高校生の馬鹿馬鹿しくて、
ちょっぴりセンチメンタルな
青春グラフィティ───続行。
【前スレ目次】
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch3/1327757079/993-995
【登場人物】
>>2-3
【当スレ目次】
>>768-769
208: ◆UTA.....5w:2012/9/12(水) 18:38:53 ID:BbOSS5NaII
鈴木「電気、点いてるね」
清瀬「う、うん」
鈴木「行こう、清瀬」
清瀬「……?なんか、えらい静かやけど……」
鈴木「でも、声がする」
***
桃山「なぁに?突然真剣な顔しちゃってー」
篠原「似てないんだよ、全然。だってそうでしょ、全く別の人間なんだから」
鳴海「……なあ、帰ろって」
篠原「俺が運動が得意であいつが苦手で、ピーマンが好きで椎茸が嫌いでも、全然変じゃないでしょ」
橘「……」
篠原「俺達は全然似てなくて、好みも合わなくて、それって全然普通じゃん。なのに、なのに、さ……」
鳴海「なあ、」
篠原「……ハルは、俺の双子のお兄ちゃんだよ」
209: ◆UTA.....5w:2012/9/12(水) 18:41:30 ID:oFv7A/p8jo
桃山「も、もうっ、いきなり何なのよー。誰の話をしてるの?」
篠原「あの日、俺の母さんが言ってたの皆聞いてたでしょ?」
桃山「……」
篠原「ハルは俺の双子の兄で、もう何処にもいない」
鳴海「……もういいから、帰るぞ」
篠原「鳴海、待って。聞いてほしいんだ。俺が──」
ガラガラ
鳴海「!」
篠原「──ハルは、俺が殺したんだ」
210: ◆UTA.....5w:2012/9/12(水) 18:42:55 ID:oFv7A/p8jo
鳴海「お前ら、なんで此処に……」
鈴木「……」
清瀬「あ……その、えっと……」
桃山「ピヨちゃん……」
清瀬「ふ、フランクフルト……そう、フランクフルトの試食しとって、皆さんにお裾分け、に……」
清瀬「ごめんなさい、うち……!」
篠原「いいんだ、もう」
篠原「ごめんね、清瀬さん。俺、清瀬さんに酷い事言った」
清瀬「……っ」フルフル
篠原「橘、言ったよね。無理するなって。それでいいって」
橘「……ああ、言ったな」
篠原「本当に無理してるのは、俺じゃなくて皆だよ」
211: ◆UTA.....5w:2012/9/12(水) 18:45:22 ID:oFv7A/p8jo
篠原「皆がいつも通りにしてくれるから、俺、甘えてて……」
篠原「“今まで通り”でいてくれたから、俺……」
橘「篠原……」
篠原「何もなかったみたいにしようとしたけど、出来なかった。だから清瀬さんの事も遠ざけた」
篠原「……知りたいって、言ってくれたから」
清瀬「……」
篠原「誰かに吐き出したくなる自分と、隠し通したい自分が居て。きっと皆に嫌われる……でも、皆だったらって、グルグル考えてたら、しんどくなっちゃってさ」
篠原「上手く、笑えないんだ」
篠原「……聞いてくれるかな、俺の話。それで俺の事嫌いになっても、構わないから」
篠原「俺と、ハルの事──皆に話しておきたいんだ」
212: ◆UTA.....5w:2012/9/12(水) 18:48:40 ID:oFv7A/p8jo
>>196-211
これにて投下終了します。
遂に200レス突破しました。正直長過ぎると自分でも思う程ですが、漸く終わりが見えてきたかな、という感じです。
といっても、まだ終われないのですが……orz
それでは、読んで下さった皆さんに最大級のありがとうを!
213: 名無しさん@読者の声:2012/9/12(水) 21:41:27 ID:eLc6FT1KrU
久々に来たらああああああうあああああああああああああ…ちょーいいとこで続くうううううう!!
篠くんの自分語り…期待C!!
>>1先生\モエモエビーム/(※)
※『またね〜』と言っておりますww
214: 名無しさん@読者の声:2012/9/13(木) 00:15:25 ID:UDxLybdXmg
なんだよおおお続き気になるじゃないかよおおお
この>>1なんて焦らし上手なんだっ
とりま200突破おめでとうございます
CCCCC
215: 名無しさん@読者の声:2012/9/13(木) 13:17:12 ID:/IhMfoo1SM
うん、すごく話は気になるけどまったりと待っとくよ。
支援支援
216: 名無しさん@読者の声:2012/9/13(木) 20:07:04 ID:K10GU5Lrdo
うわぁぁぁ!超気になる!超気になる!
一時間毎に見に来てるのは自分だけじゃないはず!
つCCCCCCCCCCCC
217: 名無しさん@読者の声:2012/9/13(木) 20:36:28 ID:JrojPTr4RQ
>>216 ナカーマ
ちゃんと投下終了宣言してくれてるからわかってるのに何度もスレ開いて読み返してるわw
次は篠原の憂鬱か?気になりすぎてそわそわする!
スペシャル支援!
っCCCCCCCC
218: 名無しさん@読者の声:2012/9/15(土) 09:07:02 ID:zFkWfYhEvQ
200突破おめ(^O^)
続きwktk
鈴木△
CCCC
219: 名無しさん@読者の声:2012/9/15(土) 16:19:26 ID:Dg6rMT18X.
うわぁぁぁぁぁ篠くんんんん(´;ω;`)
これからも楽しみにしてます!!
全力で支援!!
>>195
194のものですー(*´∇`*)
ちなみに77ですwwすごく前でしたねΣ(ノд<)
220: 名無しさん@読者の声:2012/9/16(日) 01:07:35 ID:gR2kpF6x4k
お目でとおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
221: 名無しさん@読者の声:2012/9/16(日) 08:48:18 ID:wa6Mts80oY
めっちゃくちゃ気になります!!
CCCC
つコーヒー牛乳
222: ◆UTA.....5w:2012/9/18(火) 23:22:11 ID:Lv8yngrSi6
>>213
久々に来て下さったのに随分と間を空けてしまって申し訳ございません……!
213さん\ モエモエビィィィム! /
※物凄く感謝しているようです。
>>214
焦らしておいてなかなか投下せず、申し訳ない気持ちで一杯です。
続きを気にして頂けて嬉しいです!
>>215
まったりして頂きすぎて……orz
少しでもペースを上げられるように精進します!
>>216
一時間毎ですと!?
うわわわ、216さんの時間をどれ程無駄にしてしまった事でしょう。それでもそんなに気に掛けて頂けて、とても幸せです。
>>217
何度も読み返して頂けるなんて、これ程嬉しい事はないです……!
お察しの通り、やっと篠原のセンチメンタルに突入です。暇潰し程度に覗いて頂ければ幸いです。
>>218
ありがとうございます!これもこうして支援を下さる皆さん、読んで下さっている皆さんのお陰です。
鈴木はクールと思わせて案外脳内お花畑ですよw
>>219
わー、勘違いしてしまって申し訳ございません!154さんと77さんの事を同じ方だと思ってしまっていました……orz
改めまして77さんありがとうございます。そんなにも前から見守っていて下さって嬉しいです!
>>220
ありがとうございますうううううう!テンションおかしくなりそうですわっしょいわっしょい!!!
>>221
そのコーヒー牛乳は私が頂きますね!例えメガネ宛てだったとしても221さんのコーヒー牛乳は渡さん!
支援感謝です。投下します。
223: ◆UTA.....5w:2012/9/18(火) 23:26:00 ID:9GU9MSkZro
春。冷たい雪が溶けて、植物は芽吹き、生物は目を覚ます。
世界中に色を塗る、暖かい季節。
一足早く光を浴びた赤ん坊は、その名の如く温もりに包まれた春のような男の子だった。
──ハル。
世界でたった一人の、俺の双子のお兄ちゃん。
【篠原少年の憂鬱】
224: ◆UTA.....5w:2012/9/18(火) 23:27:27 ID:Lv8yngrSi6
「もう、アキったら。そんなに急がなくったっていいじゃない」
紺色のプリーツスカートを風に揺らしながら、ナツは溜め息混じりに洩らした。
「だって俺、日直なんだよ?ナツ達はゆっくり来たらいいじゃん」
首だけ振り返ってそう言うと、
「アキってば冷たい。別に遅刻する訳じゃあるまいし……」
ナツは不満げに唇を尖らせて、ぶつぶつと独りごちる。
わざわざ一緒に登校しなくても、と内心思いながらも歩を緩めるあたり、俺も万更でもないんだろうけど。
すっかりナツのペースに合わされた俺の歩幅に満足気に笑みを浮かべるナツと、少し遅れて後に続くもう一人。
「見て、赤い葉っぱ見付けたよ。もうすっかりアキの季節だねー」
へらり、間抜けな笑顔で語尾を伸ばしながら、ハルは道端に落ちていた葉っぱに手を伸ばした。
225: ◆UTA.....5w:2012/9/18(火) 23:34:15 ID:9GU9MSkZro
「もー……そんなのいいから。ばっちいですよ、ハルくん」
「汚なくないよー。ほら見てよアキ、綺麗な色してる。俺、秋って好きなんだよね」
「それはどうも。そんな事より俺、日直だから早く行きたいんだけど……」
「あ、あきって言うのは季節の秋の事で、アキじゃなくて秋の事が……あれ?なんかこんがらがっちゃった」
はーあ、とあからさまな態度で長めの溜め息を吐いてみせると、ハルは笑顔のままで首を傾けた。
ふんわり柔らかい、お月様のような優しい笑顔。これがハルの最大の武器である。
大抵の人はこんなにも屈託のない笑顔を向けられれば、小さい事はどうでもよくなるんじゃないかと俺は思う。
いつもより早く家を出なきゃいけない日直は、決してどうでもよくはないけれど。
口煩いお向かいさんのナツとのんびり屋のハル、そして俺。
小学生の時から俺達三人にとっては、これがお決まりの登校風景で当たり前の日常だった。
226: ◆UTA.....5w:2012/9/18(火) 23:44:23 ID:Lv8yngrSi6
「明日も日直らしいじゃん、アキちゃん」
ふふん、と鼻を鳴らして、廊下から窓越しにナツが笑う。
「……誰の所為でだと思ってんの」
放課後の教室で一人、日誌を放って突っ伏したまま返すと、ナツはどっと声を上げてお腹を抱えた。
朝からマイペースな二人に付き合ったお陰で、担任の先生から食らったアンコール。
部活があるからと相方の日直さんにはそそくさと逃げられ、一人虚しく日誌を書く。
一体、これの何処が面白いと言うのか。
「明日は置いてくからね。綺麗な葉っぱがあっても可愛い猫が居ても、二人の事置いてくから」
じと、とナツを睨み付けてから、まだ何も手を付けていない日誌を開く。
「別にいいよ、ハルと二人で行くもんね」
気にも止めない様子で、ナツがふいと外方を向いた。
227: ◆UTA.....5w:2012/9/18(火) 23:53:09 ID:Lv8yngrSi6
ちくり、と胸に何かが刺さったような痛みが走る。
シャーペンを握る手が僅かに震えるのを感じて、俺はそっとその手を離した。
「アキは男の子の字だね。ハルは綺麗な字書くのに」
いつの間にか教室に入っていたナツが、前の席に後ろ向きで腰掛ける。
日誌を覗き込んだナツの、シャンプーの香りが俺の鼻先をふわりと掠めた。
「双子なのに、全然違うね」
日誌に書かれた“篠原”の文字を指でなぞりながら、ナツは言う。
当たり前だという俺の反論に適当に相槌を打つと、まじまじと俺の顔を覗き込んだ。
「本当にそっくりだよね、顔だけは」
「ナツ……?」
様子がおかしい事にはすぐに気が付いた。ナツの瞳がうるうると揺れている。
「ナツ、何かあったの?」
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