http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
820: ◆WEmWDvOgzo:2016/7/14(木) 22:05:09 ID:snk7nMamVo
宣教師「何はともあれ彼がやろうとしている事は私たちの想像では計り知れないほどに過酷なんです」
ラム「僕らと手紙でやりとりしてた時は何も言わなかったのに…」
カロル「…ヒメくんはどうしてボクたちに甘えてくれなかったのかな」
ラム「……」
カロル「もしかしたら気付かないで一人きりにしてたのかも…」シュン
宣教師「いいえ、一人きりではありませんよ?」
カロル「……?」
宣教師「たしかにヒメくんにとって政は今すぐにでもやめてしまいたいほど辛い苦行だったことでしょう」
カロル&ラム「……」
宣教師「しかしキミたちと過ごした楽しい時間が励みとなり、キミたちと分かち合った喜びをヒントに新たな国の形を見いだしたのです」
ラム「僕らは別になにもしてないけど…」
カロル「そうだよ…。いっぱい迷惑かけちゃったし…」
宣教師「そばにいるだけが支えではないのですよ?」
カロル&ラム「……?」
821: ◆WEmWDvOgzo:2016/7/14(木) 22:07:35 ID:/HhXhL32IQ
宣教師「思い出が安らぎとなり、経験が次なる進歩の発展に繋がります」
宣教師「一つ一つの瞬間が私たちに成長をもたらし、一人一人の結び付きがさまざまな影響を及ぼしている…」
宣教師「そこに出会いがあるから善も悪も学び知ることができる。すべてのきっかけは人と人から始まるのです」
宣教師「だから生命は尊く、人によって紡がれる絆は美しい…」
宣教師「そしてキミたち自身も常に多くの絆を共有しているんですよ?」ニコッ
カロル「みんなと……」
宣教師「そうです。なので心配は要りませんよ?キミたちから貰った力を糧にヒメくんも多くの人々へ絆を広めているんです!」
ラム「…ちょっと難しいけど、なんだかホッとした気がするよ」
カロル「えへへ…うれしいな。ボクもみんなと繋がってるんだ?」テレッ
宣教師「そうです。みんな支え合って和となっているんです」ニコニコ
822: ◆WEmWDvOgzo:2016/7/14(木) 22:14:10 ID:snk7nMamVo
ラム「話してる間に結構、歩いたね。灯りが増えてきたし…」スタスタ
宣教師「相変わらずどこに向かってるのか皆目見当も付きませんが…」キョロキョロ
カロル「あれ?行き止まりだ?」
ラム「えー…また引き返さなきゃだね」
カロル「…?」ピトッ
宣教師「どうしたんですか?」
カロル「……あ、やっぱり?」ハッ
ラム「なにかあるのかい?」
カロル「ほら、ここに模様がある?」ビッ
ラム「壁に…?あ、ホントだ!近くで見たら分からないけど……全体で見ると蛇の絵みたいだ?」ジーッ
宣教師「壁画でしょうか…。それにしても蛇とはまた悪趣味ですね」ゾゾッ
カロル「? ここ出っ張ってる?」グッ
ラム「なにしてるの?石でできた壁を押したってピクリともしないよ?」
823: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/7/14(木) 22:26:32 ID:/HhXhL32IQ
ズゴゴゴゴゴ………
カロル「わっ!?」ギョギョッ
ラム「か、壁がひとりでに開いた!?」
宣教師「まさか隠し扉…?」
カロル「隠し扉って?」
宣教師「そのままですよ。何かに擬態させたりして巧妙に隠された秘密の出入口です」
ラム「なんでそんなのが必要なのさ?」
宣教師「襲撃に備え、身を潜めたり誰にも悟られてはならない秘密を守る手段として使われるんです。
一定以上の立場を持った人達は大抵、こういった隠し通路や隠し部屋などを用いて安全にいられる場所を確保しているんですよ」
ラム「へぇ、こんな広い地下通路に隠し部屋まであるなんて……」
カロル「すごいや!わくわくするね?」
ラム「いや、探検しに来た訳じゃないんだから」
宣教師「こうした素晴らしい仕掛けを見ると少年の心が疼いてしまうものですよ?」
ラム「でもさ、たぶんここ……」
宣教師「えぇ、最後の最後に逃げ込むとしたら…他にないでしょうね」
カロル「はやく入ってみようよ!」キャッキャッ
ラム「はぁ…勝手に先走ったらダメだからね?」
宣教師「気をつけていきましょう」
カロル「はーい!」
824: 遅い更新ですみません! ◆WEmWDvOgzo:2016/8/14(日) 22:31:18 ID:nXQmAoWB0E
―――地下迷宮(通路)―――
ダダダダダッ
西兵108「ヴゥエッ!!ハァッ!やっどおいづめだぞぉ〜!?」ゼェゼェ
西兵's「ヒィ〜ヒィ〜…」ゼェゼェ
レジスタンス11「ふ、袋小路だぞ!どうするんだ!?」ゼェゼェ
ヒメ「はぁ…僕に聞くな…!」ゼェゼェ
レジスタンス11「!? な、何も考えてなかったのか!?」
ヒメ「団長たちが加勢に来るまで持ちこたえれば…なんとかなる…!せいぜい足掻け!」
レジスタンス11「クソッ!王族ったって所詮はガキか!信用するんじゃなかったぜ!?」アセアセ
西兵108「さんざん走らせやがってぇ〜!粉々にしてやんよ!」ビキッビキィッ
レジスタンス11「万事休すか…!」
ヒメ「ちっ…!」ジャキッ
ドガガガガァァンッ!!
ヒメ&レジスタンス11「!?」
西兵108「あ゙!?」クルッ
賊徒26「うらぁ!どけどけぇ!!ならず者のお通りだぁ!?」ブンッ バシュッ
西兵109「な、なんだてめ……フギャッ!?」ズバァッ
ワァーワァーギャーギャー
825: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/14(日) 22:33:17 ID:nXQmAoWB0E
レジスタンス11「あ、あいつら…くたばってなかったのか!?」
ヒメ「あれも味方か!?」
レジスタンス11「おう!だが、あの手勢じゃ、この数の兵を相手には…!」
ヒメ「…いや、そうでもないぞ!」ジッ
レジスタンス11「あぁ!?無理だろ!?さっきだってボロ負けしてトンズラこいたんだぜ!?」
ヒメ「見てみろ!」ジーッ
レジスタンス11「……?」
バキッ ガンッ ゴッ ボキィッ
レジスタンス11「お、押してる…?な、なんでだ?さっきは……」
ヒメ「必死に逃げたのも、あながち無駄じゃなかったかもな!」ニヤッ
レジスタンス11「はぁ…?」
ヒメ「僕らもやるぞ!」ザッ
レジスタンス11「お、おい!本気か!?」
ヒメ「付いてこい!」ダッ
レジスタンス11「ちぃっ!付き合いきれんがやるしかないか!!」ダッ
826: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/14(日) 22:35:46 ID:nXQmAoWB0E
西兵108「ぐらぁっ!?なにじでんだぁ!!ざっさどやらねぇがぁ!?」
西兵111「ヒィっヒィっ…も、もうヘトヘトだぁ…」ゼェゼェ
西兵112「こんなジメジメした暗がりで走らされてヘバっちまったよぉ…」ゼェゼェ
西兵113「夜中っから、ずっと動きっぱなんだぜぇ…?もう身体がガタガタだよぉ…!」ゼェゼェ
賊徒27「なんだ、こいつらぁ!!ちょれーぞ!?」ブンッ ガスッ
賊徒28「なんか知らねーが、こっちのモンだ!!」ブンッ ドカッ
賊徒29「へへへ!あのガキに治療されてから妙に身体が軽いぜ!」ブンッ バコッ
西兵's「グギャアアアアア!!」バタバタバタッ
西兵108「グゾォ〜…おめぇら、ぞれでも女王の親衛隊がぁ!?」ワナワナ
ヒメ「おい!」ザッ
西兵108「おぉう!?」ギロッ
ヒメ「こいつらの首領格はおまえか?」ジャキッ
西兵108「で、でめぇの仕業かぁ!!クソガキがぁ〜!?」
ヒメ「武器を捨てて全員に降伏を促せ?そうすれば命は保障してやるぞ!」ジリッ
西兵108「ギガァァァアアア!!」ブンッ
ガンッ!!
西兵108「ヒヒ……んが?い、いねぇ?」キョトン
ヒメ「ここだよ」トンッ
西兵108「ケェイッ!?」バッ
ヒメ「遅い!!」ヒュンッ
西兵108「うっ!?」ビクッ
ヒメ「力任せのおざなりな剣技だな。それじゃ僕は殺せないぞ?」ピタピタ
西兵108「で、でめぇ…いつ後ろに!?」ワナワナ
ヒメ「次は振り抜くからな?」ジロッ
西兵108「う、ぐぐ!」プルプル
827: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/14(日) 22:37:29 ID:ikW458cjLg
ヒメ「これが最後だ。よく聞け?」
西兵108「ぐぎぎ…きき!」ギリッ
ヒメ「死にたくなかったら降伏しろ。無駄に死人を増やしたくない」
西兵108「だ、だぁれがでめぇの言うことなんか…!?」
ヒメ「…おまえたちの主君、ファルージャの命も奪わないと約束する」
西兵108「でめぇ気安く女王を呼び捨てんじゃねぇぞ!?」
ヒメ「上の戦いも決した。残るはおまえらだけだが…勝ち目がないのは分かるだろ?」
西兵108「ん、だどぉ…!?調子に乗りやがってぇ…!?」
ヒメ「無謀な真似はよせ」
西兵108「あぁん!?」
ヒメ「おまえがいなくなったら誰がファルージャを守ってやるんだ?」
西兵108「!?」
ヒメ「本気で尽くしたいなら生き残って、そばにいてやるのが真の忠心じゃないのか?」
西兵108「お、おでが…女王のそばに…!?」
ヒメ「そうだ。彼女には、おまえが必要だろ?」
西兵108「……お、おでが…女王を……揉んで、舐めて、ウヒ!うへへへへ…!?」ニタァァァ
ヒメ「…こほんっ!」
西兵108「ホゲッ!?あ、あぁぞうだ?ほ、ほんどに女王にゃ何もしねぇんだな?」アセアセ
ヒメ「あー、僕は約束を破らない。絶対にだ」シラー
西兵108「わ、わがった…。女王を守れんなら……」
828: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/14(日) 22:37:51 ID:nXQmAoWB0E
ヒメ「よし!レジスタンスも止まれ!!」
レジスタンス11「あぁ!?今イイとこだろうよ!?」ブンッ ズバッ
ヒメ「おまえの気分なんか知るか!いいから仲間を止めろ!!」
レジスタンス11「おい…!勘違いすんなよ…?俺たちはてめぇの手下でもなんでもねぇぞ…!?」
ヒメ「……」
レジスタンス11「いつまでも黙って従うと踏んでんなら大間違いだぞ…!?」
ヒメ「おまえ、何しに来たんだ?」
レジスタンス11「はぁ…!?決まってるだろ!俺たちの尊厳を勝ち取る為だ!!」
ヒメ「それなら無駄話するな!!」
レジスタンス11「」ビクッ
ヒメ「おまえが無駄にした1秒が何千人を殺すか考えろ!!刹那の遅延も許されない状況だぞ!?」
レジスタンス11「ぐぅぅ…!」
ヒメ「さっさと止めろ!!勝負の際を見誤るな!?」
レジスタンス11「あぁ分かったよ!クソ生意気なガキめ!今に見てろよ…!?」ブツクサ
829: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/14(日) 22:38:42 ID:ikW458cjLg
賊徒26「おぅい!?どうなってんだ!なんで止めやがった!?」
賊徒27「そうだぜ!こちとらイケイケでいってたじゃんかよ!?」
賊徒28「あとちょっとで奴らをぶっ殺せたんだぞぉ!!」
レジスタンス11「うるせぇんだよ!!いいから黙っとけ!?」
ワァーワァーギャーギャー
西兵112「なぁんだって俺らが、あんな泥虫相手に降伏せにゃならんのだ!?」
西兵113「そうだ、そうだ!!まとめてぶちのめしてやりゃいいんだ!!」
西兵114「ヒヨってんのか?あぁゴラァ!?」
西兵108「うるぜぇぞ!!でめぇからぶっ殺されでぇか!?」
ワァーワァーギャーギャー
ヒメ「(…こいつら、やっぱり同じ西国民だな。やりとりに知性が感じられない)」シミジミ
830: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/14(日) 22:40:53 ID:nXQmAoWB0E
レジスタンス11「で、止めたはいいがどーすんだ?押さえつけてられんのも時間の問題だぞ!?」ギロォォッ
西兵108「ゴイヅらを皆殺しにずりゃ〜いいのが!?」ギロォォッ
レジスタンス11「あぁなんつったぁ!?」ズイッ
西兵108「おぉう文句あっがぁ〜!?」ズイッ
バチバチ バチバチ
ヒメ「やめろ。せっかく止めたのに争ってどうする?」
レジスタンス11「けっ!んなら、さっさと言わねぇか!」
西兵108「武器は捨ててやっだぞ!あどはどーすりゃいい!?」
ヒメ「上に戻って団長たちに西国側との休戦を伝えてくれ」
レジスタンス11「きゅ、休戦だぁ〜?」
ヒメ「西の兵たちも形だけで構わないから捕虜を装って降伏の意を示し、レジスタンスに倣って停戦を訴えるんだ」
西兵108「待てやぁ!?なんでおで達が、ごんなクソゴミ共や王国のクソッタレに従わなきゃ……」
ヒメ「我慢しろ。ファルージャを救えるかは、おまえらに懸かってる」
西兵108「っ……お、おう…」ゴクッ
レジスタンス11「そ、そんなんで、どうにかなんのか?」
ヒメ「なるさ。おまえ達にしかできない詰みの一手だ」
レジスタンス11「はぁ〜?」シラー
ヒメ「分からないなら黙って僕の言うことを聞いてろ」
レジスタンス11「くっ…!言わせとけば…!?」ピキッ
ヒメ「これでおまえらの勝利が確定するんだ。素直にしろよ?」
レジスタンス11「勝利っ……気に入らねぇが言われた通りにしといてやるよ…!」
ヒメ「頼んだぞ!」
ザッザッザッ………
ヒメ「……単純な奴らで助かった」ボソッ
831: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 22:52:03 ID:g5X5idGIPQ
ヒメ「ふぅ……」スーハー
ヒメ「……」キョロキョロ
ヒメ「(結構経ったし誰もいないよな?)」
ヒメ「よし…!よし!よぉし!!」ガッツポーズ
ヒメ「勝った…!勝ったぞ!!」ググッ
ヒメ「(あとは団長たちが報せを受けるのを待つだけだ!それでこの戦争は決着する!!)」
ヒメ「あいつらにも伝えてやらないとな!」ルンルン
「どなたかを探しておいでか?」
ヒメ「」ビクッ
カツンカツン
ヒメ「な、なんで……おまえが……」
フィクサー「ずいぶんと浮かれたご様子だが…なにか良きことでもござったか」ジリッ
ヒメ「フィクサー…!」
フィクサー「お覚悟を…」ジャキッ
ヒメ「どういうことだ!?上で戦ってたんじゃ……」
ヒュオンッ
ヒメ「くっ!!」スラッ
ガァンッ!!
ヒメ「ぎゃっ!?」ドタッ
フィクサー「こんなものか……」チャッ
ヒメ「な、なんで……」ヨロッ
フィクサー「生ぬるい…。その程度の力で、わたしを下そうと言うのか?」フゥッ
ヒメ「!?」イラッ
832: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 22:54:34 ID:1.Ek.8qzag
ヒメ「おまえこそ!指揮官が戦場を放り出して来たのか!?」ムクッ
フィクサー「配下に任せてこそこそと動き回る子ネズミがほざけた義理か?」
ヒメ「曲がりなりにもおまえの為に戦っている兵士たちを捨ててきたのか!?」
フィクサー「捨てる…?ハッハハ……心外この上ない」
ヒメ「どれだけ数で圧倒しても支柱を失った兵の末路は目に見えてる!軍を扱う者ならば何よりも分かっている筈だ!!」
フィクサー「ご忠告かたじけのう存じます…が、まぁ心配ご無用。しかと踏まえておりますゆえ」スチャッ
ヒメ「……!」
フィクサー「畏れながら案ずるべきは己の身では…?」
ヒメ「くっ…!」ガッ スチャッ
833: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 22:57:59 ID:g5X5idGIPQ
ヒメ「僕を…どうする気だ?」ブルッ
フィクサー「悟れぬほど愚かでもございますまい?」
ヒメ「よせ…!もう十分に戦った筈だ!ここで止めなかったら本当に全ての国を巻き込むことになるぞ!?」
フィクサー「狂信的な平和主義、恐れ入る…。しかしわたしはそれを望もうとは思わない」
ヒメ「どこまでやるんだよ…!大義のない、ただの殺し合いを…!?」
フィクサー「どこまでも…」
ヒメ「……!」ギリッ
フィクサー「いや、おっしゃる通り戦争において最も傾けるべき置き所は大義であると心得る…」
ヒメ「道理を外した卑劣漢が今さらぬけぬけと…!?」
フィクサー「そして大義を押し通すには圧倒的な力がなくてはならない」
フィクサー「力の在処を示せば自然と力は呼び寄せられる」
フィクサー「故に力の証明こそが、それ即ち大義と認められるのだ」
ヒメ「誤った力の使い道は破滅を招くだけだ!!いい加減、目を覚ませ!!」
フィクサー「存外、惜しいものです…。高い地位に恵まれ、秀でた才を生まれ持ちながら思考が凡夫と変わりないときている」
ヒメ「見下した気になっていれば高みを望んだ気分にでもなれるんだろうが…僕からしてみれば、おまえらのような俗物が描く野心ほどちっぽけな物はないぞ!?」
フィクサー「ほう…わたしの野望が、ただおとなしく過ごそうという退屈な思想に劣ると?」
ヒメ「平穏を維持する…。たったそれだけの事ができないヤツに平和思想を笑う資格はない!!」
フィクサー「臆病風に吹かれた虫けらの戯れ言だな。挑戦しようという気概もないか」
ヒメ「なにが挑戦だ!!ふざけるな!?」
834: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:02:10 ID:g5X5idGIPQ
ヒメ「おまえが殺戮の限りを尽くした…この西国の惨状を知ってるのか!?」
フィクサー「なぜ知る必要がある?わたしには関わりなきことだ?」
ヒメ「僕たちが引き起こしたんだぞ!?」
フィクサー「は…?」
ヒメ「この戦争に巻き込まれた町々が焼かれ、人々が惨殺と略奪の憂き目に遭った!!
食糧も資産も労働力も没収され、荒廃した街に取り残された、かよわく無力な老人や乳飲み子が今も飢えて死んでるんだぞ!!」
フィクサー「あぁ、死ぬるがよかろう。大道に犠牲は付き物だ」
ヒメ「大道だとか野望だとか…カッコつけた言葉で正当化するな!!」
フィクサー「ふん…」
ヒメ「その犠牲に見合うだけの価値が、この戦いにはあるのか!?」
ヒメ「おまえが勝手に決めた正義に本気で続いていける味方がどれだけいる!?」
ヒメ「何十年も守られた平和を壊した責任がおまえに取れるのか!?」
フィクサー「責任…?」
835: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:05:54 ID:g5X5idGIPQ
ヒメ「戦争が終結したとして、その後の未来をきちんと見据えているのか!?
そこに住まう一人一人が戦争は正しかったと言えるような国家がおまえに創れるのか!?」
フィクサー「そんな物を抱える気はない」キッパリ
ヒメ「……!?」
フィクサー「これより時代は荒れ果てた戦乱の世に突入する。それが何十年続くかは分からんが……」
フィクサー「いかなる敵が立ちはだかろうとも捩じ伏せ、勝利の栄冠を勝ち取ってみせよう」
フィクサー「わたしの予測では15年もあれば国家を統一し、大陸の覇者となれる」
フィクサー「そこが一段落すれば海を渡り、更なる開拓を目指すとしようか」
フィクサー「わたしの治める世界は無限に広がる…。貴様のように縮こまった思想しか持てぬ愚か者には成せぬ所業だ」
フィクサー「ゆくゆくは万民がひれ伏す王となりて世界統一の創世記を飾ろうではないか?」
ヒメ「この…救いようのない大馬鹿が…!」ワナワナ
フィクサー「これを成し遂げられるは力ある者のみ……ふ!まさしくわたしにこそ託された天命であろう!」
ヒメ「狂ってるな…!いつからそんな夢見がちになったんだ…!?」
フィクサー「これは預言……そう、神々が与えし命題。語りかけてくる…。わたしは神の導きに尽くそう」
ヒメ「(自己陶酔が過ぎて、とうとう妄想まで持ち込んできた…。こうなったら何を言っても無駄だ!)」
836: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:09:24 ID:1.Ek.8qzag
フィクサー「クク……全てを手にした暁には妃の心も染まることだろう。
わたしだけにとらわれ…わたしだけを見つめ…わたしの物となる」ボソッ
ヒメ「りゃあっ!!」シュバッ
フィクサー「!」キィンッ
ヒメ「」ビュンッ
フィクサー「ちっ!」ガィンッ
ヒメ「」シュタッ
フィクサー「無粋な…まだ会話の途中だろうが?」シュタッ
ヒメ「おまえの痛々しい妄想話をいつまでも聞いてられるほど寛容じゃないんだよ!」イラッ
フィクサー「なんとでも言え。実現させれば誰もが我が前に控える。
恩恵にあやかれると感じれば憎悪さえ忘れてしまうのが人という生き物なのだから」
ヒメ「ふん!もう遅いさ!」
フィクサー「なに…?」
ヒメ「おまえが来る前に先手を打たせてもらった!既に勝利は確定してるんだ!」
フィクサー「話が読めんな…?」
ヒメ「レジスタンスと西の帝国側に合議を持ち掛けて休戦を成立させた」ニッ
フィクサー「……!」ピクッ
ヒメ「腐っても名だたる軍長を押さえて王国軍の総指揮を務めた知将だ。当然、この意味が分かるよな?」
フィクサー「なるほど、そうきたか…」
ヒメ「軍略家のおまえには思いもよらなかったか?」
フィクサー「いや、この程度の画策は常套手段だ。開戦後に打つ手としては諸刃だがな」
ヒメ「踏み切るのは容易いさ。政略の点では立場上、僕の方が何枚も上手だからな」
フィクサー「だが休戦を成立させるには女王の言質が要るだろう。勿論、直接の交渉は済ませてあるのだろうな?」
ヒメ「……あぁ、双方の合意は取ってある」
フィクサー「そうか…」
837: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:13:23 ID:g5X5idGIPQ
ヒメ「これで分かっただろ。もはや争いは無用だ。僅かでも武人としての誇りが残ってるなら兵士達の命を尊重してやれ」
フィクサー「わたしに降伏を受け入れろと?」
ヒメ「そうだ!今なら、まだ内々に処理できる。無駄に命を散らさなくてもいいんだ!」
フィクサー「ほうほう、なるほど…」チャッ
ヒメ「男らしく腹を決めろ…!くだらない野心にとらわれるな!?」
フィクサー「断る」ザウッ ビュンッ
ヒメ「えっ……」ピッ
ヒメ「ふ…ぐっ……」プシャッ
ヒメ「う…ぁぁぁああああ!!」ブシャァァ
フィクサー「貴様こそくだらぬ嘘はよせ?」ニヤッ
ヒメ「いった…い…!あう……ぐぅぅぅ!!!」ボタボタ
フィクサー「おめおめと負けを認め、申し出を受け入れるなど…気高く美しい我が妃に限ってありえまい?」
ヒメ「お、まえ…!なにを…!?」ガシッ
フィクサー「彼女こそが唯一わたしと並び立つに相応しい女性なのだから」
ヒメ「〜〜〜!?」ギュウウ
フィクサー「しがみつくな」ドンッ
ヒメ「うあっ!?」ドタッ
フィクサー「クク…おおかた女王の親衛隊を言いくるめ、西国側の代理として進言させようとでも企んでいたのだろう?」
ヒメ「う……」ヨロッ
フィクサー「悪くない策だ。賭けとしては十分に成立するが…とんだ誤算が生じたな?」
ヒメ「はぁ!くそ…くそ…くそぉ…!!」ギリッ
838: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:15:57 ID:g5X5idGIPQ
フィクサー「丁度いい。貴様の首を持ち帰り、女王自らに訂正の旨を伝えさせれば苦労して案じた計略も雲散霧消するだろう」
ヒメ「ハァァッ!!」ヒュンッ
フィクサー「おっと」サッ
ヒメ「うぐ…!」バタッ
フィクサー「多少は健闘したが詰めが甘かったな」ズシッ
ヒメ「ぎぃ…くぅぅ」ズリッ
フィクサー「貴様の始末を優先して正解だった…。預言者の勘もまだまだ衰えていなかったようだ」グリグリ
ヒメ「ぎ、あぁぁぁ…!!」ジャリッ
フィクサー「が、何より単純に腸が煮えくり返っていたのだが…な!!」グンッ
ベシャアッ!!
ヒメ「」ピクピク
フィクサー「じっくりといきたかったが、もはや猶予をもたせるゆとりもなし…これまでにしよう」ジャキッ
フィクサー「さらば…幼き国王よ、平和にしがみついた惰弱として歴史の狭間に埋もれるがいい」バッ
フィクサー「」ヒュオンッ
ガシュッ!
839: ◆WEmWDvOgzo:2016/8/23(火) 23:19:47 ID:g5X5idGIPQ
フィクサー「……」
フィクサー「ぶ……」ゴポッ
フィクサー「……!?」ドロッ
フィクサー「な…んだ、と」ヒクッ
フィクサー「うっぐ……かだぁぁ!!?」クルッ ブンッ
ガキィィンッ!
フィクサー「ぎ、さまぁ…!?」ギンッ
団長「ふぅ…う!間に合ったな!」ギギギッ
フィクサー「がぁぁっ!!」ギャリンッ
団長「うぬ…!」タンッ
フィクサー「なぜだ…!?」ゼェゼェ
団長「はぁ…!陛下の身を最優先するは家臣たる……いや、忠臣たる務めよ!!」ググッ
フィクサー「足止めを命じた兵は…!?」プルプル
団長「大義を見失った者らにワシが止められると思うか!?」
フィクサー「ぐ、く……たかが私兵の分際で…よくも、げぅふっ…!」ゴフッ
団長「背中を切るのは武人の名折れだがやむを得まい…!陛下の命には代えられんからな!」ゼェゼェ
フィクサー「ちぃっ!!くそっ…がはあぁっ!!」ゴホゴホ
団長「今こそ成敗してくれるぞ!!覚悟は決まったか、フィクサー!?」
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