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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


725: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:15:42 ID:dDDS7ew8SI
〜〜〜〜〜〜

ドドドドドドッ

『ウオオオオ!!ファルージャを殺せぇ!!』

レジスタンス's「オォォオオオオ!!!」ダダダッ

レジスタンス1「ん!?あれは……」

ファルージャ「クスス……」フリフリ

レジスタンス1「はぅっ!!」ズキュンッ

レジスタンス2「び、美女だ?美女が手を振っている!」

レジスタンス3「あ、あの美女は誰だ!!」

レジスタンス4「女神様だ!きっとそうに違いない!!」

『な、なにしてんだ!ありゃどう見ても……』

ファルージャ「」チラッ

『うっ!』ドキンッ

オォォォォオオオオ!!!

『ま、まずい!一旦引き返すぞ!おい!おい!?』

ファルージャ「よきにはからえ?」ニコニコ

ワァァァアアアアアア!!!

『ちくしょう!なんだってんだよぉ!!』


(革命の一歩手前でファルージャ一人にしてやられた……)

(思えば何一つ上手くやれてねぇ……)

(けど……裏切られはしても裏切ることはしてこなかった)

(俺のくだらねぇ人生…後悔がねぇとしたら、そこだけか。ハハ……やっぱくだらねぇや)

…………………
726: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:20:40 ID:dDDS7ew8SI
―――宮殿(大階段)―――

クンバヤ「(あぁ…これが走馬灯ってやつか。イヤな事ばっか思い出させやがってよ…?)」

フィクサー「」ジャッ

クンバヤ「(こんなんでいいのかよ、俺は……最後の最期までパッとしねぇ)」

フィクサー「」ヒュオンッ

ザンッ!

ボトッ

クンバヤ「ってぇぇぇ……いいわけ、ねぇよなぁぁ!!!」プシャアアアアア

フィクサー「片腕を身代わりに致命傷を避けたか」ピシャッ

クンバヤ「ドォォルァァアアアア!!!」グワッ

フィクサー「」シュバッ

クンバヤ「ブごッ…!」バシュッ

ズダァァン!

フィクサー「愚かな…死に逝く苦痛を増しただけだ」スッ

クンバヤ「っ…あぁぐ!」ジワァァァ

フィクサー「足掻きもせねば楽に死ねたものを?」

クンバヤ「やっ…ばり…だ、べが……」ブフッ

フィクサー「今度は外さん?」チャキッ

クンバヤ「す、ぎに…しやがれ」ペッ
727: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:23:20 ID:dDDS7ew8SI
「でぁぁああ!!」ドッ

ザッ ブォンッ

フィクサー「!?」バッ

ガインッ! ズザザッ

フィクサー「……貴様」ジッ

クンバヤ「オッサン……」

団長「ちぃっ!」ジャキッ

フィクサー「…オドアイルめ。しくじったか」

団長「通路側の予備隊を撃破し、背後は陣取らせてもらったぞ!もはや貴様に勝機はない!!」

クンバヤ「…へっ」ニヤッ

フィクサー「……」

クンバヤ「そ…ゆうことなら……も、一踏ん張りだな」ググッ
728: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:27:29 ID:dDDS7ew8SI
団長「貴様の首さえ落とせば最後だ…!」

フィクサー「見くびるのも大概にしておけ」

王国兵65「さ、させるかぁ!!総指揮を守れぃ!!」ダッ

王国兵66「えやぁっ!!」ブンッ

団長「邪魔をするなぁっ!!」ザッ

バシュッ ズガッ ドシャドシャ

王国兵's「ひっ…」ブルッ

団長「半端な覚悟で、この決戦に水を差すでないわぁ!!」ギロッ

王国兵's「ひぇぇ!?」ズサァッ

クンバヤ「お、いつめた…みたいだぜ」ヨロッ

フィクサー「ふん…」ジッ

団長「兵法さえ封じれば、こちらのものだ!」ジリッ

フィクサー「…その深傷では勝負にもなるまい」

団長「む!?」ピクッ

クンバヤ「あぁ…!?」ピキッ

フィクサー「しかしこのような泥臭い無頼に縋りついてまで醜く足掻くサマは何より見苦しい…。
貴様も国王も恥を忘れた愚か者……軽蔑すら失せ、なにより哀れみの念が増すというものだ?」

団長「ぐぬぬ…!」ギリィッ

クンバヤ「んだとぉ…!?」ワナワナ
729: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:30:48 ID:dDDS7ew8SI
フィクサー「だが…これしきの戦力で善戦してみせた強引とも取れる突破力は評価に値する」

団長「随分と上から物を言ってくれるな…!?」

フィクサー「国軍の力無く西の主力軍を倒してみせたのも貴殿の功績による物と伺っている」

団長「馬鹿を申せ!陛下が迅速な判断をなさり、全員の意思を結託させてくださったからこそ得られた勝利だ!?」

フィクサー「建前は不要。本音で語ってみせろ?」

団長「なにぃ!?」

フィクサー「その剣の技巧たるや燻らせておくにはあまりに惜しい」

団長「べらべらと二枚舌を並べおって…言いたい事があるなら、はっきりさせんか!?」

フィクサー「闘争とは本能。生存とは競争。不平等は現し世の習いだ」チャッ

フィクサー「真に平穏を願うのであれば強者となり、弱者を屈服させるしかない」

団長「ねじ曲がった矜持だな…!理解に苦しむわ!」

フィクサー「どうだ、ルフィアス殿?力を持つ貴殿ならば分かり合えるとわたしは信じているのだが?」

団長「この期に及んで血迷ったか…?」

フィクサー「大陸総支配こそが平穏に通ずる唯一の道だ。我が片腕となり、共に目指さないか?平穏な世界を……」

団長「断る!!」キッパリ

フィクサー「惜しいな…。貴殿ほどの腕利きが弱き王の下で埋もれようとは?」

団長「抜かせぃ!貴様ごときが大それた口を聞くなぁ!?」ズイッ

フィクサー「…が、まぁ是が非でも欲しいという訳ではない」

団長「……?」

フィクサー「ここに積み上がる死体が一つ増えるだけのこと。後始末が面倒ではあるが」

団長「ぬぅぅっ…もはや聞き捨てならん!!」バッ

クンバヤ「俺も忘れんじゃねぇぜッ!!」ブンッ

フィクサー「」ヒュオンッ

ガインッ ギャリンッ キィィンッ!
730: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:34:06 ID:CTUVzw6Lcc
―――後宮(地下牢)―――

西兵's「」ザッザッ

ファルージャ「」ヒタヒタ

ヒメ「よく裸足で歩けるな?足を痛めないのか?」カツンカツン

ファルージャ「生まれが貧しいゆえ慣れぬのよ」ヒタヒタ

ヒメ「…貧民の出なのか?」

ファルージャ「うむ。長く宮廷暮らしに甘んじておるが未だにどうも履き物は落ち着かぬわ?」ヒタヒタ

ヒメ「(だから蜂蜜を指で掬って舐めたりしてたのか…。意識的にやってるのかと思ったけど)」

ファルージャ「教養も持たぬでな。字の読み書きはおろか己の年齢さえ知らぬ」

ヒメ「…それはさすがに冗談だろ?」

ファルージャ「嘘ではない。宮廷に呼ばれるまでの生活で妾が教わった事と言えば、せいぜい男の悦ばせ方と…何かしら腹に入れておけば死期が延びることくらいさな」サラッ

ヒメ「……」

ファルージャ「しかし不思議なものよなぁ…」

ヒメ「なにがだ?」

ファルージャ「あの頃と比ぶれば気まぐれに欲する物のほとんどが、この手の届く内にあると言えよう」

ヒメ「まぁ…そうだろうな」

ファルージャ「されど何かを掴めば掴むほど手放していいと思える物ばかりが増えるように思えてな」

ヒメ「?」

ファルージャ「…今となっては何を欲するべきかに迷うわ」

ヒメ「ふーん…話を戻すが人質は返してくれるんだろうな?」

ファルージャ「……ここよ?」ピタッ

ヒメ「……!」ピタッ
731: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:39:08 ID:dDDS7ew8SI
ファルージャ「」クイッ

西兵109「はっ…」ガッ

ガラガラ ゴゴォォン………

ヒメ「」ドキドキ

ファルージャ「クスス……」ニヤッ

ヒメ「は……?」ドクンッ

ヒメ「」ドクンドクンドクンッ

ヒメ「」ガタガタブルブル

ヒメ「わ、わ……わあああああああ゙あ゙あ゙あ゙!!」ダッ

ガシッ

ヒメ「は、はなっ……」グッ

ガツンッ!

ヒメ「おぐっ!!」ドサッ

西兵108「じゃかあしいんだよぉ!だぁっとけや!?」ギロッ

ヒメ「ぅ…ぐ……」ピクッピクッ

ファルージャ「なぜ取り乱す?せっかく無事を拝ませてやったと言うに…?」ニヤニヤ

ヒメ「おまえ…ふざけるなよ?」キッ

西兵108「あぁん!?なんつったぁ!?」ズイッ

ファルージャ「その辺でよい」サッ

西兵108「へい!」スッ

ファルージャ「なんぞ気に食わぬことでも?」

ヒメ「ぅっ…う、くく…!」フーッフーッ

ファルージャ「およそ絶世の美女に向ける眼差しとは思えぬな?」ニヤニヤ

ヒメ「醜悪だよ…!おまえを取り巻く何もかもが…!?」ギリィッ

ファルージャ「フゥン……ま、入ろうぞ?」ヒタヒタ

ヒメ「……!」ムクッ
732: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:42:05 ID:CTUVzw6Lcc
―――地下牢(最奥の独房)―――

ファルージャ「ふむ…よい具合ではないか?」

魔導師「あ、女王…」スクッ

ヒメ「……!」プルプル

魔導師「ん…なにそのガキ」ジロッ

ファルージャ「生きておるかえ?」ツンツン

カロル「」ボタボタ

魔導師「そっちは寝てるよ。こっちは元気だけど」チラッ

ラム「むぐ…ンンーッ!!」ギチギチ

ヒメ「ラム!?」

ファルージャ「ン…こやつはなんじゃ?」

魔導師「なにって……女王が連れてきたんじゃん」シラー

ファルージャ「はて?そうだったかの?」

魔導師「え〜……」

ヒメ「カロル……カロル…!なぁラム…カロルは…!?」ブルブル

ラム「む…うぅぅ……」プイッ

魔導師「ふーん……」ジッ

ヒメ「おい…おまえ、なにしたんだよ?なんで……なんでカロルが…こんなことになってるんだよ!?」ガッ

魔導師「おっとと…初めまして?第一印象サイアクだけど?」グンッ

ヒメ「なにしたかって聞いてんだよ!?」ユサユサ

魔導師「あぐ…ちょ……く、くるし…から」ブランブラン

ファルージャ「パカラゥロ。教えておやりな?」

魔導師「や、やぶさかじゃないんだけど……は、離してくれるかい?」ブランブラン

ヒメ「っ…」パッ

魔導師「ふぅ……」ゴホッ
733: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:47:40 ID:dDDS7ew8SI
魔導師「…1日1痛がこの坊っちゃんに与えられた義務なんだとさ」

ヒメ「は…!?」

魔導師「お仲間を目の前に繋いで気まぐれに一ヶ所、まぁなんかやって痛め付けるんだけど」

ヒメ「なんだよ、それ!?」

魔導師「もし力を使って傷を癒したりしたら仲間にそっくりそのまま同じ痛みを与える…。
耐えかねて命乞いとかしたら仲間と役割交代。その繰り返しさね」

ヒメ「……!?」チラッ

カロル「……」ダラァァン

ヒメ「(全身におびただしい痣と裂傷…右手首から先が千切られて雑に血止めしてある…釘……蝋……ピアス……焼かれたのか…腹から胸にかけてめくれて…!?)」ウプッ

魔導師「ま、今んとこ交代してないけど…ガッツあるよねぇ」

ヒメ「いったい…いつから……」

魔導師「ここに来てから。自分も最近、知らされた」

ヒメ「それって…!?」

魔導師「打っても切っても刺しても焼いても抜いても剥がしても我慢できるんだから偉いよねぇ?自分だったらゾッとするよ?」

ヒメ「ゔっ!ぐぇぇぇぇ!!」ゲロゲロ

ビタビタッ ビチャッビチャッ

ファルージャ「ほんに痛ましい…そなたもむごい事をするものよ?」

魔導師「や、だから女王がやらせたんじゃないの?」

ヒメ「ら、ラム…おぇ…ホン、トか?」ハァッハァッ

ラム「……!」ウルッ

ヒメ「!!!」ゾワッ
734: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:54:57 ID:CTUVzw6Lcc
魔導師「なんにしたってよかったじゃないの?お友達に守られたんだから?友情、友情?」ポンポン

ラム「うぅ〜!!むぐぅぅ!!」ジタバタ

魔導師「シャルウィンに磔にされてた時は痛そうで見ちゃらんなかったけど……君の痛みはぜーんぶ彼が肩代わりしてくれるとさ?」ツンツン

カロル「」ジャララッ

ラム「がぁぁぁ!!!ばあぁあああ!!!」ガシャッガシャッ

魔導師「んふ…んふふ」ニタニタ

ファルージャ「今宵の趣向は?」

魔導師「うーん…そうだねぇ。歯は抜いたし爪や生皮もだいぶ剥がしたし…ベタなとこはあらかたやり尽くしちゃったんだよねぇ」ムムムッ

ラム「〜〜〜!!」ガシャッガシャッ

魔導師「ありきたりだけど目でもくりぬいてみようかね?」

ヒメ「……!」ブチィッ

魔導師「今夜はゲストもいるんだし盛り上げ……」チラッ

ザウッ シュッ

魔導師「なきゃ……え?」ハッ

バキィィィッ!!

魔導師「むげぇええ!!」ズダァァン

ファルージャ「あら……」

ヒメ「ゆるさない…!」ゼッゼッ

ラム「!?」ビックリ

ヒメ「殺してやる…!おまえら全員…皆殺しにしてやるぅっ!!」カッ

ファルージャ「武具を取り上げられたそなたがこの手勢を相手にどう立ち回るのじゃ?」

ヒメ「わぁぁあああ!!!」ザッ

ファルージャ「フフ…やっておしまいな?」クイッ

西兵's「らぁぁぁっ!!!」ザザザッ
735: ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 22:59:25 ID:CTUVzw6Lcc
バキッ ガンッ ゴッ ビタァァン

ヒメ「」ドサッ

ファルージャ「ほれ、たわいない?」ニヤニヤ

ラム「あ…う、うぅぅ〜〜やぇおぉぉ!!」モガモガ

西兵's「ゲヒャヒャヒャヒャ!!」ゲシッゲシッ

ファルージャ「殺すでないぞ?」

西兵's「へいっ!」スススッ

ヒメ「」ベシャッ

ラム「むぅぅううう!!!むぅぅううう!!?」ガシャッガシャッ

ファルージャ「パカラゥロ?」

魔導師「」ハラホロヒレハレ

ファルージャ「フゥ〜……そなたも魔術を差し引けば、ただのか弱き娘よな?そのまま寝ておれ?」シラー

736: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/5/19(木) 23:05:36 ID:dDDS7ew8SI
西兵111「女王!お楽しみのところ申し訳ありません!!」タタタッ

ファルージャ「ン…?」

西兵108「あぁ!?どしたぁ!?」

西兵111「敵兵が渡り廊下を通過し、後宮内に侵入してきました!!」

西兵108「んだどぉ!?」ビキッ

西兵111「取り急ぎ始末に向かいますが女王はどうか安全な場所へ避難を!?」

ファルージャ「この地下通路に入ってきてから対応すればよかろう」

西兵111「は!?それでは避難経路が使えませんぞ!?」

ファルージャ「構わぬ。値打ちのある人質も捕らえたでな。いざとなれば、これらを利用するまでよ」

西兵111「か、かしこまりました!」

ファルージャ「さて…ついでに国王も繋いでおやり?」

西兵108「へっ!お安いご用で?」ジャラッ

ヒメ「」クタァァァ

ラム「!」オロオロ

ファルージャ「フゥ…寝むとうてならぬわ。誰ぞ部屋で身体を揉みほぐしておくれな?」ヒタヒタ

西兵108「お、おでが!!」ハイハイ

西兵109「い、いやぁ俺が!!」ハイハイ

西兵110「わ、私こう見えて按摩には自信が!?」ハイハイ

ファルージャ「別に誰でもよいわ…」ヒタヒタ

西兵's「お、お待ちください!女王!!」カツンカツン

ラム「ぅ…むぅ……!」プルプル

ヒメ「」ピクッピクッ

カロル「……」ダラァァン

ラム「〜〜〜!」キュゥゥッ
737: 支援ありがとうございました!遅くなってすみません! ◆WEmWDvOgzo:2016/6/2(木) 22:07:36 ID:0/OGOTd61c
―――後宮(通路)―――

ズカズカズカ ズカズカズカ

ワァーワァーキャーキャー!

賊徒10「うらぁ!?女王はどこだ、吐きやがれぇ!?」ガッ

宮仕え1「ひ、ひぃぃ!?わたくしどもはなにも!?」ガクガクブルブル

宣教師「やめなさい!戦えない方々に乱暴してはなりません!」

賊徒10「うるせぇ!女はすっこんでろ!?」

宣教師「私の性別とあなたの行いは関係ないでしょう!無闇に狼藉を働くのはやめなさいと言ってるんです!」

賊徒10「んだと〜!?」ギロッ

宣教師「あなたもですよ!」

宮仕え1「え…?」ビクビク

宣教師「あのように身勝手な女を庇ってどうなるんですか!自分を苦しめているだけだと、なぜ気付かないのです!」

宮仕え1「……!」

宣教師「居場所を教えてください!あなた達の安全は私が保証しますから!」

賊徒10「おうおう、姉ちゃん!なに勝手に決めてんだ!?」

宣教師「何か異論でも?」ジッ

賊徒10「あぁ!?」ズイッ

宣教師「なんですか!?」ズイッ

賊徒10「うぅ…くっ……こ、この尼!?」タジッ

宮仕え1「」ブツブツ

宣教師「?」チラッ
738: ◆WEmWDvOgzo:2016/6/2(木) 22:10:33 ID:EpaEGFgW5M
宮仕え1「じょ……るな」ブツブツ

宣教師「はい…?」

賊徒10「お?なんだぁ!?」ギロッ

宮仕え1「俺の女王を……侮辱するなぁぁあああ!!!」スチャッ

宣教師「!?」ビクッ

賊徒10「うおぉ!?てめぇどこにナイフなんか忍ばせてやがった!?」オロオロ

宮仕え1「アァァァアアアアアアア!!!」ダッ

宣教師「や、やめなさ……」アセアセ

ズンッ!

宮仕え1「ご……ぶ」ブシャッ

ズボッ

宮仕え1「」バタァァ

レジスタンス11「ちっ!なにをやってんだ?」ジロッ

賊徒10「た、助かりやした」ペコッ

レジスタンス11「おら、引き締めろ!」バンッ

賊徒10「へい!すいやせん!」ペコッ
739: ◆WEmWDvOgzo:2016/6/2(木) 22:11:33 ID:EpaEGFgW5M
レジスタンス11「おい、王国人!てめぇもだ!」

宣教師「……」

レジスタンス11「敵とじゃれ合ってんじゃねぇぞ!ふざけてんのか?」

宣教師「助けてくださったのは感謝します。ですが私が間違っていたとは思えません」

レジスタンス11「なぁにぃ〜…?」ビキッ

宣教師「戦わなくていい相手まで痛めつけることはないでしょう」

レジスタンス11「で、この有り様か?」

宣教師「…軽率ではありました。反省しています」

レジスタンス11「反省だぁ?ちっとも分かっちゃねぇ!」チッ

宣教師「?」

レジスタンス11「こいつらはなぁ……骨の髄まで絞られて、あの女無しにゃ生きてけねぇようにされちまった腑抜け共だ!?」

宣教師「……」

レジスタンス11「甘い考えを捨てきれねぇなら今すぐ抜けろ。足手まといもいいとこだ」

宣教師「………」
740: ◆WEmWDvOgzo:2016/6/2(木) 22:14:37 ID:EpaEGFgW5M
宣教師「…私は宣教師です」

レジスタンス11「……はぁ?」ポカーン

宣教師「人々に教え、導き、説く聖職者である以上、非道を見過ごす訳にはいきません」

レジスタンス11「てめぇがなんだろうが知ったこっちゃねぇ。足並みを揃えらんねぇなら邪魔だっつってんだよ!」

宣教師「ただ不満を爆発させ、憤りを暴力で発散するだけでしたら誰にでも出来ます!」

レジスタンス11「あ?」

宣教師「あなた達はこの戦いを愚劣な惨劇にしたいんですか?
それとも弱き民が圧政に立ち向かい、みごと打ち勝ってみせたのだと誇れる勝利で締めたいのか…どちらなのです?」

レジスタンス11「当然、後者だ?」

宣教師「でしたら忠告を……」

レジスタンス11「忠告?」

宣教師「私達が生きる今は常に未来へと繋がっています。
だからこそ私達は言葉や行いを正しくし、志を高く持たなければなりません」

レジスタンス11「んなもん、とうに分かりきってるだろ…?」

宣教師「あなた方が死に物狂いで掴もうとしている平和も…振る舞い次第で束の間の物となってしまいますよ!」

レジスタンス11「なんだと…?」

宣教師「どんな正しい行いも美徳がなければ、ただの自己満足になってしまいます。今一度、考えてみてください」

レジスタンス11「……」

宣教師「ここで無意味な殺戮に興じれば、あなた方に正義を見いだす人達まで殺戮を正当化してしまうかもしれないんですよ!」

レジスタンス11「」ポリポリ
741: ◆WEmWDvOgzo:2016/6/2(木) 22:18:15 ID:0/OGOTd61c
レジスタンス11「回りくどいな…。結局、なにが言いたい?」

宣教師「弱き民に降りかかる受難、理不尽、あらゆる圧迫……。
それらを振り払うには武器を取り、容赦を忘れ、怒りのままに殺戮を尽くせばいい」

宣教師「先人がそうしたように……自分たちもまた殺戮を起こす権利があるのだと錯覚するのです」

宣教師「暴力衝動を"勇気"と言い換え、おびただしい血に濡らした手を"正義"と称え、繰り返してはならない過ちを数多の歓喜が拭い去る……」

レジスタンス11「だからなんだ?」

宣教師「だからなんだ…ですって!?」カッ

レジスタンス11「イアマンによって召された魂はザリオンへと還る。
こいつらは幸福な死を享受できる贅沢な連中なんだよ?」

宣教師「それがあなたの答えであり、イアマンの教えなのですか…?」ジトッ

レジスタンス11「あぁ、そうなるな」

宣教師「狂った信仰ですね」

レジスタンス11「なっ…今、なんつった!?」カッ

宣教師「狂ってると言いました。あなたも、そのイアマンとかいう神も?」

レジスタンス11「こ、殺……!!」ブチィッ

宣教師「人を殺し合わせる神がいてたまりますかっ!!」キッ

レジスタンス11「っ…!?」ビクッ

宣教師「そんな神がいたとしたら、それは神を騙る邪悪な魔物でしょうね!」

レジスタンス11「なんだとぉ…イアマンを冒涜する者は許さんぞ!?」ガァーッ

宣教師「罪悪から逃れたい一心で、でたらめに偶像崇拝しているだけでしょう!?」

レジスタンス11「!!!」ビキィッ
742: ◆WEmWDvOgzo:2016/6/2(木) 22:24:00 ID:0/OGOTd61c
レジスタンス11「か、仮にも宗教団体の長ともあろう者が……教えは違えど信仰を!強固たる希望を全否定していい道理があるのかぁ!?」ワナワナ

宣教師「関係ありませんね!間違っていれば間違っていると、はっきり言わせていただきます!!」

レジスタンス11「ならばお前の信じる神を侮辱されたら、どうだ!?何も感じないと言えるのか!?」

宣教師「間違っていたなら受け入れますよ!そもそも私の教団では神なんて信じていませんけどね!?」

レジスタンス11「んなぁ!?神が存在しないだと!?」ガーン

宣教師「存在しないとまでは言いませんが…いくら私達が信じ、崇め奉ったところで神が救いの手を差し伸べることはないと言い切れます!」

レジスタンス11「こ、こ、この……異端者めぇ!!」ブチィッ

宣教師「そんなに都合良く救ってくださるなら今を必死に生きているのが馬鹿馬鹿しくなりますね!?
だいたい信じる者しか救わない神の手を借りるなんて願い下げですよ!」

レジスタンス11「じ、自分が何を言ってるか分かってんのか…!?」プルプル

宣教師「分かってますよ!意思を持って生まれてきたからには神の気まぐれに踊らされる玩具でなどありたくないと言ってるんです!」

レジスタンス11「ぐっぬぅぅ……!!」ギリッ

宣教師「世界を動かし、未来を切り開くのは他の誰でもありません。自分自身です!」

レジスタンス11「だ、だったら…お前らは何を信じているんだ!」

宣教師「ですから…自分自身と言ってるでしょう?」

レジスタンス11「はぁっ…!?」
743: ◆WEmWDvOgzo:2016/6/2(木) 22:25:24 ID:0/OGOTd61c
宣教師「その手を血に染め、命を奪う罪悪も…それら全てを抱えてでも平和を勝ち取ろうと戦う勇気も…神のせいには出来ませんし、神のおかげでもありません!!」

レジスタンス11「っ……!」

宣教師「たとえあなた方の行いが神の意思によるものだとしても…私は絶対に屈しません!神を説き伏せてでも自分の意思を貫いてみせます!」

レジスタンス11「い、イアマンは……神の化身だ!俺たちは神の力を賜った戦士だ!!」

宣教師「いい加減、神などという便利な言葉に頼るのはおやめなさい!」

レジスタンス11「ぐ……!」

宣教師「あなたはあなたの意思で、ここにいるのでしょう?」ジッ

レジスタンス11「……!」

宣教師「奪った命に償う術はありませんよ!その後悔から救ってくれる神もいません!
懺悔に苦しみ続ける覚悟が無いのなら勢い任せの横暴は即刻やめさせなさい!!」

レジスタンス11「……屁理屈ばっか並べやがって!」ギリッ

宣教師「えぇ、理屈がなければ主張を通すことはできませんからね!」

レジスタンス11「もういい!勝手にほざいてろ!異端者が!」ペッ

宣教師「……!」
744: ◆WEmWDvOgzo:2016/6/2(木) 22:27:52 ID:EpaEGFgW5M
レジスタンス11「おい!武器を隠し持ってる奴がいたぞ!」

賊徒11「ういっす!じゃあ殺しても問題ねぇと…」

宣教師「待ち……」

レジスタンス11「いぃや!時間もねぇし頭数も少ねぇから、とっとと女王の居所を突き止めるぞ!」

宣教師「えっ」

レジスタンス11「……」

賊徒12「つったって、どうやって見つけんだ?」

レジスタンス11「だいたいの見当はついてる!1階に降りるぞ!」

賊徒13「こいつら、どーすんだ?」

宮仕え's「〜〜〜!」ブルブル

レジスタンス11「……」チラッ

宣教師「……」ジーッ

レジスタンス11「ほっとけ。さっさと行くぞ」スタスタ

賊徒13「うい」スタスタ

宣教師「……」ニコッ

レジスタンス11「…なに笑ってんだ?」ジロッ

宣教師「いえ?」ニコニコ

レジスタンス11「ちっ!うざってぇ…」ブツクサ

宣教師「ふふ!」スタスタ
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うpろだ
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