前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
73: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/11(水) 20:31:54 ID:HcAMq1STVw
カロル「」ニコニコ
宣教師「こんな状況でよく笑っていられますね…」
カロル「宣教師さまといるとちょっと前に戻った気がして。ふふ」ニコニコ
宣教師「(少し前まではかなり前向きな歩みだったのですが、なぜこうなってしまったのか…)」
カロル「また宣教師さまの焼いたビスケット食べたいな」
宣教師「出来ることなら私も焼いてあげたいですよ。あの微笑ましい日が懐かしいです」
カロル「うん。ボクも!」
宣教師「…ルーボイくんとパッチくんと三人で取り合ってくれましたよね。
今思えば…本当に幸せでした。あんな日が続けばと…ただそう願っただけなのに」シュン
カロル「うん…」
宣教師「そういえばルーボイくんとパッチくん…元気にしているでしょうか。会いたいですね?」
カロル「……」シュン
宣教師「おや?どうしました?」
カロル「宣教師さま。話したいことがあるんだ…」
宣教師「? 私でよければ聞きますが」
カロル「実はね……」マゴマゴ
74: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/11(水) 20:34:16 ID:HcAMq1STVw
宣教師「そうですか…。二人とも村も家族も失って途方に暮れていると」
カロル「…ボクが悪いんです。
ボクさえいなかったら旅人だって来なかったし、村に迷惑もかからなかったから」
宣教師「…それで二人に嫌われてしまった、という訳ですね」
カロル「今まで黙っててごめんなさい。宣教師さまに嫌われたくなくて…」
宣教師「嫌いになんてなりませんよ。キミは悪くないんですから」
カロル「でも…旅人はボクとお母さまを狙ってたんだ。だから村の人達を騙して…」
宣教師「…分かりませんね。それとキミがどう結び付くのでしょう?」
カロル「え?だ、だって旅人は…」
宣教師「そんなものはどう考えても騙した旅人が悪いですし、邪な目的だと分かっていて協力した村人が悪いに決まってるじゃないですか?」
カロル「…でもボクがいなかったら村は今も…」
宣教師「仮定の話をしても無意味です。
それを言うならホビットへの価値観が歪められていなければ、そもそも誰も傷付く事などなかったのですから」
カロル「でも…」
宣教師「でもじゃありません。いいですか?カロルくん?
無闇に自分を責めたところで結果が覆る事はないのです!」
カロル「……」
宣教師「たとえ周囲が間違った方向に進んだとしても、それはキミの責任ではありません!
なぜなら結果的に間違っていたとしても行き先を選ぶのは自分自身なのです!」
宣教師「自分で決めた道が崖道だったからといって、自分より平坦な道を選んだ者を恨むのは筋違い甚だしい!そうは思いませんか?」
カロル「は、はい」
宣教師「…ルーボイくんもパッチくんも仕方ありませんね。帰ったら私が説き伏せてあげなければ!」
75: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/11(水) 20:36:59 ID:TlNdAXGC3g
カロル「宣教師さまは…自分を責めたりしないの?」
宣教師「いえ、しますが?」
カロル「えぇっ!?言ってる事とやってる事が違うじゃない!」
宣教師「そういうものですよ。誰かにモノを教えるというのは」
カロル「む、難しいんだね…」
宣教師「えぇ。難しいです…。どうしても矛盾は産まれますし、必ずしも正しいとは限りません」
宣教師「ですが自分の求める理想に自信を持てなければ…教えなど授けられない」
宣教師「だからこそ求める理想を何度も言い聞かせるのです。自分にも…相手にも」
宣教師「そうする事で我々人間は理想を成し遂げるのですよ。
最初からなに不自由なく器用に出来るほど…賢い生き物ではありませんから」ニコッ
カロル「少しだけ…分かった気がする。あきらめない人間は…きっと誰よりも優しいんだよね?」
宣教師「ふふ…。そうですね。たとえ正しくても届くかどうかはまた別のお話です。
普通なら愛想を尽かして投げやりになってしまう…。
それでもなお、真摯に向き合える強さこそが優しさなのだと思います」
カロル「…うん。そうだよ!きっと!」
宣教師「ルーボイくんとパッチくんはまだ幼い…時に思いやりを欠いて誰かに矛を向ける事もあるでしょう。
それならば私は何度でも彼らに教えます。争いの無意味さを…憎しみの愚かさを…」
宣教師「…いずれまた三人で遊べる日が来るよう、私はキミの味方でいます」
カロル「……!」ニコッ
カロル「(宣教師さまは変わってない…。優しくて…かっこいい宣教師さまのままだ)」
カロル「よかった…。ボクの知らない所で変わってなくて」
宣教師「はい?」
カロル「ううん。なんでもないです!」ニコニコ
76: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/11(水) 20:40:52 ID:HcAMq1STVw
ガチャッ
執事「食事をお持ちしました」
宣教師「……!」キッ
カロル「わーい!ボクお腹ペコペコだったんだ!」
執事「では…こちらに置いておきます」トンッ
カロル「……?縄をほどいてくれないと食べられないよ?」キョトン
執事「ぷっ!」
カロル「(あれ…?おかしなこと言ったかな?)」
執事「ぶふっ!くくっ!ひいっひいっ!」プルプル
宣教師「カロルくん…。無駄ですよ」
カロル「へ?」
執事「ば、ば、バカか!貴様は!?」
カロル「ど、どうして?縛られたままじゃ食器も持てないじゃない?」オロオロ
執事「アッハッハ!手掴みでもおこがましい分際で食器ときたか!?」ゲラゲラ
執事「こんなバカな奴隷は初めてだ!ひいっひいっ!」プークスクス
カロル「(何がそんなにおかしいんだろ?)」
77: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/11(水) 20:42:32 ID:HcAMq1STVw
執事「お前ら奴隷ってのはなぁ…」ガシッ
カロル「っ…か、髪…引っ張っ」
執事「こうやって食うんだよぉ!!」グンッ
ガシャアッ!
カロル「あっぐ…な、なにす……」グリグリ
執事「オラァ!這いつくばって!犬みてぇに食うんだよ!」ガッガッ
カロル「ぎっ!たっ!あっう!」バンッ バシャンッ
執事「ほぉらぁ?うまいか?うまいよなぁ?」ニヤニヤ
カロル「……」ボロッ
執事「へっ…俺達はいつもわがままな主人にへいこら従ってんだ?
このぐらいの役得があったってバチは当たらねぇよな?」
カロル「ひ、ひどいよ…。ボクがおじさまに何をしたって言うの…?」
執事「分を弁えねぇから…だっ!」バンッ
ガシャアッ!
カロル「う……あ…」ピクピク
執事「…お前にも食わせてやろうか?」
宣教師「…結構です」
執事「へっ!これに懲りたら二度と生意気な口たたくんじゃねぇぞ?」ペッ
執事「」スタスタ
ガチャッ バタンッ
78: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/11(水) 20:46:48 ID:HcAMq1STVw
宣教師「…カロルくん!大丈夫ですか!?」ギッギッ
カロル「う、うん…。えへへ。血が出ちゃった」ボロッ
宣教師「すみません…。止めてあげられなくて…」
カロル「平気…宣教師さまは悪くないもの」ヨロッ
宣教師「(昨晩の記憶が蘇って…何も言えなかった。言ってしまったら余計に傷付けられるに決まってる、と)」
宣教師「私は…宣教師失格ですね」
カロル「そんなことない…」
宣教師「いいんです。宣教師とは自らの足で悩み苦しむ者に接し、救いを説く者…」
宣教師「しかし今の私にはそれが出来なかった…。
そして、多分…今晩も行われるであろう恐ろしい惨劇を前にしても…私は何も言えないでしょう」
カロル「それでもいい…。ボクは平気だよ?」
宣教師「…何を言ってるんです!昨晩の痛みを…忘れた訳ではないでしょう!?」
カロル「大丈夫…。大丈夫だから」ニコッ
宣教師「……」ズキンッ
カロル「自分を責めたらダメ!そうでしょ?」ニコニコ
宣教師「……」コクリ
カロル「ボクのことなら心配しないで?傷はすぐに治るもの」
カロル「ボク…弱いから泣いちゃうかもしれないけど、ふしぎと何も怖くないんだ」
宣教師「……?」
カロル「宣教師さまは変わらないでいてくれたから。ボクを嫌いにならないでいてくれたから」
カロル「それだけで…弱虫なボクでも…たくさん勇気が湧いてくるの。ふふ!」クスッ
宣教師「……!」
79: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/11(水) 20:50:05 ID:HcAMq1STVw
宣教師「(やはり私は宣教師失格です…)」
宣教師「(何度も過ちを繰り返し、何度心が揺らいでも……)」
宣教師「(最後はいつも彼に気付かされる…。救われるべき彼に…救うべき私が……)」
宣教師「(願わくは…彼こそに真の救いを授けたい…。幸せにしてあげたい…)」
カロル「宣教師さま?」
宣教師「カロルくん」
カロル「…なに?」
宣教師「キミに出会えて良かった。私はキミが大好きです」ニコッ
カロル「ホント?ボクも宣教師さま大好き!」パァァ
宣教師「!」キュンッ
宣教師「(ま、まさか即座にカウンターを喰らうとは…!)」ドキドキ
カロル「どうしたの?」キョトン
宣教師「い、いえ…なんでも」モジモジ
80: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:03:48 ID:Hp5XrjPulc
〜〜〜夜〜〜〜
宣教師「今は何時なんでしょうね」
カロル「うーん。外が見えないと分かんないです」
宣教師「…ですよね」
カロル「うん」
宣教師「……」
カロル「…お腹空いたなー」
宣教師「そうですね…」
カロル「…宣教師さま。どうしたの?」
宣教師「え…な、何がですか?」
カロル「震えてるから…どうしたのかなって…」
宣教師「あ…はは。言われてみれば…!ホントですね…」ブルブル
宣教師「まぁ…こんな状態ですし…」ブルブル
宣教師「疲れが出たのだと思います…」ブルブル
カロル「大丈夫?」
宣教師「…だ、大丈夫ですよ。ありがとうございます」ブルブル
81: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:05:13 ID:Hp5XrjPulc
宣教師「(ここに閉じ込められて何日も経ってますから、もう分かります)」
宣教師「(今は夜…そして大臣がもうすぐやってくる…)」
宣教師「(しかし彼を緊張させてはいけない…。大臣が来るまでは…せめて気を楽にしてもらわなければ…)」
宣教師「(そうでないと…あまりに不憫です)」グッ
カロル「……」
宣教師「そ、そういえばカロルくん…お母様は?」
カロル「」ピクッ
宣教師「?」
カロル「お母さまとは…会ってないです」
宣教師「へ?お母さまと一緒に連れてこられたのではないんですか?」
カロル「……」シュン
宣教師「(あ、あれ?もしかして私…まずい事を聞きましたかね)」オロオロ
カロル「アリアスさんが言ってたんだ?お母さまは宣教師さまといるって…」
宣教師「えっ」
カロル「」ジーッ
宣教師「…す、すみません。私もその…訳の分からない内に連れていかれたので…」
カロル「そう…だよね。やっぱり知らないんだ…」
宣教師「あ、でもですね!最後に会った時は……」
宣教師「」ハッ
カロル「会った時は…?」
宣教師「(い、言えない。体調を崩して気絶していたなんて…。看病したものの顔色は良くないままでしたし)」
カロル「教えて。最後に会った時はどうだったの?」
宣教師「う……」タジタジ
カロル「……」ジーッ
82: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:06:54 ID:X7On2BumCY
宣教師「…とても元気にしてましたよ?」ニコッ
カロル「ホント?ボクの事、なにか言ってた?」パァァ
宣教師「は、はい!カロルくんに会いたいと!それはもう、うわごとのように!」
カロル「うわごと?」キョトン
宣教師「あっ…」
カロル「お母さま眠ってたの?」
宣教師「えっとですね…。眠ってたと言いますか、倒れてたと言いますか…」アセアセ
カロル「え…お母さま倒れたの?」
宣教師「あ、いや…あの日は…夜も深かったのでポックリと…」
カロル「死んじゃったの!?」
宣教師「ち、違います!違います!死んでません!断じて死んだりしてません!」アタフタ
宣教師「(あぁ…こんなことなら最初から普通に言っておけばよかったです…。
うー…ですがこんな状況で余計な不安を与えるのもどうかと思いますし…)」
83: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:08:04 ID:Hp5XrjPulc
カロル「あはは!なーんだ!お母さまったら牢屋で居眠りしてたんだ?」クスクス
宣教師「(我ながら苦しい言い訳でしたが…まぁ信じてもらえたので良しとしましょう)」ホッ
カロル「それからお母さまとは会ってないんですか?」
宣教師「あ、はい…。カロルくんと一緒でないならおそらく、まだ大聖堂にいるのかもしれません」
カロル「……」
宣教師「……?」
カロル「司祭のおじいさまに付いていかないと会えないって言われたよ…?
ひょっとしたらお母さまはこの屋敷にいるのかも?」
宣教師「ふむふむ。それが誘い水だとするならば…私と一緒にいるというのは大臣の奴隷にされている暗喩だと言いたいのですか?」
カロル「うん…。どうかな?」
宣教師「残念ながら…いえ、幸いにもその可能性はありませんね」
カロル「なんで?」
宣教師「私とキミの置かれてる立場から考えて仮にお母様が連れられていたとしたら同じく、ここに閉じ込められてる筈です」
カロル「じゃあここにいないっていうことはお母さまは屋敷にはいないの?」
宣教師「えぇ。少なくとも私はキミのお母様を見てませんから、つまりそういうことになると思いますよ?」
カロル「……!よかったぁ…。ボクたちみたいな目に遭ってないんだね」
宣教師「そうなりますね。多分キミを利用する為に司祭様……司祭の手元に置かれている可能性が高いかと」
カロル「あ…そっか」
宣教師「…まぁ大事な人質ですから手荒に扱ったりはしないでしょう。安心していいと思います」
カロル「うん…」
84: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:10:29 ID:X7On2BumCY
カロル「ねぇ、宣教師さま」
宣教師「なんですか?」
カロル「教団の目的ってなんなんだろう?ボク、どうなるのかな?」
宣教師「……」
カロル「宣教師さまは何か知ってる?」
宣教師「(枯れた伝説の大樹を彼の持つ癒しの力を注ぐことで蘇らせる、というところまでは確実でしょうが…)」
宣教師「(その後は…どうなさるつもりなのでしょうか…。
唯一のヒントはジョーさんと神父様に協力して見つけた布教用の聖書ですが…)」ウーン
宣教師「(まさか大樹を登って神に会い、癒しの力を頂こうと…?)」
宣教師「(いやいや…ありえませんね。さすがに現実味に欠けます……)」
カロル「分からない…よね?」
宣教師「えぇ。お役に立てず申し訳ありません…。私も今まで何一つ聞かされてませんでしたから」
カロル「ううん…ボクね、別にいいんだ。利用されたって」
宣教師「なっ…ダメです!まだ悲観なさってはいけませんよ!
今の段階でしたら十分間に合います!
神官から助け出されたら、なりふり構わず逃げ出しなさい!そうすれば……」
カロル「イヤです。お母さまを置いていけないもの」キッパリ
宣教師「っ…!そうでしたね…!」ギリッ
宣教師「(あぁもう!どうしたらいいんですか!八方塞がり……)」
ガチャッ キィィ
宣教師「」ビクッ
カロル「」ビクッ
???「」ソローリソローリ
宣教師「(来てしまいましたか…!)」
85: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:12:14 ID:X7On2BumCY
宣教師「(うぅ…これからカロルくんの身に起きる出来事を考えたら…目を伏せずにはいられません!)」ギュッ
宣教師「(ごめんなさい!無力で臆病な私を許してください…!)」プイッ
???「」ギロッ
カロル「……だれ?」キョトン
???「いました…!いましたぜー…!」コソコソ
黒装束「ハッハー!お前かぁ!会長が言ってたホビットってのは!?」ズカズカ
手下「ちょいちょい!声がでかいッスよ!バレたらどうすんスか!?」
カロル「」ポカーン
宣教師「えっ?えっ?何が起きてるんですか?知らない声が聞こえますけど」
カロル「えと…わかんない」
86: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:13:31 ID:Hp5XrjPulc
黒装束「安心しな?見た目通り俺達は怪しいモンじゃねぇさ?」
手下「そうそう」ウンウン
カロル「そうなの?」
宣教師「い、いけません!そんないかにも怪しげな風貌の方々を信用しては…!」アセアセ
黒装束「言ってくれるじゃねぇか?お嬢ちゃんよ?」ギロッ
宣教師「」ビクッ
黒装束「本気で怪しいモンなんかじゃねぇぜ。誓ったっていい」
カロル「…それなら教えて?どうしてここに来たの?」
黒装束「決まってんだろうが?お前をかっさらう為さ!」ニヤリ
宣教師「やっぱり怪しいじゃないですか!?」
87: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:14:44 ID:X7On2BumCY
黒装束「うるせぇなぁ、このアマ…ちぃとばかし黙らせるか」
宣教師「な、なにをする気ですか…!?」ブルッ
黒装束「よーし!お前、こいつが喋れねぇように接吻かませ!」
手下「うっひょ!いいんスか!?」
宣教師「ひぃぃ!?」
カロル「せっぷん?」キョトン
宣教師「聞かなくていいです!耳塞いでください!」
カロル「え…でも縛られてるから手が動かせないよ?」オロオロ
手下「ほんじゃまぁ…遠慮なく?」ンゥゥ
宣教師「きゃぁぁ!?い、イヤ!来ないで…!」ググッ
黒装束「ククク…んなブサイクにスーキーぶちかまされりゃお嬢ちゃんも大人しくなんだろ?」ニヤニヤ
宣教師「と、突然来て…初対面の私にこんな仕打ち…!あなたの良心は痛まないのですか!?」
黒装束「あぁ?ちっとも痛まねぇな?」
手下「むしろ興奮するッス。やってやるって気になるッス!」ヌゥゥ
黒装束「ハッハー!黙らすんだからなぁ!しっかり舌を入れんだぞー!?」
宣教師「ムリムリムリムリ!ムリですって!」アタフタ
カロル「や、やめなよ。宣教師さま、嫌がってるじゃない?」オロオロ
88: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:16:18 ID:X7On2BumCY
バァンッ!
執事「誰だ、貴様ら!ここで何をしてる!?」
衛兵「」ジャキッ
黒装束「おーおー?まずいなぁ?見つかっちまったぞ?」
手下「やべっ!」アセアセ
宣教師「は、離しなさい!こんなことをしてる場合ではないでしょう!」
黒装束「それもそうだなぁ?おい、離してやれ!」
手下「ちぇっ」パッ
宣教師「(た、助かりました)」ホッ
執事「…王国の高官であられる我が主人の屋敷に無断で踏みいった罪…。タダで済むと思うなよ?」
黒装束「おーおー。ぞろぞろと…衛兵まで連れて来やがったか」
手下「5人くらいいますぜ…?逃げた方がいいんじゃ?」
執事「ぷっ!ひいっひいっ!バカか、お前は!?
入り口しかない物置小屋で…入り口を塞がれてどうやって出る気だ!?」ゲラゲラ
黒装束「逃げてぇのは山々だが…こいつは会長からの至上命令だからなぁ?」ポリポリ
手下「ち、ちくしょう!やるしかねぇのか!」
執事「貴様らを捕らえたら憲兵に突き出さずに拷問にかけてやる!
俺の鬱憤を晴らす為の肉人形としてなぁ…!ひいっひいっ!」ニタニタ
黒装束「なんだ、捕まえんのか?」
執事「はぁ!?当然だろうが!バカか、お前!?」
黒装束「おい、こいつぁなんとかなりそうだぜ?」ニヤリ
手下「マジッスか!?」
カロル「ちょ、ちょっと待って!ケンカしたらダメだよ!」アセアセ
宣教師「(こ、このままだとカロルくんと私まで巻き添えに…!)」
89: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:18:03 ID:X7On2BumCY
執事「こいつらを捕まえろぉ!!」
衛兵1「」ダッ
黒装束「ハッハー!威勢がいいな!」
手下「ひえっ!向かってきましたぜ!?」
衛兵1「大人しく……」バッ
黒装束「」ヒュッ
衛兵1「し……ぶほぁっ」バシュッ
衛兵1「あ…がふっ」ブバァッ
衛兵1「」ドサッ
執事「えっ」
衛兵's「」ポカーン
黒装束「はっ!」ビュンッ
衛兵2「」ザクッ
衛兵2「」ドサッ
執事「うわったた!?」ビクビクゥゥ
衛兵3「き、貴様!」ジャキッ
黒装束「王国関係の連中ってぇのはヘドが出るほど腐ってやがるが…問答無用で殺しちまわねぇあたり、案外良心的なのかもなぁ?」ニヤニヤ
手下「さっすがウォルターさん!ナイフを使わせりゃ無敵だぜ!」
宣教師「(一人目は虚を突いて首を掻き切り、あっけにとられる二人目の額にナイフを投げて仕留めた…。
凄まじい技術ですが…この方はいったい何者なんでしょう?)」
カロル「あ…あ…!」ブルブル
宣教師「」ハッ
カロル「ダメ…こんなの…ダメだよ…!」ガクガク
宣教師「カロルくん!見てはいけません!」
カロル「……!」ギュッ
90: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:19:29 ID:X7On2BumCY
執事「や、や、や、やれ!ここ殺せ!殺すんだ!」アセアセ
衛兵3「」ジリジリ
衛兵4「」ジャキッ
黒装束「いいのか?さっさと間を積めなくて?」
衛兵3「なにっ……」ピクッ
黒装束「」ビュンッ
衛兵3「くっ!」キンッ
衛兵3「バカめ!不意討ちなど……」ズンッ
衛兵3「は……?」プシュー
衛兵3「」ズルッ ドサッ
黒装束「一本ずつ投げるとは限らねぇだろう?」
衛兵4「わあああああ!!」ダダダッ
黒装束「おっ?」ガッ グイッ
衛兵4「死ねぇぇいぃぃい!!」シュバッ
「ぎやあああああ!!!」ドバッ
衛兵4「(やった!確実に手応えが……)」バッ
手下「うぐっえ…う、ウォル…なん…で……?」ドサッ
衛兵4「なっ…!?」ギョギョッ
黒装束「」ヒュッ
衛兵4「ぎゃはっ!?」サクッ
91: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:21:12 ID:X7On2BumCY
衛兵4「」ブシャァァァ
カロル「ひっ…!な、生暖かい…」ビクッ
黒装束「おーおー?床に垂れたせいでお前まで血だらけだなぁ?」ヘラヘラ
手下「」ズル…ズル…
黒装束「あぁ?なんだ、お前まだ生きてたのか?」
手下「ど、ど…して」ガシッ
黒装束「裾を掴むんじゃねぇよ、きたねぇな」ゲシッ
手下「うぐっ…」
カロル「ぼ、ボク…ボクに触って!」
黒装束「?」
手下「」チラッ
カロル「ボクなら…傷を癒してあげられるから!早く!早くボクに触って!」
手下「うっ」ズル…ズル…
黒装束「ククク!その速度じゃ残り少ない人生使い切っちまうぞ?」
手下「ぐぅ…!」ズル…ズル…
カロル「く、黒い人間も手伝ってあげてよ!ボク動けないから…早くしないと!」アセアセ
黒装束「…さてと、あとはあの野郎だな」スタスタ
カロル「待ってよ!キミの仲間でしょ!?」
手下「あ…ぐっ…げふっ」ゴパァッ
カロル「あぁっ…!」ギッギッ
手下「」
カロル「ウソ…そんな……」
宣教師「……か、カロルくん」
カロル「……!」ワナワナ
92: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/15(日) 22:23:07 ID:X7On2BumCY
黒装束「おーしおし、よく逃げ出さなかったなぁ?偉いぞぉ?なでなでしてやろうか?」スタスタ
執事「ひっあひっ!あひゃっ…く、くく来るなぁ…」ガクガク
黒装束「さっきは色々言ってくれたよなぁ?いや、大した勇気だ。誉めて遣わすぜ」
執事「にゃ、にゃにゃぁっ!……ぶしっ!」バタバタ ズルンッ ドテッ
黒装束「足が縺れちまってまともに動けねぇか。まぁいいや」ガシッ
執事「わきゃっ!?」グイッ
黒装束「ククク!拷問してやる…ってか。生憎とそりゃ俺の専売特許だ?」ブチブチ
執事「ひぎぃぃ!!髪…かみ…抜け……」ジタバタ
黒装束「知ってるぜ。今夜、てめぇの主人は遅くまで帰ってこないそうだな?」ブッチィィィ
執事「あがぁぁぁ!!?」バタバタ
黒装束「大袈裟に叫びやがるが…助けを呼んでるつもりか?」
執事「」ギクゥッ
黒装束「さんざバカ扱いしてくれやがったが…お前はバカだよ。一番バカだ」
黒装束「今現在、この屋敷の敷地内にいるのはおおかた使用人やら下男、下女だろ?
小心者なてめぇの事だ。事態に気付いて慌てて屋敷中の衛兵を集めたんじゃねぇか?」
執事「ば、バカめ!そんな訳ないだろう!は、はは早く逃げないと衛兵がわんさか来てお前を取り囲むぞ!?」ハァッハァッ
黒装束「バーカ!それならとっくに囲まれてんだろうが?
それともなにか?ここの衛兵はこんだけ騒ぎが大きくなっても持ち場を離れねぇよう、教育でも受けてんのか?」
執事「……!俺をどうする気だ…!」
黒装束「はは…殺しゃしねぇさ。だが悪いヒヨコは舌を切ってやんねぇとな?」
執事「ま、待て!落ち着け!それを言うならヒヨコじゃなくてスズメ…ちがっ!そうじゃない!まずは話を…」アタフタ
黒装束「舌を出しな。出したくねぇなら口ごと切り裂くか?」スチャッ
執事「そ、それは口裂け女…俺は男……!」
ザクッ
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