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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


600: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:22:30 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「…だからもう、こんな事はやめてくれ。
弱った西の国民を弄んで虐げる王国民の醜い姿を…長々と歴史に晒してほしくないんだ」

王国兵's「うっ…く、ぐふぅ…!!」ガチガチ

ヒメ「長く国を離れて戦ってきた、おまえ達の苦労はよく分かるよ…。
本当に感謝してるし、大変な役目を担わせて申し訳なかった…」

王国兵's「……」ブルブル

ヒメ「…出来ることなら王国の地で凱歌を挙げ、民衆の面前に英雄として立たせ、誇らしい気持ちでおまえ達を讃えてやりたかったよ」シュン

王国兵's「!!!」ブワァッ

団長「!?」

王国兵's「うおぉぉおお…おおぉぉおおぉぉおお……!!!」ポロポロ

ヒメ「……」

団長「こ、これは…」

護衛2「泣いて…いますな?」オロオロ

副官「はい、シャラーップ!!」ガンッ

王国兵's「」ビクッ

ヒメ「……」ジロッ
601: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:27:25 ID:3wYAsB3RjM
副官「ふんふん、あーそうですか。ご立派、ご立派。はい!国王陛下の素晴らしい御高説に惜しみ無い拍手を!」パチパチ

王国兵's「」オロオロ

ヒメ「……」

副官「や、しかし…あまっちょろい理想論は残忍な本性を包むベールでしかない?」

ザワザワ ザワザワ

副官「だいたいにして戦争を引き起こしてしまった張本人が何を口にしても説得力に欠けますなぁ?
意見だ、投書だ、平和ボケしたノンキな言論も血塗られた歴史の後ではなんと傲慢に映るものでしょうか?」

副官「いくらきれいごとにすり替えたところで本質的な部分は変わりませぬよ?
貴方は力で平和を勝ち取り、都合の悪い者を抹殺することで政を企てる為政者です?」

ヒメ「……」

副官「ですがそれは何も間違っておりませぬ?いやいや、むしろ正しい?国王としてあるべき姿と言えましょう!」

団長「おのれぇ…陛下を侮辱するかぁ!?」ズイッ

副官「やや、鼻息の荒い?私はお褒め差し上げてるのですよ?」

団長「なにぃ…!?」

副官「なんと言っても結局は力が全てを決する?いくら時代が流れても争いが尽きることはありえませぬ?」

副官「なればこそ我々は…平和などというおためごかしで、その事実を曲げてはならぬのですよ?」ニヤァァァ

団長「なんだと…?」
602: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:30:12 ID:lBZMgJx./k
副官「なぜなら、この広い大陸!魅力に溢れすぎている!
西の金山然り!南の心地よい気候然り!東の石膏技術然り!北の雪原然り!
王国の雄大な国土然り!!世界は常に我々を誘惑している!?」

副官「ともすれば我々の欲望が尽きるのはいつか!?そう!
全てを手にした時……ずばり大陸の総支配こそが真の平穏に繋がるのですよ!?」

団長「た、大陸の…総支配…!?」ワナワナ

副官「不可能と笑うかね?だが私は確信しておりますよ!
フィクサー総指揮の才知は易々とこれを実現されるであろうとねぇ!?」ニヤニヤ

ヒメ「そんなことをすれば……」

副官「おぉっとお待ちを!反論される前にご一考くださいませ?」

ヒメ「?」

副官「貴方はそれを既にやっているんですよ!?
西、東、南、王国、いったいどれほどの命を散らしたやら!?」

ヒメ「っ…!」

副官「敗者に語る言葉無し!正義は勝者の気心次第!
貴方の戯言はまさしく勝者の理屈ではございませぬかな?」ニヤニヤ

ヒメ「……!」
603: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:41:14 ID:3wYAsB3RjM
副官「どうです?ご自身を正当化する素敵なきれいごとは思い浮かびましたか?」

ヒメ「っ…!」

副官「ふっふっ…何を執着されておられたか知りませんが救い主を辺境地に隠したのは失敗でしたなぁ?
さっさと始末しておけば、ここまでの大事には至らなかったでしょうに?」

ヒメ「は!?」ピクッ

副官「ん…?」

ヒメ「なんで軍部のおまえがカロルの居場所を知ってるんだ?」

副官「や、以前から政務官殿にいろいろとお話を伺って……」

ヒメ「…まさかおまえら……」

副官「おやおや、なにやら思い付かれましたか?」ニヤニヤ

ヒメ「カロルが東領のミラルドにいた事を西国に流したのはおまえらだな!?」

副官「馬鹿げたことを…?ご自分の失敗を棚に挙げて責任転嫁ですか?」

ヒメ「ふざけるな!!僕が戦争を回避する為にどれだけ手を尽くしたか…!
おまえらが…おまえらが余計な真似をしたから…!?」ワナワナ

副官「存じませんなぁ?」ニヤニヤ

ヒメ「やっと分かったぞ…!フィクサーは最初から、こうなる事を見越してたんだな…!?」

副官「……」

団長「は…?ど、どういうことですか?」

ヒメ「さっきから聞いてれば、こいつの発言は戦争を肯定するものだ…!だとしたら……」

副官「だとしたら…?」ニヤニヤ
604: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:46:38 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「戦争を拡大するのが目的か…!だから王国を切り捨てたんだろ!?」

副官「んぅ……どうでしょうかねぇ?」ニヤニヤ

ヒメ「王国に戻れば戦争は終着し、徴兵に駆り出された兵は解散する…。
だからおまえらは西の国に留まり、確保した兵力と共に平定を進めて軍備の強化と国土の統治に重きを置いたんだな?」

王国兵's「え…?」ザワッ

ヒメ「自由意思で戦争を仕掛けられる国家を立ち上げるのが狙いだったんだろ!?」

副官「さすがお坊っちゃま。子供らしく想像力がたくましくていらっしゃる?だいぶ飛躍的ですがね?」ニヤニヤ

ヒメ「やっと分かったよ…。リルラがアントリアに促されて戦争に行き着く流れを作ったんだと思ってたけど…その裏で暗躍してたのはフィクサーだったんだ!」

団長「な、なんと…!?それはまことか!?」

副官「まぁまぁ…ね。もうお話はいいでしょう」ニヤリ

ヒメ「は…!?」
605: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:13:55 ID:3wYAsB3RjM
副官「さぁて、兵士の諸君にはお節介な説得なんていらんだろう?彼らに引導を渡してしまおうか?」

王国兵's「……」

副官「情にほだされてしまったら、それまでだよ?」

王国兵's「……!」

副官「それに諸君はまざまざと実感したんじゃないかなぁ?
その手で濡らした血が力の証明とするならば…何者もねじ伏せる力こそが正義を示す唯一の方法だと?」

ヒメ「踊らされるな!おまえたちは利用されてるだけだ!?」

副官「ハッハッハ!やぁ利用だなんて…ハッハッハ!いやいやいや……」ニヤニヤ

団長「黙れ!!貴様らの下卑た企みなど見え透いておるわ!?」

副官「現実的にねぇ…考えてもみましょうよ?」

団長「なにぃ…!?」

副官「そもそも王国にはお先がない?なにせ犠牲を払いすぎた?
国力を再生するには最低でも10年近くかかるでしょうが……それまでのんびり待ってもらえますかな?」

ヒメ「……!」

副官「加えて言うなら我々が勝利を手土産に王国に戻っていたと仮定してもね…。
政略に尽くして、ぐちゃぐちゃになった同盟関係の修復。共闘して弱まった東国、南国の面倒も見なきゃならない。
西国に講和条約を突き付け、統治もしてやらなきゃならない訳ですよ?」

ヒメ「……!」

副官「はっきり申し上げますとねぇ…。自国の復権さえままならない状況下で、これだけのことを平行していくなど不可能です?」

ヒメ「くっ…」ギリッ
606: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:15:38 ID:lBZMgJx./k
ヒメ「そ、それでも…抑止力となる軍が戻っていれば時間を稼げたんだ…!」ワナワナ

副官「えぇ、でしょうね?ですがこちらからしますと…そんな面倒で時間の掛かる事をするより軍拡を進めた方が楽なんですよ?」

ヒメ「狂ってる…!平和を捨てて混沌とした戦乱の世に進ませるなんて…!?」ギリッ

副官「ハッハッハ……時代を造るのは国王だけじゃない。軍人は軍人らしく…戦いにロマンを求めないと?」ニヤニヤ

ヒメ「守るものを持たないで何が軍人だ…!おまえらが振りかざすのは単なる暴力じゃないか!」

副官「正解!」ビッ

ヒメ「……!」プルプル

副官「そろそろいいかなぁ…?」チラッ

王国兵's「」ブルブル

副官「お人好しのお坊っちゃまと心中するか、共に大陸総支配を目指し、世界の頂点に君臨する新国家を旗揚げするか…はたしてどちらがより夢のある現実かなぁ?」ニヤニヤ

王国兵's「……」ザザザッ

副官「賢い選択だ?」ウンウン

ヒメ「っ……」

団長「腐れ外道め…!?」
607: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:22:32 ID:lBZMgJx./k
副官「…さぁて、楽しい楽しい議論は閉幕。という訳で国王を生け捕りにし、存分に殺戮の限りを尽くしましょうか?」

王国兵's「」ジャキッ

ヒメ「おまえら……」

団長「…まだ分からんのか!?陛下がどれほど民を想い、努力されてきたか…!!」

王国兵's「」ギロッ

ヒメ「……」

副官「あ〜そうそう。国王を人質に取って交渉すれば王国に残した君らの親類演者は傷一つなく取り戻せるからね。張り切っていこー!」

王国兵27「国王陛下、申し訳ありません…」ジリッ

王国兵22「我々は引き際を見失いました…」ジリッ

王国兵30「弱肉強食…自然の理に習わせていただきましょう」ジリッ

王国兵31「大人になるとね…きれいごとだけではままならん事も分かってしまうのですよ」ジリッ

王国兵32「心苦しいが、ね」ジリッ

ヒメ「それがおまえらの答えか…!」

副官「かかれ!?」バッ

オォォォオオオオ!!!

ヒメ「団長!!」

団長「はっ!」

ヒメ「住民の避難は済んだ!時間稼ぎは十分だ!!退くぞ!!」

団長「ははっ!!ワシに続けぇ!!」ダッ

護衛's「おぉう!!」ダダダッ
608: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:25:10 ID:lBZMgJx./k
ガガァンッ! ギキンッ ギャリンッ

副官「ハッハッハ!!あがきますなぁ?」ニヤニヤ

王国兵33「お、オドアイル様!」

副官「ん?」

王国兵33「なにやら見知らぬ大群が迫ってるとの報告が……」

副官「は?」クルッ

ドドドドドドッ

王国兵33「あ、あれはいったい…」

副官「…な、なんだと?」ヒクッヒクッ

???「かかれぇ!!」ドドドッ

賊徒's「おぉおおお!!」ドドドッ

ドガァンッ!!

副官「なんの真似だぁ!?」カッ

王国兵33「急襲に備えられず陣形が崩されました!!」

王国兵34「覆っていた隊が蹴散らされたぞ…!」

副官「ちぃっ!!何をやってるぅ!?絶対にヒメを取り逃がすな!!
首一つにしても構わん!!奴だけはなにがなんでも…!」バッバッ

ワァーワァーギャーギャー!
609: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:30:23 ID:lBZMgJx./k
賊徒's「ウオラァァァ!!!」ドドドッ

ガガァンッ!

王国兵26「な、なんだこいつらは…どっから現れた…!?」アセアセ

ヒメ「何が起きてるんだ…!?」ギギッ

団長「分かりませんが…好機であることは確か!!」ブォンッ ザシュッ

護衛1「陛下!!」ザッ

ヒメ「お、おまえは…!逃げたんじゃなかったのか!?」ガィンッ

護衛1「陛下を救出しに参りました!」

ヒメ「なっ…どういうことだ!?」

護衛1「どうか速やかに避難を!?事情は追って説明します!!」

ヒメ「わ、分かった!!走るぞ!?」ダッ

団長「ははぁっ!!」ダッ

王国兵35「逃がすかぁ!!」ダッ

護衛1「邪魔するな!!」ヒュンッ

王国兵35「ぶほっ!?」ズドッ

護衛1「陛下は大道を歩まれるお方だ…!俺達ごときの為に立ち止まっていただく訳にはいかない!!」ブシュッ

王国兵36「おぉりゃああ!!!」ブンッ

護衛1「がはっ!」ズバッ

バタッ
610: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:31:31 ID:3wYAsB3RjM
王国兵36「追うぞっ!!……あん?」ググッ

護衛1「ゔ……ぐぎぎ…!」ガシッ

王国兵36「な、なんだこの…!しがみつくな!離せ!?」ガッガッ

護衛1「(陛下は尊いお方だ…!俺達なんかより…ずっと…!)」ギュウウ

王国兵36「な、なんなんだよ…!しつけぇな…!死に損ないのくせに…気味が悪いぞ!?」ゾゾゾッ

護衛1「(それなのに…それなのに…一介の護衛に過ぎない俺を……怯えて腰抜かした情けない俺を……身を挺して救おうとなさった…!!)」ウルウル

王国兵37「おらぁアンデッド野郎!?地べたに寝やがれ!?」ヒュンッ

護衛1「ごふっ!!」ズンッ

王国兵36「た、たすか……あ!?は、離れねぇ…!?」グッグッ

護衛1「(死んだって…いぃ……陛下に生き延びていただけるなら…)」フッ

王国兵36「死んでるよなぁ!?死んでんだよなぁ!?なぁ!?なんで全然離れねぇんだよ、こいつはよぉ!?」アワアワ

王国兵37「も、もう知るか!自分でなんとかしろ!?」ダッ

王国兵36「どうなってんだよ!こえー!こえーよ!?」ジタバタ
611: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 23:34:50 ID:3wYAsB3RjM
ザシュッ ドバッ ズドッ ガガァンッ

ギャアアアアアアアア

副官「どうなっているんだ…!何がどうなっているんだぁ!?あいつらはなんなんだぁ!?」

王国兵34「分かりません!!全く分かりません!!」アタフタ

???「よう、オドアイル?」ザッ

副官「はぁ!?……あ、貴方は!?」ギョギョッ

王国兵34「ドレッド軍長…!?」ギョギョッ

???(ドレッド)「久しぶりだなぁ?元気してたかよ?」ニィィッ

副官「な、なぜあんたが…!」

ドレッド「クックッ!なんでだろうなぁ?」

副官「(こ、こいつは確かに殺したはず…!?なぜ生きている…!?)」

ドレッド「さぁ…数はどっこいってとこだ?再会を祝して存分にやり合ってみようか?」ジャキッ

副官「で、出直すぞ!退けぃ!?」パカラッパカラッ

王国兵34「はっ!」パカラッパカラッ

ドレッド「けっ…フィクサーの腰巾着が?」ペッ

パカラッパカラッ………

ドレッド「しっかし…まさかこんな巡り合わせがあるとはな?俺の運も捨てたもんじゃねぇや?」ニヤリ

ドレッド「まずはここをケリ着けて国王陛下のツラでも拝んでみるか?」パシンッ

ワァーワァーギャーギャー
612: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:03:15 ID:m4Uz9RrgRI
―――西の国(街道沿いの窪地)―――

ヒメ「ぜぇっ…はっ…あぁ……」グッタリ

団長「陛下…!大事ござらんか!?」サスサス

ゾロゾロ ゾロゾロ

賊徒1「」クチャクチャ

賊徒2「かぁ〜…ぺっ」ビチャッ

団長「む!?貴様ら…何者だ!?」ジャキッ

???「まぁまぁそう凄むなよ?」ザッ

団長「……!」ジッ

???(クンバヤ)「俺の名はクンバヤ。ここにいるのはイアマンに命を捧げる穢れなき戦士達だ」

団長「い、イアマン…?」

宣教師「あ、ヒメくん!団長さん!怪我はありませんでしたか!?」タッタッ

団長「ぬ…宣教師!ひ、避難はどうした!?」

宣教師「住民の皆さんは、この方々が保護してくださいました!」

団長「なに…?敵ではないのか…?」

ヒメ「っ…うぅ…」ムクッ

団長「へ、陛下…!激しい切り合いを脱して間もないのですから、どうか御身を休めなさいませ…!?」

ヒメ「僕の…判断で……皆を死なせ、すべて台無しにしてしまうところだった…!」ギリッ

団長「な、何をおっしゃるか!ヒメ様の判断は正しゅうございましたぞ!?」

宣教師「そうですよ。むしろあのような惨劇さえ見放すようであれば私はキミに失望していました?」

ヒメ「いや、軽率だった…すまない……」
613: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:06:38 ID:UdCBQzYwOk
クンバヤ「息は整ったかい?」

ヒメ「あ、あぁ…」

クンバヤ「ま、いろいろと気掛かりだろうが、とりあえず俺達の活動拠点まで案内しようかい。話はそこでゆっくりと聞かせてもらう」

ヒメ「……」ジッ

クンバヤ「あぁ王様だったか?恭しくおもてなししてやったほうがいいかい?」

ヒメ「え…?」

クンバヤ「なんで知ってるか…ってぇツラだね?そう怪しむなよ?」ニヤニヤ

団長「ま、まさかフィクサーの手の者か!?」ジャキッ

宣教師「あ、すみません…話したの私です」オドオド

ヒメ&団長「!?」ガクッ

クンバヤ「んじゃ早速だが馬を貸してやろう。ちょいと荒っぽいが…あいにくと馬車なんて上等な品はねぇ。ケツを痛めるだろうが辛抱してもらえるかい?」

ヒメ「…」コクッ

クンバヤ「そんじゃ追っ手が来る前にさっさと移動しちまおう。付いてきな?」スタスタ

団長「むぅ…よろしいのですか?」

ヒメ「ここはおとなしく従おう…。さっきの戦いに割って入ったのがこいつらだとしたら…目的は僕じゃないかもしれない」

団長「そ、そもそもどういう経緯で奴らに助けを求めたのだ?」

宣教師「わ、私も街の外れまで住民の皆さんを避難誘導していたら彼らに出くわしまして…詳しいことは何も?」

クンバヤ「おい!なにモタモタしてんだ!来い!?」

宣教師「」ビクッ

ヒメ「なにしろ行ってみるしかないな…」スタスタ

団長「くっ…」スタスタ
614: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:09:02 ID:UdCBQzYwOk
〜〜〜夜〜〜〜

―――廃村―――

グルルルルル グルルルルル

クンバヤ「野良犬共が……っせぇおらぁ!?失せろ!?」ブンッ

キャンキャン! タタタッ

ヒメ「……」ゾクッ

ガッガッ ムシャムシャ

負傷者1「がちゅっ…ごりっ……ぐしょっ…」ムシャムシャ

団長「か、彼らは何を食べているのだ…?ずいぶん臭うが……」

クンバヤ「人の屍肉」スタスタ

団長&ヒメ&宣教師「」ビクッ

クンバヤ「食い物がほとんどねぇからな。なんでも再利用するんだよ」

ヒメ「よく平気で食えるな…!」

クンバヤ「食わなきゃ自分が食われる身になる。うちの国じゃ常識だ」

宣教師「ま、まさか…貧民街の人々も屍肉を食べて…」ゾワッ

ヒメ「そういえば人が死んだような話はたくさんあったけど…街には骨の一つもなかったな」ブルッ

団長「普通ではない…!」ゾゾゾッ
615: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:11:25 ID:m4Uz9RrgRI
クンバヤ「お、そうだ。知ってるか?人の骨ってよ、白くないんだぜ?」

宣教師「え…?」

クンバヤ「取り出したばっかだと、まだ血がたっぷり染み込んでるから肌色なんだよ。
そうだな…あんたの肌なんか陽に焼けてないからそっくりだ?」

宣教師「っ……うぶっ」ガクッ

ヒメ「お、おい!大丈夫か!?」ガシッ

クンバヤ「ふん…」ニヤリ

宣教師「〜〜〜!!」ウルウル

ヒメ「おまえ…!」キッ

クンバヤ「上品なあんたらにゃ聞いてられねぇか?最底辺の世間話はよ?」ニヤニヤ

ヒメ「くっ…!」

宣教師「おぇ…うぐぅ…!」

団長「しっかりせんか…!」サスサス

クンバヤ「ハハハ……」ニヤニヤ
616: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:13:33 ID:m4Uz9RrgRI
―――廃屋―――

クンバヤ「悪いが椅子はこれ一つでな。ゴザ敷いてあるから床に座ってな」ストッ

ヒメ「うっ…固い…」ザリッ

宣教師「けほっ…ほ、埃が……」ゴホゴホ

団長「灯りもないのか…?暗くてかなわんぞ…?」

クンバヤ「何度も言わせんなよ。蝋燭も敷き床も椅子もねぇ。屋根もねぇし壁は穴だらけだ?
あんたらにとっちゃあって当然なんだろうが…俺達にとっちゃこれが当たり前だ?」

ヒメ「二人とも…我慢しろ」

宣教師「…はい」

団長「はっ…」

クンバヤ「ま、水くらいは出してやる?喉が渇いたら、そこの湧き水に口付けて飲め?」クイッ

宣教師「湧き水…?」チラッ

ヒメ「(割れた地面に小さな水溜まりがあるだけじゃないか…)」

団長「(あ、あんな泥水を飲んだら腹を下すぞ…!?)」

クンバヤ「糞や小便はそこの壺にしろ。間違っても湧き水にすんじゃねぇぞ?」

ヒメ「(き、気分が悪くなってきた…)」サァァ

宣教師「(…恵まれた日々への感謝が足りなかったですね。もっとこういった環境に目を向けていかなければ…)」

団長「(噂には聞いておったが…こんな場所に陛下をいつまでも置いておけん!)」
617: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:17:20 ID:m4Uz9RrgRI
クンバヤ「さて、改めて自己紹介しようか。俺はクンバヤ。いわゆるレジスタンスの一員だ」

ヒメ「レジスタンスって、さっき言ってた…?」

クンバヤ「そう。イアマンだ?」ニヤリ

ヒメ「…一時期、波紋を呼んでた女帝暗殺を企てる過激派集団か」

クンバヤ「ほう?知っててくれたのかい?王様の耳に入ってたなんて光栄だね?」

ヒメ「結果的に戦争を後押しした一因だからな。気にも留めるよ」

クンバヤ「そうかい。そりゃ悪いことをしたな」

ヒメ「…そのレジスタンスが僕らになんの用だ?」

クンバヤ「用って程でもねぇが…王国軍の侵略を邪魔してやろうと乗り込んでみたら、たまたまあんたらがいてな?」

ヒメ「それで…?」

クンバヤ「事情は知らんが仲間割れしてんだろう?こりゃうまくいきゃ…俺達に運が傾きそうだ?」ニヤリ

団長「……!」バッ

クンバヤ「おぉ待て待て!早とちりすんな?」

団長「このお方をどなたと心得るか!!貴様らごときに易々と利用させてたまるか!?」

ヒメ「よせ!団長!!」サッ

団長「!?」

ヒメ「すまなかったな…。続けてくれ」

クンバヤ「…どうやら、あんたは話せる性格みたいだな?」

ヒメ「世辞はいい。余さず事情を教えてくれ」

クンバヤ「……」
618: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:27:18 ID:m4Uz9RrgRI
クンバヤ「ま、ざっくり言うとだな…俺達は重大な使命を抱えて地道に戦ってきたんだが今は窮地に立たされていると」

ヒメ「…王国軍の侵攻か?」

クンバヤ「それもそうだが…根本的な問題だ」

ヒメ「?」

クンバヤ「レジスタンスはもう残ってない」

ヒメ「壊滅させられたのか?」

クンバヤ「…そうでもないんだが、あーややこしいな」

ヒメ「ちゃんと説明してくれないと分からないぞ。全滅したなら、ここにいる奴らはなんなんだ?」

クンバヤ「あいつらは…生き残ったレジスタンスと西軍の残兵、侵略される前にいち早く救助した領民の寄せ集めだ」

団長「なぜ敵対するレジスタンスと西軍が…?」

宣教師「何があったんですか…?」

クンバヤ「実は連合軍との戦争の真っ只中に…全区域に召集が掛かったんだ。
イアマン総出で主力軍の出払った帝都を襲撃し、女帝ファルージャを討ち取れとな」

団長「っ…どうなったのだ?」ゴクリ

クンバヤ「恐ろしいほどうまくいったよ。都はものの数時間であっさり落ちた」

宣教師「で、ではなぜファルージャが生きているのです?」

クンバヤ「…城に雪崩れ込んだ時、展望台からとてつもない美女が現れて…皆、目を奪われて一瞬でピタリと止まっちまった」

クンバヤ「その美女はもちろんファルージャだったんだが…あの女が何も言わず俺達に視線を落として手を振ったらだ?
まるで帝都全体を揺るがすんじゃないかってくらいの歓声と地響きが城を包んだ!」

クンバヤ「そして誰かが叫び始めた。あれは女神だと」

ヒメ&団長「……」

クンバヤ「……どうした?」

ヒメ「いや、途中からなんの話を聞かされてるのか分からなくなって…」シラー

クンバヤ「…真面目な話だぞ」

ヒメ「ご、ごめん」

シーン
619: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/19(金) 23:30:29 ID:m4Uz9RrgRI
ヒメ「えっと…つ、つまりファルージャに腑抜けて負けたのか?」

宣教師「はしたない…」ジトッ

クンバヤ「分かってないな!お前達もあの女を見れば頷ける筈だ!」

宣教師「実際に会いましたけど…そ、そんな大したこと…な、なかった、ですよ?」モジモジ

クンバヤ「嘘つけ!?体が反応してるじゃないか!?」

宣教師「っ…!」カァァ

ヒメ「そ、そんなすごいのか?」

クンバヤ「あぁ、あれはまさしく"魔性"だ!この世に魔法なんて物があるんだとしたら…あの女は色気を操る魔女に違いない!!」

ヒメ「……あ、うん。そうなんだ」シラー

クンバヤ「俺も危うく落とされかけたが理性でなんとか持ちこたえた…」

クンバヤ「だがイアマンは分解し、とても革命を続けられるような状態じゃなくなってな。
ファルージャに乗せられた大勢の仲間を残して俺と一部のレジスタンスは帝都を脱出した」

ヒメ「じゃあその後は…」

クンバヤ「そこからだ。話の肝は!」

ヒメ「?」

ワァァァァァァァァァアアアアア!!!!

ヒメ&団長&宣教師「」ビクビクゥゥ

クンバヤ「ちょうどいい…そこで待ってな!」スクッ

ヒメ「あ、あぁ…」
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名前:
sage:


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うpろだ
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