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魔王「何でイチャイチャちゅっちゅできないんだよ!」
[8] -25 -50 

1:🎏 :2012/9/14(金) 23:05:11 ID:4.MWSg5KoU
書きたいことが出来たので、以前書いてたSSの続きを書かせていただきます。
お手数おかけして申し訳ございませんが、知らない方は前作から読んだ方がいいと思います。
一応貼っておきます。前作→http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1316008982/1-10

基本長いので携帯だと読めなくなる可能性があります。また、支援返レスを飛ばして読みたい方もいらっしゃると思います。
それらに該当する方は、本編とわけてまとめたので、こちらから読んでみてください。→>>981-984

注意事項は以上です。何卒よろしくお願い致します。


306:🎏 1「地味に戦闘描写好きです」:2012/10/11(木) 23:08:11 ID:6xWpg1Pyas
かくして魔王と異界王の戦いは始まった。

異界王は、上に向けたその掌から魔力の球を多く放出させると、それらを次々と魔王に向けて発射した。
自らの魔力を放出し相手にぶつけて爆発させるだけという、攻撃魔法の中では基礎中の基礎と言える攻撃である。しかし、異界王の魔力の強さでは、それでも十分脅威的な攻撃となり得る。
異界王の放つ魔力の球の速度はすさまじい。普通の者は何が起きたかもわからないまま死ぬしかないだろう。だが魔王はそうではない。
異界王の攻撃の軌道をしっかりと把握すると、無数に向かってくる球の隙間を縫うように回避し、これを無傷で潜り抜けた。

「これを無傷かい!やっぱりやるねえ!」
「必死で避けてるからね!出来なきゃ困っちゃうよ!」
307:🎏 1「ただ、ちゃんと伝わってるかなって不安はあります」:2012/10/11(木) 23:09:22 ID:6xWpg1Pyas
避けられたというのに臆する様子はなく、むしろ嬉しそうにする異界王。
本当に心から魔王との戦闘を楽しんでいるようだった。
しかし、そんな異界王の歪んだ快楽には付き合えないと、ここで魔王も攻勢に打って出た。

「痛くても我慢してね……はあっ!」

気合いを入れると共に、こちらもその身から魔力を大量に放出した。
その放出した魔力を様々な魔法に変えていった。炎、風、氷……魔法をあまり覚えていない異界王に見せつけるかのように、豊富な攻撃魔法を惜しみなく披露していった。

「おお、すげえな!お前、あのじじいくらい魔法覚えてんのか?」
「流石に覚えてる魔法の数じゃおじいちゃんには勝てないだろうけど、戦闘用の魔法は大体極めてる……よ!」

言い切ると同時に魔王は炎系の攻撃魔法を異界王に向けて放った。
向かい来る巨大な炎の渦が、瞬く間に異界王の視界を占めていった。
308:🎏 :2012/10/11(木) 23:10:18 ID:6xWpg1Pyas
「こいつに巻き込まれたら、ウェルダンどころじゃ済まねえなあ!」

迫りくる炎を、真横に跳ぶように回避した異界王。直後に突き抜けていった熱風が、その炎魔法の威力を物語っていた。
かわされた炎の渦は、なおも異界王の横を真っすぐ進んでいる。その炎の軌道を変えるような突風が突然吹き荒れた。それによって真っすぐ進んでいた炎が方向を変えて再び異界王へと進み始める。
この突風の発生源は言うまでもなく魔王である。風系の攻撃魔法をうまく使用し、追跡型の炎魔法を作り上げたのである。

「器用なことしやがる……!」

これにより、異界王は引き続き炎を避ける作業に入らざるを得なくなった。
それでも炎に対してスピードで勝る異界王は、順調にそれを避け続けた。
309:🎏 :2012/10/11(木) 23:11:32 ID:6xWpg1Pyas
「おいおい、いつまでこれと鬼ごっこさせる気だ?スタミナ切れ狙いか?雑魚じゃあるまいし、んなことあるかよ!」

追ってくる炎を楽に避け続けている異界王の余裕の表れか、その最中にこんなことを言い出した。
しかし魔王はそれに応じない。淡々と風魔法を操って炎に異界王を追わせ続けた。

「……つれねえ野郎だ!」

反応を示さないので魔王は無視することにして、異界王は再び集中を炎に戻した。

(……恐ろしく正確に追ってくるな。更には、俺がイケメン弟に近づこうとも、うまい具合にその進路を塞いできやがる。避けるのは容易いが、反撃に出るのはかなり厳しい)

異界王はそのように考えていた。炎魔法で追いかけっこを挑みつつ、魔王自身への接近を許さない戦法から、これはスタミナ切れを狙う作戦だと異界王は分析していた。
だったら根比べといこうじゃないか。異界王はそう考え、このまま回避行動を続けることにした。しかし彼は、魔王の狙いがスタミナ切れなんかではないことを間もなく思い知ることになる。
突然、異界王の足が動かなくなってしまった。何事かと彼が足元に視線を移すと、地面から突如発生した氷によって膝から下が凍ってしまった両足が映った。
310:🎏 :2012/10/11(木) 23:12:31 ID:6xWpg1Pyas
そう、魔王の狙いは氷魔法を遠隔的に発動することで、異界王を固めて身動きを封じることにあった。
異界王は実力者である。炎魔法で追いかけられても、警戒はそれに限らず周囲にも向けられていた。
そのような状態で、足元に奇襲を仕掛けても、対応されてそれすらも避けられていただろう。
そこで、狙いを誤解させるように炎を動かし、足元への注意をなくしてしまおうと考えたのだ。
難なく避け続けられる炎に、長期戦を挑んでいると思わせる動きを図った。その結果、気だるい長丁場を予想した異界王の気の緩みを誘い、警戒心が薄まる瞬間を生み出した。
そしてその瞬間を逃すことなく氷魔法を発動。異界王は氷魔法によってその場に繋ぎとめられることとなった。
動きを封じている氷がとけるのを防ぐためか、魔王は即座に炎魔法を消した。代わりに、動けなくなった異界王を目掛けて自身が向かっていった。
311:🎏 :2012/10/11(木) 23:13:55 ID:6xWpg1Pyas
移動出来ない以上、異界王は回避行動を取れない。襲い来るであろう魔王の強烈な攻撃に備えるため、前腕を重ねるようにして防御を図った。
しかし、そんな異界王の予想とは裏腹に、その腕に痛みが走ることはなかった。近づくだけ近づいて、魔王は次のような言葉を投げかけたのだ。

「……これで俺はいつでもお前を倒せるよ。わかったら降参してよ」

魔王は異界王に降伏するよう呼び掛けたのである。これは予想外だったらしく、異界王は呆気にとられていた。
そんな異界王に構うことなく、魔王は更に言葉を連ねた。

「移動を封じたからさ、俺はもうお前をサンドバッグに出来るわけじゃん?たぶん勝ち目はもうないだろうし降参してほしいんだよ」
「今のお前だったら……俺は炎魔法で上手に焼けました〜って出来るし、水魔法でウォーターカッターみたいにズシャーッ!とも出来るわけだよ」
「とにかく、あらゆる手でお前を殺せるんだよ。そんなことは俺したくないし……だからもう俺の勝ちってことにしてよ!ほら、早くしないと凍傷で足が大変なことなっちゃうよ!」
312:🎏 :2012/10/11(木) 23:15:00 ID:6xWpg1Pyas
それは優しい魔王らしい相手を思いやった提案だった。しかし、異界王からしたら舐めた提案であり、それによって彼は怒りに満ちたのだった。

「そんなくだらんこと言う暇があったら、俺を楽しませろってんだよ!」

そう叫ぶと同時に、渾身の力で地面の氷を殴った。
その威力は凄まじく、直接殴った個所はもちろん、そこから振動が伝わって氷全域が砕けていった。
そしてそれは異界王を縛る膝下の氷も砕けたことを意味しており、彼は機動力を取り戻した。
思わぬ脱出劇に驚きを隠せない魔王。しかし即座に戦闘モードに戻ると、今度は大ダメージで行動を封じようと、ほぼゼロ距離から魔力を放出した。
だが、一瞬の隙がこの勝負には大きな意味を持つのは氷魔法の件でも明らかで、一瞬でも驚いて隙を作ったがために、異界王はその攻撃の回避に成功した。
313:🎏 :2012/10/11(木) 23:16:00 ID:6xWpg1Pyas
魔王の魔力放出による攻撃を回避した異界王だが、距離はそれほど取ってはなかった。
先ほどの攻撃魔法による攻防では、魔法の種類や技術差から、苦戦は必至だと考えたのである。
勝機を見出せるとすれば、肉体勝負の接近戦だと考えた。故に大きく距離はとらず、そのまま接近して打撃に転じた。
無駄のないコンパクトなフォームから放たれたボディブローが、魔王の腹部へと吸い込まれていく。

「捉えたぁ!!悶絶必至!!」

等と吠えるほど、異界王本人の感覚では会心の一撃だったようである。
しかし魔王の表情に変わりなく、それどころか笑みを浮かべていた異界王の顔が徐々に歪んでいった。

「……いって〜!お、お前の体どうなってんだよ!?」
「残念、硬化魔法をかけてたんだよね。打撃は効かないよ!」

魔王は硬化魔法で防御対策をしていた。鋼鉄と化した肉体に拳を打ち付けた結果、逆に異界王が手を痛めたのだ。
314:🎏 :2012/10/11(木) 23:17:02 ID:6xWpg1Pyas
「更にはこんなことも出来るんだよ!」

そう言って魔王は右ストレートを繰り出した。
強烈なパンチが自らの頬にぶつかる前に、左腕で防御を図った異界王。目論見通り、その右ストレートが顔に当たることはなかった。
しかし、ガードしたその腕には激痛が走った。

「うぐっ……!」
「右の拳だけを硬化して殴ってみました。……あ、ごめん。大丈夫?」

本来防御としてしか用途のないこの硬化魔法を、体の一部にだけかけるという高度な技術で攻撃に運用した、魔王の強烈な一撃だった。
ただでさえ強烈な魔王のパンチに加えて、鋼鉄のグローブを付けているようなものである。ガードの上から大ダメージを与えるには申し分ない代物である。
315:🎏 :2012/10/11(木) 23:17:54 ID:6xWpg1Pyas
この硬化魔法によって、接近戦においても魔王に隙はなかった。
この優勢を以て魔王は再び降参を呼び掛ける。

「もういいでしょ!お前に勝ち目はないって!ランブルボクシングみたいになる前に降参して!」

しかし、異界王はそれに応じることをしない。

「冗談言うなよ!俺の負ける時ってのは、俺が死ぬ時だけだぜ!」

そう言うと、魔王に向かって頭から突進してきた。
それを確認して自らに硬化魔法をかける魔王。鋼鉄と化した体、その胸元あたりに異界王は頭突きをぶちかました。
魔王にダメージはない。相変わらずダメージを負ったのは異界王だけだが、それでも彼は怯まない。
魔王の胸元に額をつけたままでいると、そのまま前かがみの姿勢になり、腹部への猛ラッシュを開始した。
316:🎏 :2012/10/11(木) 23:19:15 ID:6xWpg1Pyas
「おらららららららぁ!!」

叫び続けるその間、一瞬たりとも休むことなく両腕を動かし続け、無数のボディアッパーを打ち付けた。

「無駄だよ!硬化魔法かけた体に打撃は通用しない!」

魔王の言う通り、その猛攻撃でもダメージは通らなかった。ただただ異界王の拳に痛みが溜まっていく。しかし、それでもそれをやめる気配はない。
自棄になった末の無謀な攻撃と思われたその戦法だが、長らく続けたことでついに変化が訪れるのだった。

「……っ!?」

硬化魔法をかけた魔王の体に、執拗な連打によってひびが入ったのである。
魔王の魔力によって極限までに硬化されたその体に傷が出来たのは初めてのことで、慌てた魔王は魔法を解除して距離を取った。
普通の体に戻ると、ひび割れた部分は傷になり代わり、衣服がじわじわと鮮血に染まり始めた。

「……お、怪我負ってんじゃん。打撃効かないとか勝ち目ないとか言ってなかったかあ?」
「……ごめんね、訂正しないといけないっぽい」
317:🎏 :2012/10/11(木) 23:20:36 ID:6xWpg1Pyas
硬化魔法を破られたことで、魔王はそれを使うことをやめることにした。生身のまま接近戦にもつれ込み、防御や回避で全ての攻撃を無効化しようと考えた。
一方、接近戦は望むところの異界王。魔王の身体能力は十分理解しているが、それでもいつかは捉えてみせると再び猛攻撃を開始した。

二人の戦闘力には確かな差がある。
純粋に戦闘力で判断すれば、魔王がかねてより言っているように異界王に勝ち目はない。
しかし、ここまではいい勝負となっている。戦闘力差があるにもかかわらず互角の展開になった原因として、覚悟の差が大きい。
覚悟の強さは変わらない。しかし、二人の目的は全然違う。
魔王は、自分らしく戦いぬいて、異界王を変えようとしている。言いかえれば、絶対に異界王を殺さない覚悟でいる。
一方、異界王はこの死闘を勝ち抜いて、魔王を壊そうと考えている。この戦闘で魔王を殺すつもりでいるのだ。
殺さないように戦う魔王と、形振り構わず殺そうとする異界王。二人の戦闘に対する姿勢の差が、戦闘力差を埋めつつあった。
前日戦った際に魔王の戦闘力に怖気づいた異界王の姿はもうどこにもない。臆することなく戦う異界王がこの戦闘を支配し始めていた。
318:🎏 :2012/10/11(木) 23:21:40 ID:6xWpg1Pyas
「……くっ、強い……」
「どうした、イケメン弟!このまま俺が勝っちまうぞ!」

怒涛の猛攻撃を捌くしかない魔王。それを続けることで確かに消耗してしまっていた。
スタミナの話ではない。腹部に負った傷からの出血が止まらず、戦いが長引くにつれてドンドン弱まっていたのだ。
回復魔法を用いれば傷は治すこともできるが、そのような隙を異界王は与えてくれなかった。
そうして魔王の衣服は赤く染まっていく。それでも猛攻撃を捌くために動き続けなくてはならない。ますます出血が多くなる。
そんな中、あまりに血を流しすぎたのか、一瞬だけ意識が遠のいてしまった。
そしてそれは、一瞬でも無防備の時間を作ってしまったことを意味する。

「貰ったぁ!!」
「……えっ?」

次の瞬間、異界王の放った手刀突きが、魔王の腹部の傷口をえぐり、その体を貫いた。
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