高校生の馬鹿馬鹿しくて、
ちょっぴりセンチメンタルな
青春グラフィティ───開幕。
※登場人物が増える予定の為、名前を付けています。
219: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 22:25:13 ID:LVNZjJhq3A
「全然見ていなかったのは、お互い様だったのね。私達、ずっと上辺だけで付き合ってた」
「ごめん……」
梅川さんが首を横に振る。
「謝らないで。私だって、桃山くんに好かれたくて本当の自分を隠してたもの」
梅川さんは僕に背を向け、夕日に向かってゆったりと歩み始めた。
220: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 22:35:38 ID:LVNZjJhq3A
──少しずつ、少しずつ、僕と梅川さんの距離が広がってゆく。
「私、碧葉女子に行くつもりなの。此処から少し遠いけれど、きっと楽しい高校生活が送れると思うわ。桃山くんは?」
──二人の心のように、少しずつ。
「…双羽高校、かな」
「桃山くんも遠いんだね。私と逆方向。知らなかった」
ふふ、と笑って、梅川さんの足が止まる。振り返った彼女の表情がくしゃりと歪んでいるように見えたけれど、その背後から照らす夕日が眩しくて直視出来ない。
221: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 22:48:29 ID:LVNZjJhq3A
「ねぇ、桃山くん。私達、付き合っていたと言えるか分からないけれど──」
222: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 22:52:50 ID:LVNZjJhq3A
────‐‥
キィ、キィ、と僕を乗せたブランコが、苦しそうな音を立てて揺れる。
すっかり日が沈んだ公園に人の気配はない。野良猫や虫なんかを除けば、今、此処に居るのは恐らく僕だけだろう。
「……っふ、くぅう…ッ」
僅かな電灯と月明かりに照らされながら、僕は泣いた。どういう感情から来るものなのか、僕にも分からない。
それでも、溢れ出る涙を制御出来ない程に、僕は噎び泣いていた。
──別れましょう。
そう言った梅川さんの笑顔が、脳裏に焼き付いているようだった。
223: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 22:58:34 ID:LVNZjJhq3A
僕は振られたのだ。約半年間付き合ってきた彼女に、やはり理解する事は出来ないと、別れを告げられた。
しかし、それは決して嫌味なものではなかったように思う。
僕も彼女も“本当の部分”を見せ合う事なく、上辺で恋人同士を演じていただけにすぎなかったのだから。
では、僕は彼女の事が好きではなかったのか。その質問に関しては、答えはきっとNOだ。
224: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 22:59:47 ID:Ga85pR.zOs
だって、こんなにも涙が止まらない。
「う、うぅ…っぐ、ぅ……」
こんなにも、胸が痛い。
上辺だったのかもしれない。本当に想い合ってはいなかったのかもしれない。
それでも、きっと。
きっと、僕は恋をしていた。
僕は、恋をしていたんだ。
桃山少年、十五歳──失恋の、秋である。
225: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 23:03:15 ID:LVNZjJhq3A
***
春。出会いと別れの季節。
僕は高校生になった。
新しい出会いに胸を膨らませ、門の中へと足を踏み入れる。
「…少しくらい、本当の自分を出してもいいわよね」
まだ見ぬ僕の友達よ、君達は僕を受け入れてくれるだろうか。
ありのままの、この僕を──
桃山少年の憂鬱‐fin.
226: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 23:04:32 ID:Ga85pR.zOs
これにて投下終了します。
次からは通常営業です。
喜んで下さった皆さんに感謝です!
227: ◆UTA.....5w:2012/2/17(金) 23:11:23 ID:LVNZjJhq3A
>>226
×喜んで
○読んで
どんなミスしてるんだろう…
本当にすみません。
228: 名無しさん@読者の声:2012/2/18(土) 14:03:39 ID:Pk7W0e/gB.
喜んでるよ(´∀`)っC
ドジっ子かわゆすwww
229: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 20:55:59 ID:qQQzqfVdfw
>>228
喜んで頂けて嬉しいですw
可愛いドジっ子になりたいものです。切実に。
支援感謝です。投下します。
230: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 20:57:24 ID:qQQzqfVdfw
桃山「>>159-164 >>168-176 >>180-186 >>192-199 >>203-212 >>216-225…という訳なのよ」
橘「長い。三行で」
鳴海「オカマは
女装が
趣味だった」
篠原「メ
イ
ド」
橘「よかろう」
桃山「よくないわよ。それじゃあ読んでない人に伝わらないでしょ」
鳴海「読んでない人って何だよ」
桃山「こっちの話よ」
231: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 21:00:07 ID:9gYoXiEfsA
橘「姉のふりをして女装をしていたら癖になってしまった。つまり、こういう事だろうが」
桃山「う…まぁ、簡潔に言えばそうね」
篠原「これも忘れちゃ駄目だよ!桃ちゃんには梅川さんっていう彼女が居た!」
鳴海「メイドのコスプレしてるとこ見られて振られたってのもな」ニヤニヤ
桃山「この子達相手に真剣に語るんじゃなかった」
232: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 21:08:32 ID:qQQzqfVdfw
桃山「ところで、アンタ達親御さんには連絡入れたの?」
篠原「メール送っといた!」
橘「心配すんな。抜かりない」
鳴海「あー、してねぇや。一応しとくかな」
鳴海「……携帯の充電切れてら。お前ん家の電話借りていい?」
桃山「リビングにあるわよ」
鳴海「りょーかーい。借りてくる」
233: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 21:16:05 ID:qQQzqfVdfw
橘「………」そわそわ
橘「やっぱりもう一度電話掛けてくる」
篠原「あれ、何処行くの?」
橘「外。家族との会話をお前らに聞かれてたまるか」
篠原「…行っちゃった。照れ屋さんだね」クスクス
桃山「」
篠原「桃ちゃん?鼻血出てるよ?」
桃山(篠くんと二人きり…メガネとチビGJ…!)ボタボタ
234: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 21:18:57 ID:9gYoXiEfsA
──リビング
鳴海「あのーすんません。電話借りてもいいですか?」
桃姉「ああ、弟の友人の内の一人の背の低い子か。構わないよ」
鳴海「長いわ!」
鳴海「(ついツッコミ入れちまった…)鳴海っすよ、俺の名前」
桃姉「鳴海。了解した」
鳴海(…ロボットみたいな奴だな)
235: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 21:28:52 ID:9gYoXiEfsA
『ただ今、電話に出る事が出来ません。ピッという発信音の後に──』
鳴海「……やっぱ出ねぇな。留守電入れとくか」
鳴海「あー…今日、帰りませんので。宜しくデス」
ガチャ
桃姉「……鳴海、」
桃姉「あれだけで、構わないのか」
236: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 21:40:21 ID:qQQzqfVdfw
鳴海「え?…ああ、大丈夫っす。両親共働きであんま家居ねぇし」
桃姉「そうか」
桃姉「……」
鳴海「何すか…?」
桃姉「ああ、いや…弟は、学校で上手くやっているのだろうか」
237: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 21:47:14 ID:9gYoXiEfsA
──桃山の部屋
篠原「桃ちゃん、落ち着いた?」
桃山「はあはあ…ごめんなさい、つい興奮しちゃって」
篠原「……ねぇ、桃ちゃん?」
桃山「なぁに?」
篠原「しんどくないの?自分を演じる、って」
桃山「……」
238: ◆UTA.....5w:2012/2/18(土) 21:57:58 ID:qQQzqfVdfw
桃山「うーん、そうねぇ…。しんどいわね。でも、」
篠原「でも…?」
桃山「篠くん達と居ると、毎日が凄く楽しいのよ」ニコ
桃山「クラスの皆も、気持ち悪がらずに接してくれる。これって、凄く幸せな事だと思わない?」
篠原「…じゃあ、これからもずっとそうしてくつもりなの?」
篠原「“学校での自分”と“家での自分”を演じ続けるの?」
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