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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


507: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:12:51 ID:2wdwrIx/L.
政務官「じきに必要なたしなみとなりましょう。陛下もそろそろ自国のパーティーに出席なされては?」

ヒメ「あのバカ貴族共とか?苦痛でしかない!」

政務官「貴族だからと一括りに侮ってはなりませんぞ。
多彩な教養を受けているだけあり、知識に富んだ方も多くおられる。
特に代々続いている名家ともなれば、その見聞は非常に優れ、世界情勢や流行にも詳しいので外交の上でも役立ちましょう」

ヒメ「近付いてくるのが俗っぽいのばっかだからなぁ…」

政務官「それは残念だ…。では話を戻しましょう。
東の国も外交官伝いでしたが同じく良好な関係を保てそうで……」

ヒメ「うっ…東の国王か」

政務官「…なにか?」

ヒメ「途中で隣の席に着いたんだけど…なんだ、その……妙に肩や腰に触れてくるし息も荒かったし…だらしのない顔で、なんていうか…」ウーン

政務官「でしょうな」

ヒメ「ん?なんか知ってるのか?」

政務官「あのお方は小さな男児を愛でる性癖の持ち主でしてな。美少年だけで構成された東の国の聖歌隊などは有名です?」

ヒメ「……冗談だよな?」

政務官「本人は隠しているつもりでしょうが、いかんせん爪が甘く…。
噴水に全裸の美少年が小便をしているサマを模した像を造らせるなど、異常性癖が各国に筒抜けになっているので、たびたび話題に上がりますな」

ヒメ「……」ドンビキ

政務官「あぁ、そうだ?今度、是非二人きりで食事会をとのお誘いが?
良い機会です。そろそろ陛下も自ら国家間の親善活動に取り組むべきでしょう。
東の国は石膏技術が盛んで町々を繋ぐ道も我が国のように土壌の畦道ではなく、ストーンパネルと呼ばれる石床を敷いた通路に……」

ヒメ「ちょっ…政務官、ちょっと黙れ」

政務官「いかがなさいました?」

ヒメ「まだ整理出来てない。ていうか冗談だろ?」

政務官「はて?冗談?」
508: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:16:40 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「うん。なんかその…性癖?おかしくないか?
国王ってあれ爺さんだろ?それとも立派な髭蓄えたお婆ちゃんなのか?」

政務官「陛下こそ、ご冗談を?どう見ても男性でありましょう?」

ヒメ「……その、なんだ、つまり、あれか?」シドロモドロ

政務官「重責を負うと色々と不自由になりますしな。
国王ともなればなおさらだ。趣味に夢中になってしまうのも致し方……」

ヒメ「変態、なのか?」オソルオソル

政務官「平たく言えば?」

ヒメ「……じゃあ気安く触れてきたのは…そういうことなのか?」

政務官「収集した情報によりますと東の国王は世界初の"少年王"誕生記念祝典を企画しておられ、画家と彫刻家と建築士を集めて彫像を造る計画を進めているとか」

ヒメ「そんな気色悪い彫像なんか造らせるか!?即刻、抗議しろ!?」ゾゾゾッ

政務官「いや愛されてますな、陛下。おそらくは会食の日を予定しておられるでしょうから祝典にもお呼ばれされるかと。
東の王の好みに関する情報も収集済みですので当日のお召し物は一流の仕立て屋に依頼しておきました」

ヒメ「まてまてまてまて!?なに勝手な事言ってんだよ!?断るに決まってるだろ!?」

政務官「なにをおっしゃる?向こうから親交を計らってくださっているのですぞ?」

ヒメ「願い下げだ!だいたい…東の王妃はどう思ってんだ?」

政務官「東の王妃は生粋の少女愛好家でしてな。
互いに割りきっておられますし、趣味に夢中ですので円満な夫婦関係を保てているそうで?」

ヒメ「ひ、ひ、ひが…東の国は無法地帯か!?西のファルージャがまともに思えてきたぞ!?」

政務官「西の国とは大いに異なる?東の国は至って健全な国家ですとも?」

ヒメ「どこがだ!?」
509: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:19:45 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「ていうかなんでオレなんだよ!?中性的でもないし、愛嬌もないぞ!?」アタフタ

政務官「まぁ子供ならではの愛嬌やあどけなさとは無縁ですな…。
私はそういった趣味は持ち合わせておりませんので理由は分かりかねるが…?」

ヒメ「そんな気持ち悪い奴と食事なんか出来るか!?」

政務官「……」ジーッ

ヒメ「な、なんだよ?」タジッ

政務官「陛下が着任なされて早2年にもなりましょうか。そろそろ自覚をお持ちいただかねば?」

ヒメ「自覚…してるよ。オレだっておまえに負けないくらい頑張ってるつもりだ」

政務官「本来であれば貴族を毛嫌いし、交流を拒むなど、とんでもない話ですぞ?
上流層の人間は少なからず国に貢献を重ねた功労者であり、国の財政にも大きく影響を及ぼす重要人物達なのです?」

ヒメ「……」

政務官「ただでさえ今は伝承の偽りを公にし、国内外から糾弾を受けているのです。
信用を取り戻し、確固たる協力関係を築かねばならない状況で他国の王からの誘いを断るなどありえませんな!」

政務官「もしこの状況を西の国が知れば…よもや遠慮はしますまい。
貿易など破棄し、根こそぎ奪おうと侵攻を開始するでしょう」

ヒメ「……分かってる。だから…おまえに一任して…」

政務官「私ではなく陛下!貴方が先頭に立っていただかねば!
最後に評価基準となるのは王の器!配下がいかに能力を示そうと諸国は認めないのですよ!?」

ヒメ「っ……」

政務官「王国の権威を示し、対等な国家として渡り合えるよう、私も身を削って各地を飛び回っているのです。貴方にも努力していただきたい」

ヒメ「…分かったよ。東の国王との食事も行くし、パーティーにも顔を出すようにする」シュン
510: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:23:26 ID:2wdwrIx/L.
政務官「…それからもう一点、申し上げたい懸念事項がございます」

ヒメ「ま、まだあるのか…?」オロオロ

政務官「陛下が捜索している、あのホビットについてですが」

ヒメ「カロルがどうかしたのか…?」

政務官「諦められてはいかがですか?
憲兵団の人員も不足している訳ですし、無駄な労力だ…?」

ヒメ「そ、それとこれとは…」

政務官「2年ですぞ?あれから2年?いい加減に気付いておられるのでは?」

ヒメ「…で、でも!南の領土の港町で見つかってるし、南西の山脈で山間の村から目撃情報も届いて……」

政務官「無駄ですよ、無駄?無意味?不毛?不要?価値のない労力?
貴方が気に掛けるべきは…そんなどうでもいい事ではない?」

ヒメ「なっ…!」カッ

政務官「この国は貴方に懸かってるのですぞ!!」カッ

ヒメ「」ビクッ
511: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:24:50 ID:2wdwrIx/L.
政務官「確かに巡礼の内乱では…例のご友人に多大なる恩を受けました。
しかしそれも今となってはどうでしょうな?」

ヒメ「なにが…だよ!」ワナワナ

政務官「何も告げずに姿を眩ませ、ことごとく捜索の手を掻い潜り、挙げ句の果てには海に飛び込んでまで逃走……はたして貴方と彼の間に友情は残っているのやら?」

ヒメ「……!」ググッ

政務官「本気で友情があるなら、なぜ姿を消した?なぜ逃げ回る?」

ヒメ「事情が…あるんだ。きっと…しかたのない事情が……」

政務官「ありませんよ。そんなもの?」

ヒメ「」ピシィッ

政務官「事情があるなら伝えておけばいい。それすらしないのはつまり…その程度の関係でしかないと」

ヒメ「あいつはそんな奴じゃない!?」ガタッ

政務官「……」

ヒメ「っ…い、一緒に戦った僕には分かる。そんな奴じゃないんだ」

政務官「…よほど信頼しておられるのですな?」

ヒメ「お、おまえは…よく知らないだろうけどさ。本当に違うんだ…。あいつは他の奴とは違う。
僕に媚びたり、愛想笑いしたり、嘘を付いてまで仲の良いフリなんかしないんだよ…」

ヒメ「バカじゃないのかって思えるくらい素直で世間知らずだしさ…。
自分の事はないがしろにするクセに他人には『自分を大事にして』とか言ってるようなお人好しなんだぞ…?」

ヒメ「だから…なんだろうな。ありきたりな表現だけど…いい奴なんだよ。すごく…いい奴だ」

政務官「…いい奴、ですか」
512: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:27:36 ID:2wdwrIx/L.
政務官「巡礼の内乱ではホビット族を率いて我々を滅ぼそうとしたそうですがな?」

ヒメ「あ、あれは…しょうがないだろ?あいつのせいじゃない…!」

政務官「しょうがない?あそこまでしておいてしょうがないで済まされると!?」

ヒメ「だったらおまえはどうなんだよ!?アントリアにそそのかされてたんじゃないのか!?」

政務官「っ…そ、それは…」

ヒメ「アントリアみたいな悪党に操られて様々な問題を見てみぬフリしたよな!!
国の歪みも謂われなき差別も…知ってて許容してきたのはおまえらだ!?」

政務官「……!」

ヒメ「これ以上、僕とあいつの関係に口出しするな!?」

政務官「……」

ヒメ「はぁっはぁっ」ワナワナ

政務官「…分かりました。陛下に対する数々の無礼、及び失言をお詫び致します。申し訳ございませんでした」ペコッ

ヒメ「はぁっ…いいよ。僕も興奮しすぎた。
さっきも高官達を叱り付けたばかりだったから感情が抑えられなかったのかもしれない…」

政務官「…そうでしたか。国内の問題は彼らに任せきりですので…私にも責めはありましょう」

ヒメ「いや、おまえはよくやってるよ…。少ない人数で難しい外交をこなしてくれてるのは感謝してる」

政務官「…恐縮です」

ヒメ「おまえの言い付け通り、僕も積極的に親善に取り組むよ。
だから…捜索については…もう少し続けさせてくれないか?」

政務官「構いません。忠告程度に留めるつもりが踏み入った発言になってしまいましたが…陛下が満足なさるまでお続けください」

ヒメ「……東の国王と会食する日取りは?」

政務官「追って伝者を寄越すそうです」

ヒメ「分かった…」

政務官「…では次の予定が入っておりますので、今回の外交成果は先ほど手渡した書類に記載しておきました。ご確認願います」ガタッ

ヒメ「……」ペラッ

政務官「失礼致しました」スタスタ

ガチャッ バタンッ
513: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/18(水) 20:40:43 ID:2wdwrIx/L.
ヒメ「……僕も公務に戻らないとな」ハァァ

ヒメ「暇はないし…年上の役人をまとめなきゃだし…知りもしない奴や変態にまで愛想よく接待しなきゃならないし……」

ヒメ「ほんっと…楽じゃないな。国王って……」フッ

ヒメ「(なぁ、カロル。おまえは今…どこで何をしてるんだ?)」ボーッ

ヒメ「(おまえがいたら、無責任でぜんっぜん中身のない前向きなだけの励ましをくれるんだろうな…。能天気だし?)」クスッ

ヒメ「(そういう奴だよな、おまえは…?宣教師や僕たちを…嫌ったりしないよな?)」ズキンッ

ヒメ「……もう一頑張りするか」スクッ

ヒメ「まずは給仕にイチゴジュースを作らせて…いつも通り、自室で仕分けしよう」スタスタ

ヒメ「途中退席してしまったけど…あいつら順調に話し合えたかな…。
さんざん叱っといたから、さすがにやってるよな。出来上がった書類を確認しないと…」ガチャッ

ヒメ「……」ピタッ

ヒメ「…いろいろ考えすぎておかしくなりそうだ」ハァァ

ギィィ バタンッ
514: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:02:09 ID:RCXCl5If6k
―――西の領土(関所)―――

パカラッパカラッ

守衛1「む…そこの馬!止まれぃ!?」ザッ

ザザッ ヒヒーン

???「」スタッ

守衛2「通行許可証と身分証明書を?」

???「……」スッ

守衛2「…問題ないな。よし、門を開けろ!」

ギィィィィッ

???「」スタスタ

守衛1「……?ちょっと待て?」

???「」ピタッ

守衛1「……」スンスン

守衛2「どうした?」

守衛1「こいつ…妙に臭うな?」ジロッ

守衛2「た、たしかに…鉄の錆びたような匂いが鼻に突く?」スンスン

守衛1「怪しいな…。所持品を改めさせてもらおうか」

???「」バッ

ヒヒーン パカラッパカラッ

守衛1「うおっ!?」ズサァッ

守衛2「き、貴様!くそっ!門を閉めろ!」

守衛3「お、追え!奴はおそらく例の残党だ!?」

???「クッカカカ…!」ファサッ

マドラス「バカヤローがざまぁねぇな!?」ゲラゲラ

マドラス「待ってろよ、賞金首…!俺からさんざん逃げ回った悪運の強さ…まさか溺れてくたばったりはしねぇだろ!なぁ!?」パカラッパカラッ

マドラス「潮の流れは西の方角…だいたい見当は付く。今度こそケリ付けてやるよ…!クッカカカカカカ!!!」パカラッパカラッ
515: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:03:42 ID:RCXCl5If6k
―――西の領土(カーリンの町)―――

ズォォォォン

修道女「」ビクビク

教徒「…なん、だ…これ…」アゼン

バッ ドサッ バッ ドサッ

教団員1「はい、こちらへ積んでください!」サッサッ

修道女「ひぃっ…!し、死体が荷物みたいに積まれて…?」

教徒「ひどい匂いだ…。うっ…吐きそう」ウプッ

憲兵5「よし!こっちはあらかた終わったな?向こうを手伝うぞ?」

憲兵6「清掃活動はお任せを…教団の方々は死者の埋葬をお願いします」

教団員2「はい。お任せください」

教団員1「…司祭様に供養していただかないと?君たち、司祭様は?」

修道女「あ、はい!そ、その…?」

教徒「あそこに…?」ビッ

教団員1「悪いが呼んできてもらえるか?」

修道女「分かりました…」

教徒「おえっ…お、お腹痛くなってきた」キリキリ
516: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:09:47 ID:RCXCl5If6k
ムワァァァァン

修道女「し、司祭様…!」スタスタ

宣教師「…どうしました?それから私は宣教師です?」

教徒「死者の供養をお願いしたいと…」

宣教師「…そうですか」

修道女「あ、あの!」

宣教師「なんですか?」

修道女&教徒「……」グッ

宣教師「黙りこんでいては分かりませんよ?」

修道女「どうするん…ですか?」

宣教師「?」

修道女「こんな事になっちゃって…本当にそれでもホビットを受け入れるんですか?」

宣教師「…どういう意味ですか?」

修道女「だって…これ……見てくださいよ!」

教徒「あ、あちこちに切り離された残骸が落っこちてて…ここまでするのっておかしくないですか?」ブルッ

修道女「頑是無い幼子も老人もお構い無しに矢が刺さって…町中、血の匂いで覆われちゃってるんですよ!?」

宣教師「……」

修道女「これ全部…ホビットの仕業だって言うじゃないですか!?」

宣教師「えぇ、とても…悲しいですよ」

教徒「それに言いたくないですが…この惨事の責任は司祭様に問われると思います。もちろん僕たちはそんな風に思いませんけど…」

修道女「うん…。多分、色んな人が教団の教えに異議を唱えるよ。
だって…今までホビットを遠ざけてきたのに…歩み寄った途端にこれじゃ…?」

宣教師「では諦めますか?」

修道女「え…?」

教徒「諦め…る?」ポカン

宣教師「こんな事になるなら、いっそやめてしまいましょうか?」
517: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:13:42 ID:Zn..IGjcXM
宣教師「以前のようにホビットを差別していたぶり尽くしてやるんです?」

教徒「し、司祭様…?」

宣教師「そうすれば人間は平和です!最初からこうしておけば良かったんですよ?
まずは手始めに今まで教団で預かってきたホビットたちをまとめて追い払いましょう?」ニッコリ

修道女&教徒「」ゾゾゾッ

宣教師「私達を信じて平穏に生きようと頑張っている彼らに石を投げつけ、口汚く罵り、見事に期待を裏切ってあげましょうね?」

修道女「そんなのっ…イヤです!」アセアセ

教徒「あのホビットたちは関係ないじゃないですか!?」アセアセ

宣教師「…諦めるというのはそういうことですよ?」

修道女「……!」キュッ

教徒「……!」ズキンッ

宣教師「…こうした惨劇に目を背けてはなりません。
人の醜さもホビットの憎悪も…全て受け止めなくてはならないのですよ?」

宣教師「それでも諦めたくはないんですか?」

修道女「うっ…うぅ…」ガクッ

教徒「」シュン

宣教師「…どうなんですか?」ジッ

修道女「イヤです…!諦めたら…各地で共存してるホビットたちまで…!」

教徒「僕も…助けてあげたいです…!」

宣教師「ふふふ!あぁホッとしました?」ニコッ

修道女&教徒「?」キョトン

宣教師「キミたちがやめてしまったら私一人で旅を続けなければならないですし…寂しさに耐えられるか心配でどうしようかと?」ニコニコ

修道女&教徒「し、司祭様…!」パァァ

宣教師「……宣教師ですよ?では死者を弔いに参りましょうか?」

修道女&教徒「はいっ!!」
518: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:17:27 ID:Zn..IGjcXM
―――西の国(王宮)―――

ファルージャ「…フゥ〜」スパー

魔導師「……」ジーッ

女装家「オネェ様ぁん……」ウットリ

将軍「」ハァハァ

ファルージャ「よくぞ戻ってまいった?」ジュッ

三銃士「ははぁーっ!!!」ザザザッ

ファルージャ「して…癒しの力は実在したとな?」ニヤァァ

魔導師「」コクリ

ファルージャ「…そうか?では…手に入れたのだな?」ニヤニヤ

魔導師「」ブンブンッ

ファルージャ「は?」

魔導師「あれには自分の呪術が効かないもんで?」

女装家「ちょっとぉ!?なによ、それぇ!?見つけといて持ってこなかったのぉ!?」

魔導師「うん。ムリだった」

将軍「そういう貴殿はどうなのだ?
我輩の聞くところによると…子供相手に惨敗し、拘束された上に強制送還されたそうだが?」

女装家「んぎっ…!な、なんであんたが…!?」ギクゥッ

将軍「貴殿が率いた兵は元々、我輩がパカラゥロに貸してやった物だ?」

女装家「くっ…くく…!」ギリッ

ファルージャ「そんな事はどうでもよいわさ?妾が解せぬのは…何故連れてまいらなかったのかじゃ?」

女装家「そ、そうよぅ!?オネェ様のおっしゃるとーり!?」

将軍「うむ…方法はいくらでもあった筈だが?」

魔導師「……」プイッ

ファルージャ「ん?パカラゥロ……そなた…」ジッ
519: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:23:13 ID:RCXCl5If6k
将軍「なにを押し黙ってる?陛下の問いに答えぬか?」

女装家「あー!あー!分かっちゃった?やっぱり見つけてないのよぉ〜!?
オネェ様にご褒美もらいたくてウソついてんじゃないのぉ〜!?」

魔導師「……」ググッ

ファルージャ「…クスス?癒しの力はそれほどに不可思議であったか?」

魔導師「」ギクッ

ファルージャ「言葉にせずとも…表情など見ずとも…妾は見通しておるぞ?」

女装家「は?お、オネェ様?」

ファルージャ「己以外の特別な存在が恐ろしいのであろう?」

魔導師「んふふ…陛下には隠し事できないなぁ?」クックッ

女装家「な、なによ。アンタ?気持ち悪いわネェン…?」ブルッ

将軍「(二人にしか通じない会話…?わ、我輩の知らぬ陛下とパカラゥロだけの……き、気に喰わぬ!)」ギリィッ

ファルージャ「癒しの力に妬くな?妾はそなたを愛しておる?」

魔導師「!」ドキンッ

女装家「はぁぁ!?」

将軍「き、きき…き、きさささ…!わ、わわわぐぁ…我輩を差し置いて…!?」ワナワナ

ファルージャ「そなたも…そなたもじゃ?」ビッ

女装家「へっ!?」パァァ

将軍「!?」ドッキュンコ

ファルージャ「たった一つしかない才や物を特別というそうな?しかし妾は…一つでは足りぬ?全てを手元に置き、愛で続けたい?」

ファルージャ「全てをこの手に納めたい?地位、才、美……そして永遠、どれも妾にこそ相応しい?」

ファルージャ「新たな特別を手にしても…そなたらに与える愛に濁りはないぞよ?」

ファルージャ「永遠の命を得れば…そなたらは永遠に妾の寵愛を受けられる?それでは不満かえ?」ジッ

魔導師「んふ…ふふ!んふふふふ!」プルプル

女装家「そ、想像しただけで……あひぃ〜ん!?」ジタバタ

将軍「ヌオオオオ!!!永遠の命、万歳!!!」バンザーイ
520: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:28:35 ID:Zn..IGjcXM
ファルージャ「なんにせよ癒しの力の存在は掴んだ。それなりの収穫じゃな?
しかも黒魔術をモノともせぬ程に強力…クスス?これは永遠の命も期待出来ような?」

女装家「あらーん?癒しの力に負けちゃうなんてアンタの術も大したことないのネェン?」フンスッ

魔導師「大したことないかどうか試してみるかい?」ニギニギ

女装家「じょ、ジョークよん…!おバカちゃんなんだから?」アセアセ

ファルージャ「して…シャルウィン。そなたの収穫は?」

女装家「癒しの力は見つけられませんでしたが…代わりに城で情報収集をして参りましたわ?」

将軍「何が情報収集だ?外交を官吏共に押し付け、貴殿は遊び歩いてたそうではないか?」

女装家「そーよ!悪い!?下っ端の集めた情報を後でアタシが収穫したの!?
それをオネェ様に報告するのはアタシ!つまりぜーんぶアタシの手柄よ!?違うっての!?」

将軍「開き直りにも程がある」

ファルージャ「申してみるがいい?」

女装家「それがもう笑っちゃうんですけどぉ〜?今の王国ってかなり追い詰められた立場にあるみたいですわよん?
伝承の撤回と国力の低下、それから巡礼での反乱、国王の代替わり、色々と問題起こし過ぎて6国の中でも浮き気味なんですってぇ〜?」

将軍「ほほう?なるほど…よし、戦争だな!」ガッツポーズ

女装家「気ぃ早すぎ!そうしちゃいたいけどぉ…まずはボロボロの外壁を完っ全にぶち壊さなきゃ〜?」

ファルージャ「何か企みがありそうじゃな?」ニヤリ

女装家「もっちろぉ〜ん!アタシがチャチャッと作った超完璧な作戦があるんですぅ〜?」

将軍「……大丈夫なのだろうな?」ジロッ

女装家「あぁん?」ギロッ

将軍「あぁ?」ギヌロォォ

魔導師「まぁまぁまぁ?聞くだけ聞いてみたらいいじゃないの?」

将軍「…よかろう。聞いてやる」

女装家「あ?聞かせてくださいでしょうが?」ギロッ

将軍「よし、受けて立つ!」チャッ

魔導師「陛下の御前だよ、二人とも?」ドウドウ

将軍&女装家「ちっ!」バチバチ
521: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:31:04 ID:RCXCl5If6k
女装家「〜〜っていう作戦ですわん!」ドヤァッ

ファルージャ「……」ボケーッ

女装家「あーん、もうシャルウィンちゃんったら天才過ぎ!チョー完璧!もうヤっちゃいましょ!?」

ファルージャ「…分かるかえ?」チラッ

魔導師「ふぅ〜〜〜ん……って思った」

将軍「つまりは…ん、んぅ!そういうことであろうが!?」オホンッ

女装家「…あ、あらん?反応が…?」

ファルージャ「…妾にはさっぱり分からぬ?」

魔導師「将軍、分かるのかい?」

将軍「まま、まぁそうだな!うむ、紙一重の作戦だ!ヌハハハハハ!!!」

女装家「!?」ガーン

ファルージャ「政治に疎いでな?なんの事やら…まぁそなたの好きにせよ?」シラー

女装家「こ、光栄…ですわん…」ズーン
522: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:36:19 ID:RCXCl5If6k
―――西の国(会議室)―――

女装家「ちょっとアンタぁぁ!?どうなってんのよぅ!?
アンタが考えた作戦、聞かしたのにオネェ様ったら全然ピンと来てなかったじゃないのよぅ!?おかげで大恥かいたんだから!?」バンッ

官吏3「わ、私は王国のパーティーで貴族や役人と親しくし、確かな情報を集めましたぞ?ど、どのように説明をなされたので?」アセアセ

女装家「えっ!?だからアレよ!アレをアレしてアレするってアレしてきたのよ!?」

官吏3「(そりゃピンと来んわなぁ…。そもそも陛下も三銃士の面々も頭脳はからっきしなのだから分かる訳がない…)」

将軍「ぬぬぬ…!」ギリィッ

女装家「アンタはいつまでイラついてんのよぅ!?暑苦しいったらありゃしない!?」

将軍「これがイラつかずにいられるかぁ!?なぜパカラゥロだけが陛下の寝室に呼ばれるのだぁ!?
我輩でさえご無沙汰だというのに…あぁ憎々しい!!」ダンッ

女装家「アタシだってムカつくわよぉ!?だけどしゃあないでしょ!?
今回一番の手柄を立てたのはパカちゃんだって言われちゃったんだから!?」

将軍「フンギギギ…!い、今頃は陛下と寝室でちちち…ち、乳繰り合ってフンギィィィ!!!」ダンッダンッ

女装家「あぁぁん!!言うんじゃないわよ!?アタシだって陛下の全身マッサージしたいぃぃ!!」ワシャワシャ

官吏3「(な、なんじゃそら!贅沢抜かしやがって…こっちなんか陛下の手を握った事さえないんだぞ…!)」イライラ

ガチャッ

参謀「遅れて申し訳ございま………」

将軍「フギィィ!!あぁクソッタレがぁ!?」ダンッダンッ

女装家「アイツばっかアイツばっかアイツばっかずるぃぃぃ!!!」ワシャワシャ

官吏3「(お、俺だって…!へ、陛下にむしゃぶり付きたいんだぞ!羨ましいな、畜生!!)」イライラ

参謀「(…煩悩の塊共め)」ハァッ
523: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/26(木) 22:46:51 ID:Zn..IGjcXM
女装家「あんのブキミ野郎…!イイとこばっか持ってきゃあがって…!」

参謀「…シャルウィン様」

女装家「んじゃゴラッ!?」ギロッ

参謀「向こうで火傷を負われたと聞いておりまするが…その後、具合の方は?」

女装家「あぁん?お化粧で隠してんのよ!アタシのコンプレックス突くなんていい度胸じゃないのぅん?」ビキィッ

参謀「あ、そうでしたか?とてもお美しい肌艶なので…すっかりと健康美を取り戻されたのかと?」ニコッ

女装家「……!あ、あぁ〜ら、そうかしらん?」デレッ

参謀「はい。本日もまことにお綺麗でございまする?火傷痕を跡形もなく消し去る美容術を持つ者など…はたしてシャルウィン様の他におりましょうや?」

女装家「ま、まぁ〜?いろいろ小まめにやってるしぃ?」デレデレ

参謀「陛下のケアをなさる美容顧問官として説得力に厚みが持たれますよ?」

女装家「ブォホホホ!アンタいいこと言うわネェン?」デレデレ

参謀「将軍閣下」

将軍「ぬぅ…!?」イライラ

参謀「先日に閣下自ら指揮なされたレジスタンス討伐の件を陛下が褒めておられましたよ?」

将軍「な、なんとおっしゃられた!?」ガタッ

参謀「鮮やかな手際だとか、そんな風な事を?」

将軍「そ、そうか!へ、陛下がな?ムフフ…!」ニヤニヤ

参謀「(手を焼かせる連中だ…)」

参謀「では会議を始めましょうか。まずは……王国孤立化に向けての外交戦術を固めましょう?
そこの官吏の意見を元に僕が考案致しました案なのですが……」

官吏3「(え!?そうなると私の手柄が参謀に……)」

参謀「なにか?」ギロッ

官吏3「い、いや…」タジッ

参謀「…この案には宝石商を営んでおられますシャルウィン様のお力が必要になりまする?」

女装家「そうよネェン、お化粧のノリも……アタシ?」キョトン

参謀「はい…?」ニヤリ
524: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/27(金) 22:41:11 ID:UavECGF.sw
〜〜〜1週間後〜〜〜

―――王都(会議場)―――

ヒメ「……!」ペラッ

高官's「」オロオロ

ヒメ「本当なのか…!これ…!?」

政務官「その書類の報告に偽りはございません」

ヒメ「だとしたら…まずいぞ!」ギリッ

政務官「…してやられましたな」

高官1「な、な…何が起こっているんですか!?」オロオロ

ネバル「……」ペラッ

高官2「わ、分かるか?」ツンツン

ネバル「内容そのまんま読むと…西の国がこちらの同盟国と貿易を成立させたってなってるです?」

高官2「読めば分かる…!それがなんでまずいんだ…!?」

ネバル「なんで…?うーん……なんで?」キョトン

高官2「私に聞くなぁ!?」

政務官「要約すると…こちらが進めていた取り引きを横取りされたのだ」

高官's「えぇぇ!?」

ネバル「はー…困ったですねー…。今んとこ国内がばたついて国家予算が流れてっちゃうですし…?
国外からの物流交易、文化交流で経済効果が高まる期待してたです…」

高官1「う、うーむ…た、確かに政務官殿が以前より進めておられた国家交流の円滑化には…貿易が必要でしょうなぁ」ポリポリ

ヒメ「それだけならまだしも…結び付きまで奪われた…!」ワナワナ

高官4「結び付き?」キョトン

政務官「…全容を理解しているのは私と陛下のみか。情けない…」ヤレヤレ

高官's「???」チンプンカンプン
525: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/27(金) 22:45:59 ID:YvuzyYVhZU
政務官「利害関係の結び付きを奪われた…つまり今、王国と5国の関係性は非常に希薄な物になっているという事だ」

ヒメ「あぁ、実質的には同盟なんて名ばかりの繋がりで…苦しい時に無償で手を差し伸べる国なんかない」

高官's「!?」

政務官「まさかあのファルージャが外交戦術を仕向けてくるとはな…。さすがに予想していなかった」

高官3「し、しかしですなぁ?なぜ長いこと危険視されてきた野蛮な西の国と……」

ネバル「あっ!?」

高官3「な、なんだ!?今は私が喋ってるだろ!?」

ネバル「でもそれって…同盟国からしたら、うちがそうですよね!?」

高官3「はぁ!?なにがだ!?」

政務官「そうだ」

高官3「えっ」

政務官「約1年前から西の国と貿易を結んだ我が国に対する同盟国の見方は…平和協定を崩しかねない危険因子……」

高官1「で、でも!でもですぞ?さすがにこんな急に事態が…!」

政務官「何を言っている?世界全体の流れは一分一秒の油断も許されない凄まじい速さで切り替わっていくのだ?」

高官1「…!?」ゴクリ

政務官「特に独自の繁栄を築く主要国家の判断力は極めて高い。
あらゆる流れを敏感に察知し、疑わしきは早急に排除しようと迷いなく決断する…」

ネバル「…あれ?だけど王国と同盟国は付き合いが長いですよね?
なんで王国じゃなくて危ないって分かってる西の国と?」

政務官「理由は3つある」

ザワザワ ヒソヒソ

政務官「第一に王国の弱体化、これにより西の国と貿易を結んだ我が国は…各国に対抗しようと焦ったものと思われている」

ネバル「た、たったそれだけで…?」

高官5「わ、我々が反旗を翻すとでも言うのか!馬鹿馬鹿しい!」
526: ◆WEmWDvOgzo:2015/2/27(金) 22:49:50 ID:UavECGF.sw
政務官「第二に…西の国の持ちかけた貿易には王国以上のメリットがある」

高官5「め、メリット…?」

政務官「宝石や貴金属の元となる鉱石資源の採掘場だ?」

高官6「はぁっ!そういえば西の国は金や宝石の生産量が世界一だ!?」

高官5「し、しかしそれなら我が国にも…」

高官6「いや!昔から宝飾品の扱いに慣れ親しんでいる国民性だけに、その加工技術は群を抜いているとか!」

政務官「あぁ、それだけに過去の戦争では…いくつもの国から集中的に狙われたと聞く。
今でも世界中が密かに西の鉱石資源に目を付けているが…。
今回の取り引きで直接、生産地ごと明け渡してしまおうと言うのだから諸国にしてみれば、この上ない好機だ」

ネバル「そ、そんなすごいのあげて西の国は大丈夫です?」オロオロ

政務官「自国の主要財産を壌土したのだ…。腹を括って挑んでいるのは間違いない」

ザワザワ ザワザワ

高官7「な、何が狙いなんだ…!?」

高官8「政務官!3つ目の理由とは!?」

政務官「……」

シーン

政務官「…この国に先はないと判断されたのだ」

ヒメ「」ピクッ

ネバル「えぇっ…!?」

高官1「ど、どういう事だ!?」ガタッ

ザワザワ ザワザワ

政務官「巡礼での深い痛手が効いてきたな…。
他国の役人が集う場での大失態もそうだが…早い段階で信頼を取り戻せなかった事が大きい」

政務官「国力低下の煽りは何よりホビットとの和解だろう。
それが民をひどく混乱させ、伝承の偽りも広めさせ、国内外の糾弾と警戒を加速させた」

政務官「そして決定的なのは…国王が子供だという事実」

ジロジロ ヒソヒソ

ヒメ「……!」ググッ
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