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魔王「何でイチャイチャちゅっちゅできないんだよ!」
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1:🎏 :2012/9/14(金) 23:05:11 ID:4.MWSg5KoU
書きたいことが出来たので、以前書いてたSSの続きを書かせていただきます。
お手数おかけして申し訳ございませんが、知らない方は前作から読んだ方がいいと思います。
一応貼っておきます。前作→http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1316008982/1-10

基本長いので携帯だと読めなくなる可能性があります。また、支援返レスを飛ばして読みたい方もいらっしゃると思います。
それらに該当する方は、本編とわけてまとめたので、こちらから読んでみてください。→>>981-984

注意事項は以上です。何卒よろしくお願い致します。


436:🎏 :2012/10/18(木) 22:54:17 ID:6xWpg1Pyas
ドラゴン「……あっ、ハーピーに女勇者。いらっしゃい」

女勇者「ドラゴン、久し振りー」

ドラゴン「女勇者……このご時世によく魔界に来れたね」

女勇者「ハーピーさんが助けてくれてね」

ハーピー「ドラゴンさん、側近は……」

ドラゴン「……相変わらずの職務放棄状態だよ」

女勇者「職務放棄?」

ドラゴン「ああ。魔王様を殺したのは自分だーとか、自分は器じゃないーとか言って、軽く引き籠り状態なんだよ」

女勇者(……私と一緒だ)

ドラゴン「側近様と龍人がいれば、魔界の暴徒制圧と魔王城死守を同時にできるから問題ないんだけどさ」

ドラゴン「今は側近様がこんな状態だからね。暴徒制圧の方に人員を割けないんだよ」

女勇者「……ドラゴンやゾンビが城守って、龍人が制圧に向かえばいいんじゃないの?」

ドラゴン「いや、俺らそんな強くないもん。機人族とか獣人族みたいな強い戦争派が攻めてきたら守りきれんよ」

女勇者「……意気地無し」

ドラゴン「ぐふっ!む、胸に突き刺さる御言葉……」

ハーピー「私も側近を一生懸命励ましてるんですが効果がなくて……女勇者さんも側近を励ましてください!お願いします!」

女勇者「……側近の部屋に案内して」
437:🎏 :2012/10/18(木) 22:56:23 ID:6xWpg1Pyas
ハーピー「側近、入るよ」ガチャッ

側近「……ハーピーか」

ハーピー「側近、横……座ってもいい?」

側近「いいよ」

ハーピー「ありがとう。座るね」

側近「……」

ハーピー「……ねえ、側近。世界が大変なことになってるよ。側近は頑張らなくていいの?」

側近「頑張っても仕方ないんだよ。俺に世界をどうこうする力はないからな」

ハーピー「私はそうは思わないよ。側近なら出来るよ!私も支えるから、一緒に頑張ってみようよ!」

ハーピー「新しい魔王になった側近の助けを信じて待ってる弱い種族の魔物もいっぱいいるよ!お願い、魔界を助けてあげて!」

側近「俺は魔王様のようなことはできない。魔王様にはなれない。魔王の器じゃないんだよ」

側近「魔界の魔物達が望んでるのは魔王様だろう。魔王様を越せない俺が頑張ったところで、そんな魔物達の助けにはなれないんだよ」

ハーピー「そんなことないよ!側近なら皆の力になれるよ!」

側近「いや、俺には出来ないよ」

女勇者「……ああもうめんどくさい!」ドアバーン

側近「っ!?」
438:🎏 :2012/10/18(木) 22:57:53 ID:6xWpg1Pyas
側近「……女勇者?」

ハーピー「女勇者さん……しばらく様子見をするのではなかったのですか?」

女勇者「そのつもりだったけど、ちょっともう言っちゃおうかなって思って」

女勇者「側近!……少し前まであんたと同じように塞ぎ込んでた私が言うのもあれなんだけどさ」

女勇者「いつまでうじうじしてんのよ!世界を助けるべく一緒に頑張るわよ!」

側近「女勇者、俺は……」

女勇者「魔王のようなことはできない!魔王にはなれない!魔王の器じゃない!当たり前でしょ!!」

側近「……っ!」

女勇者「魔王と比較しちゃったら皆駄目だよ!私だって器じゃないよ!でも、それでも頑張るの!」

女勇者「魔王と比べて……過程が違っても、時間がかかっても、一人じゃ出来なくても!それでも、魔王の描いた理想に近づくことはできる!」

女勇者「そのために、一人一人が頑張る必要があるのよ!そしてあんたも必要な一人なのよ!」

側近「俺なんかを必要としてる奴なんかいるのか?」

女勇者「いる!ここに既に二人いるし、世界に目を向ければもっとたくさんいるわよ!」

側近「……」
439:🎏 :2012/10/18(木) 23:01:10 ID:6xWpg1Pyas
女勇者「私ね、世界に平穏を取り戻すための作戦を考えたんだけど、私一人じゃどうしようもないのよ。器じゃないから」

女勇者「だから側近の力を借りに来たのよ」

側近「……その作戦というのは?」

女勇者「共存の街をやり直す!」

側近「共存の街を……」

女勇者「こないだのは魔道師が悪事に利用しただけだったけど、今度は私達で真剣に共存の街を造るの」

側近「それをして何になる?」

女勇者「……魔王が死んで、民はショックを受け、秩序が崩れた。そしてそれを機に戦争派の活動が活発になったわ」

女勇者「でもそれは、秩序だけのせいじゃない。魔王という強大な抑止力がなくなったことで、これなら勝てるかもって連中が思ったからよ」

女勇者「それらを共存の街で解決するの!」

女勇者「各地で争いが起き、別たれつつある人と魔物の心を、一緒に共存の街を造ることで繋ぐの!私達は敵じゃなくて、やっぱり味方なんだと再認識させるのよ!」

女勇者「共に未来を見据えて、共に行動できる……それは、とても素晴らしいことよ!絶望してる皆の心に活力を与えることができるわ!」

側近「確かに大きなことをやり遂げると達成感がある。それを共に達成することで仲間意識も芽生える。共存派の士気を高めるにはいいかもしれない」

側近「だが、それをわかってて見逃すほど戦争派は甘くないだろう。共存の街に戦力を集めてくると予想できる」

側近「それに合わせてこっちも共存の街に戦力を集めたら、手薄になった要所を攻められる可能性もある。そうして裏をかきはじめたらきりがないぞ」
440:🎏 :2012/10/18(木) 23:03:18 ID:6xWpg1Pyas
女勇者「そこで魔物の力を借りたいの!」

側近「魔物……」

女勇者「はっきり言うけど、戦闘力じゃ人間は魔物に勝てないわ。ほとんどの種族が脅威的な強さを持ってるでしょ」

女勇者「ハーピーさんから訊いたけど、魔物は種族ごとに集落をつくって過ごしているそうね」

女勇者「種族もばらばらで、もちろん価値観も色々あるわ。種族ごと戦争派っていうのもあれば、共存派だっているはずよ」

女勇者「側近には、強い共存派である魔物達をまとめてほしいの!種族の垣根を越えて活動すれば、きっと各界の要所も共存の街も守れるわ!」

女勇者「そして戦争派にわかってもらうの!たとえ魔王がいなくても、暴力で訴えかける限り私達には勝てないって!」

女勇者「人と魔物が協力し合って生まれる強さは、戦争派にとって脅威的な抑止力になる!」

側近「種族の垣根を越えて魔物をまとめる……そんなことが俺に出来るか?」

女勇者「出来る!」

側近「……じゃあ質問を変えるが、強さで戦争派を黙らせて何になる?戦争派の考えが変わらぬなら根本的な解決には繋がらない」

女勇者「……魔王ならきっとこう言うよ。考えを変える必要はない。それでいて共に生きていける方法を探そうって」

側近「っ!」

女勇者「暴力を用いないなら私達も戦争派と向き合える。言葉を交えることが出来る」

女勇者「平穏さえ取り戻せば、私達には時間がある。彼らの意見を尊重しながら共に生きる方法をゆっくり探して行けばいんだよ」

女勇者「それを私達ならできるんだよ。だから側近、ちっぽけな私に力を貸して!お願い!」
441:🎏 :2012/10/18(木) 23:05:10 ID:6xWpg1Pyas
側近「考えを変える必要はない、か。そうか、そうだよな……」

側近「……わかったよ。俺でよければ協力しよう」

女勇者「っ!」

ハーピー「側近……!」

側近「器じゃない……でも、そんな俺でも出来ることがあるんだな」

側近「こんな俺でも魔王様を支えてこれたんだ。なら……これからの世界を担う新しい力も、俺なら支えていけるかもしれない」

側近「魔王様のようになれなくても、それでいいんだ。俺は俺でいい、変わる必要はないんだ」

側近「……ありがとう、女勇者。何だか気が楽になった。長らく自分を見失っていたみたいだ」

側近「だけどもう大丈夫だ。魔王様に成り代わる等という出来もしない幻想にはもう惑わされない」

側近「俺は側近だ。俺は俺に出来ることで魔王様の遺志を継ごうと思う」

ハーピー「よかった……側近……!」ウルウル

側近「ただいま、ハーピー。ごめんな、いっぱい心配かけちゃったな」

ハーピー「ううん、大丈夫だよ。側近、これから一緒に頑張っていこうね!」

側近「……ああ!」
442:🎏 :2012/10/18(木) 23:07:25 ID:6xWpg1Pyas
女勇者「側近も復活したことだし、共存の街再生計画を始動しよう!」

女勇者「……でも、具体的にどうしたらいいんだろ?」

側近「俺は移動魔法で魔界の共存派に呼び掛ける。ハーピーは飛びまわって人間界の方で呼び掛けをしてくれ」

ハーピー「うん、わかった」

女勇者「……あれ?私は?」

側近「女勇者は共存の街で待ってて、やってきた賛同者に指示を出してくれ。移動に関する能力は俺やハーピーの方が勝ってるからな」

女勇者「側近は大丈夫だとして、今の御時世にハーピーさんを一人で活動させるのは危なくない?」

側近「大丈夫だろ。人間界の街は今、勇者達が守ってくれてるんだろう?問題ないさ」

側近「復興の作業のためには寝床や食料の確保も必要だな。女勇者、まずは作業環境を整えるよう活動してくれ」

側近「損傷の少ない建物もそこそこあるからそれを利用するのもいいが、限界はあるだろう。簡易的にでも居住スペースを造った方がいいかもな」

側近「移動魔法で送り迎えが出来るなら不安もないが、その場合は使い手の魔力が心配だ。魔法に精通した者が多く集まると助かるな」

側近「食料は魔界側がどうにかしよう。お飾りでも、一応今は俺が魔王だからな。どうにかしてみせるさ」

女勇者「……側近って本当に頼りになるね」

側近「そうか?」

女勇者「そうだよ。魔王が側近を頼ってたのも頷けるよ」
443:🎏 :2012/10/18(木) 23:10:34 ID:6xWpg1Pyas
女勇者「じゃあとりあえずはそんな感じで行動だね!」

側近「共存の街まで送ってやるよ。女勇者、俺に触れろ」

女勇者「うん、わかった」ピトッ

側近「それじゃ……ハーピー、よろしく頼むぞ」シュンッ

ハーピー「任せて!……行っちゃった。私も活動頑張ろう!」ガチャッ

龍人「うおっと!ハーピー、来てたんか」

ハーピー「あ、龍人さん、すみません!私、急いでるんで!」

龍人「急ぐって、何でだよ?」

ハーピー「側近に頼まれて、共存の街の復興を人間界で呼び掛けてくるんです!」

龍人「側近って……あいつ、復活したんか!長い間待たせやがって……で、俺はどうすればいい!?」

ハーピー「……すみません、特には聞いてません」

龍人「……マジで?」

ハーピー「側近は城の外で活動するみたいなので、龍人さんは城の警備を担当すればいいんじゃないでしょうか?」

龍人「……結局今まで通りかよ」

ハーピー「すみません……あの、それじゃ私、行きますね!」バッサバッサ

龍人「おう、気を付けてなぁ」

龍人「……なんかさあ、今作での俺の扱い、ずさんじゃねえか?」
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