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出会う感情の名は、
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1: 1 ◆b.qRGRPvDc:2011/10/16(日) 19:19:06 ID:f4A63ChN1o
男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」

住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。

辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。

灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。

男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」

散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。


345:
◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 00:01:49 ID:0LPkSTsaU.
少ない投下ですが、今回は此処までとさせて頂きます。

支援レスを下さった方、読んで下さっている方、いつも本当にありがとうございます!

皆様のお気に入りの物語の一つになれますように。おやすみなさい。
346: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 00:28:43 ID:LVJ0vuQqjo
>>340
姉w可愛いなww
俺はこのSSお気に入りですよ。一番好きなのはめぐだけど皆好きだ!!
347: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 09:58:25 ID:3EPWydNmto
壁|´・ω・)つCコトッ
壁|ミ サッ
348: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 12:10:08 ID:TcjuuEWQvQ
大好き支援!
349:
◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 22:01:36 ID:.AL642LWkg
>>346
ありがとうございます、ありがとうございます!そう言ってもらえる事が何よりも嬉しいです。
沢山あるSSの中からこのスレを開いて下さった事、めぐや他のキャラクターを愛して下さった事、全てに感謝です。

めぐ「ボクも346さん好きー!」
弟「誰、あんた」
少女「“元”主役だから気にしなくていいよ。“元”だから」
めぐ「」


>>347
支援ありがとうございます!
壁| (*・ω・pCq)ウレシイ…
壁|ミ マッテマッテ!

弟「1がそっちに行ったみたいだよ」
女「347さん逃げてえぇ!」


>>348
支援ありがとうございます!
嬉しいです。ありがとうございます。少女や弟にも段々愛着が湧いてきて、早くもお別れするのが寂しくなってきました。
私も348さんが大好きです(´;ω;`)

女「うーん…1さんじゃなくてSSの事だと思うの」
男「俺も女ちゃんに同感だけど言わないであげようよ」
女「そうだね。348さん、ありがとうございます」ニコニコ
350: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 22:20:22 ID:8qV65XyEH6

青々とした葉はすっかりと色を変えて散り始めている。弟は窓際で頬杖をついて、ハラハラと舞い散る木の葉を見つめていた。
教室には教師の声とチョークを黒板に滑らせる音が響いているが、そんなものは弟の耳に何一つ入っては来なかった。

友「弟、一緒に帰ろうぜ!」

弟の肩にクラスメイトが触れて、はっと意識が教室に戻された。気が付けば授業どころか“終わりの会”も終わってしまっていた。

弟「…あ、うん、帰ろう」


351: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 22:44:09 ID:.AL642LWkg

友「方程式難しいよ…。あれ、なんで答えが450円になったのか全然分かんなかった」

クラスメイトが口を尖らせてぼやいた。どうやら算数の授業で出た問題が理解出来なかったらしい。

弟「どんな問題だっけ?ノート見せて」

一日中上の空だった弟は、問題どころか授業の内容ですら曖昧だった。「仕方ないなあ」と、クラスメイトは鞄を地面に置いた。


352: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 23:10:46 ID:8qV65XyEH6

クラスメイトが鞄を漁ると同じくして、チリン、チリンと鈴の音が聞こえる。鞄に付けられた御守りの鈴が、小刻みに震えて音を鳴らしていた。
その音にふと、少女の姿が頭に過った。放っておいてくれと悲しげに呟いたきり、病院でも少女の姿を見掛けていない。

弟「…次は優しく、か」

友「え?何?」

鞄から算数ノートを取り出したクラスメイトが弟を見上げる。

弟「ごめん、用事思い出した。また明日!」

来た道を戻るようにして弟は走りだした。クラスメイトはその後ろ姿をただ呆然と見送った。

友「明日学校休みなんだけど…まあいっか」


353: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 23:38:49 ID:.AL642LWkg

弟の細い脚は少女を探して走り続けた。何処の誰かも分からない少女を探しだすのは容易ではない筈なのに、その足を止める術を弟は知らなかった。

何より、会える気がしてならなかった。それだけが弟をただただ走らせた。

弟「ハァっ…ちゃんと言わなきゃ…!」

きっと少女も同じなのだ。言い表わす事の出来ない不安と、無力な自分が怖くてたまらないのだ。そうして人を突き放す。
自分が少女に出来る事は、きっとこれだけなのだと信じて止まなかった。


354: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 23:57:17 ID:8qV65XyEH6

辺りはすっかり薄暗くなり始め、惜しみながら沈んでいく夕日に弟の焦りは増すばかりだった。

弟「猫…?」

息も絶え絶えな弟の前に、一匹の黒猫が佇んでいた。闇に溶けるような美しい黒が月明かりに艶めかしく輝いている。

もの言わぬ飴色の瞳が誘うように弟を見つめた。
──鈴の音が聞こえる。


355: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 00:16:16 ID:.AL642LWkg

弟が黒猫の後を追うようにして辿り着いた先は、丘の上にある公園だった。展望台から見える景色は夜空に光る星のようにキラキラと輝いている。

弟「あれ…猫、何処行ったんだ、ろ……」

薄く開かれた弟の瞳が段々と開かれていく。大きく開かれた弟の瞳には朧月のようにぼんやりと少女の姿が映っていた。

少女「君は本当に…懲りない子だねぇ…」


356:
◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 00:19:59 ID:.AL642LWkg
今回は此処までとさせて頂きます。

もっとささっと終わらせようと思っていたのですが、思っているよりも長くなってしまいそうです…(´・ω・`)

支援して下さった方、読んで下さった方、ありがとうございました!
357: 名無しさん@読者の声:2011/12/8(木) 01:09:59 ID:suIVnJhzas
引き込まれるね。1さんの才能に嫉妬(`・ω・´)つCC
納得行くまで続けてほしいです
358: 名無しさん@読者の声:2011/12/8(木) 19:26:27 ID:vYxDVcu0Fo
お姉ちゃんツボりそう(*´д`*)CCCC
359:
◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 20:49:10 ID:vWFRRZFXl2
>>357
支援ありがとうございます!
うわわわ、そんな事を言って頂いていいのでしょうか。恐縮です。でも凄く嬉しいです(*´・ω・`*)

納得の行くまで、となるともはや短編小説ではなくなってしまう長さになってしまう予感がするので、自重しつつちゃんと完結させたいと思っています!

弟「お気遣いありがとう」
少女「君は本当に可愛げがないね」
弟「あんたに言われたくない」ベー
女「喧嘩しないのー!」


>>358
支援ありがとうございます!
二人に比べて登場シーンが少ないというのに気に入って頂けるなんて…!きっと姉も喜んでます。枕を抱き締めながらゴロゴロ転がってます。

女「きゃーきゃー」ゴロゴロ
女「どうしようモテ期かも〜!」ゴロゴロ
少女「…止めないのかい?」チラッ
弟「無理です」
360: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 21:33:37 ID:w/b1EyjZ5M

何時間も自分を探して走り回ったであろう弟の吐息を背後に感じて、少女は振り返る事もせずに言葉を洩らした。
「まあね」と得意気に弟が笑う。

少女「まだ、何かあるのかい?」

弟「あ、うん。えっと…」

少女に促されて弟は口籠もった。
優しく、優しくと姉が背中を押しているような気がした。

弟「…この前は事情も知らずに突っ掛かってごめん。その……友達に、ならない?」


361: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 21:56:47 ID:vWFRRZFXl2

夜風が二人の頬を優しく撫でた。少女の瞳が月明かりに反射してうるうると光る。
振り返る先には弟の姿があった。間違いなく真っ直ぐに少女を見つめている。

少女「ともだち…?君と私がかい?」

弟「うん」

弟は照れ臭そうに眉を寄せて鼻を撫でた。
少女の手が微かに震える。警鐘にも似た鼓動の音が少女の身体中に響いていた。


362: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 22:24:58 ID:w/b1EyjZ5M

少女「…馬鹿な事言ってないで早くお家に帰りなよ」

少女のスカートが風に膨らんでくるりと回った。弟に背を向けて手首の鈴を弄ぶ。

弟「あんたは帰らないの?」

少女の黒い髪が弟の心を擽るようにさらさらと風に揺れた。夜風に靡く髪を払う事もせずに少女は答えた。

少女「君は帰るべき場所があるでしょう。早く帰るといいよ」


363: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 22:54:15 ID:w/b1EyjZ5M

弟には少女に掛ける言葉が思い当たらなかった。というよりも、まだ子供の弟には少女の言動は理解し難いものばかりで、今にも吹き出してしまいそうだったのだ。

少女「…何だい?」

少女は怪訝な顔で横目に弟を見る。

弟「名前もないし帰る家もないって、あんた野良猫みたいだね」

少女「あんなに媚びた声は出せないし、私の声なんて誰にも聞こえやしないよ」


364: 番外編
◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 23:23:36 ID:w/b1EyjZ5M

野良猫の方がよっぽどマシだと言って少女は睫毛を伏せた。
弟の頭はますます困惑し、首を傾げるしかなかったが、伏せられた長い睫毛が寂しいと語り掛けているように思えてならなかった。

弟「どういう意味…?」

ふと、聞き馴れたメロディが弟の耳を突いた。いつも何処からか流れてくるそのメロディは、児童に帰宅を促す為の「夕焼け小焼け」のメロディだった。
公園の時計に目をやると、時刻は午後六時半を示している。


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