書きたいことが出来たので、以前書いてたSSの続きを書かせていただきます。
お手数おかけして申し訳ございませんが、知らない方は前作から読んだ方がいいと思います。
一応貼っておきます。前作→http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1316008982/1-10
基本長いので携帯だと読めなくなる可能性があります。また、支援返レスを飛ばして読みたい方もいらっしゃると思います。
それらに該当する方は、本編とわけてまとめたので、こちらから読んでみてください。→>>981-984
注意事項は以上です。何卒よろしくお願い致します。
96:🎏 1:2012/9/23(日) 22:53:14 ID:4.MWSg5KoU
魔王「新しい朝が来た!」
側近「朝を告げる役目は鶏で間に合ってるので魔王様は黙ってていいですよ」
魔王「清々しい朝に元気を爆発させたっていいじゃん!」
側近「その鬱陶しさのせいで元気を失う犠牲者がいることを忘れないでください」
魔王「ええ〜……そんなに傍迷惑かなあ?」
側近「魔王様の半分は迷惑で出来てますから」
魔王「駄目なバファリンだね……」
側近「ちなみにもう半分は劣化ウランです」
魔王「何なの俺は!?どういう存在なのよ、それは!?」
側近「さあ旅の目的を果たすとしましょうか」
魔王「ねえ、無視しないでよー!気になるから教えてよー!」
97:🎏 1:2012/9/23(日) 22:55:05 ID:4.MWSg5KoU
魔王「しかし……見れば見るほど都会だねー」
側近「魔物と人間が戦争をしてた時は、攻撃魔法の開発を担った重要拠点だったそうですね」
側近「また、魔界に近い位置ということで、敵襲に備えて街そのものも頑丈にし、更には防御魔法で守られています」
側近「都会として立派な集落を築いているのには、そういう背景があるみたいですね」
側近「戦争の終わった今では防御魔法開発と日常生活を補助する魔法開発で、変わらず人々に貢献してるみたいです」
魔王「立派な街なんだねー。それに、そういう知的な街ならモテる方法の情報も期待できそうだね!」
側近「そんな情報を期待してもいいんでしょうかね……」
98:🎏 1:2012/9/23(日) 22:56:09 ID:4.MWSg5KoU
街人「あれ……あれって魔王様じゃないか?」
側近「おー、さすが魔王様。知名度だけはありますね」
魔王「おはよう!ねーねー、ちょっと訊いてもいい?」
街人「は、はい!な、何でしょう?」
魔王「えっとねー、俺達今モテる方法を探して旅してるんだ!」
街人「……はい?」
側近「悪いな、馬鹿の馬鹿げた馬鹿行動に付き合わせて。でも、文字通りなんだ」
魔王「冥ちゃんみたいに悪口言わないで!それは冥ちゃんが言うからご褒美なの!」
街人「えっと……モテる方法も、モテる魔法にも心当たりがありません。すみません」
魔王「そっかー……いやあ、この街でも駄目ならどこ行けばいいんだろうね?」
側近「魔王様には諦めるという選択肢もあるんですよ?」
魔王「嫌だよ!女勇者ちゃんとラブラブになるんだ、俺は!」
側近「はーっ……うっぜー……」
99:🎏 1:2012/9/23(日) 22:58:33 ID:4.MWSg5KoU
街人「あ、そうだ。この街に……」
子供「魔王、覚悟ー!」イシポーイ
魔王「あいた!……え?何?」イシガツーン
側近「……何だ、あの子供は?いいぞ、もっとやれ」
街人「す、すみません、魔王様!こらっ、どこの子だ!?」
魔王「あーいいよいいよ石くらい。どうってことはないから」
側近「え?じゃあ……」イシヒロイ
魔王「いや、お前はだめだよ!?」
街人「君、魔王様に謝りなさい!」
子供「嫌だよ!こいつのせいでお父さんとお母さんは死んだんだ!」
魔王「……!」
100:🎏 1:2012/9/23(日) 22:59:44 ID:4.MWSg5KoU
子供「魔物が攻めてきたせいでお父さんもお母さんも!」
子供「返せよ!お父さんとお母さんを返してよ!」
魔王「……ごめんね」
街人「ま、魔王様が謝ることはないですよ!君、この方は人と魔物の平和に尽力された方で……」
子供「関係ない!こいつは魔物だ!僕の敵だ!」
街人「ほ、ほら……向こう行こう!いいから向こう行こうな!」グイッ
子供「放せよ!放せー!!」
101:🎏 1:2012/9/23(日) 23:01:24 ID:4.MWSg5KoU
魔王「……」
側近「……戦争はあんな小さな子の幸せすらも奪うんですね」
魔王「よくよく考えたら俺達もそうだもんね」
側近「ええ。地獄のような幼少期を過ごしましたよね」
魔王「俺のせいで……あの子の幸せを壊しちゃったんだね」
側近「そんなことはないですよ!悪いのは、先代の魔王達であって……」
魔王「俺は魔王だよ。魔物と……今では人の上にも立つ存在だよ。自分のやったことじゃないからって、責任逃れはしたくない」
側近「……」
魔王「だからこそ、あの子のこれからが幸せに満ちるよう、世界を導いていかなきゃね」
側近「魔王様なら可能ですよ。俺だって、魔王様のおかげで幸せになった一人ですから」
魔王「側近……ありがとう!そのためにもまずはモテる方法探さなきゃね!」
側近「正直それは今すぐ放棄すべきですよね……」
102:🎏 1:2012/9/23(日) 23:03:52 ID:4.MWSg5KoU
魔王「……あっ、あの人戻ってきた」
街人「すみませんでした!この街の住民が迷惑をおかけしてしまって!」
魔王「いいんだよ。やったことはともかく、あの気持ちは蔑ろにはしないであげてね」
側近「ところで……お前なんか言おうとしてなかったか?」
街人「え?……ああ、そうです。この街に特殊な魔法を多く操る凄腕の魔法使いがいるんです!」
側近「凄腕の魔法使い……」
魔王「その人は男!?可愛い女の子!?」
街人「男性です。老人の方ですね」
魔王「くっ!可愛い女の子じゃないのか……!」
側近「何を残念がってるんですか……」
街人「解析不能な独自の魔法も多く身につけていて、知識量も半端ないんです。あの人を頼ってみては如何でしょう?」
魔王「おー、そうなんだ。それは期待できそうだねー!」
街人「住所を教えしますので、是非行ってみてください」
103:🎏 1:2012/9/23(日) 23:04:57 ID:4.MWSg5KoU
魔王「そしてやってきたのがこの家です」
側近「家は案外普通ですね」
魔王「何かこう……カラスが一斉にカーッみたいな、そういうの想像してたよね」
側近「要領は得ませんが、何となくわかるのでよしとしましょう」
側近「それじゃ呼び鈴押してみますよ?」
魔王「どうぞどうぞー」
側近「それでは」ピンポーン
魔道師「……これはこれは、魔王様と側近様ではありませんか」
魔王「あなたが……えっと、凄い魔法使いさん?」
魔道師「凄いかは保証しかねますが、独自の魔法は多く編み出しておりますよ」
魔王「ああ、この人で間違いなさそうだね!」
側近「そうですね」
魔道師「わざわざこんな老いぼれを訪ねるなんて、どうかしましたか?」
魔王「いやー、実はですね、おじいさん」
104:🎏 1:2012/9/23(日) 23:05:58 ID:4.MWSg5KoU
魔王「……ってわけなんですよー」
魔道師「モテる方法ですか。これはまた面白いことをやろうとしてますな」
側近「正直に馬鹿げたことって言っていいんですよ」
魔王「馬鹿げたって何だよ!こっちは真剣だよ!」
魔道師「ううむ……豊富な魔法を会得した私でも、それを叶えることはできませんな」
魔王「そうですか。じゃあそういう方法に心当たりないですか?」
魔道師「申し訳ないですな。心当たりはありませぬ」
魔王「そうですか……お答えいただきありがとうございます」
魔道師「……魔王様方の目的とは違うのですが、私も少々面白いことをやろうとしてましてな」
魔王「面白いことですか?」
105:🎏 1:2012/9/23(日) 23:08:34 ID:4.MWSg5KoU
魔道師「宣伝させていただきたいのですが……こちらをどうぞ」つチラシ
魔王「えー?何々?」
側近「……人と魔物が共に暮らす街?」
魔道師「和平が結ばれてから1年が経過しようとしております」
魔道師「この1年で人と魔物の互いの認識も改善され、まさに平和の世が築けたと言っていいでしょう」
魔道師「私はそんな平和を形として表したいと思っているのです」
魔道師「そこで私は、人間界と魔界の境目に、共存の街を新たに造ろうと考えているのです」
魔道師「私のオリジナル魔法を用いて、街そのものは既に出来あがろうとしております」
魔道師「あとは住民さえ来れば、魔法を解除して街を現し、計画は完成というわけです」
魔道師「このチラシはこの考えに賛同してもらえる方に移住を求める物です」
魔道師「実は既に人間界ではばら撒いておりまして、近々魔界にでもと思っていたところなんですよ」
魔道師「まずは魔王様方にもご確認をと思いましてな」
106:🎏 1:2012/9/23(日) 23:09:46 ID:4.MWSg5KoU
側近「……我が領土を用いて街を造るだと?そのような勝手が通るなどと……」
魔王「いいよー!」
側近「魔王様!?何即決してるんですか!?」
魔王「えー、でもいい考えじゃない。それを実現しようとするなら、拒否る理由なんてどこにもないよ」
魔道師「ありがとうございます。この計画は近々完成する予定です」
魔道師「その暁には、是非魔王様方も遊びに来て下さいませ」
魔王「わかりました。そうしますねー」
側近「……」
107:🎏 今回はここまで:2012/9/23(日) 23:10:57 ID:4.MWSg5KoU
家を出ました。
側近「……よかったのですか?」
魔王「あのおじいちゃんの言うことを許可したこと?」
魔王「良い考えじゃない。それに関して協力できることがあるのなら、俺は協力していきたいよ」
側近「ですが、魔王様もお気づきになられていたでしょう!?」
側近「あのチラシには、何かの魔法がかけられていました!」
側近「移住を求めるだけで、何故正体不明の魔法をかける必要があるんですか!あの者は怪しいと思います!」
魔王「怪しいかもだけど……あの考えは否定したくないよ」
魔王「それに、何かの悪だくみだった時は、俺達で食い止めよう!それでいいじゃない」
側近「……とにかく、調査の必要はあると思いますよ」
魔王「そうだね。とりあえずモテる方法は後回しにして、街が出来たら調べに行ってみよっか!」
側近「そうですね。モテる方法は完全に捨てて、そうするとしましょう」
魔王「それを捨てるなんてとんでもない!」
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