だあっ!」
大工A「おおっ」
大工頭の号令で大工たちは銀の壷のようなものを重そうに運び出し、台に固定していく……
大工B「運べ運べ〜!」
大工C「チャージ開始ぃ!」
大工D「チャージ率20%!」
大工頭「次々時間差で準備しろ!」
ヤマナミ大工「へい!」
一般大工衆A「どんどんいきますぜ〜!」
一般大工衆B「敵発見!虫型でさっ!」
大工頭「山の上だああっ」
大工A「目標確認!」
大工B「チャージ率80%!」
大工D「撃てます!」
大工C「っけえっ!」
その瞬間、銀の壷から様々な魔法が飛び出す!
大工A「雷撃砲発射!」
大工B「氷撃砲発射!」
大工C「残った奴は火球をくらえっ!」

228 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 19:54:56.13 ID:7F6Mco7AO
時間差で次々と魔法弾を放っていく大工たち
大工D「もっとこい……、近寄ってこい」
大工D「チャージ率120%、爆裂砲ーっ!」
爆音と閃光……山から降りてくる魔物たちは、川まで辿り着くこともできずに崩れ落ちていく……
大工衆「何発でもあるぜーっ?」
大工たちは次々にチャージを完了した壺を運び出し、交代で放っていくーー
賢者「これは……我ながらすごいな」
無限に打ち続く魔法弾は、もはや南の山からの突破を最難関と知らしめるに十分な威力を示した
…………
タイガン王子「行けっ! 逃げろっ!」ズバッ
わき上がるように出てくるゾンビの群を切り払いながらタイガン王子は人々を誘導していく
難民の逃避速度はこの戦局を左右するものである
タイガン王子は街中を走り回り、必死に各騎士隊に指示を送っていく
街中は悲鳴と怒号が渦巻いていたが、被害者は少なかった
タイガン王子「行け行け〜っ!」ズバッ
タイガン王子「タイガンの彗星の本領発揮だっ!」

229 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 19:57:38.07 ID:7F6Mco7AO
タイガン兵たちが町人を逃がしきり、足の悪いものや怪我を負ったものを次々と転送していく
タイガン王子は兵たちをまとめあげ、難民たちの最後尾についた
その報告はすぐにもヤマナミ王の下に届いた
ヤマナミ王「やるね〜、王子くん」
ヤマナミ王「こいつは交渉の価値がある」
ヤマナミ王は干し肉をかじりながら前方、自軍数万を見据える
メイド長「説明しよう! 兄ちゃんはガチモードになると一気に不良になるのだ!」
メイド長「悪いぜ!うちの王さんは!」
ヤマナミ王「お前はオリファンに行ってこい!」
メイド長「あいさっ!」
ヤマナミ王「魅せるぜ!」
ヤマナミ王「左陣営は南下せよ!」
ヤマナミ王「中央、右陣は待機!」
ヤマナミ王「かかってこい!腐った脳味噌共!」
そのヤマナミ王の声に誘われたように荒れ地から毒々しいアンデッドの群が現れた
ヤマナミ王「伝令!」
ヤマナミ王「全軍動くなよっ!」
ヤマナミ王「まだ魚は餌を見つけていない!」
ヤマナミ王「食らいついたら引き上げろ!」
ヤマナミ伝令「はあっ!」


230 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 19:58:56.22 ID:7F6Mco7AO
ヤマナミ王は動かない
タイガン王子たちを追うようにゾンビたちがタイガンから溢れ出し、大河にかかった橋に差し掛かる
ヤマナミ王は動かない
荒れ地から溢れ出した魔物たちはヤマナミからはるかに遠くを横切り、逃げる難民に向かっていく
ヤマナミ王は動かない
荒れ地から巨大な竜のアンデッドが現れ、前方のアンデッドたちをおいかけはじめる
ヤマナミ王は動かない
アンデッドたちはついに合流し、一つの巨大な固まりとなり、タイガン王子を追い始めた
ヤマナミ王「かかった!中央進軍!」
ヤマナミ兵「オオオオオ!!」
ヤマナミ兵中央騎士団は電光石火の速度で進軍し、荒れ地の魔物の群れを真っ二つに引き裂く!
ヤマナミ王「中央兵は南下せよ!左陣兵団と挟みうて!」
ヤマナミ兵団「オオオオオ!!」
一旦固まった魔物の群は不意をついてきた中央軍を挟みうとうと南下を始める
そこに
ヤマナミ王「大将首はここだあっ!」
ヤマナミ王は自ら突っ込んだ!
右陣兵団はそれに後れを取るまいと食らいつく
タイガン王子「なんだ兄貴動かないと思ったら!やるなっ!」

231 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 20:01:52.00 ID:7F6Mco7AO
伸びきった群に一丸となり飛び込むヤマナミ王の軍は、たちまちに脳味噌の腐ったアンデッドたちを凌駕して駆逐していく
ただ、ヤマナミ王の不意を突こうとする者もあった
荒れ地の魔物はこれだけでは無かったのである
ヤマナミ伝令「伝令ー!」
ヤマナミ伝令「荒れ地から破壊神信徒と思われる魔導師団が出現!」
ヤマナミ王「はいはい、じゃあ行っていただこうかね」
ヤマナミ王「黄色放て!」
ヤマナミ右陣兵A「ヤマナミ王の千里眼は伊達じゃない!」
ヤマナミ右陣兵B「さすがヤマナミ王!痺れるッ!」
ヤマナミ右陣兵C「憧れるッ!」
黄色の信号弾に合わせ、魔王軍が動き出す
南方に下がったヤマナミ軍左陣営は一気に北上し、中央軍と合わさり濁流となって北上する
ヤマナミ王「一旦ヤマナミを守る! 下がれえっ!」
ヤマナミ兵「オオオオオ!」
固まった軍団はそのまま一気に東に上がりヤマナミの守りを固めていく
ヤマナミ王「陣を整えよ、休め!」

232 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 21:48:32.47 ID:7F6Mco7AO
すみません、残りは夜に

233 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/04(火) 22:35:40.88 ID:bAlQoK4h0


234 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 23:53:20.61 ID:7F6Mco7AO
では、残りです
楽しんでいただけたら幸いです

235 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 23:55:26.71 ID:7F6Mco7AO
十分な準備の後の進軍
誰もがこの戦いの勝利を予感した
しかし
魔術師団「超級魔法準備ッ!」
戦場には急速に暗雲が広がっていった
…………
オリファン東砦では、女剣士が奮戦していた
魔力吸収装置をつけているとは言え、体力は失われているはずである
女剣士「魔王の城の方がよっぽどハードだったよ!」
女剣士「オラオラ!」
端で見る盗賊たちにはまるで無限に体力がわき上がっているようにすら見えた
そんな中、グレーターデーモンが死角をついて襲いかかる
デーモン「ガゴオエオ」
女剣士「!」
女剣士「くそっ!」
跳び下がる女剣士を悪魔の剛腕が襲いかかる
ドゴォ……
女剣士「……」
盗賊「女剣士さん!」
女剣士「知ってる?」
盗賊「!?」
女剣士「うちの魔法使いは私のパンチ耐えるんだけどさ」
女剣士「私そのパーティーで前衛張ってたんだよね」
デーモン「」
盗賊「」
女剣士「温いんだよッ!」
女剣士はすぐさま反撃し、グレーターデーモンを真っ二つにした
腕まくりしながら、舌なめずりする女剣士
女剣士「ちょっと面白くなってきたー!」
盗賊「」

236 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/04(火) 23:56:15.21 ID:7F6Mco7AO
盗賊「さすがにここまでは強くなれないかも……」ハハッ……
…………
魔王は森に入り、周囲の探索を始めていた
魔王「ヤマナミ王は上手くやっているかな……」
人型の魔物が魔王に語りかける
人型「こちらは調べ尽くしました」
人型「怪しいクリスタルのサークルがいくつかあります」
魔王「うん、たぶんそれが魔力の干渉を断ってたんだな」
魔王「今更見つかるって事は数が相当増えてるんじゃないかな?」
人型「そのように思われます」
竜人「しかし中はもぬけの殻ですな」
魔王「広範囲ではあるが全て見つけ出し、潰せ。 オレは北上する」
魔王「竜よ!」
眼帯「こちらに」
魔王「お前だけついてこい!」
眼帯「はっ!」
魔王は緩やかに闇をまとっていく
明るい赤い瞳はゆっくり暗い紫に変わり、やがて青白く輝き始めた……
東の森を、青白い炎の馬が駆け上がって行った

237 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/05(水) 00:00:02.70 ID:Hq8l2HbAO
その頃、荒れ地の魔物による超級魔法の閃光はヤマナミ王の軍を凪払わんとしていた
ヤマナミ王「強い魔力……超級魔法と言う奴か」
ヤマナミ王「銀鎧兵、前へ!」
ヤマナミ王「結界を展開せよ!」
ヤマナミ王「全軍は守れまい、伏せよ!」
ヤマナミ兵「オオオオオ!」
ヤマナミ王「ここで僕が敵ならタイガンからオリファンに攻め上がるな」
ヤマナミ王「一旦はふかふか主様と僧侶ちゃんに任せとくか」
ヤマナミ王「数発は耐え忍べ!」
ヤマナミ王「頃合いを見て赤!」
ヤマナミ兵「はいっ!」
…………
タイガン王子「よし、だいぶオリファンに入れたな!」
タイガン王子「そろそろ魔物共が追いついてきてもおかしくないか?」
タイガン王子「兵たちは山道を塞げ!」
タイガン王子「第一門、閉ざせ!」
タイガン王子「ヤマナミがやられたら終わりだからよ」
タイガン王子「頑張ってくれよ、ヤマナミ王!」
やがて空を覆うようにして、魔物の群が襲いかかってくる

238 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/05(水) 00:01:23.41 ID:Hq8l2HbAO
南砦では、次第に魔法の効きづらい魔物が現れ始めていた
賢者「そろそろ苦しくなってきましたか」
賢者「では、第二弾の投入と行きましょうか」
賢者「行きましょうか、皆さん!」
大工たち「オオオ!!」
ハンマーを構えた大工たちが南砦から飛び出した
腕に覚えのあるマッチョな大工たちがハンマーを構える姿は如何にも物々しい
賢者「魔法の効かない敵と言うのは得てしてこういったパワー押しに弱いものです」
賢者「全員に能力強化をかけていきましょう」
賢者「側近さん、よろしく!」
側近「やっと出番ですかな?」
賢者「魔導砲班は攻撃を続けてください、ハンマー隊は進軍合図があるまでは待機!」
賢者「突破してきた敵を叩き潰してください!」
ハンマー隊「オオオゥ!!」
賢者「魔法防御からかけていきます、よろしくお願いします!」
側近「了解ですぞ!」
…………
東砦ーー
冒険者たちと重騎士たちはお湯を沸かし、お茶の準備まで始めていた
盗賊「ちょっ……なにやってるんですかっ!」
冒険者A「飲む?」
冒険者B「敵来ないしさ〜」
盗賊「女剣士さんが疲れたら僕らが行かないと駄目なんですよっ!」