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【適当】小説書きスレ其の弐【万歳】
[8] -25 -50 

1:🎏 名無しさん@読者の声:2014/6/12(木) 23:18:52 ID:YDoKF2wKiU
ここは主に小説を書くスレです!
自由に書いてよろし!

・他人に迷惑を書けるのは駄目です!
・喧嘩は喧嘩スレへGO
・必要なら次スレは>>980さんがお願いします。無理なら早急に代理を!

不備がありましたらすみません。楽しく書けることを祈ります。


94:🎏 脳田林 ◆N6kHDvcQjc:2015/2/8(日) 03:36:44 ID:47iqrsgDzM
失礼します。
>>84
落選お題による作品、お見せいただきました。
よもや、違うスレで1レスに関わる作品を見れるとは思いもしませんでした。
ありがとうございます。
もし、落選お題をお書きに成られるのでしたらカタリ様&ヘタッピ様のスレに投下されるのがオススメでございます。

長々と失礼いたしました。これからもどうぞ、1レス勝負をご贔屓に……
95:🎏 今や本スレに投下する腕ではないのでここで:2015/2/23(月) 06:45:20 ID:OLJrvwOaM2

 一歩歩いて振り返る。
 一歩歩いて絶望し、一歩歩いて笑い出し、一歩歩いて憂い、一歩歩いてまた笑う。
 何があっても常に振り返る事は忘れない。
 
「あんた程今を生きようとして今を見ない奴はいないよ」
 
 なんて言っても
 
「でしょー? 今を作るってのはそーゆー事だから」
 
 紫煙を吐き出しながらふわりと笑うその顔が
 
 大嫌いだ
 
「だからさ、僕といたしましては、そんな君が大好きだ。君の過去も今もその先も」
 
 だだよう紫煙はゆらりと、ふわりとどこかに流れる。
 きっと「その先」とやらに流れていくんだろうなぁ。とか思ってしまう。
 
「ねぇ」
 
「ん? なぁにさ?」
 
 その先に私は君と居れますか?
 
 その言葉はきっと、紫煙と共にその先へ流れて消えた

96:🎏 脳田林 ◆N6kHDvcQjc:2015/3/4(水) 02:31:45 ID:Ot7lyUQNSY
拝啓、>>95様。
気付けば真冬の寒さも勢いが収まり始め、卒業の季節になりましたね。
季節の移り変わりと同じくして、あなた様の作品に気付くのが遅くなりました事、申し訳ないです。

良き作品ではないですか。
少なくとも私よりは感性(センス)があるようにお見受け致しますよ?

そして書く事が好きだとお見受け致しました。

あなた様の参加をお待ちしております。

草々
97:🎏 名無しさん@読者の声:2015/7/26(日) 12:47:20 ID:attDRlpaG6
>>72-74の作者様おられるでしょうか?
98:🎏 名無しさん@読者の声:2015/7/26(日) 15:36:04 ID:/wFmCJVS.s
>>97
はいはい、なんでしょう??


99:🎏 名無しさん@読者の声:2015/7/26(日) 16:20:33 ID:Q6RqtpZEt6
>>98
ああよかったいた
すごく好きなタイプの話だったので漫画化したいと思ったのですが許可していただけないでしょうか

100:🎏 名無しさん@読者の声:2015/7/26(日) 17:02:26 ID:/wFmCJVS.s
>>99
あら、思いがけず嬉しい話でびっくり。
どうぞどうぞ、あんな半端なものでよければ好きに使ってくださいな!
101:🎏 名無しさん@読者の声:2015/7/26(日) 19:05:47 ID:SDq54OENlQ
ありがとうございます
出来上がったらキャラを自由に書くスレにあげさせていただきます
102:🎏 1レスに納まらなかったのでこちらに。:2015/10/9(金) 21:51:19 ID:qw9Iuv5tHY
 
 気配を消す。「奴」に気づかれないように。

 部屋の向こうではズルズル、ズルズルと、まるで墓場を這いずるゾンビのような足音がしていた。少しずつ、けれど確実に音楽室に近づいてくる。
 奴がこの世界の住人でないことは明らかだった。全身に立った鳥肌が警告を発している。「あいつに気づかれたら面倒なことになる」と。
(どうしてこんなことに……)
 冷えた夜気から身を守るように、窓枠の下で膝を抱え込む。三日月の放つ銀光が、古ぼけたピアノに鈍く反射していた。

――

 その夜、私は学校の廊下を歩いていた。昼間の暑さの名残からか、肌はわずかに汗ばんでいる。時刻は深夜零時をまわったところ。目的の一つは、ピアノを弾くことだ。
 廊下の窓から見える丸い月は十分な光を地上に注いでいる。出がけにトイレに手間取って時間をくったせいで雲に隠れているのではと心配していたが、杞憂だったようだ。
 ベートーベンの「月光」を、本物の月明かりを浴びながら弾くこと。それが幼い頃からの夢だった。今夜はそれを叶える絶好の日だ。
 目当ての部屋に着いた。木製の重厚な扉を開けると、乾燥した空気が鼻をくすぐる。私は盛大にくしゃみをした。

103:🎏 名無しさん@読者の声:2015/10/9(金) 21:52:11 ID:qw9Iuv5tHY
「……おっと」
 あわてて口元を押さえる。しばらく耳をすましてみるが、何の物音も聞こえない。ほっとして部屋に入ると、防音樹脂が足元を柔らかく受け止めた。
 視線を部屋の中央に向け、私は感嘆のため息をつく。よく磨かれた漆黒のグランドピアノが、冷たい月光をまとって輝いていた。
「さて、と」
 鞄をおろし、革靴を脱いで丁寧にそろえた。
 一人きりのコンサートの幕が、いよいよ上がる。

――

(来るな来るな来るな! 頼むからそっとしておいてくれ!)
 気味の悪い足音は続いている。そして私の願いもむなしく、奴はこの部屋の前まで来ると、ぴたりと足を止めた。
(……まさか、入っては来ない……よな?)
 息を止める。スライド式扉の向こうからは、明らかに異質な気配が漂ってきていた。間違いない。奴の目的は、この私だ。
 それからしばらくの間、私も奴も微動だにしなかった。長針の奏でる規則正しい音以外、なにも聞こえない。
 そして――その瞬間が訪れた。
「ユーキさんユーキさん、ピアノを聴かせてください」
 少し間を空けたあと、もういちど。
「ユーキさん……ピアノを……聴かせてください」
 それは、扉の向こうにいる少女の声だった。不安と緊張と、どこか諦めをにじませた。
 私は深々とため息をつく。また面倒くさいのがきた、と。
 
 二十年前の夏。私はこの音楽室で月光を弾いたあと、ピアノの真上で首を吊った。遺書もなく、世間はピアニストの夢破れたすえの自殺だろうと結論づけた。
 しばらくして、母校にはこんな伝説が囁かれるようになった――「音楽室の幽霊にピアノ演奏を請い、何もなければ天国へいける。しかし少しでもピアノの音がすれば、その人は地獄に落ちる」。
 なんともくだらない噂だが、閻魔大王扱いされてはたまらない。私はただ、静かに死後の世界を楽しみたいだけなのに。その噂を聞いて以来、一切ピアノに触らないよう、今日まで細心の注意をはらってきた。

 しかし、今夜だけはそうもいかないらしい。私は勢いよく立ち上がり、ピアノに向かって歩き出した。
 扉の向こうでうつむいているであろう少女は、おそらく自殺しようとしている。床に引きずるほど長いロープで、屋上から首でもくくるつもりなのだろう。その瞬間を迎える前に、どうしても確認しておきたかったこと。
 それは自分が死んだ後、天国に行けるか否か。
「まったく、甘ったれた後輩め」
 椅子に腰を下ろし、両手の指先の腹を合わせて集中する。幽霊の良いところは、ブランクがあっても演奏の腕がなまらないところだ。
「思いっきり弾いてやるよ。地獄行きが確定すれば、二度と死ぬ気なんか起きないだろう?」

 私はニヤリと笑い、埃のかぶった鍵盤を力強く押した。
104:🎏 バービーの嘆息:2015/10/30(金) 12:31:07 ID:mwmYgxfDQI
「バービーみたいになりたい」

ぽつりとつぶやいた言葉に顔を上げたのは、あたしのノートを写している隣の席の男子。
こいつが毎回数学の時間寝ているせいで、あたしは度々放課後まで残されるはめになる。

「なに、バービーって」

「まさかバービーを知らないんですか?バービー人形って知らないんですか?」

いつもなら学校が終わると真っ先に帰る帰宅部のあたしは、たっぷり皮肉のこもった口調で言ってやる。すると彼はああ、と思い当たった顔をして、ハッと馬鹿にしたように鼻を鳴らした。

「そんな平たい顔でオコガマシイな。おまえはリカにもなれねぇよ。とりあえずバービーに謝れ」

こいつ腹立つ。どうせあたしは日本人顔ですよ。しょーゆ顔でございます。

「大体さ、あいつらの目、顔の半分くらいあるじゃん。実際いたら化けモンだろ」

「いいんですー。女のコの基本は目がおっきいことなんですー。少女マンガだってみんなでかいじゃん」

「じゃあますます無理だろ。おまえの目ぇ線だから。少女マンガにも謝れよ。てか世の中の女に謝れ」

おまえはあたしに謝れ。
ぎろりと睨みつけてやったが、ただでさえ細い目がさらに線になってしまうのに気づいて見られないうちにやめた。

「あーあ、あたしがバービーみたいに可愛かったら、こんな冷たい仕打ちだって受けなかっただろうなー」

嫌味ったらしく言ってやり、ぼすんと机の上のかばんに倒れこむ。
バービーみたいに目がおっきくて、スタイル良くて、何着ても似合って、きらきらしてて。
性格だってきっと可愛い。そんな女のコになってみたい。

「そうだな。おまえが『バービーみたいに』可愛かったら、放課後残したりしないしノート写さしてとか言わねぇよ」

その言葉に、あたしは机に伏せたまま彼のほうに顔を向けて頬を膨らませる。
しかしそれを奇麗に無視し、彼はノートを写しながら続けた。

「それでもいいの?おまえ、俺にかまってほしくないの?」

ぱたんとノートを閉じて、彼があたしの目を見てニヤリと笑う。
あたしは目を丸くして、ぽかんと口を開けた。

「はいどうも。またよろしくね」

ぽんっとあたしの頭を叩いてノートを返すと、そいつはさっさと帰る準備をして部活に行ってしまった。

じゃあな、と手を振って教室を出た彼を見送った後、ノートで隠していた赤くなった顔を慌ててかばんに埋める。

まさかバレてたんだろうか?
彼があたしからノートを借りてくのが、ちょっと嬉しかったりしただなんて。

あたしは大きく溜息をついた。
もちろん、彼にかまってもらえるならバービーじゃなくてもいいか、なんて思ってしまった単純な自分に対して、だ。
105:🎏 名無しさん@読者の声:2016/2/15(月) 22:17:08 ID:USoInx.tjQ
World NEET da music yeah 誤解争いの絶えないニートに必要なこの音
World NEET da music yeah 2次元最高 この言葉でなら分かり合えるだろう

外に出るにこしたこたない でも実際ありえないアニメがいっぱい
親が子を、子が親を 犯してしまう事実に真っ青
3次元よりアニメキャラのがまし けどいつかは俺もレイプ魔に
ならいずれ生まれ来るキャラクターに 明るい画質用意したい

生きとし生ける命あるものは 家族仲良く愛し合うもの
それこそ自然 当たり前のこと 忘れちまったのはずっと前のこと

World NEET da music yeah 誤解争いの絶えないニートに必要なこの音
World NEET da music yeah 平野綾ヤリてぇ この言葉でなら分かり合えるだろう

元は一個のテレビなのに 無理に線引き奪い合い
やれ他の兄弟といがみ合い どうすれば見れる凉宮ハルヒ
ひきこもりという名の王者なら YouTubeで見ればモーマンタイ
時間かかってもNever give up 就職活動より精子部屋中にまく

またリア充がパラサイト どうかしてるぜプレジデント
ネットで遊べる毎日を 無駄な日々を邪魔なんてさせねえぞ
「どうやって仕掛ける?トロイの木馬」なんて頭痛めてるならいっそググりませんか
部屋に鍵掛け 独りで よっAKB!! 握手したら上げたくなるよ 金使って100票

World NEET da music yeah 誤解争いの絶えないニートに必要なこの音
World NEET da music yeah 2chじゃ番長 この言葉でなら分かり合えるだろう

キモオタのボカロ ニコニコから 君の耳元まで届けるから
希望の無い朝 信じてただ 大声張り上げて歌うから

Oh Oh 会社に縛られた社畜乙
Oh Oh 飯は部屋の前に置いとけよ
Oh Oh 魔法使い飛び越えもう魔神さ
Oh Oh ここから俺らで世界を変えよう

World NEET da music yeah 誤解争いの絶えないニートに必要なこの音
World NEET da music yeah 恋愛するなら妹 この言葉でなら分かり合えるだろう

夢や幻に逃げる 俺らが叶えるこの願い
生活保護受けた偉大なニートから繋げ役所に寄生ラリー
夢や幻に逃げる 俺らが叶えるこの願い
ブサイクで売れたAKBから繋げやすしスカウトラリー


World NEET da music yeah 誤解争いの絶えないニートに必要なこの音
World NEET da music yeah おじゃ魔女ドレミ萌え この言葉でなら分かり合えるだろう

World NEET da music yeah 誤解争いの絶えないニートに必要なこの音
World NEET da music yeah ネットが現実 この言葉でなら分かり合えるだろう
106:🎏 名無しさん@読者の声:2016/3/23(水) 11:27:37 ID:vQLgWd1lHk
薄暗い。
彼女が口にしたのはその一言だ。

古都ヤーナム。
その名の通り歴史を感じさせ、どこか壮大な印象を受ける、汚くも美しい街。

しかし、そんな風情のある街も彼女にとっては他の戦場と変わらないモノにしか見えなかった。
彼女は薄暗いと言ったが、本人には特に問題にはなっていない。
それもそのはず、彼女の瞳は間が抜けているようで鋭く光っている。
だが、光っているのは彼女の瞳だけではない。

彼女自身、光っているのだ。

これは誇張でも、まして比喩でもない。
彼女の体が、青白く発光している。
どこか幻想的なその光は、ひどく醜悪なモノと紙一重だ。

そんな彼女にも、ヤーナムの街は牙を剥く。
いや、剥いてしまったと言ったほうが正しいだろう。

彼女の目立つその身体に惹きつけられたか、数匹の獣が彼女の周りに集まり、あっという間に包囲した。
そして、リーダー格の一匹が彼女に向かって吠えると同時、全ての獣が彼女に向かって飛び込んだ。

圧倒的なまでの死の洗礼。
しかし彼女に死が訪れることはなかった。

息を1つ吐き、右手に持つハルバードを一薙する。
それだけでリーダー格の一匹を除き、全ての獣が一蹴されてしまった。
そして、彼女が振り返り獣を睥睨する。

そのギラついた視線にリーダー格の一匹が記憶の底から引っ張り出す。
身体の震えが止まらない、喉からうまく鳴き声もでない。
あの視線、あの光。
なぜ気づかなかったのだろう、最も恐るべき存在に。

かの者はツダである。

その残酷な事実に。
107:🎏 4人の兄弟の話:2016/3/23(水) 21:47:54 ID:TgHhulT0tk
「大変だ!またあいつ死んだって!」

「嘘、今月何回目だよ」

「あーあ、ほんと馬鹿なヤツ」

4人兄弟のうちのひとりが今日事故で亡くなった。長男は知らせを聞いてため息をつく。

「あいつ馬鹿だから死んだこともすぐ忘れるんだよな〜」

次男は肘をついて不機嫌そうに話す。

「今月6回目だぞ」

三男はにこりと笑って答える。

「また回収して新しいの持ってこなくちゃね」

そういえば、と長男は口を開く。

「お前らはまだ死んでないの?」

次男と三男は笑って答える。
「何言ってるんだ兄さん、俺達はもう死んでるぞ」

長男は首を締められたような感覚になり、ひゅっと喉を鳴らす。

そうだった、次男も三男も四男も、みんな事故で死んでしまった。

生きているのは長男の俺だけだ。

次男は長男を見て笑う。

「そろそろ現実を受け止めろよ」

暗転

静かな部屋に残ったのは遺書とロープ、それだけ。

長男もまた、兄弟のあとを追ったようだ。

おわり

108:🎏 ナイト・ロマンチスト・マーダー:2016/3/26(土) 20:30:08 ID:6kosZxQPU2
 ある都市伝説をご存知だろうか。深夜二時頃、白黒映画を観ていると殺人鬼が現れるというものだ。殺人鬼が現れるときの映画は、「サイコ」のようなサスペンスでもなければ、「吸血鬼ノスフェラトゥ」のようなおどろおどろしいものでもない。どちらかというと、「ローマの休日」や「アパートの鍵貸します」のようなラブロマンスや、ロマンスコメディだという。どうやら、殺人鬼はロマンチストのようだ。

 現在、午前一時四十分過ぎた頃。私はおどろおどろしいものでもなければ、ラブロマンスでもないものを観ていた。

『Osgood, I'm gonna level with you. We can't get married at all.(オズグッド、本当の事を話すわ。アタシ達、結婚出来ないのよ)』
『Why not?(どうしてだい?)』

 女装した男、ダフネがヨットの上で想いを寄せられている相手、オズグッドに自分は実は男だと伝えるシーンが淡々と続いていく。

『Well…ln the first place, I'm not a natural blonde.(えっと……まず、アタシ、本当はブロンドじゃないの)』
『Doesn't matter.(気にしないさ)』

 その時、すっと背後のドアが開く感覚がした。振り返るが、ドアが薄く開かれているだけで、他には何もない。
 気のせいだろう。そう考え、再び映画に戻る。

『l have a terrible past. For three years. I've been living with a saxophone player.(アタシ酷い過去があるのよ? 三年間サックス奏者と住んでたんだから!)』
『l forgive you.(許すよ)』

「"Some Like It Hotお熱いのがお好き"か」

 部屋には私しかいないはず。なのに背後から男の声がした。低いけれど、不快にならない、背中がゾクゾクするような魅力的な声だ。

「あなた、誰?」
「シッ。……上映中はお静かに」

 振り返ろうとしたところ、背後から手が回され、口元を覆う。仕方ない、終わってから聞こう。大方、男が誰だか予想はついているけど。

『You don't understand, Osgood.(あなた、何もわかってないわね、オズグッド)』

 ダフネがかつらを取る。

『I'm a man.(俺は男なんだよ)』
「I'm a murderer.(私は殺人鬼なんだよ)」

 男は素早くナイフを取り出すと、女の首を掻き切った。血が勢い良くほとばしる。

『Well, nobody's perfect.(なるほど、完璧な人間なんていないさ)』
「確かに」

 男はナイフについた女の血を、指でつぅとなぞると、それを口に含んだ。口角がキュッと上がる。

「不味い」





 ある都市伝説をご存知だろうか。深夜二時頃、白黒映画を観ていると殺人鬼が現れるというものだ。殺人鬼が現れるときの映画は、「サイコ」のようなサスペンスでもなければ、「吸血鬼ノスフェラトゥ」のようなおどろおどろしいものでもない。どちらかというと、「ローマの休日」や「アパートの鍵貸します」、「お熱いのがお好き」といった、ラブロマンスやコメディといったものだという。
 殺された被害者は全て心臓を抉り抜かれており、さらに、頬には被害者の血液によってつけられた殺人鬼と思わしき唇の跡がつけられているそうだ。その事から、世間では彼の事をこう呼んでいる。

ナイト・ロマンチスト・マーダー
109:🎏 名無しさん@読者の声:2016/4/5(火) 20:46:09 ID:j7z.aJWS3I
昔1レス勝負で『男の娘の日』が題材だった時に書いたものですが、結局投稿出来ずに終わってしまったのでこちらで……。




『西暦2XXX年X月X日土曜日。今日は第11回目の男の娘の日です。皆さん、元気に過ごしましょう』

午前八時。けたたましいサイレンと共に日本国内に向けて放送されるアナウンス。
街を歩いていた女性達は皆一様に笑顔を貼り付けながら辺りを見回した。
各々が手に持つは、今日のこの日の為に家から持参してきた女性服や化粧道具一式である。

その時、街の中心から一刻もはやく逃れるように走り出した背広の男が三名、女性達の視界に映った。
途端に「居たわ!!男が居たわよ!!!商店街の方に逃げていくわ」「誰か捕まえて!!」と甲高い声が上がる。

その言葉を合図に、その場に居た女性達が一斉に男三名に向かって突進していく。
「ひぃやめてくれえええ」
「後生だからどうか俺たちはぁああ」

悲惨な声が全速力で逃げる男達から上がるが、逃走劇は一分とかからず幕を下ろした。
彼らにとっては街中の女性全てが敵なのである。更に、場所は人通りが多い街中。逃げ切れるわけがない。
女性達に捕まった三名は手際よく拘束され、群がる女性達にされるがままその容姿を彩っていく。
あれよあれよと気が付いた時には、街には新たに三人の女性が誕生していた。



「だから今日一日は外出するなと言ったのに……」
ビルの一室から街中を見下ろしていた男が、たった今女性――否、男の娘に成り代わった三人の男達を眺めて呟く。
そんな男の背後で独りでに開かれる扉。男が忍び寄る気配に気付くまであと数秒。男の娘の日は始まったばかりである。



110:🎏 ロンリーバレンタイン:2017/2/22(水) 14:05:19 ID:4UVZj/rlsA
今日はバレンタインデー。
この日の力を少し借りて、勇気を出して大好きなあの人に告白するんだ。

なんて
「そもそも相手いないっつーのおおお!」

誰だよ。2月14日は「女性が男性に親愛の情を込めてチョコレートを贈与する日」(W*ki引用)だとか決めたやつは。
そして何みんなちゃっかり告白とかしてやんのさ。
そもそもバレンタインはローマ帝国時代の女神様の誕生日とかなんかで、15日のなんちゃら祭の先日祭みたいなので男女がうんぬんかんぬんするっていう、ローマ帝国の風習的なもの。
日本のバレンタインデー文化に、そのような起源、普及過程、社会的機能、歴史的意義とかないっつーのさ。
てゆーか、日本のバレンタインデーも1958年ころから流行しただけであって、それも流通業界や製菓業界によって販売促進のために普及されたようなものだし。
そのおかげで、バレンタインデーは日本のチョコの年間消費量の2割程度を消費するという、製菓業界にとっては、うへへーな結果になっちゃってるんだよね。

みんな製菓業界の手のひらで踊らされているのにか気付いていないんだよ!
「バレンタインデーはチョコレート業界の陰謀」(W*ki引用)なんだよ!
みんな! 目を覚まして!

「くそっチョコレート業界め。 わたしにもチョコ恵んでくれっての。」
「なに独りでぶつくさ言ってんだよ。 弥生。」




バレンタインデーの裏事情について(脳内で)語っていたら、わたしの頭に腕を乗っけてきやがった誠。
何様だよ。

「俺様だよ。」
「あんたまだ中二なの? え、末期なの? 末期なの?」
「うぜえ。独りでW*ki引用しまくってるやつに言われたかねえわ。」

なぜバレたし!
W*kiとっても役に立つんだよ!
ってか独りって・・・

「独り言うな! 1人と言え!」
「事実じゃねえか。 認めろよ。」
「ぬ、ぐ、あんたも! あんたもどーせ誰にももらってないんでしょ! あーかわいそう!」
「残念。」

そう言って誠はニヤリと笑った。
そして、紙袋いっぱいに詰められた、可愛いラッピングが施されたものを、わたしに見せつけてきた。





「・・・っ!」
「生憎、俺顔はいい方だから、この日は困らないんだよねー。」

くそっ! 美味しそう!
最近の女子高生の手作りチョコってハイレベルなんだよね!
111:🎏 ロンリーバレンタイン:2017/2/22(水) 14:06:26 ID:4UVZj/rlsA


「だけど俺は誰にもお返しするつもりはない・・・。 だって俺は弥生が」
「神様俺様ナルシ誠様・・・! わたしにチョコを恵んでおくれ・・・!」

なんかぶつくさ言ってる誠のうざさは放っておいて、チョコを恵んでもらおうと試みた!
・・・が。

「・・・っ。」
「まこと・・・?」
「・・・やらねえ。」
「は」
「ああ?」

なんか急に怒っちゃってるよ。 まこっちゃん。

「・・・なんでよ。てかなんでおこぷんしてんのよ。」
「古いわぼけ。」
「そんなのどーでもいいよ! はよチョコくれ!」
「こんなのいくらでもくれてやるわ!」

え、意味分からんよ。
てか、なんかこちらを凝視してるし。
あれ? なんか顔赤いですよ誠くん。





「女の子が悲しむよ。」
「どうでもいいわ。」
「うわー罪な男ー」
「お、俺はただ!」
「うおっ! なんだよ」
112:🎏 ロンリーバレンタイン:2017/2/22(水) 14:07:41 ID:4UVZj/rlsA
急に大声出して、私の両肩をがっちりホールドしてきたよ。
ま、まさか・・・
「お、お金なんて持ち合わせてませんよ」
「恐喝じゃねえっての!」
「じゃあなにさ!」
「気づけよ!」
「なにを!」
「だから、俺が弥生を好き・・・あ。」
「それがどうした! ・・・え。」

なんか今・・・
好きって聞こえたような・・・。

え、誠が? わたしを?


「あ、いや、ちが」
「・・・」
「・・・弥生?」
「俺は弥生のチョコにしか興味ねえ」
「は」
「とか言っちゃう系?」
「え、あ、うん・・・」
「・・・」
「弥生? 弥生さーん」
「なにそれ」
「え」
「チョーウケるんですけどおおお!」
「え・・・」
「誠ってば顔真っ赤にしちゃって!
そんなお茶目なとこあったの? ばくわら!」
「や、弥生てめ・・・」
「なにさ。 ぷ、ぐふふふっ」
「人が勇気出して告ってんのに・・・」
「あーごめんごめん」
「思ってねえだ・・・」
「わたしも好きだよ」
「え・・・」
「うそだけど。」
「・・・」

この子、目輝かせたと思えば死んだ魚みたいな目したり・・・
わたしの言葉で一喜一憂しちゃって・・・。
こんな可愛かったっけ!

「あーもう! きみそんな可愛かったっけ」
「・・・もうなんとでも言えよ」
「拗ねない拗ねない。 はい」

拗ねてる誠にチロルチョコあげた。
そしたらまた、ぱって明るくなっちゃってるし。
113:🎏 ロンリーバレンタイン:2017/2/22(水) 14:08:03 ID:4UVZj/rlsA


「チロルチョコでごめんね」
「え、でも弥生が俺のために・・・」
「友たちにもらったやつだけど。」

また落胆してる・・・!
やばい! ハマってしまう・・・!

「・・・べつに」
「ん?」
「それでも・・・弥生からもらえたからいい」
「あら」
「なんだよ」
「いや、惚れるようなこと言うよね」
「え、まじ・・・?」
「惚れないけどね」
「・・・」
「そんなあからさまに落ち込むなよ乙女!」
「・・・俺は男だ」
「はいはい。 ま、」


「ホワイトデーまで考えといてあげるから、せいぜい頑張ってよ」


少女マンガでありそうなセリフ言ってみたら、誠くんが威勢のいい声でおうっ!って言ってた。
ま、こんな独り身バレンタインデーもアリかもね。
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