http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
64: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:18:36 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「お前という奴は……お前という奴はァァアアア!!!」バッ
将校1「ひぃっ!!」ダッ
将校2「に、逃げ……」
将軍「なんと果報者なのだぁぁァァアアア!!」ダキッ ギュウウウウウ
参謀「ぐっ!うぎっ!?」ゴキゴキ
将校1「は?」
将校2「ん!?」
将軍「我輩を女王と結びつけ、更には全世界を差し出そうとは…やはりお前は果報者ヨォオオオ!!ヌハハハハハ!!」パッ
参謀「おぐっ!うぶっ……ぜぇ…ぜぇ…ありがたき…しあわせ」ゲッソリ
将軍「…で?どの程度掛かりそうだ?」
参謀「3年は……」
将軍「そうか。半年か」
将校's「」ギョギョッ
参謀「1年……」
将軍「さすが我輩の認めた切れ者よ?1ヶ月ときたか?」ニヤリ
参謀「…かしこまりました。半年でなんとか手を打ちましょう」
将校1「(さ、3年越しになる作戦を……半年でだと!?)」
将校2「(む、無茶苦茶にも程がある…!)」
将軍「ヌハハハハハ!!なんとめでたいことか!今宵は酒がうまそうだ!!のう?」
参謀「…各隊の補給、運搬班に酒肴の用意を?」
将校1「わ、分かった…!」
将軍「ピクスィよ?後で我輩の寝屋に来い?久々に可愛がってやろう?」ニタァァァ
参謀「ありがたい申し出ではございますが半年後に向けて作戦を組み直さねばなりませんので宴席も空けたいと……」
将軍「二度言わすな?」ビキッビキッ
参謀「……かしこまりました」ペコッ
将校's「……え?」ピクッ
65: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:21:43 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜夜〜〜〜
将軍「遠慮はいらんぞ!今日は大いに飲むがいい!?」
ギャハハハハハ!!
ドンチャン ドンチャン
将校1「…参謀と将軍はどういう関係なんだ?」グビッ
将校2「分からん…。色仲であるのは間違いなさそうだが…」グビッ
将校1「ファルージャ様一筋ではなかったのか?」
将校2「それとこれとは別なのだろうよ?そばに愛人を囲う将など腐るほどいる?」
将校1「し、しかし相手は男だぞ…!?」
将校2「そう珍しい話でもない。まさか閣下が衆道を嗜まれるとは思わなかったがな」
将校1「……!」
将校2「まぁ確かにあの参謀は指揮官の割に年若い。顔の造りも…まぁまぁまぁ」
将校1「何を言ってるんだ!あんな優男の分際で屈強な兵の上に立ち、挙げ句、閣下に擦り寄るなど気色の悪い!!」
将校2「閣下に聞かれたら殺されるぞ?」
将校1「うっ……いったいなぜ閣下は…血迷っておられるのか?」
将校2「…俺もよく知らんがピクスィが参謀として軍に所属したのは14の事だそうだ」
将校1「14!?俺が小隊を任されるようになった歳でさえ奴の倍だぞ!?」
将校2「前皇帝時代から将軍に仕えていたらしいが誰も奴の詳細は知らない…。謎の多い男だよ」グビッ
66: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:23:17 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「ギャハハハハ!!分かってねぇなぁ、君たちぃ!?酒の肴は女と決まってんじゃないのよぉ!?」モミモミ
西の女1「イヤァーン!!タビラ様のエッチぃ?」
西の女2「あーん感じちゃーう?」
将校1「…ちっ!女タラシが?」
将校2「あれに聞いてみるか?軍の中じゃ古株だしよ?」
将校1「宮女喰いで悪名高いタビラにか!冗談じゃねぇ!?」
将校2「参謀殿の疑惑を晴らしたくないのか?色事で上官職に就いてるとしたら蹴落とすにゃいい口実になるぞ?」
将校1「しかたねぇな…。ピクスィのような陰間の優男に仕切られて動いてるかと思やぁヘドが出る!徹底して暴いてやろうぜ!?」
将校2「よしきた…軍曹殿!こちらで一緒に飲まぬか!?」
軍曹「あん?男となんか飲んでられるかい?隅で牛の小便でも飲んでろ?」
将校1「」ブチィッ
将校2「こらえろ、こらえろ」サスサス
軍曹「お前らモーホーかぁ?綺麗所が並ばねぇたぁ寂しいなぁ?」
将校2「」ブチィッ
将校1「お前がこらえろと宥めたんだぞ…?」サスサス
67: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:27:13 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「将軍と参謀の仲ぁ?」
将校1「あぁ、先ほどただならぬやり取りを聞いてな?」
軍曹「そうかぁ?成り上がりのお前らは知らねぇかぁ?叩き上げの俺らは昔から周知のなんとやらだがなぁ?」ヘラヘラ
将校1「」イラァッ
将校2「やはりそういう関係なのか…?」
軍曹「つってもねぇ…そんなんじゃねぇぜ?あいつは俺らん中でも生粋の叩き上げさぁ?
並み居る軍師をはね除けて最年少であの地位に登り詰めた天才ってやつだな!」ヘラヘラ
将校1「…色事で将軍に取り入ったんじゃないのか?」
軍曹「君たちぃ?カカドゥーラ様を分かってねぇなぁ?」ヘラヘラ
将校2「どういうことだ?」
軍曹「あの方はよぉ?何かにつけて弱い者いじめをしたがる?
抵抗の少ない赤子や女、老人を痛め付けるのがだぁぁ〜い好きだぁ?」ヘラヘラ
将校2「」ゾクッ
軍曹「西の国が野蛮だとされるのは…もっぱら閣下の行いの悪さにある?
殺しを楽しむのに飽きた猛将の下品な遊び心が西の武勇を貶めてる訳さぁ?」ヘラヘラ
軍曹「だがしかし…その他の追随を許さない蛮行があらゆる意味で名を広めた?
大魔導師パカラゥロ、宝石商シャルウィンと並び称されるものの…格で言えば圧倒的に殺戮将カカドゥーラが上回る?」
軍曹「西の国に対する各国の畏怖は…ある意味カカドゥーラ様への畏怖なんだよぉ?分かる?」ヘラヘラ
将校1「」ゴクリ
将校2「…カカドゥーラ様が参謀への見方を甘くしている可能性は?」
軍曹「万に一つもありえねぇ?だが一つあるとすりゃ…奴の出生の秘密だ!」
将校1「出生の…」
将校2「秘密…?」
68: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:29:32 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「奴に関する経緯は閣下以外、誰も知らねぇ?
だが奴は4歳から高名な軍師に引き取られ、9歳で初陣を飾り、兵500を率いて2000の無国籍軍を打ち破った化け物だ?」
将校1「(4倍の数を…9歳のガキが!?)」
軍曹「当然っちゃ当然の出世だが…異例っちゃ異例の出世だ?当時は皆、頭を悩まされたぜぇ?」
将校2「…そ、それは凄いがなぜ9歳のガキが指揮官の任で初陣を?」
軍曹「おうよ、そこが奴の謎を深めてる?」
将校1「…奴の謎とはなんなんだ!?」
軍曹「…閣下は弱者を理由に守られる存在ってのが許せねぇんだとよぉ…?
弱い奴は弱い奴らしく苦痛の末にへし折れて無様にのたれ死にやがれってのがあの方の持論だぁ?」ヘラヘラ
将校1「ん?」
軍曹「何か裏があんだよぉ?奴は?」
将校2「つ、つまり参謀殿はただの愛人ではなく…!」
軍曹「あぁ、なんらかの秘密を抱えた"慰み者"である可能性が高い!」ニタリ
将校1「…!?」
軍曹「ボインでやらけぇ女の肉は最高さぁ?男色趣向なんざ俺には一生、わからねぇ趣味だな?」
西の女1「ねー?話終わったぁ?」ヒシッ
西の女2「あたし達も相手してよぉ?」ヒシッ
軍曹「いいねぇ〜?とことんイクとこまでイこうぜぇ〜?」モミッ
将校1「(いったい参謀殿は……)」
将校2「(何者だ…?)」
69: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:33:54 ID:rjm0FZnxdY
―――将軍の砦(回廊)―――
カツンカツン カツンカツン
将軍「…よい酒であったわ」フラッ
参謀「大丈夫ですか?過度の飲酒はお身体に障りまする。どうか部屋でお休みに……」
ガシッ グワッ
参謀「っ!?」ムグッ
将軍「…誤魔化せるとでも思うたか?」グッ
参謀「っ……!っ…!?」
将軍「眠り薬など仕込みおって…小癪な!我輩には通用せんぞ?」ググッ
参謀「お…はな…しくだ、さい!」プルプル
将軍「解毒薬を出せ?」パッ
参謀「げほっ!ごほっ!」
将軍「さっさと出せ…?」ギロッ
参謀「は、はい…」ゴソゴソ スッ
将軍「ふん…」グビッ
参謀「(くそっ…!)」ギリッ
将軍「さぁて…ヤるか。今夜は寝れぬものと思えよ?」
参謀「…先日、領内から拐った女達ではいけないのですか?」
将軍「貴様がいいのだ?我輩が手塩に掛けて育ててやった…みじめで虚しい皇女殿?」クイッ
参謀「…その呼び方はおやめくださいませ」プイッ
将軍「くっ…ぐふふ!」ニヤニヤ
参謀「(あの"妾"にしろ…こいつにしろ…性の匂いがする者にロクなのはいない…!)」ギリッ
70: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:42:52 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜回想(参謀)〜〜〜
ダダダッ バババッ
西の宮女「はぁ…!はぁ…!」
赤ん坊「ウアアアン!!」
ザッ
西の宮女「」ハッ
将軍「見つけたぞ?」ニヤリ
西の宮女「ど、どうか…お見逃しくださいまし…!?」
将軍「ならんな?皇帝陛下の下に連れ帰らせてもらう?」ザッザッ
西の宮女「…この子は女に生まれた身!王位争いとは無縁なのです!どうか!」
将軍「ならなぜ堕胎しなかった?」
西の宮女「慈悲を…!もう…こんな場所で生きていくのは疲れたのです!この子と二人、安らかに……」
将軍「安らかに眠りたいと?」
西の宮女「……!?」ギュッ
ズバシャッ! ポトッ
赤ん坊「ぎゃあああああ!!」ベーベー
将軍「ムフフ…陛下の隠し子、というより隠された子か?
お前の母が犯した罪は大きい。皇族に生まれながら…日陰の奴隷として一生を過ごす事になるだろう?」
将軍「が、しかし…宮女共の堪え性の無さもまた異常だ。
今月も5人の皇子が他界したしな。そう思えばお前はまだ運がいい?」
将軍「…何はなくとも血族であるのは確かだ。皇帝陛下の先々を考慮し、我輩が内密に飼っておいてやろう?」ニタァァァ
将軍「…しかしこの宮女、なかなかの美人であったな。我ながら惜しいことをしたか」チッ
…………………
71: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:45:29 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜明け方〜〜〜
―――西の国(砂漠地帯)―――
ザスッザスッ ザスッザスッ
参謀「……」
軍師「顔色が悪うございますが到着まで眠られては?」
参謀「そうもいきませんよ。いつイアマンの反逆者共が刺客を放つか分からないですからね」
軍師「ここ2年ほどは閣下も落ち着いておられましたが…いやはやまた卑しい目を向けられるとは」
参謀「…"そこ"だけはあの"妾"に感謝してたのですがね。
まぁ閣下も我欲の強い男…王位から退かれたとはいえ、一応の皇族である僕をなぶって自己満足に浸っているのでしょうよ」
軍師「…辛いですな」
参謀「そう言ってくださるのは貴方だけですよ。師匠殿」
軍師「師匠だなどと恐れ多い?私はただの配下にございまする?」
参謀「…ご心配には及びませんよ。僕はまだ諦めておりませんから」
軍師「それは良うございました。私も微力ながら貴方様の背を押させていただきたいと存じておりまする。"皇帝陛下"」
参謀「気が早いですよ」
軍師「いずれはそうなるのですから同じことかと」
参謀「あの妾の台頭で一度は失敗に終わりましたが…まぁ問題ありませんね。
むしろ正統な王位を継ぐ次期皇子共を皆殺しにしてくれたので助かりましたよ…」
軍師「……」
参謀「この国の長所は軍の強大さにあらず…独裁制を許される政治的圧力の強さに起因します」
軍師「(軍事のみならず政治の才も一線を画する…。やはり私の目に狂いはない!)」
参謀「僕もそろそろ軍の一指揮官から…ちょうど良い位置まで駆け上がりましょうかねぇ?」ニヤリ
軍師「(この方こそ王の器なり…!)」
72: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:49:11 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜
―――王国軍の砦―――
フィクサー「…読まれた、か」コトンッ
副官「えぇ、えぇ、そのようで?」
ドレッド「どういうことだ!西の国の貿易拠点に流布したんじゃないのか?」
フィクサー「奴らが動くそぶりが見られない。作戦を見破られたようだ」
ドレッド「見破られただぁ!?野蛮で愚図な西の連中にそんな勘のいい野郎がいるってのか!?」
フィクサー「敵の戦力を見誤ったかも知らんな」
ドレッド「ちぃっ…!救い主をエサに奴らが不利な国境・山岳地帯に誘きだして一網打尽にする手筈だったんだろうが!?
ここで大々的に勝利の狼煙をぶち上げて一気に西の本国を詰めりゃ終わる話だったんだぞ!?」
フィクサー「さすがにそうはいかんよ。地理を把握する者ならばある程度の予測は立てられる。ましてや敵は百戦錬磨の強国だ」
ドレッド「なにぃ!?だがあんたの作戦じゃ…?」
フィクサー「だからこそ敢えてこちらの誘いを外し、貿易拠点から少々離れた高原地帯に侵入し、奇襲を迫ってくるかと考えていたが……」
ドレッド「結局はあてが外れたんだろう?全部台無しだ!くそっ!?」ガタンッ
73: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:50:13 ID:rjm0FZnxdY
副官「どうも引っ掛かる?」
ドレッド「なにがだ!」
副官「政務官殿の話では以前にも西の国が予想だにしない政治戦略に打って出たとか?」
ドレッド「こっちとは関係ねぇだろ!」
副官「西の国は軍事国家、あくまで軍主体の統治を掲げている?
その証拠に女王直属の配下、三銃士にも政務に携わる者はおりませんよねぇ?
しかし今はどちらかと言えば外交や同盟破棄の手引きなど政治色の強いやり方が目立っている…」
フィクサー「軍略、政治、どちらにも長けた切れ者がいるのかもな」
ドレッド「…軍の最高指揮官は"殺戮将カカドゥーラ"だろう?それ以外で目立った奴は知らんぞ?」
フィクサー「どうやら…甘く見過ぎていたようだ」
副官「ふむ。非常にまずい立ち回りとなりましたねぇ。
敵に攻め入る気が無ければ動きようがないですから?」
ドレッド「お、おい…それじゃどうすんだ!?」
フィクサー「…敵が誘いに乗らない以上、わたしに軍を動かす権限はない。
来るべき日に向け、軍備を強化し、各地に防衛線を張り巡らすぞ」
副官「ははっ!」
ドレッド「また一からやり直しかよ…。西の蛮人の分際でしゃらくせぇ真似を…!」ギリッ
フィクサー「(…時代が少しずつ我ら軍人に傾いてきた。この機を逃す手はない。西国の内部に探りを入れてみるとするか)」
フィクサー「(どの史実をめくってみれど…血にまみれた時代が最も面白いからな)」ニヤリ
74: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:04:21 ID:YUaqlqK50k
―――王国(議場)―――
ヒメ「ふっ…」クスッ
ウダウダ ギャーギャー
高官1「であるからして…それは…!」ギャーギャー
高官2「ここは万に一つの望みを賭けて武力行使に打って出るべきだ!!」ギャーギャー
ネバル「西の国の人達はお腹空いてるです!ごはんをあげて説得するです!!」ギャーギャー
高官3「救い主を差し出してはいかんのか!?血を流すよりマシだろう!?」
高官4「貴様!!救い主様は陛下のご友人だぞ!?」
政務官「奴らは争いそのものを楽しむ感覚の持ち主だ!たとえ目的を遂げたとしてもおとなしく引き下がるとは思えん!
奴らを説得するのではなく奴らが納得せざるを得ない状況を作らねばならない!!」
ヒメ「(戻してやった貴族上がりの高官達も積極的に意見を出すようになった。
政務官の本格復帰で息を吹き返したんだろうが…さすが王国1の弁舌家だ。
周囲を煽り、明確な目的意識を促す力に長けている)」
ネバル「おいらの知り合いに美味しい大根を作ってる農家があるです!そこの大根おろしは絶品です!西の国の人達も飛び上がって和睦するです!!」ギャーギャー
ヒメ「(とりあえずあいつは後でぶっ飛ばすとして…良い流れに入ってきた。
これなら絶望的な状況を退ける上策が生まれるかもしれない)」
政務官「陛下の意見をお聞きしたい?」
ヒメ「そうだな…。奴らを強引に納得させるのには賛成だ。具体的な手段はないのか?」
政務官「西の国と平和協定加盟国の貿易が本格実施される前に各国との連携を強化するのが妥当かと!」
ヒメ「…それしかないよな。やっぱり?」
政務官「…不服かもしれませぬが、やはりあの方に頼るべきかと存じます」
ヒメ「そうだな。強化する前に…まず盟が生きていると証明するのが重要だ」
政務官「では…!」
ヒメ「あぁ、僕と東の国へ行ってくれるか?政務官!」
政務官「すぐに手配を!」
ネバル「はいはーい!おいらも行きたいです!」
ヒメ「どうせまたなんかやらかすからダメだ?」
ネバル「そんな!?」ガーン
75: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:08:20 ID:T0csLKu60c
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜
―――東の国―――
ザッザッ ザッザッ
ワァァァァアアアア!!
パチパチ パチパチ
政務官「(なんという事だ…!城下のみらなず王宮内でさえ多大なる歓迎を受けている!?)」スタスタ
ネバル「あ、前にお話した貴族さんたちです!どーもー!」フリフリ
ヒメ「浮かれるな!バカ!」ポカッ
政務官「(…物珍しさに群がる他国民に歓迎を受けるのはある意味、当然だ。
しかし役人や騎士族までが微笑ましく迎え入れるとは…裏がないとすればヒメ様の人望は相当なものであると考えていい!)」
ブルードル「遂に答えを出したようだな!ヒメ君!!」
ヒメ「お待たせして申し訳ございません。ブルードル陛下」ザッ
ミリア「今日はずいぶん可愛らしいお衣装ですのね?」ニコニコ
ヒメ「ど、どうも…」ヒクヒク
政務官「好感触ですな?ヒメ様…!」コショコショ
ヒメ「(ブルードル陛下は変態じゃないと何度言えば…!こんな派手なヒラヒラした衣装、用意する必要ないんだよ…!)」イライラ
ネバル「孫の衣装です?」ニコニコ
ヒメ「(それを言うなら馬子にも衣装だ!こいつも結局、付いてきた…!)」イライラ
ブルードル「あぁ…緋色と琥珀の色彩…短い手足に余る袖…なんと眼福なものか!
あとで肖像を描かせてくれたまえ!彫像に彫り直して我が宮に飾りたい!」ハァハァ
ヒメ「(やっぱり変態かもしれない)」
ミリア「陛下、落ち着きましょ?」ポンポン
ブルードル「ごほんっ!むふんむふん!」ゲフンゲフン
ヒメ「ブルードル陛下、此度は何も衣装をお見せしに来たのではございません」
ブルードル「う、うむ!もちろんだとも!いやー私としたことが……」
ヒメ「大事な話をしに参りました…!」ジッ
ブルードル「」ピクッ
76: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:11:35 ID:T0csLKu60c
ヒメ「今一度、お頼み申し上げます!王国に力をお貸しください!!共に西の国を打倒しましょう!!」
ブルードル「おぉ…!こちらの条件を受け入れてくださるか!?」
ミリア「」クスクス
政務官「いえ、養子縁組に関しましてはお断りさせていただきたいと存じます!」
ブルードル「…そなたは?」
ヒメ「紹介が遅れました。私の後見人としてそばに仕えてくれている政務官です」
政務官「リルラと申します。どうかお見知り置きを?」
ブルードル「ふむ…まぁ非常識は自覚しておったが…それにしても悪い話ではなかったはずだ?」
ヒメ「…私が東の国の王位に乗り出してしまったら両国共に滅びます」
ブルードル「無用な心配だよ?」
ヒメ「……」
ブルードル「以前より私は君を見ていた。国交の場…協議の場…そして記念すべき少年王聖誕祭、正面に座して君との話を楽しんだ日だ?」
ヒメ「……」
ブルードル「私は認めておるよ。そうでなければ易々と王位など譲れん?」
宰相「我々、東国の高官一同も納得しております」ザッ
ヒメ「…いいえ、僕では無理です」
ブルードル「なぜ断定するのだね?分からないじゃないか?」
ヒメ「東の国は豊かで国土も整っており、民は窮する事なく穏やかに過ごしている。御しやすいと言えば…そうなのかもしれません」
政務官「ぎょ、御しやすいなどと…お言葉を選ばねば…!?」コショコショ
ヒメ「いい。この際、はっきりさせる必要がある!」
ブルードル「構わんよ。続けてくれたまえ…」
77: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:14:01 ID:T0csLKu60c
ヒメ「富に溢れ、文明は広まり、大勢の人が行き交う城下の景色は実に調和が取れていました。
しかしそれらの平穏な生活は賢い王族の下にあると彼らも理解しているはず…」
ブルードル「褒められてしまった…!」ポッ
ミリア「はい、よしよし?良かったですわねー?」ナデナデ
ヒメ「…いかにお世継ぎがおられないとはいえ、余所の国からやって来た者を民は受け入れられないでしょう。それほどに陛下の威厳は深い?」
ブルードル「ならば民に示せばよい。君にはその力がある?」
ヒメ「不可能です!」キッパリ
ブルードル「ほ!?」ビクッ
ヒメ「今の統治に満足している彼らには私の成す、いかなる変化も煙たく感じるでしょう!
時には民に無理を強いる場面も先々に多く出てきます!そうなった時、彼らは必ずこう囁くはずです!」
ヒメ「『今の王ではダメだ』『前の王はよかった』『正統な王でもないのになぜ従うのか』と…」
宰相「……!」ググッ
ヒメ「此度の件にしても…西の国と衝突間近にある状況下で決戦が他の王による決定であれば誰も争いには向かえない!」
ヒメ「東の国は貴方の人望に支えられているのです!なれば国民も役人達も…貴方による統治を望まれる!!」
宰相「……!」プルプル
ブルードル「…私はただの傀儡だよ。役を演じて客を喜ばすのは人形だが演目を組み立て、糸に括って操るのは有能な演出家だ?どうだね、宰相?」
宰相「へ、陛下…」
ヒメ「確かにそうかもしれません。ですがそこに揺るぎない説得力を産み出すのは他ならぬ演者自身です!」
ブルードル「私はただ妃とのほほんと微笑ましく贅沢に溺れた愚王だ。
君のように自ら何かを産み出そうとする行動力も能もない」
ブルードル「そう…何も産まず、何も守れず、ただ面白可笑しく生き永らえただけだ」フッ
ミリア「陛下…」ポンポン
ヒメ「そこの宰相は貴方を操っている訳じゃない!貴方の人格に合った政治を成しているだけだ!」
ブルードル「私に合った…?」
宰相「!?」
78: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:17:29 ID:YUaqlqK50k
ヒメ「その者は貴方が望まれる政治を実行する為に尽くしているのです!」
ブルードル「……」
ヒメ「でなければ子の無い王に野心無くして付き従う利はない!
西の国との貿易を断るといった自滅行為はありえない!
なにより他国民に王位を譲るなど…賛同出来る筈がない!!」
宰相「……!」パチクリ
ブルードル「ふ…フホホ!君は…宰相の思惑に裏があるとは考えないのか?」
ヒメ「それはありえません!」
ブルードル「ホ?」
ヒメ「万人に愛される貴方だからこそ東の国は成り立っているのです!!」
ブルードル「やはり…聡明だよ、君は?」ニコッ
ヒメ「……!」
79: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:18:35 ID:T0csLKu60c
ブルードル「よく尽くしてくれているよ。彼は…?」
宰相「くっ……」ウルッ
ブルードル「だが宰相も私も年寄りだ。せいぜい10年……もう長くはないだろう。
しかし貴族や王家直属の家臣達は…有能かもしれんが王の器かと問われれば…なんとも?」
ブルードル「となれば…せめてこの眼で確かめた上で信を置ける世継ぎが欲しい」
政務官「…そ、それでヒメ様に白羽の矢が立った訳か」
ネバル「陛下すごいです!」
ブルードル「フホホ!お前があと20若ければ…のう?宰相?」ニコッ
宰相「ご冗談を…!?」
政務官「…なぜ子を成さなかったのです?」
ヒメ「成さなかったんじゃない。成せなかったんだ」
政務官「存じ上げております。しかし王の血を残すは至上の使命…最も真剣に取り組むべきはそこにあったのでは?」
ブルードル「フホホ…耳の痛い話だ…?」
ミリア「…話してあげましょうよ?」
ブルードル「よいのか?」
ミリア「えぇ、ここまで言ってくれたのですから…全てをさらけ出してしまいましょう?」
ブルードル「うむ…聞いてくれるかな?王国のお客人よ?」
政務官「はっ!」
ネバル「はっ!」
ヒメ「…お願いします!」
80: 名無しさん@読者の声:2015/8/14(金) 21:21:33 ID:M3gqXJXWA6
初めてリアタイ遭遇してしまった…
支援せねばなるまいっ!!
CCCCCCCCCCCC
81: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:21:34 ID:YUaqlqK50k
〜〜〜回想(ブルードル)〜〜〜
東の高官「…報告します!拐われた子らの所在、生死共に不明!派遣した300の調査隊も同様です!」
ブルードル「…分かった」
東の高官「引き続き調査隊を派遣しますか!?」
ブルードル「…宰相、どうだろうか?」
宰相「お気持ちは重々…ですがこれ以上は…犠牲を増やすばかりやもしれませぬ」
ブルードル「西の皇帝に宛てた抗議文はどうなった?」
東の高官「…早馬にて送らせたのですが返答はおろか抗議文を届けた伝者も帰って参りません」
宰相「向こうは話し合う気もないようですな。西の地を踏めば死に直結する…。もはや立て続けに抗議をするのも危険過ぎます」
ブルードル「…そうか。中止しろ」
東の高官「よろしいのですか…!?」
ブルードル「明日、遺族を城に招いておくれ?城下の民には私が直接、顔を見せて説明しよう」
東の高官「へ、陛下自らがそこまでなさらずとも!」
ブルードル「…私はこういう時、どういった言葉をかけてやればよいか知らぬ。
宰相よ、なんと言えば遺族の傷に響かせず僅かでも慰められるだろうか?」
宰相「必要ありません」
ブルードル「?」
宰相「王の言葉には光が宿っております。陛下の心の赴くまま遺族に語りかけて差し上げればよろしい」
ブルードル「フホホ…何が光なものか?何よりも失ってはならぬ純然たる希望の欠片を手放した愚か者が…?」
宰相「自棄になりなさるな!陛下がそれでは失われた命どころか残された命までもが浮かばれませぬぞ!」
ブルードル「フホホ…悲しみを癒す間もなく他者を労らねばならぬか。王とは難儀だな…」
82: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:24:08 ID:YUaqlqK50k
宰相「史実・歴王典にあるように…嘆きを安らがせ、暴走を諌め、戸惑いは導き、悲哀には励まし、喜楽あらば共にする。王とは陰りなき永遠の光と説きます」
ブルードル「王とは光……なるほど、偉大なる先人方はやはり美しい教えを遺される?」
ブルードル「だが子のない私達には…この国の今を楽しみ、未来を待ちわびる無数の瞳は…一点の曇り無く輝ける存在なのだ…!」ググッ
東の高官「」ビクッ
ブルードル「王であれ、使命であれ…あと20年保つか分からぬ…老い先短い微かな灯し火…!
いかに貧しかろうと…卑屈を強いられようと…身分が低かろうと……80年、100年先の未来を生きたかもしれない…眩い命!どちらが優先されて然るべきか!?」ウルッ
宰相「……」
ブルードル「明日、遺族には救出不可能として調査隊を撤退させる旨をしかと伝えなくてはならぬ。
すなわち愛すべき子らを見捨てると断じた王の慰めに耳を傾けさせねばならぬのだ…!」
ブルードル「分からぬ…分からぬよ。宰相…。
私が遺族であったなら…王の慰めも豪奢な宮の煌めきもひしめく屈強な護衛、家臣らさえも…。
王家の栄光の全てが憎しみを増幅させ、拐われた民に射し込まぬ偽りの光を決して許しはしないだろう…!」
宰相「そうであっても…陰りを悟らせてはなりませぬ」
ブルードル「ぐぅっ……」ググッ
宰相「東の地を照らす大いなる光が褪せてはならぬのです!」
ブルードル「…ふ、フホホ……光…」
83: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:26:52 ID:T0csLKu60c
〜〜〜〜〜〜
ブルードル「苦しゅうない。一同、面を上げられよ」
遺族's「」スッ
ブルードル「……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ブルードル「(はかり知れん…)」
宰相「……」
遺族's「」ジーッ
ブルードル「(…この感情はとても受け止めきれるものではない。複雑だ…あまりにも……)」ゴクリ
宰相「陛下、ご説明を」
ブルードル「うむ…。此度の拉致騒動だが…」
遺族's「!!!!」ギンッ
ブルードル「…すまぬ」ペコッ
遺族's「!!!!!」カッ
ブルードル「余計な言葉は要るまい…。全ては王である私の責任だ。力不足でまことに申し訳ない」
遺族's「」ブルブル
ブルードル「(…複雑な感情を受け入れられないのは彼らも同じか)」
ウオオオオオオオオ!!!
ガタンッ ドガッ ガンッ
遺族1「※★→】゙}@△#!!!」ギャーギャー
遺族2「ふごぉおおお!!むごぉぉふぉっふぉっ!!」ポロポロ
遺族3「メイ…ヒヨ……」ボーッ
遺族4「返せぇエエエエ!!!返せヨォォオオ!!?」ガァーッ
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