1スレ
少年「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10
2スレ
カロル「ボクが世界を変えてみせる」
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10
―――あらすじ―――
それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました
しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました
そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです
戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました
布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました
それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします
283: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 15:23:52 ID:g4lCkLBiEw
―――バンブルの港(住宅地)―――
客2「」スタスタ
客の子供2「へへ〜!靴かっけー!」ニヤニヤ
客2「…よかったな」
客の子供2「うん!修道院で自慢するもん!パパ好き〜」ギュッ
客2「そ、そっか」テレッ
客の子供2「…ケーキ、ないよ…ね」チラッチラッ
客2「…買いに行こうか?」
客の子供2「〜〜〜!うんっ!」パァァ
客2「…あ」ハッ
客の子供2「パパ?」
客2「なんでもないよ」ニコッ
客の子供2「ふーん。ケーキ!ケーキ!」ルンルン
客2「(俺、この子と女房の為に働いてたんだよな…)」
客2「(…いつからだろう。"生活の為"になってたのは)」
客2「(いつからかも分からねぇや…)」
客2「(あのホビットの親子はきっと……それを忘れずに生きてきたんだろうな)」
客2「……」ウルッ
客の子供2「パパ?どうしたの?早く行こうよ!」
客2「…どうもしないよ。今日はお前の誕生日だから、なんでもわがまま言うんだぞ?」
客の子供2「?」キョトン
客2「行こうか。空が赤みがかってきた」スタスタ
客の子供2「うん!」ルンルン
284: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 15:27:26 ID:g4lCkLBiEw
―――チンピラの家―――
赤ん坊「びゃああああ!ふああああん!」
女房「あぁ、よしよし、お乳だね?」ボロン
子供「母ちゃん、腹ペコ!」グイグイ
女房「ちょっと我慢して?後で築地に行って分けてもらうから?」
子供「むりー!腹ペコ〜!?」グイグイ
女房「うるっさいね!我慢しなってんだよ!?」バシンッ
子供「ぅ……」ヒリヒリ
子供「……ああ゛あ゛あ゛あ゛ん!!」ビエー
女房「はいはい、お乳でちゅよー」ダキッ
赤ん坊「びゃああああ!!」ブンブン
女房「どちたのー?お腹空いてないでちゅかー?」アセアセ
子供「おなかすいたよー!!ああああん!!」ビエー
女房「あんたじゃない!!」ガァーッ
285: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 15:29:43 ID:o6D2/o4bEU
赤ん坊「ふやぁああああ!!!」ジタバタ
女房「う、うんちっち?おちっこ?あっ!ねむねむでちゅかー?」ユサユサ
ビエー ビエー ビャアアアアア!
女房「……!」プルプル
女房「どうしたらいいのよぉ!?」グズッ
女房「あの人は…なにしてんの…!家にも帰らないで…働きもしないで…!」
女房「これじゃ造花の内職も終わらせられないよぉ…!うえっ…ひっ…ひんっ…!」グズグズ
ビャアアアアア!ビャアアアアア!
女房「泣かないで…泣かないでよぉ…!」ユサユサ
子供「おなか〜!!おなか!!」ダンダン
女房「そんな言うならお爺ちゃんとこ行って!食べさせてくれるから!?」
子供「外暗い〜!怖い〜!」ダンダン
女房「じゃあ我慢するしかないでしょ!?」
子供「う…わああああん…!」ボロボロ
女房「あいつのせいよ…全部…あいつが悪いのよ!私、知らないからね!?
母ちゃんお仕事すんだから邪魔しないで!?」バッ
ビャアアアアア! ビャアアアアア! ウエーン オナカスイター!
286: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 15:32:58 ID:g4lCkLBiEw
―――バンブルの港(海沿い広場)―――
チンピラ「ちっ!しけてんなぁ?銅貨4枚じゃ水も買えねぇよ?」スッカラカン
チンピラ「こりゃなんとしても金作らなきゃな…。昨日の負けで親分への借金も膨らんじゃったし」
ジロジロ ヒソヒソ
チンピラ「あ!?」ギロッ
スッ スッ スッ スッ
チンピラ「けっ…まるで海沿いの岩盤に張り付いた苔でも見るような目だったな」
憲兵?「お兄さん」ポンッ
チンピラ「あぁ?……えっ」クルッ
憲兵?「夜分遅くにお声かけしてすみません?」
チンピラ「……!?」ゾォッ
憲兵?「」ニィィ
チンピラ「な、なんすか?た、滞納分なら義理の両親が肩代わりして……」
憲兵?「はは…違いますよ?ただお話を伺いたいと思いまして?」
チンピラ「は、はぁ…」
287: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 15:34:11 ID:g4lCkLBiEw
憲兵?「この手配書、見てくれます?」スッ
チンピラ「は…?」パシッ
憲兵?「そいつは救い主を騙ったインチキホビットでね。国を挙げて捜索中なんだ?」
チンピラ「し、知らねっす」スッ
憲兵?「そうですか?まぁ見つけたらご報告ください?」
チンピラ「うっす…」
憲兵?「あぁ、そうそう。出来れば近くの憲兵支部より領主様に報告してもらえるとありがたい?」
チンピラ「え?なんで領主に?」
憲兵?「各地の領主様は王都と直接の連絡手段を持ってるから、何かと都合がいいんです」
チンピラ「あーそーすか…」
憲兵?「では失礼します」スタスタ
チンピラ「(よく見ちゃねーけど、ホビットじゃどうせ賞金も掛かってねぇだろ)」
憲兵?「あぁ、そうそう」ピタッ
チンピラ「?」
憲兵?「その救い主の偽物ね。懸賞金は金2000枚なんですよ。通報しただけでも金200枚、いやぁ大したものです」
チンピラ「金…2000…?」ピクッ
憲兵?「」ニタァァ
チンピラ「そ、その手配書…1枚もらっていいすか?」ワナワナ
憲兵?「どうぞ?ご協力感謝します…」スッ
チンピラ「ど…も」パシッ
憲兵?「それでは」スタスタ
チンピラ「」マジマジ
288: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 15:36:31 ID:o6D2/o4bEU
―――バンブルの港(街角の屋台)―――
ガリッゴリィッ
ムチャツムチャッ クチャッ
店主「(きったねぇ食い方だなぁ…。これじゃ常連さんたちが入れねぇよ)」
バサッ
店主「あぁ、いらっしゃい」
憲兵?「隊長、指示通り町中のならず者に配ってきました」
マドラス「ムチャッ…ん、ご苦労さん」ゲフッ
店主「お、お連れさんですか?」
マドラス「口挟むな。それよりヒレ酒はどうした?」
店主「た、ただいま…」ゴソゴソ
憲兵?「他んとこもあらかた配り終えたそうです」
マドラス「南の人里全体に出回れば奴らの逃げ場はねぇさ。なぁ?」
店主「ひ、ヒレ酒になります」トンッ
マドラス「おう、あっちぃな。こりゃ不味そうだ?」グビッ
憲兵?「後はこのまま待てばいいと」
マドラス「ぶはーっ…まじぃ!…ならず者ってのは私利私欲の塊だ。大金が絡めばよく働くし、独占したがるから口外の心配もねぇ」バリッ
289: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 15:39:56 ID:g4lCkLBiEw
憲兵?「問題は領主ですが…」
マドラス「そこも問題ねぇ。雇い主が抱き込んである」
憲兵?「いえ、分け前が減るのではと」
マドラス「…まぁな。出来れば山中で捕まえときたかったがしゃあねぇ」
マドラス「領主には金500、報告者には銅20枚、残りは俺らで山分けだ。
山の獣に削られた分を考えりゃ、当初と予定額は変わらねぇさ」
憲兵?「銅20枚…?な、納得しないんじゃ…?」
マドラス「剣先でいいこいいこして、建物の屋上に荒縄で括ってたかいたかいのサービスも付けりゃ納得するさ。
それでも辛抱たまらんってなら細かく刻んで見知らぬ畑の肥溜めに沈めて肥料の仲間入りだ」
憲兵?「……!」ゾォッ
店主「」ブルブル
マドラス「ン…喋りすぎたなぁ?」ギョロッ
店主「ひゅやあっ!?」ビクビクゥッ
マドラス「わりーが今夜で店仕舞いだ?なぁ?」ニタァァ
憲兵?「はっ」スラッ
店主「ああ…うんやぁ…やだあぁあぁああ!!!!!」ガクガクブルブル
ズバッ ドカッ
マドラス「…クッカカカ!こんな場末で飲み屋やってんのがわりーんだよ。なぁ?」ピシュッ
憲兵?「…ま、まぁ」ドンビキ
290: 名無しさん@読者の声:2014/12/31(水) 19:14:34 ID:blEDg8Tko2
何故か、このサイトの『僧侶「ひのきのぼう……?」』を思い出した。
何はともあれ、今年最後の支援!
291: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:30:45 ID:hTsbsopuA2
―――港の教会―――
神父3「簡素な寝室で申し訳ありませんが、どうぞごゆるりと」
母「あ、あの…急に訪ねてしまったのにその…いいんですか?」オドオド
神父3「いいんですよ」
カロル「ぼ、ボクたち人を探してるだけで…」
神父3「えぇ、残念ながら心当たりはございませんでしたが」
マルク「」ポフンッ
カロル「あっ!マルク!勝手にお布団使わないの!?」
神父3「いいんです、いいんです。我々はあなた方ホビット族に償わなければなりませんから」
母「償いだなんて…あたし達は…」
神父3「…あなた方の為というより自分たちの為です」
母「へ?」
神父3「正しいと思ってしてきた行いが実は単なる迫害だったと…自覚するのが恐ろしい」
神父3「我々はあなた達に喜んでもらう事で赦された気になれるんです」
神父3「もちろんこれも…おぞましい人の欲を満たす贖罪に過ぎないが」
母「……」
カロル「……」
マルク「くぅ〜ん」ゴロン
292: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:32:53 ID:hTsbsopuA2
神父3「ところであなた方…救い主様じゃありませんよね?」
母「はい?」
カロル「すくいぬし?」
神父3「…こんな所に来られる筈がないですよね。もう1年と半年も行方知れずですし」
カロル「へぇ…どこに行っちゃったの?」
神父3「それが分かれば苦労はないんですけどね」
カロル「大変だね…。早く見つかりますように」パシッ
神父3「いの…り…?」
カロル「うん。探してる人に教えてもらったんです!こうすると願いが届くって?」
神父3「…我々でさえ、とうにやめてしまいましたよ」
カロル「なんで?」
神父3「今まで祈りを聞き入れてくれた筈の主は…人の作った幻だったんでね」
カロル「しゅ?」
神父3「頂いた魚は明日の朝、お出しします。おやすみなさいませ」ガチャッ
バタンッ
カロル「……?」
293: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:34:16 ID:hTsbsopuA2
母「…なんだか浮かない様相だったわね。
教会にしては掃除してる様子もないし窓も割られてるわ?すさんでいたのかしら?」
カロル「…みんなに教団の教えが嘘なのバラしちゃったからかな」
母「嘘なんだからしょうがないじゃない」
カロル「…うん。仲直りするには、それしかなかったもの」
母「うまく回ってるわよね。世の中って?」
カロル「そうなの?」
母「正しいかどうかは関係なく、必ず誰かが喜んで誰かが傷付くように出来てるもの」
カロル「……」
母「気に病むことないわよ。それでもずいぶん素敵な世界になったと思うわ?」
カロル「ボクがした事でいろんな人が傷付いてるんだね…」
母「そうよ。でもね、これだけは忘れないで?」
カロル「え?」
母「あたし達が傷付いてるのを知らんぷりして喜んでた人も大勢いるんだから?」
カロル「え……?」ドキンッ
母「お母さん、寝るわね?昨日まで野宿だったから疲れてるの?」ファサッ
カロル「うん…」
母「おやすみ?夜更かししちゃダメよ?」ニコリ
カロル「……おやすみなさい」ボソッ
294: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:35:51 ID:hTsbsopuA2
〜〜〜真夜中〜〜〜
母「」スースー
カロル「……」ジーッ
母「」スースー
カロル「(たまにお母さまが分からなくなる…)」ゴロン
カロル「(本当はどっちなんだろう?)」ファサッ
カロル「(誤解を解いてみんなに謝ったら安心して二人で暮らせるのに)」
カロル「(……)」
カロル「(ううん、違う…。ボクはまたみんなと……)」
カロル「(でも…お母さまは嫌がるかも)」
カロル「(…宣教師さま、ルーボイくん、パッチくん、ナラ、ラムくん、王子さま)」ボォォ
カロル「(ボクのわがままを押し付けたらお母さまが傷付く…)」
カロル「(だけどお母さまの望んでることを続ければみんなとは……)」ギュッ
カロル「(…あぁ。ダメダメ。約束したじゃない)」ブンブン
カロル「(お母さまを守るのはボクだもの…)」
カロル「(……)」
カロル「(家族と、ともだちはどっちが大事なんだろう…)」
カロル「(……どっちも大事。あぁもう!なんで考えるの!ダメだってば!)」ゴシゴシ
カロル「(うぅ…考えちゃうよ。どうしよう)」
カロル「(会えない間、ずっとみんなが頭から離れない…。お母さまの為なら我慢するって決めたのにぃ〜…!)」ゴシゴシ
カロル「(ボクのウソつき!わがまま!)」ポカッ
カロル「……寝れない」ムクッ
295: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:39:05 ID:h173FRh8P2
―――港の教会(礼拝室)―――
ブァァァァァ
カロル「お月さま…きれい」ジーッ
カロル「この石像、なんだろう?」ピトッ
ザラッ
カロル「…ホコリだらけ?」キョトン
ガチャッ
神父3「眠れませんか」
カロル「あ…すみません!」アタフタ
神父3「いいんですよ。海寄りの月は一層輝きますから一度は目にした方が良いでしょう」
カロル「えへへ…ホント、きれいですね?」クスッ
神父3「…あなたは本当に救い主様ではないのですか?」
カロル「え?はい。違いますよ?」キョトン
神父3「…そうですか。まぁ同じホビット族ですしね。そら似かもしれない」
カロル「ボクにそっくりなんですか?」
神父3「…手配書の人相書きには似てます。まぁ直に会ったことがないので」
カロル「へぇ…」
神父3「あなたが救い主でなくてよかった」
カロル「へ?探してるのに?」
神父3「……元々、私には神に仕える資質が無かったようです」
カロル「そ、そう?ちょっと分かんないです…?」
神父3「憎いんですよ。私から信仰を奪った救い主が……」ギリッ
カロル「」ビクッ
神父3「はっ…ふっ…ぶぐぅ…!」ガチガチ
カロル「え?え?」オドオド
神父3「…んばぁっ!!」ダンッ
296: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:42:06 ID:hTsbsopuA2
カロル「あ…の……?」
神父3「…申し訳ありません。取り乱してしまいました」フルフル
カロル「だいじょ…ぶ、です…」ビクビク
神父3「…憎いんです」
カロル「は、はい」
神父3「4つの頃、孤児院に捨てられました」
カロル「そう…なんだ」
神父3「11になってから教団に入れられました」
カロル「うん…」
神父3「…そこから20年、教えだけを信じ、役目を全うしてまいりました」キッ
カロル「(こわい…)」ブルッ
神父3「他にないんですよ…。誇れる物も信じられる物も……」
カロル「……」
神父3「嘘でも…騙されたままでいたかった…。
あなた方にとっては良かったのかもしれないが私のように苦しむ者もいるんです」
神父3「神に通ずると信じ、欠かさず清潔を保った御神体も今ではガラクタ同然……」
神父3「世界の平穏に繋がる筈だった祈りは…ただの考え事」
神父3「人々に貢献しようと学んだ教えは……作り話だった…!」ガチガチ
カロル「(あぁ、そっか。お母さまが言ってたのって……)」
神父3「私は…救い主に全てを奪われたんです…!」ギュゥウッ
カロル「(よかった。お母さま、変な意味で言ったんじゃなかったんだ)」クスッ
297: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:43:58 ID:h173FRh8P2
カロル「ボクは救い主じゃないから分かんないですけど…」
神父3「っ……!」ギリィッ
カロル「奪われて生きてきたのはボクたちも同じですよ?」
神父3「うっ…!?」ズキンッ
カロル「生まれる前にお父さまを殺されて、お爺さまも病に倒れました」
神父3「…んぅぐ……!」
カロル「ひどいこと言われて大人数に暴力だって振るわれました」
神父3「あっ…んぐぅ…!や、めろ…!」ズキズキ
カロル「お家を焼かれました。お母さまも汚されました。思い出がある物は一つも残ってないです」
神父3「ふぐぅふぅ…は、はぁああ…!やめてくれぇ…!やめてくれぇ!!」ブンブン
カロル「優しい言葉に騙されたり、信じた人間に裏切られたり、知らない人間に売られたり、大好きなともだちを遠ざけられたり………」
神父3「あぃあぁあ!!やめろってぇ!?」
カロル「……」
神父3「分かってるよぉ…!分かってんだ、んなのはよぉ…!?」ガシガシ
カロル「そう…」
神父3「後悔したよ!気付けなかった自分が馬鹿に思えて…自殺だって考えたよぉ…!」ガシガシ
神父3「でもよぉ…俺がわりーのかよ!?だってよぉ…俺はただ教えられたの信じてただけじゃんかよぉ…!?」ダンッダンッ
神父3「それをいきなりさぁ…!嘘でしたとかさぁ…差別だとか非難受けてさぁ…!
外に出歩きゃなじられて、教会に籠れば石投げ込まれて窓ガラスを破られたり、シスターや修行者達も耐えかねて出てったよぉ…!?」ダンッダンッ
神父3「司祭様が説得して嫌がらせは無くなったが…もう俺にはどうしようもねぅよ!?」ダンッダンッ
神父3「ホビットと和解しましょうって……差別さしてきたの俺らじゃん!?説得力あるか!?」ガンッ
神父3「…最悪だよぉ。他の村や町の教会とも手紙でやりとりしてるけど…どこも似たようなもんでよぉ」フーッフーッ
神父3「うまくいってんのなんか、よっぽど住人と信頼関係築いてた連中くらいだよぉ…」
神父3「…俺が……なにしたってんだよぉ…。結局、お前らも差別したんじゃん…!違うのぉ!?」ブワァッ
298: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:47:24 ID:hTsbsopuA2
神父3「ふえぅっ…へぁひっ…ぶじゅっ!ぇうぅぅう!ヂグジョォオオ!!」ダンッダンッ
カロル「床に手を打ち付けたらケガするよ?」ピトッ
神父3「ひぐ…!?」ビクッ
フワッ
神父3「あ……え…?な…か……いっしゅんフワって…?」グズッ
カロル「」ダキッ
神父3「んぅえ…?」キョトン
カロル「よーしよし、いいこいいこ…?」サスサス
神父3「(な…だ、この…少年は…抱きしめ……?)」ボーッ
カロル「いいこだねー…大丈夫だからね…?」サスサス
神父3「いぃ…こ?お…れ……いいこ?」グズグズ
カロル「(ちっちゃい時、マルクがさびしそうに鳴くと、よくこうやって、あやしたっけ…なつかしいなぁ)」サスサス
神父3「(…どしてだ。こんな小さな腕に…これ以上ないほど、ぬくもりを感じてる…)」ズビビー
神父3「(家族を知らない俺にとって……初めての感覚かもしれない)」ギュッ
299: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:49:20 ID:hTsbsopuA2
カロル「おじさま、ボクの声、聞こえる?ボクの言葉、分かる?」サスサス
神父3「…分かる。いい親父が…みっともないな」グズッ
カロル「そう?大人も泣きたくなるし、頼りたい時もあるよ。たぶん?」サスサス
神父3「…大人になって他人に頼ると、見返りを求められたり、足元見られそうで怖いんだ…。だから…」
カロル「安心して?ボク、まだ子供だよ?眠れないからおじさまのお話を聞いてるだけ?」クスクス
神父3「君は…憎まないのか。我々を……」フルフル
カロル「うん、憎まない」サスサス
神父3「……!」ズキンッ
カロル「全部許して仲直りしようって約束したから?」
神父3「……!?」
カロル「和解って…そういうことなんでしょ?」ニコッ
神父3「そう…です」ウルッ
カロル「…朝になったらみんなと仲直りしに行こ?ボクも付いてくから?」ニコニコ
神父3「うぐっ…んぐぅぅ…!」ガバァッ
カロル「えっちょっ」グラッ
ドシンッ!
300: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:52:31 ID:hTsbsopuA2
カロル「いっ…たぁ〜い…?」コロン
神父3「ふばぁぁあああん!!ごべんよぉぉ!?わるがったよぉ!?ぶぁあああん!!」ポロポロ
カロル「あは…また泣いちゃった」アセアセ
ガチャッ
母「ん〜…どうしたんです?こんな夜遅く……に?」ギョギョッ
マルク「あぅ〜ん…」ムニャムニャ
カロル「あっ」ドキンッ
神父3「ふばっ!あばっ!ぶあああん!!」ズリズリ
母「(ぼ、坊やが真夜中に密室で大人の男に組み敷かれて涙ながらに頬擦りされてる…)」
カロル「あ、あのねっ!ちがうよ?これは…その…おじさまがさびしそうだったから…お話をね?きい……」アタフタ
母「(さ、寂しい独り身の男が坊やの優しさに付け込んであわよくば…!?)」ゾゾゾゾゾッ
カロル「おじさまっ!もういいでしょっ…重たいよぉ…!?」ジタバタ
母「マぁールク!突進して引き剥がしなさい!!!」
マルク「あんっ!!」ダッ
カロル「だ、ダメっ…あぶなっ……」ジタバタ
301: 書き納めです。皆さま、よいお年を ◆WEmWDvOgzo:2014/12/31(水) 23:54:40 ID:hTsbsopuA2
ドンッ
神父3「ふぎゃっ!?」ベシャッ
母「マルク!噛みつきよ!!」
マルク「ばうっ!」ガブッ
神父3「ンギャアアアアア!!!」ピョイッ
カロル「……あ、あぁちょっと…!」アワアワ
母「坊や!こっちに来なさい!変態神父はマルクが退治してくれるわ!?」
ガブッガブッ ギャァッ イテェッ
カロル「…マルクっ!!」
マルク「」ピタッ
母「マルクっ!!!!」
マルク「」ガブガブ
神父3「はんぎゃあああ!!いだだだだっ!!!」
カロル「(ごめんなさい、おじさま……)」ガクッ
神父3「イッタァァウウィィイイイ!!!」バタバタ
カロル「(お母さまを説得したら治すから…ちょっとだけ我慢しててね?)」ハラハラ
母「骨まで噛み砕きなさい!坊やに変な気起こしたお仕置きよ!!」プンプン
カロル「(時間掛かるかも……ホントにごめんなさい)」
イタァァァッ!! ガブガブ イタァァァッ!!
302: ◆WEmWDvOgzo:2015/1/1(木) 00:07:05 ID:Gs0K8eI9OM
>>290
気になったのでPart3まで見てみました!
ただただ商人にムカムカしてます!
グズのエンカウント率が高すぎて僧侶が不備です!
ことごとく善意を利用されて悪者にされていくサマに心底腹立たしさを感じました!
最後まで読んでみます!面白いSSを教えてくださってありがとうございます!
このSSでまとめの名作を連想していただけたなんて光栄です!
支援ありがとうございました!
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします!!
992.81 KBytes
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