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三蔵「…岩から尻が生えている」
[8] -25 -50 

1: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/6/28(金) 01:13:20 ID:clfaSnFbdM
尻「…はっ!!誰か居るのですか!?」

三蔵「見たところ20代そこらか。いや、肌の張りからすると、17、8かな」

尻「ああ…こんな人里どころか鳥の声さえ聞こえない不毛の地に、とうとう人が…!しかも声から察するに殿方…!」

三蔵「しかし無駄に毛深いな」

尻「ついに…ついにメチャクチャにされちゃうんですね…!この通りすがりの名も知らぬ殿方に性の捌け口にされちゃうんですね私のお尻…!あと毛深いとかヒドイ」

三蔵「うるさい尻だな…いくら仏の教えとはいえ、こんなのも助けるべきなのか…?」

尻「仏の教え…?僧侶さま…なのですか?」

三蔵「うむ。僧だよ。玄奘三蔵。…それにしても毛深いな…特に尻のあ」

尻「やめて!!…こ、これは失礼をしました…!仏に仕えるお方は、そのような煩悩は無いのですね!」

三蔵「いや俺ロリコンだから。女は10歳以下しか認めない」

尻「おい」

三蔵「下の毛とか意味わかんない」

尻「おいこら」


867: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/20(木) 19:17:11 ID:kNC9uH3bo.

「佳く、来た」

玉座から、頭上に声を掛けられる。僕は首を上げず膝をついたまま、口を開いた。

「はっ。平天大聖が一子、紅孩児に御座いまする」

「うむ。頭を上げよ」

嗄れた、しかし通りの良い声が響く。

「…しからば。此度の謁見、元来ならば父、平天大聖が赴かねばならぬ処、此の様な若輩の身で代えた事、平に御容赦願います。……混世魔王様」

………混世魔王。坎源山(こんげんざん)に居を構える大妖怪。ウチのクソ親父と同じく『魔王』の名を持つ、バケモノだ。

「よい。大力王……いや、今は牛魔王と呼ばれているか。大所帯を束ねる身、身軽には動けぬであろう。王とは不自由なものよ」

黒い肌に、白い髪と髭。僕ら妖魔は見た目が老けてても実年齢は解らないけど、部屋全体を包む重い妖気が、かなり齡を重ねたそれだと確信させる。ま、この人父上より年上だって知ってるけどね僕。

「用件の前に、紅孩児。それは何の手土産だ?」

「……いえ、これは手土産ではなく、手打ち。無礼者は、混世魔王様の側近には相応しくないかと」

色々似合わないだらけだった男の首を、玉座に向かってゴロンと転がす。

「は、ははははは!おお、飛天か!試す相手を、見誤ったな貴様!ははははは!」

飛天って名前だったんだこの人。スゴいな名前まで似合わないよフルコンプだよ。

「気に入った!我が旗下に欲しい程よ!他家の跡継ぎであること、実に惜しい!」

………まあこうなるって思っててやってるんだけどさ。いや気に入らないでよ。部下殺されてるんだよ?僕だったら『なにしてくれてんのさ』って怒るトコだけどな。

親父もそうだけど、この『強いやつならなんでも好き好き』な感覚、わっかんないなぁ。

……とっとと終わらせよ。

「して、御用命は。我ら牛魔、盟友である貴方様の御為ならば、犬馬の労も厭いませぬ」

どうせシノギを分けろとかでしょ。若しくは露骨に銭の要求か。いつも親書でやり取りしてるのに呼びつけたトコを見ると、後者かな。
暴れてもらっても困るから、ある程度は聞き入れてあげないと……

「なに、主らに何か動いて貰おうと云う話ではないのだ。……ただ、邪魔をしてくれるな、と」

……ん?

「お話が、呑み込めませんが」

「………孫悟空を、殺そうと思うてな」

……呑む前に、話が変わってきたね。
868: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/20(木) 19:24:33 ID:JmqaZECoQM
「……この疵(きず)、幾百年経てども癒えず。腸は時に比して尚煮える」

皺だらけの手で両の眼を覆う魔王。……盲目っぽいね。飛天さんだかの首を見分けたのは、妖気の残り香を嗅いだか。

「光を失った事に怒りは無い。この疵は儂を強くした。……怒りを覚えるは、奴に、あの猿に恐怖した己よ」

出逢ってからの悟空の動向は、ストーカーばりに調べて知っている。その前の話か。なにこの人までやっつけちゃってたの悟空。さっすがあ。

「奴めは、主の父が義妹。主は奴の義姪になる。盟友の親族を手に掛ける事となるのだ。直接報告せねば、礼を失すると思うてな」

……まるで、もう殺したかのような言い方をする。うん、ムカつく。

「……御承知とは推しますが、今や孫悟空は、かの玄奘三蔵が一行。その弟子達の武名、天下に鳴り響いております。我ら牛魔も手を焼いた相手で御座います故、如何に混世魔王様と言えど、一筋縄では行きませぬかと」

さて、どう答えるか。

「………今の貴様らは、私腹を肥やす事しか考えぬ、単なる商人に成り下がったも同然。武において儂に意見する程度に無いわ。しかもその三蔵とやらと、共闘すらしたと聞く。下等な人間等と馴れ合うようになっては……」

薄ら笑いを浮かべて吐くその台詞を、ピーッという間抜けな機械音が遮った。

「…何の音だ?」

「ん?小型の録音装置。なんと通信機能まで付いてる優れものだよ……って、そっちが主か。牛魔傘下、摩雲カンパニーの技術力は大陸一ってねー。……あー、テステス。虎力さんどーぞー?」

眉間を歪ませた混世魔王を無視して、返信を待つ。もう敬語も良いや。
869: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/20(木) 19:26:28 ID:JmqaZECoQM
『ふわぁい、こちら虎力。あによ』

……寝てたな。

「予定大幅へんこーう。ココ潰すからさ、城、占領しちゃって?」

途端、『はぁ!?ふざけんな!』だの『聞いてない!』だのと大音量の怒声を浴びる。寝起きで元気だこと。

「怒んないでよ虎力さん。……牛魔が虚仮にされた。幹部連を黙らせる為に言質もとったよ。やらないと、流儀に反する」

少し間をおいて、ムスッとした了解の返事と溜め息が返ってきた。なんやかんや言っても忠臣なんだよね。彼女のそーゆーとこ、好きだな。

「……さてと」

通信機を懐に仕舞い、玉座に視線を向ける。

「声調を変えて気付いたぞ。うつけ牛の子は、娘であったか」

ふふん、動じないか。妖気に揺らぎも感じられない。てゆーか声でも男に間違われるのか僕。どんだけ。

「…占領部隊より先に終わらせたいからね、とっとと死んでもらうよ。座ったまんまで良いの?おじいちゃん」

「…………嘗めるなよ、小娘」

ごう、と音を立て、圧に押される。

押し返す。

「……ほう」

「嘗めてるのは、そっち。牛魔が流儀において、お命頂戴仕っちゃうよ?」



拝啓、愛しの悟空。

君のせいで、今日のこーちゃんのお仕事は魔王討伐です。
870: 名無しさん@読者の声:2014/11/20(木) 20:46:59 ID:pmZEHZJ8Ik
め、珍しくこーちゃんがかっこいい…
871: 名無しさん@読者の声:2014/11/21(金) 01:43:23 ID:.5uph4r0TI
こーちゃんの魔王討伐はっじまーるよー!
872: ヨシュア【ファンブックおまけラノベみたいな・中編】 ◆.frSdr10QQ:2014/11/24(月) 20:17:48 ID:cD0UJg150s
たん、と後ろへ跳ぶ。取り敢えず遠距離で様子見しますか。僕は慎重さが売りだしね。

「どう殺すね、小娘」

「そうだね……じゃあ小娘らしく、女の子っぽい技から出そうかな?」

愛槍、火炎槍の切っ先を下に。そして円を描くように、石畳の床を斬りつける。

刃より散った火花が、消えずに空中を漂う。

「炎術・花火弁(はなびら)」

僕の周りを舞う火花達が、その姿を楕円に変え、未だ立ち上がりもしない魔王に襲いかかる。

「焔の花唇……か。視えぬが、げに美しき花なのであろう」

よし余裕ぶっこいて避けない。花火弁は火花を『楕円の刃』に変える術。魔王だろうと冥王だろうと、細切れになっちゃえば終わりだね。

「しかし、脆弱」

数にして五十はあるであろう炎の円刃は、音もなく全て、奴の身体に、皮膚に刺さった。

……肉には届かずに。

「……おじいちゃん、体硬いねぇ」

「この図体で、乙女の柔肌であったら滑稽であろ。……風と音から察するに、長物を扱うか。ふむ」

お、立ってくれるみたいだ。ま、油断されっぱなしもあんまり気持ちの良いもんじゃ無し……って、うわ。背ぇ高っ。僕の三倍はあるんじゃない?

「刃を交えてみたい。近う」

「嫌だね」

どこに隠していたのか、刀身だけで僕の身長を悠に超える柳葉刀を携える魔王。あんなのとチャンバラは……まだ、御免被るね。

「もう少し、僕の火遊びに付き合ってもらうよ」

「不良娘の素行を正すも、爺の役目か」

…人をどっかのガングロみたいに言わないで欲しいんだけど。
873: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/24(月) 20:19:11 ID:cD0UJg150s
「煙燻らせ、螺旋と成し」

火炎槍の先に炎を灯し、白煙を渦巻かせ。

「尖る螺旋、羽虫を穿つ」

ドリル状になった火煙を、槍先より放つ。

「炎術・火槍火(かやりび)」

さっきは質より量、今度は量より質の攻撃。さあ、どう迎え討……

「憤っ!!!」

空気を揺さぶる程の大喝は、火煙の槍を霧散させた………って、うええええ?気合いで……いや、額に当たってる!頑丈にも程があるでしょ?

「……ほほう、中々の威力。痛みを感じたのは、実に久方ぶりだ」

額に出来た小さな小さな傷を擦り、魔王が嘯く。

「火遊びとやらは、もう打ち止めか?」

「まさか。まだまだアップの段階だよ」

互いに、にやりと口角を上げる。真似すんな。

「炎術・火斬亡(ひきりなし)」

「懲りもせず、また焔か」

炎の斬撃を弾き飛ばし、眼前に魔王が迫る。

「一太刀にて、斃(くたば)ってくれるなよ」

「勿論。喰らわないからね」

図体の割に疾いけど、見切れない程じゃない。振り下ろさされる刀を躱し、燃える切っ先を喉元に突き立てる。

「迷わず急所か。好ましい」

金属音が響く。……ふざけてるね。硬いとかのレベルじゃない。

「…なに?鉄か何かで出来てるのかな、その身体は」

石床に斬り刺さった刀を、ゆっくりと抜く魔王に、再び距離を取りつつ訪ねる。
874: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/24(月) 20:21:52 ID:cD0UJg150s
「鉄如きならば、貫けぬ貴様ではあるまい。両の眼を潰され、得た力が此の頑強よ。如何に気配を読もうと、聴覚を研ぎ澄ませようと。視覚に勝ろう筈も無し。敵の攻め手、全ては読めぬ」

…その通りだ。人間ならいざ知らず、元々感覚全般に優れる僕ら妖魔にとって、視覚を排除して得られる利なんて少ない。

「故に儂は、あの猿めが姿を隠してからの五百年。その全てをこの躯の強化に努めた……」

明らかな殺意が飛んできた。思うより先に、僕の身体が『避けろ』とアラームを鳴らす。

「二度と、もう二度と恐怖を感じぬ為に!」

「……っ!!!」






ガラガラと壁石が崩れ落ちる。これだけの衝撃で倒壊しないって事は、古そうに見えて、ちゃんと防御呪を施してあるんだね。

「大した身の熟しだ。焔に頼るばかりの木偶では無かったか」

斬撃は、避けた。二の手から繰り出された拳も、避けた。

…ほんの肩先に掠っただけで、これか。これが、魔王か。

「高が小娘とは言え、惜しいな……殺すには、惜しい」

炎も、刃も通さない身体。全身が凶器。これが、魔王か。

「妾として、飼うてやろうか。くく、それもいい」

軽口を叩きつつも、凍えそうな殺気を止まず放出し続ける、これが。


石床が、チリ、と音を立てる。


「……なんだ、この熱は」

炎の刃にも、燃える切っ先にも怯まなかった魔王が、初めてその顔を強張らせた。

「………こんなものが、魔王か」

異様な熱気を孕んだ、たかが小娘の一睨に。
875: 名無しさん@読者の声:2014/11/25(火) 00:49:21 ID:unmLT9hqu.
C!

本筋読み終わったばっかりでサイドストーリー今追ってますが三蔵一行とか描いても宜しいでしょうか?
876: ヨシュア【ファンブックおまけラノベみたいな・後編】 ◆.frSdr10QQ:2014/11/27(木) 19:20:52 ID:fr1T4ByreU
「……ずあぁあっ!!」

僕が呟くや否や、刀を構え飛び込んでくる魔王。間違ってはいない。不可解な現象に対し、冷静に対処……と言えば聞こえは良いが、一旦間を置くのは凡夫のそれだ。賢者ならば、後手を取る前に動くべき。だけど。

ひび割れた壁を背に座り込んだまま、魔王の柳葉刀を火炎槍で受け止める。ぶつかる刃の音は、部屋中に。

響かない。

「……っ!!?」

盲目の魔王には、何が起きたかが解らない。刀が軽い。折られた?いや、合する手応えすら無かった。

「……刀身を…斬られた…?」

ギィン、と、断たれた刃先が床へと落ちる。

「摂氏千度、青銅を熔かし」

ゆっくりと起き上がる僕に、魔王が後ずさる。

「摂氏二千度、白金を熔かす」

否。僕は刀身を斬ってなどいない。この火炎槍が刃に触れたなまくら刀が、勝手に『熔けた』だけのこと。まるでアイスクリームのように。

「摂氏五千度、およそ下界で熔かせぬ金鉄無し」

槍先を掠めた石床が、ドロリと熔け消える。

「三昧真火・裏奥義。聖嬰火炎槍(せいえいかえんそう)。この躯の中に燃える真火、その熱を全て槍先に。…最高値は、摂氏二万度だよ」

炎そのものである宝槍、火炎槍だからこそ出来る術。と言うか僕は、この槍を介してしか炎を使えない。

「……三昧真火………忌術中の忌術……!!」

そう、狂う程の苦痛に耐え得た、忌まわしき炎。呪われた炎。火炎槍というフィルターを通さずして体外に出そうとすれば、消し炭となるのは、僕のこの肉体だろう。

「君が五百年、悟空に『殺されないよう』、鍛えている間」

紅の刃を、宙に泳がせる。

「僕は五百年、悟空と『殺し合えるよう』、強さを求めた」

愛しの女性を、脳裏に映す。

「恐怖なんかで強くなれるワケ無いでしょ。人はね、愛で強くなるんだよ」

「ぬ……ぐああぁぁぁぁぁぁあっっ!!!」

果たして、僕の愛は。

魔王の咆哮を掻き消し、その心臓を貫き熔かした。
877: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/27(木) 19:23:54 ID:fr1T4ByreU




「………ガフッ……はぁ……はぁ……」

……生きてるか。術で気血を巡らせてるのかな、しぶといコトで。

「たかが小娘に負ける気分はどう?臆病な魔王様?」

魔王の肌が真黒から浅い灰色へと変わっている。成程、身体の異常硬化は、妖力に因ったものか。

「………よもや……今生で、二度も…敗れよう……とは……」

二度、か。一度目は悟空に。二度目は、悟空に植え付けられた恐怖に敗けた、ってところだね。やーい二連敗。

「……牛魔の跡目……この混世を降したのだ………今日にでも、好きに魔王を名乗るが良い……」

……魔王、ねえ。

「僕に流れる半分は、言うまでもなく魔王の血だけども」

くるりと、玉座に背を向け。

「もう半分は、悪鬼羅刹の血。ちなみにどちらかと言えば、母親似だしね」

振り向かず、扉へと進み。

「……精々が、『悪魔』くらいじゃない?僕は」

静かに、広間を後にした。壊れた玩具に用は無い。


「………殺さぬ、か。…………く、くく……甘い悪魔も居たものよ……」






「おつかれ」

中央階段を降りたところで、虎力さんに声を掛けられる。制圧早いなあ。強くなったね。

「うん、ご苦労様。あれ、みんなは?」

数人の兵しか連れてない。え、何もう定時でほとんど帰っちゃった?

「羊力は投降兵の処理。鹿力は、相手がちょっと強かったからね。タイマン後のお昼寝」

なーる。ほぼ降参したわけだ、人望あんま無いのね、魔王さん。
878: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/27(木) 19:25:28 ID:fr1T4ByreU
「で?ボスは殺ったの?」

「ん〜………あ、そこのキミ、新人?」

真新しい鎧を着けた、まだ子供みたいな兵士に声をかける。

「は、はっ!今回が初陣で御座います!若君様!」

やー、初々しいね。まあそのうち先輩連中に毒されて、酒と女とギャンブル漬けのロクデナシになっちゃうんだろけど。

「…この階段を登って、真っ直ぐ廊下を進むとね、突き当たりに広間があるんだよ。そこで大柄なおじいちゃんが寝てるからさ。その首、刎ねてきちゃって?」

「ちょっ!紅孩児、はぁ!?」

新人君が、僕の命令より虎力さんの大声にビクッとした。結構部下には厳しいらしいからねー。
手をヒラヒラさせ、そんな彼女を宥める。

「初陣の記念だよ。大将首、あげる」

「は、ははぁっ!畏れ多くも謹んでっっ!」

拝礼し、キビキビした動きで階段を駆け上る新人君。うーん、100点満点だね。

「……アンタ………」

「大丈夫大丈夫、ホントに死にかけの瀕死状態だから。なにもしかして彼、虎力さんのお気に入り?浮気しないでよぉ」

呆れた顔も可愛いなあ、虎力さん。

「そうじゃなくて……アンタ性格悪過ぎ。なんで自分でカタつけないのよ」

えーとね、それはね。

「……敗けて満足、みたいな顔されて、ムカついたんだもん。怨まれないと、殺り甲斐、無いじゃない?」

「……本音は?」

「なんとなく♪」

ふふ、敵わないな虎力さんには。
879: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/27(木) 19:31:49 ID:fr1T4ByreU
「うわぁヒドっ。悪魔か。……たまに、牛魔王様より、奥方様より。アンタのがよっぽど怖い時があるわ、紅孩……」

ポフッと、虎力さんの胸に埋まる。やわらかい。

「……なに?セクハラ?訴えるべき?」

…裏奥義は、実は滅茶苦茶疲れるんだよね。僕も、体力的には、瀕死も良いとこ……

「…今回だけ……許してよ……」

眠い。あ、ダメだ。

「……少しだけね」

やさしいなあ。……おやすみなさい。

「……まったく。寝顔だけは私より幼いクセに」

「……んぅ………ごくう……」

「……私の名前を呟かれてもキモいけど、胸貸しといてコレはなんかムカつく」


……ねぇ、悟空。
880: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/11/27(木) 19:33:30 ID:fr1T4ByreU

……僕はきっと、君みたいに変われないけど。

……この流れる血は、ずっと、ドス黒い悪の色だけど。

……きっと君は、『変わらなくて良いんじゃない?』って言ってくれるから。

変わらず、ずっと。愛してるよ。悟空。



敬具。



〜The Devil's Blood〜










「ところでさ紅孩児。録音の内容聴いたけど、あの魔王って孫悟空のヤツ狙ってたんでしょ?」

「うん?そうだよ虎力さん」

「任せちゃえば良かったじゃないそれこそ。城も留守を襲ったほうがアタシらも楽だったのに」

「あー……まあ、それも考えたんだけどね……うまくすれば悟空と一緒に戦えたかもしんないし」

「なんでそうしなかったの?また何となく?」

「……いや、ほら、あれじゃん」

「?」

「あーゆー大物と悟空達が戦り合うと、高確率で僕がオチにされるじゃん!もうアレ嫌だ!」

「え、狙ってやってるのかと」

「ねぇ僕を芸人かなんかだと勘違いしてない!?跡継ぎ!キミの主君の跡継ぎ!ねえ訊いてる?ねえってば虎力さぁん!」


〜fin〜
881: 名無しさん@読者の声:2014/11/27(木) 22:32:06 ID:vJ5YwfnO9A
こーちゃんかっこよかったよ!今回だけは!
882: 名無しさん@読者の声:2014/12/1(月) 21:43:35 ID:HzljYieRmg
やっぱり最後はこんな扱いwww
883: ヨシュア【ドラマCDそのに・上巻】 ◆.frSdr10QQ:2014/12/5(金) 17:09:31 ID:hfmaEtNMU6
観音「孫行者、お茶のおかわりとか如何ですっ?」

悟空「……あ、じゃあ。ハチミツたっぷりで。あとケーキ、まだあります?」

観音「ありますあります!沙和尚と猪八戒も、もうひとつどうですか?中々美味しかったでしょう、けっこう行列とか出来ちゃうお店のケーキなんですからっ」

沙悟浄「……えっと。や、アタイはもう良いよ」

八戒「ワシもじゃ。余っとるなら姉者にくれてやれい」

観音「は、はいっ。じゃ、じゃあ孫行者、ちょっと待っててくださいねっ」


八戒「なんじゃあの挙動不審者は。呼びつけておいて、一向に用件を言わんし………ほ?どうした二人とも、ワシの顔に何ぞ付いとるか?」

悟空「…いや、あの……なんか八戒ちゃん、そんな優雅ってゆーか、上品な感じでお茶飲めるんだね……と」

沙悟浄「カップとかスプーンとかの音、ぜんっぜん出さないじゃないのさ……え、なに?お嬢様なのかい?」

八戒「ほほ、そりゃあヤクザ上がりの暴れん坊や武骨一辺倒の元近衛と、文武両道のワシとでは品格が違うと言うものじゃ。将軍職と言うのはな、戦と調練だけしとればエエ訳では無いからの?皇族貴人の相手もせねばならぬ、このくらいの作法、嫌でも身に付くわい」

悟空「でもそんな八戒ちゃんなんか違うよぉ……イスの上でもあぐら座りで、ふんぞり返ってるのが八戒ちゃんだよぅ……」

沙悟浄「そうだよカモミールティーに苺のムースとか似合わないよ。一升瓶にイカの一夜干しが八戒姐さんだよ」

八戒「確かにワシもそう思うがそれはそれとして、よしケンカじゃな?」

観音「け、喧嘩は止めてくださいっ!…猪八戒は、天部に居た頃も礼節正しく厳格でしたよ?………表向きは。うん、表向きは」

八戒「何か言いたいコトがあるならハッキリ言えい」

観音「あ、いえ、別にそんなつもりはっ」

八戒「違うわい。ワシらに何の用じゃ、と訊いておる」

沙悟浄「しかも旦那様とシャオは外させて、とかどーゆーつもりだい。夫婦を引き離しといて……下らない話だったら承知しないよ!」

悟空「どうどう悟浄ちゃん、眉間の寄り方がスケバンになってるスケバンになってる」

観音「……………なんとなく……殿方には、相談しづらいと言うか……その、ですね………なんですかね、ええと……」

悟空「……観音さま」

観音「えっあっ、な、なんですかっ?」

悟空「とりあえず持ってきたケーキ、テーブルに置いてくださいよ」

観音「今更ですけど私、完っ全に敬われてませんねもう!」
884: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/5(金) 17:10:28 ID:hfmaEtNMU6
〜西遊雑談・ある昼下がりの一幕〜


八戒「なんと」

沙悟浄「木叉のヤツが」

悟空「浮気!?」

観音「ち、違うんですまだわかんないんです!もちろん私はもっく……彼を信じてますけどですね、その」

八戒「いつかやらかすとは思うとったが、まあ持った方かの?」

沙悟浄「浮気顔してるもんねぇ。あーヤダヤダ」

悟空「これだから男は」

観音「だから確定じゃないんですって!」

八戒「そもそも彼奴はアレじゃよな、惚れた女には一途、みたいな風を装ってはおるが」

沙悟浄「そうそう、チャラチャラしてる様に見えて、その実……と思わせといて」

悟空「実際チャラチャラしてるんだよね。『恋人に一途』なんじゃなくて、『そんな一途な自分』が好きなタイプだよね」

観音「その恋人の目の前でなんでそこまで言えるんです貴女達!?」

沙悟浄「だってヨソで女作られたんだろう?ヒドイ話じゃないのさ。あんな舌先ばっかの男…」

観音「やめて!もっくんのコト悪く言わないで!」

悟空「あ、彼女モードになった」

八戒「……それよりもお主、なんでそんな相談をワシらにする?」

悟空「そうだよね。八戒ちゃんはともかく、私や悟浄ちゃんなんて自慢じゃないけど、恋愛経験うっすいですよ?」

沙悟浄「アタイは初恋の……いや最初で最後の恋の最中だけどねぇムフフ……と、確かに人選がアレだねぇ。もしかして観音さん……」

八戒「友達おらんのか?」

沙悟浄「友達居ないのかい?」

悟空「友達いないの?」

観音「やめて!私のコトも悪く言わないでしかも一人ずつ!」
885: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/5(金) 17:12:06 ID:hfmaEtNMU6
沙悟浄「で、何があったん だい詳しく言ってみな」

観音「その……最近………ちゅ、ちゅーする時とか、なんかもっくん、上の空な気がして……」

八戒「さて帰るか」

悟空「ごちそうさまでしたー」

沙悟浄「お、上手いね姐さん。お茶もノロケも、ってコトだね?」

観音「うわぁん帰らないで!違うんですそうじゃないんですホントに何か変なんです!待ってくださいってばぁ!」

悟空「わひゃっ!?しっぽ引っ張んないで!えっち!」

八戒「いつも思うが、姉者の中で『尻尾に触れられる』というのは、どの程度のセクハラにあたるんじゃ?」

悟空「……おっぱい揉まれるよりちょい上?」

八戒「セクハラどころか前戯レベルじゃったか」

沙悟浄「……ん?そう言えば旦那様って、輪っか無くなってから姐さんのシッポばっか握ってるよね………悟空姐さん……アタイの旦那様になんてこと……!」

悟空「えぇぇぇえ、されてる側だよ私!?え、なに悟浄ちゃんは夫が痴漢したら触られた女性に怒るの!?」

沙悟浄「別に怒らないよ。ぶっ殺すけど」

八戒「なるほどこれがヤンデレか」

悟空「ちがうよそれもう単なる殺人鬼だよ…」

観音「ねぇですから喋りながら玄関に向かわないで!話を、話を聞いてくださいって!」

悟空「ひうぅ観音さまこそ話聞いて!しっぽやめてっつってんじゃん!」

観音「他にも色々あるんですっ!雑誌に載ってるアイドルの絵姿見て『可愛い』とか言ったり、帰りが遅くなるのに連絡してこなかったり、なんか女性が居そうなお店のライター隠してたりっ!」

八戒「……じゃからどうした、としか言えん内容じゃの」

観音「そんなこと無いですっ!ねぇ沙和尚、貴女ならわかるでしょう!?なんか、なんか、別の女の人の影を感じるって言うか、心配になるでしょう!?私どうしたらっ!」

沙悟浄「だから近付く女はみんな殺しちゃえば良いんだよ。これで安心さね」

観音「観世音菩薩に人殺しを勧めないでください!!」

悟空「いやまず観世音菩薩が男の相談してる時点で」

八戒「ぶっちぎりでアウトじゃな」

観音「もうそこは目を瞑ってください!」
886: ヨシュア【ドラマCDそのに・中巻】 ◆.frSdr10QQ:2014/12/8(月) 01:06:48 ID:rVyi/DLuEc
観音「……それでですね、お仕事してるとこ覗いたら、部下の女の子に上奏文の書き方かなんか教えてたんですよ!肩とか触れそうなくらい近くで!」

八戒「まだあるんかい……そりゃ近くで見てやらんと教えられんじゃろ……」

観音「しかもお昼なんて、たくさんの部下さんに囲まれて食べてたんですよ!その女の子も居ました!私の作ったお弁当を、あの子と、あの子と私のお弁当をっ!」

沙悟浄「気持ちはわからないでは無いけど、じゃあアンタは彼氏にぼっち飯させたいのかい?」

観音「あやしいんです!あやしいんですよぉ!でも何を訊いても『なんもあらへんよ』って誤魔化すし!きっと、きっと言えないようなコトが」

悟空「………ねぇ観音さま?」

観音「それにそれに……へ?」

悟空「最初は木叉くんを信じてる、って言ってたのに、もう完全に疑ってますよね」

観音「……えう。だ、だって」

悟空「なんか聞いてると、観音さま本人が、木叉くんが浮気したことにしたがってるよーに聞こえますよ?なんなの?浮気しててほしいの?ほしくないの?」

観音「………う」

八戒「ほ。姉者はこう稀に、核心を突くのう」

沙悟浄「悟空姐さんの言う通りだね。この感じじゃ、『じゃあ浮気してるんだろね』って結論しか出せないよ」

観音「……だって、だってだって……!」

悟空「だってじゃないですよ。そんなん木叉くんを信じてあげるか、さっきの悟浄ちゃんの冗談みたいに」

沙悟浄「近寄る女ぜーんぶ、ぶっ殺すくらいしか解決策が無いさね」

観音「だ、だ、だ………うぇっ…!」

八戒「……ん。姉者、悟浄、そのへんにしておいてやれい」

観音「うぇぇぇぇぇん…!」

悟空「泣いちゃったよめんどくさっ」

沙悟浄「泣けば良いとか餓鬼かい情けない」

観音「うええええええん!」

八戒「そのへんにしておいてやれと言うに」
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うpろだ
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