男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」
住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。
辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。
灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。
男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」
散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。
303: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/11/30(水) 00:48:06 ID:JlaWwk8fx.
*
母「ただいまー」
玄関からドアが開く音と共に母親の声が響き渡る。間もなくしてパタパタとリビングへと足音が近付いてきた。
母「ただいま」
背後から聞こえてくる母親の声に弟はピクリと体を揺らすと、テレビ画面から目線を外す事なく「おかえり」とぶっきらぼうに返した。
我が子の素直になれない性格を理解している母親は、その後頭部を見ながら笑みを零した。
304: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/11/30(水) 01:06:43 ID:Kkh511QEhI
肩から鞄を降ろしながら弟に視線を送った。テレビ画面からは賑やかな笑い声と陽気なBGMが流れている。
母「ご飯ちゃんと食べた?学校のお手紙あったらちゃんと出してね」
優しく問い掛ける母親の声は疲れの色を隠せていない。椅子に腰を降ろすと堪らず「ふぅ…」と息を洩らした。
305: 番外編 ◆b.qRGRPvDc:2011/11/30(水) 01:16:53 ID:JlaWwk8fx.
横目で伺う弟の視界には、肩を揉みながら首を回している母親の姿があった。
弟「ねぇ、晩ご飯くらい自分でどうにか出来るから無理しなくていいよ。最近疲れてるんじゃない?」
母「子供が生意気な口聞くんじゃありません〜!」
母親は背後から弟の頭をわしゃわしゃと撫で回した。まだ幼い我が子の強がりがやけに胸に染みる。
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