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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


625: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:36:17 ID:7ZmvR.FKR.
ドレッド「さて、と…さっきの質問に答えてもらおうか?」

ヒメ「僕がここに来たのは……」

ドレッド「ぅおい!待ちな?」バッ

ヒメ「なんだよ…?」

ドレッド「適当な事は抜かすなよ?発言一つであんたの置かれる立場も変わるからな?」ジッ

ヒメ「……」

団長「黙って聞いておれば…元は陛下に仕える身でありながら、なんと無礼な…!?」

ドレッド「へっ…俺はもう王国軍でもなんでもねぇ。国王陛下の御前だろうが膝は崩すし丁寧に喋ってやる気もねぇよ?」

団長「なにを…!?」ビキッ

ヒメ「」サッ

団長「なっ…陛下…?」タジッ

ドレッド「覚悟は定まったか?」ニヤニヤ

ヒメ「別に覚悟するような事じゃない。ありのままを話すだけだ」

ドレッド「ほーう…?」

ヒメ「僕がここに来たのはフィクサーを止める為だ」

ドレッド「それはさっきも聞いたぜ…?俺が聞いてんのは、なぜ国王のあんたが……」

ヒメ「国王だからなんだ?」

ドレッド「はぁ…?」

ヒメ「誰かがやらなきゃいけないなら、それは誰であってもいい筈だ」

クンバヤ「へぇ…?」ニィィッ

ドレッド「だからよ…。そりゃ王様の役目じゃねぇだろ?配下にやらせときゃ……」

ヒメ「そんなの知るか?」

ドレッド「あ…?」

ヒメ「おまえの思う国王像なんかどうでもいい。どうするかを決めるのは僕だ」

ドレッド「……」

クンバヤ「ハハハ……たまげたね、こりゃ?」ニヤニヤ
626: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:37:40 ID:YSi2nOfsJM
ヒメ「納得いったか?」

ドレッド「いくもんかよ?なんの理由にもなっちゃいねぇ?」

ヒメ「どう言われても他に思い当たる理由なんかないぞ」

ドレッド「じゃあなにか?ガキらしく正義の味方ごっこしてますってか?」

団長「その言いぐさはなかろう…!侮辱にも程があるぞ!?」

ドレッド「どうにでも受け取れよ?」

団長「たたっ切るぞ!青二才がぁ!?」イラァッ

ドレッド「よしな?年寄りの冷や水だぜ?」

団長「よかろう…!素っ首、跳ね落としてくれる…!?」ビキッビキィッ

ヒメ「…団長」

団長「はっ…!ただちに!」

ヒメ「話の邪魔」バッサリ

団長「なぬっ!?」ガガガガガーーーン

クンバヤ「ぶふっ!」ニヤニヤ

ドレッド「くっ…くっくっく…!」プルプル

団長「笑うな、貴様らぁ!?」ガァーッ
627: "クンバヤ"と"クソバカ"って似てますね ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:39:37 ID:7ZmvR.FKR.
ヒメ「なにがそんなに気に入らないんだ?僕がいて困る事でもあるのか?」

ドレッド「そうじゃねぇがよ…。多少なりと見ておきてぇだろ?」

ヒメ「なにを?」

クンバヤ「あんたってぇ存在に値打ちがあるのかどうか、だ?」

ヒメ「値打ち…?」

クンバヤ「何をしようにも足手まといは増やしたかねぇのさ?」

ヒメ「心外だな…」

クンバヤ「温室育ちのお坊っちゃんには分からねぇだろうが…俺達は革命を起こそうとしてんだ。それこそ命懸けでな?」

ドレッド「腸煮えくり返るぐれぇムカつく野郎だがよ。
はっきし言ってフィクサーは歴代王国軍長と並べても異彩を放つ策士家だ。用心に越したこたぁねぇ?」

クンバヤ「そいつのことはよく知らねぇが…加えてウチの女王も待ち受けてっからな」

ドレッド「へっ…魔性のファルージャか。たかが女だろ?」

クンバヤ「バカが……俺達、西の国民がとことん恐れて逆らえなかった皇帝一族をあっさりと葬っちまった、とんでもねぇ女だぞ?
あれに勝る悪女は後にも先にも現れねぇと言い切れる?」

ドレッド「けっ?どーだかな?」

ヒメ「……」

クンバヤ「王様さんよ…?あんたは本気で奴らを止められると踏んで、この国に来たのかい?」

ドレッド「甘い考えでやらかしたってんなら…そりゃ勇気でもなんでもねぇぞ?無謀なだけのクソバカだ?」

ヒメ「そうだな…」

ドレッド&クンバヤ「」ジッ

団長「」ズーン

ヒメ「団長、気が散るからへこむのやめろ」

団長「(落ち込む事すら禁止された……だと…?)」ピシィィッ
628: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:42:15 ID:7ZmvR.FKR.
ヒメ「おまえらの言い分は分かったよ。でも僕だって命懸けなのは変わらない」

ドレッド「口じゃなんとでも言えんだよ?」

クンバヤ「そのとーり?なんにしたって、やることやんなきゃダメなのよ?」

ヒメ「正直、勝算の少ない賭けに出た自覚はあった」

ドレッド「だろうな?」

クンバヤ「帝都内部の構図も知らねぇおたくらが少数で乗り込んだって、なんも出来やしないだろうよ?」

ヒメ「けどそうするしかなかったんだ」

クンバヤ「ほー?と言うと?」

ヒメ「この戦いはあまりにも時間が無さすぎる。短期決戦に持ち込むしか道はない」

ドレッド「……」

ヒメ「僕の考えでは婚礼を目処に決着を付けるつもりだったけど…予想外の事態に見舞われて全部、水の泡になってしまった」

クンバヤ「水の泡、ね…。なぜそう思うんだい?」

ヒメ「3日もすれば貧民街の騒動が帝都に届き、フィクサーは予定を早めるだろう。
そして奴が皇位に着いたら本格的に国家として始動し、外交を開けるようになる…」

クンバヤ「そうすっと、どうなるんだい?」

ヒメ「この戦争を止める手立ては無くなり、王国と結託した連盟国はまとめて滅ぼされるだろうな」

団長「っ…!?」ゾクッ

クンバヤ「戦うってぇ手は?」

ヒメ「こんな烏合の衆じゃ無理だ」

クンバヤ「おー?言ってくれるね?」

ヒメ「事実だからな」

ドレッド「要約すりゃ…無謀な蛮勇に駈られてきたんじゃねぇと?」

ヒメ「」コクッ
629: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:46:44 ID:YSi2nOfsJM
ドレッド「だがそれだけじゃ話になんねぇな?どっちにしたって、あんたの出る幕はなかったんじゃねぇか?」

ヒメ「…そう言われてもな」

ドレッド「懐刀のおっさんに託して自分はのんびり安全圏で報告を待ちゃいいだろ?」

ヒメ「……」

ドレッド「それともやっぱしガキの遊びか?」

クンバヤ「え?どうなんだい?」

ヒメ「…僕なら、いざという時、フィクサーを表舞台に引きずり出す事が出来る」

ドレッド「あぁ?」

ヒメ「連合軍の盟主である僕の命は3国の国家元首に相当する価値があるからな…」

クンバヤ「なんのこっちゃだが…それがどうしたって?」

ヒメ「どんなにフィクサーが用心深い男でも僕を処刑するとなれば、その目で一部始終を見届ける筈だ」

団長「なっ…!?」

ヒメ「婚礼の義を逃した場合は…そうなる覚悟もしてた」

ドレッド「ククッ…勝つ為なら囮も辞さねぇってか?」ニヤリ

クンバヤ「なるほどね?並外れてらっしゃるわ?」ニヤリ
630: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:48:24 ID:YSi2nOfsJM
ドレッド「どうだ?うちの王様は?」

クンバヤ「俺ぁ気に入ったね?お値打ちは十分だ?」

ドレッド「決まりだな?」ニヤリ

団長「決まり…?どういう意味だ?」

クンバヤ「王様さんよ?ここから巻き返すあてはあんのかい?」

ヒメ「今は…ない」

クンバヤ「なら…もし俺達に策があるとしたら?」

ヒメ「……?」

団長「まだ方法があるのか…!?」

クンバヤ「俺達がなんのあてもなく奴らとやり合ってたと思うのかい?」ニヤリ

団長「……!」ゴクリ

クンバヤ「なぁ?ドレッド?」

ドレッド「おうよ。お世辞にも奴ほどたぁ言えねぇが…俺だって兵を率いる軍長だ?無駄な体力は使わねぇ?」

団長「もったいぶらずに教えんか!?」

ドレッド「放流された西の残軍を引き入れ、可能な限り、奴らから領民を奪取した。
今は方々に散らせてあるが合流すりゃ3万は数えられる?」

団長「3万…!?」

クンバヤ「奴らの推定兵力が10万だとしてもよ。正面からぶつかるんじゃなく固まったとこを襲撃するんだとすりゃ…十分、事足りる数だ?」

ヒメ「確かに……でも守りの硬い帝都を襲撃させるのは厳しいんじゃないか?」

ドレッド「そこで、だ」ニヤリ

ヒメ「……?」
631: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:51:36 ID:7ZmvR.FKR.
ドレッド「あんたを利用さしてもらう?」

ヒメ「どうするんだ…?」

ドレッド「人質としてフィクサーに差し出すんだよ?」ニヤァァァ

団長「な、なんだと…そんな馬鹿な真似は許さんぞ!?」ジャキッ

クンバヤ「おーいおいおい…その覚悟でいたんじゃなかったのか?」

ヒメ「それが手段になるなら従ってもいい」

団長「!?」

ヒメ「聞かせてみろ」

クンバヤ「王族ってのも、なかなか肝が据わってるじゃないか?いいね、ますます気に入ったぜ?」

団長「ならん!!」ダンッ

ドレッド「あぁ?陛下がそれでいいと言ってんだぜ?」

団長「ならばワシが行く!!」

ドレッド「聞き分けねぇこと言ってんじゃねぇよ?そもそもあんたに人質の価値なんざねぇだろが?」

団長「ではワシが単身、乗り込んでフィクサーの首を取ってきてやる!それでよかろうが!?」

ドレッド「寝言は寝て言えってんだよ?」

団長「寝言かどうか、その身に思い知らせてやろうか…!?」ズイッ

ヒメ「よせ」

団長「聞けませんな…!陛下は事態の重さを分かっておられんのか!?」

ヒメ「分かってるよ」

団長「いいえ、分かっておられませぬ!!こいつらは陛下の命を一切顧みず……」

ヒメ「黙れ」

団長「」ビクッ

ヒメ「僕は戦争が始まった時から命懸けで戦ってる。今さら惜しんでる場合か?」

団長「し、しかし…しかし!!」ワナワナ

ヒメ「まだ口答えする気か?」

団長「〜〜〜!!」
632: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:53:19 ID:7ZmvR.FKR.
団長「わ、ワシは一人息子を亡くしております!」

ヒメ「っ…そ、それと今の話となんの関係がある?」ズキンッ

団長「ワシごときがこのように申すのは大変、差し出がましいと心得ますが…しかし言わせていただきたい!!」

ヒメ「…な、なんだよ?」ジトッ

団長「ワシにとって陛下は……ヒメ様は!主君である前に…もう一人の息子のように想う…かけがえのないお方なのです!!」プルプル

ヒメ「え…?」

団長「幼少の頃よりお父君に放任され、寂しげになさる貴方を…憚りながらも気の毒に思っておりました…!」

団長「ワシが剣術指南役を仰せつかり、身近に接するようになってからも…一度として笑顔を見せた事はなく、それどころか成長と共に塞ぎこむ一方で…」

団長「…なんとかしてやれぬものかと、そればかりに思案しておりました!」

団長「ですからワシは…お父君に代わって貴方の成長を見守り、いずれ来るその日、最も信頼の置ける配下として力になろうと決めたのです!!」

ヒメ「だ、団長…」

団長「家庭をないがしろにしてしまい、ラキアには恨まれましたが…それでもワシは…ヒメ様を…立派な国王に育てたかった…!その一心においては今も変わりませぬ!!」

ドレッド「エゴだな。だいたい図々しいんだよ?近衛の分際でなにが息子のように想うだ?」

団長「ぐっ…!なんと言われようと結構だ…!どうか考え直してはいただけませぬか!?」

ヒメ「……」

団長「陛下!!」カッ

ヒメ「私情を押し付けるな」キッパリ

団長「は…!?」

ヒメ「生半可な気持ちで、ここにいる訳じゃない。おまえだって覚悟してきたんだろ?」

団長「……!!」ジワァァ

ヒメ「…戦いを終えて、カロルとラムを取り戻して、また平和な日々に帰るんだ」ポツリ

団長「」ハッ

ヒメ「…その為ならなんだってする。分かってくれるな?」

団長「……くっ…!」プルプル

ヒメ「……」
633: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:55:52 ID:YSi2nOfsJM
ドレッド「…くだらねぇ」ケッ

ヒメ「くだらなくなんかない…」キッ

ドレッド「……!?」

ヒメ「……」ジーッ

ドレッド「ちっ…変人が?」プイッ

クンバヤ「ハハハ!なんだがよく分からねぇが…王国ってぇ国はなかなか面白いみたいだね?」ニヤニヤ

ドレッド「あぁ?」

クンバヤ「うちの国にもあんたみたいなお坊っちゃんがいてくれたらなぁ…ちったぁマシになっただろうによ?」

ヒメ「…ならおまえが変えたらどうだ?」

クンバヤ「は?」

ヒメ「フィクサーをどうにかした後、どうしていくかはおまえ達が決めればいい」

クンバヤ「なんだい、もらえる収穫もいらねぇと?」

ヒメ「そんな目的で戦った訳じゃないからな」

クンバヤ「かぁ〜…?呆れた?」

ドレッド「甘ちゃんもいいとこだぜ…」シラー

ヒメ「もういいだろ。そろそろ策を教えてくれ」

クンバヤ「だとよ…?」

ドレッド「へっ…」ニヤリ
634: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:57:07 ID:7ZmvR.FKR.
―――廃村―――

ドンチャン ドンチャン

ギャハハハハハハハハハハ!!!


宣教師「すごい騒ぎですね…」

クーペ「戦いに勝った夜はいつもですよ?」クスッ

宣教師「そうなんですか…。それにしてもまさかこんな所でクーペさんに会えるとは思ってもみませんでしたよ?」

クーペ「わたしもです…。司祭様がいらしてくださるなんて…しかも国王陛下までご一緒なんですよね?」

宣教師「えぇ、まぁ…」

クーペ「……どうかされました?」キョトン

宣教師「(足も指先も所々擦りきれて…衣服も砂や血の染みが……大変だったんでしょうね)」ジーッ

クーペ「……?」オロオロ

宣教師「……すみませんでした」ペコッ

クーペ「へ?」パチクリ

宣教師「私が行かせた為に…このような事になってしまって…」

クーペ「…謝る理由が分かりません」

宣教師「……」ズキンッ

クーペ「司祭様は正しいと思ったから、そうされたんでしょう?」ニコッ

宣教師「……ですが、それは私の勝手な都合で」

クーペ「いいじゃないですか。それでも?」ニコニコ

宣教師「え?」

クーペ「わたしもあなたが正しいと思ったから、こうしたんです?」ニコニコ

宣教師「クーペさん…」ジーン
635: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 22:58:43 ID:7ZmvR.FKR.
クーペ「それに救い主様が拐われてらっしゃるんですよね?」

宣教師「あ、はい…。そういえばクーペさんも彼に会ったことがあるんでしたね?」

クーペ「えぇ、とてもお世話になりました。あの子、お母さんと一緒に司祭様を健気に探してましたよ?」

宣教師「そうだったみたいですね…。山間の村以外にも西の領土と南の領土を行き来していたとか…」

クーペ「あれからお会いできたんですか…?」

宣教師「はい。聖堂で…」

クーペ「あー…よかった。わたしも弟と心配してたんです。憲兵に追われてたようなので何かあったらと……」

『…ボクのことは忘れて?』

宣教師「……」

クーペ「司祭様?」

宣教師「…あ、いえ」

クーペ「お助けできるといいですね…?」

宣教師「…助けますよ。必ず…!」ググッ

クーペ「…ふふ。その意気です。ではわたしは…まだ怪我人が残ってるので?」

宣教師「でしたら私もお手伝いしますよ」

クーペ「へ?」

宣教師「実践経験は少ないですが多少なりと医術は身に付けてますので!」ニコッ

クーペ「ふふ。ではお願いしていいですか?」ニコッ

宣教師「はい!お任せください?」ニコニコ
636: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 23:00:38 ID:7ZmvR.FKR.
〜〜〜3日後〜〜〜

―――西の国(宮殿)―――

フィクサー「貧民街にヒメが現れた…?」

副官「は、はい…!すぐさま捕らえようとしたのですが…邪魔が入りまして…!」

フィクサー「ドレッドか…。気にも留めなんだが…生きていたとはな」

副官「ま、まったくしぶとい男で…」

フィクサー「あれだけの深手を負いながら大したものだ?」

副官「わ、私に1万の兵をお預けくださいませ!必ずや、この汚名を返上してみせましょう!?」

フィクサー「ふん…この程度の綻びに狼狽えるとはらしくないじゃないか…。オドアイルよ?」ジッ

副官「」ブルッ

フィクサー「追っ手は要るまい?」

副官「す、捨て置くとおっしゃるのですか…!?」

フィクサー「奴らの目標がわたしであるならば…いずれ、ここにやって来るだろう。
わざわざ追っ手を差し向け、戦力を分散させたところで無駄に兵を削られるだけだ」

副官「や、しかし…あのヒメというのは我らの想像を優に越える危険因子…!速めに手を打つべきかと!?」ググッ

フィクサー「……」

副官「どうか…今一度、挽回の機会を…!」

フィクサー「わたしが何も手も打たずにいると思うか?」

副官「は…!?」バッ

フィクサー「お前の報告など待たずとも、わたしには全ての成り行きが見えている」

副官「こ、この事態を想定し、既に備えておられたと!?」ブルブル

ガチャッ

フィクサー&副官「」ピクッ
637: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 23:02:39 ID:7ZmvR.FKR.
ヒタヒタ ヒタヒタ

副官「……!」ハッ

フィクサー「おぉ…君か」ニコリ

ファルージャ「なんぞ大事な用がおあり?」スッ

フィクサー「ふっ…君が案ずるような事はない?」サスッ

ファルージャ「……そう?」ヒシッ

フィクサー「うむ。そうだとも?」サスサス

副官「(くっ…!な、なんとも…!)」ゴクリ

フィクサー「待っていてくれ。もうすぐ君を妃に迎えられる?」

ファルージャ「ふむ…それは楽しみじゃのう?」

フィクサー「君ほどわたしの心を奮わせた女性は他にいない…」ジッ

ファルージャ「何度も聞いたわ…?」ジッ

フィクサー「ふっ…必ず君をわたしの物にしてみせよう…?」ニヤッ

ファルージャ「それも…何度も聞いたわ?」

フィクサー「……今、初めて口にした筈だが?」

ファルージャ「妾を口説いた男は皆、口々にそう語るのよ?」クスッ

フィクサー「ほう?だがわたしは違う?」

ファルージャ「何を根拠に?」

フィクサー「わたしの予言は外れんのだよ」

ファルージャ「クスス…そうであればよいな?」クスクス
638: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/2/27(土) 23:04:27 ID:7ZmvR.FKR.
副官「フィクサー様…先ほどの続きを……」

フィクサー「席を外してもらえるか?」チラッ

副官「は?」

フィクサー「華燭の典に移るまでの残りわずかな日数…抜かりなく準備しておけ?」

副官「か、かしこまりました…」

フィクサー「しかと頼んだぞ…」

副官「はっ…」ペコッ

スタスタ ガチャッ バタンッ

フィクサー「さて、愛しき我が妃よ?」サスッ

ファルージャ「フフ…堪え性のないこと?」ニィィッ

フィクサー「君を愛しく思うあまりのことだ…?」

ファルージャ「ほう…それは妾に非があろうな…?」ナデリ

フィクサー「あぁ、罪な女だ…」ガバッ

ファルージャ「…誰ぞに見られてもよいのかえ?」ドサッ

フィクサー「見せつけてやればいい…」スッ

ファルージャ「アンッ…頼もしいこと…?」ハラリ

フィクサー「っ…美しい…!」カッ

ファルージャ「(瓜二つよな…)」ジーッ

フィクサー「ファルージャ…!」サスサス

ファルージャ「(見た目も声も似つかぬが…忌まわしき皇帝を思い起こさせるわ)」

ファルージャ「(男とはかくも浅はかなものよ…)」フゥッ
639: ◆WEmWDvOgzo:2016/3/16(水) 21:28:10 ID:bKCYR0A6ec
〜〜〜数日後〜〜〜

―――帝都周辺地区―――

ザッザッザッ

クンバヤ「さぁてと…本拠地が見えてきたぜ?おめぇらは今からあん中に入ってく訳だが?」

ドレッド「ちっ!冷やかしてんじゃねぇよ?」

ヒメ「世話になった。ひとまず仲間を預けるが…くれぐれも頼んだぞ」

クンバヤ「はいよ」

ヒメ「ドレッド…大丈夫なのか?」

ドレッド「あ?」

ヒメ「おまえが考えた作戦だからなんとも言えないけど…おまえはホントにそれでいいのか?」

ドレッド「おうおう?」ズズイッ

ヒメ「……」

ドレッド「今さら怖じ気づいたか?あん?」ギロッ

クンバヤ「おーいおいおい、そいつはおめぇを心配してんだろが?」

ドレッド「うるせぇボケが!」

クンバヤ「あんだぁぁおらぁぁ!!?」ガッ

ドレッド「やんのかぁ!?」ガッ

ヒメ「やめろ!!」

ドレッド&クンバヤ「」ピタッ

ヒメ「…悪かったよ。謝るからやめてくれ」

ドレッド「ちっ!」バッ

クンバヤ「ぺっ!」ビチャッ
640: ◆WEmWDvOgzo:2016/3/16(水) 21:30:54 ID:bKCYR0A6ec
ドレッド「ぅおい!王様よぉ?」

ヒメ「なんだ…?」キョトン

ドレッド「あんまりナメてもらっちゃ困るぜ?俺は軍人だ!」

ヒメ「分かってる…」

ドレッド「いぃや、分かってねぇ!」

ヒメ「え?」

ドレッド「俺たちのやり方ってのはな!生き残る為じゃねぇ!勝ち上がるのが大前提にあんだ!」

ヒメ「あ、あぁ…」

ドレッド「確実に死ぬと分かってようが勝利の為なら構いやしねぇ!覚悟からしてちげーんだよ!」

ヒメ「なんでそこまで割りきれるんだ…?」

ドレッド「あぁ?んなもん…輝いた今に価値があるからだろ!!」

ヒメ「……?」

ドレッド「俺はなぁ!死に方一つ取っても妥協しねぇ!輝かしい勝利の後にゃ俺の名が歴史に語られるんだからな!!」

クンバヤ「……わっかんねぇ〜」シラー

ドレッド「ぅおい!!るせぇぞ!?」

クンバヤ「へいへい…?」ポリポリ

ドレッド「あんたもだ!分かったら二度とくだらねぇこと聞くんじゃねぇぞ?」

ヒメ「……」コクッ
641: ◆WEmWDvOgzo:2016/3/16(水) 21:32:41 ID:51.WaVWWTg
クンバヤ「なーんだ、なんだなんだなんだ?やる前からバッラバラじゃねぇか?」

ドレッド「たりめぇだ!馴れ合う気なんざサラサラねぇぞ?」

クンバヤ「…ま、気ぃ付けろよ」

ドレッド「あん?なんだ、急にしおらしくしやがって?」

クンバヤ「しかしまぁ…偉いさんだってのに汚ねぇ身なりで来たもんだ?」ニヤッ

ヒメ「……」

ドレッド「やっぱ喧嘩売ってんだな?」ジロッ

クンバヤ「よくこんなとこに来ようとしたよな。王様ともあろうもんが?」

ヒメ「…おまえこそ、よく僕らを味方にしようと思ったな。敵国の王族相手に…」

クンバヤ「俺たち最下層の穴蔵育ちにとっちゃ国だなんだは知ったこっちゃねぇ。敵か味方かはこの目で決める」

ヒメ「ふふ。そうか」クスッ

クンバヤ「…ありがとな。どうしようもねぇ瀬戸際に俺らを選んでくれてよ?」ニッ

ヒメ「礼には及ばないよ。お互い様だ…?」

クンバヤ「よろしく頼むぜ?」ポンッ

ヒメ「そっちこそ…頼りにしてるぞ」ニコッ

クンバヤ「ハハハ……王様に頼られるなんざ一生の記念にならぁ?」

ドレッド「けっ!無駄話に与太ってねぇで、とっとと行くぞ!真正面から堂々とな!」ザッザッ

ヒメ「あぁ!じゃあ行ってくる!」ザッザッ

クンバヤ「ハハハ!気張りすぎてしくじらんでくれよ!」

ザッザッ ザッザッ………

クンバヤ「ああしてバカやらかしてくれる奴がたまーにいるから、たまんねぇんだよな。革命ってなぁ」

クンバヤ「聖戦開始だ…。イアマンよ。彼の意思に倣う者らに栄光あれ…」
642: ◆WEmWDvOgzo:2016/3/16(水) 21:34:54 ID:bKCYR0A6ec
―――宮殿―――

王国兵34「フィクサー様!急報であります!」ザッ

王国兵35「ドレッドが国王を連れ立って正門前に現れました!?」

フィクサー「来たか…」

王国兵36「切り捨てますか…!?」

フィクサー「通せ」

王国兵34「は…!?」

フィクサー「失礼のないよう陛下は特に注意を払い、厳重にお通ししろ」

王国兵34「ははっ…!承知しました!」ダッ
643: ◆WEmWDvOgzo:2016/3/16(水) 21:35:48 ID:51.WaVWWTg
ドレッド「けっ!戦友との再会だってのに大したもてなしじゃねーか!フィクサーさんよ?」

ヒメ「……」ジッ

王国兵's「」ザザザッ

ドレッド「わざわざあんたが欲しがってたモンを手土産に来てやったんだぜ?ねぎらいの一言も浮かばねぇか?」

フィクサー「…よくぞ陛下を無事に送り届けてくれた」

ドレッド「送り届けただぁ?ものは言いようだな、おう?」

フィクサー「…貴殿には伝えきれない程に感謝している」

ドレッド「他人行儀もいいとこだ…。血が冷えきってんだな、あんたって奴は?」

フィクサー「それは失礼仕った(※つかまつった)…」ペコッ

ドレッド「まぁいいぜ。陛下の身柄をあんたに引き渡す条件は一つ…俺を軍に戻す事だ?」

フィクサー「ほうほう…しかしなぜ今さらになって貴殿がわたしの下に就きたいと申し出るのだ…?」

ドレッド「野盗同然に身を落として考えを改めたのさ?あんたの下で戦った方が得だとな?」ニヤリ

フィクサー「そうか…。実に懸命だ」

ドレッド「ククッ…」ニヤニヤ
644: ◆WEmWDvOgzo:2016/3/16(水) 21:37:15 ID:51.WaVWWTg
ドレッド「(しっかり演技しろよ?)」チラッ

ヒメ「(分かってる)」チラッ

ドレッド「残念だったなぁ、お坊ちゃん?俺はあんたを利用して生き延びさせてもらうぜ?」ポンッ

ヒメ「…恥を知れ」ジロッ

ドレッド「おーこえー?」ポンポン

ヒメ「くそっ…!」ギリッ

ドレッド「こいつの御伴はこっちで始末しといてやったぜ?感謝しろよ?」

フィクサー「うむ、よくやった。では陛下を引き渡してもらおうか」

ドレッド「おら、行け?」ドンッ

ヒメ「くっ!」ドサッ

王国兵34「」バッ

王国兵35「」ガシッ

ヒメ「離せっ!!無礼者め!?」ジタバタ

ドレッド「恨むんじゃねーぞ?これが大人のやりとりってもんさ!」ニヤニヤ

ヒメ「くそぉっ!!よくも…よくもぉ!!おまえなど死んでしまえぇ!?」ギャーギャー

ドレッド「ギャハハハハハハハハ!!!」ゲラゲラ

王国兵's「」ザザザッ

ドレッド「おっ!もうやっちまうのか?気がはえーなぁ?」

ヒメ「ひっ!よ、よせ…!やめろ!僕を誰だと思ってる!国王だぞ!!国王!?国王だぁあ!?」ジタバタ
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うpろだ
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