http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
431: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/14(月) 22:44:52 ID:riAK.jgmGM
ラム「逃げろって!?」
カロル「と、ともだちが危ないのにボクだけ逃げるなんてやだもん…」
ラム「僕は大丈夫だって言ってるだろ?いいから……」
ドシャッ!
ラム「わぷっ!」ズリッ
カロル「っ…!」ビクッ
女装家「はい、そこまで〜」ズシッ
カロル「……!」
女装家「クーイズ!アタシの目的はなーんだ?」
カロル「い…癒しの力が欲しいんだよね?」
女装家「せいかぁ〜い!豪華景品は西の国にご招待よぉ〜?」パチパチ
カロル「ボク、おじさまに付いていくよ…?だからラムくんは帰してあげて?」
女装家「アンタ、おバカ?」
カロル「え?」
女装家「条件なんか出せる立場?ていうか嫌がっても無理やり連れてくわよ!ブォホホホホ!!」ゲラゲラ
官吏3「やれ?」
西兵's「」バババッ
カロル「やっ…やだっ!ラムくん…!ラムくん!!」ジタバタ
ラム「か、カロ…ル…くんを…はなせぇ!!」ズリッズリッ
ガッ グイッ ジタバタ アバレンナ! バキッ ドカッ
女装家「ついでにあのムカつく孤児院の連中にも置き手紙してあげましょっか…。ウフフ!悔しがるでしょうネェ〜…!」ムフフ
…………………
432: 投下終了 ◆WEmWDvOgzo:2015/12/14(月) 22:47:22 ID:lPDOndQsx.
ラム「ごぉえっ…!えっふぅ!!」ゴボゴボ
ビチャビチャ
ラム「(また…だ)」
ラム「(また…守れなかった…!)」ジワァァ
ラム「(父さんと母さんがヘマトバザールの奴らに殺された時も…シープとバンパが人間を許そうとした時も……)」
ラム「(いつも僕が……みんなの足を引っ張ってた…!)」ポロッ ツツー
ラム「(やっと見つけたのに…僕たちが生きられる場所と…信じられる家族を……)」ポロポロ
ラム「ひっ…ひぐ…」ポロポロ
ズンッ!
ラム「あっ…ぐ…!?」ズブッ
ラム「うっあ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」ブシュッ
女装家「メソメソしてたらハンサムが台無しよぉん?」ニヤニヤ
魔導師「まさか本気で腹に杭を刺し込むとは思わなかったよ…」
女装家「そんぐらいしないと再生して逃げ出すでしょ?帰ったら思いっきり遊んであげちゃうんだから〜?」ニヤニヤ
魔導師「…じゃ、行こうかね」ヒタヒタ
女装家「せいぜいそこで泣きわめいてたら〜?だぁれも助けに来ないから!?ブォホホホホ!!」ゲラゲラ
ラム「くっ…そぉぉぉおおお!!」ゴパァッ
オーホホホホホホ〜………
433: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:17:12 ID:M3wYd3wb5.
―――東の国(ホビッツ岬)―――
ザブンザブン ザブンザブン
船長「…到着しやしたぜ。この運河を越えちまったからにゃ、もう奴らの領域ですわ」
ザッザッザッ
ヒメ「ここがホビット族の領地なのか?」キョロキョロ
外交官「そ、そのようで…」ブルブル
宣教師「へー…涼やかで居心地の良さそうな浜辺ですね?
澄みきった川のせせらぎと陽気にそよぐ風がとても癒されます…」
船長「そんな甘いものではござんせんよ。ここはもはや奴らの国でやすからね」
ヒメ「国…?」
東の騎士「ご安心を…皆様の身は某ら精鋭守護隊でお守り致します」
東兵's「」ザザッ
宣教師「あのー…私達はホビット族に協力を願う為に来たんですよ?」
東の騎士「…穏便に済むのなら、それで良し。ですが念のため…」
宣教師「……」ムスッ
ヒメ「護衛だけじゃなくて案内の意味もあるんだ。そう邪険にするなよ?」
宣教師「……」
ヒメ「早速、入ってみるか。早くしないと団長達がやられてしまうからな」
東の騎士「では某が先頭を……お三方は兵らの中心に?」
船長「あっしはここで待機してやすんで、お気をつけて…」
東の騎士「うむ。皆様、こちらは徒歩での移動になり申すが…不調を感じられたら、その都度、お声かけくだされ」
ヒメ「分かった。よろしく頼む」
東の騎士「では参りましょう」
ザッザッザッ ザッザッザッ
434: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:18:16 ID:M3wYd3wb5.
―――湿地帯―――
ガサガサ バササッ
外交官「ぜぇ…はぁ…空気が湿って蒸し暑いですな」ヨボヨボ
ヒメ「悪いけど休んでられないぞ。僕達には時間が無いんだ」スタスタ
外交官「も、もちろんでございます…。しかし虫や鳥、小動物を多く見かける上、道幅も整地されてませんな…。本当にホビット族が住んでいるのやら?」キョロキョロ
東の騎士「もうとっくに気付いてるだろうさ。なんせ奴らは用心深く周到だ。常にどこかで我々を見張っている…」
宣教師「この森林の出口も近そうですね」
ヒメ「分かるのか?」
宣教師「…木を見れば分かりますよ。一本、一本、鋭利な物で幹を削った痕があります」
外交官「そ、それがなんだと言うんだ?獣の仕業じゃないのか?」
宣教師「あれは目印です。その証拠に…特定の木々にしか痕が付いてません」
東の騎士「やけにお詳しいのだな?」
宣教師「独自にホビット族と交流を深めてましてね。彼らに伝わる風習や生態について教えてもらいました」
ヒメ「…にしても見てるなら出てきてほしいよな。その方が手っ取り早く進むのに」
外交官「はたして、そう上手くいくでしょうか…?」ビクビク
ヒメ「上手くいくでしょうか、じゃなくて上手くいくよう持ってくんだよ。
外交に携わってるんなら、それくらい弁えて準備しろ」
外交官「は、はっ…!」
宣教師「厳しいですね?」
ヒメ「どこが?うちの役人は甘ったれが多いから僕が引っ張ってやんないと何もしないんだよ!」
宣教師「(立派になりましたね…。つい数年前までは重すぎる立場を嫌がって城下に逃げ出しては駄々を捏ねるワンパクぶりでしたが…成長って早いです)」クスッ
435: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:19:09 ID:M3wYd3wb5.
東の騎士「しかし…そろそろ着いてもよさそうな…」スタスタ
東の騎士「!?」ズブブ
ヒメ「……!?ど、どうした!?」
東兵's「隊長!?」ダッ
東の騎士「く、来るな!?」
ベチョッ ヌチャッ ズチュチュ
東兵's「うおおお!?あ、足が……」ズブブ
ヒメ「お、おい!?何が……」
宣教師「泥濘です!それもかなり深い!」
外交官「は!?え!?」アワアワ
宣教師「何か長い棒や蔓草を使って引き上げましょう!」ダッ
ヒメ「わ、分かった!?」ダッ
シュルッ バシュッ バササッ
外交官「あぁ…陛下、陛下ー!?」ギョギョッ
ヒメ「な、なんだ…これ?」ズルルッ
宣教師「く、草網…!?」ギチギチ
???「アッハッハッハッハッハ!」パチパチ
全員「」ビクッ
436: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:21:25 ID:PFgfnAqhNQ
???「ウケる!人間ってマヌケ!?」ケラケラ
ヒメ「だ、誰だ!?」ブラーン
???「誰?そんなの決まってるじゃんか?」ガサッ
ヒメ「あっ…!」
外交官「ほ、ホビット…!?」ゾワァッ
ホビット娘「そっ?お前らの大嫌いなホビットでーす!」ニィィッ
ヒメ「な、なんの真似だ、これは!?今すぐ外せ!?」ジタバタ
ホビット娘「なんの真似?こっちのセリフだよ!あんたら人間がウチらの領域に入ってどういうつもり!?」
宣教師「ご、誤解です!何も疚しいことなどありません!ただあなた方の力をお借りしたくて……」
ホビット娘「はぁ…?ウチらの力…?まぁた癒しの力がどうとか言い出すわけ?」
宣教師「違います!私達は決して危害を加えたりしません!どうか話だけでもさせてください!?」ブランブラン
ホビット娘「イーヤーでーすー」
宣教師「」カチンッ
ヒメ「(な、なんか腹立つ)」ムカッ
437: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:22:44 ID:PFgfnAqhNQ
ホビット娘「ん?でもよく見たらお姉さん、べっぴんさんだね?」マジマジ
宣教師「はい…?」ギチギチ
ホビット娘「わっ!おっぱいデカっ!?なに食ったら、そんなことになっちゃうの!?」ワシッ
宣教師「あっ…ちょ、ちょっ…なに…するんですか!」クネクネ
ホビット娘「す、すごい…人間って体だけじゃなくておっぱいも育つんだ…?」モミモミ
宣教師「…あ、あの!そんなことより…話を…んっ」ピクンッ
ホビット娘「ウチなんてペタンコなのに…むぅ!いーな!いーな!人間っていーなー!」モミモミ
宣教師「く、くすぐった…いですから…や、やめ…」ピクンッピクンッ
ヒメ「(ど、どうしよう……。見ちゃいけない筈なのに目が離せない…!)」ジーッ
東の騎士「くっ…くそ!抜けん!?このままでは沈んでしまうぞ…!?」グッグッ
外交官「(い、今のうちに陛下を…!)」ソローリ
ヒュンッ ドスッ
外交官「はっ!?」ビクッ
ホビット娘「あ、言っとくけどこそこそやっても無駄だから?
とっくに取り囲んでるし…風通しのいい身体になりたくなかったらおとなしくした方がいーよ?」
外交官「ぐぅ…!」ブルブル
438: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:24:39 ID:M3wYd3wb5.
ホビット娘「で、どーする?死ぬ?それともおとなしく帰る?」
ヒメ「だ、だから待てよ!僕たちは別に揉め事を起こしたい訳じゃないんだ!」アセアセ
ホビット娘「まぁだ言ってんの?めんどいなー!」ジトッ
宣教師「お、お願いですから…話を聞いてください…」ゼェゼェ
ホビット娘「やーだね!兵隊なんか連れちゃってさ?ウチらと戦う気マンマンじゃん?」
ヒメ「何度も言ってるだろ?誤解だって!?」
東の騎士「某らは他国の客人を案内してやっただけだ!そこもとらと戦う意思はない!?」ズズズッ
宣教師「私達を解放してください!絶対に暴れたりしませんから!?」
ホビット娘「ふーんだ?」プイッ
宣教師&ヒメ「……!」イラァッ
ホビット娘「え?なに、その目?射ってって?合図出せばいーの?」
宣教師&ヒメ「」ビクッ
ホビット娘「今晩のおかずは人間の串焼きかなぁ〜?お腹空いてきちゃった?」
宣教師「ち、違いますよ!敵意ではなく友好の眼差しを、ね!」ニッコリ
ヒメ「そ、そうそう!お近づきになれたらいいなと思ってさ!?」アセアセ
ホビット娘「……おっぱい」ボソッ
宣教師「はい?」キョトン
ホビット娘「おっぱい揺らしながら『私は牛小屋で小汚ないオヤジにお乳搾られながら育ったスケベなメス牛です』って自己紹介して?」
宣教師「……はぁ?」ピキッ
ホビット娘「やらないの?」
宣教師「あなたねぇ…いい加減にしないと怒りますよ…?」ゴゴゴゴゴ
ヒメ「宣教師!?落ち着け!?それくらい言ってやればいいだろ!?」アセアセ
宣教師「」ギロッ
ヒメ「」ビクッ
宣教師「キミまで私にあんな辱しめを強要するんですか?」ピキッピキッ
ヒメ「……し、しないです」ズーン
439: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:26:06 ID:M3wYd3wb5.
ホビット娘「言うの?言わないの?」
宣教師「言いませんよ!」
ホビット娘「なによ、ケチ!」プクー
宣教師「とりあえず網から下ろしなさい。その曲がった性根を叩き直したいので」ギロッ
ホビット娘「は?つ、強がっちゃってバカみたい?下ろす訳ないじゃん!」ビクッ
宣教師「今ならありがたいお説教12時間と左右の頬を35発ひっぱたくだけで許してあげましょう」
ホビット娘「そ、そんなのさせないから!」タジッ
「何をしておるかぁ!?」カッ
ザワッ
宣教師「こ、今度はなんですか?」チラッ
ヒメ「?」チラッ
ホビット娘「やばっ…!」クルッ
酋長「ルイ…!その人間共はなんだ…!?」ビキビキィィィ
ザワザワ ザワザワ
ホビット娘(ルイ)「あ、アハハ…ゴメン、お爺ちゃん…?」ダラダラ
酋長「…皆もだ!遊んでないで仕事せんか!?」
ヒィィィィイイイ!!!
ヒメ「(…あのコワモテの老ホビットが長か?)」
440: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:28:36 ID:PFgfnAqhNQ
酋長「たく…どこをほっつき歩いてるかと思えば?」ブツクサ
ルイ「……」シュン
宣教師「あの!すみません?あなたはこの集落を束ねてらっしゃる方ですか…?」
酋長「……チッ!人間め?」ジロッ
宣教師「え?」
酋長「このところ、しつこく絡んでくるのう?
城から使者を寄越すわ、勝手に領地を横切るわ…なんなんだ、うぬらは?」
宣教師「わ、私達は王国から来ました!あなた方に助けを……むぐっ!」グワシッ
酋長「王国だとぉ…!?」ググッ
宣教師「痛っ…!」ギュウウウ
酋長「殺されたくなきゃさっさと消えな!?」バッ
宣教師「うっ……!」ヒリヒリ
ヒメ「せめて話を聞いてくれ!僕はその王国の国王だ!?」
酋長「ガキの分際で何が国王だ!?話す事などないわ!?うぬぼれるな!?」
ヒメ「僕たちは変わったんだ!もうホビットと人間は争わなくても……」
酋長「知るか!?失せろ!?」ブンッ
ヒメ「あぐ!?」バキッ
ルイ「お、お爺ちゃん…!」オロオロ
441: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:30:45 ID:M3wYd3wb5.
酋長「ルイ!帰るぞ!」ガシッ
ルイ「っ……う、うん」グイッ
ヒメ「うぅ…頼むから…聞いてくれよ!?」ボタボタ
酋長「くどい!!四肢を引きちぎって狼共に喰わせるぞ!?」
ヒメ「このままじゃ…おまえたちも危ない…!西の国が侵攻してくるぞ…!?」
酋長「……?」
ヒメ「ブルードル陛下が西の刺客に暗殺された…!東国軍も壊滅してる…!残ってるのは王国軍だけなんだ…!」
酋長「…また戦争か。懲りん奴らめ?」フンッ
ヒメ「ぼ、僕だって好きでしてるんじゃない!仕方なかったんだ!」ムッ
酋長「うぬら人間はアピシナ様の犠牲から何も学んでおらんな…」
ヒメ「は?アピシナ…?」
442: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:31:09 ID:PFgfnAqhNQ
宣教師「アピシナ……伝説の大樹にまつわるおとぎ話の?」
酋長「ふん…とぼけおって?うぬら王国がアピシナ様を現世から抹消したのだろうが?」
宣教師「い、今では伝承を改めて真実のみを伝えています!教団もかつての物ではなくなりました!」
酋長「バカが…アピシナ様の名を聞いても覚えがないような反応じゃないか。真実もへったくれもないわい?」
ヒメ「そ、そういえば…ブルードル陛下とミリア王妃がアピシナの争いがどうとかって……」
酋長「」ピクッ
ヒメ「大陸全土を巻き込んだ…終わらない争いを凌ぐ歴史上、最大規模の戦争……」
宣教師「え…?な、なんですか?そんな話…聞いた事もないですが…?」
ヒメ「あぁ…僕も知らなかった。というか…そんな史実はどこにも残ってない」
酋長「うぬらが得意とする嘘で塗り替えられた書物に真実など一文字も綴られておるまいが?」
ヒメ&宣教師「……」
酋長「…いいか?これだけは教えてやる?」
ヒメ「……?」
酋長「ホビット族と人間が手を取り合うなど未来永劫ありえん?
どちらかが滅びる、その日まで…うぬらは我らの敵だ!」ケッ
シーン
ルイ「……」シュン
443: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:32:40 ID:M3wYd3wb5.
ヒメ「……そんなのダメだ」ボソッ
宣教師「同意見です…」ボソッ
酋長「!」ピクッ
ヒメ「後世に受け継ぐべきモノは憎しみじゃない!友愛だ!」カッ
宣教師「あなた方の抱える負の遺産を未来にまで背負わせていいのですか!?」
酋長「なにぃ…!?」
宣教師「いつまでも過去に縛られ、憎しみを蔓延させ続けては真の平穏など訪れません!次世代に希望を繋げようとは考えないのですか!?」
ヒメ「変わらなきゃいけないんだよ!今、変わらなきゃ…また何度でも戦争は起こる!?
おまえも…そこの孫娘も!そのまた曾孫も…産まれてくる筈だった命まで…何もかも奪われる時が来る!!」
酋長「うぬら人間が始めたんだろうがぁ…!?」ブチブチィッ
ヒメ「そうだ!だから…僕たちは変わる!!絶対に変わってみせる!!」
宣教師「それを私達に気付かせてくれたのはあなた方の仲間……ホビット族の少年です!!」
酋長「!?」
ルイ「……!」
444: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:33:57 ID:M3wYd3wb5.
ヒメ「そいつは女みたいにか弱くて…泣き虫で!おまけにドジでバカでアホだけど…大切な事をたくさん教えてくれた!!」
宣教師「彼は純粋な真心と優しさで私達を憎しみから解き放ってくれました!
どんなに虐げられても…裏切られても…利用されても…信じ抜く勇気を持って王国を変えてくれたんです!!」
酋長「だ…だからどうしたぁ!?我々には関係ないだろうがぁ!?」
ヒメ「あるんだよ!!この戦争は…そいつを巡って巻き起こってるんだ!?」
酋長「あぁ!?どういう意味だ!?」
宣教師「彼の持つ癒しの力が大樹に注がれた時、永遠の生命を宿す実が成る!!それを知った西の女帝が彼を狙ってるんです!!」
酋長「癒しの…力…?」ピタッ
ルイ「え?だって…アピシナ様はもう……」
ヒメ「アピシナじゃない!!カロルだ!!どういう訳か分からないけど、なぜかあいつは癒しの力を使えるんだよ!?」
宣教師「その力を持っていた為に以前も大きな争いが生まれたんです!!」
酋長「な、なんのこっちゃ分からん!いっぺんに言われても…!?」
ルイ「カロル……親愛…?」
445: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/19(土) 20:34:32 ID:M3wYd3wb5.
ヒメ「時間がないんだよ!!もうその時が迫ってるんだ!!
カロルが誘拐されてから…1ヶ月近く経ってる!!」
宣教師「信じてください!!お願いします!!」
酋長「な…な……」タジッ
ルイ「お爺ちゃん!この人間たちウソついてるようには見えないよ!」ユサユサ
酋長「……!い、いかん!耳貸すとこだった!」ブルンブルン
ルイ「え!?」
酋長「こんな人間共の戯言なぞ信じられんわ!!
お前たち!こいつらを拘束して集落の籠に閉じ込めろ!?」
東のホビット's「」コクリ
ルイ「お爺ちゃん!?」ユサユサ
酋長「お前は黙ってろ!!」バッ
ルイ「そ、そんな…!」ウルッ
ヒメ「疑ってしまうのは分かる!!でも本当なんだよ!!」ギチギチ
宣教師「考えを放棄せず、話に向き合ってください!!私達は騙したりしませんから!!」ブランブラン
酋長「うぬらもだ!!黙っとれ!?さぁ連れていけ!?」
ガッガッ グイッ ドサッドサッ ズルズル
446: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/21(月) 21:59:35 ID:IHQ0bs/URY
―――ホビッツの里(木編みの檻)―――
ヒメ「はぁ…ダメだったか」
東の騎士「某が付いていながら面目ない…」
外交官「や、奴ら…我らをどうする気でいるのだろうか?」ブルブル
ヒメ「さぁな?串焼きにでもするんじゃないか?」
外交官「ひ、ひぃぃぃぃ!!!」ガクブル
ヒメ「騒ぐな。冗談だ?」
外交官「し、しかしこのままでは城塞を守っている兵が倒されてしまいます!何か手を打たないと…!」
ヒメ「うーん…武具も奪われちゃったしな…。それにこの籠、見た目は柔そうに見えるけど、かなり頑丈に造られてる。素手で脱け出すのは難しそうだな?」
東の騎士「これだけの人数を乗せても揺らがぬとは大した技術だ…。
しかも宙に浮いてる以上、下手に暴れて転落しようものなら即死でしょうな」
外交官「くぅぅ…!し、下に群がってる連中は全部ホビットなのか…!?」
宣教師「それはそうでしょう。ホビットの里なのですから?皆さーん!ごきげんよう?」フリフリ
ザワザワ ザワザワ
ヒメ「よくこの状況でノンキに手なんか振れるな?連中も戸惑ってるじゃないか?」
宣教師「これを機会に親睦を深めたいですからね」ニコニコ
ヒメ「おまえもカロルもすごいよな?なんでいつも先行きを見送って大胆な行動に出れるんだか…?」
宣教師「危険を顧みずに自分を人質に取らせたキミに言われる筋合いはありませんよ!」
ヒメ「あぁ…懐かしいな。あの時はホント自分でも何してるのか分かんなかったよ」
外交官「思い出話に浸ってる場合ですか!?」
447: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/21(月) 22:01:45 ID:9v4P6Xr0tU
〜〜〜夜〜〜〜
ヒメ「さむっ……」ブルッ
宣教師「……真っ暗ですね」
東の騎士「夜はあまり活動しないのですな。日が落ちてからめっきりと姿が見えなくなった」
外交官「我々はどうなるんだぁ…」ガクブル
ガラッ ガラガラ
ヒメ「」ビクッ
宣教師「? 降りて…る?」
東の騎士「何奴か!?」スクッ
外交官「ひぃぃ!!と、とうとう処刑されるのか…!?」ガクブル
ゴトンッ
ブチッ ビリビリィィッ ガコンッ
パカッ
ヒメ「あ、開いた……?」
448: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/21(月) 22:04:01 ID:IHQ0bs/URY
宣教師「! キミは先ほどの……」
ルイ「よっ!」ニコッ
外交官「っ……?」ビクビク
ルイ「ほい!」ポイッ
ドサドサッ
宣教師「この袋は…?」
東の騎士「おぉ…某らの武具ではないか!?」シュルッ バサァァァ
東兵's「」ワラワラ
ヒメ「ルイ…だっけ?」
ルイ「さんを付けな!デコスケ!」
ヒメ「誰がデコスケだ!そんなことより、おまえ…自分が何をしてるか分かってるのか?」
宣教師「私達を助け出してくださるのですか…?」
ルイ「松明持って!」スッ ボォォ
ヒメ「な、なんなんだよ?」パシッ ボォォ
ルイ「こっち来なよ。面白いの見せたげるから」スタスタ
宣教師「どうします?」
ヒメ「…付いてくしかないだろ」
東の騎士「某らもお供致そう」スクッ
外交官「わ、私も参ります…」
ルイ「なにボサッとしてんのさ?早く来なっての!」クルッ
449: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/21(月) 22:05:12 ID:IHQ0bs/URY
―――ホビッツの里(御神木)―――
ズォォォォン
ヒメ「なんだ、これ…?」
宣教師「ずいぶん精巧に造られてますが…」
東の騎士「見事だな…。我が国の最先端石膏技術を以てしても、ここまでの傑作は産まれぬだろう」
外交官「英霊を称える遺物か…?歴史的価値が高そうだ…!」
ルイ「すごいでしょー!ウチらの御先祖様が掘ったんだから?」エッヘン
宣教師「はぁ…なんとも言えない儚さというか…まるで木像その物に命が宿ったような神々しさを感じられますね」
東の騎士「石像では表現し得ぬ細かなシワ…太く絡む根の曲線…繊細な技巧が窺える…」
ルイ「まぁ当然だよね!樹齢5000年の御神木を掘って祀られたホビット族のお宝だもん!」
ヒメ「…そんな大事な物をなんで僕らに見せびらかすんだ?盗み出そうと狙うかもしれないぞ?」
ルイ「え!?どうやって!?」
宣教師「…しっかり地面に根を張ってますし、そもそも人が持ち運べる大きさでもないと思うのですが?」
ヒメ「いや、例えばの話だよ!不用意にこんな価値のある物を見せたりしていいのかって聞いてんの!?」
外交官「こ、これを持ち帰れば王国に一躍、芸術の風が吹くぞ…!他国からも見物人が訪れ、巨額の財が動く…」ブツブツ
ヒメ「ほら見ろ!こういう奴だっているんだぞ!?」ビッ
ルイ「あー」
宣教師「なるほど」
外交官「」ハッ
450: ◆WEmWDvOgzo:2015/12/21(月) 22:09:38 ID:9v4P6Xr0tU
ルイ「これね、アピシナ様を象ってるんだって?」
ヒメ「あぁ…昼間におまえの爺さんが言ってたやつか」
ルイ「そっ!」
宣教師「アピシナ様とは何者なんですか?
王国に伝わる限りでは伝説の大樹を癒しの力で育て上げたホビットと聞いてますが?」
ルイ「まぁそうなんだけど…何から話したらいいんだろ。
とりあえず一言でまとめるとアピシナ様は"ホビットを世界から切り離した"お方なんだよね」
宣教師「世界から切り離した…?どういう事ですか?」
ルイ「昔ね、300年も前くらいにアピシナ様はホビット族の中に現れたんだって」
ヒメ「現れた…?」
ルイ「うん。どこから来たのかも分からない。何から産まれたのかも分からない…だけどホビット族の中にいたの」
東の騎士「ホビットではないのか?」
ルイ「だからホビットだってば?」
東の騎士「???」チンプンカンプン
ルイ「アピシナ様を語った当時の仲間は口々にこう言うの。"アピシナはおかしい"って」
ヒメ「おかしい?現代まで祀られる程の奴がか?」
ルイ「アピシナ様は愛に溢れすぎていたの。同族はもちろん人間だって分け隔てなく接するし…。
動物なんかの生き物はもちろん目に見えないものにまで慈しむように愛を囁いてたんだって?」
宣教師「素晴らしい…!聖者さながらの徳を備えたお方なのですね…!」
ヒメ「いや、行き過ぎてるだろ…。どう考えても…?」
ルイ「アピシナ様はいつだって世界の素晴らしさと一生のときめきを諭そうとするんだけど…誰にも理解してもらえなかった。
癒しの力でたくさんの命を救って、暖かい心で依り場のない者たちの嘆きを慰めても…それでもみんなアピシナ様を不気味がって遠ざけたの」
宣教師「……」
ルイ「…自分は受け入れてもらえないと知ったアピシナ様は癒しの力を一つの種粒に注いで大樹を実らせた。
自分がいなくなっても誰も傷付き苦しむ事のないように…すべての命を争いから解き放ってあげられるようにって願いを込めて」
ルイ「けど…その大樹が原因で争いは大きくなって…世界は殺伐とした混沌の闇に迷いこんでしまった」
宣教師「…永遠の命を奪い合って、ですか?」
ルイ「……そっ。それで絶望したアピシナ様は自殺しちゃったってわけ」
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