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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


56: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:54:25 ID:rjm0FZnxdY
ファルージャ「…もうよい。口を離せ」

将軍「ムホ…」プハッ

ファルージャ「…」ヌラァァァ

将軍「い、いかがか?」ドキドキ

ファルージャ「痴れ者」ゲシッ

将軍「ぐはっ!…おぉぉぉイイィィィィ!!!」クンカクンカ

ファルージャ「お前の唾液がへばりついて肌が乾燥しておるわ?側近、拭く物を?」ゲシッゲシッ

側近2「こちらに」スッ

ファルージャ「…」パシッ フキフキ

将軍「よ、よろしければ、その手拭い、我輩に…!」ハァハァ

ファルージャ「己の唾液が染み付いた手拭いが欲しいとな?」パチクリ

将軍「じ、じじ女王のおみ足に触れた手拭いを使わせていただきたいと存じておりまする!!」ハァハァ

ファルージャ「…好きにせい」ポイッ

将軍「うひょおおおお!!!」パサッ

側近2「………」

ファルージャ「側近、死骸を処分なさいな」

側近2「……は、はい。おい!女王陛下のお足元を清めろ!」

西の衛兵's「ははっ!!」
57: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:56:09 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「女王ん……女王のナマ足付き手拭いぃぃ…」クンカクンカ

ファルージャ「して、そなた何用で参った?」

将軍「はっ…いかぬな!忘れてはならぬ!実は……」ブルンブルン

ファルージャ「実は?」

将軍「お喜びください!!癒しの力の在処が遂に判明しましたぞ!?」

ファルージャ「ほう?それで?」シラー

将軍「そ、それで…とは?」キョトン

ファルージャ「ここに持ってきたのかえ?」

将軍「……!い、いえ!」ハッ

ファルージャ「…あれからもう1年が経ったというに」ボソッ

将軍「で、ですが…その…しかし、それは……」アワアワ

ファルージャ「そなたら三銃士はさも事無げに勇んでみせたが…一向に良い報告を持って参らぬな?」

将軍「」ガーン

ファルージャ「この忌まわしき老いを…一刻も早く捨ててしまいたい。それには永遠の命が必要じゃ?」

将軍「か、返す言葉もございませぬ…!」ブルッ

ファルージャ「…妾を愛しく想うそなたらのこと。何も心配はしておらぬが…妾とて限度という物がある?」

将軍「す、すぐに…すぐに女王陛下の御前に癒しの力を御覧に入れてみせまする!!」ブルブル

ファルージャ「そうさな。期待に応えておくれ?」

将軍「ハハァっ!!」ザッ
58: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:57:38 ID:rjm0FZnxdY
―――西の国(将軍の砦)―――

ドッゴォォォン!!!

パラパラ パラパラ

将校1「(いつにも増して荒れておられる…)」

将校2「(せ、石柱を薙刀の一振りで粉々に…!?)」ガクガクブルブル

将軍「貴様らぁァァ…!ノロノロとだらしのない働きをしおってぇ…!?」ビキビキィィィ

参謀「……」

将軍「たるんどるぞ!!あぁん!?」ダァァンッ!

参謀「閣下個人とされましてはどういった戦局をお望みでございましょうか?」

将軍「貴様は我輩の参謀でありながら、そんな事も分からぬのか?」ギロッ

参謀「まさか?僕は貴方様の忠実なしもべにございます。
全身に流れる血の一滴に至るまで捧げる覚悟……閣下のお心は口になさらずとも把握させていただいておりますよ?」ニコッ

将軍「ほう!?では我輩の心を読み当ててみせるがいい!?」

参謀「ご安心あれ、我らが偉大なる英傑、カカドゥーラ将軍閣下?」

将軍「んぬぅ…!?」

参謀「既に幾重にも及ぶ計を案じておりまする?」

将軍「しからば何故もたついておるか!?」ダンッ

参謀「そう焦らずとも?」

将軍「これが焦らずにいられるかぁ!?女王陛下たっての願いを聞き入れて1年以上の時が経っているのだぞ!?」ガァーッ

参謀「(またあの"妾"か…)」
59: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 08:59:43 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「よもや我慢ならぬ!!我輩が全軍を率い、王国を叩き潰してくれるわぁ!?」

参謀「つまり敵の狙いに沿って動くと?」

将軍「!?」

参謀「これまで打ってきた布石が台無しになってしまいますが…それでもよろしいと?」

将軍「……!?」

参謀「もちろん知謀に優れた将軍閣下のことです。ただただ焦ってがむしゃらに軍を動かそうという訳ではないのでしょうが…」

将軍「と、とと、当然である!!」アセアセ

参謀「…引き続き僕にお任せいただけるのであれば必ずや手柄をお約束しましょう」

将軍「なに!?」

参謀「まず今、攻め入るのは得策とは言えません。敵もそれは感じておりましょう」

将軍「壁となる同盟は切り崩したのであろうが!?」

参謀「不信を煽り、少々の信頼を寄せただけです。段階的にはまだ初めの……」

将軍「初めだとぉ!?まだ進んでおらんのかぁ!?」

参謀「シャルウィン様がなかなか採掘場を明け渡してくださらないもので些か交渉に手間取っておりまする」

将軍「あんのオカマァァ…!?何を考えておるかぁ…!?」ギリッ

参謀「明け渡す前に採り尽くして鉱山を空にしたいのだとか?そんな時間はないとお伝えしたのですがね?」

将軍「…挙兵せよ!ぶっ殺す!!」ダンッ

参謀「まぁ捨て置きましょう。あの方には別の所で役立ってもらいますから?」

将軍「あんなオカマ商人ごときに三銃士の称号を授けること自体が間違いだったのだぁああ!!」

参謀「(あ、もう聞いてないな…)」
60: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:03:41 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「パカラゥロにしてもそうだ!?なぜ奴のような醜い化け物が我輩に並んで三銃士と称されるか!?そうであろうが!?」

参謀「えぇ、まったくおっしゃる通り」

将軍「そもそも奴らが王国潜入時に功を奏しておれば速やかに事が運んだのだ…!恥さらし共めが…!?」ギリッ

参謀「それについてはまた追々ゆっくりと?とりあえず説明させていただいてよろしいですか?」

将軍「あぁ!?なんの説明だ!?」

参謀「ですから今は攻め時ではないと…」イラッ

将軍「貴様ァァアアア!!今、眉をしかめたなぁ!?我輩にイラついておるのか!?おぉう!?」

参謀「いえいえ、滅相も…」

将軍「言いたい事があるなら言え!?」

参謀「いい加減になさいませ」

将軍「今…なんつったぁあぁああ…!?」ビキッビキッ

参謀「女王陛下に喜んでいただきたくはないのですか!?」

将軍「」ハッ

参謀「一刻も早く閣下の手で功を成し、女王のお望みを叶えて差し上げなければ!違いますか!?」

将軍「く、口答えしおったなぁ…!?」

参謀「なぜ分かってくださらないのですか!僕は…僕は閣下に……」

将軍「?」

参謀「女王陛下と添い遂げていただきたい一心で申しているのです!」ドンッ

将軍「そ、添い遂げ…る?陛下が…我輩のよ、よよ、よ、嫁にか!?」ブルブル

参謀「はい!陛下は永遠の命を捧げた配下に一つだけ望みを叶えると明言されました!
ということは今回の作戦で閣下が手柄を挙げ、女王に求婚されますれば必ずや陛下は閣下を夫とし、毎晩毎晩飽きるまで夜を共にさせてくださるはず!!」

将軍「言葉を慎まんか、貴様ァァアアア!!」

参謀「……!も、申し訳ございません!出過ぎたマネを……」

将軍「我輩が陛下に飽きるなどありえるかぁああ!!その気になれば100年でも1000年でも抱き続けられるわぁ!!?」ゴゴゴゴゴ

参謀「(そっちですか…?)」
61: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:07:34 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「しかし貴様の言う事も一理ある?
我輩ごときが陛下と添い遂げるなど願ったり叶ったり…。
ではなくおこがましく思うが実際、我輩以外に女王の伴侶に見合う男はおらぬゆえな?」ウヘヘヘ

参謀「…では僕の説明を聞いてくださいますか?」

将軍「ムフフ…聞いてやろう?」

参謀「(まったくこの方は与し易いと評するべきか、めんどくさい……)」

参謀「まず攻め入るにも大義がございません」

将軍「大義…?なんだそれは?」

参謀「簡潔に申しますれば理由付けにございます」

将軍「必要なかろう?」

参謀「は?」

将軍「終わりなき争いにおいては大義などなんの意味も成さんかったわ?」

参謀「…しかし戦争となるからには何かしらのきっかけがあったはずでは?」

将軍「女王の望みである…それで十分ではないか?」

参謀「……」

将軍「癒しの力があると思わしき地点は特定した!ならば迷わず侵略あるのみよ!!ヌハハハハハ!!!」

参謀「その情報はおそらく誘いですよ」

将軍「なに?」ピタッ
62: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:15:21 ID:rjm0FZnxdY
参謀「地図を開け?」

将校1「はっ!」バサッ

参謀「指し示すは王国と我が国を繋ぐ境、海に面した南西の領地、貿易はここで執り行われ、例の情報もこちらから流れてきました」

将軍「で?それがどうした?」

参謀「かくしてこちらは癒しの力を匿っているとされる王国・東の辺境地、この東の領地は山々や森林に囲まれ、更に東国との隣接地点になっておりまする」

将軍「だから…それがどうした?」ピキッ

参謀「以前に東国は我が国との貿易を断り、王国と接触を果たしておりまする」

将軍「いい加減にせぬか…!」ピキッピキッ

参謀「ここを攻め入るには東国領を通らねばなりません。
その上、馬の足には向かない山岳地帯、実戦経験を重ねた屈強な我が軍と言えども、まともに機能しません」

参謀「となりますれば東国は"領地侵犯"を大義に…王国は"不当な侵略行為"を大義にこれを迎え撃つでしょう。
そして東国が加わるということは盟が生きている証拠、助勢とまではならずとも同盟下にある他の4国は静観に徹し、戦況によっては卑しい動きを見せる国も出てくるかと」

参謀「例えば手薄な本国側を突き、鉱石財源を狙う国…はたまた両国に加勢し、権利を主張しようとする国……」

参謀「そうした危険を踏まえ、あらゆる策を講じ、練り上げ、僕の割り出した勝率は……0です!」

将軍「がぁぁ!!!」シュバッ

ピタッ

参謀「……」

将校's「」ゴクリ
63: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:17:05 ID:rjm0FZnxdY
将軍「我が軍は最強だ!その程度で勝敗が揺らぐか!?」ギロッ

参謀「勝てませんよ」

将軍「言い残す事はあるか?」

参謀「僕の構想は閣下とも…女王とも別にあります」タラァァ

将軍「……?」

参謀「永遠の命のみならず王国そのものを奪い尽くすつもりです…。
そして王国を足掛かりに東・北・南・各国を攻め落とし、この大陸の頂点に君臨する!!」ギンッ

将軍「なん…だ…とォォオオ!!?」ブォンッ

ドガァァァン!!

将校's「……!?」ビリビリ

参謀「(机と地図が……)」アーア

将軍「貴様ァァアアア……!!」グオッ

将校1「(ぴ、ピクスィ参謀が閣下の怒りを買ってしまった…!)」

将校2「(ひ、避難せねば我らまで巻き添えをくらう…!)」
64: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:18:36 ID:Sx9bep0/Fk
将軍「お前という奴は……お前という奴はァァアアア!!!」バッ

将校1「ひぃっ!!」ダッ

将校2「に、逃げ……」

将軍「なんと果報者なのだぁぁァァアアア!!」ダキッ ギュウウウウウ

参謀「ぐっ!うぎっ!?」ゴキゴキ

将校1「は?」

将校2「ん!?」

将軍「我輩を女王と結びつけ、更には全世界を差し出そうとは…やはりお前は果報者ヨォオオオ!!ヌハハハハハ!!」パッ

参謀「おぐっ!うぶっ……ぜぇ…ぜぇ…ありがたき…しあわせ」ゲッソリ

将軍「…で?どの程度掛かりそうだ?」

参謀「3年は……」

将軍「そうか。半年か」

将校's「」ギョギョッ

参謀「1年……」

将軍「さすが我輩の認めた切れ者よ?1ヶ月ときたか?」ニヤリ

参謀「…かしこまりました。半年でなんとか手を打ちましょう」

将校1「(さ、3年越しになる作戦を……半年でだと!?)」

将校2「(む、無茶苦茶にも程がある…!)」

将軍「ヌハハハハハ!!なんとめでたいことか!今宵は酒がうまそうだ!!のう?」

参謀「…各隊の補給、運搬班に酒肴の用意を?」

将校1「わ、分かった…!」

将軍「ピクスィよ?後で我輩の寝屋に来い?久々に可愛がってやろう?」ニタァァァ

参謀「ありがたい申し出ではございますが半年後に向けて作戦を組み直さねばなりませんので宴席も空けたいと……」

将軍「二度言わすな?」ビキッビキッ

参謀「……かしこまりました」ペコッ

将校's「……え?」ピクッ
65: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:21:43 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜夜〜〜〜

将軍「遠慮はいらんぞ!今日は大いに飲むがいい!?」

ギャハハハハハ!!

ドンチャン ドンチャン

将校1「…参謀と将軍はどういう関係なんだ?」グビッ

将校2「分からん…。色仲であるのは間違いなさそうだが…」グビッ

将校1「ファルージャ様一筋ではなかったのか?」

将校2「それとこれとは別なのだろうよ?そばに愛人を囲う将など腐るほどいる?」

将校1「し、しかし相手は男だぞ…!?」

将校2「そう珍しい話でもない。まさか閣下が衆道を嗜まれるとは思わなかったがな」

将校1「……!」

将校2「まぁ確かにあの参謀は指揮官の割に年若い。顔の造りも…まぁまぁまぁ」

将校1「何を言ってるんだ!あんな優男の分際で屈強な兵の上に立ち、挙げ句、閣下に擦り寄るなど気色の悪い!!」

将校2「閣下に聞かれたら殺されるぞ?」

将校1「うっ……いったいなぜ閣下は…血迷っておられるのか?」

将校2「…俺もよく知らんがピクスィが参謀として軍に所属したのは14の事だそうだ」

将校1「14!?俺が小隊を任されるようになった歳でさえ奴の倍だぞ!?」

将校2「前皇帝時代から将軍に仕えていたらしいが誰も奴の詳細は知らない…。謎の多い男だよ」グビッ
66: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:23:17 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「ギャハハハハ!!分かってねぇなぁ、君たちぃ!?酒の肴は女と決まってんじゃないのよぉ!?」モミモミ

西の女1「イヤァーン!!タビラ様のエッチぃ?」

西の女2「あーん感じちゃーう?」

将校1「…ちっ!女タラシが?」

将校2「あれに聞いてみるか?軍の中じゃ古株だしよ?」

将校1「宮女喰いで悪名高いタビラにか!冗談じゃねぇ!?」

将校2「参謀殿の疑惑を晴らしたくないのか?色事で上官職に就いてるとしたら蹴落とすにゃいい口実になるぞ?」

将校1「しかたねぇな…。ピクスィのような陰間の優男に仕切られて動いてるかと思やぁヘドが出る!徹底して暴いてやろうぜ!?」

将校2「よしきた…軍曹殿!こちらで一緒に飲まぬか!?」

軍曹「あん?男となんか飲んでられるかい?隅で牛の小便でも飲んでろ?」

将校1「」ブチィッ

将校2「こらえろ、こらえろ」サスサス

軍曹「お前らモーホーかぁ?綺麗所が並ばねぇたぁ寂しいなぁ?」

将校2「」ブチィッ

将校1「お前がこらえろと宥めたんだぞ…?」サスサス
67: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:27:13 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「将軍と参謀の仲ぁ?」

将校1「あぁ、先ほどただならぬやり取りを聞いてな?」

軍曹「そうかぁ?成り上がりのお前らは知らねぇかぁ?叩き上げの俺らは昔から周知のなんとやらだがなぁ?」ヘラヘラ

将校1「」イラァッ

将校2「やはりそういう関係なのか…?」

軍曹「つってもねぇ…そんなんじゃねぇぜ?あいつは俺らん中でも生粋の叩き上げさぁ?
並み居る軍師をはね除けて最年少であの地位に登り詰めた天才ってやつだな!」ヘラヘラ

将校1「…色事で将軍に取り入ったんじゃないのか?」

軍曹「君たちぃ?カカドゥーラ様を分かってねぇなぁ?」ヘラヘラ

将校2「どういうことだ?」

軍曹「あの方はよぉ?何かにつけて弱い者いじめをしたがる?
抵抗の少ない赤子や女、老人を痛め付けるのがだぁぁ〜い好きだぁ?」ヘラヘラ

将校2「」ゾクッ

軍曹「西の国が野蛮だとされるのは…もっぱら閣下の行いの悪さにある?
殺しを楽しむのに飽きた猛将の下品な遊び心が西の武勇を貶めてる訳さぁ?」ヘラヘラ

軍曹「だがしかし…その他の追随を許さない蛮行があらゆる意味で名を広めた?
大魔導師パカラゥロ、宝石商シャルウィンと並び称されるものの…格で言えば圧倒的に殺戮将カカドゥーラが上回る?」

軍曹「西の国に対する各国の畏怖は…ある意味カカドゥーラ様への畏怖なんだよぉ?分かる?」ヘラヘラ

将校1「」ゴクリ

将校2「…カカドゥーラ様が参謀への見方を甘くしている可能性は?」

軍曹「万に一つもありえねぇ?だが一つあるとすりゃ…奴の出生の秘密だ!」

将校1「出生の…」

将校2「秘密…?」
68: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:29:32 ID:rjm0FZnxdY
軍曹「奴に関する経緯は閣下以外、誰も知らねぇ?
だが奴は4歳から高名な軍師に引き取られ、9歳で初陣を飾り、兵500を率いて2000の無国籍軍を打ち破った化け物だ?」

将校1「(4倍の数を…9歳のガキが!?)」

軍曹「当然っちゃ当然の出世だが…異例っちゃ異例の出世だ?当時は皆、頭を悩まされたぜぇ?」

将校2「…そ、それは凄いがなぜ9歳のガキが指揮官の任で初陣を?」

軍曹「おうよ、そこが奴の謎を深めてる?」

将校1「…奴の謎とはなんなんだ!?」

軍曹「…閣下は弱者を理由に守られる存在ってのが許せねぇんだとよぉ…?
弱い奴は弱い奴らしく苦痛の末にへし折れて無様にのたれ死にやがれってのがあの方の持論だぁ?」ヘラヘラ

将校1「ん?」

軍曹「何か裏があんだよぉ?奴は?」

将校2「つ、つまり参謀殿はただの愛人ではなく…!」

軍曹「あぁ、なんらかの秘密を抱えた"慰み者"である可能性が高い!」ニタリ

将校1「…!?」

軍曹「ボインでやらけぇ女の肉は最高さぁ?男色趣向なんざ俺には一生、わからねぇ趣味だな?」

西の女1「ねー?話終わったぁ?」ヒシッ

西の女2「あたし達も相手してよぉ?」ヒシッ

軍曹「いいねぇ〜?とことんイクとこまでイこうぜぇ〜?」モミッ

将校1「(いったい参謀殿は……)」

将校2「(何者だ…?)」
69: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:33:54 ID:rjm0FZnxdY
―――将軍の砦(回廊)―――

カツンカツン カツンカツン

将軍「…よい酒であったわ」フラッ

参謀「大丈夫ですか?過度の飲酒はお身体に障りまする。どうか部屋でお休みに……」

ガシッ グワッ

参謀「っ!?」ムグッ

将軍「…誤魔化せるとでも思うたか?」グッ

参謀「っ……!っ…!?」

将軍「眠り薬など仕込みおって…小癪な!我輩には通用せんぞ?」ググッ

参謀「お…はな…しくだ、さい!」プルプル

将軍「解毒薬を出せ?」パッ

参謀「げほっ!ごほっ!」

将軍「さっさと出せ…?」ギロッ

参謀「は、はい…」ゴソゴソ スッ

将軍「ふん…」グビッ

参謀「(くそっ…!)」ギリッ

将軍「さぁて…ヤるか。今夜は寝れぬものと思えよ?」

参謀「…先日、領内から拐った女達ではいけないのですか?」

将軍「貴様がいいのだ?我輩が手塩に掛けて育ててやった…みじめで虚しい皇女殿?」クイッ

参謀「…その呼び方はおやめくださいませ」プイッ

将軍「くっ…ぐふふ!」ニヤニヤ

参謀「(あの"妾"にしろ…こいつにしろ…性の匂いがする者にロクなのはいない…!)」ギリッ
70: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:42:52 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜回想(参謀)〜〜〜

ダダダッ バババッ

西の宮女「はぁ…!はぁ…!」

赤ん坊「ウアアアン!!」

ザッ

西の宮女「」ハッ

将軍「見つけたぞ?」ニヤリ

西の宮女「ど、どうか…お見逃しくださいまし…!?」

将軍「ならんな?皇帝陛下の下に連れ帰らせてもらう?」ザッザッ

西の宮女「…この子は女に生まれた身!王位争いとは無縁なのです!どうか!」

将軍「ならなぜ堕胎しなかった?」

西の宮女「慈悲を…!もう…こんな場所で生きていくのは疲れたのです!この子と二人、安らかに……」

将軍「安らかに眠りたいと?」

西の宮女「……!?」ギュッ

ズバシャッ! ポトッ

赤ん坊「ぎゃあああああ!!」ベーベー

将軍「ムフフ…陛下の隠し子、というより隠された子か?
お前の母が犯した罪は大きい。皇族に生まれながら…日陰の奴隷として一生を過ごす事になるだろう?」

将軍「が、しかし…宮女共の堪え性の無さもまた異常だ。
今月も5人の皇子が他界したしな。そう思えばお前はまだ運がいい?」

将軍「…何はなくとも血族であるのは確かだ。皇帝陛下の先々を考慮し、我輩が内密に飼っておいてやろう?」ニタァァァ

将軍「…しかしこの宮女、なかなかの美人であったな。我ながら惜しいことをしたか」チッ

…………………
71: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:45:29 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜明け方〜〜〜

―――西の国(砂漠地帯)―――

ザスッザスッ ザスッザスッ

参謀「……」

軍師「顔色が悪うございますが到着まで眠られては?」

参謀「そうもいきませんよ。いつイアマンの反逆者共が刺客を放つか分からないですからね」

軍師「ここ2年ほどは閣下も落ち着いておられましたが…いやはやまた卑しい目を向けられるとは」

参謀「…"そこ"だけはあの"妾"に感謝してたのですがね。
まぁ閣下も我欲の強い男…王位から退かれたとはいえ、一応の皇族である僕をなぶって自己満足に浸っているのでしょうよ」

軍師「…辛いですな」

参謀「そう言ってくださるのは貴方だけですよ。師匠殿」

軍師「師匠だなどと恐れ多い?私はただの配下にございまする?」

参謀「…ご心配には及びませんよ。僕はまだ諦めておりませんから」

軍師「それは良うございました。私も微力ながら貴方様の背を押させていただきたいと存じておりまする。"皇帝陛下"」

参謀「気が早いですよ」

軍師「いずれはそうなるのですから同じことかと」

参謀「あの妾の台頭で一度は失敗に終わりましたが…まぁ問題ありませんね。
むしろ正統な王位を継ぐ次期皇子共を皆殺しにしてくれたので助かりましたよ…」

軍師「……」

参謀「この国の長所は軍の強大さにあらず…独裁制を許される政治的圧力の強さに起因します」

軍師「(軍事のみならず政治の才も一線を画する…。やはり私の目に狂いはない!)」

参謀「僕もそろそろ軍の一指揮官から…ちょうど良い位置まで駆け上がりましょうかねぇ?」ニヤリ

軍師「(この方こそ王の器なり…!)」
72: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:49:11 ID:Sx9bep0/Fk
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜

―――王国軍の砦―――

フィクサー「…読まれた、か」コトンッ

副官「えぇ、えぇ、そのようで?」

ドレッド「どういうことだ!西の国の貿易拠点に流布したんじゃないのか?」

フィクサー「奴らが動くそぶりが見られない。作戦を見破られたようだ」

ドレッド「見破られただぁ!?野蛮で愚図な西の連中にそんな勘のいい野郎がいるってのか!?」

フィクサー「敵の戦力を見誤ったかも知らんな」

ドレッド「ちぃっ…!救い主をエサに奴らが不利な国境・山岳地帯に誘きだして一網打尽にする手筈だったんだろうが!?
ここで大々的に勝利の狼煙をぶち上げて一気に西の本国を詰めりゃ終わる話だったんだぞ!?」

フィクサー「さすがにそうはいかんよ。地理を把握する者ならばある程度の予測は立てられる。ましてや敵は百戦錬磨の強国だ」

ドレッド「なにぃ!?だがあんたの作戦じゃ…?」

フィクサー「だからこそ敢えてこちらの誘いを外し、貿易拠点から少々離れた高原地帯に侵入し、奇襲を迫ってくるかと考えていたが……」

ドレッド「結局はあてが外れたんだろう?全部台無しだ!くそっ!?」ガタンッ
73: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/13(木) 09:50:13 ID:rjm0FZnxdY
副官「どうも引っ掛かる?」

ドレッド「なにがだ!」

副官「政務官殿の話では以前にも西の国が予想だにしない政治戦略に打って出たとか?」

ドレッド「こっちとは関係ねぇだろ!」

副官「西の国は軍事国家、あくまで軍主体の統治を掲げている?
その証拠に女王直属の配下、三銃士にも政務に携わる者はおりませんよねぇ?
しかし今はどちらかと言えば外交や同盟破棄の手引きなど政治色の強いやり方が目立っている…」

フィクサー「軍略、政治、どちらにも長けた切れ者がいるのかもな」

ドレッド「…軍の最高指揮官は"殺戮将カカドゥーラ"だろう?それ以外で目立った奴は知らんぞ?」

フィクサー「どうやら…甘く見過ぎていたようだ」

副官「ふむ。非常にまずい立ち回りとなりましたねぇ。
敵に攻め入る気が無ければ動きようがないですから?」

ドレッド「お、おい…それじゃどうすんだ!?」

フィクサー「…敵が誘いに乗らない以上、わたしに軍を動かす権限はない。
来るべき日に向け、軍備を強化し、各地に防衛線を張り巡らすぞ」

副官「ははっ!」

ドレッド「また一からやり直しかよ…。西の蛮人の分際でしゃらくせぇ真似を…!」ギリッ

フィクサー「(…時代が少しずつ我ら軍人に傾いてきた。この機を逃す手はない。西国の内部に探りを入れてみるとするか)」

フィクサー「(どの史実をめくってみれど…血にまみれた時代が最も面白いからな)」ニヤリ
74: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:04:21 ID:YUaqlqK50k
―――王国(議場)―――

ヒメ「ふっ…」クスッ

ウダウダ ギャーギャー

高官1「であるからして…それは…!」ギャーギャー

高官2「ここは万に一つの望みを賭けて武力行使に打って出るべきだ!!」ギャーギャー

ネバル「西の国の人達はお腹空いてるです!ごはんをあげて説得するです!!」ギャーギャー

高官3「救い主を差し出してはいかんのか!?血を流すよりマシだろう!?」

高官4「貴様!!救い主様は陛下のご友人だぞ!?」

政務官「奴らは争いそのものを楽しむ感覚の持ち主だ!たとえ目的を遂げたとしてもおとなしく引き下がるとは思えん!
奴らを説得するのではなく奴らが納得せざるを得ない状況を作らねばならない!!」

ヒメ「(戻してやった貴族上がりの高官達も積極的に意見を出すようになった。
政務官の本格復帰で息を吹き返したんだろうが…さすが王国1の弁舌家だ。
周囲を煽り、明確な目的意識を促す力に長けている)」

ネバル「おいらの知り合いに美味しい大根を作ってる農家があるです!そこの大根おろしは絶品です!西の国の人達も飛び上がって和睦するです!!」ギャーギャー

ヒメ「(とりあえずあいつは後でぶっ飛ばすとして…良い流れに入ってきた。
これなら絶望的な状況を退ける上策が生まれるかもしれない)」

政務官「陛下の意見をお聞きしたい?」

ヒメ「そうだな…。奴らを強引に納得させるのには賛成だ。具体的な手段はないのか?」

政務官「西の国と平和協定加盟国の貿易が本格実施される前に各国との連携を強化するのが妥当かと!」

ヒメ「…それしかないよな。やっぱり?」

政務官「…不服かもしれませぬが、やはりあの方に頼るべきかと存じます」

ヒメ「そうだな。強化する前に…まず盟が生きていると証明するのが重要だ」

政務官「では…!」

ヒメ「あぁ、僕と東の国へ行ってくれるか?政務官!」

政務官「すぐに手配を!」

ネバル「はいはーい!おいらも行きたいです!」

ヒメ「どうせまたなんかやらかすからダメだ?」

ネバル「そんな!?」ガーン
75: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/14(金) 21:08:20 ID:T0csLKu60c
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜

―――東の国―――

ザッザッ ザッザッ

ワァァァァアアアア!!

パチパチ パチパチ

政務官「(なんという事だ…!城下のみらなず王宮内でさえ多大なる歓迎を受けている!?)」スタスタ

ネバル「あ、前にお話した貴族さんたちです!どーもー!」フリフリ

ヒメ「浮かれるな!バカ!」ポカッ

政務官「(…物珍しさに群がる他国民に歓迎を受けるのはある意味、当然だ。
しかし役人や騎士族までが微笑ましく迎え入れるとは…裏がないとすればヒメ様の人望は相当なものであると考えていい!)」

ブルードル「遂に答えを出したようだな!ヒメ君!!」

ヒメ「お待たせして申し訳ございません。ブルードル陛下」ザッ

ミリア「今日はずいぶん可愛らしいお衣装ですのね?」ニコニコ

ヒメ「ど、どうも…」ヒクヒク

政務官「好感触ですな?ヒメ様…!」コショコショ

ヒメ「(ブルードル陛下は変態じゃないと何度言えば…!こんな派手なヒラヒラした衣装、用意する必要ないんだよ…!)」イライラ

ネバル「孫の衣装です?」ニコニコ

ヒメ「(それを言うなら馬子にも衣装だ!こいつも結局、付いてきた…!)」イライラ

ブルードル「あぁ…緋色と琥珀の色彩…短い手足に余る袖…なんと眼福なものか!
あとで肖像を描かせてくれたまえ!彫像に彫り直して我が宮に飾りたい!」ハァハァ

ヒメ「(やっぱり変態かもしれない)」

ミリア「陛下、落ち着きましょ?」ポンポン

ブルードル「ごほんっ!むふんむふん!」ゲフンゲフン

ヒメ「ブルードル陛下、此度は何も衣装をお見せしに来たのではございません」

ブルードル「う、うむ!もちろんだとも!いやー私としたことが……」

ヒメ「大事な話をしに参りました…!」ジッ

ブルードル「」ピクッ
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