男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」
住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。
辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。
灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。
男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」
散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。
339: 名無しさん@読者の声:2011/12/6(火) 18:58:51 ID:xInxTUSewQ
お姉ちゃんはもらった〜!
っC
340: ◆b.qRGRPvDc:2011/12/6(火) 20:47:03 ID:VVmn2h4y/A
>>336
支援ありがとうございます!
やはりツンツンしてしまっていますよね。何度頭で二人の姿を描いてみても、二人共がしかめっ面で睨んできてくれます。生みの親なのに…悲しいですw
弟「可愛いってさ」
少女「だから何だい?」
弟「顔、赤いよ」ニヤニヤ
>>337
わー、わー、ありがとうございます。凄く嬉しいです。本当に、嬉しい…(´;ω;`)
キャラクターって、どれだけ脳内で設定していても書き手次第で本当に変わってしまうと思うんですよね。文章で表すならなおのこと。そう言って頂けると本当に嬉しいです!ありがとうございます!
体調管理もしっかりします。お優しい心遣いに感謝!
弟「長いよ」
少女「長いね」
女「確かに長いね」
1「」
>>338
支援ありがとうございます!
そう言って頂けるとツンツンコンビも喜びます。きっと素直にありがとうとは言わないのでしょうけどw
女「だ、駄目ですー!弟くんはあげません!!」ギュウゥゥ
弟「ぐっ…ぐるじいよ姉ぢゃん…」
>>339
支援ありがとうございます!
お姉ちゃん、お気に召しましたでしょうか?ちょっと抜けててふわふわした子ですが、可愛がってやって下さいね(´ω`)
女「え、私339さんのものになっちゃうの?」チラッ
女「凄く嬉しいけど、困ったなぁ…」チラッチラッ
弟&男「……」
341: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/6(火) 22:11:43 ID:0LPkSTsaU.
───‥
女「そう、そんな事があったの」
弟「全く礼儀がなってないと思わない?もう、第一印象から最悪だったんだけどね」
風船のように膨らんだ弟の頬は、指で突けば割れてしまいそうな程に張り詰めている。
姉はそうしてやりたい衝動を抑えながら、年相応に愛らしく拗ねた弟を見てクスクスと笑った。
342: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/6(火) 22:35:26 ID:0LPkSTsaU.
女「もしかしたら恥ずかしがり屋なのかもしれないよ?次は優しく話し掛けてあげなよ」
弟「それじゃあ僕がいつも優しくないみたいじゃない?」
女「そんな事ないよー!今日の弟くんはまた特別可愛いけど」
弟「…何それ、可愛いかなんて訊いてないんだけど」
りんご色をした弟の頬がフイとそっぽを向く。その様子に、やはり可愛いと姉の細い手は弟の頭を撫でた。
343: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/6(火) 23:03:20 ID:VVmn2h4y/A
女「でも嬉しいなあ、弟くんから女の子の話が聞けるなんて」
弟「ちょっと、変な期待しないでよ?」
弟がジト目を向けても、姉は首を傾けて柔らかい笑みを浮かべるだけだった。夢見る少女の姉には何を言っても無駄なのだろう。
弟「…まったく」
弟はいつもこの柔らかな姉の雰囲気に呑まれてペースを乱される。どれだけ大人ぶってみせても無駄だった。
そうして自覚させられる。
自分は無力な子供なのだと。
344: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/6(火) 23:56:01 ID:0LPkSTsaU.
女「弟くんの結婚式とか、きっと私泣いちゃうんだろうなー」
『……お姉ちゃん、もう駄目かもしれないって』
目の前で輝かしい未来に胸を膨らませる姉は、母親がそう言われた事を知らないのだろうか。
女「娘さんを僕に下さい!とか言っちゃうのかな。私も言われたいなあ。娘はお前にはやらん!なんて…」
『手術するにも、今のままじゃ体力が保たないんだって』
本当は今すぐにでも大声で泣き喚いて姉の胸に飛び込んでしまいたい。
女「…もう、弟くん聞いてる?」
「お姉ちゃん、死なないで」と、縋りついてしまいたい。だけどそうする事が出来ないのは、やはり子供だからなのだろう。
弟「………」
素直になれない、子供だからなのだろう。
弟「気が早いよ、姉ちゃん」
345: ◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 00:01:49 ID:0LPkSTsaU.
少ない投下ですが、今回は此処までとさせて頂きます。
支援レスを下さった方、読んで下さっている方、いつも本当にありがとうございます!
皆様のお気に入りの物語の一つになれますように。おやすみなさい。
346: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 00:28:43 ID:LVJ0vuQqjo
>>340
姉w可愛いなww
俺はこのSSお気に入りですよ。一番好きなのはめぐだけど皆好きだ!!
347: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 09:58:25 ID:3EPWydNmto
壁|´・ω・)つCコトッ
壁|ミ サッ
348: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 12:10:08 ID:TcjuuEWQvQ
大好き支援!
349: ◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 22:01:36 ID:.AL642LWkg
>>346
ありがとうございます、ありがとうございます!そう言ってもらえる事が何よりも嬉しいです。
沢山あるSSの中からこのスレを開いて下さった事、めぐや他のキャラクターを愛して下さった事、全てに感謝です。
めぐ「ボクも346さん好きー!」
弟「誰、あんた」
少女「“元”主役だから気にしなくていいよ。“元”だから」
めぐ「」
>>347
支援ありがとうございます!
壁| (*・ω・pCq)ウレシイ…
壁|ミ マッテマッテ!
弟「1がそっちに行ったみたいだよ」
女「347さん逃げてえぇ!」
>>348
支援ありがとうございます!
嬉しいです。ありがとうございます。少女や弟にも段々愛着が湧いてきて、早くもお別れするのが寂しくなってきました。
私も348さんが大好きです(´;ω;`)
女「うーん…1さんじゃなくてSSの事だと思うの」
男「俺も女ちゃんに同感だけど言わないであげようよ」
女「そうだね。348さん、ありがとうございます」ニコニコ
350: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 22:20:22 ID:8qV65XyEH6
青々とした葉はすっかりと色を変えて散り始めている。弟は窓際で頬杖をついて、ハラハラと舞い散る木の葉を見つめていた。
教室には教師の声とチョークを黒板に滑らせる音が響いているが、そんなものは弟の耳に何一つ入っては来なかった。
友「弟、一緒に帰ろうぜ!」
弟の肩にクラスメイトが触れて、はっと意識が教室に戻された。気が付けば授業どころか“終わりの会”も終わってしまっていた。
弟「…あ、うん、帰ろう」
351: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 22:44:09 ID:.AL642LWkg
友「方程式難しいよ…。あれ、なんで答えが450円になったのか全然分かんなかった」
クラスメイトが口を尖らせてぼやいた。どうやら算数の授業で出た問題が理解出来なかったらしい。
弟「どんな問題だっけ?ノート見せて」
一日中上の空だった弟は、問題どころか授業の内容ですら曖昧だった。「仕方ないなあ」と、クラスメイトは鞄を地面に置いた。
352: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 23:10:46 ID:8qV65XyEH6
クラスメイトが鞄を漁ると同じくして、チリン、チリンと鈴の音が聞こえる。鞄に付けられた御守りの鈴が、小刻みに震えて音を鳴らしていた。
その音にふと、少女の姿が頭に過った。放っておいてくれと悲しげに呟いたきり、病院でも少女の姿を見掛けていない。
弟「…次は優しく、か」
友「え?何?」
鞄から算数ノートを取り出したクラスメイトが弟を見上げる。
弟「ごめん、用事思い出した。また明日!」
来た道を戻るようにして弟は走りだした。クラスメイトはその後ろ姿をただ呆然と見送った。
友「明日学校休みなんだけど…まあいっか」
353: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 23:38:49 ID:.AL642LWkg
弟の細い脚は少女を探して走り続けた。何処の誰かも分からない少女を探しだすのは容易ではない筈なのに、その足を止める術を弟は知らなかった。
何より、会える気がしてならなかった。それだけが弟をただただ走らせた。
弟「ハァっ…ちゃんと言わなきゃ…!」
きっと少女も同じなのだ。言い表わす事の出来ない不安と、無力な自分が怖くてたまらないのだ。そうして人を突き放す。
自分が少女に出来る事は、きっとこれだけなのだと信じて止まなかった。
354: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/7(水) 23:57:17 ID:8qV65XyEH6
辺りはすっかり薄暗くなり始め、惜しみながら沈んでいく夕日に弟の焦りは増すばかりだった。
弟「猫…?」
息も絶え絶えな弟の前に、一匹の黒猫が佇んでいた。闇に溶けるような美しい黒が月明かりに艶めかしく輝いている。
もの言わぬ飴色の瞳が誘うように弟を見つめた。
──鈴の音が聞こえる。
355: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 00:16:16 ID:.AL642LWkg
弟が黒猫の後を追うようにして辿り着いた先は、丘の上にある公園だった。展望台から見える景色は夜空に光る星のようにキラキラと輝いている。
弟「あれ…猫、何処行ったんだ、ろ……」
薄く開かれた弟の瞳が段々と開かれていく。大きく開かれた弟の瞳には朧月のようにぼんやりと少女の姿が映っていた。
少女「君は本当に…懲りない子だねぇ…」
356: ◆b.qRGRPvDc:2011/12/8(木) 00:19:59 ID:.AL642LWkg
今回は此処までとさせて頂きます。
もっとささっと終わらせようと思っていたのですが、思っているよりも長くなってしまいそうです…(´・ω・`)
支援して下さった方、読んで下さった方、ありがとうございました!
357: 名無しさん@読者の声:2011/12/8(木) 01:09:59 ID:suIVnJhzas
引き込まれるね。1さんの才能に嫉妬(`・ω・´)つCC
納得行くまで続けてほしいです
358: 名無しさん@読者の声:2011/12/8(木) 19:26:27 ID:vYxDVcu0Fo
お姉ちゃんツボりそう(*´д`*)CCCC
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