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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編その2】
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2015/8/1(土) 00:00:58 ID:/WYEXwH6vk
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10

1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10

2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10

3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)

あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)

>>2から本編になります!


552: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/18(月) 22:21:37 ID:ZVvoP18ass
???「貴女は強いお人ですね」ニコニコ

宣教師「え…?」

???「ふふふ、本当に…ひた向きで熱心です」ニコニコ

宣教師「?」

???「とりとめのない話ですが…とある素晴らしい力を授かりながらも、それを上手に活かせなかった方を私は知っています」

宣教師「……?」

???「力というのはね、何かを起こすきっかけでしかないのですよ。
不変の物に目を向け、どうしていくかは今を生きる方々の意識に委ねられます」

???「貴女たちはそうして時代を造り上げる命題を担っています。新たに生まれくる命もまた同様に」

???「必要なのは力ではありません。その力に関わる、あなた方の意思なのです?」ニコニコ

宣教師「そ、そんな事…言われなくても分かってます…」

???「はぁ……ふふ。自分に足りなかった物をようやく探し得た気がします」ニコニコ

宣教師「今度はなんの話ですか…?」

???「これは独り言です?」クスッ
553: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/18(月) 22:32:21 ID:ZVvoP18ass
???「最後になりますが…」

宣教師「はい…?」

???「貴女はとても真面目で厳しい性格。ゆえにキッパリと善悪を分けてしまいがちです」

宣教師「」ムッ

???「…貴女が悪だと見定めてしまう事象も長い目で見てみると、より良い先々へ繋がる架け橋なのかもしれませんよ?」

宣教師「どういう意味ですか…?」

???「失敗から何かを学べるように…波乱に満ちた現代の行いが未来を戒める教訓となれば、それもまた良いことだと思いませんか?」

宣教師「一理ありますが…失敗ばかりでは何も成し得ません」

???「そうですね。正しいですよ」ニコニコ

宣教師「……」

???「ですが皆、一様に正しいと信じて我が道を進んでいきます。
それらに善か悪かを決定付ける方法なんて存在しません」

宣教師「…そんな事を言ってしまったら私達は何を信じていけばいいのですか?」

???「信じたい物を信じればいいんです?」ニコニコ

宣教師「……?」チンプンカンプン
554: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/18(月) 22:36:57 ID:4/U2eI1hYQ
???「貴女の信じたい物を信じて、貴女が正しいと思う事を納得いくまで全うなさってください」ニコニコ

宣教師「? 結局、あなたは何がしたいんですか?」

???「…今、貴女に告げたままにしているのですよ」ニコニコ

宣教師「(な、なんと言いますか…まったく掴めない人物ですね?)」ヒクヒク

???「どうかこの世界を…もう少しだけ和らげてあげてください」パチッ

宣教師「(細められた目がはっきり開いて…?)」

???「貴女と……"彼"ならきっとそれができます?」クスッ

宣教師「(瞳の色が……黄色い…)」ハッ

???「癒しの力とは純粋な真心を差し伸べる思いやりの奇跡。
心を歪めてしまったら二度と使えなくなってしまいます」

宣教師「(ま、まさか…まさか…!?)」

???「乱されず、囚われず、あるがままで…穏やかに……健やかに………」

宣教師「ま、待ってください……!」アセアセ

???「…さようなら。宣教師さん。お達者で?」フリフリ

宣教師「もしかして、あなたは……」スッ

???「……託しましたよ?」ニコニコ

パァァァァァァァァ………

宣教師「(っ……まぶしっ)」バッ
555: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/18(月) 22:39:27 ID:ZVvoP18ass
―――大樹の焼け跡―――

「お……て……きて…!」ユサユサ

宣教師「ん、んぅぅ……」パチッ

ルイ「よ、よかったぁ…!もう死んだかと思ったんだから?」パァァ

宣教師「ルイ…さん?」ムクッ

ルイ「大丈夫?どっか痛くない!?」

宣教師「…大丈夫、です。あの…それより……」

ルイ「ほんと運がよかったね!お姉さんの周りだけ燃えてなくて?」

宣教師「え?」キョロキョロ

東のホビット's「」ゾロゾロ

猟犬's「」ワラワラ

宣教師「……」

ルイ「実はさ!もうどかしちゃったんだけど、お姉さんを囲むようにして太い枝が落っこちてて…それが火から守ってくれたみたい!」

宣教師「大樹の枝が…?」

ルイ「そうだよ!」

宣教師「」ハッ

ルイ「? どうかした?」

宣教師「いえ…」

ルイ「そう…?」キョトン

宣教師「(やはりあれは夢ではなかったんですね…)」ボーッ

ルイ「で、なんだけど……なんでこんな事になっちゃったの?」オロオロ

宣教師「……そ、それがですね」モゴモゴ
556: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2016/1/18(月) 22:40:50 ID:ZVvoP18ass
ルイ「えぇっ!?カロルって子を拐われた上に永遠の命まで取られちゃったの!?」ギョギョッ

ザワザワ ザワザワ

宣教師「すみません…」シュン

ルイ「あー…謝んなくていいって?ウチらもそんな気はしてたから?」アセアセ

宣教師「……」ズーン

ルイ「そっか〜…でもまぁ取られちゃったもんはしょうがないよ?元気出しな!」ポンポン

宣教師「ありがとうございます…」

ルイ「こっちは一応、ヒメの読み通りだったから敵も撃退できたし、人質も捕まえちゃったから!」

宣教師「人質…?」

ルイ「うん。なんか変態っぽいオッサンだけどファルージャの手下なんだってさ?
わりと手応えあったけど仲間に加勢してもらってリンチしてやったんだ!」ニカッ

宣教師「は、ははは…」ヒクヒク

ルイ「とーりあえず…ここにいてもあれだし、お爺ちゃん達と合流しちゃおっか?お姉さん、地図読める?」つ【地図】

宣教師「あ、はい。防衛城塞の位置は…ここですね」ピラッ

ルイ「ん、じゃあ道案内よろしく!行こう!みんな?」

東のホビット's「」コクッ

ルイ「お姉さんはウチの後ろに乗って?先頭走るから!」ヨイショ

宣教師「で、では失礼します」ヨイショ

猟犬1「バウッ!」フンスッ

宣教師「(心なしかマルクくんに似てますね…。同じ犬種なのでしょうか)」

ルイ「いっくよー!しっかり捕まって!」バッ

宣教師「っ……!」グンッ

ダダダダダダダダダッ
557: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/28(木) 21:47:43 ID:V/E4S4pAY2
〜〜〜2週間後〜〜〜

―――西の国(帝都・宮殿)―――

副官「領民の弾圧ならびに領地の支配、資産の確保。どれも滞りなく進んでおります」

フィクサー「…本国の様子は?」

副官「やや、なんとも信じがたい話ではありますが…陛下が東国よりホビットに救援要請し、カカドゥーラ率いる主力軍を返り討ちにされたとか?」

フィクサー「なんだと…?」ピクッ

副官「これは珍しく総指揮の予想が外れてしまわれましたなぁ?」ニヤリ

フィクサー「誤差の範疇だがな…」

副官「まぁとりあえず今は西国の領土を獲得していくのが先決でしょうなぁ」

フィクサー「…こちらの動向はおおかた知れ渡っているだろう。至急、足場を踏み固めねば労も報われん」

副官「では本国は……」

フィクサー「泳がせておけ?」

副官「承知しました」

フィクサー「さしあたって…東国、南国は滅亡寸前。本国も虫の息、か。
そろそろ……静観に徹した国々がなんらか動きを見せる頃合いだな…」

副官「いやはや慌ただしいことで?」

フィクサー「だがそれより何より……」

王国兵1「総指揮!!」ザッ

フィクサー「……」ジッ

副官「なんだね?騒々しい?」

王国兵1「報告がございます!!」
558: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/28(木) 21:52:42 ID:repttFbQKM
副官「ファルージャを名乗る美女が入城を求めているだと!?」ギョギョッ

王国兵1「ははっ!!」

フィクサー「行方を眩ませていたかと思えば……」

副官「我々の侵攻を恐れて逃げたのかとばかり……正面から堂々と現れるなんて一体なにを考えているやら?」

フィクサー「懸命なのか…命知らずか……読めぬ女だな」

王国兵1「いかがされますか?」

フィクサー「通してやれ」

副官「捕らえないので?」

フィクサー「…捕らえて殺すのはたやすいが領地を恙無く平定するのであれば易々と奪える命でもあるまい?」

副官「独裁者が処刑されて喜ばれこそして恨まれる事があるとでも?」

フィクサー「奴の家臣らは拷問にかけられながらも一人として口を割る事なく潔い死を遂げてみせた?
あれほどに忠誠心を持たせる求心力は民にすら及んでいると見ていい」

副官「…買いかぶり過ぎでは?」

フィクサー「買いかぶりかどうかは直接、この目で見極めれば分かることだ」

副官「なるほど。まさしく?」

王国兵1「で、ではお通ししても?」

フィクサー「うむ。丁重にな…」

王国兵1「はっ!」ダッ

フィクサー「(とうとう相見える(※あいまみえる)運びとなったか…。"魔性のファルージャ"…どれほどの器か見定めてやろう)」
559: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/28(木) 21:55:27 ID:mkjLEtwy6U
―――王国(城下町)―――

ワァァァァアアアアア!!!

ワイワイガヤガヤ

ランランラン ルララールラー ドンチャンドンチャン

憲兵1「ははは!祝宴も3日目だってのに大した賑わいだな?人もホビットも関係なしだ?」

憲兵2「あぁ、なんせ陛下の見事な手腕で強大な敵国の軍を返り討ちにしてやったんだ!王国人なら誇らしくて当然さ?」

憲兵3「いやー!俺もあん時ばかりはダメかと思ったけど…やっぱ陛下ならやってくれると思ってたぜ!
ホビットも大活躍だったし、これからは今まで以上にうまくやってけそうだな?」

憲兵4「浮かれるな!!」カッ

憲兵's「」ビクッ

憲兵4「…この騒ぎだ。人混みに紛れて不審なそぶりを見せる輩がいるとも限らん。入念に見回れ」

憲兵1「は、はい…。すみません」タジッ

憲兵4「」スタスタ

憲兵2「…なんかピリピリしてんのがあちこちいるな?」

憲兵1「そりゃそうさ。あの戦いで何万人も死なせてるんだから」

憲兵3「たしかに気の毒だけどよ…。俺たちに当たってもしょうがねぇだろ?」ブツクサ

憲兵5「おい、お前ら。滅多なこと言うもんじゃないぞ?」スタスタ

憲兵1「あ、先輩…!見回りお疲れ様です!」ピシッ

憲兵5「あぁご苦労さん。俺だから良かったものの…タチの悪い奴に聞かれてたら大変だったぞ?」

憲兵3「へへ!すんません?」ヘラヘラ

憲兵5「……」ジロッ

憲兵3「?」キョトン

憲兵5「城内の広場を見てこい?」

憲兵2「はい?なぜでありますか?」

憲兵5「少しは彼らの気持ちが分かるだろうさ。ここは俺が見ておくから行ってこい」

憲兵1「はぁ…?」
560: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/28(木) 21:56:58 ID:repttFbQKM
―――城内広場―――

プーン

ウワァァァァアアアアアン………

町娘「ひぃっ…ふぅぐ…!どうじて…弟がこんな目に…!」シクシク


幼女「パパ〜!おっきして?ねぇパパ!」ユサユサ

幼女の母「レコちゃん…パパはもう起きないのよ?」

幼女「なんで〜?」

幼女の母「だって…だって…!うぅぅぅ……」ジワァァ

幼女「ママ?」キョトン


老婆「息子や…!立派だったねぇ…!さぞ勇敢に戦ったんだろうねぇ…!」ナンマンダブ

老人「儂らがこうしておれるのは彼らのおかげじゃて…」ナンマンダブ


青年「俺も戦えたら…ごほっ……お前がこんなになるまで頑張ってくれたのに自分が情けないよ…」


憲兵1「……なんだ、こりゃ」

憲兵2「戦死者の遺体が並べられてるのか…」

憲兵3「うぷっ…すげぇ臭いだ…!やべ…もどすかも?」プルプル

憲兵1「なんで王家の膝元でこんな……」

教徒「陛下のお達しです」ザッ

憲兵's「」ビクッ
561: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/28(木) 22:01:34 ID:mkjLEtwy6U
教徒「城下で宴に賑わう人々も今日という平和がなぜあるのか深く考え、決して忘れないようにしてほしいと願っての配慮だそうです」

憲兵1「へ、へぇ?」オロオロ

教徒「お見かけしたところ憲兵団の方々と思われますが…皆様も誰かにお別れを?」

憲兵2「う、うん…。まぁな」

教徒「そうですか…。この度はまことに御愁傷様でした」

憲兵3「あ、あぁ…うん」

教徒「…小蝿のたかる冷たい亡骸に頬擦りして泣きじゃくる皆様をどう思いますか?」

憲兵1「え?」

教徒「…先ほど訪れた方々は鼻をつまんで帰っていかれましたよ」

憲兵's「……」モゴモゴ

教徒「自分の家族、友人、恋人……いる分にはなんとでも感じられますがいなくなってみるとなんとも言えなくて…考えさせられますよね?」

憲兵1「…そ、そうだね」プイッ

憲兵2「あ、あれって?」ビッ

団長の妻「……」パンッパンッ

憲兵1「だ、団長の…奥方様?」

団長の妻「あら…?」チラッ

憲兵2「ど、どうも」ペコッ

団長の妻「見回りご苦労様です?」

憲兵3「あ、いえ…団長は一緒ではないのですか?」

団長の妻「主人は先にお別れを済ませてますから…」

憲兵3「な、なるほど…む、息子さんのご冥福を?」

団長の妻「えぇ、私も、もう済みました…。供養をお願い致します」

教徒「はい。お任せください」ペコッ

団長の妻「では失礼します?」ペコッ

教徒「お悔やみ申し上げます…」ペコッ

憲兵's「……」
562: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/28(木) 22:03:57 ID:repttFbQKM
衛兵1「大変だ!」ダダダッ

教徒「どうされました?」

衛兵1「政務官からとんでもない発表が出た!今すぐ町の連中にも伝えて回れ!」

憲兵1「な、なんだって言うんです?」

衛兵1「王国軍、軍事総指揮フィクサーが反旗を翻した!!」

ザワッ

衛兵1「西の帝都を拠点にしたまではよかったが…ファルージャを…ファルージャを娶って西の国土を全面支配すると宣言しやがった!」

憲兵2「え…!?なになに!?なに言ってんの!?」

衛兵1「だから!つまりっ!!フィクサーは王国が危機に瀕していると知りながら独断専行したばかりか…西の国を自分の物にしちまったんだよ!?」

衛兵2「また逆戻りだ…!皆、兵に駆り出される!?」

憲兵's「」ブルッ

衛兵's「緊急!!緊急の報せだ!!走れ、走れ!!」ダダダッ

ヒィィィィィイイイイ!!!

衛兵2「悪夢だよなぁ…!えぇ!?こんな死体の中でさぁ!?ハハハ!また死にに行けって言うんだぜ?全く笑っちゃうよなぁ!?」ゲラゲラ

遺族's「……」ボーッ

団長の妻「……」

教徒「…そん、な」ガクッ

憲兵1「あ、はは…ははは」ガクガク

憲兵2「い、生き延びたんじゃなかったのか…俺たちは……?」ヒクヒク

憲兵3「お、俺は御免だ!御免だからな!?」ダッ

衛兵1「あ、おい!!お前、どこに行くんだ!?」

衛兵2「無理もねぇやな…?一回目は気力で乗りきったが……二度目はねぇよ。戦意喪失は免れん」

衛兵3「まだ戦うと決まった訳でもねぇのに不安を煽ってんじゃないよ…。
とりあえず伝達はひとまず中止、城内広場の混乱を防ぐぞ」

衛兵4「おう!」

ダダダッ
563: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/28(木) 22:07:11 ID:repttFbQKM
―――王宮―――

政務官「各地の戦力図を洗い出せ!隅々まで調査結果を報告せよ!」バッ

伝者's「ははっ!」

ネバル「予め用意していた備蓄は惜しみ無く分配するです!
大事なのは貯蔵じゃなくて生産です!至急、農耕再促進に向けて人を送り込むです!」サッサッ

役人's「はい!!」ザッ

高官1「城下町で騒動が起きた!反対運動を鎮静化すべく憲兵団を動員しろ!」

高官2「だからまだ早いと言ったんだ!」

高官3「うるさい!陛下のお達しなのだから仕方なかろう!」

高官4「し、しかし…よく政務官殿が許されたな…」チラッ

高官5「……あのルフィアス団長が伴って推したというしな。それに実績もある」

高官6「とはいえ…危険すぎるだろ」

高官7「あぁ、危険だが…陛下の思し召すままに動くのが我らの役目だ」

高官8「うむ。我らの王は…常に結果で証明される方だからな」

政務官「喋ってる暇はないぞ」

高官's「……」

政務官「我々はまたしてもファルージャにしてやられた!今度こそ取り戻すのだ!」

政務官「正真正銘、最後にするぞ…!王国の威信にかけて…連合軍の犠牲を無駄にせぬ為にもな!」

高官's「」コクッ

政務官「(大丈夫だ…!陛下ならば必ずや…!)」ググッ
564: 名無しさん@読者の声:2016/1/29(金) 00:57:20 ID:6NtAUAUHF6
楽しみに毎日チェックしてる
幼女の おっきして が
最初別の意味に見えてしまった恥ずかしい
565: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:16:31 ID:N0iEIhkfnQ
〜〜〜回想(政務官)〜〜〜

政務官「な…なんと!?永遠の命がファルージャの手に…!?」

ネバル「し、しかも焼かれたですか!?大樹が!?」

ヒメ「あぁ、事前に配置したホビット達も囮に誘導されて気付けなかったらしい。見事に作戦の裏をかかれてしまったようだ」

宣教師「申し訳ありません…」

ヒメ「おまえばかりを責められないよ。加勢に向かう筈だったのに…僕が気を失ってしまったから」

団長「陛下の責任などではござらん!酋長殿らが向かわれたが一足違いであったと…!」

政務官「そ、それで…東国のホビットらは?」

ヒメ「東国にお借りした兵士もろとも帰らせた。このままでは手薄な本国が他国の権勢に脅かされてしまいかねないからな」

ネバル「す、救い主様はどうなったです?」

ヒメ「誘拐されたままだ」

宣教師「」ズキンッ

ヒメ「でも時間の問題さ。フィクサー総指揮が帝都を占拠したのなら実質的に勝利は確定してる。あとは報せを待つだけだ」

宣教師「……」

政務官「その…ことなのですが」

ヒメ「?」

政務官「じ、実は陛下に緊急の報告が…」

ヒメ「なんだ…?」

政務官「フィクサー総指揮から連絡がございました」

ヒメ「!」

団長「ファルージャを捕らえたか!」

政務官「い、いや…そうではなく…」

ヒメ「……?」
566: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:24:30 ID:ct23qpuRuY
ヒメ「フィクサーがファルージャとの結婚を表明した…?」

団長「た、たぶらかされたというのか…!?」ビキィッ

ネバル「…オラたちも嘘だと思ったです…。でも詳しく調べさせたら…フィクサー総指揮は西の民衆を帝都に召集して式の準備に取り掛かってるです!」グッ

政務官「付け加えれば…奴はファルージャを迎える以前から我々に断りもなく西の領土を侵略していた事が分かった。最初から、この事態を想定していたのかもしれん…」

団長「フィクサーは貴様が推薦したのだったな…!?」

政務官「そ、その通りだ…!責任は取る…!」ググッ

ヒメ「いいよ、もう」

団長&政務官「!?」

ヒメ「なぁ宣教師……」

宣教師「はい…?」

ヒメ「カロルとおまえが始まりな訳だけど…どう思う?」

宣教師「……」

団長「ひ、ヒメ様!何をおっしゃって…!?」

ヒメ「あいつとおまえが真実を追い求めた日から……いくつも明らかになった事がある」

ヒメ「光が射した代償に闇は増した。明かせば明かすほど濃くなっていくばかりだ…」

ネバル「司祭さんが悪いって言うですか…!?」アセアセ

ヒメ「別に悪いなんて言ってない。でもおまえの話を聞く限り、あいつはまた逃げた。僕たちを守る為…なんて都合のいい言い訳をして」

宣教師「」ピクッ

ヒメ「また…初めからやり直すのか」

宣教師「……」

ヒメ「これじゃ…あいつが姿を消した日から何も変わってないよな」

宣教師「そんなことはありません」

ヒメ「……」
567: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:26:27 ID:ct23qpuRuY
宣教師「確かに私達がしてきた事は結果的に何も残せていませんが…」

ヒメ「そうだな。何も残せてないし何も変えられてない」

宣教師「差別は続き、争いに呑まれ、利害に目を奪われて……人はまるで成長していない」

宣教師「それでも私達は何かを変えようとする意思を持ち、視野を広げていく自覚に目覚めました」

宣教師「その結果がどうであれ……すべき事は今までとなんら変わりありません」

ヒメ「今までとって…何を?」

宣教師「キミの言うように…また初めからやり直すんです?」ニコッ

ザワッ

宣教師「必死で越えた矢先にまた苦難が襲いかかってくるのなら…また必死に越えていくしかありません」

宣教師「何かを変えるというのは、つまるところ…この繰り返しだと思います」

宣教師「不変を証明するのはやった結果ではなく…投げ出してしまった後です。嘆いても名案は閃きません。考えましょう?」

ヒメ「……」

団長「むぅ……」ポリポリ

政務官「……!」ググッ

ネバル「そうです!みんなでいっぱい考えるです!」

宣教師「ふふ…」ニコニコ

ヒメ「…やっぱりおまえに聞いて正解だったな」

宣教師「へ?」

ヒメ「優秀な人物の的確な助言よりも、おまえの無根拠であてにならない励ましに救われるよ?」

宣教師「な、なんですか、それ……けなしてますよね?」ガーン

ヒメ「ハハハ…違う、違う?」クスクス

宣教師「むっ…にやつきながら言われても説得力がないですよ!」

ヒメ「あぁ、ごめんな。でも現状に負けそうな時ほど、おまえみたいに前向きなのがいると心強いって意味だよ?」クスクス

宣教師「…そ、そういう意味ならいいんですけど」
568: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:33:37 ID:ct23qpuRuY
ヒメ「じゃあ気を取り直して早速、意見を言わせてもらうかな」

団長「もう思い付かれたので!?」

ヒメ「は?」ジロッ

団長「」ビクッ

ヒメ「もうっておまえ……まさか会話中、ボーッとして何も考えてなかったんじゃないだろうな?」

団長「い、いやその……」モゴモゴ

ヒメ「……」ジーッ

団長「う、ぐぅ…!」ダラダラ

ヒメ「はぁ…おまえらは?」

政務官「まとまってはおりませんが、いくつかの案はございます」

ヒメ「うん。さすがだ」ウンウン

ネバル「え?オラはまだなんにも……」

ヒメ「団長はまだしもおまえは役人だろ。こういう時に頭使わないで、いつ使うんだよ?ちょっとはリルラを見習え?」ジロッ

政務官「もったいなきお言葉…」ペコッ

ネバル「」ガーン

ヒメ「……まぁいいや。僕から話すぞ」

団長「面目ない…」ズーン

ネバル「です…」ズーン

宣教師「(なんか不憫ですね…)」シミジミ
569: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:37:35 ID:N0iEIhkfnQ
政務官「奴らの思惑に沿わせる…ですと?」

ヒメ「あぁ、どうせ今から手間の掛かる事をしたって先手、先手を打たれてしまうだけだろ?なら、もう煩わしい作戦は無しだ?」

団長「ど、どのように…?」ゴクリ

ヒメ「僕があいつの立場なら、この期に動きそうな国を揺さぶりかける。
同盟は実質、破棄された状況下で今回戦った3国は瀕死状態。その中でも武力を示した王国は弱ってる内に潰したいとな」

ネバル「え!?そんなの困るです!」ドキッ

ヒメ「そしてフィクサーの独立遊軍が率先して3国支配に向けて働く代わりに侵略後の領土権を主張する。
もちろん主要な広い土地を譲ってもらえる訳じゃないが……フィクサーからすれば西の国と3国の一部を丸儲けだ?」

政務官「も、元を正せば西の国も我らと南国、東国の武力で手に入れた物だ…!
数多の血を流し、掴み取った勝利を掠め取るばかりか…味方を見限って他勢力と結託するなど…さながらハイエナの所業ではないか!」ムカムカ

団長「くっ…!祖国を裏切ってまで意地汚く…羞恥心の欠片もない男だな!?
外道め…!同じ武人としてのさばらせておく訳にはいかん!!」ギリッ

ネバル「みんなで平和を目指して立ち上がったのに…たくさんの死を利用して欲望のままに動くなんて許せない!です!!」ワナワナ

宣教師「…で、沿わせる…というのはつまり、今キミがおっしゃった行動の数々を黙認すると?」

ヒメ「あぁ、しかも奴が動きやすいようにこっちで混乱を起こすんだ」

宣教師「?」
570: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:46:57 ID:ct23qpuRuY
ヒメ「まずは戦争が終わったと安堵しきった国民にフィクサーの反逆を伝える」

政務官「そんな事をすれば城下で大規模な反対運動が…対応に追われ、統制が揺らぎますぞ?」

ヒメ「それでいい。敵がおおまかに予想してる中で最も自然な流れが望ましいからな」

ネバル「で、でも普通なら隠すですよね?不自然にならないですだか?」

ヒメ「普通ならな。でも今は異常事態だ。残存する兵力は僅か。
連合も壊滅的であてにならないとするなら妥協して国民の命を絞り出すしかない」

ネバル「ま、また…戦わせるです?」ゴクッ

政務官「無茶だ…!」

ヒメ「……」

政務官「なんとか私が先回りして北国らに取り計らいましょう。
いつでも連絡出来るよう独自に密書のやりとりをしておりますので…」

団長「き、貴様!また隠れてコソコソと…!?」

政務官「黙れ!国交を預かる身ならば当然だ!?」

ヒメ「却下だ?それじゃどうにもならない?」

政務官「なっ…!?」

ヒメ「確かに役人の頭で考えるなら、おまえの提案が一番分かりやすいし正攻法だ」

政務官「で、であれば…」

ヒメ「でもな、正攻法っていうのは力関係が対等であるからこそ成立するんだよ。
例えば10人対100人で真っ向から挑んでも勝てないだろ?」

政務官「そ、それとはまた異なりましょう…?」

ヒメ「いや、違わないね?どう背伸びしたって不利な立場の3国に助けを求められても北国らは素直に応じたりしないと断言できる」

ヒメ「良くても国とは名ばかりの植民地にされるか…攻勢に転じてくるかだ」

政務官「バ、バカな!」

ネバル「で、でも今までの事を考えたら…同盟国なのに自分たちの都合が悪い時は全然、助けてくれなかったです!」

団長「ぬぅ…!これではなんの為の同盟か分からんな!」イライラ
571: ◆WEmWDvOgzo:2016/1/29(金) 21:52:11 ID:ct23qpuRuY
ヒメ「同盟が形作られて50年あまり…個々の差はあれど6国の力関係は均等に保たれていたから対等な交渉と最低限の不干渉を貫けた。
ここまでの状況に陥ったのは初だから実感が沸かなくても無理はない……」

政務官「っ……く!一度、不平等な条約を結ばれでもすれば時を経ても修正は難しい、か」ギリッ

ヒメ「王国の兵力はフィクサーにまるごと吸収されてしまったしな。
西の鉱石財源も奪われ、そしてあの"魔性のファルージャ"までもが癒着したんだ」

政務官「」ハッ

ヒメ「…北国らを落とせる手札はみんな奴に持っていかれてるんだよ。僕らの付け入る隙なんかない」

政務官「た、確かにファルージャに掛かれば……卑しい北の王など、すぐさま魅了されてしまうかもしれん…!」

ネバル「鉱石財源を確保してるとなると…当初の予定通り、交易を持ち掛けて親密になる事も出来ちゃうです!」

ヒメ「だからこそ僕らはどこにも頼れないし、じり貧だと分かってて無理やり国民を奮起させても、なんら不思議じゃない」

宣教師「…そうしたところで、どう作戦に繋がるのです?」

ヒメ「…思い通りになったとぬか喜びさせて直接、奴に接近するのさ?」ニヤッ

宣教師「?」
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