百物語 第二回
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195 :ねずみをとこ :2006/08/12(土) 02:22:16 ID:7hkTRVhR0
第五十四話 丑の刻参り 1/3
これは知人が大学時代に体験した話
彼はラグビー部に所属にしており、その夏、某所に合宿にいった。
熱心な部だったようで、朝から夕方まで練習に明け暮れていたようだ。
ある晩、友人と二人で寮の部屋で時間を過ごしていると、どちらともなく、
暇だから肝試しにでもいかないか、という話になり、
せっかくだからめちゃくちゃ怖いところに行こうと、
夜中には行ってはいけないと評判の近所の神社に向かった。
196 :ねずみをとこ :2006/08/12(土) 02:22:57 ID:7hkTRVhR0
2/3
入り口につくと、そこはうっそうと木が生い茂り、空気もどこかよどんでいた。
この嫌な雰囲気には二人も少し気押された。
境内は高いところにあり、そこへすぅっと長い石階段が延々と続いていた。
二人はトボトボと階段を上り始める。
しかし、道がかなり暗く、足元もゴツゴツしていて上るのに骨が折れる。
知人は内心怖かったのだが、それを誤魔化すかのように冗談半分に友人へ話をふる
「しっかし、暗いなぁ、こんだけうっそうとしてると、
誰か丑の刻参りでもしとるんとちゃうか?」
かもなあと、友人が笑っていると、コツーンコツーンと音がきこえてきた
うおっ?となって、ずぅーと音の方向をみてみたら、
白い服をきた女の人がいた。本当に絵で書いたように、ハチマキして白装束で蝋燭を額に立てて、わら人形に五寸釘を、金槌でガン、ガン、と打ちつけている。
それを見て、さすがにラガーマンである二人も背中に冷や水をかけられた風になった。
見つかってはならないと思うのだが、二人とも恐怖で身体が動かない。
中腰のまま動けずに、茂みの中からそれじぃっと見てしまい、目が離せない。
女の人は、真っ青な顔で、一点を見つめて一心不乱にわら人形を撃ちつけている。
30分ぐらい見ていた気分だったが、実際は2、3分だっただろう。
そのうち腰がぬけ、膝がガクガク震えてきた。友人が足をジリと動かした時、
足元にあったコーラの空き缶がカタリと倒れて、石段をカーン、カーン、
カーンと音を立てて落ちていった。そうしたら、女がギッィィッィィとこっちを見て、
目と目があったときに、「みたな」と口を動かした。
その瞬間、二人は金縛りがとけたように、身体が動き、すくっと立ち上がることができ、
セキを切ったかのごとく石段をかけだした。すると、白装束の女が手に金槌をもったまま、
フラーフラーフラーってスローモーションみたいに追いかけてくる。
ラグビー部の二人はラグビーで鍛えた足で階段をものすごい勢いで降りているのに、
後ろを見たら常に自分の肩先あたりに女の人がいる。ずっと。必死で逃げているのに。
ずぅっと合宿先の手前まで肩のすぐそばに顔があった。部屋に駆け込んで、扉をしめて、
すぐに布団をかぶって、震えながら眠りについた。
197 :ねずみをとこ :2006/08/12(土) 02:23:48 ID:7hkTRVhR0
3/3
次の朝、あまりに恐ろしい出来事だったので、夢だったかも知れないと、
知人が話すと、「いや、夢じゃない、俺もみた」と彼の友人は答えた。
しかし、白装束の女は二人の見間違いだったかも知れないという話になり、
ためしに現場に戻ってみることになった。
神社にきてみると、石段が血でべっとりになっていた。女は裸足で追いかけてきたから、
足の裏が切れたのだろう。その血は合宿先にも続いていて、出るときは気づかなかったが
内部にまで続いていた。自分たちの部屋の前まで続いており、扉の前には血で水溜りが
出来ていた。おそらく、女は一晩中、知人たちが扉から出てくるのを待っていたのだろう。
【完】
第五十四話 丑の刻参り 1/3
これは知人が大学時代に体験した話
彼はラグビー部に所属にしており、その夏、某所に合宿にいった。
熱心な部だったようで、朝から夕方まで練習に明け暮れていたようだ。
ある晩、友人と二人で寮の部屋で時間を過ごしていると、どちらともなく、
暇だから肝試しにでもいかないか、という話になり、
せっかくだからめちゃくちゃ怖いところに行こうと、
夜中には行ってはいけないと評判の近所の神社に向かった。
196 :ねずみをとこ :2006/08/12(土) 02:22:57 ID:7hkTRVhR0
2/3
入り口につくと、そこはうっそうと木が生い茂り、空気もどこかよどんでいた。
この嫌な雰囲気には二人も少し気押された。
境内は高いところにあり、そこへすぅっと長い石階段が延々と続いていた。
二人はトボトボと階段を上り始める。
しかし、道がかなり暗く、足元もゴツゴツしていて上るのに骨が折れる。
知人は内心怖かったのだが、それを誤魔化すかのように冗談半分に友人へ話をふる
「しっかし、暗いなぁ、こんだけうっそうとしてると、
誰か丑の刻参りでもしとるんとちゃうか?」
かもなあと、友人が笑っていると、コツーンコツーンと音がきこえてきた
うおっ?となって、ずぅーと音の方向をみてみたら、
白い服をきた女の人がいた。本当に絵で書いたように、ハチマキして白装束で蝋燭を額に立てて、わら人形に五寸釘を、金槌でガン、ガン、と打ちつけている。
それを見て、さすがにラガーマンである二人も背中に冷や水をかけられた風になった。
見つかってはならないと思うのだが、二人とも恐怖で身体が動かない。
中腰のまま動けずに、茂みの中からそれじぃっと見てしまい、目が離せない。
女の人は、真っ青な顔で、一点を見つめて一心不乱にわら人形を撃ちつけている。
30分ぐらい見ていた気分だったが、実際は2、3分だっただろう。
そのうち腰がぬけ、膝がガクガク震えてきた。友人が足をジリと動かした時、
足元にあったコーラの空き缶がカタリと倒れて、石段をカーン、カーン、
カーンと音を立てて落ちていった。そうしたら、女がギッィィッィィとこっちを見て、
目と目があったときに、「みたな」と口を動かした。
その瞬間、二人は金縛りがとけたように、身体が動き、すくっと立ち上がることができ、
セキを切ったかのごとく石段をかけだした。すると、白装束の女が手に金槌をもったまま、
フラーフラーフラーってスローモーションみたいに追いかけてくる。
ラグビー部の二人はラグビーで鍛えた足で階段をものすごい勢いで降りているのに、
後ろを見たら常に自分の肩先あたりに女の人がいる。ずっと。必死で逃げているのに。
ずぅっと合宿先の手前まで肩のすぐそばに顔があった。部屋に駆け込んで、扉をしめて、
すぐに布団をかぶって、震えながら眠りについた。
197 :ねずみをとこ :2006/08/12(土) 02:23:48 ID:7hkTRVhR0
3/3
次の朝、あまりに恐ろしい出来事だったので、夢だったかも知れないと、
知人が話すと、「いや、夢じゃない、俺もみた」と彼の友人は答えた。
しかし、白装束の女は二人の見間違いだったかも知れないという話になり、
ためしに現場に戻ってみることになった。
神社にきてみると、石段が血でべっとりになっていた。女は裸足で追いかけてきたから、
足の裏が切れたのだろう。その血は合宿先にも続いていて、出るときは気づかなかったが
内部にまで続いていた。自分たちの部屋の前まで続いており、扉の前には血で水溜りが
出来ていた。おそらく、女は一晩中、知人たちが扉から出てくるのを待っていたのだろう。
【完】
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