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魔王「何でイチャイチャちゅっちゅできないんだよ!」
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1:🎏 :2012/9/14(金) 23:05:11 ID:4.MWSg5KoU
書きたいことが出来たので、以前書いてたSSの続きを書かせていただきます。
お手数おかけして申し訳ございませんが、知らない方は前作から読んだ方がいいと思います。
一応貼っておきます。前作→http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1316008982/1-10

基本長いので携帯だと読めなくなる可能性があります。また、支援返レスを飛ばして読みたい方もいらっしゃると思います。
それらに該当する方は、本編とわけてまとめたので、こちらから読んでみてください。→>>981-984

注意事項は以上です。何卒よろしくお願い致します。


551:🎏 :2012/10/26(金) 21:38:00 ID:6xWpg1Pyas
女僧侶と女魔法使いが来訪したその日から、世界中から実力者が共存の街に集まってきた。


勇者「俺達にも協力させてくれないか?」

女勇者「あ、勇者さん!僧侶さんに魔法使いさんも!」

勇者「工学人が今共存の街で活動してるだろ?助けてほしいと工学の街に連絡がきてね」

勇者「街の人達も暖かく送り出してくれたよ。街を守るのは任せてほしいと」

勇者「あの魔王には俺もこの世界で眠ってほしいと願ってるからね。さあ力になるとしようか」

女勇者「ありがとうございます!」


龍人「よう。話は聞いたぜぇ」

女勇者「龍人!城の警備は大丈夫なの!?」

龍人「あの三バカトリオもいよいよやる気になったみてぇでな。城は任せて共存の街に行けってよ」

龍人「自慢だが、戦闘に関しては今この世界じゃトップを自負してんぜ」

龍人「もちろん魔力の総量でも話は同じだ。ほれ、さっさと魔力溜めようじゃねぇか」

女勇者「龍人、ありがとう!」


女戦士「よう、久し振りだな!」

女勇者「女戦士!」

女戦士「パーティで私だけ除け者にしてんじゃねーよ!いいとこなんだろ?私にも協力させろ!」

女戦士「私がいねえと始まんねえだろ!私達全員で最後まで突っ走ろうぜ!」

女勇者「女戦士……」

女勇者「……あんた、魔力出せるの?魔法学の知識、ないんでしょ?」

女戦士「え?あれって、何かこう……グッ!と力を込めたら出るもんじゃねえの?」

女勇者「出ないわよ!何しに来たのよ、あんた!」

女戦士「マジか……女魔法使い、魔力の出し方教えてくんね?」

女魔法使い「……」エー・・・
552:🎏 :2012/10/26(金) 21:39:37 ID:6xWpg1Pyas
このほかにも歴代の勇者達や強い魔物など、強大な魔力を誇る実力者が多く集った。
それにより、タンクに魔力が溜まるスピードは格段に上がり、目標は確実に近付きつつあった。
魔力が強まるにつれてタンクへの負担も強まるが、ゴーレム族の強固さを受け継いでしっかりと防いでくれていた。
そうして皆が魔力を注ぎ、勉強を重ねても女戦士は魔力放出を覚えられず、そんな日々が続いて一ヶ月が経過した頃にはついに……

女勇者「……溜まったー!」

「いやっほおおお!」「いえええい!」「ヒーハー!」

女戦士「やったなー、女勇者!これで異世界に行けんだな!」

女勇者「……結局あんたは見に来ただけだったわね」

女僧侶「まあまあ、いいじゃないですか。気持ちはありがたいですよ」

側近(懸念していた戦争派の襲撃もなかったな……)

側近(戦争派にとっての好機を見逃すか?本当に高まった士気に気圧されたと片づけていいのか?)

側近「……考えすぎかな。今はこの結果を喜ぶとしよう」

女勇者「ん?側近、何か言った?」

側近「いや、何でもない」
553:🎏 :2012/10/26(金) 21:40:59 ID:6xWpg1Pyas
女勇者「さあ、墓も完成した!異世界への穴の開閉に必要な魔力も溜まった!そして女僧侶が異世界へと繋ぐ魔法を覚えてくれた!」

女勇者「あとは魔王を迎えに行くだけだよ!」

側近「その前に確認しておいた方がいいことがいくつかある」

側近「異世界へ通じる穴を造るということは、向こうからこっちに来れるという意味でもある」

側近「前にも言ったが、もし異界王が生きているとしたら、今から俺達がやろうとしてることは大変危険なことだ」

側近「それに……女勇者、魔王様が亡くなってからどれくらい経った?」

女勇者「えっと、半年くらいはたぶん……」

側近「そう、魔王様が亡くなられてから長い時間が経ってる。となると、遺体の状態は芳しくないだろう」

側近「そもそも遺体があっちでどう処理されたかもわからないんだ。魔王様を探し出すのは困難を極める」

側近「当然時間もかかるだろう。そんな長い間穴を開けっぱなしにするのは危険かもしれない」

女戦士「じゃあどうすりゃいいってんだよ?」
554:🎏 :2012/10/26(金) 21:43:20 ID:6xWpg1Pyas
側近「……今回は偵察ということにした方がいいかもしれない」

側近「少数精鋭で異世界の様子を探るんだよ」

側近「大丈夫そうなら、増援させて魔王様の遺体を探そう。異界王が生きてた等、危険だったら即座に戻って穴を閉じよう」

女戦士「閉じんのかよ!?開け閉めに必要な魔力溜めんの、一ヶ月かかんだぞ!?」

女勇者「それは確かに痛手だけど、何より優先しなきゃならないのは私達の命よ」

側近「それが魔王様の遺志だろうからな」

女勇者「じゃあまずは偵察ということにして……メンバーはどうするの?」

側近「戦闘になった場合を考えて、強い者を連れていきたい。龍人、頼めるか?」

龍人「任せとけよ。これしか能がないんだ、それに関しては仕事するぜ」

側近「あとは……俺と女勇者でいいか」

女戦士「たったの三人でいいのか?何なら私の鉄拳を貸してやるぜ?」

側近「いや、女戦士はここで待機していてくれ」

側近「むこうからすれば俺達は異世界からやってきた敵だ。当然応戦も考えられる」

側近「その過程で、敵に捕まったりしたら、穴を閉じるに閉じれなくなるだろ。見捨てて取り残すわけにもいかないしな」

側近「その危険性を少なくするためにも、少数精鋭で行った方がいい」

女勇者「女戦士は魔法の素人だからね。魔法で遠隔戦挑まれたら正直足手まといだもんね」

女戦士「うっせーよ!どうせ私は魔法覚えられなかったよ、ちくしょう!」
555:🎏 :2012/10/26(金) 21:45:08 ID:6xWpg1Pyas
僧侶「……なあ、勇者」

勇者「何だ?」

僧侶「純粋に実力重視で行くんなら、女勇者よりお前の方がいいんじゃないか?お前のが実力はあるだろう」

勇者「……そうだな。確かに俺の方が強いだろうな」

僧侶「だったら……」

勇者「いいんだ。女勇者に行かせてやれ。魔王を迎えに行くんだからな」

勇者「女勇者は魔王亡きこの世界で、ここまで導いてくれたんだ」

勇者「女勇者が頑張ってくれたからこの瞬間があるんだ。先頭を走って引っ張ってくれた女勇者を信じて託そう」

僧侶「そっか……うん、わかったよ」

側近「……異論はないみたいだな。一応もう一度確認しておくぞ」

側近「俺と女勇者、龍人で偵察に向かう」

側近「現地を調べて危険なら穴を閉じる。安全なら皆で魔王様の遺体を探す」

側近「どちらにせよ戻る時間も決めておいた方がいいな。とりあえず三十分で戻るとしようか」

側近「異界王が生きていた等、あまりに危険ならそれよりも早く戻ろう。そして穴は閉じる……そんな感じでいいな?」

女勇者「うん、それでいこう。……女僧侶、今からタンクの魔力を出すから、それで魔法をお願いね」

女僧侶「わかりました。任せてください!」
556:🎏 :2012/10/26(金) 21:46:49 ID:6xWpg1Pyas
工学人「それじゃタンクから魔力を放出しますよ。上空に向けて出しますけど、一応離れてください」

工学人「いきますよ……そいっ!」

女戦士「うおっ!……すっげー魔力だな、おい」

ハーピー「こんな魔力を浴びたりしたら、確実に命を落としますね……」

女勇者「女僧侶!」

女僧侶「わかってます!こんな魔力を長らく放置するわけにもいかないでしょう」

女僧侶「いきますよ……はあああああ……!」

ウィッチ「あんなに強大だった魔力がみるみる小さくなってく……」

龍人「代わりに穴が上空に出現したなぁ。こいつが噂の異世界への扉ってか」

女僧侶「ふう……これで異世界へと通じたはずです」

女僧侶「資料に沿って実行したので、恐らく異界王の城の中に繋がってるはずです」

女勇者「……ついに来たんだね、この時が」

側近「工学人、念のため閉じる分の魔力も放出する準備をしといてくれ」

工学人「わかりました!」

側近「女勇者は浮遊魔法は使えないんだったな。じゃあ俺に掴まっとけ」

女勇者「うん、わかった」

龍人「よーし、そんじゃ行ってくんぜぇ!!」
557:🎏 :2012/10/26(金) 21:47:51 ID:6xWpg1Pyas
ゴーレム「行ってらっしゃいませ!無理はしないでくださいね!」

女戦士「無理せずに頑張って絶対に魔王見っけてこいよ!」

女僧侶「どっちなんですか、それ……」

勇者「……入ってったな。こうなると、俺達はもう待つしかできないな」

女魔法使い「……」

ウィッチ「女勇者達……うまくいくかなあ?」

ハーピー「うまくいくと信じて私達は待ち……きゃあっ!?」

ゴーレム「ハーピーさん、どうされましたか?……っ!」

獣人壱「動くな!動けばこの女を殺す!」

ハーピー「うっ……」

ゴーレム「ハーピーさん!お前……」

獣人壱「動くなっつってんだろ!」

ゴーレム「ぐっ……」

ウィッチ「獣人族……未だに戦争派の種族が何でここに!?」

獣人壱「待ってたんだよ!あいつらが異世界に渡るのをなあ!」
558:🎏 龍人「……俺は?」:2012/10/26(金) 21:49:54 ID:6xWpg1Pyas
獣人壱「魔王が死んで、ようやく世界を魔物と人に別つ時がきたと思った」

獣人壱「だが、結果としてそれは叶わず、魔物と人はお互いを受け入れたまま世界を再生した」

獣人壱「それは何故か?魔物と人が手を取り合って、前魔王に匹敵するような力を得たからか?違うっ!」

獣人壱「前魔王が死してなお、お前らを強く引っ張る強大な存在があったからだ!」

獣人壱「側近は言うまでもなく今の魔界を引っ張る共存派だ」

獣人壱「女勇者は絶望に染まるお前らに希望を植え付けた張本人だ」

獣人壱「そうして強く引っ張る奴がいるから、お前らも協力出来て力が生まれるんだよ!」

女戦士「た、確かに女勇者や側近がいなかったら、今この結果はなかったかも……」

女僧侶「で、でも!確かにきっかけは女勇者さん達ですが、今はこうして手を取り合うことを達成してます!今の私達には、自ら手を差し出す勇気が備わってます!」

獣人壱「どうだろうなあ?じゃあ何でお前らはそれを指摘されて焦ってんだ?」

獣人壱「協力が力を生むのなら、力強く引っ張る代表がいなくてもお前達だけでやっていけるだろ?何を焦る必要がある?」

獣人壱「……結局お前らは側近や女勇者についてって、奴らが織り成す平和についていってるだけなんだ!」

獣人壱「つまりだな……いくらお前ら雑魚をちまちま潰したって、今の状況はひっくり返らねえ」

獣人壱「でも、そういう引っ張るリーダーを潰しさえすれば、お前らは勝手に崩れてくれるんだよ!そうなりゃもう戦争派のもんだ!」
559:🎏 龍人「なぁ……俺もいるよ?」:2012/10/26(金) 21:51:56 ID:6xWpg1Pyas
ウィッチ「で、でもあんたなんかが側近様や女勇者を倒せるって言うの!?笑わせないでよ!」

獣人壱「倒す必要なんかねえよ。そのためのこのタイミングだ」

獣人壱「おい、お前ら。いますぐあの穴閉じろ」

ゴーレム「なっ!?あの穴にはまだ側近様方が……」

獣人壱「だからだよ!異世界に追いやってこの世界から弾いてしまえばいいんだよ!」

獣人壱「側近と女勇者さえいなければ、俺達戦争派にだって勝機はあるんだぜ!」

獣人壱「わざわざ弱体化してくれたゴーレム族に、自分じゃ行動も起こせねえ雑魚共ばっかだろ!何を恐れる必要がある!?」

獣人壱「それでも強さだけで言えば、勇者みたいに侮れねえ奴はいるが、それくらいなら手段を選ばなければどうとでもなる」

獣人壱「ほら、俺の言う通りにしねえとこの女が死ぬぞ!」

ハーピー「くっ……皆さん、私のことはいいです!この方の言う通りにしてはなりません!」

獣人壱「できねえんだよ、お嬢さん!こいつらが犠牲者を出す選択なんてなあ!」

獣人壱「なんたって、皆の命は大好きな前魔王様が守りたかった財産だからなあ!」

獣人壱「俺は何も側近達に死ねって言ってんじゃねえ。異世界に取り残されろってんだよ」

獣人壱「それともあれか?僕達には側近様達が必要だから、この女は見殺しにしよ〜ってか?」

獣人壱「本当に皆の命を大切にしたいなら、そんなことは選べねえよな〜?」

女戦士「くそっ……腐れ外道が……」
560:🎏 龍人「(´;ω;`)」:2012/10/26(金) 21:54:01 ID:6xWpg1Pyas
女僧侶「どうしましょう……」

勇者「前魔王がいれば何の問題もなかっただろうな。それに側近ならこの状況でも無事に人質を守りながら奴を倒す方法を思いつくかもしれん」

勇者「くっ……奴の言う通りだな。俺達が互いに手を取り合っても、前魔王や側近、女勇者のような頼れるリーダーがいなければ、何もできない……」

ウィッチ「そ、それってハーピーを見殺しにするってこと!?」

勇者「いや、彼女の命を軽視するわけにはいかない。この世界の誰しもが、大切な仲間なんだ」

勇者「……側近や女勇者がこの世界から消えるのは大きな痛手だが、だからって犠牲者を出すような真似はすべきじゃない」

勇者「……閉じよう。俺達は命を見捨てるわけにはいかない」

ゴーレム「……」

女戦士「だ、大丈夫だよ!私達には女僧侶もタンクもあるんだ!今はあの屑に従って、後々助け出せばいいんだよ!」

勇者(しかし、それでは頼れるリーダーを失う。統率のなくなるであろうこれからを考えれば戦争派の攻撃も激しくなるだろう)

勇者(そんな中でタンクを守りきり、魔力を溜めて再び異世界へ繋げることは可能だろうか)

勇者(本当に俺が今からやろうとしてることは正しいのだろうか……)
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