百物語 第二回
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187 :ネムレス ◆xVcLcXyd7k :2006/08/12(土) 02:12:37 ID:h2N3bWHB0
第五十二話
「ジャリ」(1/4)
僕の父の話です。
僕の父は大学生のとき、ツーリング(バイクで旅行)に行くことが趣味で、
休みの日を見つけてはどこかへ旅をしていたそうです。
夏休みになり、父はさっそくツーリングに出かけました。
予定もしっかり立てて、バイトでお金もあるし万全の態勢です。
しかし、夏休みのせいかハメをはずし過ぎて予定より遅れてしまいました。
父は遅れを取り戻そうと、夜中にバイクをぶっとばして山を越えようとしたそうです。
ところが日中遊びすぎて、山道の途中で眠くなってしまいました。
父:「しかたない。テントはるか・・・」
ちょうどよく、テントのはれそうな広い場所を見つけたので野宿することにしました。
河原があったので水を汲み、野原にテントを張って、明日の準備をしテントの灯りを消しました。
明日は早く起きて今度こそ予定通りに。などと寝袋の中で考えていると、
ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ
と遠くの方で砂利道を歩く音がします。
父:「――なんだろう・・・・釣り人さんかな?」
などと考えているうちに足音は近くまで来ました。しかし、一向に去る気配をみせず、
どうやら父のテントのまわりをぐるぐると回っているようです。
「?」と思った父は外に出てみました。
188 :ネムレス ◆xVcLcXyd7k :2006/08/12(土) 02:14:02 ID:h2N3bWHB0
(2/4)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
足音どころか人影も見当たりません。
父:「―――月もでているのに・・・おかしいなぁ」
と、はてなマークを増やしつつテントに戻りました。
気にせず寝ようとまぶたを閉じて、眠りに落ちるのを待ちました。
ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ
父:「!?」
断続的にしかし確実にまたあの足音が近づいてきます。
父:「強盗とかだったらヤバイな・・・・><」
父はバイク工具のレンチを握り締め、意をけっして外へ飛び出しました。
父:「誰だ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
189 :ネムレス ◆xVcLcXyd7k :2006/08/12(土) 02:15:02 ID:h2N3bWHB0
(4/3)
外にはまた誰もいませんでした。足音すら消えています。
父:「―――これって人間の仕業じゃないんじゃ・・・・」
そう考えた瞬間、急に怖くなってテントに戻り、寝袋へダイブしました。
ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ
また足音がします。父はガクブルで足音を目で追っていました。
もし生き物なら、月に照らされて影がテントに映るはず、と考えたからです。
しかし、テントの周りから聞こえる足音にあわせて、いくら目を凝らしても
影は見当たりません。
父はいよいよ怖くなりました。
父:「―――もう寝るしかない。。。。」
幽霊(?)のことを考えないように寝よう寝ようと頭を眠ることでいっぱいにしようとしました。
でも、やっぱり考えてしまいます。そして父はあることに気づきました。
190 :ネムレス ◆xVcLcXyd7k :2006/08/12(土) 02:15:46 ID:h2N3bWHB0
(4/4)
父:「あれ? 俺って確か河原じゃテントはれないから、野原を選んでテント張ったんだよな・・・
それに砂利道なんかなかったぞ・・・・」
じゃぁ、この足音はいったい!?
と、ここで、ついに父の頭がパンクしてしまいました。
その後の死ぬ気で「寝る寝る寝る、俺は寝る」と頭の中で繰り返していたらいつの間にか本当に寝てしまったそうです。
朝になり父はおそるおそるテントからでて、何もないことを確認して安堵しました。
そして今日こそ予定を取り戻すぞ!っと後ろ振り返るとそこには・・・・
慰霊碑がたっていましたとさ。
【完】
第五十二話
「ジャリ」(1/4)
僕の父の話です。
僕の父は大学生のとき、ツーリング(バイクで旅行)に行くことが趣味で、
休みの日を見つけてはどこかへ旅をしていたそうです。
夏休みになり、父はさっそくツーリングに出かけました。
予定もしっかり立てて、バイトでお金もあるし万全の態勢です。
しかし、夏休みのせいかハメをはずし過ぎて予定より遅れてしまいました。
父は遅れを取り戻そうと、夜中にバイクをぶっとばして山を越えようとしたそうです。
ところが日中遊びすぎて、山道の途中で眠くなってしまいました。
父:「しかたない。テントはるか・・・」
ちょうどよく、テントのはれそうな広い場所を見つけたので野宿することにしました。
河原があったので水を汲み、野原にテントを張って、明日の準備をしテントの灯りを消しました。
明日は早く起きて今度こそ予定通りに。などと寝袋の中で考えていると、
ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ
と遠くの方で砂利道を歩く音がします。
父:「――なんだろう・・・・釣り人さんかな?」
などと考えているうちに足音は近くまで来ました。しかし、一向に去る気配をみせず、
どうやら父のテントのまわりをぐるぐると回っているようです。
「?」と思った父は外に出てみました。
188 :ネムレス ◆xVcLcXyd7k :2006/08/12(土) 02:14:02 ID:h2N3bWHB0
(2/4)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
足音どころか人影も見当たりません。
父:「―――月もでているのに・・・おかしいなぁ」
と、はてなマークを増やしつつテントに戻りました。
気にせず寝ようとまぶたを閉じて、眠りに落ちるのを待ちました。
ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ
父:「!?」
断続的にしかし確実にまたあの足音が近づいてきます。
父:「強盗とかだったらヤバイな・・・・><」
父はバイク工具のレンチを握り締め、意をけっして外へ飛び出しました。
父:「誰だ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
189 :ネムレス ◆xVcLcXyd7k :2006/08/12(土) 02:15:02 ID:h2N3bWHB0
(4/3)
外にはまた誰もいませんでした。足音すら消えています。
父:「―――これって人間の仕業じゃないんじゃ・・・・」
そう考えた瞬間、急に怖くなってテントに戻り、寝袋へダイブしました。
ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ ジャリ
また足音がします。父はガクブルで足音を目で追っていました。
もし生き物なら、月に照らされて影がテントに映るはず、と考えたからです。
しかし、テントの周りから聞こえる足音にあわせて、いくら目を凝らしても
影は見当たりません。
父はいよいよ怖くなりました。
父:「―――もう寝るしかない。。。。」
幽霊(?)のことを考えないように寝よう寝ようと頭を眠ることでいっぱいにしようとしました。
でも、やっぱり考えてしまいます。そして父はあることに気づきました。
190 :ネムレス ◆xVcLcXyd7k :2006/08/12(土) 02:15:46 ID:h2N3bWHB0
(4/4)
父:「あれ? 俺って確か河原じゃテントはれないから、野原を選んでテント張ったんだよな・・・
それに砂利道なんかなかったぞ・・・・」
じゃぁ、この足音はいったい!?
と、ここで、ついに父の頭がパンクしてしまいました。
その後の死ぬ気で「寝る寝る寝る、俺は寝る」と頭の中で繰り返していたらいつの間にか本当に寝てしまったそうです。
朝になり父はおそるおそるテントからでて、何もないことを確認して安堵しました。
そして今日こそ予定を取り戻すぞ!っと後ろ振り返るとそこには・・・・
慰霊碑がたっていましたとさ。
【完】
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