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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


804: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:06:26 ID:/alaW15cT.
団長「陛下ぁ…!」ウルウル

ヒメ「わっ!?なんだ、おまえ、いたのか!?」ビクビクビクゥッ

団長「念願を果たせてよかったですなぁ…くぅぅ!再会の熱い抱擁、いたく感動致しましたぞ!」グシグシ

ヒメ「うっ…み、見てたのか?っていうか抱擁じゃなくて、こいつが一方的に……」

団長「そうは申されますが未だに抱擁を続けておられるではございませぬか!
まるで離れていた期間を埋めるかのように?」

ヒメ「妙な言い方するなっ!?」アタフタ

カロル「くっ付くのイヤだった…?」シュン

ヒメ「い、イヤとかじゃないけど…人目くらい気にしろよ?」ムスッ

カロル「あはは…ごめんなさい…?
ボク、昔はマルクしかともだちがいなかったから、いつもこうやってじゃれ合ってて…それがクセになっちゃってるのかも?」テレテレ

ヒメ「(オレは犬と同じ扱いか…。仮にも国王なのに)」フッ
805: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:07:48 ID:Qm.q8qFlDs
母「…」スタスタ

ヒメ「え?」パチクリ

母「うちの子がいつもお世話になってます?」ペコッ

ヒメ「こ、こちらこそ…仲良くさせてもらってます?失礼ですが…カロルの?」ペコッ

母「えぇ、母親のマリーと言います。坊やがさっそくご迷惑おかけしてしまったようですみません?」ニコニコ

ヒメ「い、いえいえ!滅相も!?」ブンブンッ

母「…国王様はずっと坊やを探してくれていたんですよね?」

ヒメ「ま、まぁ…はい」モジモジ

母「ありがとうございました…!」フカブカ

ヒメ「はい…!?」ギョギョッ

母「なんとお礼を言ったらいいか…」フカブカ

ヒメ「い、いや…だ、大丈夫です。頭など下げず、どうぞ楽になさってください?」オロオロ

母「お礼もそうなんですけど、どうしても…謝っておきたい事があるんです」スッ

ヒメ「……?」

カロル「……?」

団長「…まぁまぁ?何はともあれ、ひとまず席に着きましょうぞ?」

母「そうですわね…」

ヒメ「(な、なんだ、急に謝りたいって…?)」オロオロ
806: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:09:15 ID:/alaW15cT.
料理「」ズラァァァァァ

カロル「おいしそう!」ジーッ

団長「我慢せんか?まずは乾杯の音頭からだ?」

母「その前に…いいですか?」スクッ

団長「む?は、はぁ…構いませぬが?」

母「…国王様、あたしはあなたに謝罪しなければなりません」ジッ

ヒメ「お、覚えがないんですが…?」モジモジ

母「坊やが姿を消したのはあたしのせいなんです」

ヒメ「……!?」

カロル「……!」

団長「……」

母「…それだけじゃありません。あの巡礼の日、坊やがホビット族と結託して人間と戦ったのも…あたしがそうさせたからなんです」

ヒメ「…え?」チラッ

カロル「…お母さま」

母「いいの。真実を話さなきゃ…あたしの気が済まない」グッ

団長「詳しくお聞かせ願えますかな?」

母「はい…」

カロル「ちがうのに…」シュン

ヒメ「……」
807: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:10:55 ID:Qm.q8qFlDs
団長「つまり…戦いを終えた小童が迎えに来たが取り乱していた貴女はそれを拒んだ。
そして小童は母親である貴女を孤独にするまいと築き上げた物を全て捨てて共に静かに暮らす事を選んだ、ということでよろしいか?」

母「はい。あたしの身勝手で皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました。本当に申し訳なく思ってます」ズーン

ヒメ「……」

団長「…との事ですが、いかがなさいますか?」

ヒメ「そうだな…」ウーン

母「…許してもらえなくても構いません。どんな罰でも受け入れるつもりです」

カロル「お、お母さまが悪いんじゃないの!ボクが勝手に決めたんだもの!」アセアセ

ヒメ「……」

母「ただ…これだけは誤解しないでください。
坊やは片時だって皆さんの事を忘れたりしませんでした」

カロル「(ウソ…お母さまの前ではみんなの話しないようにしてたのに?)」パチクリ

母「…毎晩、寝言で恋しそうに皆さんの名前を呟いてましたもの」シュン

カロル「えっ」

ヒメ「……!」キュッ

団長「ふっ…」ニコッ
808: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:12:21 ID:/alaW15cT.
母「……」

ヒメ「ま、まぁご着席ください?足が疲れるでしょうから?」

母「すみません…」ストッ

ヒメ「な、なんて言ったらいいのかなぁ…。と、とりあえず僕は貴女にどうこう…というのは無いです!」

母「……」

ヒメ「…理由が分かって安心しました」

母「本当に申し訳ございません…」ペコッ

ヒメ「い、いえ…貴女が拒んだのもしかたないと思います。
その…事情というか、昔の話も宣教師から色々聞かされましたし?」

母「……!」

ヒメ「だから…その…そういう理由ならいいんです。気にしないでください?
というか探させたのも僕が勝手にした事ですし…貴女は何も悪くありません!」

ヒメ「むしろ気を遣わせてしまって申し訳ございませんでした」スクッ フカブカ

団長「へ、陛下…!?」

母「こ、国王様に頭なんて下げられたら困ります!?」アタフタ

ヒメ「…お許しいただけますか?」ジッ

母「ゆ、許すもなにも…あたしは……」

ヒメ「僕も同じように考えております?」ニコッ

母「え…?」

ヒメ「許すもなにもありません。貴女に罪はないのですから?」ニコニコ

母「……!」

ヒメ「乾杯に移りましょう?この楽しい時を費やしてしまうのは実に惜しい?」ニコニコ

団長「ふっ…では不祥、このワシめが年長者として取り仕切らせていただこう」スクッ

母「っ…!」ウルッ

カロル「……」ニコッ
809: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:15:14 ID:Qm.q8qFlDs
カロル「あっ…ん……う……」パクパク

ヒメ「その体躯でよく食べるなぁ…?」シゲシゲ

団長「我が屋敷でも大人3人分は平らげてしまうと妻が微笑ましく語っておりましたぞ?」

ヒメ「す、すごいヤツだな…」

カロル「おかわりしていい?」ペロリ

給支1「はい、まだまだございますのでお好きなだけ召し上がれ!」ガラガラ

ヒメ「まだ食うのか…」シラー

団長「小童よ、食事を楽しむのもいいが、あまり陛下を放っておくな?」

カロル「あ、そうだね!ごめんなさい?すごくおいしかったから夢中になっちゃって…?」

ヒメ「いいよ、別に?遠慮しないで食べろ?」

カロル「で、でも…ヒメくんとおしゃべりしたい」シュン

ヒメ「気にするなって?今日の予定は全部外しておいたから、まだまだ時間は余ってる?」

カロル「え!じゃあ一緒に遊びに行こうよ!また公園で遊びたい!」パァァ

ヒメ「外はダメだ。立場上、あんまり城以外を出歩いたりは出来ない」

カロル「そっか…」シュン

ヒメ「…それに今はおまえが勢いよく食べたり、団長や母君と雑談混じりに笑ってるのを眺めてるだけで落ち着くよ」シンミリ

カロル「? そ、そう…なの?」キョトン

ヒメ「あぁ、友人の元気な姿は見てて飽きない?」ニコッ

カロル「…うん。ボクもヒメくんが笑ってるとうれしいよ?」ニコッ

ヒメ「楽しんでくれよ?おまえの楽しみがオレの楽しみでもある?」ニコニコ

カロル「えへへ…ありがとう?」テレテレ

ヒメ「お母様もどうぞご遠慮なく?今日を最高の思い出にするつもりで王家のもてなしを堪能してください?」ニコニコ

母「は、はい…」

団長「うーむ!やはりヒメ様は器が大きくていらっしゃる!将来は歴代を凌駕する賢王となられるでしょうな!」

ヒメ「…当然だ!」キリッ

母「」クスッ
810: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:18:43 ID:/alaW15cT.
カロル「ごちそうさま!」

ヒメ「(普通は残す前提で作られる宮廷料理をまるごと完食した…!?)」マジマジ

団長「(どの皿も塵一つ残っておらん…)」マジマジ

カロル「おいしかったね。お母さま!」

母「えぇ、でもそんなにたくさん食べて平気なの?まだデザートが残ってるでしょう?」

ヒメ「デザート…!?」ギョギョッ

給仕1「え!もう出しちゃいましたよ!?ま、まだ作らせますか!?」アセアセ

団長「ご心配には及びませぬぞ!」ズイッ

ヒメ「は…?」

団長「小童がどうしてもとせがみまする故、土産を持参致しました!」パカッ

カロル「ふふ…!」ニコニコ

ヒメ「……あっ!それは…?」

団長「アイスキャンディにございます!」ジャジャーン

カロル「約束したの覚えてる?」ニコニコ

ヒメ「……あ、あぁ!」パァァ

団長「氷を敷き詰め、大事に保管しておきましたぞ!苺味と蜜柑味がございますがどちらになさる?」

ヒメ「ふん…聞くまでもないだろ!」ニヤリ

カロル「じゃあボク苺味!」ヒョイッ

団長「む?」

ヒメ「あっ…」

カロル「なぁに?先に取ったのボクでしょ?」ニコニコ

ヒメ「お、おま…おまえ…ぼ、僕がおやつはイチゴしか認めないのを知ってて…!?」ワナワナ

カロル「さっきいじわるされたから…おかえし?」ウインク

ヒメ「死刑だぁぁあああ!!!」ガタッ

母「えっ!?」ゾゾォッ

団長「気になさるな?陛下のお戯れにござる?」コショコショ
811: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:20:10 ID:Qm.q8qFlDs
ヒメ「このー!!そのアイスキャンディ寄越せ!!チビ!?」ダッ

カロル「やだよー!チビじゃないもん!」タタタッ

グルグル グルグル

団長「ワハハハハ!!」ケラケラ

母「あらあら…?」クスクス

給仕1「へ、陛下!救い主様!テーブルの周りを走り回ると危ないですよ!?」アタフタ

ヒメ「捕まえたぞ、このっ!!寄越せ、チビ!?」ガシッ

カロル「チビって言うからダメ…蜜柑味があるでしょ!」ググッ

ヒメ「うるさい!?イチゴ以外の物なんて食えるか!?」ググッ

カロル「じゃあチビって言うのやめてよ!」ググッ

ヒメ「チビはチビだろ!チビ、チビ、チービ!!」ググッ

カロル「っ……あむっ!」パクッ

ヒメ「あーっ!?」ガーン

カロル「あーおいしい?」シャクシャク

ヒメ「し、死刑!死刑だからなぁ!?」プンスカ

給仕1「あ、あんまり死刑、死刑って騒ぐと衛兵さん達が飛び出して来ちゃいますよ?」

団長「問題ない。何があろうと部屋には入るなと伝えてある」グビッ

給仕1「…ま、まぁルフィアス様がそばにいる限り、間違いなんて起こりっこないですもんね?」ヒクヒク
812: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:22:34 ID:Qm.q8qFlDs
ヒメ「イーチゴ〜…イーチゴ〜…真っ赤に熟ーれたイーチゴ〜…ほんのり酸っぱいイーチゴ〜…だから大好きイーチゴ〜…」イジイジ

給仕1「(変なの歌ってる…。陛下のこんなお姿見られる城の召し使いなんて私だけだろうなー)」

カロル「食べないの?」

ヒメ「どっかの誰かさんのせいでな!?」キッ

カロル「えー?誰だろー?」ニコニコ

ヒメ「くっ…!いいさ!僕は国王の権限で専用の苺畑を所有してるからな!いつでもどっさり取り寄せて食べられるんだ!」

カロル「いいなー!ボクにも分けてよ!」キラキラ

ヒメ「おまえになんか絶対やんないからな!」ドヤァッ

カロル「えー…たくさんあるんでしょ?1個でもダメなの?」シュン

ヒメ「あの農園のイチゴは土から肥料から栽培法まで徹底して研究された特別製なんだぞ!いいだろー?」

カロル「……」ジュルリ

ヒメ「羨ましいか?食べたくなってきただろ!」ニヤニヤ

カロル「うん!ちょうだい?」ニコッ

ヒメ「ぜーんぶオレのだよ!バーカ!?」ベロベロバー

カロル「……!」ウルッ

ヒメ「えっ」

カロル「」ウルウル

ヒメ「お、おい!貯蔵庫から持ってきてくれ!」アセアセ

給仕1「かしこまりました!」タタタッ
813: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:26:24 ID:Qm.q8qFlDs
カロル「……」

ヒメ「ほ、ほら!持ってこさせたから?な?」スッ

カロル「わーい!ありがとう!」パシッ パクッ

ヒメ「あ!?おまえ、さっきのわざとだな!?」

カロル「んぅー!あまーい!」キラキラ

ヒメ「くっ…い、いいけどさ!ほんっと、よく食うな!?」ブツクサ

母「ぼ、坊や…あんまりわがまま言っちゃダメよ?」オロオロ

団長「構いませぬよ。ああ言っておられるが…実は半年に一度、民への慰労と称して程よく実った特製の苺を城下で無料配布してらっしゃるのだ?」

母「そうなんですか…!?」

団長「うむ。我らが国王陛下は私利私欲という言葉から最もかけ離れた人物だ」

母「へぇ…どうりで?」

団長「む?」

母「いえ…様々な人里を渡り歩いてみると、とても大きな変化を感じましたけれど…この国王様が取り組んでたんだと思うと納得してしまいました?」ニコッ

団長「…そうであろうな。幼い頃より剣術指南役としてそばで見守ってきたワシにしてみれば…息子の成長を差し置いても誇らしく思うよ」ニコッ

母「こんなに素敵なお友達や仲間を作ってきたなんて…なんだか坊やが大きく見えるわ?」

団長「差別の激しい時代によくやったものですな」ウンウン

母「(その素敵なお友達と分かつ筈だった大切な時間を…あたしが奪ってしまったのね)」ズーン

団長「それもこれも…ひとえに貴女の教育の賜物と言えましょう?」

母「え?あ、あたし…ですか?」キョトン

団長「子は親を写す鏡であると、どこかで耳にしました。
良き親の下に良き子は育つ。貴女はもっと己を誇るべきだ?」

母「……!」

団長「誰も貴女を責めてはおらんよ。後ろ暗そうに俯く必要など一切ござらん?」

母「…ありが…とう……ございます」ウルッ

団長「うむ……」
814: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:29:41 ID:/alaW15cT.
〜〜〜夜〜〜〜

カロル「それでね!お母さまったら村人さんにボクのお姉ちゃんと間違えられたんだ!」

母「い、いいじゃない!別に!たまには若く見られることだってあるでしょう!?」アセアセ

ヒメ「ハハハハ!たしかに並ぶと姉弟に見えないこともないな?」クスクス

団長「陛下!そろそろお時間が…」ボソッ

ヒメ「…もうそんな時間か」フッ

カロル「え?」

ヒメ「話を切る形で悪いけど今日のところはお開きだ!」

カロル「もっとおしゃべりしたかった…」シュン

母「……そうね。名残惜しくなるわ?」ジッ

ヒメ「また今度、暇が出来たら招待してやるよ」フフンッ

カロル「うん!楽しみにしてるね?」ニコッ

ヒメ「……」

カロル「?」

ヒメ「…楽しかったか?」

カロル「うん、とっても!」ニコッ

ヒメ「ふふ…そうか?」ニコッ

カロル「…ヒメくん、どうかしたの?」

ヒメ「ん?なんで?」

カロル「ううん…。なんか…すごく寂しそうに見えたから」

ヒメ「ちょっとな…。まぁでも次があるし今日はもういいだろ?」

カロル「そうだね…」

団長「今晩はワシの屋敷に泊まらせ、明日の朝にでも宣教師の院まで送り届けましょう」

ヒメ「あぁ、そうしてやってくれ?じゃあカロルとお母様、またいつか?」スクッ

カロル「うん。またね!」

母「今日はありがとうございました」ペコリ
815: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:31:24 ID:/alaW15cT.
―――王宮(寝室)―――

ヒメ「……」ボーッ

ヒメ「…あいつ、本当に何も変わってなかったな」ボフッ

ヒメ「捜索を掻い潜ってきたのも避けられてた訳じゃなかったのか…ふふ」ニヤニヤ

ヒメ「……」

ヒメ「それにしてもなんでファルージャなんかがあいつを……」

ヒメ「はぁー…」ゴロン

ヒメ「癒しの力なんて…どうでもよくなるくらい、いいヤツなのに?
なんでどいつもこいつもあいつを追い詰めようとするんだよ…!」ギュウッ

ヒメ「……初めての友人がホビットで癒しの力を持ってる、か。めんどくさいのを選んでしまったかな」

ヒメ「…僕が守ってやらなきゃな。そうしないと…あいつはきっと誰にも頼らない」

ヒメ「僕が…まも……る…」ウトウト

ヒメ「」スヤスヤ
816: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:32:39 ID:/alaW15cT.
―――城(地下牢獄)―――

カツンカツン カツンカツン

政務官「……」ザッ

牢屋番1「ご苦労様です!」ピシッ

牢屋番2「ご苦労様です!」ピシッ

政務官「…開けろ」

牢屋番1「し、しかしこの先は誰も通してはならぬと陛下から……」

政務官「私に指図する気か?」ギロッ

牢屋番1「い、いえ…差し出がましい物言いでした」カチャカチャ

ガチャンッ ギィィィイイイイ

牢屋番1「どうぞお通りください」

政務官「」ゴソゴソ ポイッ ポイッ

牢屋番1「おっ!」パシッ

牢屋番2「ど、どうも?」ジャラッ

政務官「…いつもすまんな」カツンカツン

牢屋番1「いえいえ!お駄賃を頂いてますから!」ヘコヘコ

牢屋番2「こ、こちらこそ、いつも助かります?」ヘラヘラ

カツンカツン カツンカツン……

牢屋番1「しかし…いいのかねー?」ジャラッ

牢屋番2「受け取っちまった以上、報告する訳にゃいかんだろ?」

牢屋番1「へっ…まぁ小遣いになるからいいけどよ?」ヘッ
817: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:34:32 ID:/alaW15cT.
カツンカツン カツンカツン………

政務官「…起きているか?」

???「やあ、リルラ君?こんばんは……でいいのだろうか?
光の届かない地の底に埋もれていると昼夜の境も認識出来なくてね」

政務官「今は深夜だ…」

???「そうかね?では子供はもう寝る時間だ。どこかの幼き国王もぐっすりと夢を見ていることだろう」

政務官「……」

ガシャンッガシャンッ

政務官「」ビクッ

初老の女「だじでぇ…!おねがいよぉ…!?」ボロボロ

政務官「ちっ…!」

???「アリアス君も長い独房生活が堪えたのか、見る影も無くなってしまったね。知り合いとしては寂しく感じるよ」

政務官「…全ては貴方の思惑に従って進んでいる」

???「それはきっと誰よりも愛国心に篤い君の努力によるものだよ。さすがだと言わせてくれ?」

政務官「……」

???「…まだ僕が必要かね?」

政務官「……はい」ボソッ

???「他ならぬ君の頼みだ。協力は惜しまないが……君はそれでいいのかね?」

政務官「なにが…言いたい?」

???「いや、深い意味はないさ。あまり長居はさせられないからね。助言をしてあげよう?」

政務官「……」
818: ◆WEmWDvOgzo:2015/6/17(水) 23:36:53 ID:Qm.q8qFlDs
政務官「助言、感謝する。アントリア神官」

???(アントリア)「よしてくれないか?僕はとうに位を下ろされた罪人だ?」

政務官「では失礼…」カツンカツン

アントリア「良い夢を?」

カツンカツン カツンカツン………

アントリア「……」

初老の女「だじでよぉ…!?」ガシャンッ

アントリア「クックッ…」

アントリア「(出会った瞬間から彼は僕の操り人形だった…)」

アントリア「(自分で考える事は出来ても、自分で答えを出す事は出来ない。そういう風に作り替えてあげたのは僕だ?)」

アントリア「あの甘い甘い少年に一国の王が務まるとは考えにくい。
それを取り巻く彼らもまた無能……このままではいけない。誰かが助けてやらないとねぇ?」

『……貴方の意見を頂戴したい』

アントリア「…国王もアレを側近に据えてしまったのは大きな間違いだったようだ?」

アントリア「そして…僕を生かしておいた甘さも致命的…?」

アントリア「旧王国、影の支配者たるラーダ一族…僕を最期にその血は渇れるだろうが……」

アントリア「この独房から国を操り、最後に一花咲かせてみせるのも悪くはないかな?」

アントリア「クックッ…フハハハハハハハ!!!!」

ハハハハハハハ………
819: 遅くなってすみません ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:29:02 ID:pVDsoKENpE
〜〜〜1ヶ月後〜〜〜

―――ミラルドの町―――

ザッ

団長「着いたぞ」

ザワザワ ザワザワ

団長「ここはミラルド…田舎ではあるが、まぁそこそこの規模を誇る町だ」ウンウン

団長「この辺りは以前暮らしていた君達なら勝手知ったるといったところだろう。何も不安はあるまい?」クルッ

母「……」ズーン

カロル「……」ズーン

団長「?」

母「あたしたち…人間の町に馴染めるかしら」

カロル「みんな…許してくれるかな」

マルク「くぅーん…?」

団長「……」

ジロジロ ヒソヒソ

母「(視線で分かるのよね…。あの町人達の目は…あたしたちを受け入れてない)」

カロル「……」

団長「…うむ、わだかまりを消すには時を要するだろうな。
だが君達には強い味方がいることを忘れてはならん?」

「あ、いたいた?早かったじゃーん!」スタスタ

母「え…?」

カロル「あっ…」
820: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:30:21 ID:7U1LvGZmu.
ミシング「ヤッホー!迎えに来たよー?」

カロル「宣教師さまのおともだちだ!」パァァ

ミシング「だいせいかーい!相変わらずちっちゃくてかわゆいねー!撫でていい?」ニコッ

カロル「(ちっちゃくて…!?)」ガーン

ミシング「お母さんもはじめまして!院長代理のミシングでーす?」

母「ど、どうもはじめまして?」ニコッ

ミシング「そんな緊張しなくていいですって?リラックス!リラックス!」ポンポン

母「(宣教師様のお友達にしては…なんていうか、気さくな方ね…?)」ヒクヒク

ミシング「おっ!マルクちゃん!やっぱりカロルくん達といたんだー?
あんたまで突然いなくなっちゃうから、みんな心配してたんだよー?」ヨシヨシ

マルク「アンッ!アンッ!」スリスリ

ミシング「じゃれちゃって、もーかわいいな!あ、団長さん?」ヨシヨシ

団長「この二人をよろしく頼む」

ミシング「いいですよー!その代わり…」

団長「ん?」

ミシング「団長さんのお知り合いに渋味たっぷりのダンディー系なおじさまっていません?」ヒソヒソ

団長「…さ、さぁ?どうだったか?」

ミシング「もし心当たりがあったらー?紹介してほしいなーなんて?」キャピキャピ

団長「心当たりがあれば、な…?」オロオロ

ミシング「やっりー!ちゃーんと探しといてくたさいよー?このこのぅ?」ウリウリ

団長「あ、あぁ…承知した」

ミシング「本当は団長さん狙いだったんだけど…奥さんがいたなんて残念?」チラッチラッ

団長「(うーむ…この娘はどうも苦手だ)」ポリポリ

ミシング「まぁそんなのはさておき!早速、院に案内しちゃおっかにゃー!」ビシッ
821: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:32:50 ID:pVDsoKENpE
団長「ではワシはこれで失礼する…」

ミシング「えっ!?」

団長「二人を見守ってやりたいのは山々だが王都に戻らねばならんのでな」

カロル「…団長さん、帰っちゃうの?」

団長「うむ。ワシの付き添いもここまでだ。後は君達の好きなようにするといい?」

母「今までたくさんしていただいてありがとうございました…」ペコッ

団長「いやいや?責任を果たしたまでだ?」

カロル「団長さんがいなかったら、きっとみんなに会えなかった…。
ここまでずっと助けてくれてホントにありがとう?」

団長「礼などいらんよ?」ポンッ

カロル「へ…?」パチクリ

団長「…過ごした時間こそ短いものの、君達と共にした苦楽はワシの人生において何よりも濃密であった」ナデナデ

カロル「……」

団長「まだまだ問題は山積みだ…。この国も未だ変化の途上にある?
しかし…いずれは君達にも平等な暮らしが約束される。必ずだ?」

カロル「うん…!」パァァ

団長「月並みな台詞だが…元気でな?」スッ

カロル「団長さんも?」ニコッ

ミシング「ちぇー…もう帰っちゃうんだー?」ムスッ

団長「…さらばだ」スタスタ

母「お達者で!」フリフリ

カロル「またねー!」フリフリ

ミシング「……じゃ、あたしらも行こっか?」ニコニコ
822: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:36:01 ID:pVDsoKENpE
―――ミラルドの町(孤児院)―――

カロル「」ドキドキ

ミシング「ありゃ?カロルくん、大丈夫?さっきから動きがカチコチだよー?」

カロル「…!」ドキドキ

母「うふふ?坊やったら王様に会う時より緊張してるわ?」クスクス

ミシング「だーいじょぶだってば?さ、入っちゃうよー?」ガチャッ

カロル「う、うん…!」スタスタ

母「お邪魔します」スタスタ

マルク「わぅん!」ルンルン

バタンッ

ミシング「ただいまー」

ザザザッ

カロル「……!?」

母「あらま」

ルーボイ「やい、カロル!」

ナラ「…!」ブワァッ

ラム「おかえり?」ニコッ

カロル「る、ルーボイくん…!ナラ!ラムくん!?」ウルウル

ルーボイ「このっ…バッカヤロー!!」バッ

カロル「わっ!?」グイッ

ルーボイ「なにやってたんだよ!さんざん待たせやがって!?」グリグリ

カロル「い、いたっ…いたいよ!ルーボイくん!」アタフタ
823: ◆WEmWDvOgzo:2015/7/6(月) 22:40:56 ID:pVDsoKENpE
ナラ「ひ…んっ…えぐっ」ポロポロ

ルーボイ「ほら!お前が待たせるからナラが泣いてんだろ!?」ドンッ

カロル「わわっ…そ、そうだったの?」ヨロッ

ナラ「う…ぅん?うれ…しい?」ポロポロ

カロル「……?」

ナラ「カロル…かえってきた。ほんもの…だよね?」グスッ

カロル「……!」

ナラ「もう…どこにも…いかない、よね?」ジーッ

カロル「っ…!」ブワァッ

ルーボイ「はぁ…!?」

ラム「あーあ?」

カロル「ひっ…ん…うえぇぇん…!」ポロポロ

母「まぁ…?」ウルッ

ミシング「嬉しいに決まってるよ、そりゃ?」ニコニコ

カロル「ごめ…ごめっ…なざい…!」ポロポロ

ナラ「っ…んぅ…あやまらなくて…いいよ!」ダキッ

カロル「ひっく…ふえぇぇん!」ギュッ

ルーボイ「いちいち泣くなっつの!つかなにどさくさ紛れにナラに抱き付いてんだよ!?」ギャーギャー

ラム「それって焼きもち?」クスクス

ルーボイ「うるせぇ!そんなんじゃねーし!?」プンスカ

カロル「ホントに…ごめんね」シュン

ナラ「いい…よ。もう…いいの?」サスサス ポンポン

ラム「そうそう。帰ってきたんだから、それでいいんじゃない?」クスクス

ルーボイ「ちっ!しょうがねーな!許してやんよ?」フンスッ

カロル「ゔんっ…!ふえっ…ありが…と」グシッ

母「っ……」グスッ
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うpろだ
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