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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


585: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:59:00 ID:WDqI.QgUIw
ヒメ「とりあえず歩いて廻ろう。それとなく情報を集めるんだ」

団長「ははっ!」

宣教師「……」

浮浪者「…あ?なに見てんだよ?」ジロッ

護衛1「は?」

団長「どうした?」クルッ

護衛1「い、いえ…なにも」

浮浪者「見せ物じゃねぇぞ!!」プーン

護衛1「な、なんだ、こいつ…」

団長「…相手にするな。行くぞ」スタスタ

護衛1「は、はい…」スタスタ

浮浪者「バカにしてんじゃねぇよ!!」ペッ

護衛1「ちっ…!ムカつく奴だな…!」イライラ

護衛2「誰でもいいから当たってるんだろ」

宣教師「……」チラッ

ならず者1「ぶはぁ〜!やってらんねぇや!どこもしけてやがら?」グビグビ

ならず者2「強盗しようにも金目のモン持ってる奴なんざ、ほとんどいねぇし墓荒らしても骨とガラクタばっかで大した供物もねぇもんなぁ?」

ならず者3「腹減ってムカムカすっからよ。さっきそこでみなしごのガキを犯してやったぜ!ひゃはは!」ゲラゲラ

ならず者4「あんなん相手して股ぐら痒くなっても知んねーぞ?薬なんかどこにもねーんだからよ?」ホジホジ

宣教師「(貧苦に耐え兼ねているせいか、どなたも心を病んでいますね…)」キュッ

586: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 22:01:45 ID:WDqI.QgUIw
老人「はぁ?おめぇさん達、なんにも知らんのか?」

団長「あぁ、余所から逃げてきたはいいが状況がいまいち分からんでな」

老人「知ったからってどうなるもんでもねぇが…まぁ見ての通りだ?
それも全部、王国あたりと戦争してからだな?」

団長「ふむ…」

宣教師「……」

老人「若い男手はみんな引っ張られて女達もお慰み用に連れてかれちまった。
まぁ元々、強制労働だ、徴兵だのとあるから、そう珍しくもねぇんだが…」

老人「なにしろ備蓄してある食料品や武器の製造に使われる資材は丸々、持ってかれて生産性のない空っぽの街に年寄りと子供だけが取り残されちまった」

老人「外からも似たような連中が押し掛けて気が付きゃ、ここはすっかりはぐれ者の街だて」

老人「水は引いてあるから渇きは潤わせるが人が溢れて食い繋ぐあてがねぇ。
田畑の作物や肥料、種、牧場の家畜から何から軍に奪われちまって外からの援助も期待出来ねぇかんな」

老人「せいぜい気の荒いならず者共がよそを歩き回ってタカるか、貨物車を襲って物資を強奪するかくらいだなぁ」

老人「うちの婆さんも数週間前に干からびて死んじまったし、おいらもそろそろお迎えが来る頃だ。
水ばっか飲んで草っぱや虫をかじるのもうんざりしとったしなぁ」

団長「それは気の毒にな…」

老人「…最期に酒でも飲めりゃなぁ。それだけが心残りだで」

団長「いろいろ教えてもらって助かった。恩に切る」

老人「酒が飲みてぇなぁ…。なーんもかも忘れてぇや…」ボーッ

団長「では行くか」スタスタ

宣教師「……」

ヒメ「行くぞ…」グイッ

宣教師「はい…」スタスタ
587: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:35:41 ID:lBZMgJx./k
ヒメ「だいたい聞いて回ったけど、あまり有力な情報は入らないな…」

団長「どうやら中央の都市部から離れた区域には現状が広まっておらんようですな」

宣教師「というより…どなたも興味無さげに見えましたね」

ヒメ「まぁ長年、圧政と弾圧に泣かされてきた国民からしてみれば他人事でもおかしくないかもな…」

ワァーワァーギャーギャー!

ヒメ「……?」

団長「なにやら向こうがざわついておりますな」

護衛1「き、来ました!我が軍……いや、裏切り者の王国兵です!」タタタッ

ヒメ「……来たか」

宣教師「予定通りですね」

団長「うむ、フィクサーが皇位継承者としての権威を示すべく帝都に召集させる民衆に紛れて潜入するのですな」

ヒメ「あぁ、みんな…絶対に勘付かれるなよ?」

護衛's「ははぁっ!!」
588: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:38:52 ID:3wYAsB3RjM
ザワザワ ザワザワ

副官「や、素直に呼び掛けに応じてもらえて誠に助かります!本日はお日柄も良く……」ペラペラ

貧民6「(誰だ、こいつら?)」ボケーッ

貧民7「(すげー人数の兵隊だな…。うちの国の鎧じゃないみたいだが…)」ジーッ

貧民8「(ま、まさか俺達を殺しに…?)」ブルッ

貧民9「(言いなりになっとけば済みそうな空気だな…。おとなしくしとこ)」ボケーッ

副官「えぇ〜という次第でこれより皆様には帝都に移動していただきたく……ここまでで何か質問はございますか?」

シーン

宣教師「いやに静か…というか従順ですね」

ヒメ「慣れてるんだよ。こういう状況に」

団長「うむ。強引に従わされるのが彼らの日常ならば当然、やり過ごすのも日常茶飯事だろう」

副官「ふーむふむ」ジロジロ

ゾロゾロ ゾロゾロ

副官「思ってた以上に多いな…」

ザザザッ

王国兵's「」ジャキッ

貧民's「」ビクッ

宣教師「え…?」

副官「こんなにいる訳だし…ちょっとくらい減らしても構わんよね?」ニヤァァ

ヒメ「ま、まさか……」

副官「せっかく整列してもらって悪いが…前から10列は消えてもらおう?」ピッ

王国兵's「」バババッ

ワァァァァァアアアア!!!

副官「おっとと?後ろの列の皆さんも気を抜いちゃいかんよ?
前の列が後ろに逃げて列が入れ替わった場合も同じく10列以内に数え、切り捨てる?必死に前の列を押さえないと?」ニヤニヤ

ワァーワァーギャーギャー!
589: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:40:37 ID:lBZMgJx./k
ザシュッ ドバッ ズンッ ビシャァァァ

ギャアアアアアアアアア………

ヒメ「あ、あいつら…!」

宣教師「彼らのやっている事は理不尽な殺戮ですよ!あれも見過ごすんですか…!?」

団長「し、しかし…ここで目立った動きをすれば…!?」

ヒメ「止めるぞ!!」

団長「なっ…!?」

ヒメ「全員に呼び掛けろ!」バサッ

護衛1「へ、変装を解いてしまわれた…!?」

ヒメ「作戦はまた考える!被害が増える前に奴らの暴挙を止めるんだ!?」

団長「…やむを得ませんな!」バサッ

護衛's「……!」バサッ

宣教師「私も戦います!」バサッ

ヒメ「いや、おまえは民衆を先導して避難させろ!僕らも後から追いかけるから!」

宣教師「…わ、分かりました!皆さん、私が安全な場所へ誘導します!さぁこちらへ!?」ダッ

ダダダダダダッ
590: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:47:03 ID:3wYAsB3RjM
副官「ハッハッハ!逃げなさい、逃げなさい!惨めな敗戦国の民には無残な死がよく似合う?」ゲラゲラ

バシュッ ドスッ ガンッ ベシャアアア

副官「ん!?」

ガキンッ ギャリンッ ギィィン

副官「なんだ、あの小汚ない集団は?一端に剣を握って反抗か?たかだか100人足らずで生意気な……」

ドガガガガッ

王国兵's「ぎゃああああ!!!」ズダダァァン

団長「貴様ら、それでも誇り高き王国兵か!?弱った民衆に刃を突き立てるなど恥を知れ!?」ダンッ

王国兵's「な、なんだこいつは…!?」タジッ

副官「正義の味方気取りか?くだらん?押し包んで膾にしてやんなさい!」

オォォォオオオオオオオオオ!!

団長「ふん…やれるものならやってみろぉ!!」ダッ

ズバッ ガシュッ ドバッ ブシャアアアアア

副官「……!?」
591: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:48:32 ID:lBZMgJx./k
王国兵20「うるぁっ!!」ブンッ

護衛1「おわっ!」ギャリンッ

カランカラン

護衛1「け、剣が…!」アセアセ

王国兵20「死ね!クソカスがぁっ!?」バッ

護衛1「(ひっ…殺され……)」ビクッ

ズバッ

護衛1「あ…あ…うあ!」ピシャッピシャッ

王国兵20「ぐ……ふっ」プシャアアアアア

バタッ

ヒメ「大丈夫か?」ピシュッ

護衛1「あ、あ……う……」ガクガク

ヒメ「どうした…?」

護衛1「うっ……ゔぉえええ」ゲロゲロ

ビチャビチャ ジワァァァ

ヒメ「……」

護衛1「も…しわげ…うぶっ……」ベショッ

ヒメ「…おまえも行け」

護衛1「え゙…?」

ヒメ「宣教師だけじゃ民衆を守りきれないだろ?あいつを護衛して一緒に先導してこい!」

護衛1「あ、いや!私も戦い……」

ヒメ「命令だ!!早くしろ!?」

護衛1「っ……申し訳ありません!!」ダッ

王国兵's「ガキぃ…!!」ザザザッ

ヒメ「……」ジャキッ
592: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:51:20 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「せやっ!!」ヒュンッ ザシュッ

団長「ぬおぅっ!!」ブォンッ ドバッ

副官「ん〜…しぶといなぁ…。何人か手練れもいるようだが…こういうのは長引かせるといけないんだ?」

副官「総員!!陣形を立て直せ!!針のむしろだ!!」バッ

ザザザッ

ヒメ「囲まれたか…!」

団長「…ご安心を!陛下の御身は必ずやお守り致す!!」ズイッ

ヒメ「あっバカ…!」

ザワッ

団長「」ハッ

王国兵21「今、陛下って…?」

王国兵22「俺も確かに聞いたぞ…?」

王国兵23「そういえばあの泥んこの少年剣士……どことなく陛下に似ているような…?」

王国兵24「ま、まさかぁ…?他人のそら似だろ?」アセアセ

王国兵25「いや、でも民間人にしてはどいつも妙に剣術が達者な気が……」

ザワザワ ザワザワ

副官「……」
593: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:56:13 ID:lBZMgJx./k
団長「も、申し訳ございません!ワシの不用意な発言で……」

ヒメ「…気にするな。こうなってしまったからには、どのみち暴かれてたさ」

団長「……!」

ヒメ「聞け!!誉れ高き王国の兵士達よ!!」カッ

王国兵's「」ビクッ

ヒメ「僕はおまえ達の仕える主君、ヒメだ!!」

王国兵21「そ、そんなバカな…!?」ゾワッ

王国兵22「なぜこんなところに陛下が…」

ザワザワ ザワザワ

副官「ほっほ〜う?どうりで不自然に感じておりましたが……」ニヤリ

ヒメ「」ジロッ

副官「まことに国王陛下ですかな?」ニヤニヤ

ヒメ「おまえは主の顔も思い出せないのか?」

副官「はぁて…?こんな貧民街に捨てられた薄汚ない野良犬に忠誠を誓った覚えはございませんな?」ニヤニヤ

ヒメ「今なら、まだ僕に刃を向けた罪も不問にしてやる!武器を捨て、投降しろ!?」

副官「ご冗談を?本当にそうだとしたら……なおのこと刃向かうしかございませんねぇ!?」

王国兵's「」ジリッ

ヒメ「やっぱり…そうなるよな」ジャキッ

王国兵's「!?」ギョギョッ

団長「貴様らぁ……」ゴゴゴゴゴ

王国兵21「(あ、あの少年が陛下だとしたら…隣にいる凄腕の剣士は……)」ダラダラ

王国兵22「(お、王国最強と称される剣術家…ルフィアス団長…!?)」ゾゾゾッ

王国兵23「お、俺達じゃとても…太刀打ちできない!」ガクガク
594: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:02:22 ID:lBZMgJx./k
副官「怯むな!さしものルフィアスと言えど1000からいる兵を相手に大立ち回りは出来んだろうさ?」

王国兵23「し、しかし…」オロオロ

王国兵24「そ、そうだ…!」ザッ

王国兵's「」ビクッ

王国兵24「ここまでの戦いを思い出せ!俺達はあの西国軍を相手に大勝を挙げてきたんだぞ!」

王国兵's「……」

王国兵24「本国でぬくぬくとアクビこいてた奴らに負ける訳がねぇ…!」ビキィッ

王国兵25「お、おうさ!何が陛下だ、団長だ!こっちは傷だらけになりながら命懸けで戦ってきたんだぞ!」

王国兵26「今さらノコノコ出てきやがって…!俺達の力を思い知らせてやる…!」

ヒメ「……」

団長「おのれらぁ…!!」ワナワナ

護衛's「」オロオロ

王国兵27「あんたら王族には分かりゃしないよ…!あれやれ、これやれ言われて、ただ頷くしかない俺達の気持ちは…!」

ヒメ「何がそんなに不満だったんだよ…。自分で言うのもなんだけど…僕は誠心誠意、おまえ達の意を汲み取って執政に務めてきたつもりだぞ」

王国兵27「はっ!笑わせんじゃないよ!あんたも一度くらい身を費やしてみりゃいいんだ!?」

ヒメ「……」

王国兵27「奉仕するだけのつまらない人生なんてまっぴらだ……」ワナワナ

王国兵28「あんたは贅沢三昧なんだろうなぁ!いいよなぁ!王族に生まれてさ!?」ジロッ

王国兵29「表立って笑顔振り撒いてりゃ大勢に讃えられ、数百もの召し使いに抱えられ、口先一つでなんだって好き放題だ!羨ましいぜ!」

王国兵30「あんたの道楽で俺達は割りを喰ってんだ!冗談じゃねぇ!!」

ヒメ「何を吹き込まれたか知らないが…ひどい言われようだな」

副官「吹き込むなどと滅相もない?民の正直な意見ですよ?」ニヤニヤ

ヒメ「ふん…」
595: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:08:27 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「…羨ましい、か」ボソッ

王国兵's「」ピクッ

ヒメ「代われるものなら代わってやりたいよ。僕だって、こんな立場は願い下げだ」

王国兵27「なにを〜!?」

ヒメ「…でもおまえ達では決して務まらないだろうな」

王国兵's「あぁ〜…!?」ビキッビキッ

ヒメ「国王というのは人の上に立つ存在だ。僕の思想や言動一つでおまえ達の今後を大いに左右することが出来るのも事実だろう」

王国兵24「けっ…とうとう本性表しやがったな」

ヒメ「だがそれは同時に数多の命と未来を抱え、守り育てる途方もない道のりだ。それを覚悟して望むのか?」

王国兵21「……?」

ヒメ「もしおまえ達の中の誰かに国王を任せたら…すべての国民に均等な報酬と生活を保証し、身分や姿形、貧富や種族に関わらず公平に分け隔てなく慮った国作りをすると約束出来るか?」

王国兵27「へっ…あ、あんたよりはマシな事が出来るさ?」

ヒメ「ふーん…?」

王国兵27「な、なんだよ…!?」
596: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:10:01 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「ならおまえは具体的にどうするんだ?」

王国兵27「は?」

ヒメ「おまえが国王であったなら、まず何を第一に掲げるのかと聞いてるんだ?」

王国兵27「え?だ、だから良い国作るって……」アタフタ

ヒメ「はぁ……もう一度、質問するぞ?良い国を作るにあたって何をどうする?」

王国兵27「う…ぐっ…!あ、商いだ!商いをどんどんしてく!!金が流れなきゃ国は成り立たないからな!?」ムッ

ヒメ「へぇ…なかなか的を射てるな?」

王国兵27「あ、あたりめぇだ!大人を馬鹿にしてんじゃ……」

ヒメ「で、どうやって?」

王国兵27「あぁ!?」

ヒメ「民がおおらかに独立した商売をやっていける環境を作るにはどうすればいいのかと聞いてる?」

王国兵27「だ、だから!そりゃお前!か、金を…国が渡して……」アタフタ

ヒメ「補助金制度はとっくに導入してるよ。積極的に取り入れてもらう為にも城下の民間施設で定期的に新制度の説明会を開いてる。
それでもなかなか商売に踏み切れない者は多いし、その制度を悪用して不当に利益を得ようとする動きも見受けられる。
そういった悪意ある行動、無関心な民意を改善、抑止する為にはどうしたらいい?」ペラペラ

王国兵27「うぅ…」

ヒメ「それに商売をするにも資金だけじゃなく土地の確保や人員の募集、健全な就労条件、業務内容の見合わせ、そもそも需要があるかどうか、検討する事案を挙げればキリがないよな?」

王国兵27「く、く、くくぅ…!」ギリッ

ヒメ「ちなみに言っておくが商売人を志す者を後押し出来るよう学習院の高等科で商業学科の受講が可能になってる。
ゆくゆくはこれを全国的に増設して商業発展の要とし、経済的な影響が見込めるよう取り計らっていくつもりだ?
予算案は未だ協議の最中にあるが、そこは度外視してくれて構わないから、ここまでの説明を参考に意見を頂戴したい?」

王国兵27「あぐぅ…き、共通語で喋れや……何を言ってんだかさっぱりだ!?」ギリギリ

ヒメ「なんだ、この程度で?地位と名声が欲しくないのか?
国作りなんか簡単なんだろ?王たらしめる素晴らしい提案を聞かせてくれよ?」

王国兵27「こ、このクソガキィ…!!」ビキッビキッ
597: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:12:18 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「他にいないのか?我こそは国王に相応しいと唱える候補者は?」キョロキョロ

ザワザワ ザワザワ

ヒメ「僕に代わって出来ると断言するなら王座なんかいつでも明け渡してやるよ」

王国兵's「っ……」ゴクリ

ヒメ「そうすれば僕は憧れの平民になって好きなだけ自由な時間を堪能できるし、気兼ねなく友人も作れる?」

団長「……」ググッ

ヒメ「自分で選んだ職業にだって就けるし、行ってみたかった場所にも気の向くままに行ける」

護衛's「へ、陛下……」

ヒメ「寝る間も惜しんで思案する必要もなくなるし剣術の稽古や政治学の勉強もやめられる。
趣味を作って、夢を追って、年相応に自分の人生を楽しんで……」

ヒメ「ふふ。恋もしてみたいな?きっと素敵な人がどこかにいる…。
狭い城の中で着飾った女達や当て付けられた許嫁から自由に選ぶより、なにげなく出会った人とふれあいながら自然に生まれる感情に委ねたい?」キラキラ

副官「ぅっ…くっくっく!純情なことで?」プゥークスクス

王国兵's「(こ、国王って、そんな制限される立場なのか…?)」
598: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:15:01 ID:lBZMgJx./k
ヒメ「ここまで聞いてなんとなく分かるだろうけど…おまえらが思うほどいいものじゃないぞ?」

ヒメ「責任は重いし、常に試され、疑われ、嫌われながらも期待に応えるという重圧に耐えて悩み抜かないといけない。
納得しきれない決断を迫られる場面も多くあるし、今みたいな裏切りにだって何度でも遭う?」

王国兵's「……!」タジッ

ヒメ「もし今、おまえ達が僕に向ける怒りや憎しみの感情を、その身で受ける事になっても…『自分が国王になった方が良い国作りが出来る』と無責任にのたまえるか?」

王国兵27「あ、いや……」

ヒメ「幾万もの人心に訴えかけようとすれば、そこに協調性なんて一欠片もない。
正解の分からない議論を不毛とも思えるほど繰り返し、吟味し、やっと実らせた結論を起こしても…結果が追い付かなければ全て白紙に戻して、また0からやり直しになる」

ヒメ「人が人の上に立つにはそれ相応の努力と覚悟が必要だ。
百人の上に立つなら百人分、千人なら千人分、1万人なら1万人分の働きをする気概がなければ到底務まらない役目だ」

王国兵's「」プルプル

ヒメ「この西国のように民を人として扱わず、武力にものを言わせて弾圧し、強制的に労働を強いて、対価も与えずに己の贅沢に充て、公務の一切を放棄するような独裁者なら誰にでも代わりが務まるさ?」

ヒメ「だけどそれは民の代表なんかじゃない!民を脅かす敵だ!」

王国兵's「」ピクッ
599: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:19:21 ID:lBZMgJx./k
ヒメ「いいか?僕の政治に不満があるなら遠慮なく主張を通せ!」

王国兵's「!?」

ヒメ「その為に民間から役人に立候補出来る投票制度も作ったし、役所で意見投書も出来るようにしてあるだろ!?」

ヒメ「僕がいくら頑張ったところでやれる事なんか限られてるんだよ!
本気で自分たちの生活を豊かにしたいなら、なりふり構わず声を挙げろ!
デモでもストライキでもなんでもいい!国はおまえ達の物でもあるんだ!」

ヒメ「自由に叫べ!実行しろ!誰かをあてにしたら、その時点で望む変化は得られなくなるぞ!自分の望む未来を全力で開け!!」

ヒメ「王の為じゃなく国の為に戦え!!民は奴隷じゃないということを自らの行動で示せ!!」

ヒメ「僕の描く理想は民と造り上げる国家だ!僕はおまえ達の敵じゃない!」

ヒメ「たとえ全国民が僕を憎んでいたとしても…僕は国王の責務に殉じて民の味方であり続けると約束する!!
だから…僕個人を非難するも破滅に追いやるも好きにすればいい!!ただ…これだけは聞いてくれ!!」

ヒメ「同じ国に生きる民の間で殺し合うような真似だけはするな!!
おまえ達が戦うべき相手は僕だ!!不満も意見も何もかも僕にぶつけろ!!」

ヒメ「解決出来なくても、望んだ結果にならなくても、力不足でも…おまえ達が出した声を決して無駄にはしない!!」

王国兵's「〜〜〜!!!」ジワァァ

団長「ヒメ様…!」ウルウル

護衛's「陛下…」
600: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:22:30 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「…だからもう、こんな事はやめてくれ。
弱った西の国民を弄んで虐げる王国民の醜い姿を…長々と歴史に晒してほしくないんだ」

王国兵's「うっ…く、ぐふぅ…!!」ガチガチ

ヒメ「長く国を離れて戦ってきた、おまえ達の苦労はよく分かるよ…。
本当に感謝してるし、大変な役目を担わせて申し訳なかった…」

王国兵's「……」ブルブル

ヒメ「…出来ることなら王国の地で凱歌を挙げ、民衆の面前に英雄として立たせ、誇らしい気持ちでおまえ達を讃えてやりたかったよ」シュン

王国兵's「!!!」ブワァッ

団長「!?」

王国兵's「うおぉぉおお…おおぉぉおおぉぉおお……!!!」ポロポロ

ヒメ「……」

団長「こ、これは…」

護衛2「泣いて…いますな?」オロオロ

副官「はい、シャラーップ!!」ガンッ

王国兵's「」ビクッ

ヒメ「……」ジロッ
601: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:27:25 ID:3wYAsB3RjM
副官「ふんふん、あーそうですか。ご立派、ご立派。はい!国王陛下の素晴らしい御高説に惜しみ無い拍手を!」パチパチ

王国兵's「」オロオロ

ヒメ「……」

副官「や、しかし…あまっちょろい理想論は残忍な本性を包むベールでしかない?」

ザワザワ ザワザワ

副官「だいたいにして戦争を引き起こしてしまった張本人が何を口にしても説得力に欠けますなぁ?
意見だ、投書だ、平和ボケしたノンキな言論も血塗られた歴史の後ではなんと傲慢に映るものでしょうか?」

副官「いくらきれいごとにすり替えたところで本質的な部分は変わりませぬよ?
貴方は力で平和を勝ち取り、都合の悪い者を抹殺することで政を企てる為政者です?」

ヒメ「……」

副官「ですがそれは何も間違っておりませぬ?いやいや、むしろ正しい?国王としてあるべき姿と言えましょう!」

団長「おのれぇ…陛下を侮辱するかぁ!?」ズイッ

副官「やや、鼻息の荒い?私はお褒め差し上げてるのですよ?」

団長「なにぃ…!?」

副官「なんと言っても結局は力が全てを決する?いくら時代が流れても争いが尽きることはありえませぬ?」

副官「なればこそ我々は…平和などというおためごかしで、その事実を曲げてはならぬのですよ?」ニヤァァァ

団長「なんだと…?」
602: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:30:12 ID:lBZMgJx./k
副官「なぜなら、この広い大陸!魅力に溢れすぎている!
西の金山然り!南の心地よい気候然り!東の石膏技術然り!北の雪原然り!
王国の雄大な国土然り!!世界は常に我々を誘惑している!?」

副官「ともすれば我々の欲望が尽きるのはいつか!?そう!
全てを手にした時……ずばり大陸の総支配こそが真の平穏に繋がるのですよ!?」

団長「た、大陸の…総支配…!?」ワナワナ

副官「不可能と笑うかね?だが私は確信しておりますよ!
フィクサー総指揮の才知は易々とこれを実現されるであろうとねぇ!?」ニヤニヤ

ヒメ「そんなことをすれば……」

副官「おぉっとお待ちを!反論される前にご一考くださいませ?」

ヒメ「?」

副官「貴方はそれを既にやっているんですよ!?
西、東、南、王国、いったいどれほどの命を散らしたやら!?」

ヒメ「っ…!」

副官「敗者に語る言葉無し!正義は勝者の気心次第!
貴方の戯言はまさしく勝者の理屈ではございませぬかな?」ニヤニヤ

ヒメ「……!」
603: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:41:14 ID:3wYAsB3RjM
副官「どうです?ご自身を正当化する素敵なきれいごとは思い浮かびましたか?」

ヒメ「っ…!」

副官「ふっふっ…何を執着されておられたか知りませんが救い主を辺境地に隠したのは失敗でしたなぁ?
さっさと始末しておけば、ここまでの大事には至らなかったでしょうに?」

ヒメ「は!?」ピクッ

副官「ん…?」

ヒメ「なんで軍部のおまえがカロルの居場所を知ってるんだ?」

副官「や、以前から政務官殿にいろいろとお話を伺って……」

ヒメ「…まさかおまえら……」

副官「おやおや、なにやら思い付かれましたか?」ニヤニヤ

ヒメ「カロルが東領のミラルドにいた事を西国に流したのはおまえらだな!?」

副官「馬鹿げたことを…?ご自分の失敗を棚に挙げて責任転嫁ですか?」

ヒメ「ふざけるな!!僕が戦争を回避する為にどれだけ手を尽くしたか…!
おまえらが…おまえらが余計な真似をしたから…!?」ワナワナ

副官「存じませんなぁ?」ニヤニヤ

ヒメ「やっと分かったぞ…!フィクサーは最初から、こうなる事を見越してたんだな…!?」

副官「……」

団長「は…?ど、どういうことですか?」

ヒメ「さっきから聞いてれば、こいつの発言は戦争を肯定するものだ…!だとしたら……」

副官「だとしたら…?」ニヤニヤ
604: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 22:46:38 ID:3wYAsB3RjM
ヒメ「戦争を拡大するのが目的か…!だから王国を切り捨てたんだろ!?」

副官「んぅ……どうでしょうかねぇ?」ニヤニヤ

ヒメ「王国に戻れば戦争は終着し、徴兵に駆り出された兵は解散する…。
だからおまえらは西の国に留まり、確保した兵力と共に平定を進めて軍備の強化と国土の統治に重きを置いたんだな?」

王国兵's「え…?」ザワッ

ヒメ「自由意思で戦争を仕掛けられる国家を立ち上げるのが狙いだったんだろ!?」

副官「さすがお坊っちゃま。子供らしく想像力がたくましくていらっしゃる?だいぶ飛躍的ですがね?」ニヤニヤ

ヒメ「やっと分かったよ…。リルラがアントリアに促されて戦争に行き着く流れを作ったんだと思ってたけど…その裏で暗躍してたのはフィクサーだったんだ!」

団長「な、なんと…!?それはまことか!?」

副官「まぁまぁ…ね。もうお話はいいでしょう」ニヤリ

ヒメ「は…!?」
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うpろだ
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