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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1:🎄 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


418:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:20:48 ID:oXJpTUulPQ
カロル「たくさん傷付けられたよ…。
どこにも住ませてもらえなくて…。ご飯もまともに食べれなくて…。
ボクらに関係ない事もボクらのせいにされて、ぶたれたり、お家を燃やされたり、お母さまも…傷付けられた」

ラム「人間なんて…そんなもんだよ。弱い所を探って奪うのが好きなんだ」

カロル「それでも、ボクは人間を憎みたくない…。
傷付け合うのは違うと思う……」

ラム「キレイな言葉だね。でも抑えられる?」

カロル「うん。憎しみに傷付けられる痛みは知ってるし、お母さまと約束したもの」

ラム「じゃあさっき僕が君を助けなかったら?」

カロル「え?」

ラム「人間に拐われてお母さんにも会えなくなったら君は耐えられる?」

カロル「」ドキッ

ラム「今は悲しくても共有出来る人がいるからいいよ。
でも人間はそれすら奪うんだ」

カロル「そんな……」
419:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:25:44 ID:VGq6gHEdG.
ラム「君はいいよね。僕だって誰かに縋りたいよ。
守られたいし、優しく包まれながら眠りたい」

カロル「ラムくん…」

ラム「怖い。怖いんだ。夜になると。
あといくつの朝を見れるんだろうって。独りが怖くて眠れないんだ」ブルブル

ラム「気を失うまで星を眺めて、ようやく眠りに就くと悪い夢を見て…。
忘れたい過去が僕を蝕むんだよ…」ブルブル

カロル「……」ダキッ

ラム「」ビクッ

カロル「」ギュッ

ラム「なに…?」フルフル

カロル「震えてる…」

ラム「やめろよ。同情なんて…」プイッ

カロル「抱き締められると暖かいよ?
眠れない時、ボクはお母さまに抱き締めてもらうの」

ラム「……別に寒くて震えてるんじゃないよ」

カロル「知ってるよ?」ニコッ

ラム「……」
420:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:32:38 ID:VGq6gHEdG.
ラム「……」ブルブル

カロル「さっきは無神経なこと言ってごめん…。
責めたんじゃないんだ…」

ラム「うん…。なんとなく分かるよ。君は僕より恵まれてるんだろうね…。
心に余裕があるから、誰にでも優しくするんだろ…」

カロル「……うん。ボクにはお母さまがいて、友達もいて、幸せなんだ」

ラム「…全部、僕にはもう無いものだ…」

カロル「無いなら作ろうよ?」

ラム「……どうやって」

カロル「ボクじゃダメかな?」

ラム「……君は人間が好きなんだろ?」

カロル「うん。でも人間だから好きなんじゃないよ?
人間もホビットも同じ。そう思うだけ」

ラム「僕は…好きになれないな」

カロル「……じゃあ、ボクが教えてあげる!人間のいいところ!」

ラム「……」

カロル「ダメ?」

ラム「ダメだなんて…。でも君はいいの?
僕は…とても汚れてるよ?君が想像できないほどに…」

カロル「いいに決まってるじゃない。ボクはキミと友達になりたいもの」

ラム「ほんとに…?」

カロル「それに汚れてたって洗えばいいよ!洗い物は得意なんだ!」

ラム「プッ…なにそれ?」クスクス

カロル「変かな?」ニコニコ

ラム「変だよ!」

アハハハハ!
421:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:36:33 ID:VGq6gHEdG.
ラム「ははは…!こんなに心から笑えるのっていつぶりだろう?」クスクス

カロル「ダメだよ。普段から笑わなきゃ?」ニコニコ

ラム「……うん。君が言うならそうしてみるよ!」ギュゥゥ

カロル「ちょ、ちょっと…苦しい…かも」ムギュ

ラム「あ、ごめん…」パッ

カロル「あ、あはは…。気にしないで?」ニコッ

ラム「…ありがとね。おかげで震えも止まった」ニコッ

カロル「よかった!」ニコニコ

ラム「誰かに抱き締めてもらうなんて…本当に久しぶりだなー」グスッ

カロル「……」

ラム「あ、涙だ…。ふふ。おかしいね?
たったこれだけのことなのに…」

カロル「涙は悲しみも痛みも流してくれるんだって?」

ラム「なにそれ?」グズッ

カロル「友達に教えてもらったんだ!」

ラム「そうなんだ…?」クスクス
422:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:38:00 ID:oXJpTUulPQ
カロル「ボクと一緒に行こう?
ラムくんと友達になったって、お母さまに教えたい!」

ラム「いいの…?」

カロル「うん!」

ラム「……君って不思議だなー。
会ったばっかりなのに自然と信頼できる…」

カロル「そ、そうかなー?」テレテレ

ラム「うん。ふしぎ…」

カロル「えへへ…。なんか恥ずかしいや…」テレテレ

ラム「今日、君に出会えて良かった」

カロル「え?」

ラム「君となら変えられそうな気がするんだ。
イビツで腐りかけた、この世界を…」

カロル「う、うん…?」

ラム「ふふ。君のお母さんに会いに行こう?」

カロル「うん…?」

カロル「(世界を変える…。どういうことだろ…?)」
423:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:22:49 ID:KqTJbdQyF2
――森(枯れた大木)――

母「……坊や?」

母「どこに行ったのかしら…。こんな早い時間に…」

母「坊や?坊やー?」

ガサッ

母「きゃっ!」ビクッ

カロル「おはよう!」

母「ぼ、坊や?もう…。驚かさないで?」

カロル「ふふ。ごめんなさい」ニコニコ

母「…あら、えらくご機嫌ね」ジト

カロル「うん。ちょっとね…」ニコニコ

母「何があったか知らないけど、勝手に出掛けたりしたらダメでしょ?」

カロル「えへへ…。ごめんなさい」

母「……へらへらしながら謝らないの。行儀が悪いわよ?
こんな朝早くからどこに行ってたの?」

カロル「その前に…ちょっといい?」

母「?」キョトン

ガサッ

ラム「」ペコリ

母「……え?」
424:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:25:08 ID:NrNVsrSms6
カロル「紹介するね。友達のラムくんだよ!」

母「(え…?なに?どういうことなの?)」アセアセ

ラム「はじめまして」ペコリ

母「は、はじめまして」オロオロ

ラム「ラムって言います」

母「ど、どうも。礼儀正しいのね?」ニコッ

ラム「いえ、そんな…」テレッ

母「ご、ごめんなさい。ちょっといい?」

ラム「あ、はい…?」

母「坊や…」コショコショ

カロル「?」キョトン

母「……何があったの?ちゃんと説明してちょうだい!」コショコショ

カロル「えっと…起きたら人間に捕まってて…」

母「なんですって!?」ビックリ

カロル「けど平気だよ。助けてもらったんだ!」

母「平気ってあなた…」

カロル「ラムくんが助けてくれたの」

母「あの子が…?」チラッ

ラム「……」
425:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:41:09 ID:KqTJbdQyF2
カロル「それでね。ラムくんもホビットなんだ」コショコショ

母「そうみたいね…」コショコショ

カロル「お話したら知ってる人間を追って旅をしてるって言ってたんだけど…」

母「旅?あの子、親御さんはいないの?
しっかりしてるみたいだけど、まだ一人で旅なんてできる年齢じゃないでしょう?」

カロル「いないんだって…。そう言ってた…」

母「……!そう…そうなの…」

カロル「人間が嫌いなんだって。
だからボク、友達になって人間もホビットも仲良くなれるって教えてあげたいんだ」

母「そうね。坊やは人間と友達になれたものね。
あの子も…ふれ合う喜びを知った方がいいと思う…」

カロル「うん…。あ、それでね。お母さまにお願いが…」
426:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:43:05 ID:NrNVsrSms6
ラム「あの…」

母「あ、ごめんなさい。こっちで話し込んじゃって…」

ラム「いえ、大丈夫です…」

母「坊やを助けてくれたのよね。ありがとう?
お礼が遅くなってしまったけど、気を悪くしないでね?」ナデリ

ラム「……!い、いえ…」ポッ

母「? どうしたの?顔が赤いみたいだけど、熱があるんじゃ…」

ラム「…な、なんでもないです」プイッ

母「あ…。ひょっとして触られるのは嫌いだったかしら?」

ラム「そ、そんなこと…ないです!」

母「そう…?」


ラム「(母さんにも、よく撫でてもらったっけ…)」
427:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:45:40 ID:NrNVsrSms6
カロル「えと…お母さま」

母「坊やもちゃんとお礼言ったの?」

ラム「はい。助けた時に言われました」

母「そう。それならよかった」ニコリ

カロル「ねぇ。お母さま、お願いがあるんだけど…」

母「なに?」

カロル「向こうにケガをしてる人間がいるんだ。助けてあげたい…」

母「…人間が?」

カロル「お母さましか頼れないんだ。ダメかな?」ジーッ

母「……困ってる人を放っておく訳にはいかないわね」ニコリ

カロル「……!ありがとう!」パァァ

ラム「ちょ、ちょっと待ってよ!?」

カロル「どうしたの?」

ラム「もしかして…さっきの人間を助けるの?」

カロル「うん。あのままにしておけないもの」

ラム「それじゃ僕が君を助けた意味がないじゃないか!
あの人間は君を浚おうとしたんだよ!?」

カロル「そうだけど…」
428:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:51:45 ID:KqTJbdQyF2
母「…人間のケガはあなたが負わせたの?」

ラム「え?だって…相手は人間ですから…」

母「他にも解決する方法はあったんじゃないかしら…」

ラム「そんなの…どうやって…」

母「…話せば分かるかもしれないし、隙を見て逃げてもよかったと思うの」

ラム「…僕を責めてるんですか?」

母「あ、いえ…そんなつもりじゃないのよ…。ごめんなさい」

ラム「……」

カロル「えと、ボクは助かったし、感謝してるよ…?」

ラム「そういう問題じゃないよ…」

カロル「じゃあ…何がいけないの?」

ラム「…もしかしたらあの人間は君を拐って、別の人間に売ったかもしれない。
そうなったらどんな目に合っていたか分からないんだよ?」

カロル「でもそうはならなかったでしょ?」

ラム「君が言ってるのは結果だろ!?」

カロル「……」

ラム「君は人間に抵抗が無いかもしれないけど、僕は違う!
僕は…人間なんて助けたくない…!」
429:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:56:44 ID:KqTJbdQyF2
カロル「…そっか。じゃあボクとお母さまで行くからラムくんはここで待ってていいよ」

ラム「どうしても行くのかい?助けたって…また連れ去ろうとするかもしれないよ?」

カロル「心配ないよ。そしたら逃げるから。こう見えて足は早いんだ?」ニコッ

ラム「……」

母「ラムくん。あなたの気持ちはとてもよく分かるのよ」

ラム「……」

母「今まで辛い事も多かったと思うわ?
でもね、許す事も必要よ?
たとえ傷付けられた相手でも、傷付けてしまった相手でも、どちらかが許してあげないと傷は癒されないもの」

母「その傷は一生残したままになるかもしれない。」

ラム「……」

母「傷付け合う関係なんて、お互いに悲しいでしょう?」

ラム「…僕たちは傷付けたりしないのに、人間は僕たちを傷付けた…」

母「そうね…。それでも許す心を否定しないであげて?」

ラム「……」

母「ね?」ニコリ

ラム「分かりました…」

母「…ありがとう?」イイコイイコ

ラム「いえ…」

カロル「……」ニコッ
430:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:58:39 ID:KqTJbdQyF2
カロル「行ってくるね!」

ラム「うん…。待ってる」

母「心配しないでね。すぐに戻ってくるから…?」

ラム「は、はい…」ドキッ

カロル「こっちだよ、お母さま!」タタタッ

母「えぇ…!」タタタッ

ラム「……」

タタタッ・・・

ラム「…ふしぎだな。なんで…簡単に許せるんだろ」

ラム「……」

ラム「…許したって人間はつけあがるだけなのに…」

ラム「………」
431:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 17:32:58 ID:2f6ATVrpfk
神父「うっ…ぐぐぎぎ…!」コヒューコヒュー

神父「ぁ…がぁぁ…!」ギュッ

グッ ズブブ ギュポッ

神父「うぁぁぁ…!」ブシャァァ

神父「枝…抜け……た…いてぇ…。いてぇよぉぉ…」ジタバタ

神父「あぅぅぅ…!」ゴロンゴロン

神父「(なぜ…私がこんな目に…)」ゼーゼー
432:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 17:34:47 ID:Ou70Vp7aU.
タタタッ

カロル「はぁっ…。ふぅ…。い、いたよ!」

母「はぁっ…はぁっ…。この人…教団の人間ね」

神父「」ビクッ

カロル「…お母さま!」ジーッ

母「分かってる。教団の人間にも宣教師様のような優しい方もいるもの。区別したりしないわ?」

神父「(こ、子供の声…さっきのホビットか!?
まさかトドメを刺しに来たのか…!)」ビクビク

カロル「…うん。ボクらも宣教師様に助けてもらったから、少しでも恩返ししなくちゃ」

母「えぇ。まずはこの人を村まで運んであげましょう?」

カロル「そうだね!」
433:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 17:38:04 ID:2f6ATVrpfk
神父「うぅ…ぐぐ…」

母「これは…酷いケガね。本当にあの子が?」

カロル「うん…。おじさま。大丈夫ですか?」スッ

神父「ぐぁっ…!」ズキンッ

母「何をしてるの!むやみに傷の近くに触れたらダメよ!?」

カロル「ご、ごめんなさい」オロオロ

神父「ぐぬぬ…!」ズキズキ

母「大丈夫ですか?あたし達が村まで送りますから、もう少し辛抱なさってくださいね?」

神父「だ、黙れ!薄汚いホビットめ!
そうして目の前に甘言を滴らせ、私が蜜を舐めるのを待っているのだろう?」

母「落ち着いてください。大きなケガをなさっているのですから、興奮してはいけません」

神父「だ、だま…うぐぐ!」ズキズキ

母「ほら、だから言ったじゃありませんか?」

カロル「起き上がれますか…?」スッ

神父「うぅ…。え、ええいっ!触れるな、汚らわしい!」バシッ

カロル「っ……!」

神父「元はと言えば貴様の仲間がやった事だろうが!?」

カロル「ごめ…なさ…」ションボリ

神父「己の罪も自覚せずにのこのこやって来おって!」

カロル「」ウルッ
434:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 17:40:25 ID:Ou70Vp7aU.
母「待ってください。それはあなたにも言えるんじゃありませんか?」

神父「何をっ!貴様、ホビットの分際で…!」

母「元を正せば寝ている坊やを連れ去ろうとしたのはあなたよ?」

神父「はっ!笑わせるな!ホビットをどうしようが人間の自由だ!」

母「自由ですって?それならあたし達の自由はどうなるの!」

神父「貴様らは神に仇なし、我々人間から癒しの力を奪った罪深き種族だぞ!
なぜお前達に自由があると考える!?
その腐りきった性根こそが罪なのだ!」

母「あなた達の身勝手な理屈に従う謂れはありません!」

母「あたし達にはあなた達と心を開いて接する気持ちがあるわ!」

母「なぜ、そんな迷信を広めるの!?
あなた達のために苦しんでいるホビットが何人いると思っているのよ!?」

神父「や、やかましい!あたかも己が正しいように振る舞うな!
正しいのは我々……!ぐっ…!」ズキッ

母「はぁっ…。はぁっ…」

カロル「……」
435:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 17:43:12 ID:Ou70Vp7aU.
母「坊や…。やっぱり戻りましょう?」

カロル「ううん。ダメ」フルフル

母「この人は宣教師様とは違うわ…。助けても、あたし達への見方は変わらない」

カロル「いいんだ。見返りを望んだ訳じゃないもの。
嫌がってても、助けなきゃ。見捨てる方がよっぽど嫌われるよ?」

神父「うっ…くっ!」ズキズキ

母「……なんでそこまでして…人間と関わりたいの?
お友達も出来たし、十分願いは叶ったはずよ?」

カロル「人間だからじゃないよ。ホビットでも、獣でも、苦しんでいる命の痛みは同じだから…」

母「けれど前にも言ったはずよ?
人間とホビットはとても難しいって…」

カロル「うん。ボクなりに分かってるつもり。
でもね。ボクらまで人間を拒んじゃったら、分かり合える日は来ないと思うんだ」

母「……」
436:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 17:46:00 ID:Ou70Vp7aU.
カロル「誰かが水をあげないと花は枯れてしまうでしょ?
キレイなカリアムの花も萎れちゃったら色褪せるじゃない」

母「水をあげても…枯れる花は枯れるのよ?」

カロル「それなら枯れるまで水をあげようよ?
諦めて枯らせたら、花がかわいそうだもん」

母「……!」

母「……そうね。あなたのお父様もきっと…同じ事を言うわ。
あたしが信じてあげなきゃいけないわよね…」

カロル「えへへ…。今までのお花はみんなキレイに咲いたもの。
素敵な出会いがいっぱいあったから、こうやって言えるんだ」ニコッ

母「ごめんね。あたし…」

カロル「謝らないで。誰も悪くないでしょ?」ニコニコ

母「(…本当に優しい子…。まるでフィズスの生き写しのよう…)」ホロリ

神父「ケガ人の前でごちゃごちゃとよく喋る口だ。
そうやって言葉を紡ぎ、人間を欺くのであろうが…」ヨロヨロ

母「…起き上がって平気なのですか?」

神父「貴様らの助けなど借りぬ!どこへなりと消え失せろ!」ヨタヨタ

母「あ、そっちは木が……」

ゴンッ!

神父「」フラフラ

母「だから言ったのに…」

神父「遅いわ!!……いっ…!」ズキズキ
437:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 17:49:35 ID:2f6ATVrpfk
神父「ぐっ…!くそ…。今ので収まりかけた痛みが…!」ズキンズキン

カロル「」タッタッ

神父「ひっ!く、来るな!」ビクッ

カロル「怒鳴ると傷に障るよ?ボクらが案内するから村まで歩こう?」

神父「だ、だから…薄汚い種族の助けは借りんと…」

カロル「でも一人で帰れないでしょ?」

神父「やかましい!お前のような者に付いていくよりマシだ!」

カロル「無理しないで?こんなに血が出てる」スッ

神父「だからっ!触るなと何度言えば…!」

カロル「ご、ごめんなさい…」シュン

神父「たく…!不浄の手で触れおってからに。修道服が汚れ……」ハッ

神父「(痛みが…和らいでる?)」スリスリ

神父「っ…!や、やはり触ると痛いな…」ズキズキ

神父「(だが確実に和らいでいる。先ほどまでの刺すような激痛がこない…)」

―――――

カロル「うん…。おじさま。大丈夫ですか?」スッ

神父「ぐぁっ…!」ズキンッ

母「何をしてるの!むやみに傷の近くに触れたらダメよ!?」

カロル「ご、ごめんなさい」オロオロ

―――――
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