http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-10
1スレ(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1385288769/1-10
2スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1416136192/1-10
3スレ(カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】)
あらすじはそれぞれの1参照(考えるのがめんどくかったんです。ごめんなさい)
>>2から本編になります!
249: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:12:01 ID:7fMdibXDzA
ドドドドドドドッ
西兵22「と、突入されたぞ!食い止め…ぎゃっ!?」グシャッ
南兵1「騎士長!私の背にお乗りください!」バッ
騎士長「すまんな!」ザッ
ローレン「ここで決めるぞ!!」ガガガッ
ゴガガガガガガァァン
西兵17「柵の前に整列させた重装歩兵隊、一点から突き破られています!!」
西兵18「敵部隊を率いる男が相当の手練れであると見られます!我が隊の陣形を真っ向から崩されました!?」
バグダッド「……号令をかけろ」トントン
西兵18「弓隊、一斉に放てぇ!?」
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュンッ
ズドッズドッ ズドッズドッ
ドッ ドガガガガッ ゴロゴロ
南兵3「ぐきゃあっ!!」ベシャッ
騎士長「盾を構えて進めぇ!!ローレン様をお守りするのだぁ!?」ドッドッ
ビュッ ビュッ ビュッ ビュッ
ドスドスドスドス
ヒヒーン! ゴッシャアアン!
南兵1「くそっ!歩兵共め!馬を突いてきやがって、ちょこざいな!?」ガキンッ
南兵4「ぐあっ…」ドスッ
ゴロンッ ドシャッ
ローレン「怯むな!!ここが正念場だ!!全速力で突破するぞ!?」ブォンッ ビュバッ
ザシュッ ドシャッ
オォオオオオォオオオオォオオオ!!!
250: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:14:46 ID:2uHj0k8hi.
ウワァァァァアアアアアア!!!
ガガァンッ ゴシャアァァッ
バグダッド「……」トントン
西兵18「殺れ!殺れ!殺れぇ!?絶対、ここに辿り着かせるなぁ!?」アセアセ
バグダッド「(全滅するどころか…まったく勢いが衰える気配さえないか。
我ながら完璧な守備陣であると自負していたのだが…)」トントン
バグダッド「(…大昔の南国騎馬隊と言えば列国を震わせた驚異と名高いが、時を経て錆び付いた力がなぜ今になって発揮される?)」トントン
バグダッド「(そもそもこの戦場全体を見渡せど明らかに普通ではない…。
なぜ敗北必至の戦を請け負った南国軍が士気を高められるのか?)」トントン
バグダッド「(友軍の援護を期待して持ちこたえているのだと考えていたが…だとすれば、この奇襲の意図は?)」トントン
バグダッド「(自軍の本陣を奪わせてまで戦力をこちらに集結させたのはなぜか?
焦りから判断を誤ったか、単なる阿呆の仕業か…?)」トントン
バグダッド「(いずれにしろ…この隊には何かありそうだ?)」ピタッ
西兵18「あ、あぁぁああ!!重装歩兵隊を抜けました!弓隊に迫って………」アセアセ
ドガガガガッ ザシュッ ズバッ ゴガァァンッ
西兵18「ゆ、弓隊、猛攻を受け…も、目前に…うわぁあああ!!」ヒィィィイイイ
バグダッド「おたつくな、馬鹿者」トントン
西兵18「む、迎え撃てぇ!!」ジャキッ
ザザザッ
251: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:20:19 ID:7fMdibXDzA
ガガガッ バサッ ブォンッ
西兵17「ぎあああ…ぶっ!!」ザシュッ
西兵19「ぐえっ!?」ドバッ
バタバタッ ドシャッ ズシャッ
ゾロゾロ ゾロゾロ
南兵's「」ゼェゼェ
ローレン「貴様がバグダッドか…?」ジャキッ
バグダッド「……いかにもそうだが貴様は何者だ?」
騎士長「控えろ!下郎が!?このお方は我らが国王、ローレン陛下であらせられるぞ!?」
バグダッド「国王…!?」ピクッ
ローレン「……」
バグダッド「がっははは…なるほどな。ジルレイの部隊に本陣を奪われ、おめおめと逃げ回ったが…敗北を悟り、やけくそに走ったか」
ローレン「…これまでだな」ズイッ
ビュオンッ ズドォッ!
騎馬2「ぶるるっ…!!」ガガガッ
ローレン「なっ…!?」ガクンッ
騎士長「ローレン陛下ぁぁ!?」ビクッ
ヒヒーン! バタァァン!
ローレン「…馬を刺されただけだ!?」スタッ
バグダッド「決死の特攻がたまたま功を奏し、浮かれてしまうのも仕方ないが…」ジャキッ
ローレン「(槍術を扱うようだな…。それもかなり使う…!)」ジリッ
バグダッド「思いつきで動いた事を後悔させてやろう?」ニヤリ
252: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:25:31 ID:7fMdibXDzA
バグダッド「」ジリッ
ローレン「」グッ
バグダッド「ふん…たとえお前が奇跡的に我が首を地に落とそうと、ここ左軍の戦局を揺らがせる程度…それもさざ波の如くだ?
既に左軍の戦況を読み取った中央の指揮官が対応しておられる事だろうさ?」
騎士長「ま、負け惜しみを抜かすな!?」
バグダッド「無謀なる国王よ…。お前の首は南国軍の首そのものだ。分かっているのか?」
ローレン「時間稼ぎに付き合う気はない!」ビュンッ
バグダッド「くっ…時間稼ぎだと…思い上がるなよ?」ガキンッ
ローレン「騎士長!!背後の隊は任せたぞ!?」ギギギッ
騎士長「はっ!我が命に賭けましても寄せ付けませぬ!!行くぞ!?」ダッ
南兵's「は、ははぁっ…!!」パカラッパカラッ
バグダッド「馬鹿者が…!敵陣の真っ只中に孤立した小隊など物の数分で磨り潰されるぞ!?」ギギギッ
ローレン「貴様などに言われずとも…俺の首は誰にも渡さん…!」ギギギッ
バグダッド「ぬぅっ…らぁっ!!」ギィィンッ
ローレン「」ザッ
バグダッド「…ここに辿り着いた強運は認めてやるが運任せでなんとかなる程、甘くはないぞ!?」ビュンッ
ローレン「(鋭いっ…!?)」サッ
バグダッド「うらぁああああ!!!」ババババババッ
ローレン「(っ…重い装備をしていながら一撃一撃が速い!いなすのが精一杯だ…!)」ギンッ サッ ガインッ
253: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:28:21 ID:7fMdibXDzA
バグダッド「がはははは!!守備重視の兵法家ならば楽に討ち取れるとでも!?笑わせるな、未熟者が!?」ビュンッ
バキィィッ!
ローレン「ぐぅあっ…!?」ミシィィッ
バグダッド「死ね!阿呆が!?」ビュオンッ
ズンッ!
ローレン「がっ…はぁぁあ…!」ブバッ
バグダッド「勝負あったな…!?」ニヤリ
ローレン「ん…ぐくく…!?」ガシッ
バグダッド「あ?あ…ぬ、抜けんっ…!?」グググッ
ローレン「つか…まえたぞ…!」ギュゥウウ
バグダッド「は、離せ!死に損ないがぁ!?」グッグッ
ローレン「この程度の死地になら何度も立ち会ってきたさ…!」ググッ
バグダッド「……!?」
ローレン「ふんっ!!」シュッ
ドスッ!
バグダッド「ご…がふっ……」ブバッ
ローレン「敗北寸前、ギリギリの境地を幾度となく越えてきた…」
バグダッド「」ズダァァンッ
ローレン「強大な力に溺れ、弱者を弄んできた貴様らとは育ちが違うんだよ…っ!?」ブシュッ
254: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:31:07 ID:7fMdibXDzA
ローレン「っ…はぁ…敵将、討ち取ったりぃぃいいい!!」バッ
オォオオオオォオオオオォオオオ!!!
騎士長「よ、よくぞ…!」
ザワザワ ザワザワ
西兵23「そ、そんなバカな…バグダッド中将が…!?」ワナワナ
騎士長「よぉし!!この勢いで残軍を切り伏せろぉぉおお!?」
ウオオオオオォオオオオォオオオ!!!
南兵's「」ドドドッ
ローレン「ぐっ…はぁ…!」ズキズキ
南兵1「陛下!?大丈夫ですか!?」ガガッ
騎士長「ち、血止めを…!」ヒョイッ スタッ タタタッ
ローレン「心配は要らん…。掠り傷だ…!」ボタボタ
騎士長「な、なるほど、確かにそこまで深くはなさそうだ…。防具に救われましたな…!」ビリィィッ
南兵1「で、でも脇の部分が砕かれてますよ…!?」
ローレン「あぁ、強かに打ち付けられたからな…。あばら骨もっ……」ズキンッ
騎士長「とにかく今は応急処置を…!」シュルシュル
ローレン「すまんな…」
255: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:33:52 ID:7fMdibXDzA
ガキンッ キンッ ズバッ ドシュッ バタバタッ
騎士長「な、なんとか動揺を狙って敵を押さえてますが、このままではまずいですぞ!
分断された兵達を呼び戻し、陣形を立て直しましょう!?」
ローレン「いや…この本陣はもう用済みだ。火を放って脱出するぞ」
騎士長「は!?」
ローレン「バグダッドの本陣が落ちたと知れば敵左軍の足取りはおぼつかなくなるだろう。
右軍の戦況を逆転させるとしたら…今をおいて他にない!」
騎士長「しょ、承知しました!ですが傷を負われたまま立て続けに戦うのは危険です!陛下は一度、山中に身を隠して……」
ローレン「山中はもう使えん…」
騎士長「なっ…」
ローレン「ここの騒動は瞬く間に伝わる。俺達を追って山中に入ったジルレイの隊にも報告が行くだろう。
活路を求めるなら敵左軍を排除し、右軍に陣を敷くべきだ…」
騎士長「……!」
ローレン「もう一踏ん張りだ…頼む?」
騎士長「御意…!」グッ
256: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:36:25 ID:7fMdibXDzA
―――西の国・本土(帝都)―――
西兵長「物見の報告では東国軍はまっすぐこちらに向かっておるとのこと!!
砦を押さえた王国軍の部隊は主要施設を焼き払い、その場を後にしたそうだぞ!?」ダンッ
参謀「(うるさい…。いちいち…)」ウンザリ
西兵長「カカドゥーラ将軍の不在時にこの失態!!
閣下が戻られたら、なんと言われるか!?」
参謀「(あぁめんどくさい…。事ある毎に閣下、閣下と……)」
西兵長「黙っておられるが最高司令官殿にこそ責任があるぞ!?」
参謀「(女々しい妬み嫉みから来る揚げ足取り…あわよくば立ち位置を奪おうと付け狙う小心者の空威張りに付き合えるものか)」シラー
西兵長「聞いておるのか!?」ダンッ
参謀「北東部の防衛戦術は看破されてましたか…。
なかなか広く戦場を見渡せる軍師家がいるようですね」クルッ
西兵長「!?」
参謀「それぞれ個別に攻めてくるものと考え、別動隊の動きを見切れなかった僕の責任です」
西兵長「そ、そうだ!お前が悪い!なんとかしろ!?」
参謀「即席の連合軍に連動した策を用いるだけの洞察と知力を持った相手がいるなんて思いませんでね…?」
西兵長「言い訳するな!閣下が戻られたら真っ先に報告してやるぞ!」
参謀「おそらく王国軍は別動隊を国境防衛地の背後に寄せ、奇襲を仕掛けて門を開け放とうと企んでおいでかと?」
西兵長「あ、あぁそうだ!そういうことだ!」コクコク
参謀「ですよね。まぁ、あの砦がそう易々と落ちるとは思えませんが…何かしら手を打たなければ?」
西兵長「そ、そうだ!」
257: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:38:10 ID:7fMdibXDzA
参謀「何か良い手はあります?」
西兵長「は?あ、う、うぅん……ま、まぁ手なんかいくらでもあるが最高司令官はお前だ!甘えるな!」
参謀「うーん…そうですねぇ。では兵長殿に指揮を託しましょうか?」
西兵長「は!?な、なんで俺が…!?」
参謀「帝都に置かれた兵を半数、貴方に預けますので国境防衛地に援軍として向かってください」
西兵長「……!?」
参謀「道中で拠点を失った北東の敗残兵を集めれば6万の兵力が見込めますよ」
西兵長「ろ、ろ、6万…?この俺が…?」
参謀「大隊を指揮する才覚を示されれば大々的に貴方を支持する声も上がるでしょう。将軍閣下の右腕となれるやもしれませぬよ?」
西兵長「お、俺…が…右腕…!」
参謀「やりますか?やりませんか?」
西兵長「よ、よし!引き受けた!早速、準備をしてこよう!」スタスタ
参謀「自滅しろ…古参気取りが…」ボソッ
西兵長「は?」クルッ
参謀「ご武運をお祈りしています?」ニコリ
西兵長「はっはっは!任せておけ!」スタスタ
258: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/11(日) 22:43:04 ID:7fMdibXDzA
参謀「さぁて、帝都の兵力も減らしましたし…」バサッ
参謀「…そろそろ、ですかね」ジーッ
ガチャッ
参謀「……」チラッ
軍師「おや…最高司令官殿、お一人でたそがれてらしたか」スタスタ
参謀「師匠殿こそ軍師が戦場を空けてよろしいのですか?」
軍師「老骨の出る幕などありませぬよ…?」
参謀「何をおっしゃいますか?師匠殿を越えられる軍師は未だ輩出されていませんよ?まだまだ頑張っていただかないと?」
軍師「困りますな。過度な期待は?」
参謀「ま、白々しい世間話もほどほどに…どうです?計画は進んでますか?」
軍師「いつでも取り掛かれますとも」
参謀「…そうですか」ニヤリ
軍師「各戦場の様子が予想に反して劣勢に追いやられているのが気になりますが…」
参謀「南国軍を取り込めなかった誤算もありますし…王国軍の出方も意外でしたからね。
ですが、あの砦は数日で落とせる代物ではありませんし援軍も送り出しましたから問題ないでしょう」
軍師「かしこまりました…。では始めてよろしいのですな?」
参謀「采配は師匠殿にお委ねします。信頼できるのは貴方だけですから…」
軍師「光栄にございまする……」
参謀「ふふ。確実にお願いしますよ…?あの"妾"の纏う魔性は油断ならないですからね…?」
軍師「存じ上げておりまする。必ずや朗報を手土産に持参いたしましょうぞ…」
参謀「…師匠殿」
軍師「はい…?」
参謀「願わくは先々も……僕と一緒に覇道を歩んでくださいますか?」
軍師「……!喜んでお供致します…!」ペコッ
参謀「ご武運をお祈りします」クスッ
軍師「はっ…」ザッ
259: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:07:37 ID:G41uxMId7g
―――西の国(国境防衛拠点)―――
ワァーワァーギャーギャー
ドレッド「ぅらあ!!休まず射ち込めぇ!?
敵が一本、矢を放ってきたら、こっちは千本返してやれやぁ!?」
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン ヒュヒュヒュヒュヒュヒュン
ドレッド「投石部隊もガンガンぶち当てろぉ!!壁上の雑魚共を蹴散らせやぁ!?」
ドヒュンッ ボガァンッ パラパラ パラパラ
ドレッド「おらおら、補給、運搬の連中はモタモタすんな!!どんどん矢と岩を追加しろ!!土袋もだ!?」
ガラガラ ゴトンゴトン
ドレッド「浮き足立つな、民間兵共ぉぉ!!どんどん土袋を放って堀を埋めてくんだよぉ!?ビビってんじゃねぇぞぉ!?」
バッ ボシャンッ バッ ボシャンッ
ドレッド「守備隊!垣盾なんか使い捨てろ!?そんなボロじゃ構えても意味ねぇだろ!?」
ワイワイガヤガヤ
ドレッド「ちっ!おぉい!?」
王国兵1「はっ!」ザッ
ドレッド「負傷した連中はいつになったら戻ってくんだ!?人員が足りてねぇだろうがよ!?」ドンッ
王国兵1「うおっつ!?で、ですが…重傷の者も多々おりまして手当てが追い付かず…!?」ヨロッ
ドレッド「クソカスがぁっ!!手足もげようが動ける内は這いつくばってでも戦うんだよぉ!?」
王国兵1「ひっ!た、ただいま…呼び戻して参ります…!」ダッ
ワァーワァーギャーギャー
ドレッド「くっそ!まさかここまで強固な城だとはなぁ…!まいったぜ!
肝心のフィクサーからは何も指示がねぇし、兵の補充もしやがらん…!なに考えてんだ…ボケが!?」ブツブツ
王国兵2「伝令!伝令!フィクサー総指揮より指示が!?」タタタッ
ドレッド「あぁ!?」
王国兵2「夕刻には城門が開かれ、畳まれた橋が下ろされるとのこと!!
全兵に突撃の準備をさせるようにと仰せつかりました!?」
ドレッド「な、なんだ、そりゃ…!?」
260: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:09:50 ID:8VYUmGqBd.
―――王国軍・野営地―――
ドレッド「ぅおい、ゴラァッ!!」バサッ
フィクサー「どうした?」スッスッ
ドレッド「のんきに地図なんか並べてる場合じゃねぇぞ!どうなってんだ!?」
フィクサー「何がだ?」
ドレッド「夕方には勝手に城門が開くってのはどういう事か説明してもらおうか!?」
フィクサー「なんだ、そんな事か?」
ドレッド「そ、そんな事…!?こ、こっちは何日も必死に攻め続けてんのに攻略の糸口を見つけられずにいるんだぞ!!
それなのにどうやったら、あの頑丈な城を陥落させられると言うんだよ!?」
フィクサー「黙って指示に倣え。このようなやりとりは無駄な時間でしかない」
ドレッド「だ、とぉ…!?こ、この…!?」プルプル
フィクサー「」カリカリ
ドレッド「……!てめぇ、これで城門が開かなかったら、どう落とし前つける気だ!?」
フィクサー「ほう?わたしを信用出来ないか?」
ドレッド「そうじゃないが…ここまでの戦いで実質的に出遅れてんのは俺達の軍だ!
なのにあんたは戦場にも立たず、後ろに陣を敷いて地図になにやら分からん点線打ってるだけじゃねぇか!」
フィクサー「ならばこうしよう?」
ドレッド「?」
フィクサー「わたしがしくじれば軍の指揮権は貴様に譲ってやる。
だが作戦通りに事が運んだなら今後一切、余計な口出しはするな?」
ドレッド「た、大した自信だな?いいのか!俺は一度、決めた事は何があっても破らせんぞ!?」
フィクサー「好きにするといい…。わたしの予言は外れんよ?」ニヤリ
ドレッド「…ちっ!すかしやがって!」バサッ スタスタ
フィクサー「……」カリカリ
261: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:11:53 ID:8VYUmGqBd.
〜〜〜夕方〜〜〜
ガッションガッション ギギギギギギギ………
ザワザワ ザワザワ
ガララララララ ザァァァァァン
ドレッド「……ほん、とうに…開きやがった?」ポカーン
王国兵1「軍長!門が開け放たれ、橋が渡されました!!?」
ドレッド「ちくしょう…!あの野郎…!?」ギリッ
王国兵1「ドレッド軍長!?」
ドレッド「分かっとるわ!!第1軍、全兵突入だぁぁあああ!!!」パシンッ
ウオオオオオオオオ!!!
ドガガガガガガガガガガッ
262: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:13:00 ID:G41uxMId7g
〜〜〜夜〜〜〜
―――西の国(国境防衛砦)―――
ガキンッ ズバッ ギャリィンッ ザシュッ
バタバタッ バタバタッ
西の城主「ひ、ひぃいい!?」ズサァァ
ドレッド「貴様が城主か。散々てこずらせやがって…?」ザッ
西の城主「お、お助けを…!命ばかりは…!?」ガクガク
ドレッド「クククッ…もう降伏かよ?侵入しちまえば雑作もねぇもんだ?」
王国兵1「いかがなさいましょう?」
ドレッド「展望台に立たせろ?」
王国兵1「見せしめに突き落とすのですか?」
西の城主「ひぃあああ…!」ガクガクブルブル
ドレッド「アホ!んな事すりゃ王国軍の品位を落とすだろが?」
王国兵1「ではどうされるので?」
ドレッド「決まってんだろうが…ぅおい!!」
西の城主「」ビクッ
ドレッド「まだ外で兵が交戦中だ。降伏を叫び、投降を勧めろ?」
西の城主「お、お安いご用です!!」ヘコヘコ
ドレッド「お前らは下の兵に呼び掛けて戦闘を中止させろ。無駄に殺すのは無しだ?」
王国兵1「ははぁっ!!」ダッ
西の城主「た、助かった…」ホッ
ドレッド「ぅおい!?さっさと行けや!?」ゲシッ
西の城主「ぶっ!?」ドシャッ
263: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:14:31 ID:8VYUmGqBd.
ゾロゾロ ゾロゾロ
ドレッド「これで全部か…」
王国兵1「はっ!!2万ほどの兵、および6万の住民を保護しました!!」ピシッ
パカラッパカラッ
ドレッド「あーん?」ジロッ
フィクサー「任務遂行、か。誉めて遣わそう」ガガッ
ドレッド「ちっ…奇しくもあんたの予言が的中したよ…。一体どんな手使ったんだ?」
副官「それは私から説明しましょうかね」カッカッ
ドレッド「あぁ…!?てめぇ、いねぇと思ったら…今まで何してやがった!?」
副官「まぁまぁまぁ!まずはお手柄でしたな。ドレッド軍長!」ポンポン
ドレッド「馴れ馴れしいわ!?質問に答えろ!!」バッ
副官「や、いろいろ言いたいのは分かりますがね、追って説明しますから?」ドウドウ
ドレッド「はぁ…!?」
副官「東部と北部、両砦の兵が不在にしているのを見計らってね、攻め落とした訳なんですけども…」
ドレッド「ふ、不在…?あ、ありえんだろ!それじゃなんの為の……」
副官「まぁ〜まぁ!まぁまぁまぁ!」ドウドウ
ドレッド「ぐむっ…」タジッ
副官「で、えー…なんだっけな?……あぁ、そうそう。アレした訳でね。これこれこうこうと…」
ドレッド「わからねぇよ!?」
264: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:19:33 ID:8VYUmGqBd.
副官「まぁ手っ取り早く言うと彼らがね、活躍してくれたのですよ?」
ドレッド「この薄汚い連中が?」
西の捕虜1「そ、そうだ!俺達が中に入って城門を開けたんだ!!」ザッ
西の捕虜2「これでいいんだよな!自由にしてくれるんだろ!?」
西の捕虜3「約束は守ってもらうぞ!?」
ドレッド「……おい、なんなんだ、こいつらは?」
副官「私が落とした砦の捕虜です。彼らに財貨と兵糧を持たせて補給班を偽装し、城内に入らせました」
ドレッド「……」
副官「後は想像が付きましょう?」
ドレッド「…お前の部隊が雪崩れ込んでる隙にこいつらが城門を開いたのか?」
副官「ご名答!諸君、惜しみない拍手を!?」パチパチ
パチパチ パチパチ
ドレッド「ちっ…どうりで手応えがなかった訳だ?」
副官「ドレッド様が早々に降伏を促してくださったので助かりましたよ?
派手に引き付けすぎてしまって我々も危うかったんでね?」
ドレッド「…しかし、どうも腑に落ちんな?お前らはどうやって北東の拠点を……」
副官「主の予言に従ったまでですよ」
ドレッド「……」ジロッ
フィクサー「…言っただろう?わたしの予言は外れないと?」ニヤリ
ドレッド「…出来すぎだ」
フィクサー「……」
ドレッド「ここから北東の動きを読める訳がねぇ?」
フィクサー「戦況を逐一把握する必要はない。事前に予測を立て、戦略を組み立てれば、この程度の成り行きは自由に操作できる?」
ドレッド「味方にまで間者を仕込んでたのか…?」
フィクサー「そうだ」
ドレッド「(こ、こいつ…俺に黙っておいて平然と…!)」ギリッ
265: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:22:24 ID:8VYUmGqBd.
副官「やぁ〜しかし意外でしたな?全滅を予想された東国軍が生き延びるとは?」
フィクサー「構わんよ。作戦に支障がなければな」
ドレッド「(…黙って聞いてりゃ好き勝手に…!)」イライラ
副官「やや?まだ不満がおありですか?ドレッド様?」
ドレッド「当たり前だぁ!?」ズイッ
副官「?」
ドレッド「幹部の俺が何も知らされずに主攻の任を背負って必死に戦ってきたのに…それが出汁に使われてただけだとぉ!?」
フィクサー「…いきり立つな。目障りだ」
ドレッド「あぁ…!?」ワナワナ
フィクサー「わたしは与えられた指揮権に基づいて軍を動かしているのだ。
不満を口にするのなら、わたしにではなく己の実力不足を責めるんだな?」
ドレッド「〜〜〜!!」ブチブチィッ
副官「まぁ〜まぁ!むしろ感謝するべきでは?」ドウドウ
ドレッド「はぁ!?」ギロッ
副官「フィクサー様の作戦ではありますが、この城を落としたのは間違いなくドレッド様なのですから?」
ドレッド「こ、こんな形で手柄を納めても嬉しかねぇよ…!」ギリギリ
フィクサー「そうか?」
ドレッド「…!?」ギロッ
266: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:23:51 ID:G41uxMId7g
フィクサー「これでお前は歴史に一つの功績と共に名を刻んだのだぞ?」
ドレッド「れ、歴史に…?」
フィクサー「お前は開戦前、何者かになりたいから軍に入ったのだと語っていたな?」
ドレッド「お、おう…?」
フィクサー「既になっているんだよ」
ドレッド「お、俺が…?」
フィクサー「この戦いにはそれだけの重みがある。
そしてわたしの指示に従えば、その名は未来永劫、忘れられる事のない物にまで昇華されるだろうさ?」
ドレッド「そ、そんなうまく……」
フィクサー「戦場を彩った我々は国王を超越し、時代を代表する名として残されるのだ」
ドレッド「っ……」ゴクリ
副官「……」ポリポリ
フィクサー「言い争う時間が惜しい。今こうしている間に時代は進み続けている…。納得してはもらえないか?」ジッ
ドレッド「……!」
267: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:25:41 ID:8VYUmGqBd.
ゾロゾロ ゾロゾロ
副官「えー…あぁ…おほん!話が付いたのでしたら彼らの処遇を決めましょうか?」
西の捕虜's「……?」キョトン
ドレッド「は?処遇?保護するに決まって……」
フィクサー「財貨と兵糧を積み次第、砦と共に焼き払え」サラリ
ザワッ
ドレッド「は…?あ、あんた何を言ってんだ?」オロオロ
フィクサー「不要な荷は始末し、先を急ぐぞ」
ドレッド「無益な殺戮や略奪は禁止されてるだろうが!あの坊っちゃん国王に知れたら処刑されちまうぞ!?」
フィクサー「…先ほどから否定的な進言が多いが何か忘れてはいないか?」
ドレッド「な、なんの事だ…?」
フィクサー「これまでわたしの予言は的中しているだろう?」
ドレッド「」ハッ
フィクサー「確か…今後一切、異論は挟まないと誓っていた筈だったな?」
ドレッド「い、異論ではないだろうが!明らかにまずいから注意してんだ…!」
副官「や、ドレッド様はお堅いですなぁ?」
ドレッド「お堅いぃ?てめぇ誰に口聞いてんだ!?」
副官「どうにでもなるでしょう?我々が始末したという証拠もないのですから?」
ドレッド「兵に口止めしたとこで数万の人間が消えれば不自然だとバレるだろう!?」
副官「や、なんのなんの?陥落した砦に捕虜を解放し、我々は先に進んだが敗北を受け入れられなかった西の民は自ら火を放って同胞を道連れに心中したとか報告しとけばいいんですよ?」
フィクサー「敵国の捕虜など生かしても弊害にしかならん。野蛮で低能な西の民となればなおさらだ?」
副官「そうそう。それに戦場での出来事に死因なんかいらんのですよ?
『〇〇人、死にました。以上!』でいいんです?」
ドレッド「あ、悪魔か…お前らは…!?」ゾクッ
ザワザワ ザワザワ
268: ◆WEmWDvOgzo:2015/10/18(日) 22:28:05 ID:8VYUmGqBd.
ブルブル ブルブル
ドレッド「ほ、本気か…?本当にやる気か…?」オロオロ
西の捕虜1「お、お待ちを!?俺達はあなた方に協力して…!?」
副官「では諸君、潔い敗残者の皆さんに惜しみない拍手を!」パチパチ
王国兵's「」パチパチ
パチパチ パチパチ
西の捕虜1「そ、そんな…話が違うじゃねぇか…!?」アワアワ
西の捕虜2「こ、厚遇を受けられるって……」ヘナヘナ
西の捕虜3「ほ、報酬は…?自由は…?」ガクンッ
西の城主「ざまぁみろ!裏切り者が!?」ペッ
西兵24「そもそも貴様らが加担しなければ、この砦が落ちる事もなかったんだぞ!?」ギシギシ
西兵25「王国の偽善者に魂を売った馬鹿共め!くたばってしまえ!」
ワァーワァーギャーギャー
副官「…ではお二人は先に城外へ?後始末は私が?」
フィクサー「頼んだぞ」パカラッパカラッ
ドレッド「(知ったこっちゃないと言えばそれまでだが…本当にいいのか…?)」シブシブ
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