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【適当】小説書きスレ其の弐【万歳】
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1:名無しさん@読者の声:2014/6/12(木) 23:18:52 ID:YDoKF2wKiU
ここは主に小説を書くスレです!
自由に書いてよろし!

・他人に迷惑を書けるのは駄目です!
・喧嘩は喧嘩スレへGO
・必要なら次スレは>>980さんがお願いします。無理なら早急に代理を!

不備がありましたらすみません。楽しく書けることを祈ります。


134:爆発したでお遊び:2017/12/19(火) 23:50:37 ID:jld5b.jDtk




爆発だった。

雷鳴のような轟が伝わり、直後に地面が揺れた。テーブルに並んでいた昼食が揃って台無しになった。ついでに話していた内容を忘れた。

残り風が自分の髪を揺らす。埃と砂にまみれた髪の毛を、鬱陶しそうに手で払いのけた。

「遠いな」

視線の先にあった爆破地点は状況を目視できぬほど遠く、辛うじて火花が散るのが見える程度だ。ここから見ているとその凄惨さが伝わって来ず、打ち上げ花火でも見た呑気さだけがある。

同席者が笑う。短髪な彼は爆風なんて気にならなくて、少し羨ましい。周りの連中も気にせず、食事を続けていた。

「寂しいなら近くに行ってもいいんだぜ?」

「相変わらずご親切なことで」

呆れて鼻を鳴らす。バカなことを言うのは日常茶飯事で、むしろバカなことがまともなことになりかけている。

自分たちは続いている爆破を横目に、ランチを楽しんだ。17分並んで買った昼食だ。ビールはもっと時間をかけた。たかだか空爆ごときで飯を台無しにしたくない。

さっさと飯をかき込みながら、話の続きを思い出そうとする。なんだったか、と思いつく前に、同席者の方が口を開いた。

「最近はなんでもありだな。旧型から新型まで。まるでガレッジセールっていう具合でな、あれは……、見たことないぜ」

「はぁ? 見てわかんの?」

爆弾の種類なんて、目視だけじゃ絶対にわからない。自分はしげしげと遠くの爆心地を見ようとしたが、結局わからなかった。

自分たちをよく思わない連中は芝でも刈るような心地よさで、こちらを絨毯爆撃してくる。自分たちも芝であるから、いちいち刈り取られた連中に感情移入はしない。五年前からだ。そのように常識とモラルは変わった。

「せめてこっちに来なきゃいい。俺のサンダル新品なんだよ。もったいねぇ」

「こっちだって、17分並んで買った昼飯を砂まみれにされたくないし、43分かけて買った温いビールを失いたくない」

「ビール、今日何ドルだった」

「忘れた。でもちょっと安かった気がする。円高かな」

どうでもいいことを話し合う。どうにか飯を平らげてしまって、ゴミと皿を全部床に落とした。また空爆が起きればこんなもの、消えて無くなる。
物には価値がない。人間にも価値がない。ありとあらゆる物の価値観は霧散した。

同席者は椅子の深く寄りかかった。自分たちはお互い、遠くで起きている爆発に飽き飽きとしていた。

それでなんの話をしていたんだったっけ。自分はそれを思い出そうとしながら、ビールを仰いだ。ビールは温く、水で三倍くらいに薄めたような味がしたが、それでもビールというだけで美味かった。


135:名無しさん@読者の声:2017/12/19(火) 23:51:53 ID:jld5b.jDtk

同席者が鼻で笑う。皮肉めいた笑い方をしていた。彼らしい。

「あっち側で死人が出てんのに、こっちは相変わらずのお祭り騒ぎだな」

彼は言いながら額の横を掻いた。深い傷の残ったそこには髪の毛が生えていない。

「‘お盆なんでしょ、ここは常に」

「ちょっとちげーだろ、それは」

「違うかなぁ」

盆なんてやったことのない自分には、彼の言う違うがわからなかった。ビールをチビチビとすする。これは43分のビールだぞ、と自分に言い聴かせる。

爆発がもう一度。確実に近づいてきているそれに、同席者と自分は視線を交わした。一瞬で椅子を蹴る。高い音が聞こえる。ガレッジセールの開催を知らせる、航空機だ。

「ほら、お前が恋しそうに言うから来てくれちまっただろうが!」

「それ言う間に三歩は前に進めたよ」

周りの連中とほとんど一緒になって走り出す。できるだけ遠くに、できれば物陰に、できれば建物の中に。子供のはしゃぐ声が反響していた。彼らが笑って叫んでいる。

「AK! AK! AK!」

こっちじゃどんな時もお祭り騒ぎだった。

自分もつられて笑う。爆笑しながら走り続ける自分を見て、同席者は唖然としていた。それから伝染したように笑い出す。

気がつくとみんな笑っていた。老若男女問わず、様々な笑い声が反響する中を駆け抜ける。

急に音が消えて体が軽くなった。

自分が宙に投げ出される。一瞬、47分かけて買ったビールと自分の頭と、どちらを守ろうか悩んだ。結局ビール瓶を手放す。回転していくビール瓶の口から黄金が溢れ出る。その美しさに目を見張った。

音楽を知る。黄金の酒の粒はショパンだ。美しく、完全なるショパンが溢れでている。その時、高い耳鳴りがして、音が一瞬だけ戻った。

体が地面に投げ出される。瓦礫の中に埋もれるように転がり、足だとか腕だとか腹だとか、いくつか怪我を負った。質量のある静寂に包まれた中で、耳鳴りだけがはっきりと聞こえる。血だらけの手のひらで顔をぬぐい、やっぱり自分は笑った。

死ぬ時もきっと音楽と共にある。ここは最期の一瞬までがカーニバルなのだ。

そこらで自治区と呼ばれるこの奈落を、自分たちは楽園だと信じている。死に一番近い楽園だった。

ガレッジセールが始まる。
136:爆発した:2017/12/24(日) 23:56:04 ID:HVvwuJL8jU


爆発から9日目。

瓦礫の中を男が歩いてくる。青空だった。バカみたいに機嫌のいい空を眺めていると、この状況が何もかも嘘のように思えてくる。

9日前、瓦礫の下で目を覚ました。6日前、初めて新鮮な空気を吸い、外の惨状を知った。4日前、彼に出会った。この場所で。

男はボロボロのスーツを着ていた。ワイシャツは血と泥で汚れていて、もともと何色だったのかも定かではない。ネクタイは今や、足の傷の止血帯を担っている。誰もいないのだから、格好など気にする必要もない。

うっすらと全身粉塵に塗れた彼は、どことなく霞んでいた。くしゃみを一つして、男は天を仰ぎ、顔を両手でこする。まっさらな空を見て、目を細めた。もともと何もなかったのだ。彼はそう思う。

瓦礫の中を進む。肌感覚を頼りに元の街並みを思い出しつつ、彼は駅に向かっていた。9日前の朝までは、ごく普通のありふれた駅だった場所にである。

見渡す限り瓦礫の山だった。人はいない。動物もいない。猫も、犬も。虫すら、ありえない。植物も姿を見せなかった。

「あ」

明るい声が響いて、男はそちらを振り返る。若者がいつものようにそこにいた。瓦礫の横に腰をかけて彼を見ている。笑顔だった。若者の傍には自身の屋台があって、赤い幕は〈たこやき〉と示している。

「や、昨日は来なかったね。死んだかと思ったよ」

若者は敬語を使わない。男は彼の柔らかく、優しい言葉を聞くと笑ってしまった。それでいつも驚く。笑うというのは、どうしても他人がいないとできないことなのだと。

男は埃まみれの頬を掻く。4日目に出会って以来、ここには毎日来ていた。彼の焼くたこ焼きを食べ、状況をいくつか聞いたり、それまでの話をしたり、時間を潰していた。

時間だけは山のように積み上がっていたのだ。すべきことは何もなかった。

若者は当然のように立ち上がると、屋台に立った。小さなガスボンベのついた屋台の火を起こし、彼はたこ焼きを作り始める。唯一まともにある水と食料を、若者は持っていた。

「昨日は絶望してたんだ」

男は彼に答えた。ほんと? と聞き返し、若者はよく笑った。たこ焼きの生地を練りながら、心底楽しそうに男を見上げる。

「ちょっと遅すぎない?」

「本当だ」

男も笑って答えた。

不思議なことに8日経つまで、何も考えられなかった。何かを惜しんだり悲しんだりするより先に、生きることが優先された。

最初の丸3日間は瓦礫に埋もれたビルから出ること、次の3日は他人に会うこと、そして若者に会って状況を理解し初めて食物と水を口にした。そこからようやく感情が動き始めたのだ。

麻痺しているというより、頭の回転が至極遅くなっている。そんな気がした。何かを考えるのを全力で心臓が拒否しているような、そういう具合である。

男の状況を若者が否定することはなかったが、彼は未だに本能で生きているらしい。目の前で呑気にたこ焼きを焼く青年を見つめ、男は微笑む。

もしこのガスが尽きたら、水が尽きたら、食物がなくなったら。彼はおよそそんなことは考えない。
137:名無しさん@読者の声:2017/12/24(日) 23:57:43 ID:HVvwuJL8jU
「実はここから出てみようと思う。次に人に会うまで歩き続けようと思ってる」

「なるほど、旅に出るにはいい季節だしね」

男は一瞬、季節を忘れた。そう言えば夏の前である。春の一番冷たい時期が終わった。そのくらいだった。

若者は使い捨ての容器にたこ焼きをこれでもかと詰めた。たくさん詰めて、詰めて、そして持っていけと男に差し出す。たこ焼きは実にうまそうな匂いがしていた。

ふと、思う。これは一体どうやって保存されていたのだろう? 電気はない。冷蔵庫も何もない食材を、どう保存しているのか。だがたこ焼きはうまそうで、男は考えるのをやめた。

「次の街に着くまで、食べるといいよ。少しずつ。君が寄り道をしない限り、なくなることはない」

若者は断定口調で告げた。なるほど、と男は思った。

たこ焼きを一つ口に放り込む。できたてのたこ焼きは、味や風味よりもまず熱を伝えた。熱がって口を開け、空を仰いだ男を見て若者は子供のように笑った。涙目で噛み締めると、旨味が出て来た。出汁の味がして、違う涙が出そうになった。

「どこかに行くなら南に向かういいよ。南はちょうど、あちらの方。昔、つい9日前だね、そのときはあっちに区役所があった」

「あぁ、わかる。方角はなんとなく……、そちらに行くと何があるんだ?」

「グラウンド・ゼロだ」

つまりは爆心地である。男は口をつぐんだ。そこからここがどの程度離れているのかはわからないが、それでもこの有様である。爆心地など、一面何も残っていないのではないか。

男の危惧を悟ったように、若者は微笑んだ。彼は男にもう一つたこ焼きのパックを持たせると、無言でうなづく。それは男がグラウンド・ゼロに向かうことを意味していた。

「そこを越えた先でまた出会いがある。道中、くれぐれも気をつけるんだよ」

「あなたはいかないのか。一緒に行かないかって誘おうと思ってたのに」

男の言葉に若者は笑みを深めた。思いの外、嬉しそうな表情を見せる。

それでも若者は首を振った。穏やかだがこれまたきっぱりと決まり切った様子で、それはできないと男に告げる。

「僕とはここでお別れだ。残念だけど、それが役目だから」

「役目」

男は半歩下がって若者を眺めた。

改めてしげしげと見てみると、彼は本当に不思議な人だった。これだけの規模の爆発があったというのに、男と違って彼は綺麗な身なりをしている。汚れていない。怪我もない。それに今更気がついた。

「あなたは何者なんだ」

若者は目を細めた。その問いをずっと待っていたかのように、何度か小さくうなづいた。男の肩に手を触れ、若者は汚れと埃を払う。

「君と僕らとの縁を繋いだ、第一の神だ。僕が選んだ。君をね、この土地で。君にはこれから素晴らしい出会いがある。期待しているよ」

「俺は何をすればいい?」

神と言われても動じなかった。そのような気がしていたのだ、出会ったときからずっと。
138:名無しさん@読者の声:2017/12/24(日) 23:58:23 ID:HVvwuJL8jU

男の問いに若者は何も言わない。知っているはずだと言われるだけだった。男は何も知らなかった。

「僕に出会ってから3日目、君はこの土地を出て行く。君の僕らの加護があることを心から祈ってる」

若者は男の肩を三度叩き、そっと彼を押した。たこ焼きを両手いっぱいに抱えて、男はよろめく。若者は微笑み、彼にビニールの袋と水をくれた。それらを持ってもなぜだか重たいとは思わなかった。

若者に別れを告げる。若者はにこやかに手を振った。また、と言われて、もう一度会うことがあるのだろうかと、ほんのり夢想した。

男は水と食料を持ち、瓦礫の中を歩きはじめる。晴天だった。その下をアリのように、黙々と。

グラウンド・ゼロに向かって。
139:名無しさん@読者の声:2018/7/12(木) 01:24:56 ID:n9FLwDXHbg
大きく吸い込んだ息は、彼女の口の中で吐き出された。
熱らしく纏わりつく視線を絡めて、勢いに任せて押し倒す。
(少し乱暴だったかな。)
少し歪んだ彼女の口元にそんなことを考えながら、うっすらと濡れた彼女の下着を脱がす。
少しも抵抗はなかったが、恥ずかしいのか華奢な腕で顔を隠している。
固く結ばれた唇にキスをすると、少しの抵抗の後に舌が絡みつく。
腕をほどくと彼女が俺の首に抱きつく様にそれをまわす。
お互いの心臓の音が重なる。
俺の手が彼女の胸に触れる、なぞる様にして彼女の弱いところに近づく。

「…やぁ」

抗うように、求めるように彼女が身体を近づける。
全身で彼女の温かさを感じる、気がつくと固くなっていたそれを彼女に当てる。
小さく頷いた彼女を確認して、1つになった。
140:名無しさん@読者の声:2018/7/12(木) 01:39:39 ID:n9FLwDXHbg
小さく丸まって隣で寝る彼女の栗色の髪をなでる。
ひょんなことから彼女が俺の部屋に住み始めてから2ヶ月が経とうとしていた。
父からの手紙と婚姻届と少しの荷物を持って押しかけてきた彼女は、あっという間に俺の生活に馴染んでいった。

(結婚、したくないわけじゃないんだけどな。)

仕事にもだいぶ慣れて段々と大きな企画も任され始めたし、独り身で遊ぶこともあまりなかったから貯金だってそこそこある。
それでも結婚に踏み込めないのは彼女が俺より7つも歳下で、一緒に過ごした期間が短いからなんだろうか。

彼女自身の気持ちは、彼女が来てから7日目の夜に彼女から聞いたのでわかった。(この日は俺たちが始めてSEXをした日でもある。)
俺は彼女が本気で俺を好きでいてくれていると信じたし、その理由も聞いた。
俺はそんな彼女のことを好きになっていて、これからどんどん好きになっていくんだろう。
141:カルピス 1/2:2018/7/16(月) 23:37:53 ID:XxqK1Ikig2
カルピスって、あるだろ?
白くて、甘くて、水で薄めたりする、あのカルピスさ。
俺は幼い頃からカルピスは好きで、ほとんど毎日カルピスを飲んでいた。特に夏の暑い日は、氷が満杯のコップに、少し濃いめのカルピスを入れて飲むと、最高に美味かった。

大人になった今でも俺は同じようにカルピスを飲み続けている。
といっても、水で薄めたりはもう何年もしていない。もっぱら、ペットボトルのカルピスだ。
ペットボトルで飲むカルピスも美味いには美味いのだが、少しばかり薄い気がする。あの幼い頃に飲んでいた、少し濃いめのカルピス。もう一度、あのカルピスを味わいたい。

大学生のときだったか。そんな俺のニーズに応えるように、ペットボトルで濃いめのカルピスが発売された。
早速買ってみると、かなり味が濃い。あの頃飲んでいたカルピスよりも、こちらのカルピスの方が断然濃かった。
俺はとても贅沢な気持ちになった。こんなに濃いカルピスを、ペットボトルでお手軽に飲めるようになるとはな。
それからの俺は、毎日のように濃いめのカルピスを飲み続けてた。

ある夏の日の出来事である。
俺は風呂から上がると、冷房の風に当たりながら、冷蔵庫から取り出したキンキンに冷えた濃いめのカルピスを、ゴクゴクと音がなるくらい勢いよく飲んだ。
風呂上がりのカルピスは最高である。酒も飲むには飲むのだが、まだまだ俺はお子ちゃまなのだろう。カルピスの方が断然美味しく感じた。
俺はペットボトルの半分くらいカルピスを飲むと、満足してテーブルの上に置き、そのままベッドに入って眠った。

翌日は朝から部活があり、昼頃まで剣道をやってから、仲間たちとラーメンを食って、そのままノリで海に行き、銭湯に行ってさっぱりした後、居酒屋に行って深夜までバカ騒ぎして、アパートに戻ると倒れるように寝た。

悲劇はここから始まる。
142:カルピス 2/2:2018/7/17(火) 00:17:14 ID:XxqK1Ikig2
蝉のミーンミンミンミーという鳴き声と、冷房のゴゥンゴゥンという稼働音で、目が覚めた。

昨夜は家に帰った後に、そのまま眠ってしまったらしい。汗をかいて気持ち悪かったので、シャワーを浴びることにした。シャワーを浴びながら思ったことは、とにかく喉が乾いている。シャワーを浴び終わったら、何でもいいから飲み物を飲みたい。

浴室から出ると、早速冷蔵庫に向かった。開けてみると、中にはズワイガニの缶詰とチーカマ、ビール、ほろよいの冷やしパイン。
酒とつまみしか入っていなかった。
冷蔵庫の中身と、普段の自分の生活に失望した。
しかし、喉が乾いて仕方がない。億劫だが、ここは外に出るしかない。

そこで、ふと目についたのが、テーブルの上に置かれている、飲みかけのカルピスである。
あのカルピスを、氷で冷やして飲めばいいのではないか。
冷凍庫を見ると、氷がいくつか転がっている。
俺は早速コップに氷を入れて、カルピスを飲むことにした。

しかしこのカルピス、よく見ると様子がおかしい。
容器がパンパンに膨らんでいる。

ペットボトルのふたを開けると、プシュッという音がした。炭酸飲料を開けたときの、空気が抜けるあの音だ。その音が、カルピスを開けたときに聞こえた。

カルピスは乳酸菌飲料である。生き物である以上、乳酸菌も呼吸をしている。おそらく、乳酸菌が呼吸をすることで、容器内の二酸化炭素が増え、炭酸の役割を果たしたのだろう。

コップに注ぐと、シュワシュワと音をたてた。
カルピスを1日常温で置くと、カルピスソーダになるようである。俺は感心した。

見た目も臭いも、別段気になるところはなかった。
いつもと違うところは、泡が立っているところだけである。

いけると思った。喉が乾いていた俺は、そのままグイッとカルピスを飲んだ。

美味い、美味いぞ。いける!

そのままカルピスを一気に飲み干し、喉の乾きが潤った俺は、再び眠ることにした。休日の二度寝は最高である。

その二時間後、腹が痛くて目が覚めた。その日は一日中腹が痛く、冷房18℃の部屋で脂汗をかきながら、数分置きにトイレと部屋を行き来した。

医者には行かなかったので、腹痛の理由は未だにわからぬが、おそらくはあのカルピスだろう。
常温に置いたカルピスを、俺はあのとき飲むべきではなかったのだと思う。

あれから俺は、ペットボトルの飲み残しは必ず冷蔵庫にいれて、入れ忘れたときは潔く捨てるようにしている。

一人暮らしであの体験は、本当に辛かった。

今、一人暮らしをしている全てのカルピス好きの人たちに伝えたい。

俺のような過ちをするな。
夏に1日常温に置いた、飲みかけのカルピスを飲んではいけない。

俺のような過ちをするな。

カルピスの話 〜完〜
143: ◆AhbsYJYbSg:2018/11/18(日) 11:10:34 ID:Zc6v24oXRM
「砂の魔女と人喰いの怪物」

 魔女が人喰いの怪物を生み出したのは、自分を食べさせるためだった。

 魔女には、自分に触れた「敵」を砂にする魔法がかかっていた。怪物が魔女に触れると、指の先が砂になった。自分は魔女にとって敵なのかと肩を落とす怪物を、魔女は慰めた。
──仕方ないですよ。だって私たち、まだ初対面ですから。
 怪物は諦めていなかった。
──そうだ、敵を砂にするんなら、仲良くなって友達になればいいんだ。そしたら敵じゃなくなる。
 その日から、怪物は魔女と遊ぶことにした。
 晴れの日も雨の日も、あまり乗り気ではない魔女を誘って城の内外で遊び続けた。
 ある時は鬼ごっこ、ある時はかくれんぼ。大抵怪物が負けた。それでも怪物は楽しかった。時々魔女が笑ってくれる、それだけでよかった。

 ある日のこと。
 魔女と鬼ごっこをしていた怪物は、地面に突き出た石につまずいて派手に転んでしまった。魔女の魔法ですぐ治るとはいえ、ひざには大きな怪我が出来ている。
──大丈夫ですか?
 魔女は心配そうに聞いた。
──大丈夫だ。
 怪物は涙をこらえて言った。
 怪我の手当てをしながら魔女は、──泣きたかったら泣いてもいいんですよ。と言ったけれど怪物は泣かなかった。
──俺にもプライドがある。怪物は滅多なことでは泣かないんだ。
──滅多な事って例えばどんなことですか。
──とにかくすごいことだ。世界が終わるとか、そういう。
 魔女が微笑んだ。
──じゃあ、一生あなたの泣き顔は見られないでしょうね。

 月日が経ち、魔女と怪物はとても仲良くなった。
 魔女が言った。
──そろそろ私に触れても大丈夫じゃないですか。 
 魔女に触れた。なんともなかった。2人は笑いあった。ようやく友達になれたのが嬉しかった。

 怪物は魔女を喰べるために作られた。

──だから俺はあんたを喰べなくちゃ。
 魔女が言った。
──殺して欲しくてあなたを生み出しました。あのときは絶望していて、だけど自殺する勇気もなかったから。でも今、私はもっとあなたと生きたいと思っている。死にたくないと心から思っている。……私を人間にしてくれて、ありがとう。
 魔女は自分から怪物の口に飛び込んだ。
 気が付くと怪物は一人ぼっちだった。彼女がいつも座っていた椅子には誰もいない。広い広い城には怪物1人が残された。
 彼は自分の大きなお腹をさすった。それから初めて、大粒の涙をこぼした。

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