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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


31:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 21:54:18 ID:x0Da.DhtCQ
町娘「ありがとうございました。神官にお話を聞いていただいたおかげで心が晴れました!」

アントリア「救いを得たのはあなた自身ですよ。私はただ神の御心を説いたまでです」

町娘「…また来てもいいでしょうか?」

アントリア「教会とは人々が慈悲深き神に授かりし心の拠り所。
あなたが人である限り、拒まれる理由はないでしょう。いつでもいらっしゃってください」

町娘「……!」

町娘「」ペコリ
32:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 21:55:54 ID:limzVIxYaQ
司祭「お前さんもすっかり神官が板に付いたのう…」ゲッソリ

アントリア「それは誉め言葉と捉えていいのかい?」

司祭「好きに受け取るがいいわ…」

アントリア「またずいぶんと浮かない様子だが今まで何をしていたのだね?
予定では昼前には着くと聞いていたんだが?」

アリアス「司祭様に代わり、お詫び申し上げます…」ペコリ

アントリア「顔を上げなさい。責めている訳ではないよ」

司祭「ふん…」

ガチャッ

シスター「長旅お疲れ様でした!紅茶を用意しましたのでよかったら…」

司祭「」ズーン

アリアス「」ショボーン

アントリア「ありがとう。そこに置いといてくれたまえ」

シスター「な、何かあったんですか…?」コトッ

アントリア「さぁ?旅の疲れが出たのかもしれないね」ズズ
33:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 21:57:11 ID:x0Da.DhtCQ
アントリア「そろそろ話してくれてもいいんじゃないか?」

司祭「……」

アントリア「…そういえば癒しの力はどうしたんだね?彼を連れてきたんじゃないのか?」

司祭「……」

アントリア「ノワール…まさか…!?」

司祭「笑いたくば笑え…。わしはとんだ愚か者じゃよ」

アントリア「……!アリアス君、これでは埒があかないから説明してくれたまえ!」

アリアス「は、はい…。少し目を離した隙にどこかへ行きまして…」

アントリア「だったらなぜ探しに行かない!?憲兵に捕まるかもしれないしホビットを狙う輩はぞろぞろいるんだぞ!?」

アリアス「そ、それがですね…。もうすでに奴隷商人に捕まって売られていた事が分かったんです…」

アントリア「奴隷商人に…?」

司祭「ほっほっほ。長年追い求めた物がこんなにもあっさり手放されるとはのう?笑うしかあるまいて?」

アントリア「ふむ、奴隷商人か……」

司祭「罵ればええわい!いくらでも罵詈雑言を浴びせかけい!」ガタッ

アリアス「いえ!司祭様に責めはありません!全ては私が…!」ガタッ

アントリア「まぁまぁ、落ち着いて?紅茶でも飲んで一息入れなさい。
せっかくシスターが出してくれたのに冷めてしまうよ」

司祭「……!何をのんきに構えとるんじゃ!?貴様は状況が分かっておらんのか!!」

アントリア「そう声を荒げては体に障るよ。心配しなくても奴隷商人に売られたのなら、まだ手はある」

司祭「なにぃ?」ジト

アリアス「本当ですか!?」
34:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 22:02:14 ID:limzVIxYaQ
アントリア「どこで売られたのか調べは付いているんだろうね?」

司祭「う、うむ。バックヤードにあるゴイルの店じゃ!」

アントリア「なるほど、彼の店か…」

司祭「知っとるのか?」

アントリア「…いくらで売れたんだい?」

司祭「あ、あぁ…たしか金貨200枚もの値が付いたと…」

アントリア「200枚か…。普通では考えられない金額だな」

司祭「ホビットとはいえ、そこまでの値が付くものなのか?」

アントリア「まずありえないな。特にオスのホビットはメスと比べて需要が少ない」

アリアス「価格に目安でもあるのですか?奴隷は身分や能力の個体差、醜美様々な都合において値が上下すると聞きますが…」

アントリア「それは大昔の話だよ。人間が奴隷として売られていた時代のね」

アントリア「今は人身売買が認められていないからね。身分を持たないホビットのみなら単価は簡単に予想できる」

アントリア「たとえばオスの幼体なら金貨5枚、成体は金貨12枚。
メスは幼体が金貨70枚。成体が金貨50枚といったところだ。
まぁ大体の目安だからあてにはならないけどね」

司祭「ではオスの小僧が200枚ともなれば、これは異例中の異例じゃな?」

アントリア「その辺の下級貴族がポンと出せる額じゃない。これだけでもだいぶ絞れる筈だ」
35:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 22:04:59 ID:x0Da.DhtCQ
アリアス「…で、ですが買った人間が分かったところでどうするのです?」

司祭「うむ…。それほどの金を惜し気もなく出すような人間じゃ。
わしらが手出し出来る身分とは思えんぞ?」

アントリア「なんとかするしかないさ。人生を賭けてまで実現にこぎつけた計画を今さらフイには出来ないだろう?」

司祭「…そ、そうじゃな。わしもお前も僅かな残り火…今を逃せば二度と機会は巡るまい」

アリアス「私が責任を持って調べて参ります!」

アントリア「」サラサラ

アントリア「これを持っていきたまえ」つ【サイン】

アリアス「これは…?」

アントリア「紹介状のような物だ。それを見せれば上流層の人間も無下にはするまいよ?存分に聞き回ってみてくれ?」

アリアス「かしこまりました!」

司祭「何から何まですまんの…」

アントリア「水臭いものだね。僕と君の仲だろう?」

司祭「助かる…。お前と友であって良かったわい」

アントリア「はは。大袈裟だな…」クスリ
36:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 22:07:11 ID:x0Da.DhtCQ
―――教会(客室)―――

シスター「長旅お疲れ様でした」つ【紅茶】

ダガ「ふ…すまねぇな」カチャ

シスター「お連れ様には薬湯を…よくなるといいですね?」コトン

ダガ「」ズズ

母「げほっ!げほっ!」

ダガ「本部にいた時より明らかに悪くなってやがる。こりゃ長くねぇかもな?」

シスター「まぁ!でしたらお医者様を呼んで参ります!」

ダガ「やめとけ、やめとけ」

シスター「え?ですが……」

ダガ「くたばったらその時さ。別に痛くも痒くもねぇ」

シスター「そうですか…。わざわざ連れておいでになったので大切なのかとばかり…」

ダガ「バカ言え。どぶねずみがくたばって困るのは野良猫くらいのもんだ…。くっくっく!」

シスター「(変な人…)」
37:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 22:08:23 ID:x0Da.DhtCQ
バンッ!

シスター「」ビクゥッ

ダガ「あぁ?」

アリアス「何をのんきに茶なんか啜ってるの?行くわよ!」

ダガ「行くってどこにだ?」

アリアス「癒しの力が誰の手元に入ったか調べるのよ!」

ダガ「調べるったって、どう調べんだよ…?」

アリアス「私達の足でよ!いいから来なさい!」ガシッ グイッ

ダガ「おうっ!?て、てめぇ何しやがる!?」タタッタッ

アリアス「情報を掴むまでここには戻らないから、そのつもりでいて!」ガチャッ

ダガ「あぁ!?城下だけでどんだけ広いと思ってんだ!一生かかったって情報なんか掴めね……」

バタンッ!

シスター「(なんなの…?)」

母「」ゴホッゴホッ

シスター「はぁ…こんなの押し付けられても困るんだけど」
38:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 14:33:29 ID:M3wYd3wb5.
―――城下町(ランベルヤ邸)―――

大臣「はい?」

使用人「あいにく主人は不在でして…」

大臣「んぅ〜…事前にお伝えした筈なのですがねぇ」

使用人「申し訳ございません。今夜はどうかお引き取り願います」

大臣「…わたくしがわざわざ?直々に?足を運んだというのにぃ?」

使用人「大変申し訳ございません」ペコリ

大臣「…ちなみにどのような要件でお出かけになったのです?」

使用人「残念ながら申し上げる訳には参りません」

大臣「とどのつまりは居留守か?どういうつもりか知らんが、あまりわたくしを怒らせない方がいいぞ?」

使用人「滅相もございません…!」

大臣「たかだか使用人風情にわたくしの応対を任せるとは…コケにされたもんだ?」ジロジロ

使用人「まことに恐縮でございます…!謹んでお詫び申し上げますので、どうか度重なる非礼をお許しください…!」ペコッ

大臣「ふぅ…!分かりました。今夜はひとまず…おとなしく帰るとしましょう!」イライラ

使用人「」ホッ

大臣「あぁそうだ?言伝てを頼めますか?」

使用人「も、もちろんでございます。私から主人に伝えておきますので」

大臣「では…『次はないぞ。わたくしをコケにしてタダで済むと思うな』」ギロリ

使用人「……!」ゾクッ

大臣「しかとお伝えしましたぞ?」

使用人「」ゴクリ

使用人「か、かしこまりました」
39:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 14:42:12 ID:M3wYd3wb5.
使用人「はぁ…」

バルガン「体よく断れたか?」

使用人「次はない。コケにしてタダで済むと思うなとの御言葉を頂戴致しました」

バルガン「そうか…。父に遺恨を残してしまったな」

使用人「…私には坊っちゃまの考えが分かりかねます。
旦那様がお気付きになられたらお叱りを受けますよ?」

バルガン「クックッ…父には私が言っておく。お前は余計な事を考えなくていい」

使用人「かしこまりました…」

バルガン「(…これでしばらくは小娘も無事だろう。あとは招待状だが…)」

バルガン「おい」

使用人「はい?」

バルガン「何か催し事の知らせは来てないのか?」

使用人「はぁ…?今朝、お渡しした手紙に無いのでしたら今のところは…」

バルガン「(…知らせが無いなら出しようがない。一体教団と王国で何をやるんだ?)」
40:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 14:43:39 ID:PFgfnAqhNQ
―――大臣の屋敷―――

大臣「」グビグビ

大臣「ぶふぅ…!」

侍女「代わりをお持ちしますか?」

大臣「…お前は主が何も言わなければ動かんのか?」

侍女「」ビクッ

大臣「役立たずが…!」ビキビキ

侍女「す、すぐに代わりをお持ちします!」アセアセ

大臣「もういい!!」バリンッ

侍女「……!」

大臣「割れたグラスの掃除でもしてろ」スクッ

侍女「……」ブルブル

大臣「」スタスタ
41:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 14:48:19 ID:PFgfnAqhNQ
―――大臣の屋敷(展示室)―――

剥製「」

大臣「……」

大臣「(ランベルヤめ…!芸術家ごときが忌々しい…!)」

大臣「あぁクソッ!!」ダンッ

大臣「(くぅ…!早く…早くあの小娘を剥製にしたい…!)」

大臣「(静かな眠りに付き…永遠の美となる人形を片手に芳醇な酒の香りを楽しむ…。
これ以上の贅沢がはたしてこの世にあろうか…!?)」

コンコン

大臣「んぅ〜…?」

ギィィ

執事「お楽しみのところ申し訳ございません」

大臣「いいから要件を言え」

執事「はっ…教団の人間が旦那様にお話を伺いたいと訪ねて参りました」

大臣「教団?あの頑固ジジイのか?」

執事「入り口の前に待たせてありますがいかがなさいましょう?」

大臣「追い返せ。こんな真夜中に非常識極まりない」

執事「ではそのように…」

執事「それから別宅の奥様が使いを寄越しまして…金貨100枚ほど用立ててほしいそうです」

大臣「わかった…」

執事「失礼致しました」バタンッ

大臣「(どいつもこいつも…イラつかせる)」
42:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 15:02:59 ID:M3wYd3wb5.
―――大臣の屋敷(物置小屋)―――

宣教師「」パチクリ

???「」

宣教師「(全身を雑に縛られて猿轡を噛まされ、目隠しまで…)」

宣教師「(背丈からしてまだ幼子でしょうに…なんてむごい…)」

???「ぅ…」モゾモゾ

宣教師「(不安定な体勢を強いられて苦しいのでしょう…)」

宣教師「申し訳ありません…。ほどいてあげたいですが私も同じく身動きが取れないのです」

宣教師「気休めにもならないでしょうが、せめてあなたの為に祈らせてください」

???「……!」グッ

???「」ジタバタ

宣教師「…あ、ちょっと!気持ちは分かりますが、いけませんよ!
そんな事をしても余計に体力を消耗するだけですから!」

???「うぅー!うぅー!」ジタバタ

宣教師「(不用意に声をかけたのはまずかったですね…。かなり興奮させてしまいました…)」

宣教師「…先ほども言いましたが私も身動きが取れません」

???「うぅ〜…!うぅ!」ジタバタ

宣教師「キミも大臣に連れてこられたのでしょう?
…私から大臣に拘束を和らげるよう掛け合ってみますから、もう少し待っていていただけませんか?」

???「」ジタバタ

宣教師「(なんともどかしい…。目の前にいるのに何もしてあげられないなんて…)」
43:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 15:06:19 ID:M3wYd3wb5.
???「」ジタバタ

宣教師「(何か…なんでもいい。この子にしてあげられる事は……)」

???「」ジタバタ

宣教師「……」

宣教師「…こ…子守唄…とか…いかがでしょうか?」オソルオソル

???「」ピクンッ

宣教師「声をかけるのが精一杯なので…その…」モジモジ

???「」ピタッ

宣教師「…で、では…あの…僭越ながら…」

宣教師「お、おやーすみなさーいー。やーすらーかーにー。
おわかれはーかなしいけれどー。なーかなーいでー」オンチ

???「……」

宣教師「おつきさまーにーまたあしたー。きょうにさようならー。
あーしたーにあえるからー。おやーすみなさーい」オンチ

宣教師「ひはおちてー。ゆめをみてー。またあさがーきてー。
キミをあーたたかくー。むかえにくるよー」ノリノリ

???「……」

宣教師「ど、どうですか?落ち着きましたか?」

???「……」

宣教師「(眠ってくれましたか…。よかった)」ホッ

宣教師「(そういえば今晩は大臣が来ませんね…。まぁ来られても不愉快ですが)」
44:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/5(木) 20:17:16 ID:g5WCmxTCbU
〜〜〜朝〜〜〜

―――城下町(広場)―――

アリアス「…―」ヨロヨロ

アリアス「」スタッ

アリアス「はぁ…」

ダガ「」フラフラ

アリアス「……収穫は?」

ダガ「ねぇよ…」ドッカ

アリアス「そう…」

ダガ「お前はどうなんだ?」

アリアス「同じよ…」

ダガ「…どうすんだ。もう朝だぞ」

アリアス「もう一度行くわよ。また昼になったらここで落ち合いましょ」スクッ

ダガ「…こんな時間に誰が起きてんだ。昨日なんざ真夜中に訪ねて追い返されたぞ?」

アリアス「私も似たようなものよ…。居留守をされたり出かけていたり、話を聞かせてもらえたのなんて一握り…」

ダガ「一旦戻って休もうぜ。司祭様もそのくらいは目を瞑るだろう?」

アリアス「つべこべ言わない。あなたは体力だけが取り柄なのだし?」

ダガ「ぶっ殺すぞ…!」イラッ
45:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/5(木) 20:19:14 ID:Da6WQ42Ckk
アリアス「少し休んだら……」

「」グイッ

アリアス「…ん?」

ダガ「あ?どうした?」

アリアス「足元に何かいるようね…。目がシバシバしてよく見えないけれど」ゴシゴシ

ダガ「椅子の下に…?物乞いじゃねぇのか?」

アリアス「やめなさいよ。気味の悪い…」

ダガ「俺が見てやるよ」グワッ

マルク「クゥン」グッタリ

ダガ「なんだ、犬じゃねぇか?」

アリアス「犬?」
46:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/5(木) 20:20:28 ID:g5WCmxTCbU
マルク「ハッ!ハッ!」ガツガツ!

ダガ「相当腹を空かしてたんだな。ベーコンを口一杯に頬張ってやがるぜ」

アリアス「えぇ。多分ゴイルに手傷を負わされて、何も食べずに1日近く体を休ませていたんでしょ」

マルク「」ムシャムシャ ハグッハフッ

ダガ「ふ…慌てなくていいぞ?テントのオヤジを叩き起こしてやったからな。食いたきゃまだまだ焼かせるぜ?」ナデリ

マルク「」パァァ

テントのオヤジ「(…非常識な奴らだよ、まったく)」ブツクサ

ダガ「ふ…ふ…可愛いなぁ、おい?」ニヤニヤ

アリアス「意外ね。あなたが犬好きだなんて?」

ダガ「ガキの頃に大型犬を飼ってたんでな。でけぇ犬を見ると懐かしくなんだよ…」ニヤニヤ

アリアス「あ、そう…。なんでもいいけれど。そろそろ行きましょ?」

ダガ「おう。オヤジ!無茶言って悪かったな!」

テントのオヤジ「いえいえ、滅相もござんせん!(そう思うならハナから起こすんじゃないよ、まったく)」

マルク「あん!」ペロリ
47:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/5(木) 20:22:09 ID:Da6WQ42Ckk
ダガ「……」ジロジロ

アリアス「この靴の匂いをよく嗅いで?これはあなたの飼い主の履いていた靴よ?」つ【靴】

マルク「」クンクン

ダガ「…お前はアホか?」

アリアス「…たとえ一縷の望みでも闇雲に動き回るよりはいいでしょう?
幸い明け方で誰も歩いていない今なら余計な匂いに惑わされる事もないのだし」

ダガ「いよいよヤキが回りやがったな…」

アリアス「忘れてるようだけど、この犬の嗅覚は本物よ?
宣教師の匂いを追って森から遠く離れている大聖堂を目指していたのだから」

ダガ「…まぁ何もねぇよりはマシか」

マルク「」タタタッ

ダガ「ん…おいっ!どこ行くんだ!?」

アリアス「ふふ…!あの犬に付いていきましょう!決して見失わないようになさい!」ダッ

ダガ「ほ、本気か…?しょうがねぇな!」ダッ
48:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/5(木) 20:23:39 ID:Da6WQ42Ckk
マルク「わんっ!わんっ!」ハッハッ

ダガ「お、おい…ここなの…か?」ヒクヒク

アリアス「みたいね…」

ダガ「みたいねってお前…ここは確か…」

アリアス「知っているの?」

ダガ「昨日ここにも来たんだ…。追い返されちまったがな…」

ダガ「ここは…大臣の屋敷だ」

アリアス「……!司祭様達に報告するわよ!」

ダガ「おう…」

マルク「」ガリガリ

ダガ「おい!門を引っ掻くな!」

アリアス「……」

アリアス「(またややこしくなりそうね…)」
49:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/5(木) 20:27:24 ID:g5WCmxTCbU
―――城下町(教会)―――

司祭「…よりによって大臣に買われておったか!」

アリアス「おそらくですが…その可能性が高いかと」

アントリア「そんな気はしていたよ。大臣ならホビット一匹に200枚もの金貨を使ってもおかしくはない」

司祭「民から搾取した税で何をしとるんじゃ!あの豚は!?」

アリアス「まだ直接見た訳ではないので確かではありませんが…」

アントリア「とりあえずの目星は付いたのだから十分な収穫だよ。
ちょうどいい時間を見計らって僕が城に赴いて問い合わせてみよう」

司祭「ふん!わしも一緒に乗り込んで取り返してやるわい!!」

アントリア「いや、君はいい。話をこじらせそうだ」

司祭「な、なんじゃと!?」

アントリア「まだ大臣の手元にあると決まった訳じゃない。取り返すなんて意気込みで付いて来られても迷惑なのだよ」

司祭「め、迷惑…!?」

アントリア「まずは僕に任せておくれ。いいね?」

司祭「くっ…!」ギリッ

アリアス「私も異論はありません」

司祭「なっ…!?」クルッ

アントリア「決まりだ。…さて、出かける支度をしないとな」パッパッ

司祭「ぬぅぅ…!」ギリギリ
50:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/12/5(木) 20:31:03 ID:Da6WQ42Ckk
―――城(応接間)―――

ガチャッ

大臣「お待たせしましたな」バタンッ

アントリア「忙しい中、申し訳ないね?」

大臣「えぇ、まったくですよ」ニンマリ

アントリア「……」

大臣「いやいや冗談ですとも?どうか気分を害されないよう…?」ニヤニヤ

アントリア「いえ、突然押し掛けてしまったのだから当然でしょう」

大臣「それもそうですな。ご用件を伺いましょうか?」
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名前:
sage:


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うpろだ
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