2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
出会う感情の名は、
[8] -25 -50 

1: 1 ◆b.qRGRPvDc:2011/10/16(日) 19:19:06 ID:f4A63ChN1o
男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」

住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。

辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。

灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。

男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」

散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。


166: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 00:56:40 ID:A8T..sH7VM
投下しながら何度も意識を手放してしまう…(´-ω-`)

時間掛かりすぎな上に少ない投下ですが、此処までとさせて頂きます。

おやすみなさい。
167:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 20:19:54 ID:VCHgmReH86
少女は風にはためくカーテンに目をやった。

雨の音は殆ど聞こえない。少女は終わりが近付いている事を悟った。

少女「彼女は全てを忘れて“誰か”になるよりも、“めぐ”のまま消滅する事を選んだ。君と過ごした時間をなかった事にはしたくなかったんだろうね」

男「しょう、めつ?待てよ、なんで…意味分かんねぇよ!!」

少女「私達は死者になる事も許されない、罪人なんだよ。罪を償わなければ消滅するのは当然でしょう」
168:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 20:45:56 ID:VCHgmReH86
青年の脳裏に焼き付いた、めぐの姿。思い出の中のめぐは罪人などではない、無垢な少女だった。

雨の中、誰かを待ち続けていた少女。雨に濡れる事も厭わず、悲しみに歪んだ表情で青年を見つめた。

「此処に居る」と泣いていた。
めぐと呼ぶと嬉しそうに笑った。

公園で無邪気にはしゃいでいた。
時折寂しそうな表情をして、手放したくないと言ってくれた。


一緒に居たいと、泣いてくれた。


この腕の中に飛び込んで来たのは、この腕が受け止めたのは、


存在しない空っぽの何かではなく、めぐという一人の少女だった。
169:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 21:12:13 ID:gdsRLqBUn.
男「…消滅なんかされてたまるかよ」

共に過ごした確かな存在、それを否定する事など青年には出来なかった。

青年の中にふつふつと沸き上がる感情は、今にも弾けそうだった。

男「霊子さん、霊子さん達が償いから解放される方法はないの?」

少女はピクリと眉を動かして得意気に答えた。

少女「あるよ」
170:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 21:38:13 ID:VCHgmReH86
少女「私達は過去に罪を犯し、その中で大切な何かを失ったんだ」

男「大切な、何か…」

少女「失くしたものを見付けるまで償いは続く」

男「見付かったら…?」

少女の口元が弧を描く。
その表情はまるでサンタのプレゼントを待つ子供のように、キラキラとしていた。

少女「他の死者と同じように、再び人として生きられる。もう一度やり直せるんだ」
171:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 21:58:48 ID:gdsRLqBUn.
『生まれ変わるんだよ、私達は。やり直せるんだ』

夢の中の少女が青年に語り掛けてくる。

『私は失くしたものを見付ける。自分の罪も』

夢の中の少女は、はっきりとそう言った。


男「…そっか、あの声は霊子さんだったんだな」

少女「何がだい」

男「いや、こっちの話」

少女の今までの行動は全て、めぐを助ける為のものだったのだろう。

自分にも、自分にも何か出来るのであれば――。
172:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 22:17:11 ID:VCHgmReH86
男「めぐが消えるなんて俺は嫌だ」

少女「そうかい」

男「でも、どうすれば…」

頭を捻る青年を余所に、少女は嘲笑するように小さく笑った。
その目は諦めの色を帯びている。

少女「役目を果たせばいいだけだよ。なのに彼女はそれを拒絶した」

男「役目を、果たす…」
173:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 22:40:59 ID:gdsRLqBUn.
少女が語った罪人としての役割、その言葉の意味を青年は考えていた。

『死期が訪れた人を送り届ける』
雨の中、めぐは誰かを待ち続けた。その“誰か”を送り届ければ、あるいは――。

男「ちょっと待てよ……送り届けられるのは、誰だ…?」

少女「…私は彼女ではないから、それを君に教える義務はないよ」

でも、と付け足して少女は真っ直ぐに青年を見つめた。

少女の黒い瞳の奥は、今にも青年を吸い込んでしまいそうな程に暗闇が広がっていた。

少女「本当は、気付いているんでしょう?」
174:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/11(金) 22:44:58 ID:gdsRLqBUn.
今日は此処までとさせて頂きます。書いていてなんですが、もうすぐ終わると思うと寂しいですね。

読んで下さってありがとうございます!
175: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 00:27:29 ID:avPVj.d99o
この展開はまさか…いや、ハッピーエンドを信じてる!支援だ!


パンツ脱いどいた方がいい?
176: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 14:35:11 ID:vs1J6Bpbok
>>175
お前まだ脱いでなかったの?
177:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/12(土) 21:01:32 ID:mqN6SPO.86
>>175
支援ありがとうございます!
欝展開ではないのですが、皆さんに納得して頂けるかは分かりません。ただ、このお話を書き始めた時から全て決めていたので、突き進むのみです(`・ω・´)

パンツは履いておいて下さいw

めぐ「パンツ脱ぐの?」
男「少なくともめぐは脱がなくていいから!」
少女「果たして下着という概念が私達にあるのかね」
男「ジーザス」


>>176
その発言からするとまさか…ゴクリ
いや、パンツは履いて下さいw


少女「パンツ脱ぐのかい?」
めぐ「脱がなくていいって男が言ってたよ」
少女「私は言われてないよ」
めぐ「じゃあ脱g「セェェェェェイ!」
男「幼女のノーパンティ駄目絶対!」
178: ◆b.qRGRPvDc:2011/11/12(土) 21:03:32 ID:mqN6SPO.86
下げるつもりが上げてしまった…すみません(´・ω・`)
諸事情により今日は更新出来ないと思います。

今週中に終わるかもなどとほざいておいてすみません……orz
179:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/13(日) 18:38:53 ID:dMYhP7SHjI
男「…何、を…っ…!?」

突如、青年を襲った耳鳴りと雑音。耳を押さえてもその音は鳴り止まず、頭をガンガンと刺激した。

立っている事もままならず足元をふらつかせる。目の前の少女が激しく歪んで、青年は思わず目を閉じた。


──誰かの泣き声が聞こえる。


?『どうして、どうして…!あの子を返して!!』

─泣かないで。

?『無理矢理にでもこの家に居させれば…こんな事にならなかったかもしれないのに…!』

─そうじゃない。

?『私の所為だ……息子のように思っていたのに…!!』

─貴方の所為じゃ、ないよ。
180:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/13(日) 19:37:21 ID:awCAHkK9I.
男「…っう、」

脳裏で巻き戻されていく青年の記憶。頭の中で沢山の声が響いている。それは大きく鳴り響くと、すぐに止まった。

はっと目を開けると目の前に広がる光景。青年は住宅街の路地にポツリと立っていた。

男「何、だよ……」

頭を押さえてその場に蹲る。
降り続けていた雨は、止んでいた。
181:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/13(日) 20:12:31 ID:awCAHkK9I.
男「…俺、が…?」

ふらふらと青年は立ち上がった。
目の前には先程と変わらず少女の姿があった。フローリングの床がギシリと音を立てて軋む。

男「はは、は…なんだ…」

住み慣れている筈のワンルームにはベッドも、何もなかった。カーテン代わりにぶら下げられている半透明のビニールだけが、風にはためいている。
182:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/13(日) 20:54:49 ID:awCAHkK9I.
全身に走った衝撃、反転する視界、散乱した財布の中身、雨の降る住宅街の路地─それらが青年の脳裏で交差する。

青年は全てを思い出し、そして理解した。

男「居なくなんのは…、俺だ…」

少女「……」

男「俺、なんだ……」
183:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/13(日) 21:18:06 ID:awCAHkK9I.



雨の中、静かに佇んでいた黒猫が待っていたのは、一人の青年。
自分の存在に気付く筈のないその人物は、とても暖かい手の持ち主だった。

人と触れ合うのは初めてだった。
ただの好奇心だった。

黒猫は、いつしか青年を失う事を受け入れられなくなっていた。そして、運命に抗った。

いつか失う命──黒猫はそれをただ守りたかった。


184:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/13(日) 21:38:31 ID:awCAHkK9I.
青年の元を去った黒猫は、自らを犠牲にする事で青年を助けようとした。

それなのに、

それなのに──。


『なん、で…』


守りたかったものが、目の前に立っている。

あの時と同じように、暖かい手で受け止めてくれる。


『一緒に、居たい…男と一緒に居たい!』


抑えきれない気持ちが爆発してしまった。

ああ、この人を失いたくない。
手放したくない。




貴方を、忘れてしまいたくない──




185:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/13(日) 21:43:03 ID:awCAHkK9I.
今日の投下は此処までとさせて頂きます。

ちょっと少女の出番が多過ぎるかな…大丈夫かな…(´・ω・`)
241.54 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字