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3センチメンタル・ヤング・ピーポー【2】
[8] -25 -50 

1: ◆UTA.....5w:2012/7/31(火) 17:25:45 ID:N3rkjbtVuM


高校生の馬鹿馬鹿しくて、

ちょっぴりセンチメンタルな

青春グラフィティ───続行。


【前スレ目次】
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1327757079/993-995

【登場人物】
>>2-3

【当スレ目次】
>>768-769


381: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 22:47:50 ID:Jrfetqurxk

──オカマ喫茶


清瀬「あ、あれ?いつの間にかメイドさんが殆んど居てはらへん……」

鈴木「本当だ、執事タイムだね」

清瀬「執事さんタイム……!」キラキラ

鈴木(……清瀬、何だか楽しそう)


女子A「お嬢様のお帰りでーす!」

執事軍団「お帰りなさいませ、お嬢様!」

??「お嬢様だなんて年じゃないのに……困ったわね……」


鈴木「……あ、」

清瀬「?」クルッ

清瀬「あ、あの女の人……!」


382: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 22:51:01 ID:.SoJTZsdJo

鈴木「……篠原くんのお母さん」

篠母「あら、お友達……?貴方達、何処かで会ったかしら」

清瀬「あ、えっと……」

鈴木「はい。まあ、一応」

女子B「お嬢様方、お知り合いでしたら相席になさいますか?」

篠母「……いいのかしら」

鈴木「構いませんよ。どうぞ」

篠母「ありがとう、お邪魔します」

清瀬(なんか前の印象とちゃうような……)

女子B「えっと、ご注文がお決まりになりましたらお呼び下さいませ」

篠母「あ、この子と同じものにしようかしら」

鈴木「……オレンジの黄金汁」ボソ

篠母「黄金……汁?」


383: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 22:53:51 ID:Jrfetqurxk

──────‐‥


鈴木「よかったんですか、萌え萌えビームしてもらわなくて」

篠母「ごめんなさい、おばさんよく分からなくて。してもらった方がよかったのかしら」

鈴木「美味しく召し上がる為の魔法ですから。もしかしたら、息子さんがしてくれたかも」

篠母「ふふ、それなら頼めばよかったわね」

清瀬「……」ジー

篠母「?」ニコ

清瀬(あわわ、見過ぎてしもたっ……///)バッ

篠母「可愛らしいお友達ね。ええと、ごめんなさい、何さんでしたっけ」

清瀬「き、清瀬、です」

篠母「そう、清瀬さん!ごめんなさいね、歳を取ると物忘れが凄くて……」

鈴木「……でも、息子の事は忘れたりしない」

篠母「え?」


384: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:04:18 ID:.SoJTZsdJo

清瀬「す、鈴木さん……!」

鈴木「双子でも、よく似ていても、間違えたりなんてしない」

鈴木「母親って、そういうものでしょう」

篠母「……」


 ズンズンズン…


鈴木「……?」

清瀬「ほえ?何の音やろか?」


\ ジャカジャーン! /


桃山「皆さーん!お待ちかね、メイドショーの時間よー!」

清瀬「この声は、桃さ……」

篠原「イェーイ!」バッ

清瀬「ひいっ……!?」


385: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:06:11 ID:Jrfetqurxk

ジャンジャカ ジャンジャカ♪


橘「全てのご主人様とお嬢様に愛のトッピング、」スッ

橘「行くぞ!」


\ モエモエビィィィィム! /(野郎共)


篠原「メイド達の燃えるような愛、ご主人様に届けー!」バッ

鳴海「よっしゃ行くぜー!」バッ


鈴木「おお……凄く回ってるね、あの二人」

清瀬「なんでブレイクダンス……って、アカン!パンツ見えとるがな!」

鈴木「清瀬、落ち着いて」

篠母「……」


386: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:10:55 ID:Jrfetqurxk

 キャーキャー ワハハハ…


篠母「学校が凄く楽しいって、皆と居ると凄く楽しいって、あの子言ってたの」

篠母「私にも、会わせてやりたいって……」

鈴木「……」

清瀬「……」

篠母「貴方達も、あの子が言っていた“皆”の内の一人なのね」

篠母「……その様子だともう、あの子に何か聞いたかしら」

清瀬「はい、中学生の頃の、事……」

篠母「そう。聞いているのね」


387: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:16:49 ID:.SoJTZsdJo

篠母「薬を飲んでしまうとね、頭がぼんやりしてしまうの」

篠母「こんなものに頼ってはいけない、私がしっかりしなくてどうするの!」

篠母「頭では分かっているのに、手の震えが止まらない。手を合わせてやる事も出来ない……」

篠母「私は駄目な母親なの。辛そうな顔して笑うあの子を見ていると、ハルが帰ってきたのだと錯覚してしまう」

鈴木「辛そうな、顔……」

篠母「お兄ちゃんだったからかしら、ハルは笑顔を絶やさない子だった。どんな時もね」

篠母「だけど、時には本当の笑顔じゃない時もあったのよ。無理して笑ってる時は眉毛が下がるの」

篠母「ふふ、分かりやすいでしょう?」

清瀬(お母さんには分かってはったんや……お兄さんの嘘……)


388: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:17:32 ID:Jrfetqurxk

女子A「はーい!ご主人様、お嬢様、メイドショーは楽しんで頂けたでしょうか?」


\ イェーイ! /


女子B「それでは、華麗なダンスを魅せてくれたメイド達をご紹介させて頂きます!」

女子C「我らが師匠、乙女男子桃ちゃーん!」

桃山「ラブ☆ドッキュン」キャピッ

女子A「日頃の女装趣味が功を奏した!鳴海ー!」

鳴海「おい止めろ」

女子B「黒髪ロングの知的眼鏡様……って、こんな台詞カンペになかったよ橘くん!?」

橘「ククク、俺様の美貌に酔い痴れるがい──」

女子C「はーい!お次はメイド姿は残念系、イケメン篠原ー!」

篠原「えへへ、ありがとー」

橘「おい、俺がまだ喋ってる途中だったろうが!」

女子A「はいはい、変態メガネのミニスカメイドはスルーで次行くよー」

篠原「あははは!」


389: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:18:23 ID:.SoJTZsdJo

 アハハ アハハハ…


篠母「ハルが居なくなって、まともに家で会話もしなくなっていたのに……今朝、珍しく声を掛けてきてね」

──────

篠原『今日、文化祭なんだ』

篠原『……頑張ってくるね!』

──────

篠母「教室の前まで来て、来てもよかったのか少し迷っていたんだけど……」

鈴木(……やっぱり、さっき廊下をうろうろしてたのは篠原くんのお母さんだったんだ)

篠母「来てよかった。あの子のお友達にも挨拶出来たし、何より──」

篠母「何より、あの子の笑顔が見れた」ニコリ

清瀬「!」

篠母「あの子、あんな風に笑うのね。もう数年間もあんな顔見せた事なかった……」


390: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:27:49 ID:Jrfetqurxk

篠母「ごめんなさいね、おばさん喋り過ぎちゃった」

篠母「お相手してくれてありがとう、これからも仲良くしてあげてね」

鈴木「もう帰られるんですか?皆着替えてホール業務に戻るそうですよ」

篠母「ええ……あの子には黙っていて頂戴ね。こんな母親に来られても恥ずかしいだろうから」

清瀬「そ、そんな事、ないですっ」

清瀬「し、篠原くんはお母さんの事、大好きやと思います。少なくとも、うちはそう感じました」

清瀬「お兄さんの事も……ずっと自分を責めて……」ポロ

清瀬「大切な人の、一番にって……篠原くんは……」ポロポロ

篠母「……」

清瀬「か、関係ないもんが偉そうな口聞いてすみません!でも、でも、篠原の気持ちを、し、知ってほしくて……」ゴシゴシ


391: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:29:34 ID:Jrfetqurxk

篠母「あの子はハルと違って不器用な子だから心配だったけど、」

篠母「……そんなもの必要なかったのね。こんなに想ってくれるお友達が居るんだもの」

篠母「あの子は前に進んでる。おばさんも、置いてかれないようにしなくっちゃね」

鈴木「きっと大丈夫です、二人なら」

篠母「そうかしら……そうだといいわね」

鈴木「お母さんの笑った顔、篠原くんとよく似てる」

篠母「ふふ、ありがとう」

清瀬「あ、あの……あの、一つだけいいですか?」

篠母「はい。何かしら」

清瀬「お母さんも篠原くんの事……大好きですよね……?」


392: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:35:38 ID:Jrfetqurxk

 ガラガラ

野郎共「ただいま戻りましたわよー!」


鈴木「……あ、帰ってきた」

桃山「ピヨちゃーん!鈴木ちゃーん!来てくれたのねー!」

清瀬「桃さん……み、皆さんもお疲れ様でした」

橘「どうだ、俺の本気のメイド姿は」

橘「黒髪ロングの眼鏡っ娘、そしてニーハイソックス……萌えというものが何たるかを二次元で研究した成果だ!」

鈴木「お疲れ様、どう見ても変態だけど」

鳴海「あはははっ!ほら見ろ!カツラ被った変態メガネだっつったろ!」ゲラゲラ

桃山「この子ったら自然の美で勝負する!って聞かないのよ。少しくらいメイクすればいいのに」


393: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:38:05 ID:Jrfetqurxk

桃山「ところで、そちらの女性は……」ハッ

橘「む……?」

鳴海「あ?何だ……」ハッ

清瀬(……ちょっと、気付くん遅くないやろか)

篠母「初めまして、こんにちは。息子がいつもお世話になってます」

篠原「……来てたんだ」

篠母「ごめんね、すぐに帰るつもりだったんだけど」

篠原「……」

鈴木「私が引き止めてたの。ごめんなさい」

篠原「……っ、やだなー、謝んなくていいよー」

篠原「俺、もう逃げないって決めたんだ。だから来てくれて嬉しいよ」

篠母「……」

篠原「母さん、これが俺の友達。俺の大切な、大好きな友達だよ」


394: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:40:22 ID:.SoJTZsdJo

篠母「……さっきの質問、答えそびれてたわね」

清瀬「?」

篠母「時間は誰にでも平等に流れていて、足踏みしているつもりでも少しずつ前に進んでいるものなの」

篠母「忘れてしまいたくなくても、少しずつ薄れていく……触れた肌の温もりも、擦れた寝呆け声も、何もかも」

篠母「ハルだけ置いて、私達だけ先に行くのが嫌だった。ハルの声や笑顔を思い出そうとしても、日に日に霞んでいく自分が許せなかった」

篠母「心の中で生きているなんて嘘。どれだけ呼んでも応えてくれない。思い出そうとしても、もうはっきりと見えない」

篠母「ハルは死んだ。もう居ない。頭では分かっているのに、求めずにはいられなかった……」

清瀬「……」ポロ


395: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:43:51 ID:.SoJTZsdJo

篠母「ハルを失ったのは私だけじゃないのに、それを息子に求めるだなんてどうかしてた」

篠母「貴方も、私の大切なたった一人の子なのにね」

篠母「大好きよ、アキ。世界中の何よりも、ハルとアキはお母さんの一番の宝物なの」

篠原「……っ」

篠原「母、さ……」ポロポロ

橘「……」ズビ

桃山「やだ、アンタ泣いてんの?」ズビビ

橘「違う。素肌を晒してる所為で体が冷えただけだ」

鳴海「お前らうるせーよ……黙ってろ馬鹿……」ボタボタ

鈴木「皆、ティッシュあげるから使いな」

清瀬(鈴木さんが男前すぎる……!)チーン


396: ◆UTA.....5w:2012/11/1(木) 23:46:17 ID:Jrfetqurxk

──────‐‥


篠母「じゃあ、お母さん先に帰ってるね」

篠原「うん」

篠母「お邪魔してごめんなさい。皆さん、楽しんでね」

桃山「篠くんのお母さんとお話出来たなんて幸せ……!」

鳴海「クネクネすんなよ気持ち悪い」

橘「これだからオカマは」

鈴木「君達人の事言えないでしょう、そんな格好で」

篠母「ふふ、本当に楽しい子達なのね」

清瀬「は、はい!皆さん優しくて、友達思いな人ばかりです!」

篠母「……ところで、この学校にはそういう趣味の子が多いのかしら」

一同「えっ」

篠母「やだ、違うの?勘違いしてごめんなさい。全員女の子だったのね」

一同「えっ!?」


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