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カロル「ボクが世界を変えてみせる」【完結編】
[8] -25 -50 

1: ゆったりペースになりますが! ◆WEmWDvOgzo:2014/11/16(日) 20:09:52 ID:N4jwCkModw
1スレ

少年「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/l10

2スレ

カロル「ボクが世界を変えてみせる」

http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbss/test/mread.cgi/ryu/1385288769/l10

―――あらすじ―――

それは遠い昔のお話
人と人は長い長い争いに身を投じ、互いを許せないまま30年もの月日を互いの血を流すことに費やしました

しかし長い争いはいつまでもいつまでも終わる気配もなく
人を傷付け、愛を蝕み、心は枯れて、命は絶えて、いつしか疲れ果てて……やがては目的さえ見失ってしまいました

そんな終わらない争いの果てに一つのきっかけが巡るのです
それは人と人との争いに無関心だったホビット族に原因があると唱える迷信でした
その迷信はあまりにも唐突で、あまりにも不自然な内容でしたが痩せ細って震える人々、争いに疲れきった国々はホビットに全てを擦り付けて争いを終わらせようと決めたのです

戦争が鎮まった後、各国に迷信を掲げた王国は大規模な宗教団体を立ち上げました
その団体は教団と呼ばれ、戦争を納めた功労者であるノワール・バントン司祭を筆頭に教徒達による布教活動が開始されました

布教の内容はホビット族が人間から゙癒しの力゙と呼ばれる特別な能力を奪ったというもので……
これを軸に様々な悪評を並べ立てて人々の心にホビット族への憎しみを焼き付けます
ありもしない神の作り話にいざなわれ、人々は信者へと洗脳されていきました

それから約40年の間、教団による布教活動は続き、思惑通り人々は順調にホビット族を差別していました
人間はことごとくホビット族の住み処を侵略し、奴隷にしてみたり、愛玩用に飼い慣らしてみたり、時には残酷な拷問を加えて見世物にしたり、罪深き種族と罵って横暴の限りを尽くします


177: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 11:45:22 ID:o6D2/o4bEU
>>176
おぉ!お疲れさまです!
ここまで読んでくださってありがとうございます!

178: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:22:24 ID:Y26KlcU0dY
〜〜〜朝〜〜〜

―――山間の村(入り口)―――

役員「もう行くだか?」

家畜商「寂しくなるだなぁ?」

母「えぇ、あまり長居してしまいますと憩いが生まれそうなので?」

役員「そりゃいいべ!おめぇ達も村の住人になるといいだ!」

母「嬉しいお言葉ですけど…そうもいきません?」

役員「…そうだか」シュン

母「お世話になりました」ペコッ

カロル「また牛さんのミルク搾らせてね!」

家畜商「もちろんだべ!犬っころにも、またマープと追いかけっこしてもらうかもな?」ナデリ

マルク「ワンッ!」シッポフリフリ

母「…ではそろそろ?」

役員「…そうだな」

クーペ「お待ちください!」タタタッ

役員「お?クーペでねぇか?どうしただ?先生と一緒に診療所の大掃除さしてたんじゃねぇんか?」

クーペ「お二人が…旅立っていかれると……」ゼェゼェ

母「まぁ?わざわざあたし達に別れを言いに?そんな気を遣わなくてもよかったのに…?」

クーペ「それもありますけど……これを」つ【薬包紙】

母「……これは?」パシッ

クーペ「昨晩、先生と相談して作った調合薬です」

母「あ、ありがとうございます…。でも坊やがいますからあたし達は…?」

クーペ「知ってます!なので敢えて毒薬を作ってみました?」ニコッ

母「毒薬!?」

役員「ま、まぁたそげなもん作って…危なっかしいなぁ?」

クーペ「一口に毒と言いましても大した効果はないですから安心してください?せいぜいお腹を壊してしまう程度です?」
179: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:25:31 ID:Y26KlcU0dY
母「ど、どうしてあたし達に?」

クーペ「まだまだ差別は無くなってませんから…わたしも同じホビット族なので旅の苦労はよく分かってます。
どうかお二人の身に危険が迫ったらお使いください」

母「そうですね…ありがとうございます。それじゃ遠慮なく…」

カロル「……」

クーペ「…どうしたの?」キョトン

カロル「あ、ううん。なんでもないんだ?」ニコッ

クーペ「…そっか?」ニコッ

カロル「うん!大切にするね?」

クーペ「…わたしと先生が村にいられるのも君たちのおかげだよ?本当にありがとう?」ニコニコ

カロル「…ちゃんと向き合えば分かってくれる人達だからボクらがいなくても仲直りできたよ?たぶん?」ニコニコ

クーペ「そうだよね…。わたしも反省したよ?
勝手に分かり合えないって勘違いして…大事なものを失うところだった」シュン

母「お互い様よ?ね、村長さん?」

役員「んだ!お互い様、お互い様!恨みっこなしだべ!」

カロル「そういえば村の人間に飲ませた毒ってなんだったの?」

クーペ「あれ?あれはね……」

役員「」ゴクリ

クーペ「水に混ぜるとお酒になる薬だよ?」

カロル「えっ」

母「えっ」

役員「えっ」

クーペ「ホントに毒だと思ってたの?」キョトン
180: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:28:24 ID:Y26KlcU0dY
クーペ「かなり強いから知らずに飲むとひどく胸焼けするけど…無味無臭でのど越しもいいからお酒だって気付かないんだよね。
西のホビット族に伝わる製薬法でね?元々は消毒液に使う為の薬なんだ?」

カロル「へー!すごーい!お母さま、知ってた?」

母「知らなかったわ?あたし自身は人間の村に生まれたからお父様に聞いた話でしか……。
夫と暮らしてたホビット族の集落でも医術に関わってなかったもの?」

クーペ「ホビット族と一括りにしても地域毎に独自の風土を築いてますからね。
それぞれで文化も性質も異なりますし…わたしの調合術も実はわたしの生まれ育った集落独自のものなんですよ?」

母「へぇ…製薬に長けたホビットもいるのねぇ」

クーペ「他にも木工や草編みを得意にしてる部族もいますよ!
鉄鋼や石器、錬金術では人間に及びませんが自然物の恵みを利用する術では負けない自信があります!」

役員「そりゃ頼もしいだなぁ!やっぱりホビットを迎えて正解だったべ!」

家畜商「あぁ、この村は安泰だな!」

カロル「……ふふ!じゃあ行くね?」

役員「おう!気ぃ付けてな?」

クーペ「探し人、見つかるといいですね!」

家畜商「また来るだぞー」

母「えぇ、それではまた…?」スタスタ

カロル「またねー!」フリフリ

マルク「わんっ!」シッポフリフリ
181: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:33:36 ID:Y26KlcU0dY
バタンッ

役員「…行っちまっただな」

クーペ「…明るくていい方々でしたね」

憲兵1「おーい!?」ダダダッ

役員「おんや?憲兵さん達でねぇか?ぞろぞろとどうしただ?」

憲兵1「あ、あのホビット達は!?」

クーペ「たった今、出ていかれましたけど」

憲兵1「そうですか!追うぞ!?」

憲兵's「ははっ!!」

家畜商「ちょっと待つべ?どういうこった?」

憲兵1「あの二人!指名手配されてるんですよ!さっき手配書を見直したら…まるっきりあの二人でした!」

役員「はぁ!?なんかしたんだべか!?」

憲兵1「はい!とても大きな事を!」

クーペ「そんな…悪いことをするようには見えませんでしたよ?」

憲兵1「その逆です!あの二人はこの国を変えた救い主なんですよ!?」

役員「えぇぇぇえええ!!?」


クーペ「そ、それってもしかして…先の巡礼で現国王と和睦を結んだ…?」

家畜商「な、なんでそんなスゲェのがこんな山にいるんだべ!?」

憲兵1「和睦を結んだ矢先、忽然と姿を消してしまわれたそうで!この1年、ずっと探していたんですよ!」

役員「はぁ…おったまげた」
182: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:40:46 ID:j7UOLnkwP.
憲兵1「一刻も早く王都に連れ帰らないと!?」

役員「うんにゃ!そうはいかねぇだ?」バッ

クーペ「」バッ

家畜商「」バッ

憲兵1「え…?ど、どいてください!一刻も早く…!」

憲兵's「」ザザッ

役員「そっとしとくべ?」

クーペ「何か目的があって姿を眩ませたのなら…まだその目的に辿り着いてないのでしょう」

家畜商「黙って見送るのが筋だべ」

憲兵1「し、しかし…!」

役員「頼む!オラたちに免じて追わねぇでけれ!」

クーペ「まさか救い主様の意思を無視して捕まえたりしませんよね?」

家畜商「うんだ!ほっといてやれや!」

憲兵's「」オロオロ

憲兵1「…はぁ。分かりました。その代わり、上に報告します。
ここを放置してしまう訳にもいきませんからね」

役員「」ホッ

家畜商「しっかし救い主様だったとはなぁ…。全然そんな風には見えなかったべ」

クーペ「…そういうものなんじゃないでしょうか?
本当に偉業を成し遂げる方は決して傲らないんだと思います?」ニコリ

憲兵1「…はぁ。連れ帰れば王都で働けたかもしれないのになぁ」ボソッ

役員「ここじゃ不満け?」ジロッ

憲兵1「あ、いや、なんでもないです…」アセアセ
183: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:44:02 ID:j7UOLnkwP.
―――南の領土(山の入り口)―――

ゾロゾロ ゾロゾロ

マドラス「…さぁて?今日こそ下ってきやがるか?」

兵士6「どうですかねぇ」

ザッザッ ザッザッ

マドラス「クッククク!来たかぁ?賞金首がよぉ…?」ジャキッ

スラッ ジャキッ ジャキッ ジャキッ

行商人「ん……ひえっ!?」ビクッ

マドラス「…ちっ!またハズレか…」

行商人「し、失礼しましたー!」ダダダッ

兵士6「…本当に下りてくるんですか?」

マドラス「まさか…獣道を通って下りたんじゃねぇだろうな…?」

兵士6「え?それじゃ…」

マドラス「ふん。ヘタしたら先回りしてんのも気付かれてるかもな。
俺達が来る前に山小屋を跡にしてたのもそうだが…妙に勘働きの鋭い奴らみてぇだ」

兵士6「ど、どうしましょう…。既に山を下りてるかも…」

マドラス「いや…険しい道を行ったんなら時間は掛かる。
どこから出てくるかは予測出来ないが……少なくともまだ遠くには行ってねぇさ」

兵士6「何か策はないのですか!ここで待っていても時間の無駄ですよ!」

マドラス「…まあ任せとけよ?俺は南の賞金王と呼ばれた男だぜ?
金額の付いた首はすべて刈ってきたんだ…。こんな大仕事、逃す訳にはいかねぇよ」

兵士6「で、ではどのように…?」

マドラス「散り散りに山の周辺を探れ。なるべく人の足で通れそうな辺りをな」

兵士'「承知しました!」ザザッ

パカラッパカラッ パカラッパカラッ

マドラス「……王国軍に嗅ぎ付けられねぇ内にケリを付けないとな」
184: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:49:40 ID:j7UOLnkwP.
―――城(謁見の間)―――

召し使い1「国王様のおなーりー!」シャラシャラ

ヒメ「」スタスタ

ヒメ「待たせたな?楽にしてよいぞ?」ストンッ

官吏2「お初にお目にかかりまする、西よりの使者、トピと申します。以後お見知りおきを」ザッ

ヒメ「…余は第9代国王、ヒメである。苦しゅうない」

トピ「ははーっ」バッ

ヒメ「此度の貿易解禁…誠に感謝しておる。まさか西の国が我が国と友好の証を立ててくれるとは思ってもみなかった?」

トピ「失礼ながら王国の現状は非常に不安定であると察します。
我らが女王陛下も頭を悩ませ、常日頃より力になれぬものかと嘆いておられました」

ヒメ「そうであったか。心遣い痛み入る…」

トピ「王国とはその昔、終わらない争いで競い合い、多くの国々が滅びる中で共に生き延びた誇り高き盟友!助け合うのは当然かと!」

ヒメ「(ふん。戦争が終わった今も武器の製造や軍の増強に力を入れてる独裁者がよく言うな…?)」

トピ「残念ながら女王陛下は多忙を極め、こちらには参られぬのですが…わたくしが代わってお礼を申し上げまする!貿易を承認いただき、感謝致します!」ザッ

ヒメ「礼を申すのはこちらの方だ。此度をきっかけに得た協力関係を崩さず守って参りましょう、と伝えてくれ」

トピ「ははーっ!」バッ

西の兵士's「」ババッ

ヒメ「大義であった。西との国家交流開始を祝して、そなたらをもてなしたい。召し使い、会場へ案内して差し上げろ」

召し使い1「承りました!ささ、お客様!どうぞこちらへ!」
185: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:52:16 ID:Y26KlcU0dY
〜〜〜夜〜〜〜

―――城(ダンスホール)―――

ワイワイガヤガヤ

大后「まぁお美しい色彩で?西の国の絹糸は鮮やかでいらっしゃいますのねぇ?」キャッキャッ

西の官吏3「大后様にお似合いかと存じまして…我が国の美容顧問官お墨付きの品にございます」

大后「まぁ?このような可憐なドレスをあたくしに?感激ですわ〜!?」

ヒメ「(…相変わらずだな、母上は)」シラー

政務官「ご気分が優れませんか?」

ヒメ「まぁな。とは言っても…来客の歓迎パーティーだ。僕がいないと示しが付かない」

政務官「暫しの辛抱です。お付き合いください」

ヒメ「分かってる…」

給仕「陛下!お待ちかねのイチゴ100パーセント生搾りドリンクになります!」スッ

ヒメ「おぉ!気が利くな!」パシッ

給仕「陛下はイチゴが大好きですもんね!」

ヒメ「」ゴクゴク

給仕「どうですか!」

ヒメ「最高だ!120点やる!」バッチグー

給仕「ありがたき幸せ!」ニコッ

ヒメ「おかわり!」

給仕「はーい!ただいまー!」タタタッ

政務官「(まだ幼い部分を除けば威厳あるお方なのだが…)」
186: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:54:57 ID:Y26KlcU0dY
政務官「(西の国の狙いをお伝えするべきか…迷うな)」ウーン

ヒメ「…何かあったのか?」

政務官「い、いえ…」

ヒメ「向こうと交渉してきたのはおまえだろ?何かとキナ臭いあの国がそう易々と歩み寄ってくれるとは思えないな?」

政務官「気まぐれなお方でしてな…」

ヒメ「…そうか」

政務官「ご心配なさらず…この件は私に一任していただきたい」

ヒメ「この大変な時に…めんどくさいな」ハァ

政務官「…どのみち戦争を回避するにはある程度の妥協はしかたありますまい。
なんとか抑止力になり得る交渉材料を模索してみましょう」

ヒメ「おまえに任せてもいいが独断は許さないぞ?」ジッ

政務官「心得ております」

ヒメ「ならいい…。パーティーを終えたら議場で役人志願者の投票方法を検討するが…おまえは出席するのか?」

政務官「…よろしければ目の前の大事に集中させていただけませんか」

ヒメ「そうだな。大きすぎる問題だ。ひとまず国内の思案からは離れていいぞ」

政務官「はっ…」ペコッ
187: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 20:57:39 ID:Y26KlcU0dY
―――城下町(噴水広場)―――

ランランルー ランランルー

魔導師「んぐ」ムシャッ

テントの親父「どうです!王国名物ブレイズチキンのお味は!?」

魔導師「油っぽい鳥の焼死体」ポイッ

テントの親父「えぇ!?なにしてんですか!」

魔導師「菜食主義なのさ」

テントの親父「…じゃあなんでわざわざ肉焼いてる店に……」

魔導師「」スタスタ

テントの親父「ちっ!異国の変人が……」ジュージュー
188: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 21:01:49 ID:Y26KlcU0dY
魔導師「まったく面白味のない町だねぇ…。城下がこれじゃあ離れの領地も期待出来そうにない」スタスタ

西の官吏3「パカラゥロ様!なにをしておられるのです!」タタタッ

魔導師「やあ、ちょこっと観光したくてねぇ」

西の官吏3「困ります!パーティーに出席して向こうの国王にご挨拶していただかなければ…」

魔導師「堅苦しいのは嫌いさね。君らで好きにやればいい」スタスタ

西の官吏3「し、しかし!失礼ながらパカラゥロ様は女王直属の配下…本来ならば先頭に立って国交に務めていただくのが筋かと!」

魔導師「んふふ…バカ言うんじゃないよ?自分は秘宝の奪取を任じられた尖兵じゃないの?」

西の官吏3「…そ、そうでしょうが……」ポリポリ

トピ「あーら、パカちゃん?どこ行ってるかと思えば遊んでたの?」トットッ

魔導師「……?」

西の官吏3「あ、トピ!もうパーティーは終わったのか?」

トピ「終わったわよーん?あのガキ王様、なーんにも疑わなくて助かっちゃうわーん?」

西の官吏3「…なんか変じゃないか?」

トピ「えー!なにがーん?」

魔導師「シャルウィン……」ボソッ

西の官吏3「えっ」
189: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 21:04:34 ID:j7UOLnkwP.
トピ「いやーん!バレちゃったー?」ガッ バリバリ

女装家「はーい!シャルウィンちゃんでしたー!」バッ

西の官吏3「えっえっえっ」

魔導師「なにしてんだい…?君はお留守番だろう?」

女装家「抜け駆けしようたってそうはいかないのよーん!?」

西の官吏3「い、いったい何が?トピは!?」

女装家「アタシは美容のプロフェッショナルよ?顔面パックを変装用に仕上げるのなんてお手の物!
本物のトピちゃんのお顔を上手に剥がしてお手入れしたらピッタリなマスクが出来上がり!ブォホホホホ!!」ケタケタ

西の官吏3「か、顔を剥がして?」ゾクッ

魔導師「…で、一緒に行動するのかい?」

女装家「ジョーダン!?手柄もオネェ様のご褒美もアタシがもらっちゃうんだからぁ!?」

魔導師「……」ジトー

女装家「パカちゃんには申し訳ないけど、そういうものでしょん?」ニタリ

魔導師「そうさねぇ…。西の国の在り方は弱肉強食。苛烈な競争。自分ら三銃士もご他聞に漏れず…」

女装家「そーゆーこと?」パチンッ

西の兵士's「」ザザッ
190: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 21:06:43 ID:Y26KlcU0dY
魔導師「手が早いねぇ?」

女装家「アンタが引き連れた兵隊はアタシが頂いてくわよ?文句ある?」

魔導師「いいよ。もう王国に入れたし」

女装家「欲が無くて素敵ネェ?」

魔導師「さてさて、さてさて、さてさて」スタスタ

西の官吏3「どこへ!?」

魔導師「お城でくつろいでおいでよ?自分は自分で適当にやるさ?」スタスタ

女装家「パカちゃんったら…ひとりぼっちになっちゃってかわいそー…ぷふっ!」プークスクス

西の官吏3「で、ではシャルウィン様、城に戻りましょうか」

女装家「そうねぇん?今夜は客室の豪華なベッドで休んで明日から捜索しましょ?」

西の官吏3「なりません!シャルウィン様が我らを率いるのであれば、こちらに滞在するのです!」

女装家「え!?なんで!?」

西の官吏3「今回の目的は貿易ですので買い取る品の生産地を選び、量や質の見定め、値段の交渉から受け取り方法等、無数に話し合わなければなりません」

女装家「なにそれどんだけぇー!?聞いてないんですけどー!?」

西の官吏3「さぁ参りましょう」ガシッ

女装家「あ、あんのブキミ男…!?
厄介事押し付けやがったなぁ〜!?覚えとけよゴラァッ!?」ガァーッ
191: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/10(水) 21:09:29 ID:j7UOLnkwP.
魔導師「んふふ…してやった気になってたんだろうけど…織り込み済みなんだよねぇ」スタスタ

魔導師「と言って自分もあてはない、か」

魔導師「まずは長旅に秀でた足を買おう」

魔導師「ヒントは風に乗ってあちこちをヒソヒソと飛び回るものだ」

魔導師「この国にだって闇はある。それはどの国も同じ」

魔導師「闇はいい。落ち着くし、黄金の光に当てれば穏やかに真実を語ってくれる」

魔導師「深い深い闇に漂う真実は……暖かい光に輝く嘘をいともたやすく塗り替える」

魔導師「仄暗い場所を巡っていけば…いずれは真実に辿り着くさ。ゆったりとさすらおう」

魔導師「んふふ…んふふふふふ」

ザワザワ ヒソヒソ

町人1「なにあれ気色悪い」

町人2「なんかヤバい感じの独り言だな。かわいそー」

町人3「通報しよ、通報」

町人4「さっきも西の国の集団がふらふらしてたしおっかねーなぁ」
192: 名無しさん@読者の声:2014/12/11(木) 09:58:07 ID:AM6qSDkAuI
1話から全部読んだー
続きが気になるーはよはよ
193: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/11(木) 23:02:21 ID:eiHvlEoF06
〜〜〜朝〜〜〜

―――南の領土(平地)―――

母「だ、大丈夫よね…」キョロキョロ

カロル「平気だよ、お母さま。マルクに案内してもらって人間の匂いがするとこは避けて下りたんだから?」スタスタ

マルク「あんっ!」スタスタ

母「で、でもこの平坦な道だと身を隠すような物もないわ?もし追ってこられたら…」

カロル「平気!マルクを信じてあげて?」

マルク「わぅん!」コクンッ

母「そ、そうよね…。次もまた人里に行くの?」

カロル「うん!町とか村なら宣教師さまに会えるかもしれないから!」

母「…でも村の憲兵さんの話だとあたし達、指名手配されてるみたいよ?
もし捕まってしまったら王子や宣教師様に会う前に始末されるかもしれないわ…?」

カロル「ちゃんと話せば分かってくれるよ!ボクたちは悪いことしてないもん!」

母「(今までほとんど話の通じない人ばかりだった気がするんだけど……)」

カロル「それに何があったってお母さまはボクが守るよ?」ニコッ

母「(あぁもう…こんな風に言われると止められないじゃない!)」ジーン

カロル「次はどんなところかなー?楽しいといいね!」ルンルン

母「そうね…。まともな人間がいることを願いましょう?」

スタスタ スタスタ………
194: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/11(木) 23:04:12 ID:jZkTi8yDIE
―――南の領土(ホルウィの町)―――

ワイワイガヤガヤ

修道女「賑わいがあって良い町ですね?」スタスタ

教徒「うんうん、領主の評判も悪くないし町人も明るい。旅人や行商の出入りが多いのも頷ける」スタスタ

司教「孤児院も見て参りましたが子供たちもみな笑顔でしたな。司祭様?」

宣教師「そうですね。この分ですと領主の方も話しやすい人柄なのだと思えます。
それから何度も言いますが私は司祭ではありません」スタスタ

司教「なにをおっしゃいますか?教団を束ねるお方は司祭様と決まっておりましょう?」

宣教師「…私は教団を任された宣教師です。高位に就いた覚えはございません」

修道女「まぁまぁ…」アハハ

ギャーギャー ワーワー

教徒「おや?向こうの広場で何か騒ぎが起きているようで…?」

修道女「見て参りましょうか?」

司教「領主への挨拶が先だ」

宣教師「…司教さん。二人を連れて先に領主邸を訪ねてください」

司教「ん?司祭様にも来ていただかなければ?」

宣教師「私は宣教師です」スタスタ

司教「あ、あぁ…!」

修道女「では戻られるまでお待ちしましょうか?」

教徒「ああなってしまったら誰にも止められませんよ。諦めましょう、司教様」

司教「…あきれたお方だ」ガクッ
195: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/11(木) 23:06:42 ID:jZkTi8yDIE
―――ホルウィの町(広場)―――

宣教師「はい、すみません、すみません?通していただけますか、すみません?」ギュウギュウ

ギャーギャー ワーワー

宣教師「こ、これは…」

カンッカンッ ガッ ビシッ ボスッ

宣教師「木剣など振り回して…危ないですね」

司会「さあさ!予選会はどの対戦も白熱してるぞー!勝ち上がって決勝大会に進むのは一体誰なんだー!?」

宣教師「あぁ、なるほど…剣術の大会ですか。規模も大きく内外から人が集まるこの町なら催しも必要ですよね…」

ウオオオォォォオオオ

バゴォッ ドサッ

司会「いったああああ!やはり今回も奴が賞金を手にするのか!ウッド・ヴァージスが一番乗りで勝ち星を上げたぞおおお!!」

ワーワー キャーキャー

宣教師「…あの様子だと負傷者が続出しそうですね。
しかし、ああいった行事は住人も大切にしていたりしますし…難しい問題です」

ワーワー キャーキャー

宣教師「…お金を吊るして戦わせる悪趣味な遊びと取るか、純粋な競技と捉えるかは人それぞれですし、ここは目を瞑っておきますか」

宣教師「さて、あまり待たせるのも悪いですし私も向かいますか。すみません、通してください!」ギュウギュウ
196: ◆WEmWDvOgzo:2014/12/11(木) 23:09:42 ID:eiHvlEoF06
―――領主邸(庭)―――

領主「領主のホルウィと申します!どうぞよろしく!」ガシッ

宣教師「どうも。国王の命によりしばらく教団を任されてます、宣教師です」ガシッ

ホルウィ「よくいらっしゃってくださいました!さ、お席にどうぞ!」

宣教師「その前に…お待たせしてしまって申し訳ございませんでした」ペコリ

ホルウィ「いやいやお気になさらず!司祭様に頭を下げていただいてはかないませんぞ!さ、座ってください?」

宣教師「私は司祭では……まぁいいです。本日はお時間を取ってくださり、誠に感謝しております」カタッ

ホルウィ「いやいやとんでもない!お付きの方々もどうぞ楽に?」

司教「お言葉に甘えさせていただきます」カタッ

教徒「失礼します」カタッ

修道女「広いお庭ですね?」カタッ

ホルウィ「ぶははっ!自慢の庭ですよ?なんせ150枚もの金貨を投じて造らせた庭ですからなぁ!」

司教「150枚…!?」

ホルウィ「芝や石畳、池から橋から何から何まで職人の創作によるものでしてね!
なんとこの屋敷だけで500枚もの金貨が!?ぶははっ!笑いが止まりませんよ!?」ニシシ

宣教師「……そんなお金、どこにあったんですか?」

ホルウィ「いえね、こう見えてあたくし、元は商家の出でして?
ちょっとした商いをする傍ら、こうして領地を任されておるのですよ?」

司教「……?確かホルウィ様は貴族では?」

ホルウィ「えぇ、えぇ、そうですよ?15年ほど前に爵位を買いまして?」

教徒「買う…?」

ホルウィ「貴族というのは国から認められた高位の身分でしてね。
投資という形で国に援助する見返りに各地の貴族や高官、文化人の集うパーティーに参加する資格を得られたり、他にもある程度の後押しを約束された選ばれし人間なのですよ!」

宣教師「(こういうことを平然とおっしゃる人ってどういう神経の持ち主なんでしょうか…)」シラー
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名前:
sage:


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