男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」
住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。
辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。
灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。
男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」
散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。
367: ◆b.qRGRPvDc:2011/12/9(金) 00:18:32 ID:w/b1EyjZ5M
今日は此処までとさせて頂きます。
余談ですが、夕焼け小焼けのメロディは全国的に放送されているみたいですね。地域によって時間帯にばらつきはあるようですが、夏期は凡そ17時、冬期は16時頃から流れるそうです。
私の住む地域も夕方になると何処からともなく夕焼け小焼けが流れてきます。何となく、胸が締め付けられるような切なさを感じる私ですw
私が言いたかったのはそんな事ではなく、上記の事から>>364は有り得ないという事です。間違った認識をさせてしまうような事を書いて申し訳ありませんでした(´・ω・`)
368: 名無しさん@読者の声:2011/12/9(金) 01:38:54 ID:cW/o/4ljMA
夕焼け小焼け懐かしいwうちの地域も鳴ってた気がする
弟可愛い紫煙
369: 名無しさん@読者の声:2011/12/9(金) 08:23:08 ID:LrqHLtn3N6
真面目だなww
1さんのキャラ好きだわっC
370: 名無しさん@読者の声:2011/12/10(土) 00:32:34 ID:fkBVTflO66
(`・ω・´)つC
371: ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 18:08:35 ID:qcDttONIGI
>>368
支援ありがとうございます!
夕焼け小焼けが鳴ると帰らないといけないという幼い頃のイメージの所為か、あれが聞こえると本当に切なくなります。丁度空が夕日に染まる頃だから余計にそう感じるのかもしれませんが(´・ω・`)
女「そうなの、弟くん可愛いの。368さん分かってる〜!」
弟「ちょっと姉ちゃん黙って」
>>369
支援ありがとうございます!
す、す、すすすす…!?いや、あの、全国的に流れているという事だったので、もし夕焼け小焼けが聞こえてきた時に「もう18時半!?」という勘違いをさせてしまってはいけないと思いまして、はい(*´・ω・`*)
実物の私を見たらきっと真面目とは言って頂けないでしょうねw
少女「こんなSSに影響力があるとは到底思えないけどね」
弟「激しく同意」
>>370
支援ありがとうございます!
やはり支援して頂けると嬉しいものですね。Cの記号を見るとテンションが上がります。周りに変に思われるかもしれないので表面上は無表情で画面を凝視しつつ、心の中で小さいおっさんが激しく踊っていますw
少女「私達ではテンションが低すぎて表せられないらしいよ」
弟「どうせ可愛げのない子供ですよ」
372: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 20:52:16 ID:yvEPXiu.Rw
*
チリン、チリンと鈴の音が鳴り響いている。辺りを見渡しても真っ暗で何も見えず、自分が何処に居るのかも分からない。ああ、またあの夢かと弟はうなだれた。
背後からの鈴の音に振り返ると、やはり其処には笑みを浮かべる姉の姿があった。どうせまた姉は離れて行くのだと、歩み寄る事さえ諦めていた。
少女が姉の手を取る。前に見た夢と同じように。
373: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 21:24:09 ID:qcDttONIGI
弟「なんであんたが出てくるの?何処に行くつもりなんだよ」
少女は答える事なく姉の手を引いて歩きだすのだろう。そう思っていた弟の予想に反して、少女は歩みを止めて弟に振り返った。
少女「──────」
弟「え?何…」
微かに動く少女の唇からその言葉を読み取ろうとするが、読唇術の心得などない弟は、ただ目を凝らすしかなかった。
374: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 21:41:14 ID:yvEPXiu.Rw
弟が薄らと目を開けると、其処にはいつも通りの見慣れた白い天井が見えた。やはり、夢だったのだ。
弟「はぁー……」
分かってはいたが、弟の口からは自然と長い溜息が洩れた。背中にじんわりと掻いた汗がパジャマを肌に張り付けている。
どんよりとした嫌な気持ちを引き剥がすように、体を起こして窓に視線を流した。
弟「…ちゃんと帰ったのかな、あの子」
まだ覚めやらぬ朧気な意識の中、艶めかしく風に揺れる少女の黒髪を思い浮かべていた。
375: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 22:02:28 ID:yvEPXiu.Rw
*
男「女ちゃん、少し休んだら?」
女「ん、もうちょっとだけ」
姉はベッドから体を起こし、横に置かれたキャンバスに何かを描いていた。隣で心配そうにしている男を余所に、真剣な眼差しで鉛筆を滑らせている。
女「あっ…」
姉の手から逃れるようにして鉛筆がコロコロと転げ落ちた。すぐに拾い上げようとした姉の指先は小刻みに震え、鉛筆は音を立てて転がるだけだった。
376: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 22:33:15 ID:qcDttONIGI
男「女ちゃん…?」
訝しげに様子を伺う男に姉は笑顔て振り返った。震える手を押さえ、困ったように眉を寄せて。
女「最近ね、手に力が入らない時があるの」
男「え…?」
表情を強張らせる男とは対照的に、姉は笑みを浮かべたまま手の平に視線を移した。
震えが治まったのを確認すると、ひょいと鉛筆を拾い上げる。
377: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 22:52:25 ID:qcDttONIGI
女「その内描けなくなっちゃうかもしれないから…だから、」
お願い、と悪戯な笑顔を見せた姉の肩を、男の腕がそっと抱き寄せた。痩せて小さくなった姉の華奢な体は男の腕の中に容易に収まった。
男「大丈夫だよ。大丈夫、大丈夫だから…」
何度も繰り返し、男は言った。心地好い低音が姉の耳を撫でる。姉は縫い付けたように弧を描いていた唇をゆっくりと解き、揺れる瞳を閉じた。
378: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 23:11:15 ID:yvEPXiu.Rw
女「……突き放せなくて、ごめんね」
力なく寄り掛かる姉の髪の香りが男の鼻を擽った。いとおしそうにその髪に頬を擦り寄せると、穏やかな優しい声色で囁くように言った。
男「女ちゃんに来るなって言われても来るよ、俺は」
女「男くん…」
ドクン、と姉の心臓が大袈裟に音を立てた。それに応えるように男の心臓もドクン、と高鳴る。
姉は表情を綻ばせ、熱が帯びた瞳で男を見つめた。
女「ありがとう」
379: ◆b.qRGRPvDc:2011/12/10(土) 23:18:18 ID:qcDttONIGI
今回は此処までとさせて頂きます。
弟は弟表記なのに何故姉は女なんだ、と疑問に思われる方も居るかもしれないので少し説明を。
男が姉を呼ぶ際、ちゃん付けにしろさん付けにしろ、弟が姉を呼ぶ時の「姉ちゃん」と被るなーと思ったからです。「姉さん」だと「ねえさん」と読んでしまうし「姉ちゃん」だと弟と同じ。ややこしいやないか!と思いまして。
という言い訳でした(´・ω・`)
此処まで読んで下さってありがとうございます。おやすみなさい。
380: 名無しさん@読者の声:2011/12/11(日) 00:28:18 ID:0dUz0APGSQ
あぁ…キュンキュンする(*´д`)
キス
381: 380:2011/12/11(日) 00:32:07 ID:/NxGZR211E
ごめんなさい誤爆った…
キスするのか!!って言いたかっただけなんだorz
つC
382: 名無しさん@読者の声:2011/12/11(日) 08:02:43 ID:px..1hXM1Q
姉かわいいよ姉
全力C
383: ◆b.qRGRPvDc:2011/12/11(日) 23:44:05 ID:r12WCtJTeY
>>380-381
支援ありがとうございます!9m
きゅんきゅんして頂けましたでしょうか?私自身あまり少女漫画を読まない為、女でありながら乙女要素が皆無に等しいのでそれはとても嬉しいです…!
女「私と男くんがそんな事…フヒヒ…デュシュ、デュシュシュジュルジュル」
男「やだこの子怖い…」
>>382
支援ありがとうございます!
あれ、お姉ちゃんが一番好感度が高いのでしょうか。ちょっぴり驚いています。きっとお姉ちゃんの人気に男は焦っている事でしょうねw
男「ちょ、支援は有難いけど女ちゃんは駄目だよ…!」
女「えへへ、駄目らしいです」デレデレ
384: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/11(日) 23:47:21 ID:r12WCtJTeY
弟「お二人さん、もういいかな」
女「お、おと、弟くん!?」
男「今日も良い天気だなーっと!」
弟の声に二人の肩は面白い程に跳ね上がった。姉は先程まで鉛筆を滑らせていたそれに慌てて布を被せ、男は窓際に立って白々しく口笛を吹いた。
弟「男さん、今日は曇りだよ?」
晴れやかな満面の笑みを浮かべながら、弟が可愛らしく首を傾げてみせる。男は苦笑して頭を掻くと「まいったな」と眉を下げた。
385: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/12(月) 00:11:36 ID:6.GQMZQyxE
母「男くんごめんなさいね、この子シスコンだから嫉妬妬いてるのよ」
弟「何言ってんの。違うから」
弟の頭をポンポンと叩きながら母親が笑う。二人はそれを見て握り拳が入りそうな程にあんぐりと口を開けた。
女「お母さんまで居たの!?」
母「大丈夫よぉ、会話の内容までは聞いたりしてないから」
頬を火照らせた姉は両手で顔を隠して狼狽えた。穴があったら入りたいとはこの事を言うのだろう。
386: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/12(月) 00:29:53 ID:6.GQMZQyxE
男「……あの、俺はそろそろ失礼しますね」
上着を手に、いそいそと出口に向かう男が言った。
母「あらあら、邪魔しちゃったかしら」
男「いえ、そんな事は…!また来ます」
さようなら、と頭を下げる。名残惜しそうに様子を伺う姉に「またね」と笑顔で手を振った。
男が去った病室に少しの沈黙が流れた。仕切りなおすように母親がパチンと手を叩いて言った。
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