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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
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1: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


513: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/1(日) 19:38:32 ID:7q09sjg7uo
アントリア「恐れながら我々教団の発言力は…国王を遥かに上回り、各国へと伝わります?
あなた方が抗おうとも既に手遅れなのですよ?」

大臣「ま、待った!それでしたら司祭殿の発言力はどうです!」

政務官「そ、そうだ!ノワール司祭!これは神官の空想なのだろう!?」

司祭「はて?アントリア神官に説明を促したのは紛れもなくわしじゃ?
こやつの言葉はそれすなわち、わしの言葉と思ったがええ?」

国王「ば、バカな…!貴様ら組織ぐるみで母国を陥れるつもりか…!?」

アントリア「…バカはお前らだ」

国王「……!?」

大臣「し、神官…?あなた…今なんとおっしゃいました?」プルプル

政務官「(神官…!これ以上は私も庇いきれないぞ!?)」

アントリア「せいぜいそこで見ていたまえ?大いなる生命が息を吹き還す瞬間を?」スタスタ

司祭「失敗ばかりを恐れていては成功を手には出来んぞ?ほっほっ!」スタスタ
514: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/1(日) 19:55:39 ID:UX0rWjdZaA
大臣「と、とんでもない奴らだ…!
ここに来て我々を裏切るとは…帰ったら真っ先に極刑に処して今日の出来事を闇に葬らねば…!」ギリギリ

政務官「もう無理だ。これだけ自国、他国の有力者が集まる場での出来事は隠せんよ」

大臣「な、ならどうすると!?」

政務官「祈るしかあるまい。神官の言葉が事実であることを…」

大臣「あ、ありえませんよぉ!枯れた木がホビットの血で蘇るなんて…どんな手を使っても無理!」

国王「(余は救いようのない愚か者だ…。己を無力だと信じ、流されるままに政を行ってきた報いが来たのだ…)」

大臣「ま、まぁ…いざとなれば陛下と教団に全責任を擦り付けてしまえばいいでしょう!
元より王族なんてその為だけに残しておいた生け贄なんですから…」コショコショ

政務官「(バカめ。よもや王族の首だけで済まされるか!)」

政務官「(かつて終わらない争いを止めた功績と教団の発足から我が国は唯一無二の王国として国家間で優位に立ってきた)」

政務官「(これでもし大樹が蘇らなければ教団の信用は地に堕ちる…)」

政務官「(伝承の信憑性そのものが危ぶまれ…長きに渡り、各国を騙していた事が知られる)」

政務官「(…そうなれば王国は終わりだ)」

政務官「(あのお方は何を考えている?一体なにが狙いだ?)」

政務官「(勝算のない賭けに出るような人ではなかった…)」

政務官「(何より一役人だった私が一度の失態もなく政務官にまで登り詰めたのは…全てあのお方の指示を受け入れてきたからだ)」

政務官「(信じるしかない…。信じるしか…)」
515: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:15:47 ID:MLrZ7onf8Q
ザワザワ ザワザワ

ヒメ「な、なにが起きてる?父上たちの会話はなんだったんだ?」

団長「さ、さぁ…ワシにもよく分かりませんが…」

他国の役人1「ファンタスティック!大樹ガ蘇ル!マルデ、マジックネ!」

他国の役人2「Oh!トッテモ楽シミデース!」

妃「オホホ!そんな趣向を凝らしていたなんて流石ですわ?まさにおもてなしの精神ですわね!」

ヒメ「な、なんか黒付くめの集団が現れたぞ?」

団長「むむ…大樹の前に設置された舞台で何かするようですな?余興の類いか…?」

ヒメ「荷車が一台運ばれてきた…?」

団長「…余興に使う仕掛けでは?」

ヒメ「それにしてもあの黒付くめ…見たことあるような…?」

団長「人違いかと思われますぞ?あのような輩が城内に立ち入った事はございません」

ヒメ「そうか…。けど、どこかで…?」
516: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:17:53 ID:T8J8lxPkS6
―――大樹(舞台)―――

ウォルター「ハッハー!紳士淑女の皆々様!王国の裏庭遊び!ヘマトバザールの世界へようこそ!」

パチパチ パチパチ

ウォルター「知る人ぞ知る名物劇にございます!視覚の快楽を存分に御堪能あれ!」

ガガガ ガガガ

手下1「出ろ!」ガラッ

ホビット1「」ブルブル

手下1「けっ!引きずり出してやらぁ!」ガッ ブンッ

ズシャアッ!

ホビット1「がっ!?」ズルッ

ウォルター「まずは挨拶代わりに血飛沫を一発浴びていただきましょう!?」

手下2「へへっ!今日の為に特注で作らせた巨大金槌だ!」ズッズッ

ホビット1「ひやあぁっ!?ゃ…やめっ…」ズサァッ

手下1「手足の枷が重くてろくに動けねぇだろ?すぐに軽くしてやらぁ!」

手下2「ひっひっ!イイ声で鳴けよぉ?ウラァッ!!」ブンッ

ドチャッ

ホビット1「っ……あっあぁぁぁあぁぁああ!!!!」ジタバタ
517: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:21:50 ID:T8J8lxPkS6
オォオォオォオ ヒャッホーイ ヒューヒュー

ウォルター「ハッハー!片足潰したくらいじゃ死にゃしねぇよ!?
それより聴いてみな!お前の反応が良かったおかげで大歓声が上がったぜ?」

ホビット1「あっ…がぐぐぐぐぅぅぅいぃぃ」ブシャー

手下1「ギャッハッハッ!なんだ、こりゃ?脛っからひしゃげて奇妙な事になってらぁ?」ゲラゲラ

手下2「あー…なんだかんだとたまんねぇなぁ。弱い奴をとことんいたぶるってなぁ最高級の快楽だぜぇ…!」ハァハァ

ウォルター「いかがかな!これがヘマトバザールです!憎きホビットに制裁を与える正義の使者だ!
癒しの力を盗まれた人間の怒りはこんなもんじゃ済まねぇだろう!?」

ウォルター「徹底的に痛め付けて反省させてやりましょうや!
人間様に逆らうとどうなるか…こいつらの身体にたっぷりと刻み込んで!」

ウォルター「八つ裂きにして!骨も細かく砕いて!肉塊にして!魂さえ残しゃしねぇ!」

ウォルター「こいつらが罪深き種族でいてくれる限り…俺達はこいつらにいくらでも罰を与えていいのさ!?」

ウォルター「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」ゲラゲラ

手下1「おっ?ウォルターさんも初っぱなから本調子に入ったな?」

手下2「ケケケ!こりゃ〜今日はヤバい盛り上がりになんぞ!?」

ワァァァァァァァア ヒューヒュー パチパチ
518: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:24:29 ID:T8J8lxPkS6
ヒメ「く、狂ってる…」ゾワァッ

団長「お、王子!見てはなりませぬ!」バッ

他国の役人1「」ヒューヒュー

他国の役人2「ホビット、コロセ!モットヤレ!」

ヒメ「な、なんで…なんであいつらは喜んでるんだ…?」ブルブル

団長「…王子は知らなくて当然でしょう。それほどまでにホビットは人々に憎まれているのです」

ガシュッ

ギャァァァァァァア

ヒメ「うぷっ…」

団長「み、耳も塞いで!何も考えずに!」

妃「なりませぬ」

団長「は!?」

妃「しっかり見なさい。これしきで狼狽えるようでは国王は務まりませぬぞ!」

ヒメ「母…うえっ!」ゲロゲロ

団長「わ、ワシの持参致した小袋にどうぞ!」サッ

妃「はしたない…!それでも次期国王ですか!?」

団長「お、恐れながら申し上げます!あのような残酷な見世物を見て体調を崩されるのは至極当然!
苦しむ我が子を叱咤なさるとは何事でござるか!?」

妃「お前は黙ってなさい!」

団長「っ…!」

ヒメ「おえっ…えふっ」ゲロゲロ

妃「他国のお客様がおられる席で自国の催しから目を背けるなど恥を知りなさい!」

団長「(この女は…!それでも人の親か!?)」ワナワナ

団長「(王子は貴様の地位を守る為の道具ではないのだぞ…!)」ギリッ
519: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:28:08 ID:MLrZ7onf8Q
―――大樹の根元―――

母「向こうの方から何か聴こえない?」

カロル「そうかな?」

母「気のせいかしら…?」

カロル「宣教師さまは聞こえた?」

宣教師「いえ…私も特には?」

母「うーん…じゃあやっぱりあたしの勘違い?」

宣教師「そうとも限りませんよ?
樹木が太い為に裏側にいる私たちとは距離が離れていて向こうの音や声が届きにくいのかもしれません」

母「そうよね!向こうでたくさんの人間が集まってるんですもの?きっと声がこっちまで届いてきたのよ!」

マルク「うぅ〜…わんっ!わんっ!」

カロル「…どうしたの?」キョトン

マルク「わんっ!わんっ!」

母「あら?おとなしくしなきゃダメよ?司祭さんたちに言われたでしょ?」

カロル「お腹空いたの?」

宣教師「そうなんですか?」

マルク「」ブンブン

母「あたし達に何かを訴えかけてるの?」

カロル「マルクもなにか聞こえたのかな?」

宣教師「まさか…!」ハッ

カロル「え?」

宣教師「始まってるのかもしれません…!ホビットの拷問が…!」

カロル「えぇっ!?」ギョギョッ
520: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:30:22 ID:T8J8lxPkS6
母「ど、どうしましょう!?」

宣教師「私が行って確認します!お二人はここに残っていてください!」

カロル「ボクも行くよ!」スクッ

母「だ、ダメよ!あたしが行くから坊やはここで待ってなさい!」

宣教師「な、何を言ってるんですか…!お母様も待っていてください!」

アリアス「あなた達、なに行く前提で進めてるの?」

ダガ「司祭様から待ってるように言われたろ」

宣教師「…止めても無駄です!やましい事がないのでしたら見に行っても問題ないでしょう!」

アリアス「大ありよ?私達がお叱りを受けるのだから?」

ダガ「もう説教は懲り懲りだ…。おとなしくしとけ」

母「約束が違うわ?あたし達は同族を守る為にここまで来たのよ!」

カロル「そ、そうだよ!行かせてよ!」

アリアス「…心配しなくても今は巡礼の真っ最中よ」

宣教師「考えてみれば巡礼でここまで届くような騒ぎになる筈がありません!」

ダガ「あぁ?なんにも聞こえねぇだろうが…?」

マルク「ぐるる…!」キッ

ダガ「…ちっ!」

アリアス「犬の尻に敷かれてんじゃないわよ」

ダガ「うるせっ!」
521: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:37:49 ID:MLrZ7onf8Q
宣教師「」ダッ

ダガ「っておい!?」ガシッ

宣教師「っ…!離しなさい!」ジタバタ

アリアス「油断も隙もあったもんじゃないわね…」

カロル「……!」キッ

ダガ「お?なんだ?その生意気な目は?」

カロル「宣教師さまを離して!」

ダガ「俺に命令してんのか…?」ピキィッ

アリアス「離してやりなさい?その子はなるべく刺激しないように言われてるでしょう?」コショコショ

ダガ「ふ…わかってらぁ?」パッ

宣教師「…汚らわしい」プイッ

ダガ「ガキが…!図に乗んじゃねぇぞ…!?」イラッ

カロル「…行かせてくれないならボクも約束守らないから!力も使わないよ!」

ダガ「あぁ!?」

カロル「どうして平気で約束を破ろうとするの!?ボク達にばっかり…ずるいよ!」

アリアス「だ、だから…約束は守るわよ?」アセアセ

カロル「それなら行かせてよ!なんにもなかったら戻ってくるから!」

アリアス「お、落ち着きなさいよ…。もうすぐ神官と司祭様が戻って説明なさるから」アセアセ

アントリア「揉め事かな?」スタスタ

アリアス「神官!?」

カロル「アントリアさん!」
522: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:40:38 ID:MLrZ7onf8Q
アントリア「ふむ…。すでにショーが始まっていると?」

マルク「わんっ!」

母「か、勘ですけどマルクの様子がおかしいから…」

アントリア「今はノワールの布教演説の最中だが…まあ構わないよ。そう疑うのなら予定より早いが始めてしまおうか」

宣教師「予定…?」

アントリア「ショーが始まる直前がちょうどいいんじゃないかと踏んでいたが…君たちも待ちきれないようだしね」

カロル「うん!早くやって助けようよ!」

アントリア「だがそうなるとヘマトバザールがホビットを解放していない状態になるから救出は困難だがね」

カロル「え?じゃあどうしたら…」

アントリア「本来なら彼らがショーに取り掛かってホビットを解放した時が狙い目だが…そうでないなら無理やり奪還するしかなさそうだ」

宣教師「……」

アントリア「とりあえず今の戦力を整理して分析してみようか。
老人の僕とノワールは言うまでもなく戦力外。君たち3人も似たようなものだろう」

宣教師「そ、それは…」

アントリア「頼みの綱はアリアス君とダガ君だが…はっきり言って多勢に無勢だな。返り討ちに遭うのは目に見えてる」

ダガ「お、俺は御免ですよ…」

アリアス「私も引き受けられません」

アントリア「…という訳だ。どうする?」

宣教師「そ、それなら…大樹に気を取られてる民衆の目を盗んで救出するというのは?」

アントリア「おすすめはできない。まずあれだけの人間が集まる場で遮蔽物もない大樹の周囲を200のホビットを連れて動くのは不可能だ」

母「…や、やめときましょうか」

アントリア「賢い選択だ。ではノワールが来るのを待とうか?」

カロル「は、はい…」シュン
523: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:42:28 ID:MLrZ7onf8Q
―――舞台―――

ブツッ ピュッ ピュ〜〜

ホビット2「びゃっびゃっ!びゃっ!」アガアガ

ウォルター「ハーイ!これで全部抜けましたぁ!この歯が欲しい人は手を上げて!」

ハーイハーイ ハーイハーイ

ウォルター「んじゃ投げますよー?ほれっ!」ビュンッ

手下1「おらっ!血はここに入れんだよ!」ガシッ グイッ

ホビット2「あひゅうぅぅ」ピュピュッ

手下2「…桶に血なんか溜めてどうすんだ?」

手下1「知るかよ!全部ウォルターさんの指示だ!」ポチョポチョ

ウォルター「さぁて…次は目ん玉くり貫くぞ!スプーン用意しろ?」

手下1「うっす!」チャッ

ウォルター「おめーはそのホビットが目閉じらんねぇように瞼を開いて針で固定しとけ」

手下2「わっかりやしたー」ガッ

ホビット2「ひっ…!」キュッ

手下2「ちっとイテーけど我慢しろー?」グググッ

ホビット2「あびゃっ!うひゅひゅ!ひゃひゃ!」ガクガク

ブスッ

フャアアアアア!
524: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:47:54 ID:MLrZ7onf8Q
大臣「ぐふ…ぐふふふふ。イイ!イイですなぁ!」ブヒッ

政務官「楽しんでおられますな?」

大臣「いえね?わたくし、以前にも別の場所でショーの観覧に伺いまして、それからというものすっかり虜になってしまったんですよぉ?ぐふふ!」ブヒヒ

政務官「(気色の悪い…)」

大臣「先程の泣き叫んで命乞いするホビットも惨めでたまらなかったですが…ああやって喋る事も出来ず残酷に痛め付けられるサマもなかなか…!」ジュルリ

政務官「(大臣のような変態は稀だろうが文化としてホビットへの憎悪が根付いていると…意外に抵抗がないものだな)」

国王「……」ジーッ

政務官「(伝承が嘘だと分かっている陛下ですら見入っている…。かくいう私も些か興奮してきた…)」

ワァアァアァアァア

政務官「…ショーの印象で先ほどの出来事もうやむやになればいいがな」
525: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:53:33 ID:T8J8lxPkS6
ホビット3「いだっ…いだい…あるけないよぉ…」グスンッ

手下2「おら!どしたぁ!歩け歩けぇい!?」

ホビット4「どこぉ…!お兄ちゃん!どこにいるの!?」フラッフラッ

ウォルター「さてさてお涙ちょうだいの時間がやって参りました!皆様、ハンカチの準備はよろしいか!?」

ペタッペタッ ズズズ

ウォルター「片や兄は足の裏の皮を剥がされ、片や妹は両目を失ってしまった!」

ウォルター「そこでだ!俺はそんなかわいそうな兄妹に哀れみをかけ、離れた地点から歩み寄って5分以内に抱き締め合えたら助けてやる事にした!」

ウォルター「幼いホビットの兄妹が互いを助ける為に頑張る姿!くぅ〜!泣ける!」グシッ

ブーブー ブーブー

ウォルター「いや、不満に思われるのも承知の上!
だが俺の良心が助けてやれと言ってんですわ!」

ウォルター「…さて一歩踏み締める度に強烈な痛みに喘ぐ兄と闇の中で愛しい兄を探す妹!今、二人の絆が試される!」

オォオォオォオ オォオォオォオ

ウォルター「(ククク!効き目はバッチリだなぁ…)」

ウォルター「(事前に舞台の周りに仕込んでおいた無臭のタイマ…ステルスベリーで興奮させられてるとも知らずによ?)」ニヤァ

スゥー
526: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:55:09 ID:MLrZ7onf8Q
手下1「残り30秒ー」

ホビット3「あ…まって!いま…いくから!」ダッ

ホビット4「お兄ちゃん…!お兄ちゃん!」フラッフラッ

ホビット3「うごくな!うごかなくていい!お兄ちゃんがいくから!」タッタッ

ホビット4「う、うん」ブルブル

ホビット3「いま…いっ」ズルッ

ドタッ

手下2「あー!大事なとこで転んでやんの!?」

手下1「残り10秒ー」

ホビット3「ま、まって!いくから!いくから!」スクッ

ホビット3「あうっ」ズルッ

ドタッ

ホビット3「な、なんで?あしが…」ググッ

ウォルター「バーカ?そのずる剥けの足で走れる訳ねーだろ?」

ホビット3「うそ…!そんな…!」ズルッズルッ

手下1「はい時間切れー」

手下2「次の演目があるんでチャチャッと殺っちゃいたいと思いまーす!」ブンッ

ホビット4「お兄ちゃん!お兄ちゃぶしゅっ」ゴキャッ

ホビット4「」バタッ

ホビット3「あ…あ…わあぁぁぁぁあああ!!!」ブワァッ

手下1「お兄ちゃんも死んじゃおーね?」ブンッ

ザクッ

ホビット3「か…ばはっ」ゴパァッ

ウォルター「そいつらの血は固まる前に搾って桶に溜めとけ」

手下1「うっす!」
527: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 21:57:11 ID:MLrZ7onf8Q
イギャアアアアアア!

ホビット5「」ベチャッ

ワァァァァァア ヒューヒュー

ウォルター「まだまだ終わりませんよー!期待の更に上を行くショーをご用意してますんで!」

手下2「あの…ウォルターさん」

ウォルター「あ!?今イイとこだろうが!?」ギロッ

手下2「す、すんません!」

ウォルター「で、なんだ?さっさと言えや?客前だぞ?」

手下2「そ、それが…桶が満パンでもう血が溢れてこぼれそうなんすよ」

ウォルター「…よーし!んじゃ会長の指示通り始めっか?」

手下2「どうすんすか?」

ウォルター「おい、おめーも来い!演目は後回しだ!」チョイチョイ

手下1「うっす!」タタタッ

ウォルター「おめーら、その桶を運んで大樹にぶっかける準備しとけ」

手下1&2「…は?」キョトン

ウォルター「黙って言うこと聞いときゃいいんだよ。こぼすんじゃねーぞ?」シッシッ

手下1「う、うっす」

手下2「わっかりやしたー!」
528: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/2(月) 22:01:24 ID:T8J8lxPkS6
手下1「この辺でいいっすかー?」

ウォルター「どこだって構やしねーよ。樹にかかりゃいいんだ!」

手下2「しっかし重いなー?二人がかりでも引きずるのが精一杯だったぜ?」

手下1「血も積もれば川となるってやつか」

ウォルター「だぁっとけ!ボケ共が!?」

ウォルター「っと一旦ここで特別な企画を行います!」

ウォルター「あちらをご覧ください!」

ウォルター「先ほどから巨大桶に溜めておいた無数のホビットの血!」

ウォルター「これをどっぷりまるごと大樹にぶっかけたいと思います!」

ワァァァァァア ワァァァァァア

ウォルター「(会長が前フリ入れてたおかげか、異常な盛り上がりだな。こりゃなんも起きなきゃおっかねーぞ?)」

ウォルター「(会長にゃ悪いが…保険打っとくか)」

ウォルター「さて!教団の代表がおっしゃったように大樹は蘇るのか!?運命の時です!」

手下1「ウォルターさーん!こっちはいつでもイケます!」

ウォルター「ククク…よっしゃ!豪快にぶちまけろや!!」

手下1&2「せー…のっ!!」ガバッ

ザッバァン!
529: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:20:42 ID:rVoFyN4TxM
………………

「なにも起こらんぞ!」

「司祭様の言葉は嘘だったのか!?」

「どうなってるんだ!?大樹は蘇らんのか!?」

「貴様らの言い出した事だろう!答えろ!」

ウォルター「やっべぇー…」

手下1「ど、どーすんすか?」

手下2「俺ら教団じゃねーし、知ったこっちゃねーって話っすよね」

「おい!なんとか言ったらどうなんだ!?」

「国王はどこだ!?こんな枯れ木の為に呼びつけておいて…我々をからかったのか!?」

「場合ニヨッテェハ責任ヲ追及サセテクダサイマシテゴザイマスデス!」

ウォルター「あー…まぁ気を取り直して続きと参りましょうや?」ヘラヘラ

「ふざけんなぁ!?」

「だいたい神聖な大樹に血をかけるとは暴挙にも程がある!しかもホビットの穢れた血だぞ!」

ウォルター「…おいおい、なんて言やぁいいんだ?言い訳なんか思い付かねーぞ?」

手下2「バックレちまいますか!」

ウォルター「ボケ!あれが見えねーのか!」

パタパタ パタパタ

手下1「…なんか赤い旗が上がってんなぁ」

ウォルター「他国の役人が連れてきた兵隊に号令出したんだ。威嚇のつもりだろうが…この騒ぎじゃ最悪もあり得るぜ」

手下1&2「えっ」
530: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:22:08 ID:rVoFyN4TxM
―――大樹の根元―――

司祭「」タッタッ

カロル「あ!」

アントリア「…来たか!」スクッ

司祭「はぁ…はぁ…」ガクンッ

宣教師「…は、始まったのですか?」

母「た、たいへん!」オロオロ

司祭「ぜぇっぜぇっ!はっ…はやくっ…!」

アントリア「今だ!大樹に癒しの力を!?」

カロル「うん!任せて!」ピトッ

カロル「……」キュッ

カロル「……」

宣教師「な…なにも起こりませんね」アセアセ

ダガ「どうなってんだ!?マジメにやれよ!?」クワッ

母「あ、あぁぁ…やっぱりムチャだったのよ…!」サァァ

アントリア「静かに!彼を集中させるんだ!」

シーン

カロル「……」

カロル「」フワッ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

全員「」ビクッ
531: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:25:47 ID:v7XI0TYKOw
バウンッ!

ズザザザザザザザッ!

司祭「ほ、ほっほっほ!!ほーっほっほ!!キタキタキタァァ!!」パァァ

マルク「わぅっ!?」ピョンッ

宣教師「樹が…見る見る内に若返って…!?」

ブワァッ! バッサァッ!!

母「か、勝手に枝分かれして葉がびっしり生えてきたわ…!?」パチクリ

アリアス「ど、どこまで成長するワケ…?頂が見えないじゃないのよ…!?」

ダガ「見上げるだけで首がいてぇ…」

アントリア「ハッハッハ!!アーッハッハッハッハ!!!」ゲラゲラ

ズオォォォォオオン

カロル「…良かった。元気になったんだね?大樹さま?」ニコッ

アントリア「素晴らしい…!素晴らしい…!素晴らしい!!」

司祭「か、叶う!ついに叶うんじゃな!」
532: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/3(火) 21:27:04 ID:rVoFyN4TxM
宣教師「だ、大丈夫ですか?なんともありませんか?」ハラハラ

母「お腹痛くない!?熱は!?」ダキッ

カロル「あはは!平気だよ!これって別に疲れたりしないもの?」ギュッ

マルク「あんっ!」スリスリ

宣教師「よくやりましたね!キミならできると信じてましたよ!」

カロル「えへへ…そうかな?」テレテレ

司祭「わははは!見事と言う他ないわ!ようやったわい!」

ヒューン ポトッ

カロル「?」

母「なにか落ちてきたわ?」

宣教師「…果実のようですね。大樹から実ったのでしょうか?」

アントリア「ふっふっ…クックックックッ!」クツクツ

カロル「大きな実だね?みんなで分けて食べようよ!」

宣教師「それよりもまずは向こう側に移動しましょう。ホビット達が逃げられるように手助けしなくては!」

母「そうね!まだ終わった訳じゃないわ!」

マルク「はっ!はっ!」

アントリア「いや、君たちの役目は終わったよ」

カロル「へ?」

宣教師「」ビクッ

母「……?」
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名前:
sage:


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