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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


22: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 20:47:03 ID:34aMYRyu/2
薬剤師「ゴイルならさっきも来たよ…。あいつはウチのクスリをよく買いに来るんだ…」

司祭「…クスリじゃと?」ピクリ

アリアス「まさか…クスリ漬けにするつもりじゃ…!?」

薬剤師「人聞きの悪い…。ウチで売ってるのはまっとうなクスリさ」

司祭「ゴイルはどんなクスリを買っていくのじゃ?」

薬剤師「腰痛持ちだからね。痛み止めなんかをよく買っていくよ」

司祭「それだけか?」

薬剤師「たまに痺れ薬を買いに来る…。何に使うか知らんがね」

司祭「…とぼけおって?おおかた捕らえたホビットが逃げ出さぬようにじゃろ?」

薬剤師「さぁね…。あんたらも一瓶どうだい?媚薬なんかも置いてあるよ」カチャカチャ

司祭「まっとうなクスリ屋が聞いて呆れるわい…。いいから案内せい」

薬剤師「案内するのはいいが…ここまで付き合ってやってタダとはいかんだろう?」

司祭「…今の情報では褒美はやれんな。わしらが知りたいのはゴイルの店の場所じゃ」

薬剤師「そうかい…。それなら一生さまよってな。
土地勘のないあんたらが闇雲に探したところでゴイルの店には辿り着けないよ」

司祭「足下を見おって…」

ダガ「しょ、しょうがねぇな。それなら俺が一瓶買ってやるよ。それでいいか?」

薬剤師「ふーん…まぁいいだろ」
23: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 20:51:04 ID:34aMYRyu/2
アリアス「だ、ダガ…あなた…」

ダガ「ふ…こういう時くらい役に立たねぇとな?付き人の立場に傷が付くってもんだ」

司祭「すまんな…」

ダガ「いえ…とんでもない」

薬剤師「どれになさいます?お客さん?」

ダガ「媚薬をくれ」

薬剤師「はいはい。銀貨3枚ね」カチャカチャ

ダガ「おう」チャリン

アリアス「ダガ…」

ダガ「ふ…気にすんな」

アリアス「それ…欲しかった訳じゃないのよね?」

ダガ「」ギクッ

アリアス「最低ね。あなたって…」シラー

ダガ「う、うるせぇ!勘違いすんな!」

薬剤師「あんたも好きだねぇ?効き目は期待していいよ」つ【媚薬】

ダガ「黙らねぇとその口引き裂くぞ…!」パシッ

薬剤師「分かってると思うがゴイルの店の場所を教えるのは別料金ね」

司祭「ダガよ。もちろんそれも払ってくれるんじゃろうな?」

ダガ「えっ」
24: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 20:52:28 ID:2ys.Ih6noA
―――バックヤード(奴隷商人の店)―――

司祭「ふむ…ここか。聞いていた通り入り組んだ場所にあるのう」

アリアス「銀貨3枚に加えて金貨1枚使った甲斐がありましたね」

ダガ「…全部俺の金だがな」ムスッ

母「げほっ!げほっ!」

ダガ「うおっ!俺の肩で咳き込むんじゃねぇよ!」

司祭「さっきの薬剤師から媚薬ではなく風邪薬でも買っておけばよかったな。のう?」

ダガ「そ、そうですな…」

司祭「それでは入るとしよう。お前らはそこで待っておれ」ガチャッ キィィ

ダガ「はっ!」

アリアス「はっ!」
25: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 20:54:03 ID:2ys.Ih6noA
ゴイル「やあ、いらっしゃい!」ニコニコ

司祭「ほう…意外と洒落ておるな?」キョロキョロ

ゴイル「元は酒場だったんですがね。手入れしたとこなかなか居心地のいい店になっちまいやしたよ」

司祭「ゴイルというのはお前さんか?」

ゴイル「おや?どちらさんで?お知り合いとは思えませんが…」キョトン

司祭「なに…噂に聞いたんじゃよ。なんでもホビットを取り扱っとるそうじゃな?」

ゴイル「えぇ、まぁ…失礼ですがご身分を伺ってもよろしいですか?」

司祭「…しがない布教者じゃよ。疑わずとも金ならある」ジャラッ

ゴイル「ヒヒヒ!疑うなんてそんな畏れ多い!
ウチは金さえ積んでくれりゃどなた様でも大歓迎ですとも!」

司祭「いいのは入っておるかな?」

ゴイル「おや?買い取りですか…?
入ってくる際に見えたお連れ様の肩にホビットが担がれてましたんで…てっきり売りに出されるのかと?」

司祭「目敏いのう?…あれは通行証代わりじゃよ。
ホビットを売りに出すと言えば番人があっさり通してくれたんでな」

ゴイル「なるほど…手形をお持ちでないんですね。悪いお方だ」

司祭「ふん…なぜ無法者の闇市場に手形が必要なのか疑問じゃわい」

ゴイル「簡単な事で。ここバックヤードに無法者なんて一人もいやしませんから」

司祭「…?」

ゴイル「法の管理下に置かれてるんでさぁ。表も裏もまるごとね」

司祭「む?国の規制を免れたワルの吹き溜まりではないのか?」

ゴイル「冗談言わんでくださいよ!国の許可無く、こんな危ない橋は渡れませんや!」

司祭「(…この国は一体全体どうなっとるんじゃ)」
26: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 20:57:14 ID:2ys.Ih6noA
ゴイル「お客さんを通した番人もお国に仕える憲兵ですぞ?」

司祭「憲兵がホビットを見て何も言わない事などあるのか?」

ゴイル「やれやれ…まずこびりついた茶渋を取ったらいかがです?
ここでそんな事言ってちゃ笑われますぜ?」ヘラヘラ

司祭「む…!?」カチン

ゴイル「いや、失礼しました…」オホンッ

ゴイル「確かに普段なら取り締まるでしょうが誰かの持ち物なら話は別なんですよ?
野良犬が街中を歩いてたら捕まえられてもしょうがないが首輪に繋がれて散歩してる犬を捕まえるバカはいないでしょう?」

司祭「ふん…なるほどな…」

ゴイル「まぁ野良のホビットになんてそうそう出くわしませんがね」

司祭「……」

ゴイル「とにかくホビットはバカ高い値で売れるからお国にとっても大歓迎なんですよ」

ゴイル「なんせバックヤードで商売やってる人間は納税に加えて、毎月お国に収入の2割を差し出さなきゃなりやせん。
こっちでホビットが一匹売れたらお国にしてみりゃ自動的に潤う訳です!」

ゴイル「ウチは月によって売り上げが変動しがちだから実質、他の店より搾られないが…まぁそれでも雀の涙程度の金でカツカツやってますよ」

司祭「よう分かった…。とりあえず品を見せてもらえんか?」

ゴイル「よござんしょ。では案内しますよ」

司祭「(…わしが学者をしとった頃よりも更に歪んだ国になっておったか)」

司祭「嘆かわしい…」ボソリ
27: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 21:01:44 ID:2ys.Ih6noA
ゴイル「こちらになります」

ギャーギャー! ガタンガタン!

ホビット1「おレを買エ!ジジイ!」ガッシャガッシャ

ホビット2「アァー!アァー!」ビエーッ

ホビット3「嫌だ!売られたくない!」ガクガクブルブル

ホビット4「ヒィ…ヒィ…」プルプル

司祭「なんじゃ。あまり売れておらんのか?」

ゴイル「どれも粗悪品なんですよ。品に窮してるから置いてやってますが食費やら諸々の経費がかさんで仕方ありませんや」

司祭「粗悪品?」

ゴイル「えぇ…たとえば1匹目の柵をガッシャガッシャ鳴らしてるのは性格に難がありましてね。見ての通りですわ」

司祭「たしかに凶暴じゃのう」

ゴイル「2匹目はまだガキのホビットでね。夜泣きがうるせぇわションベン漏らすわでたまらんですよ」

司祭「…うむ。臭うな」ヒクッ

ゴイル「3匹目は成熟してる上にオスでヒョロいから力仕事にも向かない。
4匹目はメスですが奇形のキチガイ。見事にバラバラな粗悪品でしょ?」

司祭「よく客に平然と粗悪品しかない等と言えるな…。お前さん、売る気はあるのか?」

ゴイル「ヒヒヒ…粗悪品は粗悪品で買い手がちゃんといますから」

司祭「…まともなのはいないのか?たとえば少年のホビットやら…」

ゴイル「…お客さん、そのお歳で趣味がソッチですかい?またずいぶんと奇特な…?」ドンビキ

司祭「バカモンッ!違うわい!?」

ゴイル「だってぇ…オスのガキは非力だわ性処理に使えないわで需要もね…。
まぁ一部の特殊な人種には絶大な人気がありますが…」

司祭「違うと言うに!!」
28: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 21:04:28 ID:34aMYRyu/2
ゴイル「いえね。ついさっきまでお客さんのお目がねに叶いそうなのが1匹いたんですが、もう売れちまったんですよ」

司祭「ちなみにどんなホビットじゃ?」

ゴイル「ちょっと特異な体質のメスみたいにキレイなホビットのガキなんですがね…」

司祭「なにぃ!?」

ゴイル「うおっ!」ビクッ

司祭「特異な体質とはなんじゃ!?」

ゴイル「い、いや…その…おとなしくさせようと痺れ薬なんかを飲ませても効かねぇんで」シドロモドロ

司祭「それじゃぁ!?」

ゴイル「ひいっ」ビクッ

司祭「だ、誰じゃ!誰が買った!?」ガシッ

カランカラン!

ゴイル「ちょっ!お客さん!近いですって!杖落とされてますよ!?」

司祭「やかましい!そんな事よりも質問に答えんか!?」

ゴイル「よく来る上客が金貨200枚で買ってったんでさぁ!後は知りませんよ!」

司祭「なん…じゃと……?」ガクッ

ゴイル「お、お客さん?大丈夫ですかい?」

司祭「(終わった…。癒しの力が無ければ…全てがパー…)」グワングワン

ゴイル「(すげー落ち込みようだな。そこまでがっつりハマってんのか、このホモジジイ?)」シゲシゲ
29: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 21:50:48 ID:x0Da.DhtCQ
アリアス「すでに売られていましたか…」

司祭「うむ。どうしたものか…」

アリアス「……」

ダガ「はっ!全部おじゃんだな?てめぇがマヌケにも目を離したから…」

アリアス「なによ?私のせいだと言うの!?」

ダガ「あぁ?違うってのか?」ギロッ

アリアス「元はと言えばあなたの到着が遅れたから私一人で付いていなきゃならなかったんでしょう!?」

ダガ「だからなんだ?俺だったらそんなヘマはしなかったぜ?」

アリアス「よく言う!?あなた、今背負ってるホビットの色仕掛けにはまって罪人を牢屋から出したじゃないの!?」

ダガ「ば、バカ野郎!それはだな…!?」

アリアス「その責めを負って牢に入れられたあなたを出してくださるよう司祭様に懇願したのは私よ!?
まさか忘れた訳じゃないでしょうね!?」

ダガ「ぐっ…!」

母「げほっ!げほっ!」

ダガ「うおっ!?」

司祭「…やめい。今は内輪で揉めとる場合ではない」

アリアス「も、申し訳ありません」

ダガ「……」

司祭「約束の時間もとうに過ぎておる。最初の予定通り教会へ行くぞ」
30: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 21:52:33 ID:limzVIxYaQ
―――城下町(教会)―――

アントリア「告白したい旨があると?」

町娘「……」

アントリア「恐れることはない。ありのままに話してみなさい」

町娘「」ブルブル

アントリア「…天地に隔たりが無い以上、神の眼には等しく我々の行いが写し出されているのです。
あなたの葛藤もまた同じこと。口に出すも胸にしまうも、ね」

町娘「正直に…申し上げます!ひ、拾ったお金を…使ってしまったのです!」

アントリア「それはとても良くない行いをしましたね?」

町娘「つい魔が差したんです!持ち主に会ったら返すつもりでした!」

アントリア「なるほど、考えは素晴らしいですが実現出来なかったのが悔やまれます」

町娘「…神官、わたしはどうすればいいでしょうか…?」

アントリア「手に手を合わせ、祈りなさい。
あなたの良心に曇りがあるのなら、それを晴らすのもまたあなたの良心でしょう」

町娘「はい…」ギュッ

アントリア「…限りある命は時に過ちを犯し、問われる真心の在処とは常々異なるモノ。
少しでも罪悪を否とする想いがあるならば、あなたには大切な真心が宿っている筈です」

町娘「……」

アントリア「今一度、見つめ直して己の罪と向き合いなさい…。
あなたがあなた自身を赦された時、祈りを捧げる両の手には救いが込められている事でしょう」

町娘「」ギュゥッ
31: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 21:54:18 ID:x0Da.DhtCQ
町娘「ありがとうございました。神官にお話を聞いていただいたおかげで心が晴れました!」

アントリア「救いを得たのはあなた自身ですよ。私はただ神の御心を説いたまでです」

町娘「…また来てもいいでしょうか?」

アントリア「教会とは人々が慈悲深き神に授かりし心の拠り所。
あなたが人である限り、拒まれる理由はないでしょう。いつでもいらっしゃってください」

町娘「……!」

町娘「」ペコリ
32: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 21:55:54 ID:limzVIxYaQ
司祭「お前さんもすっかり神官が板に付いたのう…」ゲッソリ

アントリア「それは誉め言葉と捉えていいのかい?」

司祭「好きに受け取るがいいわ…」

アントリア「またずいぶんと浮かない様子だが今まで何をしていたのだね?
予定では昼前には着くと聞いていたんだが?」

アリアス「司祭様に代わり、お詫び申し上げます…」ペコリ

アントリア「顔を上げなさい。責めている訳ではないよ」

司祭「ふん…」

ガチャッ

シスター「長旅お疲れ様でした!紅茶を用意しましたのでよかったら…」

司祭「」ズーン

アリアス「」ショボーン

アントリア「ありがとう。そこに置いといてくれたまえ」

シスター「な、何かあったんですか…?」コトッ

アントリア「さぁ?旅の疲れが出たのかもしれないね」ズズ
33: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 21:57:11 ID:x0Da.DhtCQ
アントリア「そろそろ話してくれてもいいんじゃないか?」

司祭「……」

アントリア「…そういえば癒しの力はどうしたんだね?彼を連れてきたんじゃないのか?」

司祭「……」

アントリア「ノワール…まさか…!?」

司祭「笑いたくば笑え…。わしはとんだ愚か者じゃよ」

アントリア「……!アリアス君、これでは埒があかないから説明してくれたまえ!」

アリアス「は、はい…。少し目を離した隙にどこかへ行きまして…」

アントリア「だったらなぜ探しに行かない!?憲兵に捕まるかもしれないしホビットを狙う輩はぞろぞろいるんだぞ!?」

アリアス「そ、それがですね…。もうすでに奴隷商人に捕まって売られていた事が分かったんです…」

アントリア「奴隷商人に…?」

司祭「ほっほっほ。長年追い求めた物がこんなにもあっさり手放されるとはのう?笑うしかあるまいて?」

アントリア「ふむ、奴隷商人か……」

司祭「罵ればええわい!いくらでも罵詈雑言を浴びせかけい!」ガタッ

アリアス「いえ!司祭様に責めはありません!全ては私が…!」ガタッ

アントリア「まぁまぁ、落ち着いて?紅茶でも飲んで一息入れなさい。
せっかくシスターが出してくれたのに冷めてしまうよ」

司祭「……!何をのんきに構えとるんじゃ!?貴様は状況が分かっておらんのか!!」

アントリア「そう声を荒げては体に障るよ。心配しなくても奴隷商人に売られたのなら、まだ手はある」

司祭「なにぃ?」ジト

アリアス「本当ですか!?」
34: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 22:02:14 ID:limzVIxYaQ
アントリア「どこで売られたのか調べは付いているんだろうね?」

司祭「う、うむ。バックヤードにあるゴイルの店じゃ!」

アントリア「なるほど、彼の店か…」

司祭「知っとるのか?」

アントリア「…いくらで売れたんだい?」

司祭「あ、あぁ…たしか金貨200枚もの値が付いたと…」

アントリア「200枚か…。普通では考えられない金額だな」

司祭「ホビットとはいえ、そこまでの値が付くものなのか?」

アントリア「まずありえないな。特にオスのホビットはメスと比べて需要が少ない」

アリアス「価格に目安でもあるのですか?奴隷は身分や能力の個体差、醜美様々な都合において値が上下すると聞きますが…」

アントリア「それは大昔の話だよ。人間が奴隷として売られていた時代のね」

アントリア「今は人身売買が認められていないからね。身分を持たないホビットのみなら単価は簡単に予想できる」

アントリア「たとえばオスの幼体なら金貨5枚、成体は金貨12枚。
メスは幼体が金貨70枚。成体が金貨50枚といったところだ。
まぁ大体の目安だからあてにはならないけどね」

司祭「ではオスの小僧が200枚ともなれば、これは異例中の異例じゃな?」

アントリア「その辺の下級貴族がポンと出せる額じゃない。これだけでもだいぶ絞れる筈だ」
35: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 22:04:59 ID:x0Da.DhtCQ
アリアス「…で、ですが買った人間が分かったところでどうするのです?」

司祭「うむ…。それほどの金を惜し気もなく出すような人間じゃ。
わしらが手出し出来る身分とは思えんぞ?」

アントリア「なんとかするしかないさ。人生を賭けてまで実現にこぎつけた計画を今さらフイには出来ないだろう?」

司祭「…そ、そうじゃな。わしもお前も僅かな残り火…今を逃せば二度と機会は巡るまい」

アリアス「私が責任を持って調べて参ります!」

アントリア「」サラサラ

アントリア「これを持っていきたまえ」つ【サイン】

アリアス「これは…?」

アントリア「紹介状のような物だ。それを見せれば上流層の人間も無下にはするまいよ?存分に聞き回ってみてくれ?」

アリアス「かしこまりました!」

司祭「何から何まですまんの…」

アントリア「水臭いものだね。僕と君の仲だろう?」

司祭「助かる…。お前と友であって良かったわい」

アントリア「はは。大袈裟だな…」クスリ
36: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 22:07:11 ID:x0Da.DhtCQ
―――教会(客室)―――

シスター「長旅お疲れ様でした」つ【紅茶】

ダガ「ふ…すまねぇな」カチャ

シスター「お連れ様には薬湯を…よくなるといいですね?」コトン

ダガ「」ズズ

母「げほっ!げほっ!」

ダガ「本部にいた時より明らかに悪くなってやがる。こりゃ長くねぇかもな?」

シスター「まぁ!でしたらお医者様を呼んで参ります!」

ダガ「やめとけ、やめとけ」

シスター「え?ですが……」

ダガ「くたばったらその時さ。別に痛くも痒くもねぇ」

シスター「そうですか…。わざわざ連れておいでになったので大切なのかとばかり…」

ダガ「バカ言え。どぶねずみがくたばって困るのは野良猫くらいのもんだ…。くっくっく!」

シスター「(変な人…)」
37: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/1(日) 22:08:23 ID:x0Da.DhtCQ
バンッ!

シスター「」ビクゥッ

ダガ「あぁ?」

アリアス「何をのんきに茶なんか啜ってるの?行くわよ!」

ダガ「行くってどこにだ?」

アリアス「癒しの力が誰の手元に入ったか調べるのよ!」

ダガ「調べるったって、どう調べんだよ…?」

アリアス「私達の足でよ!いいから来なさい!」ガシッ グイッ

ダガ「おうっ!?て、てめぇ何しやがる!?」タタッタッ

アリアス「情報を掴むまでここには戻らないから、そのつもりでいて!」ガチャッ

ダガ「あぁ!?城下だけでどんだけ広いと思ってんだ!一生かかったって情報なんか掴めね……」

バタンッ!

シスター「(なんなの…?)」

母「」ゴホッゴホッ

シスター「はぁ…こんなの押し付けられても困るんだけど」
38: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 14:33:29 ID:M3wYd3wb5.
―――城下町(ランベルヤ邸)―――

大臣「はい?」

使用人「あいにく主人は不在でして…」

大臣「んぅ〜…事前にお伝えした筈なのですがねぇ」

使用人「申し訳ございません。今夜はどうかお引き取り願います」

大臣「…わたくしがわざわざ?直々に?足を運んだというのにぃ?」

使用人「大変申し訳ございません」ペコリ

大臣「…ちなみにどのような要件でお出かけになったのです?」

使用人「残念ながら申し上げる訳には参りません」

大臣「とどのつまりは居留守か?どういうつもりか知らんが、あまりわたくしを怒らせない方がいいぞ?」

使用人「滅相もございません…!」

大臣「たかだか使用人風情にわたくしの応対を任せるとは…コケにされたもんだ?」ジロジロ

使用人「まことに恐縮でございます…!謹んでお詫び申し上げますので、どうか度重なる非礼をお許しください…!」ペコッ

大臣「ふぅ…!分かりました。今夜はひとまず…おとなしく帰るとしましょう!」イライラ

使用人「」ホッ

大臣「あぁそうだ?言伝てを頼めますか?」

使用人「も、もちろんでございます。私から主人に伝えておきますので」

大臣「では…『次はないぞ。わたくしをコケにしてタダで済むと思うな』」ギロリ

使用人「……!」ゾクッ

大臣「しかとお伝えしましたぞ?」

使用人「」ゴクリ

使用人「か、かしこまりました」
39: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 14:42:12 ID:M3wYd3wb5.
使用人「はぁ…」

バルガン「体よく断れたか?」

使用人「次はない。コケにしてタダで済むと思うなとの御言葉を頂戴致しました」

バルガン「そうか…。父に遺恨を残してしまったな」

使用人「…私には坊っちゃまの考えが分かりかねます。
旦那様がお気付きになられたらお叱りを受けますよ?」

バルガン「クックッ…父には私が言っておく。お前は余計な事を考えなくていい」

使用人「かしこまりました…」

バルガン「(…これでしばらくは小娘も無事だろう。あとは招待状だが…)」

バルガン「おい」

使用人「はい?」

バルガン「何か催し事の知らせは来てないのか?」

使用人「はぁ…?今朝、お渡しした手紙に無いのでしたら今のところは…」

バルガン「(…知らせが無いなら出しようがない。一体教団と王国で何をやるんだ?)」
40: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 14:43:39 ID:PFgfnAqhNQ
―――大臣の屋敷―――

大臣「」グビグビ

大臣「ぶふぅ…!」

侍女「代わりをお持ちしますか?」

大臣「…お前は主が何も言わなければ動かんのか?」

侍女「」ビクッ

大臣「役立たずが…!」ビキビキ

侍女「す、すぐに代わりをお持ちします!」アセアセ

大臣「もういい!!」バリンッ

侍女「……!」

大臣「割れたグラスの掃除でもしてろ」スクッ

侍女「……」ブルブル

大臣「」スタスタ
41: ◆WEmWDvOgzo:2013/12/4(水) 14:48:19 ID:PFgfnAqhNQ
―――大臣の屋敷(展示室)―――

剥製「」

大臣「……」

大臣「(ランベルヤめ…!芸術家ごときが忌々しい…!)」

大臣「あぁクソッ!!」ダンッ

大臣「(くぅ…!早く…早くあの小娘を剥製にしたい…!)」

大臣「(静かな眠りに付き…永遠の美となる人形を片手に芳醇な酒の香りを楽しむ…。
これ以上の贅沢がはたしてこの世にあろうか…!?)」

コンコン

大臣「んぅ〜…?」

ギィィ

執事「お楽しみのところ申し訳ございません」

大臣「いいから要件を言え」

執事「はっ…教団の人間が旦那様にお話を伺いたいと訪ねて参りました」

大臣「教団?あの頑固ジジイのか?」

執事「入り口の前に待たせてありますがいかがなさいましょう?」

大臣「追い返せ。こんな真夜中に非常識極まりない」

執事「ではそのように…」

執事「それから別宅の奥様が使いを寄越しまして…金貨100枚ほど用立ててほしいそうです」

大臣「わかった…」

執事「失礼致しました」バタンッ

大臣「(どいつもこいつも…イラつかせる)」
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名前:
sage:


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