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出会う感情の名は、
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1: 1 ◆b.qRGRPvDc:2011/10/16(日) 19:19:06 ID:f4A63ChN1o
男「あれ?何してたんだっけ?…なんで此処に居たんだっけ?」

住宅街の路地にポツリと立つ青年。見たところ、学生のようだ。

辺りを見渡しても、まるで自分以外の人間が魔法にでも掛けられたかのように姿を見せない。

灰色に染まった空は雨を降らせてパタパタと音を立てながらアスファルトを濡らしていく。

男「うわ!財布の中身散乱してるし!お札が濡れる!」

散乱しているお金を慌てて掻き集め、乱暴に財布に押し込んだ。


152:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/9(水) 21:03:09 ID:mYM8Ym1HnU
夢で見た不思議な光景、あの声はめぐのものだった。

同じ場所、あの路地に居た少女と黒猫は、雨の中同じ“誰か”を待っていたのだろうか。青年は頭を抱えて俯いた。

カーテンの向こうを見るのが怖い。何かを知るのが怖かった。

――それでも。

男「…何も知らないまま居なくなられるのは、もう嫌だ」
153:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/9(水) 21:21:29 ID:mYM8Ym1HnU
青年は震える手を抑えるようにぎゅっと握った。空気を吸い込むと、喉がヒュッと渇いた音を洩らす。

一度目を閉じて、ゆっくりと開く。

男「霊子さん、居るんだろ?」

シンと静まり返るワンルームを見渡して、

男「霊子さん!頼むよ!!」

少女「うるさい」

男「ヒッ…!!」

青年の背後に少女は居た。

二度目と言えど、青年の体は大きく跳ねる。声が出そうになるのを辛うじて堪えて、ゴクリと唾を飲み込んだ。
154:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/9(水) 21:44:05 ID:mYM8Ym1HnU
少女「あのねぇ…」

少女はポリポリと頭を掻きながら青年を見た。眉間には深々と皺が刻まれている。

少女「子飼いじゃあるまいし、呼べばすぐ来ると思わないでくれるかな。私にだってすべき事はあるんだから」

それと、と付け足して少女は自分の胸を叩く。

少女「私の呼び名!変な呼び名付けないでくれるかい?」

男「ごめんなさい、霊子さん」

シュンと肩を竦める青年から目を逸らして、やり場のない感情を舌打ちで弾いた。
155:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/9(水) 22:05:43 ID:mYM8Ym1HnU
男「あの、来てくれてありがとう」

少女「勘違いしないでね。別に、君の為じゃないから」

少女の目が泳ぐ。それを見た青年はクスリと微笑んだ。

男「分かってるよ。めぐの為だろ?」

少女「それも違うね。私達は友達でも何でもない」

男「でも、来てくれた」

少女「君が煩く私を呼んだからだよ!」

青年は目を細めて笑った。
頬を紅潮させて顔を逸らす少女がとても愛らしく見える。いつもの仏頂面は見る影もなく、幼さを垣間見せていた。
156:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/9(水) 22:28:27 ID:mYM8Ym1HnU
少女「…君が知りたいのは、」

振り返った少女の目は真っ直ぐに青年を捕らえていた。
風にはためくカーテンが二人の会話を邪魔するようにパタパタと音を立てている。

少女「君が知りたいのは、彼女の事だね」

青年の目の色が変わる。口をグッと引き締めて少女の言葉を待った。
少しの間を開けて、少女は重い口を開いた。

少女「めぐというものは存在しないし、してはいけない。本来出会うべきじゃなかったんだよ、君と彼女は」
157:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/9(水) 22:53:03 ID:VCHgmReH86
少女「…幽霊というのも強ち間違いじゃないんだ。元は人間だったからね、私も彼女も」

男「元は…?」

少女「……」

青年は眉を顰めた。

少女の話があまりにも現実味がなさすぎて理解が出来ない。まるで、安っぽいファンタジー小説を読んでいるようだった。
158:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/9(水) 23:14:44 ID:gdsRLqBUn.
男「存在しないって、してるじゃないか。触れる事だって出来る」

少女「…っ君は!君は、目に見える事が全てなのか?私達は存在しない!ただの空っぽな何かなんだよ」

肩に触れる青年の手から逃げるように、少女は自分自身の肩を抱いた。力をこめられた指先は白くなっている。
青年は少女に掛ける言葉を見付けられずにいた。

少女は荒くなった呼吸を整えて冷静さを取り戻すと、静かに語りだした。
159:
◆b.qRGRPvDc:2011/11/9(水) 23:33:05 ID:VCHgmReH86
少女「簡単な話だよ。私達は罪を犯し、その代償としてこうしてる」

男「罪って…何を」

少女「…さぁね、記憶なんて何処かに忘れて来たんだろう。気が付いた時には、自分が何者かなんて覚えちゃいなかった」

男「それは、めぐも…?」

少女は無言で頷いた。

青年は出会ったばかりのめぐを思い出した。貴方は誰か―その質問に答えなかった訳が、何となく分かった気がする。

手のひらがじんわりと熱くなって、初めて自分の手に力が入っている事に気付いた。
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