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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1:🎄 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


458:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/3(日) 19:46:21 ID:Opd5Ib3YrA
母「」ジーッ

神父「(なんだ、その目は!?私のせいとでも言う気か!?)」

母「」ジーッ

神父「(くそっ…。無言の圧力をかけてきおって…)」

母「坊やー?もう大丈夫よー?
おじさまは今、ものすごく上機嫌だから?」ポンポン

カロル「グスッ。…ホント?」

母「ホントよー?だから、ね?」チラッ

神父「」ビクッ

カロル「……」チラッ

神父「え……」アタフタ

カロル「」ジーッ

神父「へ、へへ…?」ニンマリ

カロル「っ…!」ゾワッ

神父「へ、へへへ…へへ…」ヒクヒク

カロル「ひっ…ぅ……」シクシク

母「そう…。やっぱり怖かったのね?」ダキッ

神父「なぜだぁぁぁぁ!!!?」ブチッ
459:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/3(日) 19:47:47 ID:Opd5Ib3YrA
神父「いい加減にしろ!聞くなら聞く!聞かないなら聞かない!
貴様らホビットはその程度の分別も付けられんのか!?」

カロル「……ご、ごめんなさい」グシグシ

神父「(そのメンタルでよくさっきまでの罵声に耐えられたな…)」

母「最初は一番気になる事を聞いてみたら?」

カロル「えと、じゃあ…目が無くなって不便ですか?」

神父「」イラッ

母「坊や。そこは触れてはダメよ…」

カロル「あ、ご、ごめ…なさ……」

神父「不便に決まっとろうがぁぁ!!
ずっと痛いわ、方向感覚も掴めんわ、不便以外の何物でもないわ!!」

カロル「ひっ……」キュッ

母「怒ることないじゃないですか?
坊やはまだ人間との接し方がよく分かってないんですから」

神父「今のは人間だろうがホビットだろうが怒るわ!!
目を潰されたばかりの人間に不便ですかなんて聞く奴があるか!?」

母「そ、それはそうですけど…大人なのですから」

神父「っ…!ホビットごときに気遣いなどできるか!」

母「……」

カロル「あの…ごめんなさい」シュン

神父「……ふん!」
460:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/3(日) 19:50:20 ID:8m3SaG5X5s
カロル「あ、そうだ!なんでボクたちのいた所が分かったんですか?」

神父「む?あぁ…昨日村に行く道中で出くわした犬がしきりに構ってきてな。
そこでお前たちの書いた手紙を見つけたのだ」

カロル「マルクだ…」

母「渡す相手を間違えたのね…」

神父「あの犬は今頃、本部で…たっぷりかわいがられてるだろうな…。くくく!」

カロル「(マルク……。待っててね。)」グッ

――その頃(大聖堂)――

マルク「くぅん!」

シスター1「かわいいぃぃ!」ギュッ

シスター2「あっずるい!あたしにも抱かせてよ?」

シスター3「その次はあたしね?」

マルク「あぅん……」フリフリ

シスター1「お名前なんて言うんですかー?」ナデナデ

マルク「わんっ!」

シスター1「ワンちゃんっていうのね。かわいい!」スリスリ

シスター2「もー!早く代わってよ」

シスター1「ごめんごめん!」テヘペロ

シスター2「ワンちゃんおいでー!」

マルク「わんっ!」ポフッ

シスター2「いいこいいこ!」ナデナデ

シスター3「いいなぁ。しっぽ掴みたーい」

マルク「くーん!」フリフリ

―――――――
461:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/3(日) 19:53:45 ID:8m3SaG5X5s
神父「くっくっく。誤算だったな?
まさか別の人間が宣教師の修道服を着ているとは思わなかっただろう?」

カロル「え…おじさま、宣教師様の服を着てるの?」

母「そのご年齢で女装趣味ですか…」ドンビキ

神父「変な勘違いをするな!
奴が着ていたのは男性用の修道服だからと、司祭様が使い回させたのだ!」

母「そうなのですか?」

神父「あぁ。本来宣教師とは旅の中で出会った者に神の教えを授ける者。
信者から得た施しで生計を立てる上に位も低く、辛い役目だ」

神父「故に本来は男が任を請け負うのだが、奴は変わり者でな」

カロル「変わってる…?」

神父「本部で勉学に勤しみ、信仰を深めたにも関わらずシスターではなく、宣教師の道を選んだのだ」

神父「シスターになれば神父や司教に仕える事ができて、うまくいけば出世の足掛かりともなる。
それなのに『自分の目で世界を見て、より良い教えをまっとうしたい』などと言って宣教師になった」

神父「だから奴は男の修道服を着ていたのだ。
何もそこまで徹底する必要は無かったと思うが」

神父「変わってるな。どう考えても変わってる」ウーン

カロル「ふふ!」ニコリ

母「立派ねぇ…。どこかの神父さんと違って?」チラッ

神父「おい、誰の事だ!?」

母「さぁ。誰の事かしら?」

神父「くそっ…!」

カロル「宣教師さまのお話、もっと聞かせてください!」

神父「ん…?」

神父「(先ほどまでの怯えが嘘のようだな…。
まぁ少し話に付き合うだけでおとなしく付いてくるのなら御の字だが…)」
462:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/7(木) 08:06:09 ID:Ec3umLyQhs
――教会――

カロル「……大丈夫ですか?」スタスタ

神父「黙れ。何も言うな」ボロッ

カロル「……」シュン

母「…そっとしてあげなさい?」スタスタ

カロル「はい…」

神父「(木にぶつかるわ、足元がおぼつかんわ、前が見えない恐怖が続くわ…)」

神父「(片目とはこんなにも恐ろしいものか…。
一生付き合っていくとなると、辛いな…)」

神父「(それもこれも…。くそっ…!)」

母「……」

カロル「あれ?ここって…」

神父「大聖堂に行く前に持ってきた荷物をまとめねばならんのでな。
お前たちはここで待っていろ」

カロル「はい…」

母「……」

神父「」ガチャ

キィィ

神父「む?」

死体「」プーン

神父「うおっ!?」ビクビクビクゥ

カロル「」ビクッ

母「なにかしら?」

神父「な…な…な…なんだ…これは……?」ヘナヘナ

母「様子がおかしいわね?」
463:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/7(木) 08:07:21 ID:Ec3umLyQhs
神父「(こ、これは…まちがいなく…!)」ブルブル

オジサマー?

神父「(一体、誰が…?教会には誰もいなかったはずじゃ……)」

ドウシタンデスカー?

神父「(うっ…。それにしても…惨い有り様だ…)」ウプッ

タタタッ キャッ!?

神父「(とにかくここを離れなければ…ん?)」

イヤァァァァァア!!

神父「(そういえば…宣教師以外に教会を使っていたのは…?)」ブルブル

オカアサマ? ドウシタノ? アッ…!
ダメッ! ミテハダメヨ!!

神父「(手紙には……)」ブルブル
464:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/7(木) 08:09:40 ID:YGdwWja6oE
――手紙(>>382)――


きょうかいに かえったら だめです
せんきょうしさまも あぶないです

神父「(教会から遠ざけようとしたのは……これを、隠すため…?)」ブルブル

たびびとに おわれてます

神父「(ということはこの死体は……)」ブルブル

ぼくと おかあさまは もりの おおきな かれきの したに います

神父「(大きな枯れ木…人気の無い場所を…指定?)」ブルブル

まってます
ずっと まってます

神父「」ゾクッ

神父「(事実、あのラムとかいうホビットは…私の目を…奪った)」ブルブル

『おじさま。大丈夫ですか?』

『いい加減にしてちょうだい!
この子はあなたを助けたかっただけなのよ!?』

神父「(しかし、それならなぜ私を……?)」

『奴らは狡猾な種族。
奴らの言葉に信用を向ければ、たちまちの内に利用され、喰い物にされるだけじゃ』

神父「………」
465:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:17:44 ID:1xCSy.MLpI
カロル「はっ…!はっ…!」ビクビク

母「(血の付いた石…砕かれた頭…。誰かが……でも、誰が…?)」ギュッ

カロル「」ビクビク

母「坊や。そのまま目を閉じてなさい?いいわね?」ナデナデ

カロル「う…うん…」ビクビク

母「神父さん…。平気ですか?」

神父「」ビクッ

母「早くここを離れましょう。ここにいたら危険ですわ…?」

神父「……」ブルブル

カロル「(錆びた臭いが…する。アレ…死んでるの?)」ビクビク

母「神父さん…?」スッ

神父「たし……るな」ブツブツ

母「へ…?」

神父「私に触るなぁ!!」

母「」ビクッ

カロル「(あの服…旅人にそっくりだった…)」ビクビク
466:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:21:08 ID:1xCSy.MLpI
母「どうなさったんですか…?」

神父「ひっ」ズザザッ

母「神父さん…?」

神父「わ、分かってるな…?
私は教団の人間だ。手にかければ、もうただでは済まんぞ?」

母「まさか…疑ってるんですか?」

神父「い、今ならまだ間に合う!
己の罪をよく理解し、受け入れれば神もお前たちを赦してくださるだろう!」

母「誤解しないでください!あたし達は違います!」

神父「わ、分かっているとも!故意ではなかろうよ!
だが罪は罪だ!おとなしく……」

母「やめてください!!」

神父「……」

母「あたしと坊やは…一昨日から教会を発っています。
それはあなたも知ってるはずでしょう?」

神父「あ、あぁ…知ってるとも」

母「なら疑うようなまねはよしてください…。
あたしも坊やも…混乱してるんです」

神父「う、うむ…。すまなかった…」

母「いえ…とにかく行きましょう」

神父「そ、そうだな…」

神父「(そんなもの…殺した後に教会を離れたと考えれば、なんのアリバイにもならん…)」

神父「(だが刺激したらまずい…。ここは言う通りにしておくか)」
467:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:29:27 ID:ddmBHiklZY
母「坊や…行くわよ?」

カロル「…はっ…はっ…」ブルブル

母「目は閉じたまま。さ、手を繋いで?」パシッ

カロル「」ギュッ

母「……」スタ

カロル「ま、待って…。お母さま」

母「なに?」

カロル「埋めてあげなくちゃ…そのままにしたら、かわいそう」

母「そ、それも…そうね」

神父「い、いや。このままでいい。下手に動かせば証拠を失いかねないからな」

カロル「はっ…はっ…。そっか」ブルブル

母「……もう大丈夫?」

カロル「あと…服…服が旅の人の服だった…」ブルブル

母「…!目を開けたらダメって…!」

カロル「開けてないよ…。目をつむる前に見えちゃったんだ…」

母「……(旅人…あの時の…?)」チラッ

死体「」

母「うっ…」クラッ

神父「知って…いるのか?」

母「は、はい…」

神父「では手紙に書いてあった旅人とは…」

母「お顔は判別が付きませんが、おそらく…」

神父「や、やはり…」

母「違いますからね?」

神父「…も、ももちろん…疑っておらんよ」ブルッ
468:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:32:36 ID:1xCSy.MLpI
カロル「はっ…はっ…。
お母さま…。おじさま…。なにが起こってるの?」ブルブル

カロル「ボク…こわいよ」

母「心配しなくていいのよ…」ギュッ

神父「……(無関係を主張する為に演じているのか?
どこまでもずる賢い種族だ…)」

カロル「教えてよ…。不安なままじゃ苦しいよ…」

母「あたし達にも分からないの。今は離れるのが先よ?
お願いだから聞き分けてちょうだい?」

カロル「はっ…はい…」ブルッ

母「……」

神父「……」

死体「」プーン
469:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:35:51 ID:1xCSy.MLpI
神父「」スタスタ

カロル「まだ…開けちゃダメ?」スタスタ

母「そうね、もう大丈夫よ?」スタスタ

神父「(はたしてこのホビット共を大聖堂に招き入れていいものか…)」チラッ

カロル「ねぇ…。旅の人、死んじゃったの…?」

母「…忘れなさい」

カロル「忘れられないよ。目を閉じてる時、浮かんできて、ずっと怖かった…」

母「…ごめんね。あたしが付いているのに辛い思いばかりさせて…」

カロル「……!」

母「…お母さん、頼りないよね…?」

カロル「そんなこと、ない…。
お母さまがいてくれるから、頼っちゃって…いつもわがまま言っちゃうけど…」

母「……」

カロル「もう、この話はしないから…。悲しまないで?」

母「気遣ってくれてありがとう…」

カロル「気遣ってなんかないよ。心から思ってるもの?」ニコリ

母「」ニコッ

神父「(今はうまく演じているが、いつ本性を表すとも限らん…。
さすがに自由に身動きのとれる状態で連れていくのはまずい…)」
470:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:37:52 ID:1xCSy.MLpI
神父「な、なぁお前たち…」

母「なんです…?」

神父「村に寄っていいか?
もしかすれば村で何かしら手掛かりか掴めるかもしれない」

カロル「…!」

母「…そうですね。やはり通り過ぎてはいけない問題ですよね」

神父「い、いや…あ、あれだ。もし手掛かりを掴めればお前たちへのうた…ゲフンッゲフンッ!
…じゃなくて誤解が解けるかも分からんだろ?」

母「まだ疑ってらしたのね…?」ジト

神父「だ、断じて!断じて疑っておらんぞ!!」アタフタ

母「別に怒ってません…。襲ったりしないから、普通にしてください?」

神父「む…。り、了解した」

カロル「……」チラッ

母「…分かってるわよ。坊やも村へ行きたいんでしょう?」ニコッ

カロル「……!」パァァ

母「パッチ君とルーボイ君に会えるかは分からないけど、きっと二人も坊やを待ってるはずよ?」ニコニコ

カロル「えへへ…。約束したもんね?」ニッコリ

母「…坊や。耳を貸して?」

カロル「え?」キョトン
471:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:39:41 ID:ddmBHiklZY
母「よく聞いて?」コショコショ

カロル「うん…?」

母「……大聖堂に行ったら二人にも、もう会えないかもしれない。それでもいいのね?」コショコショ

カロル「…知ってる」

母「…ほんとにいいの?大聖堂にはあたしが行って、坊やはここに残ってもいいのよ?」コショコショ

カロル「っ…!?」

母「ラム君と仲直りすれば、きっとあたしがいなくても生きていけるわ?
あの子はまだ子供だけど、生きていく知恵を持ってるから」コショコショ

カロル「ダメ!そんなのやだ!!」

母「え…」

神父「!?」ビクビクビクゥッ

カロル「お母さまと一緒にいられなくなるなんてやだよ!!」

母「ぼ、坊や…。声が大きいわ?」

カロル「友達を欲しがったのはボクだけど、お母さまがいないなら…いらない!!」

カロル「みんな大切だけど…お母さまとは違うもん!」

カロル「ボクが不幸になっても…お母さまが幸せならいいから…!」

母「……」

神父「」ドキドキ
472:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:42:58 ID:ddmBHiklZY
母「坊や…。顔を上げて?」

カロル「……」スッ

母「あなたの気持ちはよく分かったわ?とても嬉しいの。
でもね。自分が不幸になってもいいなんて言葉を親に向けてはダメよ?」

カロル「……」シュン

母「親の役目は子供を幸せにすること。
子供の役目は幸せになること。
あなたが幸せじゃなくなったら、あたしは不幸になってしまうわ?」

カロル「でも…ボクはお母さまが…」

母「分かってる。坊やはあたしを思いやってくれてるものね?」

母「最近は人間と仲良くなって、短い間だけど経験を重ねてあなたは成長したわ?
あたしが不信感を持つと、諭してくれるほどに」

母「少しずつ親離れしてると思うと寂しいけれど、嬉しかった」

カロル「……」

母「……あたしもあなたが一番大事よ。坊や?
だけど、自分で望んだ繋がりをいらないなんて言わないで?」

母「"いらない"っていう言葉は、何よりも酷い言葉なの。
目の前にみんながいたら、坊やは同じように言える?」

カロル「……言えない。もしもボクが宣教師さまに言われたら傷付いてしまうもの」

母「…そうでしょ?どんなに心が乱れても、言ってはいけない言葉があるの。
一度の過ちですべて崩れ去ることもあるから」

カロル「はい…」ションボリ

母「本当にあたしの幸せを願ってくれるなら、曇りのないあなたでいて?」

カロル「お母さまが幸せになれるなら…がんばってみるね」ニコッ

母「えぇ。信じてるわね?」ニコニコ

神父「………」

神父「(疎外感が…)」ドキドキ
473:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:47:30 ID:1xCSy.MLpI
神父「い、一体なんの話をしてたのだ?」

母「ふふ。なんでもありませんわ?」

カロル「おじさま。早く村に行こう?」

神父「……あ、あぁ?」

母「二人はまた広場で遊んでるかしら?」ニコニコ

カロル「そろそろ起きる時間だもんね?」ニコニコ

神父「くっ…!」ズキッ

カロル「あっ…。目が痛いの?」

神父「う、うむ…。今度は先ほど…よりも、辛いな…!」ズキズキ

母「傷は浅いですけど、箇所が箇所ですものね…。
枝から菌が入ってるといけませんし、早く村に行きましょう?」

神父「い、いや…それには及ばん…。小僧、先ほどのように癒しの力で…治してくれ」

カロル「へ?さ、さっきも話したけど、ボクは力なんて知らないよ…?」

神父「う、嘘を言うな…!一時的とはいえ、力無くして…痛みを抑えることなど出来るものか…!」

カロル「そ、そう言われても…」

母「…先ほどはどうやったら治まったんです?」

神父「ふ、触れた時だ…!
触れた時に、確かに痛みが和らいだ…!」

母「……」パシッ

神父「う、うぅぅ…」ズキズキ

母「どうです?痛みは和らぎましたか?」

神父「ぐむむ…。だ、ダメだ…!」ズキズキ

母「これで分かりましたか?ホビットに癒しの力なんてありません」

神父「そんな…バカな…!先ほどは確かに…!?」ズキズキ

母「きっと偶然ですよ。これ以上傷が開いてしまう前に行きましょう?」

神父「うぐぅ…!」ズキズキ

カロル「……」オロオロ
474:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:49:04 ID:v12GvXB3vM
――村――

大人2の妻「あぁ…うぅ…」シクシク

ルーボイ「……ぐ…あぁ…!」

大人2の妻「いったい…どうなってるの…?」

大人2の妻「テパ君と出掛けて、帰って来ないかと思ったら…こんな大ケガして…!」

ルーボイ「……痛い…いはいよ。母ひゃん…」

大人2の妻「ごめんね…。村のみんなは倒れててお医者さんも呼べないのよ…」

ルーボイ「腕…熱ひんらよ…。なんほかひれよ…!」

大人2の妻「辛いよね…。ごめん…ごめんね…!」シクシク

ルーボイ「なんれらよ…。なんれらよぉ…!?」

大人2の妻「こんな時に…教団は何をしてるのよ…!
うちの息子がこんなに苦しんでるのに…。なにが救いよ…!なにが信仰よ!」

ルーボイ「うぅ…!」

大人2の妻「(みんな一晩中騒いだ挙げ句、朝になったら倒れてて…)」

バンッバンッ

大人2の妻「ひっ!」

バンッバンッ

大人2の妻「いい加減にしてよ!さっきからなんなの!?」

シーン

大人2の妻「(ああしておかしくなった人までいる…!)」

大人2の妻「昨日、なにがあったって言うのよぉ…。うぅ…」シクシク

ルーボイ「いへぇよぉ…!」グッタリ
475:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:51:30 ID:3s89PAnmDA
――大聖堂(地下牢)――

宣教師「はぁ…」ズーン

ジョー「……」

宣教師「」ズーン

ジョー「……」イライラ

宣教師「ジョーさん…」

ジョー「無理だ」

宣教師「まだ何も言ってませんよ!?」

ジョー「どうせ出してくれって言うんだろう?」

宣教師「はい…」

ジョー「無理に決まってんだろう?
あんたを出せば俺はどうなる?
間違いなく厳罰を強いられるんだぞ?」

宣教師「出してくださらなくともよいのです!
鍵を置いて、少しの間よそ見していただければ…」

ジョー「ふざけるな!」

宣教師「どうしても…ダメですか?」ウルウル

ジョー「諦めろ」

宣教師「諦めたらそこで試合終了ですよ?」

ジョー「うるさい!!」
476:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:53:56 ID:3s89PAnmDA
ジョー「そりゃあんたの気持ちは分かるぜ?
だからと言って俺がどうこう出来る問題じゃないんだ」

宣教師「分かってますけど…」

ジョー「ふぅ…。落ち込むのは分かるよ。けど他人の心配より自分の心配をしとけよ。
いつ司祭様が答えを出すかもわからないんだぞ?」

宣教師「…構いませんよ。司祭様が何をおっしゃっても…」プイッ

ジョー「なに言ってんだ!?
どんな状況でも、まずは自分だろ!」

宣教師「そう言いながらジョーさんは私の為に交代せず、ここにいてくれるじゃないですか…?」

ジョー「う、うるさい!交代しても暇だから付き合ってやってるだけだ!」カァァ

宣教師「ふふ…」ニコッ

ジョー「くっ!」タジタジ

宣教師「ジョーさんは優しいですね?」ニコニコ

ジョー「…ほっとけ!」
477:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:57:36 ID:3s89PAnmDA
ジョー「それに心配しなくても、もうすぐ奴らに会えるさ」

宣教師「どういうことですか?」

ジョー「さっき聞いたんだよ。代わりの神父が昨日、村に行く途中でホビットの居場所が書かれた手紙を見つけたってな」

宣教師「手紙を…?」

ジョー「あぁ。その手紙はホビットが書いた物で、奴らの飼い犬が首に下げていたらしい」

宣教師「マルクくんですね!しかし、なぜ神父様が…」

ジョー「聞いた話だと神父はあんたの修道服を着てたんだとよ。
犬は匂いで勘違いして神父に手紙を託したそうだ」

宣教師「また使い回しですか…。ホントに司祭様は倹約家と言いますか、ケチと言いますか…」ブツブツ

ジョー「…やめろ。誰かに聞かれたらどうすんだ」

宣教師「う…すみません」

ジョー「ったく!それでだ。司祭様が神父に捕まえてくるよう言ったらしい」

宣教師「なんですって!?」
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sage:


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