1スレ
少年「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10
2スレ
カロル「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10
―――あらすじ―――
それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました
しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました
そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです
戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました
布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました
それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします
562: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 22:47:48 ID:JWS0.T.mIE
―――聖堂(談話室)―――
ガチャッ
司教「し、司祭様!大変ですぞ!?」アセアセ
宣教師「グスッ……ど、どうし…ました?」グシッ
司教「……!?な、なぜ泣いておられるのですか?あ、あんた、まさかっ!?」キッ
団長「ま、まさかとはなんだ!ワシは何もやましい事などしとらんぞ!?」
宣教師「だいじょ…ぶです。どうかしたのですか?」グスンッ
司教「み、見張りの者から大勢のホビットが聖堂に迫るのを確認したと!?」
宣教師「えっ…!?」ギョギョッ
団長「な、なんだと!?」ガタッ
ダダダダダッ
憲兵7「団長!大変です!外から物凄い数の矢が降ってきました!?」
団長「くっ…例のホビット共か…!」ギリッ
司教「お、屋外に出ていた教団員や預け入れしている者達は皆、建物内に避難させるよう指示しておきましたぞ!」
団長「うむ、あとはワシらに任せろ!おい、泣いている場合ではないぞ!?」
宣教師「……!」グシグシッ
団長「中にいる者達のケアをしてやれ!突然の事でひどく混乱している筈だ!」
宣教師「は、はい!」バッ
憲兵7「団長!指示をお願いします!」
団長「うむ!行くぞ!」ダッ
ダダダダダッ………
563: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 22:53:09 ID:JWS0.T.mIE
―――聖堂(中庭)―――
ビュンビュンビュンビュン
ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ
憲兵8「くっ…!こ、これじゃ屋根下から出られないぞ?」
憲兵9「あいつら…なんでもいいから適当に矢を飛ばしてんだな!戦術も何もねぇぜ!」
憲兵10「あぁ!こんな無駄打ちしてちゃすぐに矢も切らすだろうさ!バカな奴らだ!」
憲兵11「くあっつ…!す、脛に刺さった…!」ドスッ
憲兵8「だ、大丈夫か、おい!?」アセアセ
憲兵12「一旦建物に籠ろうぜ!回廊や入り口の屋根下ですし詰めになってたら危なくてしょうがねぇ!?」
憲兵13「おい、後ろ!中に入れよ!前列が危ないだろ!?」グッグッ
団長「待てぇい!!」バンッ
憲兵's「」ビクッ
憲兵14「だ、団長!なぜ2階の窓から…!?」
団長「貴様らが出口を塞いでいるからだ!
そんな事よりも…無駄に固まらず壁際に散れ!」
憲兵15「こ、こんな矢が飛び交う中…移動なんか出来ませんよ!?」
ザスッ
憲兵16「ひっ!あぶなっ!?」
団長「まったく世話の焼ける奴らめ…!」イラッ
564: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 22:55:02 ID:t4n1WC4cYA
団長「矢の軌道をよく見てみろ!?」
憲兵17「は…?」
団長「外壁を越えて放たれた矢は壁の外側に刺さっているだろう!
下手に奥へ逃げ、屋根に隠れるよりも壁の内側に立った方が安全だ!」
憲兵's「」ハッ
団長「奴らの狙いは矢でワシらの身動きを制限し、正門を突破する事だ!あの音が聞こえないのか!?」
ドンッドンッ ドンッドンッ
憲兵18「も、門を破ろうとしてるのか…!?」ビクッ
憲兵19「や、矢に惑わされて全然気付かなかった…」
団長「このような迎撃体制も整わぬままの固まった陣形では突入した敵に成す術もなくやられるぞ!?
急いで門周辺の壁際に散り、待ち構えて迎え撃つ準備をしろ!?」
憲兵's「ははぁっ!!!!」ザザザッ
ビュンビュンビュンビュン
憲兵20「ぐわぁっ!?」ドスッ
憲兵21「ぎゃあああ!!」ドスッドスッ
団長「ぐぬっ…!」ギリィッ
ドンッドンッドンッドンッ
565: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:02:21 ID:JWS0.T.mIE
―――聖堂(礼拝堂)―――
修道子「うわぁぁぁぁん」ビエー
修道女「うん…!うん…!怖かったね?もう大丈夫だよ?」ナデナデ
教団員3「こ、ここに入ってきたらどうしよう…!?」ガクガク
教徒「しっかりしてくださいよ!僕達が不安になってどうするんですか!?」
ワァーワァーギャーギャー
宣教師「皆さん、お静かに!建物内には守衛の方々が残っていますし、外は憲兵団が対処に当たっていますから!」
司教「し、しかしまずいですな…。見張りの話では数にしておよそ400以上と聞きましたぞ…?」
宣教師「…団長さんを信じましょう。きっとなんとかしてくれます!」
司教「そ、そうですな!あの方ならば…!」
宣教師「皆さんは扉が開かれないように椅子と机を並べてください。
私は逃げ遅れた者がいないか通路を見て回ります!」スクッ
教徒「あっ!僕も行きます!一人じゃ危ないでしょうから!」
宣教師「ありがとうございます。では行きましょうか?」ニコッ
教徒「はい!あっ…」
宣教師「どうかなさいましたか?」
教徒「目、赤くなってますけど…なにかあったんですか?」ハラハラ
宣教師「…寝不足です」
教徒「あ、なんだ…。よかった?てっきり泣いてたのかと?」
宣教師「泣いたりなんてしませんよ?」クスッ
教徒「そうですよね!」
宣教師「(今は聖堂の皆さんを守る事に集中しなければ…ミシングたちの期待に応える為にも…)」グッ
566: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:05:15 ID:t4n1WC4cYA
―――聖堂(通路)―――
ギャーギャー ガタガタッ
聖堂のホビット1「いたっ…!」ドタッ
難民1「クソォ!!お前らよくも!?」ガッ
聖堂のホビット1「うっ!」グイッ
聖堂のホビット2「な、なにすんだよ!?」
難民2「お前らの仲間が攻めてきたんだぞ!しかも色んな町を襲った悪党共だ!?」
聖堂のホビット3「う、ウチらが何をしたって言うのよ!?」
難民3「言い訳すんな!!とんでもない事態に巻き込んどいて!?」
難民1「もう許さねぇ!!ホビットなんかぶっ殺してやる!!」バッ
聖堂のホビット1「」ビクッ
宣教師「お待ちなさい!!」ピシャリッ
難民1「あぁ!?……し、司祭様…!」ピタッ
聖堂のホビット1「司祭様ぁ…!」パァァ
宣教師「その子から手を離しなさい」
難民1「っ……!」グッ
宣教師「八つ当たりするくらいなら神にでも祈っていた方が100倍マシです」
難民1「くっ…」パッ
聖堂のホビット1「ありがとう!司祭様!」
宣教師「いいえ、お気になさらず?ここは危ないですから礼拝堂に避難しましょうか?」ニコッ
聖堂のホビット's「はーい!!!」
宣教師「あなた方も八つ当たりではなく身の安全を最優先してくださいね?」
難民's「………」
567: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:07:17 ID:JWS0.T.mIE
教徒「司祭様ー!」タタタッ
宣教師「はい?」クルッ
教徒「1階には誰もいませんでした!」
宣教師「そうですか。ご苦労様です。
こちらも避難させておきましたので3階と4階を見て回りましょうか」
教徒「僕が見ておきますよ!司祭様は最上階の展望台をお願いします!」
宣教師「ありがとうございます。ではお任せしますね?」
教徒「はい!窓は閉めてありますけど…矢が飛んでくるかもしれませんから気を付けてくださいね?」
宣教師「えぇ、なるべく窓の周辺は離れて歩きますよ。キミも危険な状況に遭ったら迷わず礼拝堂に戻るように?」
教徒「は、はい!司祭様もですよ!ムチャしないでくださいね!」
宣教師「心配には及びませんよ。私は臆病ですから?」クスッ
教徒「(物音とかには敏感だけど、いざとなると怖い物知らずで大胆な人だし心配だなー…)」ハラハラ
568: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:08:59 ID:t4n1WC4cYA
―――聖堂(中庭)―――
ドンッドンッ バァンッ バッカァァン!!
ザザザザザッ
憲兵7「あぁっ!?突入されました!?」
団長「焦るな!ワシの指示通り挟み撃ちにして迎え撃て!?」
憲兵's「ウオオオオ!!!」ダッ
ダダダダダッ
ガンッ キキンッ ボカッ ガンッ
イフィート「うおっ!?なんだ、こりゃ!?正門を突破した連中が止まったぞ!?」
シヴァ「ふん…矢に怯え、縮こまっていると踏んだが…それなりに冷静な人間がいたようだ」
谷のホビット1「ど、どうすんですか!?突入した仲間が出足挫かれてやられちゃってますよ!?」
谷のホビット2「前が足止めくらってつっかえちゃってるし一旦退きますか!?」
シヴァ「…儂が行く。長槍隊は後に続け」ザッ
イフィート「よっし!こん棒隊!一旦下がれ!!」
ザザザザザザザッ
憲兵7「ハハハ!奴ら恐れを成して退きましたぞ!?」
団長「…正門から距離を取って構えろ!!何かする気だぞ!?」
憲兵7「え?」
569: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:13:53 ID:JWS0.T.mIE
ビュビュビュビュビュン
憲兵8「う、うわっ!ちょっまっ…うわああああ!?」
ザクザクザクザクザクッ
ギャアアアアアア グワアアアアアアア
谷のホビット4「やったぜ!」ヒーハー
谷のホビット5「シヴァさんの言った通りだ!あいつら短い獲物しか持ってねぇから長槍で突っ込んでやったらひとたまりもないぞ!」
シヴァ「ふむ…道は開けたな。イフィート!儂らに続け!?」
イフィート「おうよ!こん棒隊!やっちまうぞ!?」ダッ
ドドドドドドッ
団長「な、なんという事だ…!」ギリッ
憲兵7「だ、団長!奴ら違う武器で攻めてきましたよ!
あんなの出されたら警棒しか装備してない我々では太刀打ち出来ません!」
団長「弓、槍、こん棒……幾分か頼りないが実に練られた配備だ。
長距離、中間距離、短距離、全ての戦術に通用する武器を備えておる」
憲兵7「感心してる場合じゃないですって!?」
団長「(こん棒と弓はそれぞれ木製か…。長槍も木製だが刃先は石器類だな)」
ザクッ ゴスッ バキッ
団長「(しかしあの威力…容易く骨を砕く上に重量感もなく非力なホビットでさえも扱える…どうなっているんだ?
あの長槍にしろ…石の刃でありながら銅製にも劣らない鋭さはいったい…?
…いや、ホビットは元々自然界を生き抜く知恵と野生を持ち合わせた種族。未知の武具を用意していてもおかしくはない)」
団長「(…憲兵程度ではとても食い止められんな。備えが浅かったか)」
憲兵7「団長!団長!?どうするんですか!?このままじゃ……」
団長「(だが…ナメるなよ?)」ガッ
憲兵7「!? な、なにしてんですか!?窓に身を乗り出したら危ないですよ!?」
団長「はぁっ!!」バッ
憲兵7「わああああ!!!わっわあああ!?に、2階ですよ、ここ!?」アタフタ
ストッ
憲兵7「ひぃぃっ……ん?うわあスゲー!?軽々着地したよ、あの人!?」ギョギョッ
570: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:17:41 ID:JWS0.T.mIE
―――聖堂(正門前)―――
ワラワラ ワラワラ
旅のホビット1「これはまた物凄い行列ですね?」
旅のホビット2「数百人のホビットが並んでるぞ?」
カロル「みんなも宣教師さまに会いに来たのかな?」ワクワク
母「きっとそうよ?あたし達も並びましょ?」
旅のホビット3「…なんか下着みたいな格好ばっかり」ジーッ
谷のホビット16「ん?お前ら、武器も持たずに何してんだ?」
旅のホビット1「武器…?」
谷のホビット21「ったく!なにすっとぼけてんだか!聖堂を攻め落とすのに武器がないじゃ始まらねぇだろうが?」
旅のホビット2「攻め落とす?なんだ、それ?僕達は……」
谷のホビット22「これだから新参は…お前ら、ちゃんとシヴァさんの話を聞いてなかったのか?」
カロル「」ピクッ
母「……!」ハッ
谷のホビット21「この聖堂に集まってる同族を仲間に引き入れりゃ数がグッと増すからな。
ムカつく教団をぶっ殺すついでに勢力を拡大しに来たんだよ」
谷のホビット22「しっかし前がつっかえてんだよなぁ。まだ入り口で足止めくってんのかな」
旅のホビット3「も、もしかして…」
旅のホビット1「た、たぶん…噂になってる同族たちかも」
旅のホビット2「ど、どうすんだよ…!こんな事になってんなら司祭様に会えないぞ…!?」
カロル「すいません!通してください!」スッ
谷のホビット23「お、勇ましいな、ボウズ?でもダメだ?シヴァさんの指示を待ちな?」
571: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:22:26 ID:JWS0.T.mIE
母「ま、待ちなさい、坊や!なにする気なの!?」ガッ
カロル「やめさせなくちゃ!」
母「け、けど…この群衆を掻き分けて入るのなんてムチャよ?中で食い止めてる人達がいるんでしょ?その方達に任せましょ?」アセアセ
旅のホビット1「そ、そうですね。僕達は一旦引き返しましょう!」
旅のホビット2「その方がいいな。バレたら巻き込まれそうだし?」
旅のホビット3「で、でも司祭様が危ないよ…!」アセアセ
カロル「…あ、そうだっ!」ピカーン
マルク「わう?」
カロル「ねぇねぇ、おじさま」チョンチョン
谷のホビット23「ん?気持ちは分かるが待てって?まだお呼びが掛かってないだろ?」
母「ぼ、坊や…!なにしてるの…!?こ、ここを離れるわよ…!?」コショコショ
カロル「あのね、ボク癒しの力持ってるよ?」
谷のホビット23「はいはい、分かったからおとなしく……んなにぃっ!?」バッ
ザワッ ジロジロ ヒソヒソ
母「坊やぁぁ!?」ヒョエー
カロル「シヴァさんの事も知ってるよ?」
谷のホビット23「う、嘘じゃねぇだろうな?」ジロッ
母「う、嘘です!嘘!そうよね、坊や!ほら、ごめんなさいは!?」アタフタ
カロル「ホントだよ?だからおねがい?前に行かせて?」
谷のホビット23「…おい!シヴァさんの探してた例の子供だ!通せ!?」
ザザザッ
旅のホビット1「うわっ!み、道を空けましたよ!?」
旅のホビット2「い、癒しの力って本気で言ってんの!?だってあれは教団が……」
旅のホビット3「う、嘘が分かったらどうなるか…?」オロオロ
カロル「へいき。ウソじゃないもん」
母「〜〜〜!!」ワナワナ
572: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:25:21 ID:JWS0.T.mIE
カロル「じゃあ行ってくるね!」スタスタ
母「……!」ガッ
カロル「え…?お、お母さま…?」グイッ
母「なんで勝手なことするの!?」
カロル「」ビクッ
母「たまにはお母さんの言う事も聞いてちょうだい!?あなたが心配だから止めてるのよ!?」
カロル「ご、ごめんなさい…」シュン
母「なんでいつもムチャして心配させるの…!?あたしがそんなに信じられない!?」
カロル「そ、そうじゃないよ!」アセアセ
母「なんでなのよ…?あたしが…どれだけあなたを大切に思ってるか…」フルフル
カロル「…分かってるよ。ボクはお母さまに愛されてたから、ずっと幸せでいられたんだもの」
母「……」
カロル「でも後悔したくないの。お母さまがボクを大切にしてくれるのとおんなじで…ボクにも大切なものがあるから」
母「っ…」
カロル「ボクにできることがあるならしておきたいんだ?
ダメでも…よくないけど…なにもしてあげられないよりいいもんね?」ニコッ
母「だからって自分から危険に踏みいるのは違うでしょ!?」
カロル「…宣教師さまも聖堂のみんなも怖い気持ちでいっぱいだと思う。
シヴァさんたちだって…ホントは別のやり方があったはずだよ」
カロル「…あの時にボクがなにか少しでも変えられてたらよかったのに…怖くなって逃げちゃったから」
母「しかたないじゃない…。あんな状況、どうにかできたと思う?」
カロル「思わない…かな。だから逃げたんだもの」
母「じゃあ分かるじゃない!?今もそうよ!?あなたが割って入ってみても…何も変わらないわ!!」
カロル「それでも…すごく胸が痛いの。ツラいよ…」ギュッ
母「……!?」
カロル「変わらないって決め付けて…シヴァさんたちを止められなくて…たくさんの人間が殺されて…ここでまた同じことをしたら…もう……ボク…」
母「…そうじゃ…ないでしょうっ…!?」
573: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:31:28 ID:t4n1WC4cYA
母「そんなの…ただの自己満足よ。何度も…何度も…!」プルプル
カロル「お母さま…」
母「あたしは何度も…そのまっすぐな気持ちを止められなかった事を悔やんできたの!
あの日…燃え盛る集落で夫があたし達を庇って兵隊に立ち向かって…!?
もちろんその時も止めたわ…?でもあの人は聞いてくれなかった…!
あの人はあたし達を守れて満足かもしれないけど、あたしはちっとも喜べないじゃないの…!」ウルッ
カロル「……」
母「あたしだって後悔したくないから…だから何度も必死に止めてるんじゃない!?
それなのにどうじて…!あ…なたも…夫も…どうして勝手に決めてしまうの…?」ポロポロ
カロル「そう…だったんだ…。ごめんなさい。わがままばっかり言って…」
母「そうよ…!あなたも夫もわがままだわ…!?あたしの気も知らないで…」グシッ
カロル「でも行くよ。まだ諦めたくないから…」
母「っ…なによ、あたしなんか…どうだっていいのね」ポロポロ
カロル「ううん?ボクはお父さまの子だもの…。大好きなお母さまを悲しませたくないよ?」
母「…嘘よ!それなら…思いとどまってくれないとおかしいじゃない…!?」キッ
カロル「ボクも後悔しないし、お母さまも後悔させないようにがんばる…。だからもうちょっとだけ…わがままでいさせて?」ニコッ
旅のホビット1「」ジーン
旅のホビット2「な、なんかよく分からないけど聞き入っちゃった…」ウルウル
旅のホビット3「う、うん…。邪魔できないっていうか…しちゃいけない雰囲気だったよね」タジッ
谷のホビット23「お、おうおう…そうだ、そうだ!い、いいから行けよ!?いつまで道空けさせてんだ!?」
カロル「…はい。じゃあ…またね?」チラッ
母「……もし後悔させたら…一生許さないから」プイッ
カロル「……」オロオロ
母「笑顔で…帰ってきてね?あの時みたいに…安心させて…?」グズッ
カロル「」パァァ
母「約束…よ?」グシッ
カロル「うん!約束するよ!ボクがんばるから…お母さまもギュってしてね?」ニコッ
母「えぇ…いくらでもしてあげるわ?」ニコッ
574: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:35:14 ID:t4n1WC4cYA
―――聖堂(中庭)―――
団長「ハァァァァアア!!!」ビュバッ
ガンッ ドガッ ズダァンッ
谷のホビット5「ぐわぁっ!?」ドタッ
谷のホビット6「な、なんだ、こいつ?めちゃくちゃ強いぞ!?」ビクビク
憲兵9「だ、団長!」パァァ
団長「…ワシはこいつらとは一味違うぞ?歯向かう気ならば、死を覚悟してからこい!!」ジャキッ
ザワザワ ザワザワ
谷のホビット8「な、なんだよ、あのオヤジは…!いきなり出てきて同胞を次々ぶっ飛ばしてるぞ…!?」
谷のホビット1「し、しかもあいつだけ剣なんか持ってますよ…!」
イフィート「へっ!構いやしねぇ!袋叩きにしちまえ!」バッ
ドドドッ
団長「…ふん。身の程知らずが?」ダッ
谷のホビット9「らぁぁ!!」ブンッ
谷のホビット10「死ねぇぇ!!」ビュッ
団長「むんっ!!」ガッ バキッ
谷のホビット9「ぎゃっ!?」ドタッ
谷のホビット10「あっ!くそっ!槍を掴まれた…!」グッグッ
谷のホビット11「このぉ!!」ダッ ブンッ
谷のホビット12「くたばれ!?」ブンッ
団長「ふん…ぬあっ!」ブォンッ
谷のホビット10「おっわったっ…ひぎっ!?」ヒューン ゴチンッ
谷のホビット11、12「ぶがっ!?」ゴチンッ ゴチンッ
バタバタ
イフィート「っ…!?や、槍を掴んで同胞ごとぶん回しやがったぞ…!?なんちゅー馬鹿力だ!?」
シヴァ「……」
575: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:37:45 ID:JWS0.T.mIE
団長「こん棒を使う敵はお前たちで相手しろ!長槍はワシが引き受けた!!」
憲兵's「はっ!!」
団長「なりふり構うな!大網、革手錠、投げ縄、使えそうな物はとにかく活用しろ!!」
憲兵's「ははぁっ!!」ダダダッ
ワァーワァー ワァーワァー
ガッ ビシッ バキッ ボカッ ガンッ
イフィート「お、おい!シヴァ!?」
シヴァ「……」
イフィート「なんとかしろよ!?あの野郎が加わってから敵がヤル気満々になっちまったじゃねぇか!?」
谷のホビット1「し、敷地内にいる同胞はせいぜい150くらい…敵も同じくらいいますからヘタしたら…!?」アワアワ
シヴァ「…退く訳にはいかぬ」ザッ
イフィート「ったりめぇだ!だからなんとかしろってんだよ!?」
シヴァ「接近戦では分が悪い。外に待機させてある弓隊を呼べ」
イフィート「お、おう!!」ダッ
ビュッ ビュッ ビュッ ビュッ
団長「」シャッ ビュバババッ
ポトッ ポトッ ポトッ ポトッ
谷のホビット13「な、長槍が切られた…!?」アワアワ
谷のホビット14「一斉に攻撃してるのに…なんで!?」アワアワ
団長「ふん…。バカの一つ覚えみたいに単調な刺突を繰り返したところでワシには通用せん?」チャッ
谷のホビット15「く、くっそっ…!」ワナワナ
団長「棒切れ遊びはおしまいか?それでは…そろそろ本気でいかせてもらうぞ?」ジリッ
谷のホビット's「うぅ…!」ブルッ
576: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:40:29 ID:JWS0.T.mIE
ズダダダァンッ
団長「どうした!もう終わりか!?」ジャキッ
憲兵9「ははは!どうだ、団長にかかれば、ザッとこんなもんさ!?」ドヤァッ
団長「む?なぜお前が威張るんだ…?」
谷のホビット's「」オロオロ
シヴァ「長槍隊、退けぃ!!弓隊、並べ!!」
ザザザッ バラバラ
団長「」ハッ
イフィート「へへっ!さすがに矢には敵わねぇだろ!?サボテンになりやがれ!?」ゲラゲラ
団長「(ま、まずいな…。あれだけの手勢に一斉掃射されてしまえば…いくらなんでも防ぎようがない!)」ギリッ
シヴァ「……」サッ
弓使い's「」グググッ
団長「(ここまでか…!)」
シヴァ「はな……」
「やめてっ!!」
ザワッ
シヴァ「?」クルッ
イフィート「あぁ!?誰だ、今言ったのは!?」クワッ
「ごめんなさい!通して!?」ギュゥギュゥ
ザワザワ ザワザワ
577: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:41:52 ID:JWS0.T.mIE
シヴァ「」ハッ
団長「あ…あ……!?」ワナワナ
カロル「シヴァさん!もうやめて!こんなことしたら娘さんが悲しむよ!」
シヴァ「…少年」ジッ
イフィート「へっ…誰かと思えば?」ジロッ
団長「こ、小童!小童なのか!?」
カロル「あ、団長さんだ!久しぶり!」パァァ
団長「生きていたのだな…!そうか…そうかっ…!」ウルッ
カロル「…どうしたの?」キョトン
シヴァ「構わぬ。弓隊、放て」
ビュビュビュッ
カロル「あぁっ!!」
憲兵9「団長!?」
カッカッカッ キンッ ザスッ
団長「ふっ…ハハハハハ…!」タラー
イフィート「は、はぁ…!?あ、あんだけの矢を……剣一本で弾きやがっただとぉ…!?」ギョギョッ
団長「やっとヒメ様に良い報告が出来るというものだ…。ここからのワシは更に手強いぞ…?ハハハハハ!!!」
シヴァ「…急所は外したが左肩を射抜いた。次の射撃は防げぬだろう」
イフィート「そ、そうか!?何発でも射ちゃいいんだ!?うっし!弓隊……」
団長「させるかぁ!?」ダッ
憲兵9「だ、団長に続け!!」ダッ
ドドドドドッ
弓使いのホビット1「わ、わわっ…!?」アタフタ
イフィート「や、やべぇ!次の矢がまだ準備出来てねぇぞ…!?」
シヴァ「長槍隊!こん棒隊!食い止めろ!!」サッ
カロル「あ、あう…どうしよう…?」アセアセ
578: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:44:10 ID:t4n1WC4cYA
ワァーワァーギャーギャー
ガガンッ バコッ ドカッ ビシッ
憲兵9「くらえ!この野郎!?」ブンッ
谷のホビット23「あだっ!?」ボカッ
憲兵10「団長!どうぞお先に!」ガッ
憲兵11「なんとか我々で道を切り開くんだ…!」ガガッ
団長「その必要は…ないっ!!」バッ
谷のホビット1「と、飛んだ…!?」ギョギョッ
ワァーワァーギャーギャー
団長「」ストッ
イフィート「と、飛び越えて来やがった…どうなってんだ、ちくしょうめ!?」ギリッ
弓使いのホビット1「じゅ、準備が整いました!」
イフィート「おっ!?そうか!?」パァァ
カロル「ダメっ!!」バッ
イフィート「はぁ!?なにしてんだ!?邪魔だからどけ!?怪物オヤジと一緒にサボテンになりてぇのか!?」
カロル「ここで射ったら戦ってる仲間にも当たっちゃうよ!?いいの!?」
イフィート「うっ…!」チラッ
ワァーワァーギャーギャー
弓使いのホビット1「ど、どうします!?」
団長「どうもこうもなかろう」ザッ
弓使い's「」ビクッ
団長「この距離まで来ればワシの間合いだ。防げずとも…最初に弓を引き絞った者を狙い殺すくらいは出来る」ギロッ
弓使い's「」ブルブル
団長「さぁ引いてみせろ?死と引き換えにワシの命を奪うがいい!?」カッ
弓使い's「……!?」ガクガクブルブル
579: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:45:58 ID:JWS0.T.mIE
イフィート「シヴァ!シヴァ!?」
シヴァ「……」
谷のホビット1「だ、黙ってないでなんとかしてくださいよ!?」
団長「小童!!離れていろ!?そこにいては格好の的だ!?」
カロル「…や、やだ!」ブルブル
団長「お前に死なれたらヒメ様に合わせる顔がない!!中に避難している宣教師にもだ!?」
カロル「せ、宣教師さま…!やっぱり宣教師さまもいるの!?」
団長「あぁ!!あの娘も…ヒメ様も…友人たちも…皆、お前を待っている!!」
カロル「みんなも…?」
団長「そうだ!!だから…こんな所で命を張るな!!自分の身を一番に考えろ!?」
カロル「っ……でも…」
ビュンッ
団長「ぬっ!?」サッ
シヴァ「ふむ…かわしたか」スッ
団長「ちぃっ…!先ほどから指示を出しているが…首領は貴様か!?」ギリッ
シヴァ「手負いの獣一匹だ。儂とお前で仕留めるぞ」
イフィート「…やるっきゃねぇな」ザッ
カロル「もうやめてよ!意味ないよ…こんなの!」
シヴァ「…ここを滅ぼし、同胞を引き入れた暁には大樹へと赴き、君の力で果実を実らせる」ジッ
カロル「……!」タジッ
シヴァ「我らの復讐は終わらぬ…。永遠にだ!?」ビキィッ
カロル「そ、そんなの…絶対にさせないもん!!」キッ
580: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:47:47 ID:t4n1WC4cYA
―――聖堂(展望台)―――
見張り1「…下はとんでもない事になってるな」
見張り2「あぁ…まだ中に侵入されてないが時間の問題かもな。
外壁に囲われた中庭で食い止めてるから今のところ数の差がそんなに出てないけど…門の外には所狭しとホビットの群れがひしめいてる」
見張り1「…とてもじゃないけど勝てないよ」
カツンカツン
見張り1「ん…!?誰か階段を上がってくるぞ!?」クルッ
見張り2「ま、まさか憲兵の目を盗んで侵入してきたんじゃ…!?」ビクビク
宣教師「ご苦労様です?」カツンカツン
見張り1「し、司祭様!?」
見張り2「ど、どうしてここに!?」
宣教師「あなた方も礼拝堂に避難なさってください。ここは危ないですから?」
見張り1「し、しかし……」
宣教師「見張りが必要でしたら私が代わりに見ておきましょう。どうぞ遠慮なく?」
見張り2「司祭様を危険な場所に置いて避難なんて出来ませんよ!?」
宣教師「司祭ではありません。宣教師です」
見張り1「は?」キョトン
宣教師「本当にいいんですよ?私に構わず避難してください?」
見張り2「…そ、そういう訳にもまいりませんよ」
宣教師「心配なさらずとも私も後から避難しますよ。
とりあえず下の様子を見ておきたいので申し訳ありませんが場所を譲っていただけますか?」ニコッ
見張り1「…そ、それなら」
見張り2「司祭様に頼まれちゃ…しょうがないか」
宣教師「ありがとうございます?」ニコニコ
581: ◆WEmWDvOgzo:2015/3/17(火) 23:49:47 ID:t4n1WC4cYA
宣教師「……」ジーッ
ワァーワァーギャーギャー
宣教師「っ……!」ギュゥゥッ
宣教師「…えっ」
宣教師「……!?」
教徒「あ、やっぱりいた…!?」カツンカツン
宣教師「〜〜〜!!」グッ
教徒「し、司祭様!いつまでそこにいるんですか!?
もう全階回りましたから僕達も避難しましょうよ!?」アセアセ
宣教師「こうしてはいられません!!」ダッ
教徒「えっ」
宣教師「」ダダダッ
教徒「あ、あぶなっ!?」ササッ
宣教師「」カツンカツン
カツンカツン カツンカツン………
教徒「ど、どうしたんだろ…?あんなに慌てて……」
教徒「」ハッ
教徒「(も、もしかしたら中庭に出るつもりじゃ…!?)」
教徒「お、追わなきゃ!?」カツンカツン
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