男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」
住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。
辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。
灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。
男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」
散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。
507: ◆b.qRGRPvDc:2012/1/6(金) 18:30:44 ID:jsJ4QOAmCk
>>504
支援と加速、ありがとうございます!しかし掲示板に入れない時間が何時間も続くという…(´ω`;)
優柔不断な私のお尻を叩いて頂く、というのも含めて無理矢理な語呂合わせで行きました!笑って頂けて光栄です(笑)
>>505
ありがとうございます!ありがとうございます!正直、誰も安価踏んでくれなかったらどうしようかと不安になったりしていたので、凄く嬉しいです(*´・ω・`*)
私としてはハッピーエンドのつもりなのですが、505さんの納得のいく終わらせ方が出来るかどうか…高らかに2でゴーゴー!
>>506
支援ありがとうございます!
ノエルの幸せを願って頂ける事が、既に幸せだと思っています。幸せな奴です、ノエルめ(`・ω・´)
上でも言った通り、ハッピーエンドのつもりです。が、皆さんにとってもハッピーエンドだと思って頂けるといいな…(*´・ω・`*)
508: 名無しさん@読者の声:2012/1/6(金) 18:53:26 ID:xhhM9QiWvs
支援!
弟もお姉ちゃんも幸せになってほしい!
509: ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 15:42:46 ID:GLdkpQmdpQ
>>508
支援ありがとうございます!
姉弟の幸せを願って下さる方がいらっしゃるとは…感無量です。皆それぞれ、今となっては愛着が沸いてしまいました。
皆さんがこうして各々の幸せを願って下さり、少しでも後味のいい終わらせ方をしたいと考えた結果、>>503に至ったわけであります(`・ω・´)
もう、本当に本当にありがとうございます!書いててよかった…!構成も練り直したので、ラストに向かってゴーゴーあるのみ!
それでは、長くなってしまいましたが>>502の続きです。
510: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 15:48:40 ID:GLdkpQmdpQ
弟「それって、姉ちゃんの事?」
どうして、とノエルの瞳は大きく揺れた。何かを悟ったような弟の表情は、先程までの幼さは感じられない。
弟「夢で見たんだ。ノエルが姉ちゃんを連れて行く夢……ノエルは一体、何なの?姉ちゃんを何処へ連れて行くの?」
弟の瞳に悲しみの色が宿る。ああ、もう駄目だとノエルの眉が下がった。
やはり、関わってはいけなかったのだ。幼い少年を巻き込むには、あまりに酷な話だ。何故、彼と出会ってしまったのだろう。
──何故、こんなにも胸が苦しいのだろう。
ノエル「…もう、君に隠す必要はないね」
511: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 16:04:45 ID:GLdkpQmdpQ
震える喉を堪えながら、ノエルは重い口を開いた。自分というものの在り方、その存在の意味。
まだ子供の弟に理解が出来るとは到底思えなかったが、それでもノエルは語り続けた。
めぐのように、誰かの心に刻み込む事ができるのなら。
それが許されるのならば、私は──
弟はもう、以前のように笑い掛けてはくれないのだろう。それでも、ノエルに立ち止まる事は許されない。
胸の内を吐き出す度に、支えていた何かが軽くなるのを感じた。喪失感にも似たそれは、ノエルの心を軽くすると共に大きな風穴を開けてゆく。
512: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 16:36:05 ID:2BGOPg1qkI
ノエル「──これで分かったろう。私達は関わるべきでは、なかったんだ」
今更嘆いても、もう遅い。頭を垂らすノエルの鈴が、チリリと小さく音を鳴らした。
ノエル「君と共に在りたいだなんて、願ってはいけなかった。私は君とは違う。それなのに…」
ノエルが背負った罪は、こんなにも重くて辛い。解放される事を望んでも、救いの手は未だ差し伸べられる事はなかった。
513: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 16:53:24 ID:2BGOPg1qkI
ひとしきり黙って話を聞いていた弟が口を開いた。
弟「何だかノエル、天使みたいだね。それとも死神?僕、そういうの見た事ないんだけど、浮いたりしないんだね」
無邪気に笑いながら言う弟に、ノエルは呆気にとられた。
いや、これが普通の反応なのかもしれない。こんな馬鹿げた与太話のようなものを、理解出来たとて信じる方がどうかしている。
しかし、弟のその笑顔はノエルの胸をきつくきつく締め付けた。
514: CCC:2012/1/7(土) 16:56:31 ID:Au6HIlLMLw
リアルタイム遭遇記念!
スルーしていいからねm(_ _)m
大好きです(;∀;)
515: ⊃C⊂ムギュッ ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 17:12:07 ID:GLdkpQmdpQ
ノエル「信じられないかもしれないけれど、私はもう、君に嘘は吐きたくないんだ……」
そう言ったきり黙り込んだノエルの手を、再び弟の両手が優しく包み込んだ。
弟「信じるよ…。僕、学校の帰りに見たんだ。血だらけの猫の死体と、それに話し掛けるノエル。誰にも見えてないみたいだったけど、猫が光ってた」
弟の手の中で、ノエルの右手がピクリと動く。囁くように自分の名を呼ぶ声に顔を上げると、弟は柔らかく微笑んでいた。
そして、またノエルに言う。抱き締めるような優しい声で、信じてるよ、と。
516: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 17:47:38 ID:GLdkpQmdpQ
ノエル「……連れて行くなと言わないんだね、お姉さんの事を」
そう言ったノエルに向かって、弟は思いがけず首を傾げた。
弟「どうして?姉ちゃんが死ぬのは病気の所為じゃないか。ノエルが姉ちゃんを殺すわけじゃないでしょ?それに──」
しかし、その表情は瞬く間に崩れ落ち、悲しみに濡れた。力をなくした両手はいとも容易くノエルを手放して、ぶらりとだらしなく垂れ下がった。
弟「それに……そうしなきゃ、ノエルは消えちゃうんでしょ…?」
517: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 18:18:57 ID:GLdkpQmdpQ
ノエルは息を呑んで弟を見つめた。
──泣いている。
大声で泣き喚くわけでも、声を殺して啜り泣くわけでもなく、弟の瞳からは、ただただ涙が溢れ出ていた。
弟「言えないよ……姉ちゃんもノエルも、僕の大切な人なんだ。二人共大好きだよ。これ以上、何を言えばいいの…!」
キラキラと、硝子玉のように透明に輝く雫に、吸い寄せられるように手を伸ばす。
初めて見る、自分に向けて流される涙の美しさ。これ程までに暖かく、眩しい輝きをノエルは知らない。
518: ◆b.qRGRPvDc:2012/1/7(土) 18:27:18 ID:GLdkpQmdpQ
今回は此処までとさせて頂きます。
>>514
支援ありがとうございます!
スルーなんて出来るわけがない!大好きだと言って頂けて、凄く凄くとても大変めっちゃ超凄く嬉しいです(´;ω;`)
めぐ「いただき!」⊃C⊂ギュッ
弟「ありがとう」⊃C⊂ギュッ
ノエル「…」⊃C⊂ギュッ
519: 名無しさん@読者の声:2012/1/7(土) 20:56:32 ID:IldJR.WcpI
切ないのう(´;ω;)
めぐに っ愛
ノエルにも っ愛
1さんには っCCC
520: 505:2012/1/7(土) 22:42:13 ID:udzvBynfb.
ゴールまで突っ走れ!!
めぐへ
っ愛
元祖男へ
っめぐ
ノエルへ
っ幸せ
1へ
っCCCCCCCCCCCCC
521: ◆b.qRGRPvDc:2012/1/9(月) 21:03:03 ID:VXXsBaixik
>>519
支援ありがとうございます!
切なくなって頂けるなんて凄く凄く嬉しいです。今回の番外編は自分なりに切なさを詰め込んだので、一番の褒め言葉(*`・ω・´*)
めぐ「わーい!ありがとー!」⊃愛⊂ ムギュムギュ
ノエル「私に…?……ありがとう」⊃愛⊂ キュ
1「キェェェェ!嬉じい゙い゙い゙」⊃C⊂ ギュウゥゥ
>>520
支援ありがとうございます!
505さんだったのですね!貴方が導いて下さったゴールが近付いてきました。突っ走ります!ゴーゴー!
めぐ「ぽかぽかするー」⊃愛⊂ ムギュムギュ
元祖男「ぬおおおめぐうううう!ぺろぺろもぐもぐ」⊃めぐ⊂ ハァハァ
ノエル「君は優しい子だね」⊃幸せ⊂ キュ
1「キェェェェ!キェェェェ!ゴーゴー!」⊃C⊂ ギュウゥゥ
番外編でのランキング入り、とても嬉しくて泣いてしまいそうでした。読んで下さっている方、支援して下さっている方、投票して下さっている方、本当にありがとうございます!ありがとうでは足りないくらい、私の胸はいっぱいです。
それから、雑談スレで話題になっていた件です。私のSSにも嬉しい事に支援を下さる方がいらっしゃるので、他人事ではないと認識しました。
私は皆さん一人一人にレスを返したい、という気持ちでいます。素直にただ嬉しくて、纏めて「ありがとう」というだけでは私の気が済まないというのが殆どの理由です。ですが、不快に思われる方もいらっしゃるのを知り、その理由にとても納得させられました。
もう少しで完結となりますが、支援や支援レスで画面が埋まるような事にはならないように、また、それ(支援レスetc)が気にならないくらい皆さんに入り込んで頂けるように頑張りたいと思います!
今作に限らず、また書く機会があれば次回作も、これを肝に銘じて精進したいと思います。
長々と申し訳ありません。
>>517からの続きです。
522: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/9(月) 21:11:42 ID:VXXsBaixik
弟の涙は頬を伝い落ち、ノエルの指先で弾ける。暖かい雫を指先で受け止めて、ノエルは満たされてゆくような、不思議な感覚に捕われていた。
言葉にならない、不思議な感覚。
ノエル「泣かないでおくれ…」
そう言うのがやっとだった。
ノエルの右手が弟の柔らかい頬に触れる。弟は照れ臭そうに身を捩ると、ノエルがしたように右手を伸ばし、頬に触れた。涙に濡れた顔で、それでもノエルに微笑み掛ける。
弟「……ノエルこそ」
523: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/9(月) 21:32:57 ID:ABTOoL.Ipw
弟は一体、何を言っているのだろう。ノエルは訝しげに眉を寄せて首を傾げた。
弟の親指が、ノエルの頬を優しく撫でる。それはまるで、流れる涙を拭うように。
ノエル「私、が…?泣いていると言うのかい」
自身の頬に触れるノエルの手が震えた。指先に触れた暖かい何かが、ノエルの頬を濡らしている。
ノエル「涙……私の、涙……」
524: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/9(月) 22:01:56 ID:VXXsBaixik
ノエルの心の奥底で、ポトリ、ポトリと雫が零れ落ちては波紋を描く。幾重にも重なって流れる波は身体中に広がり、ノエルの全てを包み込んでいった。
───満たされる。
その感覚に支配されたノエルの瞳は大きく揺れて、留まる事を知らない。
失ったものを取り戻す感覚。心が、全てが洗い流される。何かが弾けて溢れ出すようであり、穏やかに流れる川のようでもある。言い様のない感覚がノエルを包み込む。
満たされる。満たされてゆく。
ノエルの瞳から、涙が溢れて止まらない。
525: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/9(月) 22:29:22 ID:ABTOoL.Ipw
ノエル「こんなものを失くしていたのかい、私は。……こんなにも、身近にあったものを」
弟「ノエル?どうしたの?」
心配そうに、上目遣いで弟が訊ねる。
ノエル「…さっき、君は言ってくれたね。私もお姉さんも、大好きだと」
ノエルは震える唇で弧を描くと、弟にふんわり抱き付いた。
526: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2012/1/9(月) 22:55:16 ID:ABTOoL.Ipw
ノエル「私も君が好きだ。君も、君のお姉さんも……大好きだ」
自分とそう変わらない、まだ少年の細い肩をノエルは強く抱き締めた。弟を、その温もりを求めるように、強く、強く。
弟「な、何?ノエル、苦しいよ」
そうだ、苦しいのだ。満たされる体が、心が、こんなにも苦しいと叫んでいる。
ノエル「君も、君のお姉さんも沢山の人に愛されている。君達をずっと見てきて、よく分かったよ」
ノエルの中の迷いが、確かな決意へと変わってゆく。きっと、それはノエルがずっと持っていた思い。後悔の念など、ありはしなかった。
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