書きたいことが出来たので、以前書いてたSSの続きを書かせていただきます。
お手数おかけして申し訳ございませんが、知らない方は前作から読んだ方がいいと思います。
一応貼っておきます。前作→http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1316008982/1-10
基本長いので携帯だと読めなくなる可能性があります。また、支援返レスを飛ばして読みたい方もいらっしゃると思います。
それらに該当する方は、本編とわけてまとめたので、こちらから読んでみてください。→>>981-984
注意事項は以上です。何卒よろしくお願い致します。
271:🎏 1:2012/10/9(火) 22:34:05 ID:6xWpg1Pyas
魔法学の街に戻った魔王達は宿で眠りについた。
深夜に突然現れた異世界からの脅威。それとの戦闘によって一同は心身共に疲れていた。
そのせいか深い眠りについてしまい、一同が目覚めた時には既に昼頃になっていた。
その頃には既に共存の街の事件のことが広まっていたようだ。共存の街の連中が消え、世界を滅ぼさんとする新たな敵が出現したことを人々は既に知っていた。
街は、世界は、強烈なる悪意の存在を知り、底知れぬ不安にざわめいていた。
側近「寝過ごしてしまいましたね……」
魔王「街の様子が騒がしいね……共存の街の件がもう噂になってんだろうね」
女勇者「ここ一年は平和ボケしてたからね。魔王を脅かす敵が現れたんだから、不安にもなるよね」
魔王「……女勇者ちゃん、大丈夫?」
女勇者「うん、休んだらだいぶ落ち着いたよ。昨日はごめんね……私のせいで」
魔王「……女勇者ちゃんのせいじゃないよ。悪いのはあいつだよ」
側近「……女戦士達はもう起きてるのか?」
女勇者「私、様子を見に行ってくるよ」
272:🎏 1:2012/10/9(火) 22:35:06 ID:6xWpg1Pyas
女戦士「おはよーっす」
女僧侶「おはようございます、皆さん。すみません、寝過ごしてしまいましたね……」
側近「気にするな。皆一緒だ」
側近「それよりも、さっそく今後について話すとしよう」
女戦士「そうだよ。そろそろマジで説明してくれよ。あいつ一体誰なんだよ?戦争派の連中とかどうなってんだよ?」
側近「……そうだな。まずはそこからか」
それから側近は昨夜のことを女勇者達に説明した。
魔道師は実は異世界の王族で、その世界に戻るために悪だくみをしていたこと。
その悪だくみに戦争派の人や魔物が利用され、命を落とす結果になったこと。
その異世界へ繋がる穴を作ったら、そこから現在の異世界の王が現れたこと。
そいつがそのまま魔道師を殺し、更にはそのままこの世界を潰そうとしたこと。
それを阻止する過程で魔王の戦闘力を気に入り、改めてタイマン勝負で決着をつけることになったこと……全てを話した。
273:🎏 1:2012/10/9(火) 22:36:36 ID:6xWpg1Pyas
女僧侶「……そのような展開になってたんですね」
女戦士「それで、魔王は素直にあの戦闘狂とタイマン勝負するのかよ?」
側近「どうなんですか?魔王様」
魔王「……するよ。あいつを止められるのは、たぶん俺だけだと思うし」
側近「そうですね。どちらにせよ、俺達の実力では邪魔にしかなりませんからね」
女勇者「……そうだね」
魔王「……邪魔だなんて思ってないよ。俺が頑張れるのは皆がいるからだもん」
魔王「それに得意不得意があるのは当たり前だよ。戦闘力は俺が一番なんだから、今回は俺が適任でしょ。……ただそれだけのことだよ」
側近「……では、その決戦の時に備えて体を休めたり戦う準備をしたりした方がいいですね」
魔王「そうだね……」
女勇者「……魔王!」
魔王「……何?女勇者ちゃん」
女勇者「私……信じてるから!あいつから、この世界を守ってくれるって信じてるから!」
魔王「……任せてよ。絶対に女勇者ちゃんを守ってみせるから」
274:🎏 1:2012/10/9(火) 22:38:00 ID:6xWpg1Pyas
側近「よし、話はついたな」
側近「悪いが女子達はちょっと部屋出てくんねえか?魔王様にもいろいろ準備があるからよ」
魔王「側近……?」
女僧侶「私達が退出しなければならない準備があるんですか?」
側近「うん、まあ……それに魔王様って女性好きだろ?皆がいると緊張しちゃって休めやしねえよ」
女戦士「ああ、そういうこと。言われてみりゃそうかもなwww」
女勇者「そっか……わかった。じゃあ私達は……街の人達に説明しておこうか」
女僧侶「そうですね。街の方々も、悪意ある強敵が現れた、くらいの状況しか把握できてませんしね」
女戦士「じゃあ私達は魔王がどうにかすっから安心しとけやって言いふらしてくるわ」
女魔法使い「……」バイバイ
側近「……全員行ったか」
魔王「側近?どうして皆を部屋から出したの?」
275:🎏 1:2012/10/9(火) 22:39:23 ID:6xWpg1Pyas
側近「……魔王様。もう我慢しなくていいんですよ」
魔王「っ!……何のこと?俺、何も我慢してないよ」
側近「異界王との戦闘後、明らかに元気がなくなってるじゃないですか」
側近「魔王様が落胆する何かがあった。でも、愛しの女勇者の前でかっこわるい姿は見せられないからって我慢してたのでしょう?」
側近「魔王様がそんな落ち込んでる状態じゃ、こっちも安心して嫌がらせできないんですよ」
魔王「……」
側近「……何を気にしてるか当てて見せましょうか?」
側近「魔王様は恐らく……魔道師の企みを阻止できず、戦争派の皆や魔道師を死なせてしまったのを悔やんでいるのでしょう」
魔王「っ!!」
魔王「……うぅ」ジワッ
魔王「ううぅ……うああぁ……!」ポロポロ
魔王「あああああああ!!」ポロポロ
276:🎏 1:2012/10/9(火) 22:40:52 ID:6xWpg1Pyas
魔王「側近!俺……皆を守ってあげられなかった……!」ポロポロ
魔王「俺がもっと早くおじいちゃんの企みを見破ってたら、強引にでも止めていたら……こんなことにはならなかったかもしれないのに!」ポロポロ
側近「……結果論ですが、確かに強行策に出て証拠もない段階から魔道師を捕らえておけば、戦争派は死なずに済んだかもしれません」
魔王「戦争派の皆だって……互いに憎んでいた人と魔物で、手を取り合ったんだ!だったら、この世界でも居場所はあったかもしれないのに!」ポロポロ
魔王「生きてたら、皆でそれを探すことだって出来たかもしれないのに……俺が守れなかったから……!」ポロポロ
側近「戦争派は……共存世界を、魔王様を打ち倒すべく協力し合ったのですよ?」
魔王「それでも手は取り合えたんだ!何かの理由で手を取り合えるのなら、他にも道はあったかもしれないのに!」ポロポロ
魔王「俺のせいで……!俺が甘かったから……!」ポロポロ
側近「……やっぱり魔王様は優しい御方ですね」
側近「自分のことは後に回して、この世界の一人一人を想える、底なしに優しい御方ですよ」
277:🎏 1:2012/10/9(火) 22:42:47 ID:6xWpg1Pyas
側近「ですが魔王様。優しいだけでは誰かを救うことはできません」
側近「逆に、優しすぎるからこそ、救えなくなってしまう時だってあります。今回がそうでしょう」
魔王「……」エグッエグッ
側近「魔王様の優しさは異常です。誰かの想いを尊重しすぎては、誰かの悪意を止めることができなくなる場合があります」
側近「ですが……そんな魔王様の優しさが、今のこの世界を作り上げたのも事実です」
側近「魔王様の優しさがあったからこそ、俺は、女勇者達は、龍人は……世界の多くの者達は今なお笑顔でいられるのです」
側近「悔やむなとは言いません。ですが、あまり自分を責めないでください」
側近「あなたのおかげで多くの者が救われました。この世界には、あなたを慕う者が多く存在します」
側近「あなたの優しさが原因で失敗しても、俺達は決して見捨てません。共に悲しみ、共に苦しみ、それでも共に前を向きます」
側近「それに……死んだ戦争派だって、ここまで想ってもらえれば、きっと安らかに逝けますよ」
側近「俺はこういうのあまり信じてませんが……戦争派が生まれ変わった時に今度こそ幸せに生きていけるよう、今こそこの世界の平和を確たる物にしなければなりません」
側近「そのために、今は落ち込んでいる場合ではないのです。魔王様だからこそ出来ることを、俺達や死んでいった者達のためにやらなくてはならないのです」
側近「魔王様の優しさは、決して間違いではありません。俺達はどんな時でも優しい魔王様を支え続けます」
側近「ですので、魔王様は魔王様のまま、異界王を止めてください。お願い致します」
278:🎏 1:2012/10/9(火) 22:44:52 ID:6xWpg1Pyas
魔王「……側近、ありがとう」グスッ
魔王「正直、戦争派の皆のことはへこんだ」
魔王「それに、おじいちゃんの言葉もかなりショックだった」
魔王「綺麗事並べるだけじゃ王族なんて出来ないって……そんな綺麗事のために戦争派の皆を死なせちゃったのかなーって思ったら悲しくなっちゃって」
魔王「俺なんかが魔王やってていいのかなって落ち込んだんだよね」
魔王「でも……側近がそう言ってくれて救われた。俺は……俺のままでもいいのかな?」
側近「当たり前ですよ。俺達は、魔王様だからこそ支持してるんですよ」
魔王「そっか……ありがとう。うん、俺はこれからも俺のまま世界を平和にしていくことにするよ」
側近「納得したんならその泣き顔どうにかしてください。グロ映像長々と見せつけられてこっちは不快なんですよ」
魔王「そんなに酷い顔してんの、俺!?それ知らされちゃったら、俺もう泣くに泣けないよ!」
側近「……ふふ、魔王様はそれでいいんですよ」
魔王「優しいモードの側近が終わってしもうた……複雑な心境だよ、俺は」
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