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三蔵「…岩から尻が生えている」
[8] -25 -50 

1:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/6/28(金) 01:13:20 ID:clfaSnFbdM
尻「…はっ!!誰か居るのですか!?」

三蔵「見たところ20代そこらか。いや、肌の張りからすると、17、8かな」

尻「ああ…こんな人里どころか鳥の声さえ聞こえない不毛の地に、とうとう人が…!しかも声から察するに殿方…!」

三蔵「しかし無駄に毛深いな」

尻「ついに…ついにメチャクチャにされちゃうんですね…!この通りすがりの名も知らぬ殿方に性の捌け口にされちゃうんですね私のお尻…!あと毛深いとかヒドイ」

三蔵「うるさい尻だな…いくら仏の教えとはいえ、こんなのも助けるべきなのか…?」

尻「仏の教え…?僧侶さま…なのですか?」

三蔵「うむ。僧だよ。玄奘三蔵。…それにしても毛深いな…特に尻のあ」

尻「やめて!!…こ、これは失礼をしました…!仏に仕えるお方は、そのような煩悩は無いのですね!」

三蔵「いや俺ロリコンだから。女は10歳以下しか認めない」

尻「おい」

三蔵「下の毛とか意味わかんない」

尻「おいこら」


887:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/8(月) 01:08:43 ID:rVyi/DLuEc
観音「う、うう、だ、だって、もっくん、カッコ、いいから……!うぇ、わた、私、沙和尚みたいに、美人じゃない、し」

沙悟浄「な、なんだいやめとくれよ」

観音「ひっく……ちょ、猪八戒みたいに、可愛くも、ないしっ」

八戒「ほっ。なんか久々に容姿を褒められたのう」

観音「孫行者みたいにっ、おっぱい大きくないしっ!」

悟空「私だけ顔関連じゃ無いのがとてもやるせない」

観音「私なんて、私なんて、きっと、きっと、もっくんに、捨てられちゃうんです!うえ、うえええええ…!」

悟空「ちょっと観音さま、どうしたの酔ってんの?」

八戒「これ姉者、そこじゃと危ないぞ」

悟空「へ?危ないって、な」

木叉「のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっっ!!!」

悟空「にがふっ!?」

木叉「ボクが、ボクがのんのコト捨てるわけあらへん!のんはボクの宝や!命や!全てや!」

観音「も、もっくん……!?」

沙悟浄「……気配わかんなかったよ。見てたのかい」

八戒「ワシも潜んどる事に気付いたのは、今さっきじゃ。現天部筆頭・木叉が力、やはり侮れんの」

観音「も、もっくん、苦し」

木叉「あ、ああスマン、でもやなのん!のんは美人や!そこのヤンキーとは比べるまでもないわ目つき悪いだけや恐いだけや見た目ドMホイホイのクセして純情処女とか表紙サギやでこんなん!」

沙悟浄「さぎっ!?」

木叉「腹黒幼女とももう格が違うわ!のんのがずっとずっと可愛い!こんなんアレやナリだけは可愛く作ってある劇の人形や!張りぼての下で操っとるんはハゲでメタボでキッタナいハゲたオッサンや!」

八戒「なんでハゲ二回言うたお主」

木叉「えっとそんでそこのは毛が生えた肉まんや」

悟空「短っ!人のこと体当たりでスッ飛ばしといて短くない!?」
888:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/8(月) 01:10:17 ID:rVyi/DLuEc
観音「もっくん……だ、だって、わらし、ふあ、不安で…!うぇぇえ……!」

木叉「のん……!」

沙悟浄「いやいやいや。ラブってるとこ悪いけどそこの彼氏。あんだけ露骨にケンカ売っといてスルーしてもらえると思ってんのかい?あぁん?」

悟空「そうだよ!どうせ私になら何言っても良いとか思ってるでしょそんなん通らないよ!」

木叉「そっちかてボクのことさんざ言うてたやんけ!お互い様や!」

八戒「……ま、道理じゃの。姉者も悟浄も、矛を引っ込めい」

沙悟浄「どしたんだい姐さん、ノリが悪いよ?眠いのかい?」

悟空「今日ちょっとテンション低くない八戒ちゃん?」

八戒「や、別にノリもテンションも平常なんじゃが………ワシには事情が読めとるからのう」

悟空「事情?」

八戒「うむ。この男が浮気しとるかは……まあ、定かでは無いが。今回、観世音がこうも荒れとるのは」

観音「……っ!ご、ごめんなさ、ちょ、ちょっと気分が……うぉえっ……」

木叉「の、のんっ!?」

八戒「ほ、タイミングの良いことじゃ。……おめでた、じゃな」

観音「……ふぇ?」

八戒「心身ともに不安定となり、普段は気にせぬ事にも苛つき、癇癪を起こすようになる。ようある妊娠の初期症状じゃ。悪阻(つわり)も初めてでは無かろ。体調不良もイライラに拍車をかけるでのう」

観音「に……」

一同「妊娠んんんんんんんんんん!!?」

八戒「これ、煩いぞ皆。身重の女が居るんじゃ、気を使ってやれい。木叉、お主も父となるのじゃぞ。チャラチャラも程々にせんとのう?」

木叉「ボ、ボクと……のんの……こども……!」

観音「あ、赤ちゃん……うわ、うわああ……!」

沙悟浄「……ちぇ。頭のおめでたい話かと思ったら、本当に目出度い話だったじゃないのさ。毒気抜いてくれるねぇ、全く」

悟空「ここまで幸せムード出されちゃ、空気読んでおめでとうしか言えないもんね。でも八戒ちゃん、なんで妊娠中のコトそんな詳しいの?」

沙悟浄「将軍やってた頃に、子を授かった部下でも居たのかい?」

八戒「いや、前に腹ボテプレイにハマった時期が」

悟空「はい幸せな空気を切り裂くのやめて!」
889:🎏 ヨシュア【ドラマCDそのに・下巻】 ◆.frSdr10QQ:2014/12/11(木) 12:52:20 ID:o/vrnjEwsE
沙悟浄「へぇえ、この中に赤ん坊がねぇ……シャオの時と違って、やっぱなんか神秘的だね」

観音「……お母さんに、なるんですね……ど、どうしましょう……!」

木叉「えと、えと、産休や!産休の申請せな!産休てオトコも取ってエエんやったよな確か!いつから取ろ、明日から!?明日からがエエかな!?」

沙悟浄「いやアンタ、如来代理と天部のトップが一緒に休んだらマズいんじゃないのかい?」

木叉「あ、のんに近付かんといてくれます?お腹の子ぉにヤンキーが伝染ってまう胎教に悪い。しっしっ」

沙悟浄「ゴメンよ観音さん、ちょっとその子の父親亡くなっちまうけど、女手ひとつで頑張っとくれ」

木叉「ほっほぉ今のテンションがおかしくなっとるボクに刃を向けます?よっしゃよぉく見とくんやで我が子!キミのオトンがメッチャ強いってこと教えたるでぇ!」

観音「なんで喧嘩になるんですか!やめて!」



悟空「……おかあさん、かぁ。どんな感じなんだろね。八戒ちゃんのお母さんって、どんな人だった?」

八戒「…むう、遠い昔過ぎてのう。と言うかワシは転生しとるからな、今の母親はブタになるんじゃないのかの?それじゃと、ワシが身体に宿ると同時に爆散して肉片になってしまったでの、残念ながらどんな母親だったかは……」

悟空「うんごめん、八戒ちゃんになんか暖かいエピソードを求めたのが間違いだった。エロかグロしか出やしないのなんて知ってたのに」

八戒「そう言う姉者の母親はどうなんじゃ」

悟空「え、岩だけど」

八戒「うむ知っとる。ここ二人が母を語る事そのものが間違いじゃったな」

観音「なんか微妙に悲しい話してないで、もっくんと沙和尚を止めてくださいっ!本当に三蔵法師は、貴女たちにどんな教えを………ん?三蔵法師……?はっ!も、もっくん!もっくんてばっ!」

木叉「父の力をその刀身に、唸れ七星剣……ってうおお危ないでのん!大事な身体なんやから、ほらこっち座って」

のん「あぅんもっくん優しい……じゃなくて!貴方は孫行者たちがここにいる間、三蔵法師を護衛してくれてるハズでしょう!?」

木叉「う」

沙悟浄「はあ!?護衛つけるって言ってたけどコイツなのかい!?天部どんだけ人手不足なのさ!?」

木叉「あー、いや、軍部に頼むとナタにバレるやん?龍神君目当てでまた暴走しかねんなぁと思て、その、ボクがな?」

八戒「まあその小龍が居るからの、師匠殿の心配は別に無いが……いくら彼女がなんの話をしとるか気になるとは言え、己が責務を放っぽり出すとは……」

悟空「無責任な父親かぁ」

木叉「い、言いがかりや!ちゃんと代役立ててきたわい!……民間やけど」

観音「……民間?」
890:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/11(木) 12:52:51 ID:o/vrnjEwsE



三蔵「……ものすごく、美味いな」

小龍「……はい。ものすごく」

鹿力大仙「どんどん食えよおめーら!まだまだ材料あっからよ!…っと、そろそろ饅頭が蒸し上がるかなっと」

三蔵「こんな美味い麻婆茄子、はじめて食ったぞ。高級料理とはまた違う、家庭料理を極限まで高めた『何か』だコレは……!」

小龍「…私も料理をしますが、何をどうすればこんな旨味が出るのか……!辛いのに、優しい……!」

三蔵「やべえご飯が止まらねえ。……あの、羊さんも一緒に食べません?そんな隅で突っ立ってなくても」

羊力大仙「気遣い無用。我等は貴殿の護衛として派遣されているである。就寝中、閨事中、そして食事中の襲われ易きは基本である。注意を怠る我が輩ではない」

三蔵「まあまあ、小龍も居るしそんな気張らなくても」

羊力大仙「龍神殿より武に劣る我等では不安も当然であろうが、安心召されよ。宿の周囲、町の各所ともに私兵を配置しているである。何かあればすぐに対応する故、気にせず食事を続けられい」

三蔵「いや別にそんなこと訊いてない」

虎力大仙「ただいまー。あ、良い匂い。鹿力なに麻婆?アタシにもちょーだーい」

鹿力「おーう。あんだオメェ、どこで遊んでたんだ?」

虎力大仙「遊んで無いわよ、仕事よシ、ゴ、ト。はい三蔵法師、これ」

三蔵「……なにこれ。……え、なにこのお金」
891:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/11(木) 12:53:28 ID:o/vrnjEwsE
虎力大仙「何って……アンタらって、あっちこっちで賊だのをやっつけて、その謝礼で食べてんでしょ?ここらの領主んとこ行ったら、近くで山賊団が暴れてるって言うから、潰して来たのよ。で、その礼金」

三蔵「えっ……え?」

虎力大仙「あによ怪訝な顔して。天部の依頼とは言え、受けたからにはちゃんとアイツらの代役はこなすわよ。あーでもアレね、山賊どもが貯め込んでたお宝は、ウチで接収させて貰ったから。鹿力、羊力、臨時ボーナスよ臨時ボーナス♪」

羊力大仙「では虎力、きちんと報告書に、その接収金もまとめ……なくて良いであるな。その方が兵達にも多く渡るであろうし」

鹿力大仙「ここの宿、なかなか台所が充実してて捗るぜぇ。あ、カネ入ったんならよ、俺新しい石窯欲しいんだけど」

虎力大仙「良いわよー、美味しいの作ってくれるなら。てゆーかアタシの麻婆茄子はやくっ」

三蔵「………なあ、小龍」

小龍「………なんでしょうか」

三蔵「………三バカ……いや、三大仙さん達ってさあ……ウチの……」

小龍「………先生、それ以上は」

鹿力「よっしゃ海老饅頭、出来上がったぜ!羊力、これなら立ったまま食えんだろ?ほらよっ」

羊力大仙「とっ、と、熱つつ……!鹿力、食い物を投げるでない。おお、そうだ虎力、わかってるとは思うであるが、今回は玉面様経由の依頼だ、報告書に不備は残すなよ。あの御方は細かいであるからして」

虎力大仙「はいはい了解了解、細かいのはアンタも同じよ。それよりマーボー!朝からロクに食べてないんだからアタシ!」

鹿力「ちっと待ってろっての。おっし虎力は花椒少なめで、っと」

三蔵「………ウチの三姉妹より、よっっっぽどしっかりした大人だな……」

小龍「……くっ」
892:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/11(木) 12:54:09 ID:o/vrnjEwsE




悟空「えー!?鹿くんの麻婆茄子とかズルい!この前作ってもらう約束したの私なのに!」

三蔵「また機会があんだろ、なにもそんな大声で言わんでも。お前その食い気モジャモジャなんとかしろよ」

八戒「ほほ、食い気ならぬ食い毛、か。斉天大聖より、よほど妖怪っぽい呼称じゃの」

悟空「やだよそんなザコっぽい名前」

小龍「…それにしても、あの二人に子供、ですか。なんと言うか……」

三蔵「天帝って人を除けば一番偉いんだろあの二人。そこがデキちゃった結婚とか大丈夫かよ天界」

沙悟浄「んふふぅ♪ほぼ一日振りの旦那様ぁ……♪すりすりすりすり………えっ。ダメなのかいデキ婚?どうしようアタイと旦那様にはもう悟空姐さんが」

悟空「私は悟浄ちゃんから産まれてません!」

八戒「しかしどう贔屓目に見ても、木叉もガキじゃし観世音も世間知らずの小娘じゃ。しっかりと親をやれるかどうか」

沙悟浄「ガキがガキ作っちまった、ってヤツだねぇ。んふふぅ旦那様ぁ、悟空姐さんの弟か妹は、ちゃんと計画的に作ろうねぇ♪」

悟空「はい同じネタを繰り返さないの。でもちっちゃい子供が居たら、こーゆー旅とか難しいよねー」

三蔵「…………」

小龍「…………」

悟空「んぅ?なにどしたの二人とも」

八戒「なんじゃ、今回は何のジト目かわからんぞ。小龍まで」

沙悟浄「すりすりすり……え、なになに?」

三蔵「……子供はお前らだろ」

小龍「……皆さんこそ、もっとしっかりしましょうね」

三姉妹「?」






劇終。
893:🎏 名無しさん@読者の声:2014/12/11(木) 21:08:23 ID:SGh4tmqVCM
ヨシュアさん今回も新作ありがとう!
そして食い気モジャモジャという言葉の謎のセンス
894:🎏 名無しさん@読者の声:2014/12/15(月) 08:16:09 ID:lnDs.6DFoU
観音様の観音様から新しい命が生まれるとはめでたいめでたい
895:🎏 名無しさん@読者の声:2014/12/18(木) 23:00:10 ID:keSpzPPFso
観音様の赤ちゃんが観音の観音様を観音開きして出てくるんだな・・・
896:🎏 ヨシュア【年末TVスペシャル特番】 ◆.frSdr10QQ:2014/12/19(金) 17:34:18 ID:BME.DcoF6E

ー西国の更に西、森の道ー


女騎士「はぁっ……はぁっ……!」

怪物「ゲヘヘヘ……!」

女騎士「ちっ……!不意を突かれなければ、こんな奴になど…!」

怪物「観念シヤガレ、オンナァァァア!」

女騎士「よ、寄るな汚らわしいっ!」

怪物「ゲヘ、ゲヒャヒャヒャヒャァァアッッ!!」

女騎士「くっ……!!」

悟空「伸びて如意棒ーっ!」 

ドガァァァァァンッッ!!

怪物「グギャッ…!!?」

女騎士「……へ?」

悟空「よしっ」

沙悟浄「おや、ドテッ腹貫けなかったかい。意外と硬いんだねぇ、ここらの賊は」

小龍「…頭ならば、グチャッといけたのでは」

三蔵「会話がグロいっつーの。ん、なんだ八戒、不満そーな顔して」

八戒「ううむ………ちと助けるのが早かったのではないか?」

悟空「いやいやじゅーぶんピンチだったよ、このお姉さん」

八戒「凌辱シーンがピークになってからが良かったんじゃがワシ」

悟空「せめて始まったら、くらいにしようか」

女騎士「……な、なんなのだ…?」



〜西遊後伝・王子と姫騎士〜
897:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/19(金) 17:35:17 ID:BME.DcoF6E
悟空「さてと。だいじょーぶ?お姉さ……およ、お姉さんじゃないや、よく見るとまだ幼いっぽい」

女騎士「…………」

三蔵「待て悟空。見たとこ14、5歳くらいじゃんか。このくらいで幼い、ってのは」

悟空「あ、そうですね失礼ですよね」

三蔵「そうだ幼女に失礼だ」

悟空「別に幼女全般に気遣う義理無いですし私」

女騎士「………お……」

沙悟浄「どしたんだいアンタ、呆けちまって。そんなに怖かったのかい?」

八戒「大層な鎧姿しとるクセに、見かけ倒しじゃの。……と、足を挫いておるか。小龍、膏薬はあったかの?ワシが塗る」

小龍「…はい。確かまだ残って……」

女騎士「………王子っ!!」

八戒「むおっ!?」

女騎士「王子!!御無事でおられたのですね、王子っ!!」

小龍「…ええと、ああ、やはりだいぶ減って………はい?」

女騎士「このフローレ、王子は必ずや生きていらっしゃると、ずっと、ずっと……!!」

三蔵「おい王子、女の子泣かすなよ」

悟空「ダメだよ王子、そんなとこまでご主人様に似ちゃ」

小龍「…よく即座にイジれますね。……あの、人違いでは?あと肩を揺すらないで欲し」

フローレ「どうなされたのです王子!?……まさか御記憶が……!?ワタシです!フローレです!王子っ!!」

沙悟浄「なんだいスミに置けないねぇシャオ。昔のコレかい?」

小龍「…私は下界に落ちてから、ずっと悟能様と一緒ですよ。他に知り合いなど」

八戒「ズルいぞ小龍、ワシを差し置いて金髪碧眼をモノにするじゃなんて。よし寄越せ」

小龍「…はい、どうぞ悟能様」

三蔵「うんごめん勝手に他人をどうぞしちゃダメー。どんだけイエスマンだお前」
898:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/19(金) 17:36:55 ID:BME.DcoF6E
フローレ「…なんだ貴様らは。王子に先程から気安く……無礼な!そこになおれ!」

悟空「むっ。助けてあげたのにその態度は良くないですね。うん良くない!」

フローレ「ふん、助けてくれと頼んだ覚えは無い!王子、御下がりを!この無礼者どもを斬り捨て、すぐさま城へとお連れ致します!」

小龍「…ですから人違いだと」

沙悟浄「龍王の息子だから、王子は王子だけどねぇ」

三蔵「お、確かに」

小龍「…あの、それは良いですから。……悟能様、どうしましょうか、これ」

八戒「………ふむ。姉者、まあ許してやれい。おい娘子、『この者』が王子とな?」

フローレ「娘子では無い!我が名はフローレ、誉れ高き騎士だ!……この者、だと?我らがローウン王子に対して、なんと言う口の聞き方……!!」

八戒「ほ、間違いじゃのにちょっと名前似とるのう……ではなく。おおお、そうであったか。これは知らぬ事とは言え、無礼をした。いや、フローレ殿の仰る通り、この者……や、この方は記憶を失っておってのう。ワシらが世話をしておったのじゃよ」

沙悟浄「ちょいと八戒姐さん?」

フローレ「な、なんと……!そうだったのか……それならば此方こそ非礼を詫びなくてはなりません。よくぞ、よくぞ王子を助けて下さった…!!」

悟空「あ、多分この子バカだ」

三蔵「お前がそれ言っちゃうか。おい八戒、なんの悪ふざけだよ」ヒソッ

八戒「良いではないか、なんか面白そうじゃし。それに恐らく、この流れじゃと…」ヒソッ

フローレ「それでは皆様も城へと御案内致します!さ、王子、あちらに馬を繋いで居りますので!」

小龍「…………はい。よろしくお願いします。申し訳ありません、貴女の事も覚えておらず……」

フローレ「そんな……フローレは、王子が生きて居られる、それだけで……!城に戻れば何か思い出されるかもしれません!ささ、此方です!」

八戒「ほれ、食事と宿が確保出来たぞい」

三蔵「いいのかなぁ」

悟空「……てかシャオくんって凄いよね……可哀想なくらい従順だよね……」

沙悟浄「……こんなムチャ振りにも、ちゃあんと対応するしねぇ……ひっどい教育だよ……」

八戒「お主らも実はノリ気なクセしおってからに、なんじゃその言い種は」
899:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/21(日) 17:16:11 ID:5n7RT7yJ56

悟空「わー、やっぱり町並みがこう、違いますねお師匠さま!」

三蔵「だな。なんつーか、ものっそメルヘンなー。いつかの遊園地みてーだ」

沙悟浄「遊園地と言えば……ねぇ、あそこのコンビニ……」

三蔵「………この辺って確か、天界ですらあんま把握してない地域なんだよな」

悟空「どこに行ってもキツネのマークから逃げられないとか、もうホラーだよ……」

八戒「……しかしまだ夕刻じゃと言うに、人通りが皆無に等しいのはどういう事じゃ?……まさか、戦時か?」

フローレ「……ハッカイ殿、でしたか。いいえ、我が国は中央から遠く離れた小国。戦らしい戦は、何十年とありませぬ。………先程、ワタシを襲った怪物を覚えておいでか」

八戒「おお、あの緑色の妖か」

沙悟浄「そういやアタイ、裏の商人から聞いたことあったよ。アレが『おーく』ってヤツかい?中華じゃ見ないよね、あんなん」

フローレ「チューカ………なるほど、遥か東国の方々でしたか。へえ、そちらにはオーク族は居ないのですね。いえ、確かにオーク族も粗暴で、ワタシたちヒューマン族に比べると多少知恵の足りないところはありますが……あのような理性の無いバケモノではありません。我が城にも近衛として数名、仕えておりますよ」

八戒「ほほう。西国は人も妖も、単なる種族の違いと見るか。風土の違いじゃのう」

悟空「あっちだと人間じゃなきゃ妖怪!って感じだもんね。考えてみたら乱暴だよねー」

フローレ「一年ほど前から、あれらが現れ始めたのです。街すぐ近くにて狼藉を働く事も……領民も怯えており、日中ですら人通りは疎ら、この時間では出歩く者は居なくなってしまいました」

沙悟浄「……騎士、ってのはつまり、城付きの武将だろうアンタ?言いたかないけど、城下の治安も守れないのかい、この国は」

フローレ「……言い訳にしかなりませんが………前述の通り、戦も知らぬ我が国、常備の兵も少なく……それに、一年前と言えば……」

小龍「……?」

フローレ「…いえ!それも今日までのこと!王子が帰ってきて下さったのです!暗く沈んだ我が国にも、きっと光が射しましょう!」

小龍「……はあ」

フローレ「……っ!もも、申し訳ありません!このような往来で、お手を、お手を握ってしまうなどと……!」

八戒「でも手ぇ離さんのじゃな」

沙悟浄「は、乙女だねぇ」

悟空「ラヴコメの香りがするなぁ痒いなぁ」

三蔵「毛ジラミか」

悟空「それ毛の濃さ関係ない!……か、関係ないよね?」
900:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/22(月) 21:35:58 ID:wrako9Kb/.
フローレ「おーい!ワタシだ!門を開けてくれ!そして皆の者聞いてくれ!なんと王子が」

番兵「……フローレ様…?フローレ様!すぐに大臣様に報せねば!フローレ様、御無事であらせられたぞ!門を開けろ!フローレ様だ!」

フローレ「おお、で、王子がだな?」

番兵「大臣様!ラーツ様!フローレ様御帰還にござります!ラーツ大臣さまーっ!」

フローレ「……おーい」

八戒「なんでお主が帰ってきて騒がれるんじゃ」

フローレ「…えっと……たぶん……」

片眼鏡の男「姫ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっっ!!!」

フローレ「おおラーツ!喜べ、なんとだな」

ラーツ「何が喜べですか!こんな物騒な時に御一人でフラフラと!メイドだけに言伝て『森へ行く』って森ってどこですか東西南北どこ進んでもそのうち森ですよ!こっちはもう捜索隊の準備すら」

フローレ「そ、そんな一気に色々言われてもだな、うう」

沙悟浄「それより、姫ってなんだい姫って。将じゃ無いのかい?」

ラーツ「本当に貴女は御身をどう考えて……おや、こちらの方々は……もしや姫を保護して下さったので?このような甲冑姿の怪しい者を姫と信じて送ってきて下さるとは、なんとお礼を申し上げてよいか…」

フローレ「怪しくないぞ!」

悟空「え?お姫様なの?」

ラーツ「馬車用の白馬まで持ち出してまったく……ってうおおおおお王子ぃぃぃい!!?えっ幽霊!!?いや足ある!!うええええ!!?」

フローレ「そうなのだ王子なのだ!しかし御記憶が……って驚いてないで聞いてくれラーツ!」

沙悟浄「……ところでシャオ、あんた角隠せるんだね」ボソッ

小龍「…変化の応用です。とりあえず成り済ます流れなんでしょう?」ボソッ

悟空「ねえお姫様なの?ねえってば!」

三蔵「……八戒、今回ちゃんと責任持ってオチをつけろよ」

八戒「えー?ワシぃ?」

三蔵「お前さすがにコレで投げっ放しやがったら次の衣装バンソーコー三枚だかんな」

八戒「おっほ、目がマジじゃこの僧侶」
901:🎏 名無しさん@読者の声:2014/12/22(月) 22:38:44 ID:jwxjZ82e3c
続きが気になるー

902:🎏 名無しさん@読者の声:2014/12/22(月) 23:29:02 ID:KhzwrMS1JU
そういえばお師匠様僧侶だった素で忘れてた
903:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/24(水) 15:33:07 ID:UUg2hnHlnA
ラーツ「と、とりあえず落ち着かなくては……よし。まず姫はお着替えを!城内でまでそのような格好、神が許そうともこのラーツめが許しません!メイドさんたち、連れてっちゃって!」

メイド「はい〜♪」

フローレ「ちょっ!えっ!待ってワタシは王子のそばにっ!やーっ!」

ラーツ「……はあ。あ、ここではなんですし、広間へどうぞ、皆様……と、王子……なのですね…!」

小龍「……ええと、だそうで。なにぶん記憶喪失なので、申し訳ありませんが貴方のことも」

ラーツ「なんと……ああすみません、まだ混乱しておりまして……とりあえず、広間へ……」

小龍「………」




沙悟浄「国王の弟の娘、って……なんだいバリバリの王族じゃないのさ。そりゃ姫様だねぇ」

八戒「つまり、小……ローウン王子殿とは、イトコ同士か」

悟空「え、でもあの感じは完全にラヴコメだったよ」

ラーツ「ええ、ラヴコメやむなしでございます。なんせフローレ姫は、ローウン王子の許嫁でございますから」

三蔵「ほー。ずいぶん近いとこから嫁さん取るんすね」

ラーツ「我が国は政略結婚の必要も無い、田舎の小国にございます。国王の弟君とその御夫人……フローレ様の父母は、流行り病で若くしてお亡くなりに。不憫なフローレ姫を、ローウン王子は幼き頃より慰め、愛を持って接しておりました。恋仲になるのは自然な事かと」

八戒「見た目が小龍くらいじゃとすると、明らかにあの娘のが年上じゃよな。姉萌えの結果か、あの娘のショタ趣味か」ボソッ

悟空「うん八戒ちゃん、私それなりに『純愛っぽいなあ』とか感じてるんだからそのゲス話を振られても困るよ?」

ラーツ「……しかし、一年前のあの日……全てが引き裂かれました……!」

悟空「でも私的にはショタ好きに一票」

八戒「結局ノってくれるから好きじゃぞ姉者。うむワシもそう思う」

沙悟浄「ほら姐さん達、回想シーン始まるからお口にチャックだよ」

三蔵「あ、すんません気にせず続けてください」

ラーツ「は、はあ……」
904:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/24(水) 15:34:35 ID:UUg2hnHlnA


フローレ『王子、剣のお稽古の時間ですよ!さあ、先生もお待ちです!』

ローウン『……ボクは良いよ。フローレはそんなに剣術やら弓術やら頑張って何になりたいの?アマゾネスの戦士?』

フローレ『そんなムキムキではありません!しかし王子はもっと身体を鍛えるべきです!そんなんだから背も伸びないんですよ!』

ローウン『いや成長期に筋肉つけたらマズイんじゃなかったっけ。それにほらボクのルックスだとさ、ちょっと線が細い方が女の子ウケも良いと思うんだ』

フローレ『一国の王子なのですから、女の子ウケより領民への威厳を優先してください!さ、行きますよ……はっ!?すすすすみません!殿方のお手を引くだなんてはしたないコトをっ!』

ローウン『とか言いながら手ぇ離さないんだよね、あはは』



ラーツ「……当時、ワタクシはお二人の教育係を担う、一介の文官でございました。王の善政は国を守り、王妃の慈愛が王室を包む。平和で、穏やかな時でした……ですが、あのドラゴンが、平穏を奪ったのです……!」

悟空「どらごん……」



衛兵『ぐはっ……!!』

黒龍『……ゥルルルルル……!!』

フローレ『黒い……ドラゴン……!』

王『…くっ……一体どこからこの玉座の間に……!!周りは炎に囲まれ、大事な臣下は悉く倒れて行く……無念だ……!!』

王妃『……フローレ。貴女は隠れなさい。ここ……玉座の下に、昔、抜け道を埋め立てた穴があります。人ひとりは収まるでしょう』

フローレ『馬鹿な!王と王妃を置いて、ワタシが逃げるなど!』

王『…あのバカ息子め。このような時に遠乗りとは……よくやった!隠れろフローレ!!お主とローウンが居れば、我が王家は潰えぬ!』

王妃『衛兵達が、その命をかけて戦ってくれています。今ならば、あのドラゴンめに気付かれず隠れられましょう。さあ、早く!』

フローレ『でも、でもっ!』

王『そなたも王族ならば、兵たちの命を無駄にしてはならぬ!国の未来を……』

王妃『……そして、あの子を。頼みましたよ……』

バタン……

フローレ『王……っ!!叔父上っっ!!叔母上ぇぇえっっ!!』

黒龍『グルァァァァァァァァァァァアッッッ!!!』
905:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/24(水) 15:35:36 ID:UUg2hnHlnA



ラーツ「………しかし、王子は戻らず……我々も探しましたが、なにぶん犠牲者が多く、国の建て直しこそ急務。あの飄々とはしていましたが、お優しい王子が逃げたとは思えず………誰もあえて口にはしませぬが、死んだものと考えておりました……」

沙悟浄「……なるほどね。ん、てことは今この国、王様居ないのかい?」

ラーツ「……本来ならば、唯一残られたフローレ姫が王位を継がれるのが一番なのですが……如何せんまだ若く未熟。それに、まだあの忌まわしき日より一年余り……気丈に振る舞っては居られますが、痩せ我慢が見え透いております。……しかし、王子!」

小龍「…はい」

ラーツ「貴方は帰ってきてくれた!こんな、こんな嬉しい事はありません……!」

小龍「………」

ラーツ「今日、姫が無断で城を抜け出したのも、貴方様を森で見かけた、という噂を耳にしての事だったのですが……まさか本当に見つかるとは!御記憶なぞ問題ではございません!その御身こそが有難い…!」

小龍「…はあ……どうも……」


三蔵「おいマジどーすんだコレ。今さら嘘でしたとか言えねーぞ」ヒソヒソ

悟空「晩ごはん食べたら、シャオくん連れて逃げちゃうとかどうでしょう」ヒソヒソ

沙悟浄「王子誘拐とかで、人相書まわされないかね、それ。もう口封じ出来る状態じゃ無いよねぇ」ヒソヒソ

八戒「まあこんな小さな国じゃ。二つ三つ山を越えれば、逃げ切れるじゃろ」ヒソヒソ

三蔵「おまえら」

沙悟浄「あぁん冗談だよぅ旦那様ってばぁ♪」

八戒「チョイ悪姉妹を演出しただけじゃ、怒るな怒るな」

悟空「なんかちゃんと叱るとか、今日のお師匠さまはお師匠さまみたいですね!」

ラーツ「な、なにか揉め事ですか?」

三蔵「なんでもないです良い弟子たち過ぎて泣けるやら疲れるやらなんです」

ラーツ「?」
906:🎏 ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/25(木) 21:24:13 ID:wrako9Kb/.


悟空「いっただっきまーっす!」

ハムハムガツガツバクバクッ!!

三蔵「悟空のスタートダッシュが普段より存外ヤバい件」

沙悟浄「ま、気持ちはわからないでは無いさね。コレとか何だろね、野苺のソースかね。洒落てるじゃないのさ」

八戒「シャ……王子殿とフローレ殿は、どちらにおわすのじゃ?夕食を御一緒できるかと思うておったのじゃが」

ラーツ「あはは、案外不粋ですね、ハッカイ殿。二人きりにしてあげようではありませんか。皆様揃えての御歓談は、また明日以降にでも。急ぐ旅では、無いのでしょう?」

八戒「……まあ、の」

悟空「はむへむほみふむ、ほなはむへ!」

三蔵「どうして口いっぱいにモノを詰めるんだお前は」

ラーツ「焦らなくとも、追加はドンドンさせますので。……と、ではすみません、ワタクシ政務が残っております故、一旦失礼致します。寝室、浴場を御所望の際は、なんなりとその辺の者に仰せください。それでは……」

バタン……

八戒「……ふむ」

三蔵「なーんか見慣れねぇモンばっかで困るな。あと俺何気にワイン初めてだ。ねーちゃんはけっこー好きで取り寄せてたけど……」

八戒「悟浄」

沙悟浄「あいよ」スッ

三蔵「………なにすんの師匠イジメ?なによグラス返せよ悟浄」

沙悟浄「飲み物なら、今からアタイが愛を込めてお茶を煎れるから、旦那様はそれで我慢しとくれよぅ♪…ええとお茶っ葉ときゅうすは……」

三蔵「なんで!?飲みの席でお茶とか拷問じゃね!?」

八戒「…大声を出すで無いわ。残念じゃが飲ませられん。この葡萄酒、毒が盛ってあるでのう」

三蔵「っ!?」
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