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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


570: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:46:57 ID:ct23qpuRuY
ヒメ「まずは戦争が終わったと安堵しきった国民にフィクサーの反逆を伝える」

政務官「そんな事をすれば城下で大規模な反対運動が…対応に追われ、統制が揺らぎますぞ?」

ヒメ「それでいい。敵がおおまかに予想してる中で最も自然な流れが望ましいからな」

ネバル「で、でも普通なら隠すですよね?不自然にならないですだか?」

ヒメ「普通ならな。でも今は異常事態だ。残存する兵力は僅か。
連合も壊滅的であてにならないとするなら妥協して国民の命を絞り出すしかない」

ネバル「ま、また…戦わせるです?」ゴクッ

政務官「無茶だ…!」

ヒメ「……」

政務官「なんとか私が先回りして北国らに取り計らいましょう。
いつでも連絡出来るよう独自に密書のやりとりをしておりますので…」

団長「き、貴様!また隠れてコソコソと…!?」

政務官「黙れ!国交を預かる身ならば当然だ!?」

ヒメ「却下だ?それじゃどうにもならない?」

政務官「なっ…!?」

ヒメ「確かに役人の頭で考えるなら、おまえの提案が一番分かりやすいし正攻法だ」

政務官「で、であれば…」

ヒメ「でもな、正攻法っていうのは力関係が対等であるからこそ成立するんだよ。
例えば10人対100人で真っ向から挑んでも勝てないだろ?」

政務官「そ、それとはまた異なりましょう…?」

ヒメ「いや、違わないね?どう背伸びしたって不利な立場の3国に助けを求められても北国らは素直に応じたりしないと断言できる」

ヒメ「良くても国とは名ばかりの植民地にされるか…攻勢に転じてくるかだ」

政務官「バ、バカな!」

ネバル「で、でも今までの事を考えたら…同盟国なのに自分たちの都合が悪い時は全然、助けてくれなかったです!」

団長「ぬぅ…!これではなんの為の同盟か分からんな!」イライラ
571: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:52:11 ID:ct23qpuRuY
ヒメ「同盟が形作られて50年あまり…個々の差はあれど6国の力関係は均等に保たれていたから対等な交渉と最低限の不干渉を貫けた。
ここまでの状況に陥ったのは初だから実感が沸かなくても無理はない……」

政務官「っ……く!一度、不平等な条約を結ばれでもすれば時を経ても修正は難しい、か」ギリッ

ヒメ「王国の兵力はフィクサーにまるごと吸収されてしまったしな。
西の鉱石財源も奪われ、そしてあの"魔性のファルージャ"までもが癒着したんだ」

政務官「」ハッ

ヒメ「…北国らを落とせる手札はみんな奴に持っていかれてるんだよ。僕らの付け入る隙なんかない」

政務官「た、確かにファルージャに掛かれば……卑しい北の王など、すぐさま魅了されてしまうかもしれん…!」

ネバル「鉱石財源を確保してるとなると…当初の予定通り、交易を持ち掛けて親密になる事も出来ちゃうです!」

ヒメ「だからこそ僕らはどこにも頼れないし、じり貧だと分かってて無理やり国民を奮起させても、なんら不思議じゃない」

宣教師「…そうしたところで、どう作戦に繋がるのです?」

ヒメ「…思い通りになったとぬか喜びさせて直接、奴に接近するのさ?」ニヤッ

宣教師「?」
572: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:57:11 ID:N0iEIhkfnQ
ヒメ「リルラとネバルはさっき言ったようにフィクサーの裏切りを吹聴するんだ。
また戦争させる風に仄めかせて民衆の不安を煽れ。その後の対応は任せるから臨機応変にな?」

政務官「なっ…!?」

ネバル「ほ、本当にやるです…!?」

ヒメ「団長には立て続けに働いてもらうが…カカドゥーラとやり合った傷は大丈夫か?」

団長「御意!あの程度の傷など3日で完治しております!」ザッ

ヒメ「よし…じゃあ誰か腕の立つのを5、60人揃えられるか?」

団長「承知しました!」

宣教師「ま、まさか…少数で潜り込む気じゃ…?」

ヒメ「理解が早いな?」

政務官「は…!?」

ネバル「えぇ!?」

団長「んなっ…!?」

ヒメ「もうこれ以上、疲れきった民を戦わせる訳にはいかないし、そもそも勝負に持ち込める戦力なんか残ってないからな」

政務官「なりません!それでしたら、もう一度東国のホビットに……」バッ

ヒメ「それは出来ない」

政務官「な、なぜ…!?」

ヒメ「これは王国の問題だ。それに連合軍は役目を果たし、解散している」

政務官「で、ですから再度、呼び掛ければ…」

ヒメ「東国も南国も自国の復権に臨まなければならない期間だ。これ以上、迷惑をかける訳にはいかない」

政務官「くっ…!」
573: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:59:29 ID:N0iEIhkfnQ
ヒメ「団長!」

団長「はっ!」

ヒメ「丸裸で敵陣に入る事になるが…僕を守りきる自信はあるか?」

団長「無論にござる…!」

政務官「い、いかんぞ…!たった数人で何が出来る!?」

ネバル「そうですよ!危なすぎです!殺されちゃうです!」

ヒメ「大丈夫さ。急ごしらえの軍は規模が大きい分、穴も大きい?入り込む隙間は十分にある!」

宣教師「確かに一枚岩とは言えなさそうですが…かといって、こちらの背負う危険の度合いは変わらないのでは?」

ヒメ「…奴の軍は元々、王国軍だ」

宣教師「……?」

ヒメ「家族や友人、故郷を手放してまで本気でフィクサーに付いていくとは思えない。あいつらは戦う道具じゃなく意思を持った兵士だから…」

宣教師「……」

ヒメ「…僕は国王だ。たとえ反目しても自国の兵士は可能な限り、救ってやりたい」

政務官「……」

ネバル「……」
574: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 22:03:43 ID:ct23qpuRuY
ヒメ「もしも僕が死んでしまった時は真っ先に民の安全を優先しろよ?
もちろんおまえ達自身の安全もだ。義理立てて死に急いだりしたら許さないからな?」

政務官「しょ…承服しかねますな」タジッ

ネバル「オラも……死ぬなんて言わないでほしいです…!」グスッ

ヒメ「僕が王国の未来を背負ってるように…おまえ達も国民の未来を背負ってるんだ。そこを履き違えるな」

政務官「っ…はっ!」

ネバル「分かりました、です…」

団長「案ずるな!ヒメ様の命は必ずやワシが守り抜いてみせよう!」

ヒメ「頼りにしてるぞ?」ニコッ

団長「ははぁっ!!」

宣教師「私は蚊帳の外ですか?」

ヒメ「いや、おまえにも来てもらう」

政務官「し、司祭殿は女性ですぞ!そのような……」

宣教師「安心しました」ニコッ

ネバル「え…!?」ギョギョッ

宣教師「私でもまだ…力になれるのですね?」

ヒメ「あぁ、僕らは戦争をしに行くんじゃない。間違いを正し、今度こそ新たな未来に踏み出すんだ!」

宣教師「はい!」グッ

団長「……」ニコッ

政務官「」ゴクッ

ネバル「……!」ギュウッ
575: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 22:16:01 ID:ct23qpuRuY
>>564
ありがとうございます!
のろまな更新で申し訳ありません…osz

分かります!幼女におっきしてなんて言わせたら、もうそれ以外考えられないですよね!分かります!
幼女とおっきしては我ながら鉄板の組み合わせだと思います!
耳元で囁かれたら赤飯3杯ペロリとたいらげちゃいますね!
ごま塩振ったら5杯は固い!というか幼女を食(ry
576: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:25:13 ID:WDqI.QgUIw
―――西の国(後宮)―――

ファルージャ「フゥ〜…」キュッキュッ キュポンッ

ファルージャ「…さ、グラスを傾けなさいな?」ジッ

ファルージャ「クスス…クイッとおいき?妾をして絶賛させた美酒ぞ?」トクトクトク

ファルージャ「…こんなものかえ。気が抜けてしまうゆえ蓋を閉じるぞ?」キュッ

ファルージャ「ン?あぁ、妾はよいのじゃ?」コトッ

ファルージャ「フフ……勘繰るでない?これでも酒には目がない方よ?」クスッ

ファルージャ「妾のグラスは……ここにあろうな?」チョンッ

ファルージャ「そうよ…?口に含んで?」レロッ

ファルージャ「その唇と舌で…しっとりと酔わせておくれ?」ウインク

ファルージャ「ンぅっ……」チュッ

ファルージャ「ン……ア、ハァン……うぅん…」ゴクゴク

ファルージャ「ふはっ……ふぅ…ふぅ」タラー

ファルージャ「…美味なるぞ?」ペロリ

ファルージャ「……」

ファルージャ「ン…」チラッ

ファルージャ「辛抱できぬとな?……こんなに?」ナデリ

ファルージャ「もう……今宵はゆるりと酒を酌み交わしたかったのに…」

ファルージャ「ま、よいわさ…」スルッ ハラリ

パサッパサッ

バッ ポフッ

ファルージャ「ッ…!強く掴みすぎじゃ…?繊細ゆえ…優しく……イッ……アッ!」ギシッ

ファルージャ「ソコ…はっ……あっん……アァァ…!」ピクンッ
577: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:32:30 ID:esacBCDh.U
ギッギッ ギッギッ

アッ イイッ アッ アァァアアアアン!!!

王国兵1「またやってら?」コツコツ

王国兵2「ここの見回りにはよく響くわな…」コツコツ

王国兵1「毎晩、毎晩、よく飽きもせずに…」ケッ

王国兵2「そりゃあんだけの上玉ならな…。男心に火が点くってもんだろ」コツコツ

王国兵1「…結納を控えておきながらヤりたい放題だな」

王国兵2「んなこと言って羨ましいだけだろ?」

王国兵1「…ちっ!あんな色気、見せつけられちゃたまんねぇよ!」

王国兵2「おう、魔性のファルージャ……想像以上にイイ女だ」ジュルリ

王国兵1「なぁ…」

王国兵2「あ?」

王国兵1「の、覗かねぇか?」ハァハァ

王国兵2「…そりゃー名案だ」ニヤリ

王国兵1「よし、きた……ぶぐわっ!?」ムグッ

王国兵2「は?」

魔導師「……」パッ

王国兵1「ぼぇぇぇえええ!!!」ゴボゴボ

王国兵2「ひっ!!」

魔導師「今からその身に起こる不幸、受け入れる覚悟は出来たかい?」ニギニギ

王国兵2「え…?え?」タジッ

魔導師「腐った目で女王を汚すんじゃないよ…」ギラッ

王国兵2「ひ、ひぃああぁぁ」ガクガク

ギャアアアアアアアアアアア………
578: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:35:39 ID:esacBCDh.U
―――宮殿(大浴場)―――

ザァァァァ モワモワモワ

ファルージャ「フゥー……3種のハーブを染ませた湯は芯から暖まるのう?」チャプッ

ファルージャ「引き立つ香りが鼻腔をくすぐり…身体の内をなぞる清涼感が時折、ふと情熱的なぬくもりを孕んで…ハァン……火照りをもて余すわ?」スンスン

魔導師「(地下では火起こしと汲み上げする奴隷たちのゲホゲホ咳き込む声が響いてるんだろうなぁ…)」シミジミ

ファルージャ「そなたは入らぬのかえ?実に心地よいぞ?」クタァァ

魔導師「……入らない」ムスッ

ファルージャ「クスス……拗ねておるのか?」

魔導師「…なんであんな奴と」プイッ

ファルージャ「妾の決定になんぞ不満でも…?」ニヤリ

魔導師「自分は何も言わないさ。女王が本気で望んでるんならねぇ…」プイッ

ファルージャ「ならば祝福しておくれ?」ニコッ

魔導師「…結婚おめでとう」

ファルージャ「よきにはからえ?」ニコニコ

魔導師「……」ジーッ

ファルージャ「ハァァァ……」ヌクヌク

魔導師「……」ジーッ

ファルージャ「まだ何かあるのかえ?」チラッ

魔導師「別に…」プイッ

ファルージャ「…そなたの方が愛しいに決まっておろう?」

魔導師「」ピクッ

ファルージャ「アレは利用しているに過ぎぬ?」クスッ

魔導師「う、うん……」テレッ
579: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:42:49 ID:esacBCDh.U
ファルージャ「ちと偏屈持ちではあろうが、それなりに有能な男じゃ?
配下の大半を失った穴を埋めるだけでなく、なお余りある働きをしてくれるじゃろうて?」クスッ

魔導師「自分は気に入らないね…。あいつ、ずっと女王を見下ろして…何様なんだか?」

ファルージャ「そうぼやくでない?男というのは常に見栄を張りとうてたまらぬ生き物なのよ?
己を大きく見せよう、見せようと振る舞うサマが攻撃的な姿勢に出てしまうのじゃ?」

魔導師「つまんない生き物だねぇ…」

ファルージャ「そうさな…。つまらぬ生き物よ?だが妾にとっては…何より愛おしくてたまらぬ生き物じゃ?」

魔導師「なんで…?」

ファルージャ「くだらない意地や誇り、体面や気取った佇まい。
自意識で象られたナルシズムを優しくほどいて露にしてしまえば男など皆、そう代わり映えのせぬ生き物よ」

ファルージャ「本心を見せまい、見せまいと抗う葛藤が愉快でならぬわ…?」

魔導師「ふぅん……」

ファルージャ「人は等しく愛に焦がれる健気な生き物よ…。なればこそ全ての心は妾の手の内に在る?」

魔導師「……」

ファルージャ「使えなくなれば、また探せばよいわ。替えなど、いくらでもあるのだから……」ホカホカ

魔導師「……あれはどうなんだい?」

ファルージャ「あれ、とな?」

魔導師「…あのホビット」

ファルージャ「……」

魔導師「?」

ファルージャ「フゥ〜…」チャポン
580: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:46:51 ID:WDqI.QgUIw
〜〜〜数日後〜〜〜

―――西の国(貧民街)―――

グゥゥ〜 グゥゥ〜

護衛1「地面に寝そべった貧民らめ…豪快な腹の虫を?さながら獣の唸りにも似た…?」スタスタ

護衛2「うぅえ…!くぅぅ…おぇっぷ!せ、せめて匂いだけでもどうにかしたい…!ここに来てからというもの、ずっとこの調子だ…!」ツーン

護衛3「衣服も泥水の乾いたようなのがこびりついて肌触りが最悪だ…!生乾きの湿った布が張り付いて気持ちが悪い…!」カピカピ

団長「静かにせんか…!こうでもせねば潜入出来なかったのだから仕方あるまい?」ボソボソ

護衛1「で、ですが…これではあんまりです…」

団長「バカモン!ヒメ様を見習わんか?文句一つおっしゃらず見事に物乞いの変装をしてらっしゃるではないか?」

護衛1「へ、陛下…」チラッ

ヒメ「……」ジロッ

護衛's「」ビクッ

ヒメ「余計な話はするな。誰かに聞かれでもしたら終わりだぞ?」

護衛's「し、失礼しました…!」

ヒメ「」チラッ

貧民1「」ブツブツ

貧民2「」グッタリ

貧民3「」フラッフラッ

ヒメ「…大丈夫そうだな」
581: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:48:50 ID:esacBCDh.U
ヒメ「いいか?今の僕たちは西の国の貧民だ?身形だけじゃなく心まで貧民になりきれ?」

護衛's「」コクリ

ヒメ「…一瞬でも気を抜けば命取りだぞ。くれぐれも言葉には気を付けろ?」

護衛's「」ゴクッ

貧民4「ねぇ…あんたら、見ない顔だね?」ヘラヘラ

護衛's「」ビクッ

団長「ここはワシが…」ボソッ

ヒメ「あぁ、頼む…」ボソッ

貧民4「大人数でつるんでるみたいだけど…どこの人?」

団長「ワシらは…先の侵略で故郷を追われてしまいましてな…。こうして故郷の仲間と逃げ延びてきたんで?」

貧民4「あ、そう…。それよりさ。どう?」クイッ

団長「は?」

娼婦「」スパー

団長「……?」

貧民4「銅貨100枚でいいよ?破格の値だろ?」ヘラヘラ

団長「な、何がだ?」

貧民4「一発ズンドコさせてやるって言ってんの」

団長「!?」ブッ

ヒメ「!?」ブッ

護衛1「(あ、あんな痩せぎすの汚い女と…?)」ドンビキ

護衛2「(金もらっても無理だな)」
582: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:50:20 ID:WDqI.QgUIw
貧民4「ほら、どうすんの?早くしないと客付いちゃうよ?」

ポンッ

貧民4「ん?」クルッ

宣教師「私の連れに何か用ですか?」

貧民4「は…?」

ヒメ「母ちゃん!」ダッ

宣教師「いい子にしてた?」ダキッ

ヒメ「うん!」ギュッ

団長「そ、そういうことだ!」

貧民4「ちっ…どうせ半月もすりゃ妻子なんて売り飛ばす事になるのによ?」

団長「……」

貧民4「行くぞ?」スタスタ

娼婦「ん゙あ゙っ……ぺっ!」スタスタ
583: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:52:17 ID:WDqI.QgUIw
団長「身内を売るとは、よほど生活に窮しておるのだな…」

宣教師「お盛んなことで…?」ジトッ

団長「な、何がだ!?」

ヒメ「ん?またなんか来たぞ?」

貧民女「あ、あの…」オドオド

団長「なにか?」

貧民女「お、奥さんに…」オドオド

宣教師「私に?」

貧民女「こ、子供に乳を分けてもらえないですか…?」オズオズ

宣教師「!?」

貧民女「あそこにいる…指しゃぶりしてる赤ちゃん…」ビッ

姉「」ダッコ

赤ん坊「」チュパチュパ

宣教師「……!」

団長「むぅ……」

護衛1「(なんてみすぼらしい…。ぶかぶかの破れた布切れを羽織った全裸の少女が大事そうに赤子を抱えている…)」

護衛2「(二人とも生気のない顔をしてるな…。可哀想に)」

貧民女「どうか…!」ペコッ

宣教師「す、すみません…。あげたいのは山々なのですが…ぼ、母乳はその…出ないんです」モジモジ

貧民女「そんな…」ガクッ

宣教師「せめてこれを…」ゴソッ

ヒメ「」ガシッ

宣教師「え?な、なぜ止め……」

団長「ワシらも余裕が無くてな。悪いが他を当たってくれ」

貧民女「……そう。無理言ってごめんなさい」トボトボ

宣教師「あっ…」
584: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:55:27 ID:WDqI.QgUIw
宣教師「…どういうつもりですか?」キッ

ヒメ「こっちのセリフだ」ジロッ

宣教師「……!?」

ヒメ「なにげなく周りを見てみろ」

宣教師「?」キョロキョロ

ジロジロ ジロジロ

宣教師「見られてる…?」

団長「外様のワシらを品定めしているのだ。タカるに値するかどうかをな?」ボソボソ

ヒメ「あそこでおまえが施しなんかしてみろ。飢えた連中が一斉に取り囲んでくるぞ?」

宣教師「で、ですが…あの子たちが」

ヒメ「面倒事は避けろ。何度も言うけどバレたら終わりなんだぞ?」

宣教師「っ……」ググッ

ヒメ「可哀想だよ。でもここで僕たちが倒れたら、あの親子のような境遇が全国に普及するんだぞ」

団長「今は耐えろ…」ポンッ

宣教師「…分かりました」シュン
585: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 21:59:00 ID:WDqI.QgUIw
ヒメ「とりあえず歩いて廻ろう。それとなく情報を集めるんだ」

団長「ははっ!」

宣教師「……」

浮浪者「…あ?なに見てんだよ?」ジロッ

護衛1「は?」

団長「どうした?」クルッ

護衛1「い、いえ…なにも」

浮浪者「見せ物じゃねぇぞ!!」プーン

護衛1「な、なんだ、こいつ…」

団長「…相手にするな。行くぞ」スタスタ

護衛1「は、はい…」スタスタ

浮浪者「バカにしてんじゃねぇよ!!」ペッ

護衛1「ちっ…!ムカつく奴だな…!」イライラ

護衛2「誰でもいいから当たってるんだろ」

宣教師「……」チラッ

ならず者1「ぶはぁ〜!やってらんねぇや!どこもしけてやがら?」グビグビ

ならず者2「強盗しようにも金目のモン持ってる奴なんざ、ほとんどいねぇし墓荒らしても骨とガラクタばっかで大した供物もねぇもんなぁ?」

ならず者3「腹減ってムカムカすっからよ。さっきそこでみなしごのガキを犯してやったぜ!ひゃはは!」ゲラゲラ

ならず者4「あんなん相手して股ぐら痒くなっても知んねーぞ?薬なんかどこにもねーんだからよ?」ホジホジ

宣教師「(貧苦に耐え兼ねているせいか、どなたも心を病んでいますね…)」キュッ

586: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/2/10(水) 22:01:45 ID:WDqI.QgUIw
老人「はぁ?おめぇさん達、なんにも知らんのか?」

団長「あぁ、余所から逃げてきたはいいが状況がいまいち分からんでな」

老人「知ったからってどうなるもんでもねぇが…まぁ見ての通りだ?
それも全部、王国あたりと戦争してからだな?」

団長「ふむ…」

宣教師「……」

老人「若い男手はみんな引っ張られて女達もお慰み用に連れてかれちまった。
まぁ元々、強制労働だ、徴兵だのとあるから、そう珍しくもねぇんだが…」

老人「なにしろ備蓄してある食料品や武器の製造に使われる資材は丸々、持ってかれて生産性のない空っぽの街に年寄りと子供だけが取り残されちまった」

老人「外からも似たような連中が押し掛けて気が付きゃ、ここはすっかりはぐれ者の街だて」

老人「水は引いてあるから渇きは潤わせるが人が溢れて食い繋ぐあてがねぇ。
田畑の作物や肥料、種、牧場の家畜から何から軍に奪われちまって外からの援助も期待出来ねぇかんな」

老人「せいぜい気の荒いならず者共がよそを歩き回ってタカるか、貨物車を襲って物資を強奪するかくらいだなぁ」

老人「うちの婆さんも数週間前に干からびて死んじまったし、おいらもそろそろお迎えが来る頃だ。
水ばっか飲んで草っぱや虫をかじるのもうんざりしとったしなぁ」

団長「それは気の毒にな…」

老人「…最期に酒でも飲めりゃなぁ。それだけが心残りだで」

団長「いろいろ教えてもらって助かった。恩に切る」

老人「酒が飲みてぇなぁ…。なーんもかも忘れてぇや…」ボーッ

団長「では行くか」スタスタ

宣教師「……」

ヒメ「行くぞ…」グイッ

宣教師「はい…」スタスタ
587: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:35:41 ID:lBZMgJx./k
ヒメ「だいたい聞いて回ったけど、あまり有力な情報は入らないな…」

団長「どうやら中央の都市部から離れた区域には現状が広まっておらんようですな」

宣教師「というより…どなたも興味無さげに見えましたね」

ヒメ「まぁ長年、圧政と弾圧に泣かされてきた国民からしてみれば他人事でもおかしくないかもな…」

ワァーワァーギャーギャー!

ヒメ「……?」

団長「なにやら向こうがざわついておりますな」

護衛1「き、来ました!我が軍……いや、裏切り者の王国兵です!」タタタッ

ヒメ「……来たか」

宣教師「予定通りですね」

団長「うむ、フィクサーが皇位継承者としての権威を示すべく帝都に召集させる民衆に紛れて潜入するのですな」

ヒメ「あぁ、みんな…絶対に勘付かれるなよ?」

護衛's「ははぁっ!!」
588: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:38:52 ID:3wYAsB3RjM
ザワザワ ザワザワ

副官「や、素直に呼び掛けに応じてもらえて誠に助かります!本日はお日柄も良く……」ペラペラ

貧民6「(誰だ、こいつら?)」ボケーッ

貧民7「(すげー人数の兵隊だな…。うちの国の鎧じゃないみたいだが…)」ジーッ

貧民8「(ま、まさか俺達を殺しに…?)」ブルッ

貧民9「(言いなりになっとけば済みそうな空気だな…。おとなしくしとこ)」ボケーッ

副官「えぇ〜という次第でこれより皆様には帝都に移動していただきたく……ここまでで何か質問はございますか?」

シーン

宣教師「いやに静か…というか従順ですね」

ヒメ「慣れてるんだよ。こういう状況に」

団長「うむ。強引に従わされるのが彼らの日常ならば当然、やり過ごすのも日常茶飯事だろう」

副官「ふーむふむ」ジロジロ

ゾロゾロ ゾロゾロ

副官「思ってた以上に多いな…」

ザザザッ

王国兵's「」ジャキッ

貧民's「」ビクッ

宣教師「え…?」

副官「こんなにいる訳だし…ちょっとくらい減らしても構わんよね?」ニヤァァ

ヒメ「ま、まさか……」

副官「せっかく整列してもらって悪いが…前から10列は消えてもらおう?」ピッ

王国兵's「」バババッ

ワァァァァァアアアア!!!

副官「おっとと?後ろの列の皆さんも気を抜いちゃいかんよ?
前の列が後ろに逃げて列が入れ替わった場合も同じく10列以内に数え、切り捨てる?必死に前の列を押さえないと?」ニヤニヤ

ワァーワァーギャーギャー!
589: ◆WEmWDvOgzo:2016/2/17(水) 21:40:37 ID:lBZMgJx./k
ザシュッ ドバッ ズンッ ビシャァァァ

ギャアアアアアアアアア………

ヒメ「あ、あいつら…!」

宣教師「彼らのやっている事は理不尽な殺戮ですよ!あれも見過ごすんですか…!?」

団長「し、しかし…ここで目立った動きをすれば…!?」

ヒメ「止めるぞ!!」

団長「なっ…!?」

ヒメ「全員に呼び掛けろ!」バサッ

護衛1「へ、変装を解いてしまわれた…!?」

ヒメ「作戦はまた考える!被害が増える前に奴らの暴挙を止めるんだ!?」

団長「…やむを得ませんな!」バサッ

護衛's「……!」バサッ

宣教師「私も戦います!」バサッ

ヒメ「いや、おまえは民衆を先導して避難させろ!僕らも後から追いかけるから!」

宣教師「…わ、分かりました!皆さん、私が安全な場所へ誘導します!さぁこちらへ!?」ダッ

ダダダダダダッ
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名前:
sage:


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うpろだ
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