前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
849: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/22(金) 00:35:30 ID:DE8XnBMSq2
団長「…で、永遠が存在しないと分かった貴様は計画を降りると言うのか?」
アリアス「えぇ、夢物語に胸をときめかせるのは、もうやめにするわ?
永遠なんてなくても余生を楽しむ時間はたっぷりあるのだし…今まで通り宗教で大儲けしようと思うの?」
団長「…言っておくが貴様らの犯した愚行を許すつもりはないぞ?」
アリアス「鋭く睨むあなたの目…好みよ?でもやすやすと裁かれる気はないわ…」
カロル「け、ケンカはダメだからね!」アセアセ
アリアス「人殺しがよく言う?」
カロル「っ……」シュン
アリアス「まぁあんたの言う事も一理あるかもね?私だって無益な争いは避けたい?」
団長「いずれにせよ貴様のような逆賊に動かれるのは御免だ。おとなしくしてもらうぞ?」
アリアス「イヤだと言ったら?」クスッ
団長「貴様の意思に委ねはせん。犯した罪には罰が下る」
アリアス「たいした自信だこと?」
団長「貴様こそ、その余裕はどこから来る?」
アリアス「自分たちは戦闘訓練を受けた国の精鋭…なんて勘違いして胸を張ってんでしょうけれど……」ユラユラ
団長「む!?」ピクッ
アリアス「あんまり過信しないこと…よ!?」ザッ
カロル「だ、団長さん!あぶな……」
850: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/22(金) 00:38:27 ID:oJM2UgZ8k.
アリアス「もう間に合わないわぁ!!ほぉら、捕まえ……」ガシッ
団長「ふんぬ!」ガッ
アリアス「え……!?」グンッ
ドシャッ!
アリアス「か、がっ…ばふぅ〜…!」ビクンビクン
団長「この女、一端に柔術を遣うのか…」パンッパンッ
カロル「あ、あれ…?なにがあったの…?」パチクリ
アリアス「(わ、技を返された…。この私が…!?)」バックンバックン
団長「あまり過信せぬ事だな?その程度の腕でワシを打ち負かそうなど笑わせる?」フンスッ
アリアス「あ、あん…た!なに…もの…!?」ギリギリ
団長「王族に仕える私兵だ。日々の戦闘訓練もなかなか侮れまい?」
アリアス「ぐっ…くっ…くくききぎぎぎ!!」ワナワナ
団長「身の程知らずが…王子の痛みを思い知らせてやる?」
カロル「団長さん…!」ジーッ
団長「む?」キョトン
カロル「そ、その…殺し、ちゃうの?」オドオド
団長「……」
カロル「もし…そうなら、やめておいた方がいいんじゃないかな…。お、王子さまだったら…しないと思う…」モジモジ
団長「…信用がないのだな。まぁ部下の起こした間違いの後では…それも当然か」
カロル「へ?」
団長「私的な感情で殺人はせんよ。ワシとて節度ある人間のつもりだ」
カロル「し、信用じゃなくって…団長さん、王子さまのことになるとまっすぐだから!」
団長「ん?んぅ…それはまぁ主君と配下の間柄なのだから忠誠を誓っておるが」
カロル「忠誠はよくわかんないけど…王子さまが大好きなんだよね!」ニコッ
団長「だ、大好きとは違う気もするが……」
アリアス「あ、あんた達ねぇ…!」ムクッ
851: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/22(金) 00:40:42 ID:DE8XnBMSq2
団長「なんだ?まだ歯向かうのか?」
アリアス「似合わないヒゲ生やして調子に乗るんじゃないわよ…!」ググッ
団長「ひ、ヒゲはよかろう!別にかっこいいと思った訳じゃなくてだな…ほっといたら勝手に生えて、剃るのも面倒だっただけで……」モジモジ
アリアス「こんなところで躓いてられないのよぉ…!司祭様やアントリア神官とは違う…永遠でなくても私にはまだまだ未来がある!」ヨロッ
団長「…よろめいてるじゃないか。抵抗せんでも命までは取らんぞ?」
アリアス「私はねぇ…ダガのバカとは違うのよ…!自分の力だけで教団内での地位を高めた…!
報酬は贅沢な暮らし…イイ男!大豪邸!別荘!馬車!ご馳走にパーティーに使用人!
この世のありとあらゆる欲望を満たさないと私の苦労は報われないのよぉ!?」ワナワナ
団長「…う、うむ。正直だな…」ウーン
カロル「夢がいっぱいあっていいな…。ボクもみんなで住めるお家が欲しいよ…」シュン
アリアス「さっきは油断してたわ…。まさかチャンバラごっこの延長みたいな訓練しかしてない能無しに柔術の心得があるなんてねぇ?」
団長「国を守るという重責を負うからには多少なりと武道に精通しておらねばな」
アリアス「あーそう!?なんだろうとまぐれは一度きりよ!もう油断はしない!その浅ましく勝ち誇った顔を……」
ガツンっ!
アリアス「ぜつぼんごぅおっ!!?」ボゴッ
ドシャッ
???「私もです。拷問されてる間、あなたの勝ち誇った態度を打ちのめして差し上げたいと夢見ていました」ムスッ
アリアス「」ピクピク
団長「お、おぉ…!」マジマジ
カロル「…あはっ!宣教師さま!」ニコッ
852: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/22(金) 00:43:13 ID:DE8XnBMSq2
カロル「無事だったんだ!」パァァ
宣教師「……」ジーッ
カロル「?」キョトン
宣教師「」プルプル
団長「無事でよかったが…なんだ、その…どうかしたのか?」
宣教師「どうかしたのかですって!?」キッ
団長「」ビクッ
カロル「」ビクッ
宣教師「…う、う、うれしいに決まってるじゃないですかぁ!!」ダッ
カロル「……えへへ」ニコニコ
宣教師「カロルくん!?ご無事でなによりです!?」ダキッ
カロル「宣教師さまも!」ギュッ
宣教師「すみません、すみません…!いつもいつも偉そうに説教ばかりしておいて肝心な場面ではなんのお役にも立てなくて…!」ガクッ
カロル「そんなことないよ?宣教師さまはいつも大切な事を教えてくれるし、何度もボクらを助けてくれたじゃない?」ポンポン
宣教師「うぅ…!しかし思えば、まともに助けたのは最初の一度だけ…!
それ以降、やることなすこと空回りしてばかりな気が……」グスンッ
カロル「ううん?宣教師さまは…ボクとお母さまの希望なの。宣教師さまがいてくれるから、人間を信じる時に迷わなくていいんだ…?」ポンポン
宣教師「き、キミという子は……帰ったら山盛りのビスケットを焼いてあげますからね!」スリスリ
カロル「よくわかんないけどやったー!」パァァ
団長「どっちが慰められとるんだか…」
853: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/22(金) 00:53:53 ID:DE8XnBMSq2
ギチギチ ギチギチ
アリアス「」グッタリ
団長「よし、これだけ縛れば自由に動き回れないだろう」
宣教師「荒縄なんてよく常備してましたね?」
団長「憲兵という職業柄な」
カロル「アリアスさん、全然起きないね?」チョンチョン
宣教師「つ、強く打ちすぎましたかね…?」オロオロ
団長「そこそこ大きめの石で後頭部を強打したんだ。死んでいてもおかしくはないな」
宣教師「し、死…!?い、いけません!私はなんと重い罪を…!!」アワアワ
カロル「寝息立ててるから平気だよ?それにさっき宣教師さまのついでに癒しておいたから!」
宣教師「あ、ありがとうございます!危うく人を殺めてしまうところでした!」アセアセ
アリアス「んぅ…んふふ…ふふふふ」ニヘラヘラ
カロル「どんな夢見てるのかな?」
宣教師「にやけ方からして、あまり口に出せないような下卑た夢なんじゃないでしょうか?」
団長「うむ、まぁ大丈夫だな?ほっといて行くぞ?」
宣教師「そういえば王子様と一緒に交渉している最中だったのでは?」
団長「決裂してしまったのだ。アントリアに阻まれてな」
宣教師「や、やはり神官を切り崩せないと先は見えませんか」
団長「だが…奴の真の目的が分かった。永遠の命など無いと知れば……」
宣教師「神官も諦める、と?」
団長「あぁ…一刻の猶予もない。王子の身に何も起こらん内にケリを着ける」
カロル「向こうに戻ろっ!王子さまが心配だもの!」
団長「うむ!行くぞ!」ダッ
宣教師「は、早っ!二人とも俊足すぎますよ!」ダッ
タタタッ………
854: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:08:37 ID:/YPO/qMeVM
―――舞台周辺―――
近衛兵10「がふっ!うっあぁっ!」ブバッ
バタッ
ラム「」スッ
近衛兵11「ぜ、全滅させた筈なのに…!どうなってんだ!?」ワナワナ
ラム「ふっ…ふふふ!あっははははは!!」ケラケラ
近衛兵11「くっ…!」チャキッ
ラム「あーおかしい?まぁ見つかったのが運の尽きと思ってよ?」クスクス
近衛兵11「た、確かに我々は愚かにも…感情任せにお前の同族を殺めてしまった!
だが今は後悔している!その証拠にこうして手分けして埋葬……」
ラム「…あのさ」ハァ
近衛兵11「あ!?」
ラム「約束破って殺して土に埋めて後悔してますって…バカにしてるの?」
近衛兵11「そ、それは…」
ラム「今は味方がいないから僕一人を相手するのも怖いんだろうけど?」ヘッ
近衛兵11「……!」グッ
ラム「どうせ大勢でいたら寄ってたかって攻撃してくるクセに?」ジトー
近衛兵11「そ、それはない!私はお前たちと分かり合えると信じてる!」アセアセ
ラム「あははっ!嘘くさっ!」プゥクスクス
近衛兵11「(く、くそっ!ムカつくガキだな…!こうなったら一か八か…いや、しかし戦闘中に安全圏から見ていたが、こいつ結構強かったしなぁ…)」
ラム「ん…覚悟はいーい?」チャキッ
近衛兵11「あ、いや…待ってくれ!話せば分かる!」アワアワ
855: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:14:30 ID:/bNAXD9JeU
近衛兵11「わ、私は止めたんだよ!けどあいつらが勝手に……」
ラム「ふーん、そうなんだ。えらいねー」シラー
近衛兵11「ま、まじめに聞け!」
ラム「まじめに聞いてどうするの?結果は変わらないのにさ?」
近衛兵11「いや、しかし、でも……」マゴマゴ
ラム「止めた止めたって言ってもさ?止まってなかったら同じでしょ?」スタスタ
近衛兵11「く、来るな!」タジッ
ラム「お前らの言い訳なんて聞き飽きたよ」スタスタ
近衛兵11「う…えやあぁぁぁああ!!」ビュンッ
ズバッ
ラム「…ったいなぁ、もう…!」ダラァ
近衛兵11「ああ、そうさ!殺ってやったさ!
なんせてめぇらは薄汚いホビットでしかねぇんだからよぉ!?」ハァッハァッ
ラム「あっそ、言ってれば?」シュゥゥゥゥ
近衛兵11「あぁ!?なんだ、すかした野郎だな!
その細っこい首ごと切り落としてやろうか!?」ゲヘヘ
ラム「いいよ。替えが利くから」シュゥゥゥゥ
近衛兵11「あ?お、おい…なんだそりゃ?」
ラム「なに?傷を回復しただけだよ?」クイックイッ
近衛兵11「はぁ!?だ、だってお前……癒しの力…」
ラム「うん、使えないよ?」
近衛兵11「あぁ!?じゃあなんで…!?」
856: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:19:42 ID:/bNAXD9JeU
ラム「これは癒しの力じゃないのさ。だから自分ではコントロールできないんだ?」ジリジリ
近衛兵11「い、癒しの力じゃねぇんなら…なんだってんだよ!?」
ラム「…それはね?」ジッ
近衛兵11「そ、それは…?」ゴクッ
ラム「」ヒュンッ
ブシャッ
近衛兵11「え……」プシャァァァァァ
ラム「その装備…変えた方がいいよ。胴体と頭しか守れてないから首元ががら空き…」
近衛兵11「」バタッ
ラム「ま…いまさら遅いけどね?」ツンツン
ラム「」チラッ
ワァアアアアアア
ラム「椅子が並べられてる先の平原、ずっと騒がしいけど…あそこに人間が集まってるのかな。無駄に遠くて見にくいよ」ジーッ
ラム「ふふ…教団?それとも王国?どっちでもいいけど?」スタスタ
ラム「ん?」ピタッ
ゾロゾロ ザクッザクッ パッパッ
ラム「へぇ…本当に弔ってるんだ?バカなやつら?」
ラム「ふふ。でもいいこと思い付いちゃった?」クスッ
ザッサッ ザッサッ……
857: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:22:54 ID:/bNAXD9JeU
―――客席最後列―――
アントリア「ハハ!手も足も出ないとは、まさしくといった具合かな?」ニヤニヤ
ヒメ「アントリアぁ!?おまえ…剣闘士の誇りはどうしたぁ!?」ジタバタ
信者4「黙れ!神に仇成す異端者め!」ガッ
アントリア「誇りか…。しばらく見ない間に腐らせていたようだ?」
ヒメ「目を覚ませ!教えてやっただろ!
こいつの言う事は何もかもでたらめだ!おまえらは騙されてるんだよ!」ジタバタ
信者5「騙したのはどっちだ?さんざん民から血税を絞り、優雅な生活を送っておいて!」ガッ
アントリア「…人望の無さは父譲りかな?なんとも言いがたいが?」
ヒメ「なんでだ!なんで誰も信じてくれない!?あんな奴にいいように踊らされて!それでいいのか!?」ジタバタ
信者6「ふん…今までいいように使ってきといてよく言いますよ。
あんたみたいな世間知らずのお坊っちゃまが聞こえのいいおためごかしを唱えたとこで誰も聞く耳持ちゃしません」
ヒメ「…くっそぉ!」
アントリア「命まで奪う気はない…か。裏を返せば命を奪うだけの気概はない訳だ」ズシッ
ヒメ「む…ぐぅっ!」ジャリッ
アントリア「案の定、信者たちに取り押さえるよう命じた時…貴方は剣を握り締める力を弱めた…?」グリグリ
ヒメ「だったら……なんだ!?」ギリッ
アントリア「…中途半端な覚悟しか持てない人間は、その重荷に耐えきれず、沈んでしまうものだよ?
やはり遂げたい志があるのなら初めから全てを背負う気でいなければね?」パッ
ヒメ「…オレはおまえとは違う!人を騙して、貶めて、強引に理解を得ようとするやり方は有害で悪質だ!」
アントリア「ふっ…民にしてみれば今までされてきた事をやり返す絶好の機会だ。みすみす逃すまいよ?」ニヤリ
ヒメ「おまえは間違ってる!」
アントリア「フハハハハ!ならば君はどうなのかね?全面的に正しいとでも?」
ヒメ「……!」ググッ
アントリア「君も僕もある程度の犠牲を見過ごして歩み続ける…ごく普通の人間さ?」クックッ
858: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:26:46 ID:/bNAXD9JeU
ギャーギャー ワーワー!
ギュウギュウ グイグイ
ルーボイ「どけよ!通れな…あ、やっと抜けたぞ!」
ミシング「もうやだぁ…。お姉さん疲れちゃったよー」
ナラ「……なに、してるの?」
信者8「な、なんだ、お前ら!ここはガキが見物していいような場所じゃないぞ!」
ミシング「はーい!大人同伴ですよー!」
アントリア「…なんだね、君たちは?
今は危険だから子供や女人は下がっていなさい?」
ルーボイ「はぁ!?なんだし!?ってかじいさん誰だよ!?」
信者4「き、貴様ぁ!!神官に向かってなんたる暴言!?」
ミシング「ちょ、ちょっとぉ…?口悪すぎだよー?
そんなんじゃ話し合いもできないじゃないの?」アセアセ
ナラ「し、しんかん……じゃあ、このひとがアントリアしんかん?」
アントリア「いかにも僕がアントリアだが…何か用かね?」
ヒメ「な、なんだ…こいつら…?」
859: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:29:38 ID:/bNAXD9JeU
ルーボイ「へっへーんだ!俺、ぜーんぶ知ってんだからな?」ビシィッ
アントリア「知ってる?何を知っているのだね?」
ルーボイ「伝承なんて嘘っぱちだ!ほんとは癒しの力でえんえん命したかったんだろ!?」
信者4「えんえんいのち?」ポカーン
信者5「な、なに言ってんだ?」
ナラ「ちがうよ、ルーボイ!えいえん!えいえんのいのち!」
ルーボイ「え?あ、そっか!永遠の命が欲しかったんだろ!?」ビシィッ
アントリア「……!」ピクッ
信者6「は?永遠の命?」
信者7「バカだな。そんな都合のいい話があるか?」
ナラ「たいじゅにいやしのちから、つかって…みがなったら、えいえんのいのち…もらえるって?」オドオド
信者9「え?え?な、なに?本当か?」オロオロ
信者8「そ、そういえば…司祭様と神官に頼まれて大樹を蘇らせたって癒しの力を持った化け物が言ってたよな?」オロオロ
信者10「ん、んなぁバカな話がありますか!
司祭様が私達に黙ってそんな……ね、ねぇ、神官!?」クルッ
アントリア「そ、それをどこで聞いた…!?」ワナワナ
信者's「えっ」
ルーボイ「俺は司祭様と付き人が喋ってんの盗み聞きしたんだぜ!どうだ、スゲーだろ?」フフン
ナラ「わたし…しさいさまから、ちょくせつ……」
ミシング「あたしはこの二人から聞きましたー!」
アントリア「ノワール…!くっ…!」ギリッ
860: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:34:22 ID:/YPO/qMeVM
信者4「し、神官?うそ…ですよね?」
信者5「ま、まさか我々に内緒で…自分たちだけ永遠の命を手にしようとしてた…なんて考えませんよね?」
信者6「し、し、しんかぁん…!教団まで私達を騙してたんですかぁ…!?」エグッエグッ
信者7「う、うそに決まってる!子供の空想に惑わされんな!」
信者8「で、でも…私達の理想国を創る為じゃなくて私利私欲の為だったんなら…」
信者9「う、うぅ…王国の悪政に苦しめられてきた私達にとって…唯一あたたかい光をもたらしてくれた教団さえも…民を利用するんですかぁ!?」グシグシ
信者10「神官!はっきりしてくださいよ!?嘘なんですよね!?」
アントリア「ふっ…クックッ!」
信者's「」ビクッ
アントリア「なぜ狼狽えるのだ、諸君は?」
信者4「え…そ、それは…」アセアセ
アントリア「どこで聞いたのか知らないが…たいしたものだよ?想像としては面白い?」
ルーボイ「想像じゃねーし!」
ヒメ「(この男…まだ真実を隠していたのか…!くそっ!どこまで狡猾なんだ!?)」ジャリッ
アントリア「この子達を捕らえなさい。教団の名を汚す教徒は等しく罪深い?」
信者6「はい!」ダッ
信者7「よくも騙そうとしたな!司祭様を侮辱しやがって!」ガシッ
ルーボイ「うわぁっ!?な、なんだよー!大人のくせに子供いじめんのか!?」ワタワタ
ナラ「ひやっ!ひぃっ!さ、さわらない…で」ブルブル
ミシング「イヤーん!ちょっ…ちょっと!どこ触ってんの!スケベ!?」ペシペシ
ヒメ「(交渉の時点で暴けていたら信者たちの意識を覚まさせられたかもしれないのに!!)」ググッ
861: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:37:11 ID:/bNAXD9JeU
ドカスカ! ギャーギャー!
アントリア「……」
ヒメ「アントリア!もし、あいつらの話が本当ならどこに実を隠してるんだ!?」
アントリア「さぁ?僕には関わりのない話だ?」
ヒメ「そういえばずっと司祭の姿が見当たらないな!奴が持ってるんじゃないのか!?」
アントリア「っ……」
信者4「」ハッ
信者5「そ、そういえば…司祭様はどちらへ?」キョロキョロ
ヒメ「(よし!拘束の手が緩んだ!)」バッ ダダッ
信者4「あっ!?」パッ
信者5「は、離しちゃった!」ウッカリ
アントリア「くっ!また切り合うつもりかね?」スラッ
ヒメ「ふん!窮屈だから離れただけだ!あ〜あ、服が砂だらけじゃんか!」パッパッ
信者4「く、くそっ!」ダッ
ヒメ「はぁぁっ!?」ダッ シュッ
ボコッ
信者4「げらっぱ!?」ドカァッ
信者5「こ、このガキ!?」
ヒメ「確かに命まで取る覚悟はない。だが意識を刈り取る程度なら覚悟はいらないぞ!」バッ
信者5「ひっ!あ、あ…」オロオロ
ヒメ「…アントリア!ノワール・バントン司祭はどこにいる!?」キッ
アントリア「う……」タジッ
862: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:41:39 ID:/bNAXD9JeU
ルーボイ「おぉ!あいつスゲーな!俺もジャンプしてキックしてみたい!」キラキラ
ミシング「言ってる場合じゃないんじゃないのー!あ、ちょっと今おっぱい触んなかった!?」ギャーギャー
信者7「さ、さ、触ってないし!触ったとしても事故だし!?」アタフタ
ミシング「なーに言ってんの?うら若き乙女の艶肌は高いんだからねー!」プンスカ
信者8「んなのいいから押さえとけ!こらっ!暴れんな!」グイッ
ナラ「わーん!ママ、ごめんなさい!いいこにするよ!ナラいいこにするからぶたないでっ!」ビエー
信者9「こ、この子だけおかしいぞ?」アセアセ
信者10「な、なんだろ?掴まれたりするのにトラウマでもあんのかな?」アセアセ
ナラ「いやぁ!やめっ…て!ふたりっきりにしないでぇ!いたいの、やだよぉっ!」ジタバタ
ルーボイ「おい!ナラ嫌がってんだろ!」
信者11「や、闇が凄まじい…」
信者12「虐待とか受けてたりして…」
ルーボイ「ナラはなぁっ!母ちゃんに捨てられてんだよ!そん時にたくさんひどいことされてんだぞぉ!?」ガァーッ
ナラ「あ、あたらしいパパなんていらないよ!からだ、べたべたしてくるもん!パパなんていらない!」グズグズ
信者12「な、なんかスミマセン」アセアセ
信者13「ご、ごめんね〜?乱暴にしないから泣かないで〜?」アセアセ
信者14「は、離してやれよ?可哀想だ?」
パッ パッ パッ
ナラ「ひっ…ひっ…」エグエグ
信者15「お、おい!誰かお菓子持ってる!?」キョロキョロ
信者16「ほら、いないいないばぁ〜!」ベロベロバー
ナラ「あーん!」ビエー
ミシング「…チャーンス」キランッ
ルーボイ「…ナラが引き付けてる間に!」ソローリソローリ
863: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:48:30 ID:/YPO/qMeVM
ヒメ「答えられないのか!?」ザッ
アントリア「(ノワール…!一体、なにをしているんだ!すべて筒抜けになってしまったじゃないか…!)」
信者5「神官……」
ルーボイ「へへ!俺、知ってるぞ!」スタスタ
ミシング「かっこいいよー!ルーボイくん、ジャジャーンと言ったげて!?」スタスタ
ヒメ「おまえ…本当に知ってるのか?」
ルーボイ「おう!てか会ってきたし!」
アントリア「なっ…!?」バッ
ルーボイ「大樹の裏っかわに宣教師様と付き人といたぜ!
なんかもう実を手に入れたっつって…王国に持ち帰って増やすんだってよ!」
アントリア「な、なぜ…君のような子供があそこに!?」
ルーボイ「へ?えーっと…」モジモジ
ミシング「ほんとはここに来て近くで大樹を見たかったんだけど迷子になっちゃったんだよねー?」ナデナデ
ルーボイ「わー!言うなよ!?ダセーって思われるだろ!?」アタフタ
ヒメ「まだ司祭はそこにいるのか?」
ルーボイ「ん?いるけど死んじゃったもん」
ヒメ「!?」
アントリア「なんだって!?」
信者5「司祭様がぁ!?」
ミシング「…え?なにそれ聞いてない!」アタフタ
864: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/23(土) 22:53:14 ID:/bNAXD9JeU
ルーボイ「見つかって殺されそうになったんだけど、ラムっていうホビットが助けてくれたんだぜ!」
ヒメ「ラム…!あいつか!?あの憎たらしい態度ばっか取る!?」
ルーボイ「そうそう。性格ひねくれててカッコばっか付けてるヤツ。あいつが司祭様を殺したんだ!」
ミシング「そ、それやりすぎじゃない…?」オロオロ
ルーボイ「…俺の村のこと王国にチクったの司祭様だもん」ボソッ
アントリア「…な、なら実は?実はどうなった!?」
ルーボイ「しらねー!ラムが食いに行くっつって宣教師様が止めに行ったから!」
アントリア「なっ…なっ…」
ヒメ「実の存在、認めたな?」ジロッ
アントリア「」ハッ
ヒメ「冷静なおまえらしくもないミスだな?さすがに予想外だったか?」
アントリア「くっ…」
信者5「神官!やっぱりそうなんですか!?」
アントリア「…」チラッ
ザワザワ ジロジロ
ヒメ「どうした?周囲の視線が気になるか?」
アントリア「…いや?」
ヒメ「安心しろ?全員もれなく聞こえてるからな?」
865: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/24(日) 17:51:24 ID:F7QSLrs3M6
ヒメ「観念して全て打ち明けてみたらどうだ!」
アントリア「ふぅーっ……」
ヒメ「永遠の命欲しさに一連の騒動を裏で操っていたんだろ!?」
アントリア「…まさか我が教団内に裏切り者がいたとは?」
ヒメ「…おい!悪あがきもいい加減に……」カッ
アントリア「ホビットにそそのかされ、ありもしない話をうまく刷り込まれたのだろうね?」
ザワッ
アントリア「そして愚かにも…ノワール司祭を殺める手助けまでしてしまった?」チラッ
ルーボイ「はぁ?ちげーし!ラムが勝手にやったんだよ!宣教師様なんかスゲー止めてたんだからな!」
アントリア「うん、そうだね。君は操られているだけなのだろう。おそらく首謀者はその宣教師とホビット……」
ルーボイ「だからちげーっつの!」
アントリア「ホビットと共闘して教団に復讐する腹積もりかな…。堕ちるところまで堕ちたものだ」
ヒメ「堕ちたのはおまえだ!追い詰められて根拠のないでたらめを……」
アントリア「この中に大聖堂で修行中の教徒はいないか?」
信者13「た、たしか真ん中辺りに教徒の方々が並んで……」
アントリア「人混みの中、すまないが呼んでもらえるかな?」
信者13「はい!」
ミシング「…今さら教徒なんか呼んでどうするのかなー?」
ルーボイ「おい!ずりーぞ?どうせ打ち合わせてんだろ?」
ヒメ「いや、それはないと思う」
ルーボイ「え?なんでだよ?」
ヒメ「ここまで暴かれるのは予想してなかった筈だ。
あいつはずっとここにいたから、口裏を合わせる機会がない」
ルーボイ「そ、そうなのか?」
866: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/24(日) 17:58:06 ID:F7QSLrs3M6
信者13「いました!大聖堂で修行中とのことです!」
教徒1「お呼びでしょうか?」スタスタ
アントリア「君はノワール司祭のお気に入りだった宣教師を知っているかね?」
教徒1「えぇ、知ってるも何も有名でしたよ」
アントリア「ここにいる皆に話してやってくれないか?彼女という人物を?」
教徒1「いいですけど…なぜ今?」
アントリア「彼女が逆恨みしてノワール司祭に復讐を企んでいるのだよ。だが彼らは信用してくれないのだ?」
教徒1「えぇっ!それは一大事ですね!」
ルーボイ「だって嘘だもん!」
ミシング「あの娘はそんなことしないよー!」プンプン
教徒1「あの宣教師という娘はね、それはもう大層可愛がられていましたよ!
幼い頃から司祭様のお気に入りだと大聖堂内でも有名でした!」
ミシング「うんうん。あの娘ったら、ああ見えてかわいいとこ、いっぱいあるからねー」コクコク
教徒1「それがある日、突然ホビットの差別を促すような布教内容は改めるべきだと司祭様に進言したのです!」
ミシング「うんうん。あの娘ったら頑固で正義感強いから、頭いいように見えて意外と後先考えないんだよねー」コクコク
教徒1「そこで司祭様を嘘つき呼ばわりしたり、ホビットが可哀想だとわめき散らしまして…さすがの司祭様も庇いきれなくなってしまったのです」
ミシング「うんうん。あの娘ったら一度、思い込んだらひたすらそればっかり突き詰めちゃうもんねー」コクコク
教徒1「その後、頭を冷やすようにと地下牢に送られたのですが…。
捕らえたホビットと一緒にいかがわしい手段で脱獄したり、神父や牢の見張りをたぶらかして、やたら司祭様の弱味を握ろうとしたり…」
ミシング「うんう……うん?」
教徒1「正直、みんなあきれ返ってましたよ。
司祭様は何度も更正させようとしてきたのに最後にはお客人だった大臣を誘惑して王都に逃げましたからねぇ」
ミシング「え?え?あの娘ったら、いつの間にそんな色っぽい感じになっちゃってんの?
そんなのミシングちゃん、知らない。あの娘はウブでかわいいもん!」
ルーボイ「おっちゃん!嘘つくなよ!」
教徒1「はぁ!?おっちゃんじゃないよ!まだ36だよ!」
ルーボイ「おっちゃんじゃねーか!?」
867: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/24(日) 18:06:36 ID:F7QSLrs3M6
アントリア「大臣はどこにいる?」
ミシング「こ、今度は大臣?」
ヒメ「ちっ!」
信者17「あ、ここに…猿ぐつわ外しますか?」
アントリア「あぁ…話を伺いたい」
シュルルッ
大臣「ぶっふぅ〜!はぁっ!はぁっ!」スーハー
アントリア「…分かるね?」ギロッ
大臣「ぶひぃ!?」
アントリア「宣教師はどんな人物だったか…それだけを語ればいい?」
大臣「も、もぉちろぉ〜ん?心得てますともぉ?」ヘラヘラ
ルーボイ「きもちわりーおっちゃんだな…」
ミシング「思っても口に出しちゃダメよ?」
大臣「アレはもうとんでもない好き者でしてねぇ?
わたくしの寝室に乗り込んではそりゃ〜求めてきましたよ!?」ブヒヒ
大臣「まぁわたくしもねぇ…やぶさかではなかったもんですから?
まぁ彼女の欲求に応えてあげましたよ?
まさか神に仕える者があれほどふしだらに乱れ狂うとはねぇ〜?
いやぁ、貴重な体験でした!」ブヒブヒ
アントリア「御苦労様?もういいよ?」
信者14「はい」シュルッ
大臣「えっ…わぐっ!もごっ!」モガモガ
868: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/24(日) 18:09:33 ID:BTDVpUAdHc
シーン
信者5「さ、最低だ…。とんでもない淫売女じゃないか…」
教徒1「最初は優秀でおまけに美人だから教団の幹部候補間違いなしと噂されてたのですが、どこで道を踏み外したのやら…」
信者13「そ、それじゃ司祭様を殺したのは私怨ってことか」
信者15「ホビットに手懐けられて…あげくに子供まで利用するなんて…まさしく魔性の女だ」
ルーボイ「ちげーし!ちげーし!ちげーし!バっカじゃねーの!?」
ミシング「あたしの天使が汚されるぅ…。あんなブタさんに抱かれてるなんてやだぁ…」シクシク
ヒメ「……」
アントリア「分かってくれたかな?あの宣教師は信用ならない人物だと?」
ナラ「ちが……うよ…!」メソメソ
アントリア「……?」
ナラ「わたし…しってるもん…。せんきょうしさまは…やさしくて、きれいで、つよい…ひと!」グシグシ
信者10「な、ナラちゃんが泣き止んだ!」
信者8「よかったぁ…」ホッ
アントリア「諦めが悪いな…」
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