2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
魔王「何でイチャイチャちゅっちゅできないんだよ!」
[8] -25 -50 

1:🎏 :2012/9/14(金) 23:05:11 ID:4.MWSg5KoU
書きたいことが出来たので、以前書いてたSSの続きを書かせていただきます。
お手数おかけして申し訳ございませんが、知らない方は前作から読んだ方がいいと思います。
一応貼っておきます。前作→http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1316008982/1-10

基本長いので携帯だと読めなくなる可能性があります。また、支援返レスを飛ばして読みたい方もいらっしゃると思います。
それらに該当する方は、本編とわけてまとめたので、こちらから読んでみてください。→>>981-984

注意事項は以上です。何卒よろしくお願い致します。


362:🎏 :2012/10/14(日) 22:23:45 ID:6xWpg1Pyas
側近「……まさか、この城に一人で帰ってくることになるなんてな」

スライム「すー……すー……」zzz

側近「おいコラ、寝るな。門番の意味がないだろ」

スライム「んんー?……うわあ、側近様!?ごめんなさい!」

側近「すぐに城内に戻れ。城の皆に説明しないといけないことがある」

スライム「え?あ、はい。わかりました。……あの、魔王様は?」

側近「……それを含めて説明する。いいから戻れ」

スライム「わ、わかりました……」
363:🎏 :2012/10/14(日) 22:24:43 ID:6xWpg1Pyas
龍人「おい、側近!どうなったんだよ、タイマンは!?何であの馬鹿がいないんだよ!?」

側近「急くなよ。今から説明するさ」

ゾンビ「……決闘は終わったんですか?」

側近「ああ、決闘は終わった。この世界は守られたんだ」

龍人「守られた?じゃあ勝ったってことだろ?何で馬鹿がいないんだよ?」

側近「……魔王様は、命と引き換えに敵を追い返したんだ。異世界に渡り、魔力を使いきって死んだ」

ドラゴン「……え?」

龍人「おい……てめえ、今なんつったよ?」

側近「……魔王様は死んだ。もうこの世界にはいない」

スライム「う……嘘ですよね?」

側近「本当だ」

ゾンビ「そんな……」

龍人「あの馬鹿野郎が!あいつのことだ、どうせ相手を殺さぬように戦ってたんだろ!それで自分が死んでどうすんだよ!」
364:🎏 :2012/10/14(日) 22:26:08 ID:6xWpg1Pyas
龍人「くそ……側近、新しい魔王はお前がなれ」

ドラゴン「龍人!魔王様が死んだってのに、そんな簡単に切り替えんのかよ!」

龍人「切り替えなきゃならねえだろ!めそめそしたって死人は帰らねえ!残った俺らで魔界をどうにかするしかねえんだよ!」

龍人「国のトップが不在のままじゃ、国は機能しねえし民の不安は増すばかりだろ!なら故人を想ってもたもたしてる暇はねえ!」

龍人「俺達が今しっかりしないと、あいつに合わせて魔界も死ぬぞ!俺達は今、あいつが残した平和な魔界を守るべきだろ!違うか!?」

ドラゴン「……いや、違わない。すまない、少し感情的になってた……」

龍人「……いいさ。俺だって正直内心は穏やかじゃねぇ。でもまあとにかく、そういうことだ」

側近「新たな魔王を早急に決めるのは賛成だが、俺が魔王職に就くのは適任ではない」

龍人「は?いやいや、お前以外に適任者なぞいねえだろが」

側近「実力は龍人の方が上なんだ。魔界の王はお前がなればいい」

龍人「ふざけてんじゃねえよ!そんなもんが今の魔界の指針じゃねえのは、てめえもよく知ってんだろ!」

龍人「自分で言うのも悲しいが……俺は戦闘馬鹿の無能なんだよ!とても魔物の上に立つ器じゃねえ!」

龍人「魔王ほどの男が死んで、その後釜をどうにか出来るのはお前だけなんだよ!」

側近「……出来ねえよ」

龍人「あ?」

側近「それほどの男を殺したのは、俺なんだぞ!」
365:🎏 :2012/10/14(日) 22:27:21 ID:6xWpg1Pyas
スライム「え?」

ゾンビ「どういう意味ですか?魔王様を殺したのは敵ではないのですか?」

側近「……龍人の言う通りだったんだよ。あんな奴の命や未来なんか思い遣らず、さっさと殺してしまえば魔王様は死ななかった!」

側近「戦闘は凄過ぎてよく見えなかったが……魔王様はところどころ止まってあいつに優しい言葉を投げかけていた」

側近「結局はそれが魔王様の死に繋がった!魔王様は敵の代わりに死んだようなもんなんだよ!」

龍人「それが何でお前が殺したことになるんだ?」

側近「魔王様は決戦の直前まで自身の在り方について悩んでいた。……そんな時に俺は背中を押してしまった」

側近「魔王様は優しく在ってくれって。魔王様のまま異界王を止めてくれって。それを馬鹿正直に守って……魔王様は死んだんだ!」

ドラゴン「そういうことですか……」

龍人「……てめえらしくねえな、側近。あの馬鹿が底なしに優しいのはお前が一番知ってることだろ?」

龍人「あの馬鹿なら、誰に後押しされることなく、遅かれ早かれそう言う結論に至ってたろうよ」

龍人「あれは魔王が選んだ生き方だし、魔王を殺したのは敵であってお前じゃない。それはお前が気にすることじゃない」

側近「それでも、あの時きっかけになったのは俺なんだぞ!魔王様を死に追いやって、女勇者にも怒鳴って当たって、最低なんだよ、俺は!器じゃないんだよ!」

龍人「ちっ……重症だなあ、こいつぁ」

ドラゴン「龍人……どうしよう?」

龍人「少し休ませたれや。おーいスライム、側近を自室まで連れてってやれ」

スライム「う、うん」
366:🎏 :2012/10/14(日) 22:28:42 ID:6xWpg1Pyas
ゾンビ「連れてったね……」

ドラゴン「側近様があそこまで取り乱すなんて……」

龍人「あいつは魔王のベストパートナーだったからな。俺たち以上にあの馬鹿の死は重いんだろう」

龍人「……ああやってあいつが取り乱してるから、こっちは冷静になれてるのかもな」

ドラゴン「龍人、次の魔王について側近様はああ言ってたけど……」

龍人「こっちの言い分を曲げる気はねえよ。次の魔王はあいつだ。俺とか論外だろ」

ゾンビ「でも、あの様子で魔王職が務まるのかな?」

龍人「側近クラスの人望があれば、いるだけでも違うさ。混乱の世に信頼できるシンボルがあるとないとじゃ全然違うぜ」

ゾンビ「龍人……本当に冷静だね」

龍人「側近が平常運転だったら、これ以上に冷静で知的に振る舞うさ。俺はまだまだだよ」

龍人「とにかく、次の魔王はあいつだ。それだけは間違いねえよ」

ドラゴン「そっか……じゃあ早速魔界全土に向けて発表する?」

龍人「いいや、ちょっと待て。内容が内容だからな、慎重になった方がいい」

龍人「発表した際の混乱に乗じて、潜んでる戦争派が行動に出るかもしれねえしな。タイミングは窺うべきだな」

ゾンビ「そのタイミングって、具体的にはいつ?」

龍人「……いつだろうな?よくわかんねえや」

龍人「とりあえず人間界の方にも相談してみっかな」
367:🎏 :2012/10/14(日) 22:30:02 ID:6xWpg1Pyas
龍人「っていうわけで俺が来たぜぇ」

兵「な、何しに来た!悪しき龍人族め!」シャキン

王「剣を収めよ!魔界からの客人に失礼であろう!」

龍人「あー、気にすんなよ、王様。俺が一年前にしたことを考えれば当然の反応だ」

王「しかし……龍人は改心し、今は世界平和に尽力しておるではないか」

龍人「人も魔物もそうやって簡単に割り切れたら争いなんて起こらなかったよ」

王「……すまぬ」

龍人「いいよ。気にしなさんな」

王「……ところで、側近はどうした?」

龍人「その前に……王様よ。おたくら人間は今の状況についてどれだけ知ってる?」

王「む?側近から話を聞いたのではないのか?」

龍人「は?いや、帰って早々はぶてて引き籠ったけど」

王「側近は我々のところに相談に来て、今後のことを共に決めたのだが……」

龍人「……聞いてねえなあ。あの野郎、ショック受けすぎで基本的な報告も忘れてやがったか……」

王「わしと話をした時は冷静だったのじゃが……」

龍人「強がりだろうな。魔王が死んで、あいつ相当ショックだったみたいだぜ」

王「そうか……では龍人に話をしておこう」
368:🎏 :2012/10/14(日) 22:31:46 ID:6xWpg1Pyas
龍人「……そういうことになってんのな。うん、それがベストだろうな」

龍人「魔王職は側近にやらせることになったよ。あんな状態だけど、いるだけでも違うからな」

龍人「そんで、勇者達の派遣はもう済んだのか?」

王「いや、もうしばらくかかりそうじゃ。悪いが、もうしばらく待ってくれんか?」

龍人「おうよ。別に構わねえさ」

王「しかし、側近がそのような状態になるとは……」

龍人「本当は、側近の口から民に知らせるのがベストだったんだろうな」

王「わしもそう思う。しかしその状態では……わしが伝えるか?」

王「いや、情けない話じゃが……わしには側近ほどの人望はない。わしが民の不安を拭えるだろうか……」

龍人「でも俺が言うわけにもいかねえだろ。俺は……一年前にやらかした大悪党だしな」

王「龍人は今では良い魔物ではないか!」

龍人「王様、言ったろ?俺達は簡単には割り切れない生き物なのさ」

龍人「そういうことだからよ、王様が伝えてくれ」

龍人「王様だって人間界を導く心優しい人なんだしよ、自信持っていけよ」

王「ふむ……」
369:🎏 :2012/10/14(日) 22:33:35 ID:6xWpg1Pyas
それから数日後、各勇者達から護衛の準備が整ったという連絡が入った。
その頃には世界中に、共存の街の住人が失踪したという噂や、新たな敵が出現したという噂が出回っていた。
その真偽もわからぬまま毎日を過ごし、民の不安もピークに達していた。
勇者の根回しは既に済んでいる。もうこれ以上だんまりを決め込むのは限界だと考えた王は、今こそ真実を伝える決意をした。
人間界に、魔界に、この世界の全ての者に向けて王は発表した。

共存の街の住人は魔道師の悪意に巻き込まれ死亡したこと。
異世界よりこの世界の破壊を目論む敵が現れたこと。
そんな敵を魔王が追い返してくれたこと。
そして、それに伴って魔王が死亡したこと。

王は全てを包み隠さず伝えた。それによって、世界の誰もが魔王の死を知るところとなった。
懸念した通り、この世界に平和をもたらした魔王の死は人々にショックを与え、瞬く間に混乱で満ちていった。
また、この機に世界情勢を変えんとして戦争派も活動的になり、各地で暴動が起き始めた。
事前に派遣しておいた勇者達が鎮静を図ったため大事には至らなかったが、これからの世界が荒れ始めるのを予感させるには十分な出来事だった。
743.01 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字