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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


22: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:31:14 ID:4HN.k5LX7c
宣教師「いましたか?」

ミシング「書斎にもいないし大きい家具の中とか庭まで探してみたけど……ちょっと見つかんないねー」

宣教師「まさかとは思いますが……私達の目を盗んで森に遊びに行ったのでは」

ミシング「おてんばだねー!夕飯までに帰ってくればいいけどー?」

宣教師「探しに行かないと…!」

ミシング「…え?帰り待ってればいいじゃん?」

宣教師「こんな暗い時間に子供たちだけで森を彷徨かせるのは危ないでしょう!」ガチャッ

ミシング「心配しすぎじゃなーい?
あの子たちだって奥までは行かないだろうし、この辺に危険な獣もいないんだから……」

宣教師「何かあってからでは遅いんですよ…!あなたは留守番お願いします!」ダッ

ミシング「…行っちゃった」

ミシング「(宣教師ってばカロルくんがいなくなってから変わったなぁ。ゆとりが無くなってる……)」

ミシング「あーあ……ミシングちゃん、せっかく色々準備してたのにぃ〜お子ちゃま達もなにしてんのかなぁ?」
23: 名無しさん@読者の声:2014/11/17(月) 21:32:45 ID:Yvo8yJ8Q8A
連載された初めの頃から毎日見てましたがまさか続きがくるとは!!!
これで辛いことも乗り越えられそうです!
24: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:33:46 ID:Y7BaV1vgDU
―――森―――

ヒュールルルー

ルーボイ「……あれ、どっちだったっけな」スタスタ

ナラ「ルーボイ…まよったの?」

孤児1「えー!」

孤児2「ルーボイ兄ちゃんダッセー!」

ルーボイ「うるせぇ!?迷ってなんかねーやい!?」

ナラ「おそら、まっくら……かえんないと…」

ルーボイ「分かってるよ…!だから今、帰ってんだろ!?」

孤児1「おなかすいたー」

孤児2「ねむたーい」

ルーボイ「あぁもっ!うるせぇな!?」

グルルルルル グルルルルル

ナラ「」ビクッ

ルーボイ「……ん?」クルッ
25: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:35:18 ID:Y7BaV1vgDU
野犬1「」グルルルルル

野犬2「」グルルルルル

野犬3「」グルルルルル

孤児1「あー!ワンワンだー!」キャッキャッ

孤児2「ワンワン!ワンワン!」キャッキャッ

ナラ「だ、ダメ!あぶないよ!」ガシッ

ルーボイ「な、なんだよ!文句あんのか!?」

野犬3「」ギロッ

ルーボイ「ひぃっ!」ブルッ

バウッバウッ バウッバウッ

孤児1「ワンワン……」シュン

孤児2「ナラ姉ちゃん、こわいよー…」ダキッ

ナラ「だ、だいじょぶ…だよ?」サスサス

ルーボイ「そ、そうだぞ!俺が守ってやっからな!」アセアセ

バウッバウッ バウッバウッ

ルーボイ「(こ、こんなやつら…!マルクに比べりゃチビだし!ビビってねーし!)」ブルブル

野犬3「がうっ!」バッ

ルーボイ「うおおお!!」バッ
26: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:37:00 ID:Y7BaV1vgDU
―――辺境の孤児院―――

グツグツ コトコト

ミシング「みんなまだかにゃー。カボチャのスープが煮えちゃうよ」カチャカチャ

ガチャッ

ミシング「んにゃ?」

ラム「ただいま」

ホビット1「遅くなってごめん!買ってきましたよ!」

ミシング「あ、四人ともおかえりー!こんな時間まで何してたのー?待ちくたびれちゃったじゃーん!」

ホビット2「だって……また町の人間が絡んできたり、買い物してても並んでるのに順番無視してきたり…」

ホビット3「予約してたステーキ肉も無いとか言われて…」

ミシング「…そっかー。ミラルドの町も布教を進めてるけど…難しいねー」

ラム「…それよりみんなは?」キョロキョロ

ミシング「どっか遊びに行っちゃったみたい?」

ラム「え?まだ帰ってないの?」

ミシング「あれれ?ラムくん知ってる感じ?」

ラム「うん…。ルーボイがお昼にみんなを連れて森に行ったけど……?」

ホビット1「キレイなお花畑があるから、そこに行こうって言ってたよね?」

ホビット2「そうそう」

ミシング「お昼って…もう夕方じゃん。ホントに迷子だったりして?」

ラム「僕らで探しに行こうか?」

ミシング「うーん…いーよ?宣教師が探しに行ったし!わたしたちは準備しよ!」

ラム「準備ってルーボイたちが…よく見たらなんにも飾り付けしてないね?」キョロキョロ

ホビット1「帰ってからやるつもりだったんでしょう!僕たちでやりますか!」

ホビット2「そうしよう!」

ホビット3「宣教師さんが帰ってくる前に準備しないと!」

ミシング「そゆことー!わたしは買ってきた食材、調理しちゃうから飾り付け頼んだよー!」
27: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:41:39 ID:Y7BaV1vgDU
―――森―――

スタスタ スタスタ

ルーボイ「いぢぢ……」ズキズキ

ナラ「ルーボイ……へいき?」

ルーボイ「へっちゃらだっつの!あいつら俺にビビって逃げてったぜ!」ニシシ

孤児1「こわいよー!かえりたい!」グスッ

孤児2「ねー!かえれるの!?」グスッ

ナラ「うん…かえれるよ?がんばってあるこーね?」ナデリ

ルーボイ「いってぇ〜…あいつら、スゲー咬むんだもんな…?」ズキズキ

宣教師「あなた達!?」タタタッ

ルーボイ「あ、宣教師様!」

宣教師「やっと見つけましたよ!」ザッ

孤児1「いんちょー!!」バッ

孤児2「えーん!ワンワンこわかったのー!」バッ

宣教師「えぇ、えぇ、もう大丈夫ですからね?」ダキッ

ルーボイ「宣教師様!もう帰ってきたのかよ!?」

宣教師「帰ってきたのかよ…じゃないでしょう!!」ガァーッ

ルーボイ&ナラ「」ビクッ

宣教師「こんな時間まで子供だけで出歩くなんて何を考えてるんですか!?」

ナラ「ご、ごめんなさい」シュン

ルーボイ「……!」グッ
28: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:45:32 ID:4HN.k5LX7c
宣教師「言い出しっぺは誰です!?」

孤児1「ルーボイおにいちゃんだよー」

宣教師「ルーボイくん…ダメでしょう!広い森で迷ったり獣に襲われたりしたらどうするんですか!?」

孤児1「ワンワンがね、こわかったのー」

孤児2「ルーボイ兄ちゃん、迷子になったよー」

宣教師「それ見たことですか!」

ナラ「せ、せんきょうしさま!ちがうの!ルーボイは……」

ルーボイ「いいよ、ナラ!」

ナラ「でも……」

宣教師「…な、何かあるんですか?理由があるのでしたら、ちゃんと説明してくださらないと…」

孤児1「あのねーもりにおは……」

ルーボイ「わー!!ごめん、宣教師様!俺がみんなを無理やり誘ったんだ!」ペコッ

宣教師「……?」

ルーボイ「ほんとにごめん!みんなもごめんな!」

孤児2「いいよー」

ナラ「わたしもとめなかったから…」

宣教師「ふふ…キミが素直に謝るなんて…どういう風の吹き回しですか?」ニコッ

ルーボイ「悪いことしたら謝る!じょーしきだし!」エッヘン

宣教師「クスッ…帰りましょうか?」

孤児1&2「かえろー!!」
29: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:47:58 ID:Y7BaV1vgDU
―――辺境の孤児院―――

ガチャッ

宣教師「遅くなってすみません、子供たちが見つかり……」

ミシング「いっせーのーせ!!」

宣教師「」ビクッ

ミシング&ラム&ホビット1、2、3「お誕生日!!おめでとう!!!!」

宣教師「……!?」

ルーボイ「おめでとう!宣教師様!」パチパチ

ナラ「おめでとう!」パチパチ

孤児1、2「おめでとー!!」パチパチ

宣教師「え?え?」チンプンカンプン

ミシング「みんなで準備してたんだよー?宣教師のお誕生日会!」

宣教師「わ、私の誕生日…?」

ミシング「まぁ1週間くらい過ぎちゃったけどねー!宣教師ったら忙しいんだもん!」

宣教師「こ、この飾りは皆さんで…?」

ホビット1「さっき急いでやったんです!」

ホビット2「折紙を輪っかにして繋げたり、お花の形にしてみたり……安い飾り付けですけど」

ホビット3「画用紙を糊で繋げてみんなのメッセージを壁掛けしたんですよ!」

【(祝)22才!おめでとう☆】

【おつかれさま!いつもありがとう!】

【いんちょーだいすき!またあそぼね!】

【宣教師様はホビットの希望!】

宣教師「(ひ、一人一人が手書きのメッセージを……)」ポカン

宣教師「」ウルウル
30: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:52:09 ID:Y7BaV1vgDU
宣教師「(よく見たらテーブルに料理が並んでる…)」

ズラァァァ

ミシング「ふふーん!ミシングちゃんの手料理だよー?へそくりはたいて奮発したんだからー!?」

ルーボイ「あ!ステーキは!?」

ホビット1「ステーキ肉…売ってもらえなくて…クラクネスのステーキなら……」

ルーボイ「えー!?川魚かよ!?」

ミシング「リンゴのジュースと白菜のシチューもあるよー!
あまーいふかし芋もあるし豪華絢爛ってやつだよねー!」

孤児1「ジュース!ジュース!」

孤児2「おイモー!」

ルーボイ「ステーキ食いたかったのに!」

ミシング「サプライズもあるんだなーこれが?」ニヤリ

ルーボイ「サプライズ?」

ナラ「…せんきょうしさま」

全員「え?」チラッ

宣教師「っ…!っ…!」ポロポロ

全員「!?」ビクビクゥッ
31: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:53:34 ID:4HN.k5LX7c
宣教師「ずび…ずいまぜん…!わらひ……ひぐっ」ポロポロ

ミシング「……」ニコッ

孤児1「いんちょ?イタイタイなの?」

孤児2「いたいのいたいの飛んでけー!」ナデナデ

宣教師「っ…!へぇ…きでずよ…?」ニコッ

ルーボイ「なっきむっし!なっきむっし!」ワイワイ

ナラ「ふふ!なきむしー!」ワイワイ

宣教師「き、キミたちが…泣かせ……あぅぅ!」ポロポロ

ラム「あはは!いつまで泣いてるのさ?ご馳走が冷めるよ?」クスクス

宣教師「こんな…こんな嬉しくて…泣き止めなんて……ひどい仕打ちにも程があります!」

ミシング「じゃあ泣き虫はほっといて席に着いちゃおっか!」

ガタッ ガタッ ガタッ ガタッ

宣教師「ぞんなぁ…!ひどすぎます…!」ポロポロ
32: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 21:58:15 ID:Y7BaV1vgDU
宣教師「うぅ…ひんっ…!」グズグズ

ラム「泣きすぎ……」シラー

宣教師「止まらないんですもん!しょうがないでしょう!?」ポロポロ

ミシング「はーい!サプライズの特製ケーキだよー!」トンッ

ホビット1「ささ!火を吹き消して!」

ホビット2「蝋燭は一本しかないですが…22本あると思って!」

宣教師「……!ふぅーっ!」

シュッ

ワーワー! オメデトー!

宣教師「うあああん…!!」ブワァッ

ルーボイ「まだ泣くのかよ!?」

ナラ「ルーボイ…あれ!」チョンチョン

ルーボイ「あ、そうだ!」ゴソゴソ

宣教師「まだ…なにか?」グズグズ

ルーボイ「へへっ!この為に森に行ったんだぜ!」ゴソゴソ
33: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 22:02:44 ID:Y7BaV1vgDU
ルーボイ「くらえ!」バッ

宣教師「ひっ…!……は、花?」キョトン

孤児1「ルーボイおにいちゃんとみんなでとってきたのー!」

孤児2「カリアムのお花!」

宣教師「……!」ハッ

ナラ「ここにかえってきたとき…かびんにいけてたカリアムのはな、かれてておちこんでたよね?」

ルーボイ「へへーん!プレゼントなんだぜ!」

宣教師「(出会った当初にカロル君がくださった花……留守にしてる間に枯れてしまったんですよね…)」ズーン

ミシング「黙っちゃってどうしたのー?」ウリウリ

宣教師「あ、いえ…嬉しいです!ありがとうございます!」

ラム「ふふ…喜んでもらえて良かったね?みんな?」

ホビット3「うんうん!こっちまで嬉しくなりますよ!」

ルーボイ「じゃあ食おうぜ!」

ミシング「はいはい!いっぱいおかわりしちゃっていいからねー!」

孤児1「ジュース!ジュース!」

ラム「はいはい、入れてあげるからグラス貸して?」

ナラ「ミシングさん…ケーキじょうず!」

ミシング「でしょでしょー!?」

ワイワイ ワイワイ

宣教師「(どうしましょう…今日は人生最高の日です…!)」ジーン
34: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 22:06:03 ID:4HN.k5LX7c
〜〜〜〜〜〜

ミシング「みんな寝ちゃったねー!がんばって準備したから疲れたのかにゃー?」ジャブジャブ

宣教師「そうですね…。私なんてまだちょっと泣きそうです…」カチャカチャ

ミシング「あはは!洗い物やっとくから宣教師も寝ていいよー?疲れ溜まってんでしょー?」ジャブジャブ

宣教師「…あんなに活力を頂いてしまったら疲れなんて吹っ飛びますよ」

ミシング「だねー!あの子たちがやりたいって言い出したんだよ?」

宣教師「そうなんですか?」

ミシング「うん、3ヶ月くらい前かなー。ルーボイくんのお誕生日会したでしょ?
終わった後にルーボイくんとナラちゃんとラムくんがわたしのとこ来て宣教師様の誕生日はいつ?って聞いてきたの」ジャブジャブ

宣教師「…そんなに前から?」

ミシング「なんだかんだ忙しい合間を縫って子供たちの誕生日会開いてるじゃん?
恩返ししたかったんだと思うよ?」キュッキュッ

宣教師「恩返しなんて…むしろ感謝するのは私の方ですよ」

ミシング「ラムくんの時なんか祝ってもらった本人がびっくりしててリアクション取れなくてさ!
代わりにホビットの3人が『誕生日を祝ってもらえるなんて初めてだー』って大喜びしてたじゃん?」

宣教師「そうでしたね…。あの後、共用の寝室で普段はクールなラム君が枕に顔を埋めて泣いていたとナラから聞きました」

ミシング「ナラちゃんもだけどねー!『今まで祝ってくれる人なんていなかった』って大泣きしてたもんねー」カチャカチャ

宣教師「あの子もまた…実の親に捨てられ、教団でも仲間はずれにされ…苦労してきましたからね」

ミシング「昔はどもっちゃって人と喋れなかったんだっけ?わたしが初めて会った時もたどたどしく聞こえたし?」

宣教師「今ではハキハキと喋るようになって成長が感じられます…。みんな大きくなっていきますよね」

ミシング「うんうん!ルーボイくんも成長したよー?最近はチビちゃん達を泣かせなくなったし!」

宣教師「そうですね…。彼が一番、成長したかもしれません」

ミシング「みーんな順調に育って…嬉しいけどさびしいなーなんて」

宣教師「えぇ…ですが寂しさを上回る喜びを感じられます」

ミシング「ねー…」ジャブジャブ
35: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 22:09:34 ID:Y7BaV1vgDU
ミシング「あのさ…」

宣教師「はい?」

ミシング「こないだの慈善活動家の訪問でさ、孤児1くんを家族に迎えたいっていう夫婦がいたんだけど」

宣教師「……里親が現れましたか!」パァァ

ミシング「本人にはまだ言ってないんだよね」

宣教師「? なぜです?」

ミシング「いいのかな」

宣教師「喜ばしい知らせではありませんか?」

ミシング「…たぶん嫌がるよ?」

宣教師「え?」

ミシング「あの子だけじゃなくて…みんな。これから先、里親が現れても受け入れられないんじゃないかな」

宣教師「ど、どうして…?自分だけの家族が出来ますし…」

ミシング「里親を欲しがる子ってさ、あんまり今の環境に満足してない子だと思うんだよね」

宣教師「は、はぁ…」

ミシング「宣教師は優しいもん。みんな知らない人と暮らすより…ここに残りたがるよ。絶対に?」

宣教師「……ですが今の私は身動きが取れませんし、ほとんど留守にしてますし」

ミシング「…あの夫婦には他の孤児院、紹介しといたから」

宣教師「……!?」

ミシング「ここは幸せすぎるんだよ。すごくいい事だけど…孤児院としては良くないかもね」

宣教師「ミシング…」

ミシング「だからさ、無理に別れさせて悲しませるより、わたし達で面倒見よ?」

宣教師「……で、ですが」オロオロ
36: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 22:11:18 ID:4HN.k5LX7c
ミシング「みんな集めて話してた孤児院問題さ。確かに良くないよ?
でもね、ああいう孤児院の方が里親に引き渡しやすいと思う」

宣教師「…何が言いたいんです?」

ミシング「あれはやりすぎだけど…ちょっと不自由な形での運営も視野に入れないと、いつか里親を拒む孤児で溢れるよ?」

宣教師「はぁ…」

ミシング「王国の圧政で田舎町とか村の生活水準が低下してた頃に盗賊と孤児が溢れたでしょう?
あの頃からまだ1年しか経ってないんだよ?」

宣教師「…なんと言われようと虐待や差別を認める気はありません」

ミシング「……そっかー。聖職者の鑑だね、宣教師は」

宣教師「あなたの口から、そんな言葉が出たのは意外でしたよ…」

ミシング「ミシングちゃんも色々考えてんだよー?」

宣教師「……」

ミシング「軽蔑しちゃった?」ニコッ

宣教師「……いえ、私の留守中に子供たちを見てきたあなただからこそ…心配になるのでしょう?」

ミシング「まぁ、ね…。ゴメンね、ハッピーな日に変な話しちゃって」キュッキュッ

宣教師「…いつもありがとうございます」

ミシング「?」カチャッ

宣教師「今日の幸福があったのはあなたがここを守ってくれているから…感謝せずにはいられませんよ?」ニコッ

ミシング「…ここはわたしに任せて宣教師はやりたい事しなよ?
あんたの理想は…わたし達の理想でもあるんだから?」ニコッ

宣教師「…全ての方に幸福を…必ず実現してみせます」
37: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/17(月) 22:18:11 ID:Y7BaV1vgDU
>>23
な、なんということでしょう!?
最初の頃といえばもう2年前ですよ!?
そんなに前から読んでいただけていたなんてもう言葉に出来ない嬉しさです!!
むしろ自分の方が励まされました!
これで辛いリアルも乗り越えていけそうです!!
ありがとうございます!
38: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/18(火) 22:17:49 ID:YSi2nOfsJM
―――西の国(王宮)―――

モクモク モクモク

女王「ふぁ〜………」トロォン

側近「お楽しみの最中、恐縮です」スッ

女王「アハァン……そなたに取り寄せてもらった神の草……悪くはないぞよ?」フゥゥゥ

側近「それは良うございました。王国産のハニーベリー…お気に召していただけましたか?」

女王「〜〜…たまらぬ香りよなぁ…?
ハニーベリーなる煙に満たされておれば…妾を潤す数多の快楽が霞むわ、霞む?」トロォン

側近「(あぁ…!あぁ…!陛下が……陛下が私を…私だけに労いの言葉をかけてくださっている…!)」ゾクゾク

女王「この王宮をハニーベリーの甘美に満たしたい?
このファルージャの為に再度、取り寄せておくれな?」ニヤァァァ

側近「ははぁっ!!陛下の為とあらば身命をも賭す所存!!」ザッ

ファルージャ「はんっ…?大げさじゃのう…?して、何用かしら?」

側近「はっ!本日のスイーツを御用意致しました。入れ!」サッ

ザッザッ

美男's「」ズラァァァ

ファルージャ「フゥ〜…!」キラキラ

側近「どれでも好きにお召し上がりくださいませ」スッ

ファルージャ「はぁん?これは迷わせる品揃えじゃな?どうしたものやら…?」ジロジロ
39: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/18(火) 22:19:41 ID:YSi2nOfsJM
ファルージャ「では……そなた?」ビッ

美男1「はっ!」スッ

側近「名と階級を!」

美男1「名はウィキッド!階級は平民にございます!」

ファルージャ「ウィキッドか…良い名よ?」

美男1「ありがとうございます!」

ファルージャ「はぁぁ…側近?」

側近「はっ!衛兵共よ!そやつを取り押さえよ!」

ザザッ ガシッ ガシッ

美男1「え!?な、なにを!?」ジタバタ

ファルージャ「妾は階級を申せと命じたな?」

美男1「で、ですから…」

ファルージャ「平民は階級ではあるまいに?
花の名を申せと言われ、゙雑草゙と答える愚者がおるのかえ?」クスクス

美男1「そん…な……」

ファルージャ「処刑せよ?妾の口には合わぬ?」

ズルズル

美男1「い、イヤだぁぁ!!命ばかりはぁぁ!?」ズルズル

バタンッ

ファルージャ「クスス……次?」ニコリ
40: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/18(火) 22:21:20 ID:7ZmvR.FKR.
美男2「私は名門騎士族の出。フィライクと申します」

ファルージャ「ほう?騎士を名乗るだけの事はある?精悍な顔付きではないか?」

美男2「恐悦至極にござる」

ファルージャ「妾の正面に立つ事を許しましょう?おいでなさい?」

美男2「はっ!」スッ

ファルージャ「…口を開いてごらんな」

美男2「」カパッ

ファルージャ「そぉうそう……舌を伸ばして?」

美男2「」ベーッ

ファルージャ「まずは味見……んちゅっ」パクッ

美男2「」ビクビクッ

ジュルッ ニュチッ ジリュリュ クチャッ ジュルルル

ファルージャ「…フゥ。まずまずの味」タラーン

美男2「」ピクピク

ファルージャ「なんと……意識が飛んでしもうたわ?側近?」

側近「はっ!」

ファルージャ「惰弱は要らぬ?」

側近「衛兵共!」

ザザッ ガシッ ズルズル

ファルージャ「次はそなたにしましょうか?」ビッ

美男3「」ビクッ
41: ◆WEmWDvOgzo:2014/11/18(火) 22:24:07 ID:7ZmvR.FKR.
〜〜〜〜〜〜

ファルージャ「フゥ〜…」ツヤツヤ

側近「ご満足なされましたか」

ファルージャ「……何ゆえ妾の渇きは癒されぬ?」

側近「は?」

ファルージャ「…惰弱な性では事足りぬと言うのじゃ?」

側近「さ、左様で……」

ファルージャ「この憂いを晴らすような愉快な話が舞い込んではこないものか…?」

ガチャッ

官吏「失礼致します」

側近「…何か?」

官吏「陛下にお目通し願いたいと申す者が城を訪ねて参りました」

側近「…何者だ?」

官吏「東の王国よりの使者と……」

側近「王国だと?巡礼で起こった内乱の詫びか?」

官吏「はてさて…お付きも連れず一人でしたし、みすぼらしいが恰幅のよい殿方で」

側近「…怪しいな。追い返せ」

官吏「ではそのように」

ファルージャ「お待ちなさいな?」

官吏「は?」

ファルージャ「お招きしなさい?客人として丁重にネェ?」ニコッ

官吏&側近「」ドッキュン

側近&官吏「(陛下が私に微笑みかけてくださった…!)」ドキドキ

ファルージャ「」ニヤニヤ

側近「は、はようお招きせんかい!?」

官吏「はいよろこんで!!」ダッ
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名前:
sage:


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