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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1:🎄 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


84:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/28(金) 11:22:55 ID:BXUEK2.5u2
少年「……どうして?
ボクもお母さまも、悪いことしてないよ?」

母「決まってることなの。
いえ、決められてしまったという方が正しいわ」

少年「……わからないよ」

母「……ごめんなさい。あなたは知らなくていいことなのよ。
ただ忘れないでね、一面だけを見てすべてだと思ってはいけないの」

母「一つの場面での出来事にとらわれてしまうと、あたしたちは憎しみに呑まれるしかなくなってしまう」

少年「うん…」

母「あなたもいずれ分かるわ。
人間とお友達になるつもりならね」

少年「人間とお友達だと、いけないの?」

母「そうじゃないの。あなたにお友達ができたらあたしは嬉しいわ。
でも難しいの、ホビットと人間は…言葉にはできないほどに」

少年「……」

85:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/28(金) 11:28:35 ID:BXUEK2.5u2
母「ねぇ坊や。二つ約束して。大事な約束よ?」

少年「うん…」

母「もし悲しくて、やりきれなくなってしまったら終わりにしてほしいの」

少年「人間と友達になるのを…?」

母「そうよ、その時は二人で静かに暮らしましょ?
あなたが憎しみにとらわれてしまわないように…ささやかな幸せを分け合うの」

少年「わかった…」シュン

母「それじゃもう一つの約束ね?
今から会うあなたのお友達が、あなたにとって信じられる人間だったなら…」

少年「……」

母「どんな事があっても信じてあげなさい?
その出会いを大切に、お互いにとってかけがえのない繋がりだと思って、ね?
約束できる?」

少年「…うん!!」パァァ

少年「約束、するよ!」
86:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/28(金) 11:30:43 ID:4a/V8q7lfc
母「じゃあ約束の指切りをしましょ?」スッ

少年「うん!」ピトッ

母&少年「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!指切った!」

母「約束破ったら本当に飲ませるわよ?」ニヤリ

少年「えっ」

母「冗談に決まってるじゃない?」クスクス

少年「……!」カァァ

少年「や、破らないもん!」
87:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:36:58 ID:wJajIDVNMY
母「さ、行きましょ?」

少年「うん、ボク場所覚えてるから案内するね!」

母「えぇ。お願い」

子供3「おーい、待ってよー!」

少年「ん?」

子供2「へっへーんだ!くやしかったらここまでおいでー!」タタタッ

子供3「くっそー!」タタタッ

母「村の子供たちが遊んでいるのね。あなたも入れてもらったら?」

少年「……ボクはいいよ」

母「あの子たちも喜ぶわよ?」

少年「そうかな…」

母「そうよ!ほら、いってらっしゃい。
お母さんはここで待ってるから」

少年「う、うん。いってくる!」タタタッ

母「」ニコニコ
88:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:38:15 ID:wJajIDVNMY
少年「ねぇ!ボクも仲間に入れて!」

子供2「えぇー!どうする?」

子供3「ボクはいいよ?」

子供2「じゃあお前も入れてやるよ!」

少年「うん、ありがとう!」

子供3「でもなんで女の子なのに"ボク"なの?」

子供2「あっほんとだ!ヘンだぞー!」

少年「なっ…!ボクは女の子じゃ…」

子供2&3「えっ」

少年「」ハッ
89:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:39:50 ID:wJajIDVNMY
子供2「女じゃねーのか?」

少年「う、ううん…女…だよ…」モジモジ

子供2「やっぱり女じゃんか!」

子供3「まぁまぁ」

少年「ごめん…」シュン

子供2「まぁいいや、何して遊ぶ?」

子供3「おいかけっこは飽きたし、かくれんぼでもする?」

子供2「いいな!やろうぜ!」

子供3「キミもかくれんぼでいい?」

少年「うん、いいよ!」ニコニコ

子供2「じゃあお前オニなー!」

少年「うん、わかった!」ニコニコ

子供3「いや、じゃんけんしようよ!?」
90:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:41:09 ID:wJajIDVNMY
少年「え?」

子供3「だってそうしないと不公平じゃない」

子供2「ちぇっ!わかったよ!」

少年「ねぇ」

子供2「ん?なんだよ?」

少年「じゃんけんって何?」

子供2「えっ」

子供3「えっ」

少年「えっ」
91:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:42:44 ID:wJajIDVNMY
子供2「なんだお前、じゃんけん知らねーのかよ?」

少年「うん、誰かと遊ぶのって初めてだから」

子供2「ヘンな奴!」

子供3「まぁまぁ!じゃあ教えてあげるね?
じゃんけんっていうのは…(※省略)」

少年「そうなんだ!おもしろそうだね!」

子供2「そうか?お前の方がおもしろいぞ?」

子供3「ボクもそう思う」

少年「あとかくれんぼっていうのも教えて?」

子供2「えー!?なんにも知らねーじゃん!」

少年「ご、ごめん」

子供3「いいよ?教えてあげる!」
92:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:44:33 ID:wJajIDVNMY
子供3「…っていうのがかくれんぼ!わかった?」

少年「うん、ありがとう!」

子供2「なー!早くやろうぜ?」

少年「待たせちゃってごめんね?」

子供3「じゃあじゃんけんしよう!」

子供2「よーし!最初はグー!」

「じゃんけんぽい!」
93:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:45:47 ID:PHb2NYku.U
少年「あはは。負けちゃった」

子供2「じゃあ俺たち隠れるから1000秒数えろよ!」

子供3「数え過ぎだよ!?
10秒でいいからね?」

少年「えっ…そんないいよ、1000秒数えるルールなんでしょ?」

子供2「……」

子供3「あ、あはは。2くんの冗談だから大丈夫だよ?」

少年「そ、そうだったの?」カァァ

子供2「」キュンッ

子供3「どうしたの?」

子供2「な、なんでもねーよ!」

子供3「……?」
94:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:47:44 ID:wJajIDVNMY
少年「はぁっ…はぁっ…」

子供3「つ、疲れたね…?」ゼェゼェ

子供2「お前らへばってんじゃねーよ!」

子供3「なんで2くんだけあんな元気なんだろ…?」

少年「わかんない…でもすごく楽しいや」

子供2「おーい、もっと遊ぼうぜ!」

子供3「えー!ちょっと休もうよ!」

子供2「なんでだよ!いいから遊ぼうぜー!」

少年「うん、遊ぼ?ボクももっと遊びたい!」ニコッ

子供2「」ドキッ

少年「どうしたの?」キョトン

子供2「う、うるせーよ!」

少年「え…」

子供2「ふんっ」プイッ

子供3「二人ともすごいや、ボクもうへとへとだよ…」
95:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:50:32 ID:wJajIDVNMY
子供3「だめ…ほんとにもうむり…」バタッ

少年「はぁっ…ぼ、ボクも…疲れちゃったよ…」

子供2「次なにするー?」

子供3「ボクらの話聞いてた!?」

少年「ボク…もう戻らなきゃ」

子供2「えー!なんでだよー!?」

少年「だって…お母さまを待たせてるから」

子供2「いいじゃんか!遊ぼうぜ!」

少年「で、でも…」

子供3「まぁまぁ!しょうがないよ」

子供2「……」

少年「ごめんね…?」

子供2「お前なんか知らねー!帰っちゃえよ!」

少年「」ガーン

子供2「バーカ!ブース!」ダッ

少年「……」
96:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:52:27 ID:wJajIDVNMY
子供3「気にしないでね、いつものことだから」

少年「…そうなの?」

子供3「そうだよ、好きな女の子にはああするんだ」

少年「す、好きな女の子…!?」カァァ

子供3「ボクらを教えてくれてる女の宣教師様にも、いつもああなんだ」

少年「そ、そうなんだ…」

子供3「うん、だから気にしないで?お母さん、待ってるんでしょ?」

少年「うん…」

子供2「おい!いつまでいんだよ!さっさと帰れよ!」

子供3「ふふ、素直じゃないんだから」

子供2「はぁ?意味わかんねーし!」

少年「」クスクス
97:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:53:33 ID:wJajIDVNMY
子供2「なに笑ってんだよ!?」

少年「ううん…なんでもない」

子供2「ヘンな奴…」

少年「これ、友達の証だよ。受け取って?」つ【キャンディ】

子供2「」ドキッ

子供3「ありがとう」

少年「ううん、またね?」タタタッ

子供2「お、おう…」ドキドキ

子供3「どうしたの?」ニヤニヤ

子供2「うるせー!!」プンスカ
98:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:54:45 ID:wJajIDVNMY
少年「待たせてごめんね」

母「あら、もういいの?」

少年「うん、お母さまを待たせてるもの」

母「もう…そんなの気にしなくていいのに」

少年「でも…」

母「あなたが子供たちと遊んでるのを見てるだけであたしは幸せよ?」

少年「……うん、ボクも楽しかった!」

母「うふふ、それは良かったわ!日も暮れてきたし行きましょうか?」

少年「そうだね、さっきまであんなに明るかったのに」

母「たくさん遊んだんだもの、しょうがないわ」

少年「楽しい時間は速く過ぎるんだね」

母「そうよ?だから大事にするの」

少年「そうだね…ボク、大事にするよ」

母「えぇ。そうなさい?」

少年「(また遊びたいな…)」
99:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:56:09 ID:PHb2NYku.U
母「それにしても…あの子たちと遊んでるあなた、まるで違和感が無かったわよ?」スタスタ

少年「そうかな?」スタスタ

母「えぇ。誰も14歳の男の子だなんて思わなかったでしょうね」ニコニコ

少年「……そんな事ないもん」

母「あ、今は女の子だったかしら?」ニヤニヤ

少年「っ……!しらない!」

母「うふふ。ところで、どの辺りなの?」

少年「えっと、確か…あっ!あそこだよ!」

母「まぁ、ずいぶん立派な……」ピタッ

少年「お母さま?どうしたの?」

母「これは…教会…?」

少年「うん、そうだよ?」

母「坊や、帰りましょ」

少年「えっ」
100:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:57:06 ID:PHb2NYku.U
少年「へ?な、なんで?」アセアセ

母「あなたも死んだおじいさまから聞いたでしょう?
教団の人間だけは、絶対にだめよ」

少年「で、でもボクを助けてくれた。いい人なんだよ?」

母「昨日はそうかもしれないけど今日はわからないでしょう?
お母さんはあなたを思って言ってるのよ」

少年「そ、そんな…急にどうして?」アタフタ

母「いいから帰るわよ、さぁ!」グイッ

少年「や、やめて!痛いよ?
それにあの人はそんな人じゃない!」

母「」キッ

少年「」ビクッ

母「ならいってらっしゃい!
行って教団の人間がどんなに酷いか知るといいわ!」

少年「……お母さま…」
101:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:57:55 ID:wJajIDVNMY
母「お母さんは先に帰るわ。
一緒に帰るなら今のうちよ?」

少年「いい…」

母「そう。勝手になさい?」

少年「うん。勝手にする…」

母「……もう、知らない」スタスタ

少年「……ごめんなさい、お母さま」
102:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:59:21 ID:PHb2NYku.U
ポツン

少年「どうして、こうなっちゃったんだろ…」

少年「さっきまであんなに楽しかったのに…」

少年「お母さま…」ウルッ

少年「……」グスッ

宣教師「どうしました?」

少年「!?」ビクッ
103:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:19:12 ID:TlNdAXGC3g
少年「し、神父さま?」

宣教師「なっ…!?
失礼な事を言うんじゃありません!私は女です!」

少年「じゃ、じゃあシスター?」

宣教師「あ、いえ。それは少し近いのですが…違います」

少年「……?」

宣教師「コホン!私は神の教えを説き、広める者…宣教師です!」

少年「宣教師…さま?」

宣教師「はい、宣教師です!」ドヤァ

少年「……」

宣教師「(無反応…だと…!?)」ガーン
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